JP4483665B2 - 画像形成装置およびカール補正装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録材やシートに生じたカールを補正するカール補正部を備えた画像形成装置およびカール補正装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、感光体ドラム等に形成したトナー像を直接あるいは間接的に用紙上に転写し、用紙上に転写されたトナーを加熱・加圧することにより溶融させて定着させ、その後排出トレイ等に排出している。この種の画像形成装置では、このようにして排出される定着後の用紙が、表面側又は裏面側に反るように湾曲変形する現象、いわゆるカールが発生することがある。そこで、用紙に生じるカールが原因となって発生する紙詰まり、排出トレイでのかさばり、両面画像形成時の画質低下等の不具合を回避する目的で、用紙に生じたカールを補正するためのカール補正装置が設けられる。
従来この種のカール補正装置としては、用紙搬送路に沿って設けられた二本のロールに張架された無端ベルトと、この無端ベルトに対して所定の圧力で押し付けられた押圧ロールとを備えたものが知られている(特許文献1,2参照。)。この技術では、カールした用紙を無端ベルトと押圧ロールとの間に挟み、押圧ロールによりカールした用紙をカールとは逆側に曲げるようにしごくことで、カールの補正を行っている。
特開平4−338060号公報(第5頁、図9、図10) 特開平6−156852号公報(第6頁、図4、図5)
ところで、用紙に生じるカールには、用紙の端部が下を向くカールをダウンカール、用紙の端部が上を向くカールをアッパーカールがある。そして、用紙にどのようなカール(ダウンカール、アッパーカール)が生じ、また、用紙に生じるカール量がどの程度であるのかは、用紙の種類、環境、および用紙上に形成される画像の濃度等によっても異なる。
そこで、上記特許文献1,2では、上述したカール補正装置を用紙搬送路に対して直列または並列に二つ配置し、それぞれダウンカール補正部およびアッパーカール補正部として用いることが記載されている。さらに、上記特許文献1には、用紙の種類または用紙に形成される画像の濃度の情報等に基づいて無端ベルトに対する押圧ロールの押圧力を変化させることにより、カールの補正量を調整することも記載されている。
しかしながら、最近では、画像形成装置で使用することが可能な用紙の種類が非常に多くなってきており、また、用紙上に形成される画像もカラーやモノクロ、テキストや写真など多種多様である。したがって、これらすべての条件に合わせてカール補正装置のパラメータを決定することは非常に困難であるといえる。このため、例えば上記特許文献1のように、用紙の種類や画像の濃度に基づいてカールの補正量を調整したとしても、カール補正が不十分となって上述した問題を解決できないことがあった。
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、実際に記録材やシートに生じるカールの程度に応じて、適切なカール補正条件を設定できるようにすることにある。
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成装置は、記録材にトナー像を形成する画像形成部と、画像形成部によって記録材に形成されたトナー像を定着する定着部と、定着部を通過した記録材に生じたカールを、記録材に対し押圧力を付加することで補正するカール補正部と、カール補正部における押圧力を順次変化させることにより、カール補正部にて異なる押圧力が付加された複数の記録材を順次出力させる制御部とを含んでいる。
ここで、制御部は、複数の記録材を出力させる際に、画像形成部にて記録材にトナー像を形成させ、定着部にて記録材に形成されたトナー像を定着させることを特徴とすることができる。また、制御部は、複数の記録材を出力させる際に、異なる押圧力毎に設定された所定形状のトナー像を、画像形成部によって記録材に形成させることを特徴とすることができる。また、ユーザからの入力を受け付ける入力受付部をさらに含む場合に、制御部は、入力受付部を介して所定の指示の入力を受け付けた場合に、複数の記録材を出力させることを特徴とすることができる。そして、出力された複数の記録材のうち、一の記録材の選択を受け付ける選択受付部をさらに含む場合に、制御部は、カール補正部に、選択受付部にて受け付けられた一の記録材を出力した際の押圧力を設定することを特徴とすることができる。また、制御部は、記録材の情報および/または画像形成部にて形成されるトナー像の情報に基づいてカール補正部における押圧力が自動設定される第一のカール補正モード、および、カール補正部における押圧力が手動設定される第二のカール補正モードで、カール補正部を制御することを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用されるカール補正装置は、シートに生じたカールを、カール補正手段において無段階または複数段階のカール補正条件より選択された所定のカール補正条件で補正し、受付手段でカール補正サンプルの出力指示の入力を受け付け、受付手段にてカール補正サンプルの出力指示が受け付けられた場合に、制御手段が、カール補正手段におけるカール補正条件を複数設定し、異なるカール補正条件でカール補正された複数のシートをカール補正サンプルとして順次出力させる。
ここで、カール補正手段は、シートの端部が上側を向くアッパーカールおよびシートの端部が下側を向くダウンカールを補正することを特徴とすることができる。また、カール補正手段は、シートに生じたカールとは逆側に湾曲させる力を付加することでシートのカールを補正し、制御手段は、カール補正手段においてシートに付加される湾曲させる力を可変することで、カール補正条件を複数設定することを特徴とすることができる。また、受付手段は、カール補正手段によって出力された複数のカール補正サンプルのうち、一のカール補正サンプルの選択をさらに受け付け、制御手段は、カール補正手段に、受付手段にて受け付けられた一のカール補正サンプルを出力した際のカール補正条件を設定することを特徴とすることができる。
本発明によれば、付加される押圧力を異ならせた複数の記録材を出力させるようにしたので、実際に記録材やシートに生じるカールの程度に応じて、適切なカール補正条件を設定できるようにすることが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係るフルカラー画像形成装置1の全体構成を示す概略図であり、図2は、その要部を拡大した図である。このフルカラー画像形成装置1は、所謂タンデム型、所謂中間転写方式の画像形成装置であって、原稿の画像を読み取る画像読み取り部2、用紙上に画像を形成する画像形成部3、画像形成部3に対して記録材あるいはシートとしての用紙を供給する用紙供給部4、画像形成後の用紙を排出する用紙排出部5によって構成される。
