JP4484358B2 - 防水被覆用樹脂組成物、防水被覆構造体および防水被覆工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性、機械強度に優れる防水被覆用樹脂組成物、ならびに、これを用いる防水被覆構造体および防水被覆工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木建築物のコンクリート層や金属躯体などを基体とし、その上に防水層を設けてなる防水被覆構造体やこの構造体を得るための防水被覆工法が広く知られている。
上記防水層を形成するための防水被覆用材料としては、特開昭48−98623号公報、特開平4−142323号公報、特開平4−253717号公報等に開示されているような、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂と繊維補強材を組み合わせた、FRP系の熱硬化性樹脂組成物を用いる例が増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記FRP系の防水被覆は、熱硬化性樹脂が持つ優れた性能により、耐水性、耐熱性、遮塩性、耐擦傷性、耐候性、ガスバリア性等を発揮するが、繊維補強材の使用により材料の伸び率が低下するため、基体の伸縮に対する追随性が悪いと言う問題点があった。例えば、コンクリートやモルタル等の建造物において、乾燥収縮や地盤沈下、地震等により低速、高速の伸縮運動が繰り返し起こると、その表面(防水層)に亀裂が生じると言う問題があった。このような亀裂は漏水の原因となることから、この建造物には再度防水施工を施す必要が生じる。
【0004】
そこで、このような防水被覆用樹脂組成物としては、建造物の素地面に亀裂が生じても、防水層自体には亀裂や剥離が生じにくい、伸縮性、接着性、耐久性に優れたもの(亀裂追従性に優れたもの)であることが要求される。そこで、前述した従来技術でも、柔軟な不飽和ポリエステルを用いることで、亀裂追従性の向上が検討されている。
これら従来技術により柔軟化された不飽和ポリエステルでは、硬化物の架橋密度を低減することで伸び率の向上は達成されている。しかし、その他の物理的性質に検討の余地があるほか、化学的性質の改善が望まれている。例えば、防水層としての最重要特性である耐水性、構造物を塩害から守るための遮塩性、コンクリートの中性化を防止するガスバリア性、耐候性、耐擦傷性等を高める必要があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、耐水性、伸び率、強度に優れる防水被覆用樹脂組成物を提供し、さらに、防水性、亀裂追従性に極めて優れる防水被覆構造体とその防水被覆工法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、防水層としての諸要求特性をバランスよく発揮しうる防水被覆用樹脂組成物を開発するため鋭意検討した結果、特定の熱硬化性ポリマーを用いることにより、柔軟性を損なうこと無く、耐水性、耐薬品性、耐熱性等に優れた防水層を実現し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の防水被覆用樹脂組成物は、分子内に二重結合を有する熱硬化性ポリマーを含有するとともにラジカル重合性不飽和単量体をも含有する防水被覆用樹脂組成物において、前記熱硬化性ポリマーは、分子内に二重結合のほかに水酸基をも有する熱硬化性化合物である不飽和ポリエステルもしくはビニルエステルに由来するものであって、前記化合物に0.1〜10重量%の多官能イソシアネートを反応させることによりウレタン変性されてなり、重量平均分子量が3000〜30000、水酸基価が0〜30mgKOH/g、二重結合力価が300〜800であることを特徴とする。
【0007】
本発明の防水被覆構造体は、本発明の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を防水層とする。
本発明の防水被覆工法は、本発明の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を建築物の防水層とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の防水被覆用樹脂組成物は、分子内に二重結合を有する熱硬化性ポリマーを含有するものである。
前記熱硬化性ポリマーは、分子内に水酸基と二重結合とを有する熱硬化性化合物と、多官能イソシアネートとを反応させて得られるものである。
前記熱硬化性化合物としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル等が挙げられる。
熱硬化性化合物の例である前記不飽和ポリエステルは、α,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物を必須成分として含有する酸成分と、アルコール成分との重縮合によって得ることができる。
【0009】
前記不飽和ポリエステルを得る際の酸成分として必須であるα,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物としては、不飽和ポリエステル業界で公知のものから適宜選んで使用することができ、例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、およびこれらのエステル等が挙げられる。また、前記不飽和ポリエステルを得る際の酸成分としては、飽和多塩基酸またはその無水物を併用してもよく、例えば、フタル酸、ハロゲン化フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ダイマー酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、あるいはこれらの酸無水物やエステル等、当該業界で公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0010】
前記不飽和ポリエステルを得る際のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等、当該業界で公知のグリコール類を適宜選択して使用することができる。
