JP4485090B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械にに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクロール式流体機械は、下部側が冷却、潤滑用の油液を溜める油槽となったケーシングと、該ケーシングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールとを備えたものが知られている。
【0003】
また、スクロール式流体機械には、ケーシングの油槽内に溜った油液を吸込口から吸込み、該油液を冷却、潤滑を必要とする部位、例えば旋回スクロールと駆動軸との間に設けられた旋回軸受、ケーシングと旋回スクロールとの摺動面等に供給する油液供給手段を備えたものがある(例えば、特開平5−44402号公報、特開平5−44668号公報等)。
【0004】
この種の従来技術によるスクロール式流体機械では、電動モータ等によって駆動軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の偏心寸法をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールと旋回スクロールとの間に画成される圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出する。
【0005】
また、スクロール式流体機械の運転時には、油液供給手段が油槽に溜った油液を吸込み、この油液を旋回軸受、摺動面等に供給する。そして、旋回軸受等に供給された油液は、これらを冷却、潤滑した後にケーシング内を流れ落ちて油槽に戻される。
【0006】
さらに、スクロール式流体機械は、油槽の周囲に冷却風を供給しており、各部を冷却して温度上昇した状態で油槽に戻された油液を冷却風によって冷却している。これにより、油液供給手段は、油槽内で冷却された油液を旋回軸受、摺動面等に供給することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械は、旋回軸受、ケーシングと旋回スクロールとの摺動面等を冷却した油液は、旋回スクロールの背面側を流れて油槽に戻される。また、油液供給手段は、例えば旋回スクロールの旋回動作を利用して油液の吸込動作と吐出動作を行なう構成となっており、旋回スクロールの外周側近傍に配置されている。
【0008】
このため、油槽に戻される油液は、油液供給手段の吸込口近傍に流れ落ちることになる。従って、油液供給手段は、油槽に戻されたばかりで温度の高い油液を吸込むことになるから、旋回軸受等の冷却効率が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、油槽に戻された油液を油液供給手段に吸込まれるまでに効率よく冷却することができ、冷却、潤滑を必要とする部位に冷えた油液を供給できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるスクロール式流体機械は、下部側が冷却、潤滑用の油液を溜める油槽となったケーシングと、該ケーシングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、前記ケーシングの油槽内に溜った油液を吸込み該油液を冷却、潤滑を必要とする部位に供給する油液供給手段とを備えている。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、油槽内には、その底面から油液中に突出し、油液の流れ方向に沿って延びる複数枚の油冷却フィンと、油液供給手段の吸込側を構成すると共に該油冷却フィン間に位置する吸込口を有する吸込管と、該吸込管の吸込口に各油冷却フィンを通過した油液を導くため、前記各油冷却フィンの上側を覆った蓋板とを設けたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、油槽内に戻された油液は、各油冷却フィン間を該各油冷却フィンに沿って流通する。このときに、蓋板は、各油冷却フィンの上側を覆っているから、上層部にある高温の油液が各油冷却フィン間に流入するのを防止でき、各油冷却フィン間を通って冷却された油液だけを吸込管の先端部に形成された吸込口に導くことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0014】
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示し、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を形成するケーシングで、該ケーシング1は、軸線が水平状態となるように横置きに配置されている。そして、ケーシング1は、後述のモータケース2、油槽3およびスラスト受6によって構成され、モータケース2内には後述の電動モータ8が内蔵されている。
【0015】
2はケーシング1のモータケースで、該モータケース2は、前,後方向(水平方向)に延びる略円筒状の筒部2Aと、該筒部2Aの前側に取付けられた前蓋部2Bと、前記筒部2Aの後側に取付けられた後蓋部2Cとによって大略構成されている。
【0016】
3はモータケース2の下部側に設けられた油槽で、該油槽3は、後述のスラスト受6との間で冷却、潤滑用の油液を溜める油液収容空間として形成されている。そして、油槽3は、図2に示すようにモータケース2の筒部2A下部側から略ハ字状に延びた左側板3A,右側板3Bと、該側板3A,3Bの下端を左,右方向に延びて連結した底板3Cとによって大略構成されている。
【0017】
4,4,…は油槽3の底板3C上面に設けられた複数枚の油冷却フィンで、該各油冷却フィン4は、油槽3内の油液の熱を外部に逃がし、この油液を冷却するものである。また、各油冷却フィン4は、図3、図4に示す如く、油液の流れ方向に沿うように前,後方向に延びて上向きに突出し、左,右方向に所定の間隔で並行に配設されている。
【0018】
5,5,…は油槽3の底板3C下面に下向きに突出して設けられた複数枚の放熱フィンで、該各放熱フィン5は、各油冷却フィン4等から伝わる熱を冷却風中に放出するものである。そして、各放熱フィン5は、後述する冷却ファン34からの冷却風の流通方向に沿って前,後方向に延び、左,右方向に所定の間隔で並行に配設されている。
【0019】
6はケーシング1を構成し、モータケース2の前側に設けられた環状のスラスト受で、該スラスト受6は、モータケース2、油槽3の前側に一体的に設けられている。そして、スラスト受6の内周側には、前側に向けて環状凹部6Aが形成され、該環状凹部6A内には、後述する旋回スクロール15の鏡板15Aが配設されている。そして、スラスト受6の環状凹部6Aには、前記鏡板15Aと摺接する環状の摺接面6Bが形成され、該摺接面6Bは、旋回スクロール15に作用するスラスト荷重を鏡板15Aとの間で受承する構成となっている。
【0020】
7はケーシング1のスラスト受6に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール7は、円板状に形成され中心が後述する駆動軸11の軸線と一致するように配設された鏡板7Aと、該鏡板7Aの表面に立設された渦巻状のラップ部7Bと、前記鏡板7Aの外周側からラップ部7Bを取囲むように軸方向に突出した筒部7Cと、該筒部7Cの開口端外周から径方向外側に突出してスラスト受6に固定して取付けられたフランジ部7Dとにより構成されれている。また、固定スクロール7の鏡板7A背面側には、上,下方向に延びる複数の放熱フィン7E,7E(2枚のみ図示)が立設されている。
【0021】
8はケーシング1のモータケース2内に設けられた電動モータで、該電動モータ8は、モータケース2の筒部2A内周側に固定して設けられた固定子9と、該固定子9の内周側に回転可能に配置された回転子10と、後述の駆動軸11とによって構成されている。そして、電動モータ8は、回転子10が駆動軸11の外周側に固定され、外部からの給電によって回転子10が固定子9に対して回転することにより駆動軸11を駆動するものである。
【0022】
11は外周側に回転子19が固定して取付けられた電動モータ8の駆動軸で、該駆動軸11は、ケーシング1内を軸方向(前,後方向)に延びて設けられ、先端側がモータケース2の前蓋部2Bに玉軸受12を介して回転可能に支持され、基端側が後蓋部2Cに玉軸受13を介して回転可能に支持されている。そして、駆動軸11の先端側には、クランク11Aが軸方向に突出して設けられ、該クランク11Aは、その軸線が駆動軸11の軸線に対して一定寸法だけ偏心している。
【0023】
また、14は駆動軸11のクランク11A外周側に取付けられたバランスウエイトで、該バランスウエイト14は、クランク11Aに取付けられた後述の旋回スクロール15に対して駆動軸11の回転バランスをとるものである。
【0024】
15はケーシング1内で駆動軸11に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール15は、円板状に形成された鏡板15Aと、該鏡板15Aの表面に立設された渦巻状のラップ部15Bとによって大略構成されている。また、旋回スクロール15の鏡板15Aには、その背面中央に位置してボス部15Cが突設され、該ボス部15Cは、旋回軸受16を介して駆動軸11のクランク11Aに回転可能に取付けられている。そして、鏡板15Aは、その前面側が固定スクロール7のフランジ部7Dに摺接すると共に、背面側(裏面側)はスラスト受6に摺接する摺接面15Dとなっている。
