JP4485218B2 - 光変調器 - Google Patents
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Description
(1)波長チャープに関する課題
従来のマッハツェンダ型光変調器では、信号電極121に対する配置の違いによって、各平行導波路113A,113Bに印加される電界の強さが異なるようになるため、信号電極121に近い平行導波路113Aの屈折率の変化量(ΔnS)の方が、信号電極121から遠い平行導波路113Bの屈折率の変化量(ΔnG)よりも大きくなる。このため、平行導波路113A,113Bを伝搬する各光の位相変化も絶対値が異なるようになり、信号が「0」から「1」または「1」から「0」に切り替わる時に、変調光の波長変化(波長チャープ)が発生して伝送後の信号波形を劣化させるという問題がある。
X−カットの結晶基板を用いる場合は、基板と平行な電界を利用して2つの平行導波路にそれぞれ+Z方向と−Z方向の電界を印加することで、波長チャープが発生しない変調を行うことが可能になる。しかし、平行導波路を信号電極の直下に配置することができないため、信号電極と導波路の間の距離が長くなり、高い駆動電圧を印加する必要が生じるなどの欠点がある。
(2)小型化に関する課題
マッハツェンダ型光変調器の小型化のために、光導波路の一部に曲がり部を形成し、さらに、上述した特許文献1の技術を適用して曲がり部で生じる光損失を抑えたとしても、光導波路の曲がり部の曲率を小さく設定することは困難なため、光変調器の小型化が制約されるという課題があった。例えば、光導波路の曲がり部の曲率を数mm程度に小さく設定した場合には、反射部による光の再結合が不十分となり、光損失が著しく増大してしまう。このように、光導波路の曲がり部の曲率を小さくできない場合には、光導波路全体を小さくすることが難しいため、光変調器の小型化にも限界が生じてしまう。
さらに、上記のリッジ構造部は、基板の表面の少なくとも曲がり部に対応した部分に形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、光導波路の曲がり部に対応した部分にリッジ構造部が形成されることで、曲がり部の曲率が小さくても光導波路を伝搬する光の放射損失が抑えられるようになる。加えて、上記の曲がり部においては、基板の表面に平行で光の伝搬方向に垂直な方向について、光導波路の中心位置がリッジ構造部の中心からずれるように配置されるようにしてもよい。このような配置とすることにより、放射損失を効果的に抑えることが可能になる。
図1は、本発明の一実施形態によるマッハツェンダ型光変調器の構成を示す平面図である。また、図2は、図1の各部における断面の要部構造を示す図であって、(A)はA−A’断面図、(B)はB−B’断面図である。
基板1は、例えば、Z−カットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板やタンタル酸リチウム(LiTaO2)基板などが用いられる。この基板1は、その−Z面に対してチタン(Ti)拡散またはプロトン交換などの公知の処理を施すことで光導波路10を形成した後、図1および図2(B)において点線で囲んだ領域Rの分極方向を他の領域の分極方向に対して反転させ、さらに、図2(A)(B)にあるように平行導波路13A,13Bの両側の部分を掘り下げてリッジ構造部30を形成したものである。ここでは、分極反転された領域Rを分極反転領域と呼び、分極反転されていない他の領域を非反転領域と呼ぶことにする。
コプレーナ電極20は、信号電極21および接地電極22を有する。信号電極21は、例えば図1に示したように、基板1の非反転領域において平行導波路13A上を通り、分極反転領域Rにおいて平行導波路13B上を通るような所要の形状にパターニングされている。一方、接地電極22は、信号電極21とは一定の距離を隔てて、基板1の非反転領域において平行導波路13B上を通り、分極反転領域Rにおいて平行導波路13A上を通るような所要の形状にパターニングされている。上記の信号電極21は、その幅の中心が下方に位置するリッジ構造部30の幅の中心と一致するように配置されている。また、信号電極21は、図1において上側に位置する出力端がここでは図示しないが抵抗を介して接地されることにより進行波電極とされ、変調データに対応したマイクロ波Mが図1において下側に位置する入力端から印加される。
