JP2004004589A - マッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マッハツェンダー導波路を構成する2つの光路3A、3Bに、それぞれの光路の対応する部分が互いに逆向きの自発分極となるようにして分極反転構造1,2を作製する。さらに、その上部にプッシュプル型の対称コプレーナ構造進行波電極を両接地電極4A、4Cが2つの光路の真上になるように配置した構造を用いる。これにより、実効的な電極間隔を従来型光変調器の1/2にすることができ、駆動電力1/4で動作する光変調器を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光演算、光信号制御に用いられるマッハツェンダー導波路型光変調器に係り、特に、周期ドメイン反転構造を持つ電気光学光強度変調器(光スイッチを含む)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニオブ酸リチウムなどの強誘電体材料を用いた電気光学変調器は、光通信システムをはじめとして既に実用化されており、光波を40GHz程度の高周波電気信号で変調できる高速変調器が市販されている。
【0003】
この電気光学変調器は、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体材料におけるポッケルス効果を利用するものである。すなわち、強誘電性を持つ光学材料中に電界を印加して、印加電界に比例する屈折率変化を生じさせることで、媒質中を通過した光波の位相を時間的に変える位相変調作用を得ることができる。光の位相ではなくて、その強度を時間的に変える光強度変調作用を得る場合には、位相変調器を光学干渉計と組み合わせることで、光位相変化を光強度変化に変換すればよい。これが光強度変調器の基本構成である。
【0004】
図7は従来の電気光学強度変調器の構成図であり、図7(a)はその電気光学強度変調器の分解斜視図、図7(b)はその電気光学強度変調器の斜視図、図7(c)はバッファ層を有する電気光学強度変調器の横断断面図である。
【0005】
現在実用化されている高周波数領域で動作する電気光学強度変調器は、図7に示すように、電気光学結晶100上にマッハツェンダー光導波路101と非対称コプレーナ構造進行波電極102を用いているもので、プッシュプル型と呼ばれる構成を用いている。つまり、マッハツェンダー光導波路101の2本の平行する直線導波路101Aと101Bの真上に非対称コプレーナ構造進行波電極の中心電極102Aと片側の接地電極102Bとを配置した構造となっている。
【0006】
非対称コプレーナ構造進行波電極の中心電極102Aと片側の接地電極102Bの左側の端子間に変調電源を103を、非対称コプレーナ構造進行波電極の中心電極102Aと片側の接地電極102Bの右側の端子間に終端抵抗104を接続し、非対称コプレーナ構造進行波電極の左側より光波入力105を印加すると右側より光波出力(強度変調光)106が得られる。なお、107はバッファ層である。
【0007】
この構成では、2本の直線導波路101Aと101Bには互いに逆向きの電界がかかるので、通常、それぞれの導波路部分におけるポッケルス効果による屈折率変化の符号は逆向きとなる。つまり、両直線導波路101Aと101Bを通過する光波には互いに逆符号の位相変調作用が生じることになり、2つの光波を合波、干渉させると、片方だけの導波路(101A又は101B)に位相変調を加えた場合に比べて2倍の位相変化量が得られる。このデバイスは、小型で高効率変調が可能であるから、光通信システムをはじめとしてすでに実用化されるに至っている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−88974号公報
【非特許文献1】
「超高速光エレクトロニクス」末田正、神谷武編 培風館 1991年、pp189−215、「高速光変調技術」、井筒雅之
【非特許文献2】
Wang et al,IEEE Photonics Technology Letters Vol.9,No.5,May(1997)、pp610−612
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
さて、より小さい電力、あるいはより低い電圧で動作する光変調器ほど高性能であるということができる。デバイスの電極間隔を小さくすることができれば、同じ電圧を印加したときでも高電界を得ることができるので、誘起される屈折率変化も大きくなる。つまり、低電力駆動、低電圧駆動が可能である。したがって、低電力、低電圧変調器を得る上では、電極間隔を小さくすることが望まれる。
【0010】
プッシュプル型の構成を取る場合には、電極間隔はマッハツェンダー導波路を構成する2本の直線導波路の間隔(あるいはその程度)となるので、2本の直線導波路の間隔を小さくすれば低電力・低電圧化が図れるが、これには限界がある。なぜならば、2本の直線導波路の間隔を小さくしすぎると、両導波路を通過する光波モードの間に結合が生じてしまい、それぞれの導波路を通過する光波が独立には伝搬しなくなってしまう。
【0011】
したがって、マッハツェンダー導波路が果たすべき、光を2つの独立した光路に分けて伝搬させた後、合波干渉させる、という所期の機能を得ることが困難となり、かえって特性の低下を招いてしまう。このことから、プッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器においては、電極間隔を小さくしようとしても導波路によって決まる下限が生じてしまう。このことが低電力、低電圧駆動デバイスを得る上での一つの障害となっている。