【0025】
そして、旋回スクロール15は、固定スクロール7のラップ部7Bに対し例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部7B,15B間には複数の圧縮室17,17,…が画成される。そして、スクロール式空気圧縮機の運転時には、固定スクロール7の外周側に設けた吸込口(図示せず)から外周側の圧縮室17内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール15が駆動軸11によって旋回運動する間に各圧縮室17内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室17から固定スクロール7の中心に設けた吐出口18を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0026】
19は油槽3内の油液を冷却、潤滑を必要とする部位、例えばスラスト受6の摺接面6B、旋回軸受16等に供給する油液供給手段としての油液供給装置で、該油液供給装置19は、後述の吸込通路20、給油ポンプ22、吐出通路23、吸込管25等によって大略構成されている。
【0027】
20はスラスト受6に設けられた吸込通路で、該吸込通路20は、一端側が後述する吸込管25を介して油槽3内の油液中に開口し、他端側は給油ポンプ22内に連通している。また、吸込通路20の途中には、油液中に混入した摩耗粉、破片等の異物を捕らえるストレーナ21が設けられている。
【0028】
22はスラスト受6と旋回スクロール15との間に位置して設けられた給油ポンプで、該給油ポンプ22は、例えば図5に示す如く、スラスト受6の摺接面6B側に凹設された旋回子収容凹部22Aと、該旋回子収容凹部22Aから離間してスラスト受6の摺接面6Bに凹設された凹窪部22Bと、該凹窪部22Bと旋回子収容凹部22Aとの間に位置して前記摺接面6B側に設けられたガイド溝22Cと、旋回スクロール15の摺接面15Dから旋回子収容凹部22Aに向けて突設された旋回子22Dと、旋回スクロール15の摺接面15Dから前記凹窪部22B内に向けて突設された駆動突起22Eと、前記ガイド溝22C内にスライド可能に設けられたスライド板22Fとによって大略構成されている。また、スライド板22Fは、両端側が旋回子22Dと駆動突起22Eとに摺接し、旋回子収容凹部22A内を吸込通路20に連通する吸込室Aと吐出通路23に連通する吐出室Bとに画成している。
【0029】
23は旋回スクロール15の鏡板15A内部に径方向に設けられた吐出通路で、該吐出通路23は、その一端側が給油ポンプ22の油溜め22Gを介して吐出室Bに連通し、他端側はスラスト受6の摺接面6Bと旋回スクロール15の摺接面15Dとの間に開口している。また、吐出通路16の長さ方向中間部は旋回スクロール15のボス部15C内に開口している。
【0030】
24は駆動軸11のクランク11Aからバランスウエイト14に亘って設けられた戻し通路で、該戻し通路24は、旋回スクロール15のボス部15C内に吐出された油液の一部をケーシング1内に吐出し、油槽3内に戻すものである。
【0031】
25は油槽3内に設けられ、油液供給装置19の吸込通路20の一部をなす吸込管で、該吸込管25は、後述の平行管部26、直交管部27および開口管部28A〜28Jによって構成されている。
【0032】
26は基端側が吸込通路20の一端部に連通してスラスト受6に取付けられたパイプ材からなる平行管部で、該平行管部26の先端側は、図3に示す如く、油冷却フィン4に沿ってほぼ平行となるように油槽3内を後側に延びている。
【0033】
27は平行管部26の先端部に接続して設けられた直交管部で、該直交管部27は、油冷却フィン4と直交するように平行管部26から左側に屈曲して延びた長尺な箱型形状をなしている。また、直交管部27は、各油冷却フィン4の端部に嵌合して位置決めされている。
【0034】
次に、28A〜28Jは直交管部27に設けられた複数本の開口管部で、該各開口管部28A〜28Jは、それぞれ平行管部26の先端部で折返すように直交管部27の前面板27Aから前方に延びている。そして、各開口管部28A〜28Jは、各油冷却フィン4間にそれぞれ位置している。また、各開口管部28A〜28Jは、油液を吸込むときの抵抗が、流通抵抗の大きな左側で小さくなり、流通抵抗の小さな右側で大きくなるように、右側の開口管部28Aから左側の開口管部28Jに向け吸込口が段階的に小さくなっている。これにより、各開口管部28A〜28Jは、それぞれの吸込口から各油冷却フィン4間の油液をほぼ均等に吸込むことができる。
【0035】
