JP4484403B2 - 各色ノズルが副走査方向にずらして配されている印刷ヘッドによる印刷 - Google Patents

各色ノズルが副走査方向にずらして配されている印刷ヘッドによる印刷 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主走査を往復で双方向に行いつつ印刷媒体上に画像を印刷する技術に関し、特に、インク色が異なる複数のインク滴で一画素を記録する印刷技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、数色のインクをヘッドから吐出するタイプのカラープリンタが広く普及している。このようなインクジェット型カラープリンタは、印刷用紙上の一画素内にインク色が異なる複数のインク滴を着弾させることによって、任意の色を再現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一画素内にインク色が異なる複数のインク滴を記録する印刷においては、短時間の間に同一画素内に複数のインク滴が着弾して、インクが隣の画素に滲み出し、印刷結果の品質を低下させることがあった。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、インク色が異なる複数のインク滴で一画素を記録する印刷において、インクが隣の画素に滲み出しにくい印刷を行うことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では以下の構成を採用した。本発明の対象となる印刷装置は、ノズルからインク滴を吐出して印刷媒体上にドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置である。そして、同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備えた印刷ヘッドと、印刷ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を移動させて主走査を行う主走査駆動部と、主走査の最中に複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体の少なくとも一方を主走査の方向に垂直な方向に移動させて副走査を行う副走査駆動部と、各部を制御するための制御部と、を備える。
【0006】
そのような印刷装置において、複数のノズル列がそれぞれ含むノズルは、主走査の方向について並ばないように副走査の方向に互いにずらされて配されている。このような態様とすれば、同一の画素に吐出される複数色のインク滴は、それぞれ異なる主走査において記録されることとなる。よって、同一の画素に吐出される各色のインク滴を時間間隔をあけて着弾させることができ、記録対象画素以外の画素へのインクの滲みを少なくすることができる。
【0007】
なお、複数のノズル列は、主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、副走査の方向に主走査ラインピッチDだけずらされて配されたノズル列であることが好ましい。このような態様とすれば、各ノズル列を使用して、印刷媒体上に主走査ラインピッチDで効率的に印刷を行うことができる。
【0008】
また、印刷ヘッド単体としては、次のような態様とすることができる。すなわち、同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備え、複数のノズル列がそれぞれ含むノズルが、ノズル列に垂直な方向について並ばないようにノズル列の方向に互いにずらされて配されている、印刷ヘッドである。このような態様の印刷ヘッドを使用して印刷を行えば、記録対象画素以外の画素へのインクの滲みを少なくすることができる。
【0009】
なお、複数のノズル列は、ノズルピッチKDで配列されたノズルをそれぞれ含むk個(kは2以上の整数)のノズル列であって、ノズル列の方向にKD/kだけ互いにずらされて配されているノズル列であることが好ましい。このような態様とすれば、印刷媒体上に主走査ラインピッチDで効率的に印刷を行うことができる。また、印刷ヘッドは、さらに、複数のノズル列のうちの一つのノズル列と同じ色のインク滴を吐出する補助ノズル列であって、複数のノズル列のうちの一つのノズル列とは異なるノズル列のノズルと主走査の方向またはノズル列に垂直な方向について並ぶ位置にノズルを有している補助ノズル列を備える態様とすることができる。
【0010】
さらに、印刷ヘッドが、主走査の方向について並ぶような位置に設けられたノズルを有する場合にも、次のような印刷を行えば、記録対象画素以外の画素へのインクの滲みを少なくすることができる。すなわち、それぞれN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むノズル列であって、各ノズル列が含むノズルが、ノズル列に垂直な方向について並ばずにノズル列の方向に互いにずれているノズル列を選択する。そして、主走査をノズル列の方向と垂直な方向に行いつつ、準備したノズル列を使用して印刷媒体上にドットを形成する。さらに、送り量が主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである副走査を、主走査の合間に実行する。なお、副走査については、主走査の合間にそれぞれ実行され平均値が主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである複数種類の送り量の副走査を含む単位副走査を、繰り返し実行する態様としてもよい。
【0011】