【0012】
また、低電圧駆動のためには、マッハツェンダー導波路を構成する2本の導波路の上部に、それぞれ独立した2つの変調電極対を装荷して変調を行う構成も考えられる。この構成では、導波路による電極間隔の制約はないので電極間隔を小さくすることで低電圧駆動が可能ではあるが、2つの電極それぞれに電力を給電する必要があることや、電極が1つの場合に比べて給電回路系の構成がやや複雑となること、高周波変調を行う場合に両電極に印加する高周波変調信号の位相を揃えて給電する必要があることなどの問題がある。
【0013】
本発明は、上記状況に鑑みて、従来型デバイスに比べて、低電力駆動、低電圧駆動が可能であるマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕マッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、マッハツェンダー導波路を構成する2本の直線導波路における自発分極の向きが互いに異なる分極反転構造を施した電気光学材料を用いて構成し、これを対称コプレーナ構造進行波電極と組み合わせた構造を具備することを特徴とする。
【0015】
〔2〕上記〔1〕記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記分極反転構造が周期分極反転構造であることを特徴とする。
【0016】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記コプレーナ構造進行波電極は、電極形成前に伝搬損失を防ぐために、バッファ層を具備することを特徴とする。
【0017】
〔4〕上記〔1〕記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記マッハツェンダー導波路の真上に前記対称コプレーナ構造進行波電極の両接地電極の端部が位置するように配置することを特徴とする。
【0018】
〔5〕上記〔1〕記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記マッハツェンダー導波路の真上に前記対称コプレーナ構造進行波電極の中心電極の両端部が位置するように配置することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施例を示す分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【0021】
この図において、1は電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板)、2はその電気光学結晶の分極反転領域、3はマッハツェンダー導波路であり、2本の直線導波路3Aと3Bからなる。4は対称コプレーナ構造進行波電極であり、この対称コプレーナ構造進行波電極4の第1の接地電極4Aと中心電極4Bと第2の接地電極4Cを有している。
【0022】
そして、第1の接地電極4A及び第2の接地電極4Cと中心電極4Bとの左側の端子間に変調電源5を、第1の接地電極4A及び第2の接地電極4Cと中心電極4Bとの右側の端子間に終端抵抗6を接続する。そこで、対称コプレーナ構造進行波電極4の左側より光波入力7を印加すると右側より光波出力(強度変調光)8が得られる。9は後述するバッファ層である。
【0023】
図2は本発明の第1実施例に示す接地電極の下に導波路(コア)を配置した場合の特性を示す図である。
【0024】
この図に示すように、変調電界の強度を決める中心電極4Bと接地電極4A,4Cとの間隔が導波路3A,3Bとの間隔に比べて小さいので、従来構成に比べて変調電界が強くなることになり、低電力化が期待できる。
【0025】
ここでは、導波路間隔は30μm、中心電極幅1.4〜20μm、中心電極と接地電極間隔は5〜14μm、中心電極長は20mmである。
【0026】
上記したように、この実施例では、電気光学結晶基板1に分極反転領域2を形成して、分極反転技術を用いて、マッハツェンダー導波路を構成する2本の直線導波路3A,3Bにおける自発分極の向きを互いに反転させる。そして、2本の導波路3A,3Bの上部には、対称コプレーナ構造進行波電極の2つの接地電極4Aと4Cを配置して、中心電極4Bが両導波路3A,3Bのちょうど中間部分に配置されるように構成する。
【0027】
この構成においては、電気信号より両導波路3A,3B部分に印加される電界の向きは同じである。しかし、両導波路3A,3B部分における自発分極の向きがお互いに逆向きとなっている。このために、同じ向きの電界が印加されているにもかかわらず両導波路3A,3Bで誘起される屈折率変化は逆符号となり、プッシュプル変調動作が得られる。このとき、印加電界の大きさを決める中心電極4Bと接地電極4A,4Cとの間隔は、従来型強度変調器の約1/2となるので、同じ変調作用を得るために必要な駆動電圧は、従来デバイスに比べておよそ1/2となる。
【0028】
通常の構成では、駆動電力は電圧の2乗に比例するので、駆動電力で比較すれば従来のデバイスのおよそ1/4の電力で動作することができる高性能デバイスが得られる。
【0029】
上記したように、本発明によれば、強誘電体結晶基板の分極反転技術を用いて、プッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の低電力化、低電圧化を図ることができる。
