JP4486188B2 - 両性澱粉の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン基及びアニオン基を有する両性澱粉の製造方法に関する。この両性澱粉は、製紙工業における内添剤等として用いられている。両性澱粉を製紙工業における内添剤として使用すると、紙の層内強度が向上する、湿紙形成時の濾水性が向上する、填料の歩留まりが向上する等の効果が知られている。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、両性澱粉を製造する工程は、カチオン化によりカチオン澱粉を得る工程、カチオン澱粉とアニオン化剤水溶液を混合する工程、アニオン化を行う工程の3工程に大別される。
【0003】
カチオン澱粉は、澱粉工業において通常なされている一般的なカチオン化方法、即ち、澱粉スラリーにアルカリ触媒の存在下、カチオン化剤を所定の温度にて反応することで得られる。また、いわゆる乾式法と呼ばれる方法、即ち、澱粉の乾粉にアルカリ触媒によって活性化されたカチオン化剤を混合して、所定の温度にて反応することでも得られる。使用されるカチオン化剤としては、三級アミン化合物、四級アンモニウム化合物等が一般的によく使用されている。具体的には、三級アミン化合物は、2−ジエチルアミノエチルクロリド、四級アンモニウム化合物は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが使用されている。使用されるアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物が使用できる。カチオン澱粉としては、通常、置換度が0.01〜0.08の範囲のものが使用される。
【0004】
次に、カチオン澱粉とアニオン化剤を混合する方法であるが、1つには、先に示したカチオン澱粉スラリーにアニオン化剤を混合、溶解させて脱水し、脱水ケーキ中にアニオン化剤を保持させる方法が挙げられる。もう1つは、カチオン澱粉スラリーを脱水させた後の脱水ケーキ(通常、水分含量30〜45重量%)にアニオン化剤を水溶液として噴霧し混合する方法が挙げられる。
【0005】
次いで、アニオン化剤を混合したカチオン澱粉を予備乾燥し、110℃〜150℃の温度において加熱反応を行うことによって、アニオン基を有する澱粉を得ることができる。アニオン化剤としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等のリン酸類のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が使用できるが、トリポリリン酸ナトリウムがよく使用される。
【0006】
しかしながら、従来のカチオン澱粉とアニオン化剤を混合する方法では、脱水時に濾液側に多くのアニオン化剤が流出してしまったり、カチオン澱粉の脱水ケーキとアニオン化剤水溶液との均一な混合を行うために過剰なアニオン化剤水溶液を噴霧する必要がある等、アニオン化剤の大部分が流出してしまい、経済的に非効率である。カチオン澱粉に保持されるアニオン化剤の歩留まり率を向上させるにしても限界がある。アニオン化剤水溶液を回収して再利用する方法も、流出する澱粉可溶成分の腐敗の問題があるため再利用の回数に限度があり、また、常に同濃度のアニオン化剤水溶液を繰り返し供給する精度を保持するのは難しい。更に、回収システムには、多大な設備投資が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような状況を解決するための手段としてカチオン澱粉の乾粉にアニオン化剤水溶液を均一に混合する方法が、アニオン化剤の損失がほとんどなく、経済的に有利であり、かつ、設備も簡便である。
【0008】
しかし、カチオン澱粉とアニオン化剤を混合する場合において、特に注意しなければならない点は、カチオン澱粉とアニオン化剤をいかに均一に混合するかである。混合が不均一な方法で製造された両性澱粉は、澱粉中の電荷のバランスが崩れ、カチオン基とアニオン基が引きつきあい、両性澱粉を糊化した時、凝集、離水等を生じる場合がある。時々、両性澱粉をスラリー化した時でさえも凝集する場合がある。このような現象を示した場合、両性澱粉を製紙工業における内添剤として紙に添加した場合の特徴である、紙の層内強度が向上する、湿紙形成時の濾水性が向上する、填料の歩留まりが向上する等の効果が著しく低下する。ここで述べられている均一な混合とは、カチオン澱粉にアニオン化剤を混合した結果製造された両性澱粉が、スラリー化した時の凝集や糊化した時の凝集、離水をおこさずに、かつ、両性澱粉を製紙工業における内添剤として紙に添加した場合の特徴である、紙の層内強度が向上する、湿紙形成時の濾水性が向上する、填料の歩留まりが向上する等の効果が低下しないことである。
【0009】
カチオン澱粉スラリーにアニオン化剤を混合、溶解させて脱水する場合、あるいは、カチオン澱粉の脱水ケーキにアニオン化剤を水溶液として噴霧し混合する場合のように、従来のカチオン澱粉にアニオン化剤を混合する方法では、経済的に不利ではあったが、この均一性を保ちながら両性澱粉を製造することは可能であった。
【0010】
本発明は、紙の層内強度が向上する、湿紙形成時の濾水性が向上する、填料の歩留まりが向上する等の効果を低下させることなく、両性澱粉を経済的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)30重量%以下の水分を含むカチオン澱粉の乾粉と、無機リン酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン化剤の水溶液とを均一に混合することを含む両性澱粉の製造方法。