また、下端のノズルが複数のノズル列の中で最も下方に位置するノズル列を下側ノズル列とし、上端のノズルが複数のノズル列の中で最も上方に位置するノズル列を上側ノズル列としたとき、下側ノズル列の上端のノズルが、上側ノズル列の下端のノズルよりも上方にあることが好ましい。このような態様とすれば、下側ノズル列の上端のノズルが上側ノズル列の下端のノズルよりも下方にある態様に比べて、印刷ヘッドの大きさを小さくすることができる。
【0012】
なお、複数のノズル列が、それぞれN個(Nは2以上の整数)のノズルを備えている場合には、主走査の合間に主走査ラインピッチDのN倍の送り量N×Dの副走査を実行することが好ましい。このような態様とすれば、連続するN本の主走査ラインにつき、一定の記録順序で各色のインク滴が記録されることになる。そして、そのような主走査ラインN本を1サイクルとする記録が副走査方向について繰り返されることになる。
【0013】
また、主走査の合間に行われる副走査であって平均値が主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである複数種類の送り量による副走査を含む単位副走査を、繰り返し実行する態様とすることもできる。このような態様とすれば、連続するN×M本(Mは、単位副走査が含む副走査の数)の主走査ラインにつき、一定の記録順序で各色のインク滴が記録されることになる。そして、そのような主走査ラインN×M本を1サイクルとする記録が副走査方向について繰り返されることになる。
【0014】
さらに、主走査を主走査駆動部に双方向に行いつつ、主走査の往路と復路の双方においてインク滴を吐出する態様とすることもできる。主走査の方向にノズルが並んでいる場合は、双方向印刷においては往路と復路で一画素内のインク滴の重ね順が逆転するため、同じ色を再現すべき画素であっても見え方が異なる2通りの画素ができる。これに対して、上記のような態様とすれば、一画素内のインク滴の重ね順のパターン数がノズル列の数と同じになる。よって、2通りの重ね順を有する印刷に比べて、インク滴の重ね順が異なる画素についての色目の違いが目立ちにくい。なお、ノズル列の数は3以上であることが好ましく、4、6または7であることがより好ましい。
【0015】
(1)印刷装置、印刷制御装置。
(2)印刷ヘッド。
(3)印刷方法、印刷制御方法。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(6)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0016】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
A.概要:
B.第1実施例:
B−1.印刷装置全体の構成:
B−2.印刷ヘッドユニットの構成:
B−3.印刷:
B−4.比較例:
B−5.第1実施例の効果:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
【0017】
A.概要:
図1は、本発明の一態様の印刷ヘッドユニットを背面から見た透視図である。この印刷ヘッドユニット60は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロのインクをそれぞれ吐出する4本のノズル列K,C,M,Yを有する。各ノズル列は7個のノズルからなり、各ノズル間のノズルピッチは主走査ラインピッチDの4倍である。そして、各ノズル列は、主走査ラインピッチDだけ順に矢印SSの方向にずらして配されている。
【0018】
この印刷ヘッドユニット60は、主走査において、印刷用紙に対して矢印MSの方向に搬送される。そして、主走査の合間に、印刷用紙が、印刷ヘッドユニット60に対して矢印SSの方向に搬送される。各ノズルは矢印MSの方向について並んでいない。このため、複数の色のインク滴を記録すべき印刷用紙上の一つの画素に対して、各色のインク滴を吐出するためには、印刷用紙を矢印SSの方向に搬送する必要がある。すなわち、一度の主走査で複数色のインク滴が記録されることはない。よって、短時間の間に同一画素内にインク滴が吐出されることがなく、記録対象の画素の画素にまでインクが滲んでしまう可能性が低い。
【0019】
B.第1実施例:
B−1.印刷装置全体の構成:
図2は、インクジェットプリンタ22を備えた印刷システムの概略構成図である。このプリンタ22は、紙送りモータ23によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を主走査方向に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
【0020】
キャリッジ31を往復動させる主走査送り機構は、キャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39とを備えている。また、印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ23の回転を用紙搬送ローラ(図示せず)に伝達するギヤトレインを備える(図示せず)。印刷用紙Pは、用紙搬送ローラによって摺動軸34と垂直な方向に搬送される。
【0021】
図3は、制御回路40を中心としたプリンタ22の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ23およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
【0022】
B−2.印刷ヘッドユニットの構成:
キャリッジ31(図2参照)には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)のぞれぞれのインクを収納したカートリッジ71ないし74が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印刷ヘッドユニット60下面には計4個のノズルブロック61ないし64が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ノズルブロックにインクタンクからのインクを導く導入管が立設されている。キャリッジ31にカートリッジ71〜74を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管(図示せず)が挿入され、各インクカートリッジからノズルブロック61ないし64へのインクの供給が可能となる。
【0023】
図1に示すように、印刷ヘッドユニット60の下面には、ノズルブロック61ないし64に、それぞれ矢印SS’の方向に沿ってブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の4個のノズル列が設けられている。各ノズル列は7個のノズルからなり、各ノズル間のノズルピッチは主走査ラインピッチDの4倍である。なお、「主走査ライン」とは、主走査の方向に並ぶ画素の集合である。そして、「画素」とは、インク滴を着弾させてドットを記録する位置を規定するために、印刷媒体上に(場合によっては印刷媒体の端を超えて)仮想的に定められた方眼状の升目である。各ノズルブロックのノズル列は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の順に主走査ラインピッチDずつ矢印SS’の方向にずらして配されている。この印刷ヘッドユニット60が、特許請求の範囲にいう「印刷ヘッド」に相当する。
【0024】
印刷ヘッドユニット60は、主走査において、印刷用紙に対して矢印MSの方向に双方向に搬送される。矢印MSの方向は、各ノズル列が有するノズルの並びの方向に対して垂直である。また、主走査の合間に、印刷用紙が印刷ヘッドに対して矢印SSの方向に搬送される。矢印SSの方向は、各ノズル列が有するノズルの並びの方向と同じである。なお、図1の矢印SS’で表される方向は、印刷用紙の搬送方向SSとは逆向きである。
【0025】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ(この動作を「主走査」という)、同時に印刷ヘッドユニット60の各色ノズルブロック61ないし64のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、印刷用紙上にドットを形成する。そして、主走査の合間に、紙送りモータ23により用紙Pを搬送することによって(この動作を「副走査」という)、副走査方向についても印刷を行って、印刷用紙P上に多色の画像を形成する。なお、図1に示した方向SS、SS’は、いずれも、以下で副走査方向を表すのに使用される。
【0026】
なお、第1実施例では、ピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
【0027】
B−3.印刷:
図4は、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図である。図4においては、左側に主走査ラインの番号が示されている。また、図4の上側には、各主走査ラインを記録するためのパスの番号が示されている。なお、1回の主走査を「パス」と呼ぶ。そして、パスの番号の下には、そのパスが主走査の往路であるか復路であるかを表す矢印を示している。右向きの矢印が往路を表し、左向きの矢印が復路を表す。図4においては、各ノズルブロック上のノズル列K、C、M、Yをまとめて縦1列の升目で示している。各ノズル列のノズルは副走査方向にノズルピッチDずつずらして配されているため(図1参照)、互いに重なることなく、まとめて縦1列の升目で表すことができる。
【0028】
図4に示すように、第1実施例では、主走査は往復で行われ、主走査一回ごとに7ドットの送り量での副走査が一回行われる。送り量の単位である「1ドット」の大きさは副走査方向についての各主走査ラインの間隔Dである。実際には、印刷用紙Pが印刷ヘッドユニット60に対して搬送されて両者の相対位置が変わるが、図4では、説明を簡単にするために、印刷ヘッドユニット60上のノズル列が印刷用紙Pに対して矢印SS’の方向に移動するかのように表示している。図1に示すように、矢印SS’の方向は、印刷用紙の搬送方向SSとは逆の向きである。図4では、説明を簡単にするために、副走査が一回行われるごとに縦一列の升目で表されたノズル列を右にずらして表示している。
【0029】
なお、本明細書では、各主走査ラインの記録を説明する際には、印刷用紙Pが紙送りモータ23によって送られる際の前端の方向を「上方」と呼び、尾端の方向を「下方」と呼ぶ。各ノズル列のノズルの位置関係について説明する際にも、同様に、「上方」および「下方」の呼称を用いる。この上下の呼称は、図4の上下と一致している。
【0030】
図4から分かるように、第22ラインには、第1〜第4パスで、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色のインクがその順に記録される。第23ラインには、同様に第1〜第4パスで、マゼンタ、イエロ、ブラック、シアンの各インクがその順に記録される。第24ラインには、第1〜第4パスで、イエロ、ブラック、シアン、マゼンタの各インクがその順に記録される。第25ラインには、第1〜第4パスで、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの各インクがその順に記録される。印刷用紙上の各主走査ラインには、この4パターンの記録順序のうちのいずれかの記録順序で、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4色のインクが記録される。