本実施の形態において、画像読み取り部2は、透明な原稿台にセットされた原稿の画像を読み取るものであり、例えば、ランプ、ミラー及びキャリッジ等からなる光学走査系と、この光学走査系で走査された光学像を結像させるレンズ系と、このレンズ系で結像された光学像を受光して電気信号に変換するCCD等の画像読み取りセンサとを備えて構成されている。
また、画像形成部3は、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)を備えている。また画像形成部3は、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト15、中間転写ベルト15上に転写された重ねトナー像を記録材(シート)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20を備えている。さらに、画像形成部3は、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着部46を備えている。また、画像形成部3は、各装置(各部)の動作を制御する制御手段としての制御部40、画像読み取り部2や図示しないPC(Personal Computer)から出力されてくる画像データに基づいて画像形成用のデータを作成するIPS(Image Processing System)44を有している。なお、本実施の形態では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト15、および二次転写部20等によって、画像形成部が構成されている。
各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)は、矢印α方向に回転する感光体ドラム11、感光体ドラム11の周囲に設けられ、感光体ドラム11を所定の電位に帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像が書込まれるレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14を備えている。さらに、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスも配設される。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図に示すβ方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性の駆動モータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を循環駆動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール22、二次転写部20よりも中間転写ベルト15の搬送方向下流側に設けられるアイドルロール34を有している。
各感光体ドラム11に対向し、略直線状に延びる中間転写ベルト15の内側に設けられる各一次転写ロール16には、トナーの帯電極性と逆極性(本実施の形態では正極性)の電圧が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上に重畳されたトナー像が形成される。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール21と、バックアップロール22等とによって構成される。このバックアップロール22は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール21の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール23が当接配置されている。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20よりも下流側には、中間転写ベルト15を挟んで駆動ロール31に対向して配置され、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングするベルトクリーナ35が中間転写ベルト15に対して接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット10Yの上流側には、各画像形成ユニット10における画像形成タイミングの整合をとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)41が配置されている。また、黒の画像形成ユニット10Kの下流側には、各色の画質調整を行うための画像濃度センサ42が配設されている。この基準センサ41は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)は画像形成を開始するように構成されている。また、中間転写ベルト15の内側には、温度センサ47および湿度センサ48が配設されている。
さらに、二次転写部20の下流側には、二次転写後の用紙Pを吸引しながら搬送するバキューム搬送部45が設けられている。このバキューム搬送部45は、二次転写ロール21によってトナー像が転写された用紙Pを吸引しながら定着部46へと搬送するものであり、定着部46は、加熱加圧等によって用紙Pにトナー像を定着させるものである。本実施の形態において、定着部46は、用紙Pの画像形成面に対向配置される加熱ロール46aと、この加熱ロール46aに圧接配置されて定着ニップを形成する加圧ベルト46bと、加熱ロール46aに内蔵される加熱源としてのハロゲンランプ46cとを備えている。
一方、用紙供給部4は、第一のトレイ50、第二のトレイ51及び第三のトレイ52に収容された各々の用紙Pを、それぞれ所定の経路で搬送するものである。各トレイ50〜52の近傍には、それぞれに対応する送り出しロール53,54,55が配設されている。各送り出しロール53〜55は、対応するトレイ50〜52から一枚ずつ分離して取り出された用紙Pをニップして用紙搬送路上に一時停止させると共に、所定のスタート信号に基づくタイミングで用紙搬送方向の下流側に用紙Pを送り出すものである。さらに、用紙供給部4の上部であって画像読み取り部2の近傍には、ユーザによって操作される操作パネル56およびこの操作パネル56に隣接して入力用のキーボード56aが配設され、第三のトレイ52の下側には、このフルカラー画像形成装置1の電源43が配置されている。本実施の形態では、操作パネル56やキーボード56a等を用いて、トレイ番号(第一のトレイ50、第二のトレイ51、第三のトレイ52にそれぞれ付された番号)毎に、そのトレイに収容される用紙Pの種類(例えば坪量、コート層の有無、コート層の種類等)の入力が受け付けられるようになっている。そして、この内容は図示しないメモリに格納され、操作パネル56およびキーボード56aにて所定のトレイ番号が入力されたときに、該当するトレイに収容される用紙Pの属性についての情報が表示されるようになっている。なお、本実施の形態では、これら操作パネル56およびキーボード56aが、入力受付部、選択受付部および受付手段として機能している。