【0030】
図3は本発明の第2実施例を示す周期分極反転構造による疑似速度整合を用いた場合の低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【0031】
この図において、11は電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板)、12はその電気光学結晶の周期分極反転領域(周期ドメイン反転構造:市松模様)、13はマッハツェンダー導波路であり、2本の直線導波路13Aと13Bからなる。14は対称コプレーナ構造進行波電極であり、対称コプレーナ構造進行波電極14の第1の接地電極14Aと中心電極14Bと第2の接地電極14Cを有している。
【0032】
そして、第1の接地電極14A及び第2の接地電極14Cと中心電極14Bとの左側の端子間に変調電源15を、第1の接地電極14A及び第2の接地電極14Cと中心電極14Bとの右側の端子間に終端抵抗16を接続する。そこで、対称コプレーナ構造進行波電極14の左側より光波入力17を印加すると右側より光波出力(強度変調光)18が得られる。なお、19は電極形成前に伝搬損失を防ぐために形成されるバッファ層である。
【0033】
このように、周期分極反転構造による疑似速度整合技術を、本発明の第1実施例と組み合わせることにより高周波領域において高効率動作することのできる高性能光強度変調器を構成することもできる。
【0034】
すなわち、図7に示すように、周期は同じであるが極性がちょうど反対の周期分極反転構造をマッハツェンダー導波路13の2本の直線導波路13A,13Bに作製して、さらにその上部に対称コプレーナ構造進行波電極14を2つの接地電極14A,14Cが両導波路13A,13Bの直上になるように配置する。これにより、周期分極反転構造疑似速度整合電気光学強度変調器においても駆動電圧を1/2、駆動電力を1/4とすることができる。
【0035】
上記したように、分極反転構造と対称コプレーナ構造進行波電極とを組み合わせることで、従来型のプッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器に比べて、マッハツェンダー導波路を構成する2本の直線導波路の間隔を変えることなく実効的な電極間隔を1/2にすることができるので、駆動電圧を1/2、駆動電力を1/4にすることができる。これにより、小型でシンプルな構造の低電力駆動電気光学光強度変調器・光スイッチを実現することができる。
【0036】
以下、上記した分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の製造方法について説明する。
【0037】
強誘電体結晶基板1としては、LiTaO3 の8mm×40mm×0.4mm(厚さ)、z−cutを用いる。LiNbO3 でもよい。
【0038】
分極反転領域2は、強誘電体結晶基板1の+C面にマスクを用いてAlを蒸着した。Alを蒸着後パターニングしてもよい。+C面を+電極、−C面を−電極とする直流電圧印加法を用いて、分極反転構造を形成する。必要電界は、通常22kV/mmで実験では8kVを徐々に印加した。放電を防ぐため、フロロカーボン液中に基板を浸して行った。その後、結晶構造安定化のためアニールを行った(580℃、8時間)。
【0039】
マッハツェンダー導波路3は、その上下導波路間隔は30μm、Y型分岐角は0.01rad、幅3μm、深さ0.8μmであり、その形成には、プロトン交換法を用いた。ここでは安息香酸を用いているが、フタル酸、インフタル酸、ピロリン酸でもよい。240℃、120分にしたが、条件は溶液、液濃度等に依存する。Crマスクを用いて選択的にプロトン交換処理を行った。
【0040】
対称コプレーナ構造進行波電極4は、電極形成前に伝搬損失を防ぐために、バッファ層9としてSiO2 膜(0.1μm)を形成した。コプレーナ構造進行波電極4としてはAlを用いた(なお、Auの方が損失が少なくてよい)。また、マッハツェンダー導波路3との位置合わせを丁寧に行った。さらに、終端抵抗50Ωを取り付けた。400℃で1時間、再度アニールを行い、厚さ2μm、電極間隔5〜14μm、中央電極幅1.4〜20μm、電極長20mmを形成した。
【0041】
このようにして得られた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器は、同一電極間隔で、従来の4.4Vに対して、本発明では2.1Vとなる。電力は駆動電圧の2乗に比例するので従来比23%となる。
【0042】
上記したように、本発明は、マッハツェンダー導波路を用いた電気光学光強度変調器、光スイッチに関し、低電圧、低電力駆動を可能にすることができる。
【0043】
電場によって屈折率が変化する非線形光学材料を用い、光の位相・強度を制御する光変調器や光スイッチは、光通信・光配線等の分野においてキーデバイスである。分極反転構造を持つマッハツェンダー導波路での低電圧化には電極間距離、即ち導波路間間隔を狭める必要があるが、二つの光波モード間に結合が生じるため下限がある。また、市松模様の周期分極反転構造に着目して本発明を得ることができた。
【0044】
本発明は、プッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器において、構成する二つの光路の対応する部分が互いに逆向きの自発分極となる構造とする。光路に対応してプッシュプル型の対称コプレーナ構造進行波電極を接地電極として配置し、中央分極の境界上に中央電極を配置し、その中央電極と両接地電極間に駆動電圧を印加する。分極が反転しているため、二つの光路に加わる電界は同一方向となる。電極間隔は従来比の半分になるため、同一電界強度を得る電圧は半分でよい。電力は電圧の2乗に比例するため、従来比1/4になる。