【0031】
また、図4において太枠で囲った部分を見比べれば分かるように、第22ライン〜第28ラインに現れる記録順序のパターンが、副走査方向SS’について繰り返される。
【0032】
B−4.比較例:
図5は、比較例のプリンタの印刷ヘッドユニット60oを背面から見た透視図である。印刷ヘッドユニット60oも、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックのインクをそれぞれ吐出する7個のノズルからなるノズル列K、C、M、Yを有している。しかし、印刷ヘッドユニット60oでは、各色のノズル列のノズルは、破線で示すように、矢印MSで表される主走査方向について並ぶように配されている。
【0033】
図6は、比較例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図である。図6においては、左側に主走査ラインの番号が示されている。また、図6の上側には、各主走査ラインを記録するためのパスの番号が示されている。そして、パスの番号の下には、そのパスが主走査の往路であるか復路であるかを表す矢印を示している。右向きの矢印が往路を表し、左向きの矢印が復路を表す。さらに、その下には、それぞれのパスにおける各色のインクの画素への着弾順序を示している。また、中段に表された縦一列の升目が4個のノズル列K、C、M、Yに対応する。例えば、第4パスおよび第5パスの列には、この縦一列の升目が完全に表されており、その縦一列の升目内には、4升ピッチで7個の升目に各ノズルのインク色K、C、M、Yが表されている。このインク色が表された升目がノズルピッチ4の各列7個のノズルの位置を表している。そして、升目内の各インク色は、上段に示された画素への着弾順序に従って、Y、M、C、KまたはK、C、M、Yの順で表されている。
【0034】
図6に示すように、比較例のプリンタにおいても、主走査の合間に7ドットずつの副走査が行われることで、各主走査ラインの記録が行われる。ただし、比較例のプリンタにおいては、図6に示すように、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色のインクが、各主走査ラインの各画素に対して一度のパスで記録される。すなわち、各色のインクは、主走査方向に並ぶ各色のノズルが主走査において記録対象画素上を通過するごく短い時間内に、記録対象画素に吐出されることになる。例えば、第22ラインに含まれる各画素は、第4パスにおいて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロのそれぞれのノズル#1がその画素上を通過する時間内に、各色のインク滴を吐出される。
【0035】
また、主走査の往路と復路とでは、各色のインクの記録順序が逆転する。図6から分かるように、印刷用紙上には、インクの記録順序が逆の主走査ラインが副走査方向SS’に沿って交互に繰り返される。
【0036】
印刷用紙上でイエロインクとブラックインクとが混ざった場合には、他の色のインクの組み合わせに比べて色目の品質が大きく劣化する。このため、比較例のプリンタでは、イエロインクとブラックインクとが混ざりにくいように、イエロノズル列とブラックノズル列とを印刷ヘッドユニット60oの両端に配して、両者の着弾時刻を離している(図5参照)。このため、図6に示すように、主走査の往路においては、イエロインクは画素に最初に着弾し、ブラックインクが最後に着弾する。また、主走査の復路においては、ブラックインクが画素に最初に着弾し、イエロインクが最後に着弾する。
【0037】
複数色のインクで一つの画素を記録する場合、インクの重ね順が異なると、同じインクで記録され、かつ、それぞれのインクの重量比が同じである画素であっても、表現される色が異なってくる。このため、同じ色を再現すべき二つの画素であっても、往路で記録される画素と復路で記録される画素とで、表現される色が異なる。
【0038】
また、複数色のインクで画素を記録する場合、画素に最初に着弾するインクの色が、再現される色に対して支配的となる。このため、比較例のプリンタにおいては、同一色を再現すべき画素であっても、その色がイエロとブラックを使用する色である場合には、イエロとブラックという大きく色目の異なる2色がそれぞれ支配的となる2種類の画素ができることになる。そして、前述のように、印刷用紙上には、インクの記録順序が逆の主走査ライン、すなわち、支配的となる色が異なるが画素が、副走査方向SS’について交互に繰り返される。
【0039】
B−5.第1実施例の効果:
第1実施例においては、図4に示すように、いずれの主走査ラインについても、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色のインクは異なるパスで記録される。すなわち、いずれの主走査ラインについても、比較例のように同一のパスで複数色のインクが記録されることがない。このため、複数色のインクで記録されるべき画素には、所定の時間間隔を開けて各色のインクが記録されることになる。よって、画素からインクがあふれ出して隣の画素に滲み出す可能性が低い。
【0040】
また、第1実施例では、図4に示すように、色の重ね順は4パターンあり、再現色に対して支配的となる色も4色ある。よって、比較例のように、同一色を再現すべき領域において、大きく色目が異なる2種類の画素が副走査方向に交互に繰り返される場合に比べて、同一色を再現すべき画素の色目の違いが目に付きにくい。よって、印刷結果の品質が高くなる。
【0041】