ここで、各送り出しロール53〜55による用紙Pの送り出し位置から、画像形成部3の画像形成処理位置を経由して排出トレイ57に至る一連の用紙搬送路R1〜R5には、それぞれ用紙搬送のための搬送ロールが適宜配設されている。第一のトレイ50に収容された用紙Pは、送り出しロール53により送り出された後、第一の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部58へと送り込まれる。また、第二のトレイ51に収容された用紙Pは、送り出しロール54により送り出された後、第一の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部58へと送り込まれる。一方、第三のトレイ52に収容された用紙Pは、送り出しロール55によって合流搬送部58へと直接送り込まれる。
また、合流搬送部58に送り込まれた用紙Pは、第二の用紙搬送路R2を経由して画像形成部3の二次転写部20へと送り込まれる。更に、二次転写部20を通過した用紙Pは、バキューム搬送部45により定着部46に送り込まれた後、第三の用紙搬送路R3を経由して排出トレイ57へと排出される。これに対して、両面に画像が形成される用紙Pは、定着部46を通過した後、第四の用紙搬送路R4を経由して両面反転部59に送り込まれ、ここで表裏反転された後、第五の用紙搬送路R5を経由して再び合流搬送部58へと送り込まれる。
このような用紙搬送路R1〜R5において、第二の用紙搬送路R2には姿勢補正部60とレジストロール61とが配設されている。姿勢補正部60は第二の用紙搬送路R2を搬送される用紙Pの姿勢を補正するものであり、レジストロール61は互いに圧接状態に保持された一対のロールによって構成されたもので、これら一対のロール間で用紙Pをニップしつつ、所定のスタート信号に基づくタイミングでこのロール対を回転させることによって二次転写部20に用紙Pを送り込むものである。
また、用紙排出部5に設けられる第三の用紙搬送路R3には、定着部46において定着を行う際に生じた用紙Pのカールを補正する第一のカール補正部(カール補正部、カール補正手段)62が設けられている。他方、画像形成部3に設けられる第五の用紙搬送路R5には、定着部46を通過し両面画像形成を行うために反転搬送される用紙Pのカールを補正する第二のカール補正部63が設けられている。なお、第一のカール補正部62の詳細については後述する。
続いて、本実施の形態にかかるタンデム型フルカラー画像形成装置1の基本的な画像形成動作について説明する。まず、画像読み取り部2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像信号に基づいて画像形成部3でトナー像が形成される。画像形成部3では、四つの感光体ドラム11を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器12、レーザ露光器13、現像装置14によって各感光体ドラム11の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像が形成される。このようにして形成された各色のトナー像は、一次転写ロール16によって順次中間転写ベルト15上に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト15には、四色のトナー像を重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー像が形成される。そして、中間転写ベルト15に形成されたトナー像は、中間転写ベルト15に担持された状態で二次転写部20へと送り込まれる。
一方、操作パネル56を用いてユーザにより選択されたトレイの用紙P、あるいは自動選択機能によって選択されたトレイの用紙Pは、二次転写部20に中間転写ベルト15上のトナー像が到達するタイミングに合わせてレジストロール61により送り込まれる、例えば、選択されたトレイが第一のトレイ50である場合には、送り出しロール53によって送り出された用紙Pが第一の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部58に送り込まれ、更に第二の用紙搬送路R2を経由して姿勢補正部60にてその姿勢が補正された後、レジストロール61により二次転写部20へと送り込まれることになる。
そして、画像形成部3の二次転写部20では、中間転写ベルト15に担持されたトナー像(フルカラー画像)が二次転写ロール21によって用紙Pに一括転写(二次転写)される。その後、トナー像が転写された用紙Pはバキューム搬送部45によって定着部46に送られ、加熱加圧定着がなされた後、第三の用紙搬送路R3を経由し、第一のカール補正部62によってカール補正がなされた後、排出トレイ57に排出される。
また、用紙Pの両面に画像形成が行われる場合は、片面に画像形成された用紙Pが第四の用紙搬送路R4を経由して両面反転部59に送られ、そこで表裏反転されて第五の用紙搬送路R5に送られる。その後、片面に画像が形成された用紙Pは、第二のカール補正部63を通過することによってカール補正がなされ、さらに第五の用紙搬送路R5に沿って搬送された後、この第五の用紙搬送路R5の終端近傍に設けられた送り出しロール64に突き当てられて一時停止する。そして、所定の再スタート信号に基づく送り出しロール64の回転により、片面に画像形成された用紙Pは、タイミング調整されて合流搬送部58に再度送り込まれる。以降は、同様にトナー像が用紙Pに転写、定着された後、第三の用紙搬送路R3を経由し、第一のカール補正部62によってカール補正がなされた後、排出トレイ57に排出される。