次に、29は各油冷却フィン4を上側から覆うように設けられた蓋板で、該蓋板29は、油冷却フィン4間を流通する油液と上層部の油液とを画成している。また、蓋体29は、図3、図4に示す如く、各油冷却フィン4の前端部から直行管部27の前面板27Aまで延び、各油冷却フィン4の上端部に当接する平板部29Aと、該平板部29Aの左,右両側から下向きに延びた側板部29B,29Bとによって大略構成されている。そして、蓋板29は、各側板部29Bによって左,右両端部の油冷却フィン4,4を挟むようにして取付けられている。
【0036】
そして、蓋板29は、各油冷却フィン4間を流通して冷却された油液に上層部の熱い油液が混入するのを防止し、吸込管25に冷却された油液だけを導くものである。また、蓋板29は、各油冷却フィン4間を流通する油液に上層部の油液が混入するのを防止することにより、各油冷却フィン4間を流通する油液の流速を速くすることができるから、油液と油冷却フィン4との温度差を大きくし、放熱効率を高めることができる。
【0037】
なお、30,31はケーシング1等を上側から覆うように設けられた前,後の上側ダクト(図1参照)、32,33はケーシング1等を下側から覆うように設けられた前,後の下側ダクトで、これら各ダクト30,31,32,33は、駆動軸11の基端側に設けられた冷却ファン34からの冷却風をケーシング1、油槽3、固定スクロール7等に導き、これらを外側から冷却するものである。
【0038】
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0039】
まず、電動モータ8により駆動軸11を回転させ、旋回スクロール15を旋回させると、固定スクロール7のラップ部7Bと旋回スクロール15のラップ部15Bとの間に画成された圧縮室17,17,…が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール7の吸込口から吸込んだ外気を各圧縮室17で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール8の吐出口18から外部の空気タンク(図示せず)等に貯留させる。
【0040】
また、運転時には油液供給装置19の給油ポンプ22が駆動されるから、油槽3内の油液は、吸込管25、吸込通路20を通じて給油ポンプ22内に吸込まれつつ、吐出通路23からスラスト受6の摺接面6B、旋回軸受16等の給油部位に供給される。そして、これらの給油部位を潤滑、冷却した油液は戻し通路24を通じて油槽3内に戻される。
【0041】
さらに、各部を冷却して温度上昇した状態で油槽3内に戻された油液は、各油冷却フィン4間を流通する間に、その熱が油冷却フィン4、底板3C、放熱フィン5等を介して冷却ファン34による冷却風に放出されるから、油液供給装置19は、吸込管25から冷却された油液を吸込むことができる。
【0042】
また、各油冷却フィン4は、上側が蓋板29によって覆われているから、該蓋体29は、各油冷却フィン4間を流通して冷却された油液に上層部の熱い油液が混入するのを防止でき、吸込管25に冷却された油液だけを吸込ませることができる。
【0043】
かくして、本実施の形態によれば、油槽3内には、複数枚の油冷却フィン4の上側を覆うように蓋板29を設けているので、各油冷却フィン4間を流通する油液と上層部の油液とを画成することができる。これにより、各油冷却フィン4間を流通して冷却された油液に上層部の熱い油液が混入するのを防止することができる。
【0044】
この結果、油液供給装置19の吸込管25には、冷却された油液だけを吸込ませることができるから、スラスト受6の摺接面6B、旋回軸受16等の給油部位に冷えた油液を供給することができ、これら給油部位を確実に冷却することができる。
【0045】
また、蓋板29は、各油冷却フィン4間を流通する油液の流速を速くすることができるから、油液と油冷却フィン4との温度差を大きくして放熱効率を高めることができ、油温を低くすることができる。
【0046】
次に、図6は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、吸込管をL字状に折曲げた1本のパイプ材によって形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0047】
41は第1の実施の形態による吸込管25に代えて用いられた本実施の形態による吸込管で、該吸込管41は、1本のパイプ材をL字状に折曲げることによって形成されている。そして、吸込管41は、油冷却フィン4に沿ってほぼ平行に延びる平行管部41Aと、該平行管部41Aの先端部で油冷却フィン4と直交するように左側に屈曲して延びた直交管部41Bとを備えている。また、直交管部41Bには、各油冷却フィン4間に開口する複数個の吸込口41C,41C,…が穿設されている。