第1実施例においては、図1に示すように、ノズル列K,C,M,Yの中で、下端のノズルが最も下方に位置するノズル列は、イエロノズル列Yであり、上端のノズルが最も上方に位置するノズル列は、ブラックノズル列Kである。そして、イエロノズル列Yの上端のノズル#1は、ブラックノズル列Kの下端のノズル#7よりも、上方にある。よって、印刷ヘッドの大きさを小さくすることができる。
【0042】
C.第2実施例:
図7は、第2実施例の印刷ヘッドを背面から見た透視図である。印刷ヘッドユニット60bの下面には、それぞれ副走査方向SS’に沿って設けられたノズルを有するブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、イエロ(Y)の6個のノズル列が設けられている。各ノズル列は7個のノズルからなり、各ノズル間のノズルピッチは主走査ラインピッチDの6倍である。そして、各ノズル列は、ブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、イエロ(Y)の順に主走査ラインピッチDずつ副走査方向SS’の方向にずらして配されている。第2実施例のプリンタの他のハードウェア構成は、第1実施例のプリンタと同様である。
【0043】
図8は、第2実施例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図である。図8においても、各ノズルブロック上のノズル列K、C、M、Yをまとめて縦1列の升目で示している。図8に示すように、第2実施例においても、主走査は往復で行われ、主走査一回ごとに7ドットの送り量での副走査が一回行われる。図8から分かるように、第36〜第41ラインにおけるイエロ(Y)、ライトマゼンタ(LM)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、シアン(C)、ブラック(K)の6色の記録順序は、互いに異なっている。第2実施例では、印刷用紙上の各主走査ラインには、第36〜第41ラインにおける6パターンの記録順序のうちのいずれかの記録順序で、6色のインクが記録される。また、図8において太枠で囲ってしましたように、印刷用紙上では、第36〜第42ラインにおける各色の記録順序が、副走査方向SS’について繰り返される。
【0044】
このような態様としても、複数色のインクで記録されるべき画素には、所定の時間間隔を開けて各色のインクが記録される。このため、画素からインクがあふれ出して隣の画素に滲み出す可能性が低い。また、第2実施例では、色の重ね順は6パターンあり、再現色に対して支配的となる色も6色ある。よって、各色のノズルが主走査方向に並んでいる態様に比べて、同一色を再現すべき画素の色目の違いが目に付きにくく、印刷結果の品質が高くなる。
【0045】
D.第3実施例:
図9は、第3実施例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図である。第3実施例のプリンタのハードウェア構成は、第1実施例のプリンタと同じである。ただし、副走査のやり方が第1実施例とは異なっている。すなわち、第1実施例では、主走査の合間に7ドットずつの一定の送り量の副走査が行われたが、第3実施例では、5ドットと9ドットの送り量の副走査が交互に繰り返される。この5ドットと9ドットの送り量の副走査の組み合わせが、特許請求の範囲にいう「単位副走査」に相当する。なお、第3実施例のように、主走査の合間に行う副走査において、送り量が異なる副走査を周期的に繰り返すような送りを「変則送り」という。また、第1および第2実施例のように、主走査の合間に行う副走査において、常に一定の送り量の副走査を行う送りを「定則送り」という。
【0046】
図9においても、各ノズルブロック上のノズル列K、C、M、Yをまとめて縦1列の升目で示している。図9から分かるように、第20〜第23ラインにおけるイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の記録順序は、互いに異なっている。第3実施例では、印刷用紙上の各主走査ラインには、第20〜第23ラインにおける4パターンの記録順序のうちのいずれかの記録順序で、4色のインクが記録される。また、図9において太枠で囲ってしましたように、印刷用紙上では、第20〜第33ラインの記録順序が、副走査方向SS’について繰り返される。
【0047】
さらにくわしく説明すれば、第3実施例においては、基本的に、第20〜第23ラインに表された主走査ライン4本を1サイクルとする記録順序が、副走査方向について繰り返される。例えば、第24〜第27ライン、第29〜第32ライン、第34〜第37ラインの記録順序は、第20〜第23ラインの記録順序と同じである。そして、第28ラインや第33ラインなどの一部の主走査ラインについては、不完全な形で第20〜第23ラインの記録順序が再現されている。これら不完全な形で第20〜第23ラインの記録順序が再現される主走査ラインは、最下端のノズル(図9において第28ラインや第33ラインを最初に記録しているイエロノズル列の下端のノズル#7)で記録される主走査ラインを含む主走査ラインの束であって、インク色数以下の数の主走査ラインの束である。第3実施例においては、この主走査ラインの束は1本の主走査ラインである。
【0048】