図3は、上述した第一のカール補正部62の構成を示す図である。この第一のカール補正部62は、定着部46(図1参照)通過後に、用紙Pの搬送方向両端部が上を向くように曲がるアッパーカールを補正するアッパーカール補正部70と、用紙Pの搬送方向両端部が下を向くように曲がるダウンカールを補正するダウンカール補正部80とを備えている。本実施の形態では、第三の用紙搬送路R3に、並列に分岐した後に再び集合するアッパーカール補正用搬送路R3aおよびダウンカール補正用搬送路R3bが設けられている。そして、アッパーカール補正用搬送路R3aにはアッパーカール補正部70が、ダウンカール補正用搬送路R3bにはダウンカール補正部80が、それぞれ配置されている。
また、アッパーカール補正部70およびダウンカール補正部80からみて用紙Pの搬送方向上流側には、第三の用紙搬送路R3をアッパーカール補正用搬送路R3aおよびダウンカール補正用搬送路R3bに分岐し且つ用紙Pを案内するための上流側ガイド65が設けられている。この上流側ガイド65の分岐部近傍には、軸66aを中心に揺動自在に配設され、定着部46(図1参照)から搬送されてくる用紙Pの向きをアッパーカール補正用搬送路R3a側(アッパーカール補正部70側)またはダウンカール補正用搬送路R3b側(ダウンカール補正部80側)に切り替えるためのゲート66が配置されている。
一方、アッパーカール補正部70およびダウンカール補正部80からみて用紙Pの搬送方向下流側には、アッパーカール補正用搬送路R3aおよびダウンカール補正用搬送路R3bを第三の用紙搬送路R3に集合し且つ用紙Pを案内するための下流側ガイド67が設けられている。この下流側ガイド67の集合部よりも下流側には、用紙Pを排出トレイ57(図1参照)に送り出すための排出ロール68が取り付けられている。
アッパーカール補正部70は、第一のベルト71aを備えた第一のベルト搬送部71と、この第一のベルト71aに押し付けられて湾曲したニップ域(第一のニップ域)を形成する第一の押圧ロール72aを備えた第一の湾曲ニップ形成部72とを備えている。また、アッパーカール補正部70は、第一のベルト搬送部71よりも用紙Pの搬送方向上流側で用紙Pをニップ搬送する第一の搬送ロール73を備えている。さらに、アッパーカール補正部70は、アッパーカール補正用搬送路R3a中を搬送されてくる用紙Pを第一のニップ域に導くための第一の湾曲ニップガイド74を備えている。
ここで、第一のベルト搬送部71は、回動可能に配設される第一のベルト71aと、この第一のベルト71aを回動可能に張架する第一の駆動ロール71bおよび第一の従動ロール71cとを備えている。また、第一の湾曲ニップ形成部72は、回転可能に配設される第一の押圧ロール72aと、この第一の押圧ロール72aを回転可能に支持する第一の支持部材72bと、第一の押圧ロール72aよりも第一のベルト71aから遠い側の第一の支持部材72bに回転可能に支持される第一のカム当接部材72cとを有している。この第一のカム当接部材72cには、軸69を中心として回動可能に配設される第一のカム75が当接配置されている。この第一のカム75は多角形状を有しており、軸69の中心からの距離が異なる複数(本実施の形態では三つ)の端面を第一のカム当接部材72cに当接させることで、第一のベルト71aに対する第一の押圧ロール72aの食い込み状態(第一のニップ域の形状)を三段階(強・中・弱)で変化させることが可能となっている。
一方、ダウンカール補正部80は、第二のベルト81aを備えた第二のベルト搬送部81と、この第二のベルト81aに押し付けられて湾曲したニップ域(第二のニップ域)を形成する第二の押圧ロール82aを備えた第二の湾曲ニップ形成部82とを備えている。また、ダウンカール補正部80は、第二のベルト搬送部81よりも用紙Pの搬送方向上流側で用紙Pをニップ搬送する第二の搬送ロール83を備えている。さらに、ダウンカール補正部80は、ダウンカール補正用搬送路R3a中を搬送されてくる用紙Pを第二のニップ域に導くための第二の湾曲ニップガイド84を備えている。
ここで、第二のベルト搬送部81は、回動可能に配設される第二のベルト81aと、この第二のベルト81aを回動可能に張架する第二の駆動ロール81bおよび第二の従動ロール81cとを備えている。また、第二の湾曲ニップ形成部82は、回転可能に配設される第二の押圧ロール82aと、この第二の押圧ロール82aを回転可能に支持する第二の支持部材82bと、第二の押圧ロール82aよりも第二のベルト81aから遠い側の第二の支持部材82bに回転可能に支持される第二のカム当接部材82cとを有している。この第二のカム当接部材82cには、軸69を中心として回動可能に配設される第二のカム85が当接配置されている。この第二のカム85は多角形状(第一のカム75と同一のプロファイル)を有しており、軸69の中心からの距離が異なる複数(本実施の形態では三つ)の端面を第二のカム当接部材82cに当接させることで、第二のベルト81aに対する第二の押圧ロール82aの食い込み状態(第二のニップ域の形状)を三段階(強・中・弱)で変化させることが可能となっている。
つまり、本実施の形態では、アッパーカール補正部70に設けられた第一のカム75およびダウンカール補正部80に設けられた第二のカム85が、ともに軸69が駆動されることに伴って回動する。そして、第一のカム75および第二のカム85の取り付けを工夫することにより、軸69を所定の位置まで回動させて停止させたときに、第一の押圧ロール72aによる第一のベルト71aへの食い込み状態および第二の押圧ロール82aによる第二のベルト81aへの食い込み状態が同一となるように構成されている。
図4は、制御部40の機能を説明するためのブロック図である。なお、制御部40は、画像形成装置全体の制御を行っているが、図6には、第一のカール補正部62におけるカール補正の制御に関連する機能ブロックのみを示している。
制御部40のCPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに従い、RAM103との間で適宜データのやりとりを行いながら処理を実行する。そして、制御部40には、タイマ104が設けられている。また、この制御部40には、入出力インタフェース105を介して、操作パネル56およびキーボード56aにて受け付けられたジョブ開始指示情報、用紙種類情報(第一のトレイ50、第二のトレイ51、および第三のトレイ52のうち、いずれのトレイに収容される用紙Pを使用するのかについての情報)が入力される。さらに、制御部40には、入出力インタフェース105を介して、IPS44から用紙Pに形成される画像の密度情報(画像密度情報)が用紙P一枚毎に入力される。さらにまた、制御部40には、入出力インタフェース105を介して、温度センサ47からの温度情報、湿度センサ48からの湿度情報、および用紙検知センサ49からの用紙検知情報が入力される。