【0011】
また、前記不飽和ポリエステルを得る際には、酸成分とアルコール成分の一部としてポリエチレンテレフタレート等の重縮合物を使用することもできる。さらに、末端カルボキシル基と、グリシジル基やオキサゾリン基等のカルボキシル基に対して反応性を有する官能基とを有する反応性モノマーを反応させて得られる樹脂を使用することもできる。このような反応性モノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イソプロペニルオキサゾリン等が挙げられる。
前記不飽和ポリエステルを得る際の重縮合反応は、当該業界で公知の方法に従って行えばよい。例えば、代表的な方法としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、必要に応じて、トルエンやキシレン等の水共沸用溶剤や、蓚酸スズ等のエステル化触媒を存在させ、各成分を、120〜250℃、好ましくは150〜230℃の温度範囲で加熱し、所望の分子量となるまで脱水縮合せしめる方法が挙げられる。
【0012】
熱硬化性化合物の例である前記ビニルエステルは、エポキシ化合物と不飽和酸とを反応させて、該エポキシ化合物中のエポキシ基に対してラジカル重合性不飽和二重結合を導入することにより、得ることができる。
前記エポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ化合物(樹脂)であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物に、エピクロルヒドリンを反応させた反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物に、エピクロルヒドリンを反応させた反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;等が挙げられる。また、これらのエポキシ化合物(樹脂)の2分子以上を、多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物、多価チオール等の鎖延長剤との反応によって結合して鎖延長したものを使用することもできる。
【0013】
前記不飽和酸としては、例えば、1個のカルボキシル基と1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する一塩基酸が挙げられる。具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、β−アクリロキシプロピオン酸、1個のヒドロキシル基と1個の(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、これらのカプロラクトン変性物等が挙げられる。
前記ビニルエステルを得る際の反応は、従来公知のビニルエステル樹脂の製造方法に従って行えばよい。例えば、エステル化触媒としてトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、金属の有機酸塩、金属の無機塩、金属のキレート化物等を用い、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、80〜130℃で反応させればよい。このとき、反応系内に、スチレン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、アルキル(メタ)アクリレート等の後述のラジカル重合性不飽和単量体等を共存させることもできる。
【0014】
前記熱硬化性化合物と反応させる前記多官能イソシアネートとしては、特に制限されるものではなく、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4−あるいは2,6−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等のジイソシアネート類;トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等のトリイソシアネート類;等を挙げることができ、これらを単独でまたは混合して使用することができる。
【0015】
前記多官能イソシアネートの使用量は、前記熱硬化性化合物に対して0.1〜10重量%の範囲とすることが重要である。好ましくは0.3〜5重量%とするのがよい。多官能イソシアネートの使用量が熱硬化性化合物に対して0.1重量%よりも少ない場合には、得られる熱硬化性ポリマー中に水酸基が多く残り過ぎるため耐水性が低下し、一方、10重量%よりも多い場合には、分子量が大きくなることより粘度が高くなり、作業性を確保できなくなる。
前記熱硬化性化合物と前記多官能イソシアネートとを反応させて熱硬化性ポリマーを得る際の反応方法は、当該業界で公知の方法に従って行えばよい。例えば、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤および錫化合物や三級アミン等のウレタン化触媒の共存下、必要に応じて後述のラジカル重合性不飽和単量体を存在させ、室温〜130℃で、前記熱硬化性化合物と前記多官能イソシアネートとを反応させればよい。
【0016】
本発明における熱硬化性ポリマーは、重量平均分子量が3000〜30000、好ましくは5000〜25000であり、水酸基価が0〜30mgKOH/g、好ましくは0〜10mgKOH/gであり、二重結合力価が300〜800、好ましくは400〜600であるものである。重量平均分子量が3000未満であると、耐水性が低下し、一方、30000を越えると、塗装作業性を損なうことになる。また、水酸基価が30mgKOH/gを超えると、耐水性が低下することになる。また、二重結合力価が300未満であると、伸び率が低下し、亀裂追従性が低下することとなり、一方、800を超えると、強度が低下し、亀裂や剥離が生じやすくなる。従って、重量平均分子量、水酸基価および二重結合力価のいずれかが前記範囲を外れると、耐水性、伸び率、強度といった物性をバランスよく向上させることができなくなる。なお、二重結合力価とは、例えば、熱硬化性化合物が不飽和ポリエステルである場合は、不飽和ポリエステル量(<酸成分の分子量×モル数>と<アルコール成分の分子量×モル数>の合計から脱水量を引いた値)を不飽和二塩基酸のモル数で割った値である。