本光変調器では、外部から入射導波路11に入力された連続光が分岐部12で2分岐されて各平行導波路13A,13Bにそれぞれ送られる。各平行導波路13A,13Bには、信号電極21を進行するマイクロ波Mに応じて信号電極21と接地電極22の間で発生する電界が印加され、この電界による電気光学効果によって各平行導波路13A,13Bの屈折率が変化する。これにより、各平行導波路13A,13Bを伝搬する各々の光の位相がそれぞれ変化するようになる。
=+(ΔnS+ΔnG)・L/2 …(1)
θB=(−ΔnG)・L1+(−ΔnS)・L2
=−(ΔnS+ΔnG)・L/2 …(2)
ただし、ΔnSは信号電極21の下に位置する平行導波路の屈折率変化量であり、ΔnGは接地電極22の下に位置する平行導波路の屈折率変化量である。
さらに、非反転領域の長さL1と分極反転領域Rの長さL2とが略等しくなるようにして波長チャープの発生をなくすようにしたが、例えば、分極反転領域Rの電気光学定数が非反転領域の電気光学定数と異なる場合は、その差に応じて分極反転領域Rの長さL2を調節して波長チャープの発生が抑えられるようにすればよい。加えて、このような分極反転領域Rの長さの調節に関連した応用例として、波長チャープの要求値が零でないシステムに本光変調器が適用される場合に、その要求値に応じて、相互作用部の全長に対する非反転領域または分極反転領域の長さの割合を変えることにより、所望の波長チャープが発生した変調光を得ることができるようにすることも容易である。
前記基板は、前記一対の平行導波路を伝搬する光と前記信号電極を伝搬する電気信号とが相互に作用する相互作用部について、一部の領域の分極方向を他の領域の分極方向に対して反転させて形成した分極反転領域と、前記一対の平行導波路の各両側に位置する部分を、当該平行導波路に沿って掘り下げて形成したリッジ構造部と、を有し、
前記信号電極は、前記相互作用部の分極反転領域内では前記一対の平行導波路のうちの一方の平行導波路近傍に配置され、前記相互作用部の分極反転されていない非反転領域内では他方の平行導波路近傍に配置されることを特徴とする光変調器。
前記基板が有する屈折率よりも低い屈折率を有するバッファ層を、少なくとも前記リッジ構造部の側面に形成することを特徴とする光変調器。
前記光導波路は、前記相互作用部に該当する部分に90°以上の折り返し角度を有する曲がり部を含み、
前記リッジ構造部は、前記基板の表面の少なくとも前記曲がり部に対応した部分に形成されることを特徴とする光変調器。
前記分極反転領域は、前記相互作用部のうちの前記曲がり部に対応した領域に形成されることを特徴とする光変調器。
前記光導波路は、前記基板の表面に平行で光の伝搬方向に垂直な方向についての中心位置が、前記曲がり部において、前記リッジ構造部の中心からずれるように配置されることを特徴とする光変調器。
前記光導波路は、前記曲がり部を2箇所以上有することを特徴とする光変調器。
前記分極反転領域は、前記一対の平行導波路における光の伝搬方向について、前記相互作用部の全長の略1/2倍の長さを有し、前記光の伝搬方向に垂直な方向について、前記リッジ構造部の幅に略等しい長さを有することを特徴とする光変調器。
前記基板は、Z−カットの結晶基板の表面に前記光導波路が形成され、該光導波路の形成された表面が前記分極反転領域において+Z面となり、前記非反転領域において−Z面となることを特徴とする光変調器。
前記リッジ構造部は、前記分極反転領域に該当する部分の側面が前記基板の表面に対して略垂直な状態で形成されることを特徴とする光変調器。
前記基板は、ニオブ酸リチウム基板であることを特徴とする光変調器。
前記信号電極は、前記基板の表面に平行で電気信号の伝搬方向に垂直な方向についての幅の中心が、下方に位置する前記リッジ構造部の中心と一致するように配置されることを特徴とする光変調器。
前記リッジ構造部は、前記光導波路の分岐部および合波部にそれぞれ近接する部分において、リッジ幅が徐々に変化するテーパー状に形成されることを特徴とする光変調器。
前記分極反転領域は、前記相互作用部の光の伝搬方向についての中心を軸として対称な位置に配置されることを特徴とする光変調器。
前記分極反転領域は、前記一対の平行導波路における光の伝搬方向について、波長チャープの要求値に応じて設定される長さを有し、前記光の伝搬方向に垂直な方向について、前記リッジ構造部の幅に略等しい長さを有することを特徴とする光変調器。
2…バッファ層
10…光導波路
10A,10A’…曲がり部
11…入射導波路
12…分岐部
13A、13B…平行導波路
14…合波部
15…出射導波路
20…コプレーナ電極
21…信号電極
21A,21B…パッド部
22…接地電極
30…リッジ構造部