一方、制御部40は、入出力インタフェース105を介して、第一のベルト搬送部71(実際には第一の駆動ロール71b)および第二のベルト搬送部81(実際には第二の駆動ロール81b)を駆動する搬送ベルト駆動モータ91を制御している。また、制御部40は、軸69を介して第一のカム75および第二のカム85を駆動するカム駆動モータ92を制御している。さらに、制御部40は、ゲート66を駆動するゲート駆動モータ93を制御している。なお、搬送ベルト駆動モータ91は、上述した第一のベルト搬送部71および第二のベルト搬送部81の他に、排出ロール68、第一の搬送ロール73、および第二の搬送ロール83の駆動も行っている。
次に、図1〜図4を参照しつつ、第一のカール補正部62におけるカール補正動作について説明する。定着部46を通過して画像が定着された用紙Pは、定着部46で受けた熱により、画像形成面が内側となるように湾曲したり、あるいは画像形成面が外側となるように湾曲したりすることがある。本実施の形態に係る画像形成装置の場合、前者は用紙Pの搬送方向両端部が上がるアッパーカールとなり、後者は用紙Pの搬送方向両端部が下がるダウンカールとなる。制御部40では、操作パネル56あるいはキーボード56aを介して、このジョブで使用される用紙Pが収容されるトレイの番号の指定が受け付けられる。そして、制御部40では、受け付けたトレイに収容される用紙Pの種類(例えば坪量、コート層の有無、コート層の種類等)をメモリから読み出している。そして、制御部40では、操作パネル56やキーボード56aを介して入力されたトレイ情報に基づく用紙Pの種類、温度センサ47からの温度情報、湿度センサ48からの湿度情報、IPS44からの画像密度情報に基づき、テーブルを参照して適切なカール補正条件を取得している。すなわち、制御部40では、受け付けたこれらの情報に基づいて、次に第一のカール補正部62に搬送されてくる用紙Pに、アッパーカール、ダウンカールのいずれが生じているのか、および、生じるカール(アッパーカール、ダウンカール)はどの程度(強・中・弱)であるのかを予測して、ゲート66の切り替えおよび第一のベルト71aに対する第一の押圧ロール72aの食い込み状態(第二のベルト81aに対する第二の押圧ロール82aの食い込み状態)の選択・設定を行って、自動的にカール補正を実行している。
今、第一のカール補正部62に用紙Pが搬送されてくる前に、搬送ベルト駆動モータ91によって第一のベルト搬送部71における第一のベルト71aおよび第二のベルト搬送部81における第二のベルト81aは駆動され、それぞれ図中矢印方向に回動する。また、第一の搬送ロール73、第二の搬送ロール83、および排出ロール68も搬送ベルト駆動モータ91によって駆動され、図中矢印方向に回動する。さらに、搬送されてくる用紙Pに生じるカールの方向(アッパーカールまたはダウンカール)および生じるカールの程度(強・中・弱)に応じて第一のベルト71aに対する第一の押圧ロール72aの食い込み量(アッパーカールの場合)または第二のベルト81aに対する第二の押圧ロール82aの食い込み量(ダウンカールの場合)が決定され、これに基づいてカム駆動モータ92によって軸69が回動せしめられ、第一のカム75または第二のカム85が所定の位置にセットされる。
ここで、第一のカム75が所定の位置にセットされると、第一のカム75の位置に応じて第一のカム当接部材72cおよびこの第一のカム当接部材72cが取り付けられる第一の支持部材72bが位置決めされる。その結果、この第一の支持部材72bに取り付けられる第一の押圧ロール72aの、第一のベルト71aへの食い込み状態が、所定の状態(強・中・弱のいずれか)に設定される。他方、第二のカム85が所定の位置にセットされると、第二のカム85の位置に応じて第二のカム当接部材82cおよび第二のカム当接部材82cが取り付けられる第二の支持部材82bが位置決めされる。その結果、この第二の支持部材82bに取り付けられる第二の押圧ロール82aの、第二のベルト81aへの食い込み状態が、所定の状態(強・中・弱のいずれか)に設定される。ここで、本実施の形態では、上述したような位置関係で第一のカム75および第二のカム85を配置しているので、第一のカム75によるアッパーカール補正部70側の食い込み状態が「強」に設定されているときには、第二のカム85によるダウンカール補正部80側の食い込み量も「強」に設定される。なお、食い込み状態が例えば「強」に設定されるのは、用紙Pに生じるカールが大きいときであり、食い込み状態が例えば「弱」に設定されるのは、用紙Pに生じるカールが小さいときである。
次に、搬送されてくる用紙Pに生じるカールの向きに応じてゲート66の位置が決定される。具体的には、ゲート66がアッパーカール補正用搬送路R3aを開放してダウンカール補正用搬送路R3bを閉鎖する位置(アッパーカールの場合)、または、ゲート66がダウンカール補正用搬送路R3bを開放してアッパーカール補正用搬送路R3aを閉鎖する位置(ダウンカールの場合)のどちらかにセットされる。このゲート66の設定動作は、用紙Pの先端が用紙検知センサ49にて検知された際に行われる。
アッパーカールした用紙Pの場合、用紙Pはゲート66によって第三の用紙搬送路R3からアッパーカール補正用搬送路R3aへと導かれ、第一の搬送ロール73によってさらに搬送されて第一のベルト71aと第一の押圧ロール72aとが当接する第一のニップ域に到達する。すると、用紙Pは、第一のベルト71aと第一の押圧ロール72aとにニップされることによってアッパーカールとは逆側に湾曲せしめられる力を受け、その結果、アッパーカールの補正がなされる。そして、カール補正がなされた用紙Pは、排出ロール68によってさらに搬送され、排出トレイ57(図1参照)に向けて送り出される。
一方、ダウンカールした用紙Pの場合、用紙Pはゲート66によって第三の用紙搬送路R3からダウンカール補正用搬送路R3bへと導かれ、第二の搬送ロール83によってさらに搬送されて第二のベルト81aと第二の押圧ロール82aとが当接する第二のニップ域に到達する。すると、用紙Pは、第二のベルト81aと第二の押圧ロール82aとにニップされることによってダウンカールとは逆側に湾曲せしめられる力を受け、その結果、ダウンカールの補正がなされる。そして、カール補正がなされた用紙Pは、排出ロール68によってさらに搬送され、排出トレイ57(図1参照)に向けて送り出される。
このように、第一のカール補正部62では、用紙Pの種類、環境条件(温度、湿度)、および形成される画像の密度に基づいて定着部46を通過した用紙Pに生じるカールの向きおよびカールの程度を予測しながら、カール補正の制御が行われている。