なお、上記の記録パターンの繰り返しは、第1実施例および第2実施例についても同様である。すなわち、第1実施例においては、図4からわかるように、基本的に、第22〜第25ラインに表された主走査ライン4本を1サイクルとする記録順序が、副走査方向について繰り返される。例えば、第29〜第32ライン、第36〜第39ラインの記録順序は、第22〜第25ラインの記録順序と同じである。そして、第26〜第28ライン、第33〜第35ラインなどの、一部の主走査ライン群については、不完全な形で第22〜第25ラインの記録順序が再現されている。これら不完全な形で第22〜第25ラインの記録順序が再現される主走査ラインは、最下端のノズル(図4において第28ラインを最初に記録しているイエロノズル列の下端のノズル#7)で記録される主走査ラインを含む主走査ラインの束であって、インク色数以下の数の主走査ラインの束である。第1実施例においては、この主走査ラインの束は3本の主走査ラインである。
【0049】
また、第2実施例においては、図8からわかるように、基本的に、第36〜第41ラインに表された主走査ライン6本を1サイクルとする記録順序が、副走査方向について繰り返される。例えば、第43〜第48ライン、第50〜第55ラインの記録順序は、第36〜第41ラインの記録順序と同じである。そして、第42ライン、第49ラインなど主走査ラインについては、不完全な形で第36〜第41ラインの記録順序が再現されている。これら不完全な形で第22〜第25ラインの記録順序が再現される主走査ラインは、最下端のノズル(図8において第42ラインを最初に記録しているイエロノズル列の下端のノズル#7)で記録される主走査ラインを含む主走査ラインの束であって、インク色数以下の数の主走査ラインの束である。第2実施例においては、この主走査ラインの束は1本の主走査ラインである。
【0050】
第3実施例にような変則送りの場合には、単位副走査による合計の送り量(5+9=14ドット)に等しい幅の主走査ライン群内において、インク色の数(4色)と等しい数の種類の記録順序が繰り返され、最後の主走査ライン群についてのみ、不完全な形で記録順序が再現される。そして、定則送りの場合には、送り量(第1実施例および第2実施例において7ドット)に等しい幅の主走査ライン群内において、インク色の数(第1実施例において4色、第2実施例において6色)と等しい数の種類の記録順序が繰り返され、最後の主走査ライン群についてのみ、不完全な形で記録順序が再現される。ただし、第1および第2実施例においては、インク色の数と副走査送りのドット数とが近いため、送り量に等しい幅の主走査ライン群内において、記録順序は1回だけ実施される。
【0051】
第1実施例で説明したようなハードウェア構成の印刷装置を使用すれば、第3実施例で説明したように変則送りを行うこととしても、画素からインクがあふれ出して隣の画素に滲み出す可能性の低い印刷を行うことができる。また、第3実施例では、変則送りを行っているため、各主走査ラインを記録するノズルの組み合わせが一定ではない。このため、ノズルの製造誤差に起因するドット形成位置ずれが印刷結果の品質を大きく低下させる可能性が低い。
【0052】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0053】
(1)図10は、変形例の印刷ヘッドユニット60cを背面から見た透視図である。上記各実施例では、各色のインクを吐出するノズル列のノズルは、順に主走査ラインピッチDずつずらして配されていた(図1および図7参照)。しかし、図10に示すように、各色のノズルが上方および下方に2D以上の間隔でずれている態様としてもよい。また、各実施例に示したノズル列を使用して、各実施例で説明した主走査ラインピッチDの整数分の一の主走査ラインピッチdで印刷を行うこともできる。そのような場合には、ノズルピッチは、k×d×i(iは、2以上の整数)ということになる。すなわち、各ノズル列は、ノズルピッチやずらし量によらず、複数のノズル列がそれぞれ含むノズルが、主走査の方向について並ばないように副走査の方向に互いにずらされて配されているノズル列であればよい。
【0054】
また、上記各実施例では、ノズル列が有するノズルの数は7個であったが、図10に示すように11個であってもよく、さらに他の数であってもよい。ただし、ノズルの数Nはノズルピッチkと素であることが好ましい。また、副走査については、送り量N×D(Nはノズル数、Dは主走査ラインピッチ)の定則送りを実施するか、平均値がN×Dである複数種類の送り量による副走査を含む単位副走査を繰り返し実行する、変則送りを行うことが好ましい。そのような態様とすれば、印刷用紙上の全ての主走査ラインを効率的に記録することができる。
【0055】
(2)図11は、変形例の印刷ヘッドユニット60dを背面から見た透視図である。上記各実施例では、各色のインクのノズル列のノズルは、すべて、主走査の方向について並ばないように、順に主走査ラインピッチDずつずらして配されていた。しかし、印刷ヘッドユニットは、主走査の方向について並ぶようなノズル列を有している態様としてもよい。例えば、図11に示す印刷ヘッドユニット60dは、ブラックについてのみ、4本のノズル列K1〜K4を有しており、ノズル列K2〜K4のノズルは、破線で示すように、それぞれノズル列C,M,Yのノズルと主走査方向に並んでいる。
【0056】
このようなプリンタにおいても、カラー印刷の際にはノズル列K1、C、M、Yを使用し、ノズル列K2、K3、K4を使用しないこととすれば、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。すなわち、主走査の方向に垂直な方向について主走査ラインピッチDのk倍(kは使用するインク色の数)のノズルピッチk×Dで配列されたN個(Nはkと素の整数)のノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、複数のノズル列に含まれ、各ノズル列が含むノズルの位置が主走査の方向について並ばないように、主走査の方向に垂直な方向に主走査ラインピッチDの整数倍の寸法だけ互いにずれるようにノズル列を選択する。そして、カラー印刷における主走査の際に、選択したノズル列を使用して印刷媒体上にドットを形成する。このような態様とすれば、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。なお、一枚の印刷用紙を印刷する間に一度でもそのノズル列に含まれるノズルが使用されれば、「ノズル列を使用する」に該当するものとする。画像データや副走査のやり方によっては、そのノズル列の中に、一度も使用されないノズルが存在する場合もある。