【0048】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に、本実施の形態では、吸込管41を1本のパイプ材によって形成しているから、構成を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0049】
なお、第1の実施の形態では、蓋体29は、平板部29Aと左,右の側板部29B,29Bとによって構成し、各側板部29Bによって左,右両端部の油冷却フィン4,4を挟んで取付けるものとして説明したが、本発明はこれに限らず、例えば蓋板を1枚の平板によって構成し、ねじ止め、溶接等の手段を用いて各油冷却フィン4上に取付ける構成としてもよい。この構成は第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0050】
また、各実施の形態では、ケーシング1に電動モータ8を内蔵したスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば外部の動力源によって駆動軸を回転駆動する形式のスクロール式空気圧縮機に適用してもよい。
【0051】
また、各実施の形態では、油槽3に設けられた油冷却フィン4は、互いに並行して延びる構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば油冷却フィンを吸込口に向けて放射状に延びるように配設してもよい。
【0052】
さらに、各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、油槽内には、その底面から油液中に突出し、油液の流れ方向に沿って延びる複数枚の油冷却フィンと、油液供給手段の吸込側を構成すると共に該油冷却フィン間に位置する吸込口を有する吸込管と、該吸込管の吸込口に各油冷却フィンを通過した油液を導くため、前記各油冷却フィンの上側を覆った蓋板とを設けている。従って、油槽内に戻された油液を各油冷却フィン間を該各油冷却フィンに沿って流通させることができる。このときに、蓋板は、各油冷却フィンの上側を覆うことにより、上層部にある高温の油液が各油冷却フィン間に流入するのを防止することができるから、各油冷却フィン間を通って冷却された油液だけを吸込管の先端部に形成された吸込口に導くことができる。
【0054】
この結果、油液供給手段には、冷却された油液だけを吸込ませることができるから、冷却、潤滑を必要とする部位に冷えた油液を供給することができ、これら給油部位を確実に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】上側ダクト、下側ダクトを取外した状態でケーシング、電動モータ、各フィン、蓋板等を図1中の矢示II−II方向から拡大してみた横断面図である。
【図3】油槽の底板、各フィン、吸込管、蓋板を拡大して示す断面斜視図である。
【図4】油槽の底板、各フィンと蓋板とを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図5】給油ポンプを図1中の矢示V−V方向からみた要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による吸込管を油槽の底板、各フィン、蓋板と一緒に示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
3 油槽
3C 底板
4 油冷却フィン
7 固定スクロール
11 駆動軸
11A クランク
15 旋回スクロール
17 圧縮室
19 油液供給装置(油液供給手段)
20 吸込通路
22 給油ポンプ
23 吐出通路
25,41 吸込管
29 蓋板
Claims (1)
- 下部側が冷却、潤滑用の油液を溜める油槽となったケーシングと、該ケーシングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、前記ケーシングの油槽内に溜った油液を吸込み該油液を冷却、潤滑を必要とする部位に供給する油液供給手段とを備えてなるスクロール式流体機械において、
前記油槽内には、その底面から油液中に突出し、油液の流れ方向に沿って延びる複数枚の油冷却フィンと、前記油液供給手段の吸込側を構成すると共に該油冷却フィン間に位置する吸込口を有する吸込管と、該吸込管の吸込口に前記各油冷却フィンを通過した油液を導くため、前記各油冷却フィンの上側を覆った蓋板とを設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
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