しかしながら、実際に用紙に生じるカールの向きやカールの程度は、他の条件も絡んでくるために必ずしも一義的には決まらず、予測とは逆方向へのカールが生じたり、あるいは、予測よりもカールの程度が大きかったり(小さかったり)することもある。このような場合には、排出トレイ57に排出される用紙Pにカールが残ったままとなってしまう。
そこで、本実施の形態では、上述したように第一のカール補正部62におけるカール補正条件が自動的に設定される自動設定モード(第一のカール補正モード)の他に、カール補正条件を手動で設定できる手動設定モード(第二のカール補正モード)も準備されている。
手動設定モードでは、第一のカール補正部62において、各種カール補正条件にて用紙Pにカール補正を行って複数のカール補正サンプルを出力する。そして、各種カール補正条件にて出力された各カール補正サンプルをユーザが目視で確認した後、最もカール補正の状態が良好であるカール補正サンプルを作成した条件にカール補正条件を設定できるようになっている。なお各種カール補正条件とは、カール補正にアッパーカール補正部70、ダウンカール補正部80のいずれを使用するのか(ゲート66をどちらに設定するのか)、および、アッパーカール補正部70、ダウンカール補正部80における食い込み量の設定を強・中・弱のいずれに設定するのか(第一のカム75、第二のカム85をどの位置に設定するのか)、の組み合わせで決まる。したがって、本実施の形態では、6種類のカール補正条件(複数段階のカール補正条件)が存在することになる。なお、例えば第一のカム75および第二のカム85として楕円形状のものを使用することにより、無段階でカール補正条件を変更することも可能である。
次に、図5に示すフローチャートおよび図6に示すUI画面例を参照しながら、本実施の形態におけるカール補正条件の手動設定モードについて説明する。なお、本実施の形態において、ジョブの初期段階では自動設定モードでカール補正が行われているものとする。
まず、ユーザによって操作パネル56あるいはキーボード56aが操作されることにより、印刷開始指示がなされると(ステップ101)、ジョブすなわち画像形成動作が開始される。そして、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)で作成されたトナー像が中間転写ベルト15を介して用紙Pに転写され、定着部46によって定着された後、第一のカール補正部62を通過して排出トレイ57に排出される。このとき、第一のカール補正部62では、上述したプロセスにしたがってカール補正の向きおよび強さが自動的に設定され、用紙Pのカール補正が行われる。
ここで、図6(a)は、ジョブ(画像形成動作)の開始時に操作パネル56に表示されるUI(ユーザインタフェース)の一例を示している。このとき、操作パネル56には、「印刷しています」のメッセージが表示される他、第一のカール補正部62におけるカール補正量の調整すなわち「デカーラ調整」の実行を選択するためのボタンも表示されている。
ジョブの実行によって画像が形成された用紙Pは次々とプリントアウトされ、排出トレイ57上に排出される。ユーザは、排出トレイ57上の用紙Pのカール状態を目視で確認する。ここで、排出された用紙Pに残るカールがユーザにとって気になる程度であった場合、ユーザは、上記操作パネル56の「デカーラ調整」のボタンを押下する。すると、制御部40では、「デカーラ調整」ボタンが押下されたことを認識し(ステップ102)、次に、図6(b)に示すように、操作パネル56にデカーラ調整を行うか否かのメッセージを表示し、ユーザによる選択を受け付ける(ステップ103)。
図6(b)に示す画面において「はい」ボタンが押下されると、一旦、ジョブが中断され(ステップ104)、各種カール補正条件(上述した6種類のカール補正条件)でカール補正を行った記録材(カール補正サンプル)の出力が開始される(ステップ105)。すなわち、カール補正サンプルの出力指示がなされることになる。カール補正サンプルの出力が開始されると、操作パネル56には、図6(c)に示すようにカール補正サンプルの出力中であることを示すメッセージが表示される。なお、カール補正サンプルを出力する際には、ステップ104で中断されたジョブと同じ条件で用紙Pに画像が形成される。これは、用紙Pのカールが補正しきれなかった条件を再現するためである。本実施の形態では、6種類のカール補正条件が存在するため、カール補正サンプルとして6枚の用紙Pに画像が形成され、出力される。そして、6枚の用紙Pに対し、第一のカール補正部62において、用紙P1枚毎に異なる6種類のカール補正条件でカール補正がなされる。
ここで、図7は、ステップ105において出力されるカール補正サンプルの一例を示している。図7に示すように、各カール補正サンプルの用紙Pには画像Gが形成されている。また、用紙Pには、画像Gの他に、「カールの最も少ないサンプル番号を操作画面より入力して下さい」というメッセージM、および、カール補正条件毎に付されたサンプル番号N(図7に示す例では「3」)も形成される。なお、表1には、カール補正条件とサンプル番号Nとの関係を示す。
Figure 0004483665
ここで、ゲート66の位置は、用紙Pをアッパーカール補正部70へと導く第一の位置(図3に示す位置)、用紙Pをダウンカール補正部80へと導く第二の位置のいずれかより選択される。また、第一のカム75あるは第二のカム85の位置は、第一の押圧ロール72aあるいは第二の押圧ロール82aが第一のベルト71aあるいは第二のベルト81aを強く押す位置A(強)、弱く押す位置C(弱)、強と弱との間の位置B(中)のいずれかより選択される。
そして、6種類のカール補正サンプルの出力が終了すると、操作パネル56には、図6(d)に示すように、カール補正サンプルの出力が終了したことを知らせるメッセージが表示される(ステップ106)。このとき、操作パネル56には、上述したメッセージの他、カールが最も少なかったユーザが判断したカール補正サンプルのサンプル番号Nを入力するためのウィンドウも表示される。そして、例えばキーボード56aを介してサンプル番号Nが入力されたことを受け付けると(ステップ107)、受け付けられたサンプル番号Nのカール補正サンプルを出力した際のカール補正条件の設定が行われる(ステップ108)。いま、例えば、ユーザによりサンプル番号3が選択されていた場合には、上記表1に示すように、ゲート66の位置が第一の位置すなわちアッパーカール補正部70を使用するように設定される。また、第一のカム75の位置がCの位置に設定されることにより、アッパーカール補正部70において第一のベルト71aに対する第一の押圧ロール72aの押圧力が弱く設定される。つまり、この場合には、用紙Pに生じたアッパーカールを弱い力で補正する設定となる。