【0017】
本発明の防水被覆用樹脂組成物において、前記熱硬化性ポリマーの含有量は、樹脂組成物全体に対し、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%であるのがよい。
本発明の防水被覆用樹脂組成物は、前記熱硬化性ポリマーとともに、ラジカル重合性不飽和単量体をも含有する。
前記ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メチル(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート;等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明の防水被覆用樹脂組成物における前記ラジカル重合性不飽和単量体の配合量は、前記熱硬化性ポリマーに対して10〜100重量%であることが好ましい。ラジカル重合性不飽和単量体の配合量がこの範囲よりも少なくなると、耐水性が低下する傾向があり、逆に多くなると、伸び率が低下する傾向があるため、ともに好ましくない。
本発明の防水被覆用樹脂組成物を実際に硬化させて使用する際には、熱重合開始剤および/または光重合開始剤が用いられる。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;等が挙げられる。
これら熱重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、樹脂組成物100重量部に対して0.05〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0019】
また、熱重合時には、前記熱重合開始剤とともに硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等あるいは3級アミンが代表例として挙げられる。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類;キサントン類;等が挙げられる。これら光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、樹脂組成物100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0020】
本発明の防水被覆用樹脂組成物には、さらに、繊維補強材を含有させることが好ましい。使用できる繊維補強材としては、例えば、ガラス繊維;アミド、アラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊維;カーボン繊維;金属繊維;セラミック繊維;等が挙げられ、これらを組み合わせて使用することもできる。繊維の形態としては、特に制限はなく、例えば、平織り、朱子織り、不織布、マット状等が挙げられ、また、ガラスロービングを20〜100mmにカットしてチョップドストランドにして使用することも可能である。
前記繊維補強材の配合割合は、特に制限されないが、防水被覆用樹脂組成物中10〜50重量%とするのが好ましい。
【0021】
本発明の防水被覆用樹脂組成物には、重合禁止剤、飽和ポリマー(低収縮化剤)、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、重合抑制剤、乾燥性付与剤、ワックス、増粘剤、染料や顔料、防カビ剤、消泡剤、レベリング剤、その他の公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて含有させてもよい。
本発明の防水被覆構造体は、前述の本発明の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を防水層とするものであり、本発明の防水被覆工法によって形成することができる。すなわち、本発明の防水被覆工法においては、本発明の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を建築物の防水層とする。具体的には、例えば、建築物の基体の上にまずプライマーを塗布し、乾燥後に本発明の防水被覆用樹脂組成物を被覆施工する。施工法としては、例えば、繊維補強材を基体上に配置後、防水被覆用樹脂組成物をハンドレーアップやスプレーアップ等で含浸させ、熱や光など従来公知の方法で硬化させればよい。
【0022】
本発明の防水被覆構造体は、使用目的に応じ、防水被覆用樹脂組成物による被覆面の上に、さらに、耐候性に優れるフッ素、アクリル、ウレタン、アクリルシリコン等の公知の上塗り塗料が塗布されていてもよい。また、被覆面に壁砂等を散布して、すべり止め施工をすることもできる。
本発明における施工対象の基体は、例えば、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、ALC板、PC板、FRP、プラスチック、木質物、金属等を単独あるいは組み合わせて構成されたものである。コンクリート、金属等の堅孤な基体は、必要に応じて、下地処理、プライマー処理等を行うと良い。
【0023】
本発明の防水被覆構造体は、耐久性を保持しながら、亀裂追従性にも優れた構造体であるので、例えば、建築物の屋根、屋上、開放廊下、ベランダ、外壁、地下外壁、室内または水槽類の防水材、メンブレン防水構造体として好適である。特に、屋外防水では、人や車がその上に乗っても十分耐久性を保持できるので、重歩行防水や駐車場防水等にも利用できる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」および「ppm」は重量基準である。
(実施例1)
ジエチレングリコール(DEG)9モル、エチレングリコール(EG)1モル、イソフタル酸(IPA)3モル、アジピン酸(AA)3モル、マレイン酸(MA)4モルを220〜225℃で加熱縮合反応させ、酸価15mgKOH/gの不飽和ポリエステル(1)を得た。次いで、得られた不飽和ポリエステル(1)65部に対し、スチレン35部を撹拌にて溶解し、不飽和ポリエステル樹脂(1)を得た。
【0025】