【0057】
(3)上記各実施例では、主走査の往路と復路の両方においてインク滴の吐出を行ったが、往路と復路のいずれか一方においてのみ、インク滴を吐出する態様とすることもできる。そのような態様としても、以下のような印刷ヘッドを使用して印刷を行えば、複数色のインクで記録されるべき画素に、所定の時間間隔を開けて各色のインクを記録でき、画素からインクがあふれ出して隣の画素に滲み出す可能性を低くすることができる。そのような印刷ヘッドとは、同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備え、複数のノズル列がそれぞれ含むノズルは、ノズル列に垂直な方向について並ばないようにノズル列の方向に互いにずらされて配されている、印刷ヘッドである。
【0058】
(4)上記実施例では、インクジェットプリンタについて説明したが、本発明はインクジェットプリンタに限らず、一般に、印刷ヘッドを用いて印刷を行う種々の印刷装置に適用可能である。
【0059】
(5)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様の印刷ヘッドを背面から見た透視図。
【図2】インクジェットプリンタ22を備えた印刷システムの概略構成図。
【図3】制御回路40を中心としたプリンタ22の構成を示すブロック図。
【図4】印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図。
【図5】比較例のプリンタの印刷ヘッドユニット60oを背面から見た透視図。
【図6】比較例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図。
【図7】第2実施例の印刷ヘッドを背面から見た透視図。
【図8】第2実施例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図。
【図9】第3実施例において、印刷用紙上の主走査ラインがどのように記録されるかを示す説明図。
【図10】変形例の印刷ヘッドユニット60cを背面から見た透視図。
【図11】変形例の印刷ヘッドユニット60dを背面から見た透視図。
【符号の説明】
22…インクジェットプリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
28,28b,28c,28d,28o…印刷ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
41…CPU
44…RAM
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
61〜64…ノズルブロック
61a〜61d…ノズルブロック
71〜74…カートリッジ
90…コンピュータ
C…シアンノズル列
D…主走査ラインピッチ
K,K1〜K4…ブラックノズル列
LC…ライトシアンノズル列
LM…ライトマゼンタノズル列
M…マゼンタノズル列
MS…主走査方向を示す矢印
P…印刷用紙
PE…ピエゾ素子
PS…印刷信号
ROM…プログラマブル
SS…印刷用紙の搬送方向を示す矢印
SS’…印刷ヘッドユニットの相対的な送り方向を示す矢印
k…ノズルピッチ
Y…イエロノズル列

Claims (8)

  1. ノズルからインク滴を吐出して印刷媒体上にドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
    同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備えた印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させて主走査を行う主走査駆動部と、
    前記主走査の最中に前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に垂直な方向に移動させて副走査を行う副走査駆動部と、
    前記各部を制御するための制御部と、を備え、
    前記複数のノズル列がそれぞれ含むノズルは、前記主走査の方向について並ばないように前記副走査の方向に互いにずらされて配されており、
    前記複数のノズル列は、
    主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、
    前記副走査の方向に前記主走査ラインピッチDだけずらされて配されており、
    前記複数のノズル列は、それぞれN個(Nは2以上であってkと素の整数)のノズルを備えており、
    前記制御部は、前記主走査の合間に主走査ラインピッチDのN倍の送り量N×Dの前記副走査を前記副走査駆動部に実行させる、印刷装置。
  2. ノズルからインク滴を吐出して印刷媒体上にドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
    同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備えた印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させて主走査を行う主走査駆動部と、