そして、カール補正条件の設定が終了すると、次に、ステップ104で中断したジョブを初めから印刷する(やり直す)のか否かが判断される(ステップ109)。このとき、操作パネル56には、図6(e)に示すように、はじめから(1枚目から)印刷するのか、あるいは、途中から(ジョブ中断時点の続きから)印刷するのかについての入力を促す画面が表示される。ここで、「はじめから(1枚目から)」が選択された場合には、1枚目から印刷を開始し、ジョブを実行し(ステップ110)、ジョブの終了と共に一連の処理を終了する。一方、「途中から」が選択された場合には、ジョブが中断された時点の続きから印刷を再開し(ステップ111)、ジョブの終了と共に一連の処理を終了する。なお、操作パネル56に図6(e)に示す画面が表示された時点からタイマ104で計時が開始され、タイマ104による計時時間が1分となった時点でも選択がなされていなかった場合には、自動的にステップ111に進み、途中から印刷を再開することとなる。また、ステップ103で、図6(b)に示す画面において「いいえ」ボタンが押下されると、そのままジョブが続行される。
以上説明したように、本実施の形態では、第一のカール補正部62におけるカール補正条件を種々変えながら用紙Pを挿通させ、カール補正サンプルとして出力するようにした。ここで、カール補正条件としては、アッパーカール補正部70およびダウンカール補正部80のいずれを使用するのか、および、アッパーカール補正部70およびダウンカール補正部80における押圧力を異ならせるようにした。これにより、各カール補正条件におけるカールの補正状態を確認することができる。
また、本実施の形態では、カール補正サンプルを出力するに際して、実際に形成すべき画像を用紙Pに形成し、定着部46で定着した後に第一のカール補正部62に供給するようにした。これにより、実際の画像形成と同じ条件でカールの発生状態を確認することが可能となる。さらに、本実施の形態では、用紙Pに画像を形成する際に、各カール補正条件に対応するサンプル番号を一緒に形成するようにした。そして、出力されたカール補正サンプルのうち、最もカール補正が良好に行われたもののサンプル番号を操作パネル56およびキーボード56a等を用いて入力できるようにした。そして、フルカラー画像形成装置1では、受け付けられたサンプル番号のカール補正サンプルを出力した際のカール補正条件を、第一のカール補正部62に設定するようにした。これにより、実際の画像形成時に出力される用紙Pに生じるカールを、極力抑えることが可能になる。
特に、本実施の形態では、ジョブの途中でカール補正がうまくいっていないことが判明した場合に、一旦ジョブを中断して、カール補正サンプルの出力を実行できるようにした。これにより、カールが発生した用紙Pが大量に出力されることがなくなり、用紙Pの無駄を抑えることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1では、開始されたジョブの途中でユーザがカール補正(デカーラ調整)を行うか否かを設定していたのに対し、本実施の形態では、ジョブを開始する前にデカーラ調整を行うか否かを設定できるようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
次に、図8に示すフローチャートおよび図9、図6に示すUI画面例を参照しながら、本実施の形態におけるカール補正条件の手動設定モードについて説明する。
まず、ユーザによって印刷開始指示がなされると(ステップ201)、図9(a)に示すように、操作パネル56にデカーラ調整を行うか否かのメッセージを表示し、ユーザによる選択を受け付ける(ステップ202)。図9(a)に示す画面において「はい」ボタンが押下されると、各種カール補正条件(上述した6種類のカール補正条件)でカール補正を行ったサンプル(カール補正サンプル)の出力が開始される(ステップ203)。すなわち、カール補正サンプルの出力指示がなされたことになる。カール補正サンプルの出力が開始されると、操作パネル56には、図6(c)に示すようにカール補正サンプルの出力中であることを示すメッセージが表示される。なお、カール補正サンプルを出力する際には、これから行われるジョブと同じ条件で用紙Pに画像が形成される。これは、用紙Pに生じるカールをより確実に補正するためである。本実施の形態では、実施の形態1と同様に6種類のカール補正条件が存在するため、カール補正サンプルとして6枚の用紙Pに画像が形成され、出力される。そして、6枚の用紙Pに対し、第一のカール補正部62において、用紙P1枚毎に異なる6種類のカール補正条件でカール補正がなされる。なお、出力されるカール補正サンプルは、実施の形態1と同様に図7に示すようなものであり、各カール補正条件は、実施の形態1と同様に表1に示すようなものである。
そして、6種類のカール補正サンプルの出力が終了すると、操作パネル56には、図6(d)に示すように、カール補正サンプルの出力が終了したことを知らせるメッセージが表示される(ステップ204)。このとき、操作パネル56には、上述したメッセージの他、カールが最も少なかったユーザが判断したカール補正サンプルのサンプル番号Nを入力するためのウィンドウも表示される。そして、例えばキーボード56aを介してサンプル番号Nが入力されたことを受け付けると(ステップ205)、受け付けられたサンプル番号Nのカール補正サンプルを出力した際のカール補正条件の設定が行われる(ステップ206)。
そして、カール補正条件の設定が終了すると、実際の印刷(画像形成動作)が開始される(ステップ207)。本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、必ず1枚目から画像形成動作が開始されることになる。そして、ジョブの終了と共に一連の処理を終了する。なお、ステップ202において、図9(a)に示す画面において「いいえ」ボタンが押下されると、そのままステップ207へと進み、印刷が開始される。また、操作パネル56に図9(a)に示す画面が表示された時点からタイマ104で計時が開始され、タイマ104の計時時間が1分となった時点でも選択がなされていなかった場合には、自動的にステップ207に進み、印刷が開始されることになる。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した効果に加え、ジョブの開始時に必ずデカーラ調整を行うか否かを選択できるようにしたので、ジョブの初期段階からカールが極力抑えられた用紙Pを出力することが可能になる。