(2)無機リン酸類がオルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸及びヘキサメタリン酸から選ばれる少なくとも1種である前記(1)に記載の製造方法。
【0012】
本発明に用いるカチオン澱粉としては、特に制限はなく、種々のカチオン化方法により得られるものを用いることができる。カチオン化の方法としては、例えば、澱粉スラリーにアルカリ触媒の存在下、カチオン化剤を所定の温度にて反応させる方法(二國次郎他、澱粉科学ハンドブック、朝倉書店)、いわゆる乾式法、即ち、澱粉の乾粉にアルカリ触媒によって活性化されたカチオン化剤を混合して、所定の温度にて反応する方法(Starch/Starke50(1998)Nr.6,S.267-271, Starch/Starke 44(1992)Nr.2,S.69-74)等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いる原料澱粉は、特に制限はなく、一般に使用されている澱粉はいずれも使用でき、例えば、コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉が挙げられ、また、これらの澱粉を物理的・化学的又は酵素的に修飾して得られる化工澱粉、例えば、酸化、エステル化、エーテル化、酸処理化澱粉等を使用してもよい。
【0014】
カチオン化に用いるカチオン化剤としては、例えば、2−ジエチルアミノエチルクロリド等の三級アミン化合物、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム化合物が挙げられる。カチオン化に用いるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。本発明に用いるカチオン澱粉におけるカチオン基の置換度は、通常0.01〜0.08である。
【0015】
本発明に用いる30重量%以下の水分を含むカチオン澱粉の乾粉は、例えば、熱風乾燥機等で所望の水分含量になるまで乾燥する、又は、熱風乾燥機等で一旦所望の水分含量以下になるまで乾燥した後、加湿混合装置等によって所望の水分含量になるまで調湿することにより調製することができる。カチオン化反応後のカチオン澱粉の水分含量が所望の範囲内であればそのまま用いることも可能である。該乾粉の水分含量は、好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
【0016】
本発明においては、前記の30重量%以下の水分を含むカチオン澱粉の乾粉と、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等の無機リン酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン化剤の水溶液とを均一に混合する。
【0017】
前記リン酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウムが挙げられる。
前記のリン酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩からなるアニオン化剤としては、好ましくは、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0018】
本発明に用いるアニオン化剤水溶液におけるアニオン化剤濃度は、アニオン化剤の種類、アニオン基の置換度の設定、カチオン澱粉の水分含量、カチオン澱粉乾粉とアニオン化剤水溶液を混合した時の混合後の水分含量等により異なるが、通常、35重量%以下、好ましくは1〜20重量%である。混合後の水分含量が、通常15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%になるように、かつ、所望のアニオン置換度になるように、前記範囲内において、アニオン化剤水溶液の濃度を調整する。アニオン基の置換度は、通常、0.001〜0.05の範囲のものが好ましい。混合後の澱粉のpHは、特に制限はないが、pH5.5〜8.5に調整するのが好ましい。そのため、カチオン澱粉乾粉のpHを3.5〜7.0、アニオン化剤水溶液のpHを5.5〜8.5に調整しておくのが好ましい。必要により、塩酸、硫酸、リン酸等の酸、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加して各溶液のpHを調整してもよい。
【0019】
本発明において、カチオン澱粉の乾粉とアニオン化剤水溶液を均一に混合するには、各種の混合機を用いることができるが、カチオン澱粉の乾粉とアニオン化剤水溶液の均一な混合を行う点で、特に以下の特徴を有する混合機を用いることが好ましい。本混合機は、円筒容器内で多数のパドルを取り付けたシャフトが周速10〜50m/sec、好ましくは20〜30m/secで高速回転するという特徴を有する。カチオン澱粉の乾粉が高速回転しているパドルの中を通過する際、パドルの衝撃で粉体をむらなく分散し、それと同時に薬液スプレー添加装置でアニオン化剤水溶液を噴霧し、均一な混合を連続で行うというものである。例えば、新東工業(株)、(株)シンマルエンタープライゼス、太平洋機工(株)、(株)西村機械製作所、日清エンジニアリング(株)、不二パウダル(株)、ホソカワミクロン(株)製等が挙げられる。