    前記主走査の最中に前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に垂直な方向に移動させて副走査を行う副走査駆動部と、
    前記各部を制御するための制御部と、を備え、
    前記複数のノズル列がそれぞれ含むノズルは、前記主走査の方向について並ばないように前記副走査の方向に互いにずらされて配されており、
    前記複数のノズル列は、
    主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、
    前記副走査の方向に前記主走査ラインピッチDだけずらされて配されており、
    前記複数のノズル列は、それぞれN(Nは2以上であってkと素の整数)のノズルを備えており、
    前記制御部は、前記主走査の合間に行われる前記副走査であって平均値が主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである複数種類の送り量による前記副走査を含む単位副走査を、繰り返し前記副走査駆動部に実行させる、印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の印刷装置であって、
    前記印刷ヘッドは、さらに、前記複数のノズル列のうちの一つのノズル列と同じ色のインク滴を吐出する補助ノズル列であって、前記複数のノズル列のうちの前記一つのノズル列とは異なるノズル列のノズルと前記主走査の方向について並ぶ位置にノズルを有している補助ノズル列を備える、印刷装置。
  4. 請求項1または2記載の印刷装置であって、
    下端のノズルが前記複数のノズル列の中で最も下方に位置するノズル列を下側ノズル列とし、
    上端のノズルが前記複数のノズル列の中で最も上方に位置するノズル列を上側ノズル列としたとき、
    前記下側ノズル列の上端のノズルが、前記上側ノズル列の下端のノズルよりも上方にある、印刷装置。
  5. 請求項1または2記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、前記主走査を前記主走査駆動部に双方向に行わせつつ、前記主走査の往路と復路の双方において前記ヘッド駆動部にインク滴を吐出させる、印刷装置。
  6. 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備えた印刷ヘッドを有する印刷装置を使用して、印刷媒体上にドットを形成することにより画像を印刷する方法であって、
    前記複数のノズル列は、
    主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、
    前記副走査の方向に前記主走査ラインピッチDだけずらされて配されており、
    前記方法は、
    (a)それぞれN個(Nは2以上であってkと素の整数)のノズルを含むノズル列であって、各ノズル列が含むノズルが、前記ノズル列に垂直な方向について並ばずに前記ノズル列の方向に互いにずれているノズル列を準備する工程と、
    (b)前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させる主走査を、前記ノズル列の方向と垂直な方向に行いつつ、前記準備したノズル列を使用して前記印刷媒体上にドットを形成する工程と、
    (c)前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に垂直な方向に移動させる副走査であって、送り量が前記主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである副走査を、前記主走査の合間に実行する工程と、を備える印刷方法。
  7. 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルを含むノズル列であって互いに異なる色のインク滴を吐出する複数のノズル列を備えた印刷ヘッドを有する印刷装置を使用して、印刷媒体上にドットを形成することにより画像を印刷する方法であって、
    前記複数のノズル列は、
    主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ含むk個のノズル列であって、
    前記副走査の方向に前記主走査ラインピッチDだけずらされて配されており、
    前記方法は、
    (a)それぞれN個(Nは2以上であってkと素の整数)のノズルを含むノズル列であって、各ノズル列が含むノズルが、前記ノズル列に垂直な方向について並ばずに前記ノズル列の方向に互いにずれているノズル列を準備する工程と、
    (b)前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を移動させる主走査を、前記ノズル列の方向と垂直な方向に行いつつ、前記準備したノズル列を使用して前記印刷媒体上にドットを形成する工程と、
    (c)前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に垂直な方向に移動させる副走査であって、前記主走査の合間にそれぞれ実行され平均値が主走査ラインピッチDのN倍のN×Dである複数種類の送り量の副走査を含む単位副走査を、繰り返し実行する工程と、を備える印刷方法。
  8. 請求項6または7記載の印刷方法であって、
    前記工程(a)は、前記主走査を双方向に行いつつ、前記主走査の往路と復路の双方においてインク滴を吐出する工程を備える、印刷方法。
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