次に、不飽和ポリエステル樹脂(1)100部に対し2,6−トルエンジイソシアネート0.5部(不飽和ポリエステル100部に対し2,6−トルエンジイソシアネート0.77部)を85℃で反応させ、樹脂組成物(1)を得た。得られた樹脂組成物(1)の重量平均分子量、水酸基価、および二重結合力価は表1に示す通りであった。
(実施例2〜7および比較例1〜6)
酸およびグリコール成分の種類および配合量、スチレンの含有量、および多官能イソシアネートの種類および配合量(重量比)を、それぞれ表1および表2に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(2)〜(7)および比較樹脂組成物(1)〜(6)を得た。得られた各樹脂組成物の重量平均分子量、水酸基価、および二重結合力価は表1および表2に示す通りであった。
【0026】
なお、表1および表2においては以下の略号を用いた。
DEG:ジエチレングリコール
TetraEG:テトラエチレングリコール
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
IPA:イソフタル酸
TPA:テレフタル酸
OPA:オルソフタル酸
AA:アジピン酸
MA:マレイン酸
FA:フマル酸
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
実施例1〜7および比較例1〜6で得られた各樹脂組成物を用い、下記のようにして試験片を作製し、下記(A)〜(E)の物性評価を行った。結果を表3および表4に示す。
<(A)〜(C)の評価用試験片の作製方法>
各樹脂組成物に、8%オクテン酸コバルト0.3部、メチルエチルケトンパーオキサイド1.0部を配合し、JISK6919に準じて注型板を作製した。
<(D)の評価用試験片の作製方法>
各樹脂組成物に、8%オクテン酸コバルト0.3部、メチルエチルケトンパーオキサイド1.0部を配合して、ガラスマット#450を2プライ積層して7日経過後、積層面にトップコート(イソ系不飽和ポリエステル樹脂)を厚み0.3mmとなるように塗布し、試験片とした。
【0030】
(A)引張試験(引張強度、伸び率)および耐煮沸水性試験
引張試験は、JISK7113に準じ、試験時の雰囲気温度23℃で行った。耐煮沸水性試験は、煮沸したイオン交換水中に、75mm×25mm×3mmtの注型板試験片を全面浸漬し、クラックが発生するまでの時間を測定した。
(B)硬化物の耐熱劣化試験
試験片をイオン交換水中に浸漬した状態で80℃のエアーオーブン中に10日保持した後、JISK7113に準じ、試験時の雰囲気温度23℃で、引張試験を行い、伸び率を測定した。
【0031】
(C)耐性試験(初期の伸び率、耐酸性保持率、耐アルカリ性保持率、耐候性試験保持率)
JIS A6021に準じて行った。
(D)ガラス繊維補強材の二次密着性
JIS K5400の碁盤目テープ法に準じて行った。
(E)亀裂追従性試験
基板にスレート板(JISA5403 S・平板)を用い、一液性ウレタンプライマーで処理した表裏面にライニング材を20mm幅で積層し、試験体を作製した。得られた試験体について、インストロン万能材料試験機を用い、前記(A)の引張試験と同様の方法にて、伸びおよび破壊荷重を測定した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
実施例の樹脂組成物はいずれも、引張強度と引張伸び率とのバランスがとれ、防水層に必要な耐水性に優れるものである。また、下地およびトップコートとの密着性が良好で、引張伸び率も大きいことより、亀裂追従性が大きく、防水層として適していると言える。
これに対して、比較例1の樹脂組成物は、耐水性に優れ、引張強度も高いが、引張伸び率が小さいため亀裂追従性が小さく、しかもトップコートとの密着性も悪い。従って、防水層としては不適当であると言える。
比較例3および比較例4の樹脂組成物は、引張伸び率は高いが、引張強度が低く、しかも防水層として最重要特性である耐水性が悪い。従って、防水層としては不適当であると言える。
【0035】
比較例5の樹脂組成物は、多官能イソシアネートを使用せずに得たものであるので、重量平均分子量が低い。このため、伸び率および耐水性が低く、防水層としては不適当であると言える。
比較例2および比較例6の樹脂組成物は、多官能イソシアネートを多量(15部)に使用して得たものであるので、重量平均分子量が高く、粘度も高い。このため、実質的な作業粘度が確保できず、防水層として使用不可能なものであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、耐水性、伸び率、強度に優れる防水被覆用樹脂組成物を提供することができ、これを用いて、防水性、亀裂追従性に極めて優れる防水被覆構造体を施工することができる。
Claims (4)
- 分子内に二重結合を有する熱硬化性ポリマーを含有するとともにラジカル重合性不飽和単量体をも含有する防水被覆用樹脂組成物において、
前記熱硬化性ポリマーは、分子内に二重結合のほかに水酸基をも有する熱硬化性化合物である不飽和ポリエステルもしくはビニルエステルに由来するものであって、前記化合物に0.1〜10重量%の多官能イソシアネートを反応させることによりウレタン変性されてなり、重量平均分子量が3000〜30000、水酸基価が0〜30mgKOH/g、二重結合力価が300〜800である、ことを特徴とする防水被覆用樹脂組成物。 - 繊維補強材をさらに含有する、請求項1に記載の防水被覆用樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を防水層とする、防水被覆構造体。
- 請求項1または2に記載の防水被覆用樹脂組成物を硬化させることで得られる硬化物を建築物の防水層とする、防水被覆工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000402786A JP4484358B2 (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 防水被覆用樹脂組成物、防水被覆構造体および防水被覆工法 |
Applications Claiming Priority (1)
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