【0020】
以上のようにして得られた混合物を、熱風乾燥機等の各種乾燥機により、水分含量が、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下になるまで予備乾燥した後、通常110〜150℃の温度において加熱反応を行うことによって、アニオン基の置換度が、通常0.001〜0.05の両性澱粉を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、調製例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において、「%」は特に明記しない限り、重量%を示す。なお、実施例及び比較例の詳細を表1にまとめた。
【0022】
調製例1
濃度40重量%のコーンスターチのスラリーを、撹拌下、42℃の温度にし、3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを11.2〜11.5に調整した。pH11.2〜11.5の範囲を維持しながら、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの60%溶液を対澱粉6.2%添加し、20時間反応した。反応後、塩酸にてpH5.0に調整し、脱水、乾燥することによって、四級カチオン基を置換度0.026有するカチオン澱粉を得た。
【0023】
調製例2
濃度40重量%のコーンスターチのスラリーを、撹拌下、42℃の温度にし、3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを11.2〜11.5に調整した。pH11.2〜11.5の範囲を維持しながら、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの60%溶液を対澱粉10.5%添加し、20時間反応した。反応後、塩酸にてpH5.0に調整し、脱水、乾燥することによって、四級カチオン基を置換度0.038有するカチオン澱粉を得た。
【0024】
実施例1
調製例1で得た四級カチオン基を置換度0.026有するコーンスターチベースのカチオン澱粉を原料とした。水分12%のこのカチオン澱粉乾粉と、濃度10.6%のトリポリリン酸ナトリウム水溶液(塩酸でpH6.5に調整)を、混合機をパドル周速25m/sec、澱粉処理量500kg/Hr、薬液流量50L/Hrの条件に設定して混合した。混合後の澱粉の水分は20%となった。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Aを得た。
【0025】
実施例2
実施例1と同様の置換度を有する水分12%のカチオン澱粉乾粉と、濃度4.1%のトリポリリン酸ナトリウム水溶液(塩酸でpH6.5に調整)を、混合機をパドル周速25m/sec、澱粉処理量500kg/Hr、薬液流量130L/Hrの条件に設定して混合した。混合後の澱粉の水分は30%となった。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Bを得た。
【0026】
実施例3
調製例2で得た四級カチオン基を置換度0.038有するコーンスターチベースのカチオン澱粉を原料とした。水分12%のこのカチオン澱粉乾粉と、濃度4.1%のトリポリリン酸ナトリウム水溶液(塩酸でpH6.5に調整)を、混合機をパドル周速25m/sec、澱粉処理量500kg/Hr、薬液流量130L/Hrの条件に設定して混合した。混合後の澱粉の水分は30%となった。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Cを得た。
【0027】
比較例1
実施例1と同様の置換度を有するカチオン澱粉スラリー(スラリー濃度40重量%)にトリポリリン酸ナトリウムを対澱粉3.0%添加し、澱粉スラリーのpHを塩酸で6.5に調整した後、脱水した。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Dを得た。
【0028】
比較例2
実施例3と同様の置換度を有するカチオン澱粉スラリー(スラリー濃度40重量%)にトリポリリン酸ナトリウムを対澱粉2.4%添加し、澱粉スラリーのpHを塩酸で6.5に調整した後、脱水した。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Eを得た。
【0029】
比較例3
実施例1と同様の置換度を有するカチオン澱粉スラリーのpHを塩酸で6.5に調整した後、遠心脱水機で脱水し、遠心脱水機中で高速回転している脱水ケーキに、濃度2.0%のトリポリリン酸ナトリウム水溶液(塩酸でpH6.5に調整)を噴霧し混合した。この混合品を熱風乾燥機にて水分5%以下まで予備乾燥し、次いで熱風式加熱機にて140℃で10分間焙焼した。焙焼後、冷却した後、水分9%に調湿し、置換度0.0058のアニオン基を有する両性澱粉試作品Fを得た。
【0030】
試作品の評価
両性澱粉を製紙工業における内添剤として使用したときの性能評価のため、試作品A〜Fを湿紙形成時の濾水性を反映した濾水性試験及び紙の層内強度と填料歩留まりを内添試験にて評価した。
【0031】
〈試作品A〜Fの糊液調製方法〉
1.0%の澱粉スラリーを300mlトールビーカーに調製し、沸騰浴中で95℃以上で30分間加熱した。加熱後、室温まで冷却し水分調整を行った後、供試試料とした。