【0045】
導波路間距離30μm、作用長20mm、電極の特性インピーダンスが50Ωのとき、従来は4.4Vの動作に対し、本発明では2.1Vとなる。駆動させる半導体回路の構成が大幅に容易であり、低価格になる。更に、同一方向の電界重畳の考え方により、電極を取り外して、導波管等のキャビティに電界を発生させて光変調器を動作させることが可能となる。
【0046】
現行品は5〜7Vの駆動であり、5Vを下回ることは大きな効果である。また、回路との整合性がよいので効果は大きい。
【0047】
また、従来の導波路を用いた光変調器の別の課題としてチャーピング発生がある。マッハツェンダー導波路を構成する2本の導波路における変調作用の大きさに差があると、チャーピングが発生する。本発明では、電極構造が対称になるためにチャーピング低減に効果がある。
【0048】
以下、更に構造を改良した分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器について説明する。
【0049】
図4は本発明の第3実施例を示す分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。ここでは、中心電極の下に導波路(コア)を配置するようにしている。
【0050】
図4(a)において、21は電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板)、22はその電気光学結晶の分極反転領域、23はマッハツェンダー導波路であり、2本の直線導波路23Aと23Bからなる。24は対称コプレーナ構造進行波電極であり、この対称コプレーナ構造進行波電極24の第1の接地電極24Aと中心電極24Bと第2の接地電極24Cを有している。
【0051】
そして、図4(b)において、第1の接地電極24A及び第2の接地電極24Cと中心電極24Bとの左側の端子間に変調電源25を、第1の接地電極24A及び第2の接地電極24Cと中心電極24Bとの右側の端子間に終端抵抗26を接続する。そこで、対称コプレーナ構造進行波電極24の左側より光波入力27を印加すると右側より光波出力(強度変調光)28が得られる。なお、図4(c)において、29は後述するバッファ層である。
【0052】
ここでは、電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板;z−cut LiNbO3 ,LiTaO3 基板)21上にマッハツェンダー導波路23を構成してその上部にバッファ層29を介して対称コプレーナ構造進行波電極24を配置している。
【0053】
上記した第1及び第2実施例では、両導波路の上に接地電極を、中心電極は両導波路の中間に配置していたが、この実施例では、中心電極24Bの両端部が2本の直線導波路23A、23Bの真上になるように配置して、その外に第1の接地電極24Aと第2の接地電極24Cを配置する。
【0054】
このように構成したので、両導波路に印加される電界は同方向であるが、各導波路部分での自発分極の向きを反転させておくことで屈折率変化の符号を逆転させてプッシュプル変調を得ることができる。
【0055】
図5に示すように、変調電界分布は中心電極24Bの両端部分が接地電極24A,24C端に比べ大きいため、第1及び第2実施例に示す、接地電極を導波路上に置く構成に比べて、さらなる低電力化が期待できる。また、中心電極24Bの断面積が大きくなるため、導体損失を低減できる。なお、図5において、導波路間隔は30μm、中心電極幅30μm、中心電極と接地電極間隔は15μm、中心電極長は20mmである。
【0056】
電気光学結晶基板21にz−cut LiTaO3 基板を用いた場合を考えて特性の解析を行ったところ、波長633nm、TM光、導波路間隔30μm、電極間隔15μm、電極長25mmとすれば半波長電圧Vπは1.4Vとなり、第1及び第2実施例の場合と比べて約1/2となる。
【0057】
試作したデバイスの測定結果によると、プロトン交換による電気光学特性の低下などにより、半波長電圧は設計値よりもやや大きくなったが、第1及び第2実施例の場合と比べて低い電圧での動作を確認した。構造や作製条件の最適化を図ることでさらなる低電圧駆動(Vπ<1V)が可能と考えられる。
【0058】
図6は本発明の第4実施例を示す周期分極反転構造による疑似速度整合を用いた場合の低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【0059】
図6(a)において、31は電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板)、32はその電気光学結晶の周期分極反転領域(周期ドメイン反転構造:市松模様)、33はマッハツェンダー導波路であり、2本の直線導波路33Aと33Bからなる。34は対称コプレーナ構造進行波電極であり、対称コプレーナ構造進行波電極34の第1の接地電極34Aと中心電極34Bと第2の接地電極34Cを有している。
【0060】
そして、図6(b)に示すように、第1の接地電極34A及び第2の接地電極34Cと中心電極34Bとの左側の端子間に変調電源35を、第1の接地電極34A及び第2の接地電極34Cと中心電極34Bとの右側の端子間に終端抵抗36を接続する。そこで、対称コプレーナ構造進行波電極34の左側より光波入力37を印加すると右側より光波出力(強度変調光)38が得られる。なお、図6(c)において、39は電極形成前に伝搬損失を防ぐために形成されるバッファ層である。