30A…リッジ側面
R…分極反転領域
M…マイクロ波
Claims (13)
- 電気光学効果を有する基板の表面にマッハツェンダ干渉計の構造を有する光導波路を形成し、該光導波路の分岐部および合波部の間に位置する一対の導波路に沿って信号電極および接地電極を設け、前記信号電極に電気信号を印加することにより前記光導波路を伝搬する光の変調を行うマッハツェンダ型の光変調器であって、
前記基板は、前記一対の導波路を伝搬する光と前記信号電極を伝搬する電気信号とが相互に作用する相互作用部について、一部の領域の分極方向を他の領域である非反転領域の分極方向に対して反転させて形成した分極反転領域と、前記一対の導波路の少なくとも片側に位置する部分を、当該導波路に沿った溝により形成したリッジ構造部と、を有し、
前記光導波路は、前記相互作用部に該当する部分に90°以上の折り返し角度を有する曲がり部を含み、
前記分極反転領域は、前記相互作用部のうちの前記曲がり部に対応した領域に形成される一方、前記曲がり部前もしくは後の、または隣り合う前記曲がり部同士を接続する前記光導波路の略直線部に対応した領域を、前記非反転領域とし、
前記信号電極は、前記相互作用部の分極反転領域内では前記一対の導波路のうちの一方の導波路近傍に配置され、前記相互作用部の非反転領域内では他方の導波路近傍に配置されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記基板が有する屈折率よりも低い屈折率を有するバッファ層を、少なくとも前記リッジ構造部の側面に形成することを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記リッジ構造部は、前記基板の表面の少なくとも前記曲がり部に対応した部分に形成されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記光導波路は、前記基板の表面に平行で光の伝搬方向に垂直な方向についての中心位置が、前記曲がり部において、前記リッジ構造部の中心からずれるように配置されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記光導波路は、前記曲がり部を2箇所以上有することを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記分極反転領域は、前記一対の導波路における光の伝搬方向について、前記相互作用部の全長の略1/2倍の長さを有し、前記光の伝搬方向に垂直な方向について、前記リッジ構造部の幅に略等しい長さを有することを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記基板は、Z−カットの結晶基板の表面に前記光導波路が形成され、該光導波路の形成された表面が前記分極反転領域において+Z面となり、前記非反転領域において−Z面となることを特徴とする光変調器。 - 請求項7に記載の光変調器であって、
前記リッジ構造部は、前記分極反転領域に該当する部分の側面が前記基板の表面に対して略垂直な状態で形成されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記基板は、ニオブ酸リチウム基板であることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記信号電極は、前記基板の表面に平行で電気信号の伝搬方向に垂直な方向についての幅の中心が、下方に位置する前記リッジ構造部の中心と一致するように配置されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記リッジ構造部は、前記光導波路の分岐部および合波部にそれぞれ近接する部分において、リッジ幅が徐々に変化するテーパー状に形成されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記分極反転領域は、前記相互作用部の光の伝搬方向についての中心を軸として対称な位置に配置されることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器であって、
前記分極反転領域は、前記一対の導波路における光の伝搬方向について、波長チャープの要求値に応じて設定される長さを有し、前記光の伝搬方向に垂直な方向について、前記リッジ構造部の幅に略等しい長さを有することを特徴とする光変調器。
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