【0032】
〈濾水性試験及び内添試験(層内強度、填料歩留まり)〉
両性澱粉は、製紙工業において通常なされているいずれの系においても、その効果を発揮することができる。本試験では、その一例として、原料パルプとしてLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、填料として炭酸カルシウム、抄紙条件として中性抄紙にて試験を行った。
【0033】
〈濾水性試験〉
0.5%のパルプスラリー(LBKP)600g(パルプ絶乾量3.0g)を撹拌しながら、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を対パルプ0.5%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対パルプ0.1%、填料として炭酸カルシウムを対パルプ15%、次いで、供試澱粉A〜Fを対パルプそれぞれ、0.2%、0.5%、1.0%の3水準添加した。水を400g加え、0.3%のパルプスラリーとした後、ワイヤースクリーンを備えた円筒容器内へ全パルプスラリーを投入し、直ちに、円筒容器の下の栓を開き、濾水液が850ml通過するまでの秒数を計測した。濾水液の通過する時間が短いほど濾水性がよいと認識される。この試験の結果を表2に示した。カチオン基とアニオン基の置換度が異なると両性澱粉の性能レベルが違ってくるため、同じ置換度同士で比較しなければならない。表2によれば、実施例で示したカチオン基の置換度0.026の試作品A及びBは、比較例で示した試作品D及びFと同等の性能を有していることが示されている。また、実施例で示したカチオン基の置換度0.038の試作品Cは、比較例で示した試作品Eと同等の性能を有していることが示されている。
【0034】
〈内添試験(層内強度、填料歩留まり)〉
以下の方法によって手抄きシートを作成し、そのシートの層内強度をインターナルボンドテスターで測定し、また、シートを電気炉で灰化し灰分量を測定することで紙中に保持された填料の歩留まりを求めた。
【0035】
0.5%のパルプスラリー(LBKP)2400gを撹拌しながら、供試澱粉A〜Fを対パルプそれぞれ、0.5%、1.0%の2水準添加し、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を対パルプ0.5%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対パルプ0.1%、次いで、填料として炭酸カルシウムを対パルプ15%加えた。水を1600g加え、0.3%のパルプスラリーとした後、紙の坪量が1.0g/m2 になるようにパルプスラリーを採取し、丸形シートマシン(熊谷理機工業(株)製)にて抄紙した。抄紙した湿紙は、シートマシン用プレス機(熊谷理機工業(株)製)にて5.0kg/cm2 で5分間プレスし、直ちに回転式乾燥機(熊谷理機工業(株)製)にて105℃で4分間乾燥した。乾燥した紙を調湿した後、層内強度はインターナルボンドテスター(熊谷理機工業(株)製)で、填料歩留まりは、シートを900℃に加熱した電気炉で灰化し、灰分量を測定することで求めた。表3に層内強度の結果を、表4に填料歩留まりの結果を示した。この場合も、カチオン基とアニオン基の置換度が異なると両性澱粉の性能レベルが違ってくるため、同じ置換度同士で比較しなければならない。表3及び表4によれば、実施例で示したカチオン基の置換度0.026の試作品A及びBは、比較例で示した試作品D及びFと同等の性能を有していることが示されている。また、実施例で示したカチオン基の置換度0.038の試作品Cは、比較例で示した試作品Eと同等の性能を有していることが示されている。
【0036】
以上のことから、本発明法に従って製造された両性澱粉は、従来のカチオン澱粉とアニオン化剤水溶液を均一に混合する方法にて製造された両性澱粉と同等の性能を有することが示された。つまり、本発明によって、従来成し得なかったカチオン澱粉の乾粉とアニオン化剤水溶液の均一な混合を行うことが可能となり、両性澱粉を製紙工業における内添剤として紙に添加した場合の効果を低下させずに、経済的に有利に両性澱粉を製造することができる。
【0037】
【表1】
Figure 0004486188
【0038】
【表2】
Figure 0004486188
【0039】
【表3】
Figure 0004486188
【0040】
【表4】
Figure 0004486188
【0041】
【発明の効果】
本発明によって、両性澱粉の性能を損なわずに、カチオン澱粉の乾粉とアニオン化剤水溶液を均一に混合することが可能となり、従来の方法に比較して設備が簡略化でき、経済的に有利な方法で両性澱粉を製造することが可能となった。

Claims (2)

  1. 30重量%以下の水分を含むカチオン澱粉の乾粉と、無機リン酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン化剤の水溶液とを、カチオン澱粉の乾粉が高速回転しているパドルの中を通過する際、パドルの衝撃で粉体をむらなく分散し、それと同時に薬液スプレー添加装置でアニオン化剤水溶液を噴霧し、均一に混合することを含む両性澱粉の製造方法。
  2. 円筒容器内でパドルを取り付けたシャフトが周速10〜50m/secで回転する混合機を用いる請求項1記載の方法。
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