【0061】
このように、周期分極反転構造による疑似速度整合技術を、本発明の第3実施例と組み合わせることにより高周波領域において高効率動作することのできる高性能光強度変調器を構成することもできる。
【0062】
周期分極反転構造を併用した擬似速度整合強度変調器の試作も行い、設計周波数15GHz帯での帯域変調動作を確認した。
【0063】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下に示すような効果を奏することができる。
【0065】
(A)分極反転構造を持つ電気光学材料を利用することにより、従来のプッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調に比べて1/4の電力で動作する、新しい光変調器を提供することができる。
【0066】
(B)分極反転構造を持つマッハツェンダー導波路での低電圧化には電極間距離、即ち導波路間間隔を狭める必要があるが、二つの光波モード間に結合が生じるため下限がある。そこで、さらに、市松模様の周期分極反転構造にすることにより、改善を図ることができた。
【0067】
(C)コプレーナ構造進行波電極はSiO2 膜からなるバッファ層を有することにより、電極形成前に伝搬損失を防ぐことができる。
【0068】
(D)中心電極の面積を大きくすることにより、抵抗値が下がり、より高周波特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に示す接地電極の下に導波路(コア)を配置した場合の特性を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す周期分極反転構造による疑似速度整合を用いた場合の低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【図4】本発明の第3実施例を示す分極反転構造を用いた低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【図5】本発明の第3実施例に示す接地電極の下に導波路(コア)を配置した場合の特性を示す図である。
【図6】本発明の第4実施例を示す周期分極反転構造による疑似速度整合を用いた場合の低電力駆動マッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の基本構成図である。
【図7】従来のプッシュプル型のマッハツェンダー導波路型電気光学強度変調器の構成図である。
【符号の説明】
1,11,21,31 電気光学結晶基板(強誘電体結晶基板)
2,22 電気光学結晶の分極反転領域
3,13,23,33 マッハツェンダー導波路
3A,3B,13A,13B,23A,23B,33A,33B 直線導波路
4,14,24,34 対称コプレーナ構造進行波電極
4A,14A,24A,34A 第1の接地電極
4B,14B,24B,34B 中心電極
4C,14C,24C,34C 第2の接地電極
5,15,25,35 変調電源
6,16,26,36 終端抵抗
7,17,27,37 光波入力
8,18,28,38 光波出力(強度変調光)
9,19,29,39 バッファ層
12,32 電気光学結晶の周期分極反転領域(周期ドメイン反転構造)
Claims (5)
- マッハツェンダー導波路を構成する2本の直線導波路における自発分極の向きが互いに異なる分極反転構造を施した電気光学材料基板を用いて構成し、これを対称コプレーナ構造進行波電極と組み合わせた構造を具備することを特徴とするマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器。
- 請求項1記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記分極反転構造が周期分極反転構造であることを特徴とするマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器。
- 請求項1又は2記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記コプレーナ構造進行波電極は、電極形成前に伝搬損失を防ぐために、バッファ層を具備することを特徴とするマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器。
- 請求項1記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記マッハツェンダー導波路の真上に前記対称コプレーナ構造進行波電極の両接地電極の端部が位置するように配置することを特徴とするマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器。
- 請求項1記載のマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器において、前記マッハツェンダー導波路の真上に前記対称コプレーナ構造進行波電極の中心電極の両端部が位置するように配置することを特徴とするマッハツェンダー導波路型電気光学光強度変調器。
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