なお、本実施の形態では、ジョブの開始時に必ずデカーラ調整を行うか否かをユーザが設定するようになっていたが、シビアなデカーラ調整を必要としないユーザも少なからず存在する。そこで、操作パネル56やキーボード56aを用いて、ジョブの開始時にデカーラ調整を行うか否かを設定するための画面を表示させないようにすることもできる。図9(b)は、操作パネル56に表示される管理者画面の一例を示している。このとき、操作パネル56には、デカーラ調整初期設定の実行を選択するためのボタンが表示されている。ユーザがこのボタンを押下すると、操作パネル56には、図9(c)に示す画面が表示される。そして、ジョブの開始時(印刷開始時)にデカーラ調整を行うか否かの選択画面を表示させたいときには、図9(c)に示す表示画面において「ON」のボタンを、表示させたくないときには「OFF」のボタンを押下することにより、ジョブ開始時にデカーラ調整を行うか否かの選択画面を表示させるか否かを設定することができる。
また、実施の形態1,2では、第一のカール補正部62を例に説明を行ったが、第二のカール補正部63に対しても、同様の機構を適用することができる。さらに、実施の形態1,2では、所謂タンデム型且つ中間転写型の画像形成装置を例に説明を行ったが、他の形式の画像形成装置に対しても、当然、適用することができる。
本実施の形態に係るフルカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。 本実施の形態に係るフルカラー画像形成装置の要部を示す図である。 第一のカール補正部を示す図である。 制御部の機能を説明するためのブロック図である。 手動設定モードにおけるカール補正条件設定プロセスの処理の流れを示すフローチャートである。 (a)〜(e)は操作パネルに表示される画面の一例を示す図である。 カール補正サンプルの一例を示す図である。 手動設定モードにおけるカール補正条件設定プロセスの処理の流れを示すフローチャートである。 (a)〜(c)は操作パネルに表示される画面の一例を示す図である。
符号の説明
1…フルカラー画像形成装置、2…画像読み取り部、3…画像形成部、4…用紙供給部、5…用紙排出部、10(10Y,10M,10C,10K)…画像形成ユニット、20…二次転写部、40…制御部、44…IPS、46…定着部、47…温度センサ、48…湿度センサ、49…用紙検知センサ、56…操作パネル、56a…キーボード、57…排出トレイ、62…第一のカール補正部、63…第二のカール補正部、66…ゲート、68…排出ロール、70…アッパーカール補正部、71…第一のベルト搬送部、71a…第一のベルト、72…第一の湾曲ニップ形成部、72a…第一の押圧ロール、80…ダウンカール補正部、81…第二のベルト搬送部、81a…第二のベルト、82…第二の湾曲ニップ形成部、82a…第二の押圧ロール、91…搬送ベルト駆動モータ、92…カム駆動モータ、R1…第一の用紙搬送路、R2…第二の用紙搬送路、R3…第三の用紙搬送路、R3a…アッパーカール補正用搬送路、R3b…ダウンカール補正用搬送路、R4…第四の用紙搬送路、R5…第五の用紙搬送路

Claims (10)

  1. 記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部によって前記記録材に形成された前記トナー像を定着する定着部と、
    前記定着部を通過した前記記録材に生じたカールを、当該記録材に対し押圧力を付加することで補正するカール補正部と、
    前記カール補正部における押圧力を順次変化させることにより、当該カール補正部にて異なる押圧力が付加された複数の記録材を順次出力させる制御部と
    を含む画像形成装置。
  2. 前記制御部は、前記複数の記録材を出力させる際に、前記画像形成部にて前記記録材にトナー像を形成させ、前記定着部にて当該記録材に形成されたトナー像を定着させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、前記複数の記録材を出力させる際に、異なる押圧力毎に設定された所定形状のトナー像を、前記画像形成部によって前記記録材に形成させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. ユーザからの入力を受け付ける入力受付部をさらに含み、
    前記制御部は、前記入力受付部を介して所定の指示の入力を受け付けた場合に、前記複数の記録材を出力させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 出力された複数の記録材のうち、一の記録材の選択を受け付ける選択受付部をさらに含み、
    前記制御部は、前記カール補正部に、前記選択受付部にて受け付けられた前記一の記録材を出力した際の押圧力を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記記録材の情報および/または前記画像形成部にて形成されるトナー像の情報に基づいて前記カール補正部における押圧力が自動設定される第一のカール補正モード、および、当該カール補正部における押圧力が手動設定される第二のカール補正モードで、当該カール補正部を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  7. シートに生じたカールを、無段階または複数段階のカール補正条件より選択された所定のカール補正条件で補正するカール補正手段と、
    カール補正サンプルの出力指示の入力を受け付ける受付手段と、
    前記受付手段にて前記カール補正サンプルの出力指示が受け付けられた場合に、前記カール補正手段におけるカール補正条件を複数設定し、異なるカール補正条件でカール補正された複数のシートをカール補正サンプルとして順次出力させる制御手段と
    を含むカール補正装置。
  8. 前記カール補正手段は、シートの端部が上側を向くアッパーカールおよびシートの端部が下側を向くダウンカールを補正することを特徴とする請求項7記載のカール補正装置。
  9. 前記カール補正手段は、シートに生じたカールとは逆側に湾曲させる力を付加することで当該シートのカールを補正し、
    前記制御手段は、前記カール補正手段において前記シートに付加される前記湾曲させる力を可変することで、カール補正条件を複数設定することを特徴とする請求項7記載のカール補正装置。
  10. 前記受付手段は、前記カール補正手段によって出力された複数のカール補正サンプルのうち、一のカール補正サンプルの選択をさらに受け付け、
    前記制御手段は、前記カール補正手段に、前記受付手段にて受け付けられた前記一のカール補正サンプルを出力した際のカール補正条件を設定することを特徴とする請求項7記載のカール補正装置。
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