JP4483307B2 - 積層構造部品及びその製造方法 - Google Patents

積層構造部品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4483307B2
JP4483307B2 JP2004009871A JP2004009871A JP4483307B2 JP 4483307 B2 JP4483307 B2 JP 4483307B2 JP 2004009871 A JP2004009871 A JP 2004009871A JP 2004009871 A JP2004009871 A JP 2004009871A JP 4483307 B2 JP4483307 B2 JP 4483307B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating layer
layer
firing
laminated structure
insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004009871A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005203641A (ja
Inventor
泰弘 中田
正彦 川口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2004009871A priority Critical patent/JP4483307B2/ja
Publication of JP2005203641A publication Critical patent/JP2005203641A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4483307B2 publication Critical patent/JP4483307B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Description

本発明は、携帯電話等に汎用される高周波コイル部品等の積層構造部品及びその製造方法に関し、更に詳しくは、信頼性の高い積層構造部品及びその製造方法に関するものである。
従来の積層構造部品の製造方法として、例えば絶縁体基板上で導体ペースト及びガラスペーストを交互に繰り返して逐次焼成し、複数の導体パターンと複数の絶縁層を形成する方法がある。例えば特許文献1には絶縁体基板上で感光性導体ペーストを塗布、乾燥した後、露光、現像してスパイラル状のコイルパターンを形成し、更に、このコイルパターンを焼成して絶縁性基板上に導体膜を形成する高周波インダクタの製造方法が提案されている。この特許文献1には、絶縁体基板上に導体パターンを形成する際の導体ペーストの焼成条件については記載されているが、絶縁層の焼成条件については記載されていない。
特開平8−316080号公報
しかしながら、従来のこの種の積層構造部品の製造方法の場合には絶縁体基板上で感光性導体ペーストと感光性絶縁ペーストとを交互に繰り返して逐次焼成するに当たって、全層ともそれぞれの感光性導体ペースト及び感光性絶縁ペーストを同一の焼成条件で逐次焼成するため、その積層構造部品の絶縁体基板上の一層目の絶縁層中に多くの気泡が残留し、一層目の絶縁層の膜質及び絶縁性が低下するという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、絶縁体基板上の一層目の絶縁層中の気泡を抑制し、一層目の絶縁層の膜質及び絶縁性を高めることができ、延いては信頼性を高めることができる積層構造部品及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、一層目に多く残留する気泡の発生原因について種々検討した結果、以下のことが判った。即ち、絶縁体基板上で一層目の導体ペーストを焼結して導体パターンを形成する際に、通常、焼結中に感光性導体ペースト中で気泡が発生するが、導体ペースト中の銀等の金属粉末はガラス層等の絶縁層上と比較して絶縁体基板上では焼結し難いため、導体パターン中に多くの気泡が残留した未焼結状態になる。この状態で絶縁体基板上に導体パターンを覆ってガラスペースト等の絶縁ペーストを塗布して焼結すると、この一層目の絶縁ペーストも絶縁体基板上にあって導体ペーストと同様に焼結し難く、導体ペーストの場合と同じ現象が現れて多くの気泡を発生する。この際、絶縁ペーストと同時に未焼結の導体パターンも焼結されて導体パターン中の気泡が絶縁ペースト側に押し出されて絶縁ペーストに集中し、焼結中の絶縁ペーストの粘性流動と相俟って、絶縁ペーストにおいて集中した気泡が成長し、これらの気泡が焼成後の一層目の絶縁層中に比較的大きな気泡として残留し、その膜質及び絶縁性を低下させることが判った。
そこで、本発明者等は、気泡を抑制する方法について種々検討した結果、絶縁体基板上の一層目の導体ペースト及び一層目の絶縁ペーストを焼結する際に、特定の焼成条件を付与することによって一層目の絶縁層中に残留する気泡を格段に減少させることができ、この絶縁層の膜質及び絶縁性を高められることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、本発明の請求項1に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を形成する際の焼成温度を、それより上層の焼成温度より高く設定することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を仮焼することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を形成する際の焼成時間を、それより上層の焼成時間より長く設定することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層とセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層に、それより上層の導電層の金属粉末の粒径より細かい粒径の金属粉末を使用することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項7に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層を形成する際の焼成時間を、それより上層の焼成時間より長く設定することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層とセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層に、それより上層の絶縁層のセラミック粉末の粒径より細かい粒径のセラミック粉末を使用することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項9に記載の積層構造部品の製造方法は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層と低融点ガラス粉末を含むセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層のセラミック粉末中の低融点ガラス粉末の比率を、それより上層の絶縁層のセラミック粉末中の低融点ガラス粉末の比率より高く設定することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項10に記載の積層構造部品は、絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層と低融点ガラス粉末を含むセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層は、それより上層の絶縁層より高い比率で低融点ガラス粉末成分を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、絶縁体基板上の一層目の絶縁層中の気泡を格段に抑制し、一層目の絶縁層の膜質及び絶縁性を高めることができ、延いては信頼性を高めることができる積層構造部品及びその製造方法を提供することができる。
以下、図1〜図4に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明の積層構造部品の一実施形態を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその内部構造を示す透視図、図2は図1に示す積層構造部品を示す分解斜視図、図3は本発明の積層構造部品の製造方法の一実施形態の要部を示す工程図、図4は図3に示す積層構造部品を焼成する時の温度プロファイル示すグラフである。
本発明の積層構造部品の一実施形態として高周波コイル部品を例に挙げて説明する。本実施形態の高周波コイル部品10は、例えば図1の(a)、(b)に示すように、複数層積層してなる矩形状の積層体11と、積層体11の内部で積層体11の平面形状に即して上下方向に螺旋状に形成されたコイル12と、コイル12の上下両端部の内部電極部12A、12Bにそれぞれ接続され且つ積層体11の左右端面を被覆する左右一対の外部電極13A、13Bとを備えている。
上記積層体11は、例えば図2に示すように、最下層の絶縁体基板111と、この上に順次積層された絶縁層112、113、114と、最上層の保護層115とからなっている。また、上記コイル12は、絶縁体基板111及び絶縁層112、113、114それぞれの上面に渦巻状に形成された複数の導電層(導体パターン)121、122、123、124と、上下の導体パターンを接続するビアホール導体(図示せず)とからなり、全体として上下方向に延びる矩形状のコイル12として形成されている。尚、14A、14Bはそれぞれ実装基板面側の電極に接続するための端子電極である。
上記絶縁層112、113、114は、いずれもセラミック粉末を焼成することによって形成することができる。セラミック粉末は、特に制限されないが、セラミック粉末として、例えば、主成分としてKO−B−SiO系ガラス粉末を含み、副成分としてBi−B−SiO系ガラス粉末及び熱膨張係数調整用のフィラーを含むものを使用することができる。副成分であるBi−B−SiO系ガラス粉末は、軟化点が450〜550℃でKO−B−SiO系ガラス粉末と比較して融点が低いため、本発明では、セラミック粉末の主成分より融点の低いガラス粉末を低融点ガラス粉末として定義する。線膨張係数調整用のフィラーは、絶縁層の線膨張係数を絶縁体基板の線膨張係数と略等しい状態に調整し、絶縁層の絶縁体基板からの剥離を防止するもので、例えばクォーツ粉末、石英ガラス粉末等を使用することができる。また、導体パターン121、122、123、124は、いずれも金属粉末を焼成することによって形成することができる。金属粉末は、特に制限されないが、金属粉末として、例えば、銀粉末、銅粉末等を使用することができる。また、セラミック粉末としては、KO−B−SiO系ガラス粉末の他、絶縁体基板の材質に即して、銀粉末、銅粉末等の金属粉末と共焼成可能なセラミックガラス粉末を二種以上適宜組み合わせて使用しても良い。
また、上記絶縁体基板111から一層目で導体パターン121を被覆する絶縁層112は、二層目以降の絶縁層113、114よりも細かい粒径のセラミック粉末を焼成して形成されたものが好ましい。一層目の絶縁層112には、それより上層の絶縁層113、114よりも細かい粒径のセラミック粉末を使用することによってセラミック粉末の焼結性を高め、絶縁層112内での気泡の発生を抑制して絶縁性等の膜質を高めることができる。また、同様の観点から、上記絶縁体基板111から一層目の導体パターン121は、二層目以降の導体パターン122、123、124よりも細かい粒径の金属粉末を焼成して形成されたものが好ましい。一層目の導体パターン121には、それより上層の導体パターン122、123、124よりも細かい粒径の金属粉末を使用することによって絶縁体基板111上での金属粉末の焼結性を高めることができ、延いては一層目の絶縁層112のセラミック粉末の焼結性を高めることができる。
また、図1には図示してないが、上記絶縁体基板111上に導体パターン121を形成するに先立って、基底絶縁層を形成し、この基底絶縁層上に導体パターン121以降の各層を逐次焼成して形成しても良い。この基底絶縁層は、上述のセラミック粉末を焼成することによって形成することができる。また、このセラミック粉末には、例えば絶縁層112を形成するためのセラミック粉末を使用しても良い。
而して、上記高周波コイル部品10の製造には、本発明の積層構造部品の製造方法が好適に用いられる。そこで、本発明の積層構造部品の製造方法を下記の各実施例に基づいて図3及び図4を参照しながら説明する。
本実施例では、予め、絶縁体基板としての3インチ角のアルミナ基板、感光性導体ペースト及び感光性絶縁ペーストを準備した。感光性導体ペーストとしては、例えば粒径2μmの銀粉末を含むものを準備し、感光性絶縁ペーストとしては、粒径3μmのセラミック粉末を含むもの準備した。このセラミック粉末は、主成分としてKO−B−SiO系ガラス粉末を含み、副成分としてBi−B−SiO系ガラス粉末及び熱膨張係数調整用のフィラーを含んでいる。本実施例では、低融点ガラス粉末がセラミック粉末中に5wt%含まれている。線膨張係数調整用のフィラーとしては、例えばクォーツ粉末、石英ガラス粉末を使用することができる。
高周波コイル部品10を製造する場合には、図3の(a)に示すように絶縁体基板(本実施例では、アルミナ基板を用いたため、以下、「アルミナ基板」と称す。)111を設置し、このアルミナ基板111の上面に、感光性導体ペースト121Aを塗布した後、同図の(b)に示すように感光性導体ペースト121A上面にマスク(図示せず)を介して光Lを照射し、渦巻状の導体パターンとなる部分を硬化させ、未硬化の部分を現像処理により除去する。そして、表1に示すように、このアルミナ基板111を昇温速度7℃/分で900℃のピーク温度まで昇温して図4のAに示す温度プロファイルで焼成し、同図の(c)に示すように一層目の導体パターン121を形成した。
その後、上記アルミナ基板111の上面に感光性絶縁ペースト112Aを塗布した後、図3の(d)に示すように感光性絶縁ペースト112Aの上面にマスク(図示せず)を介して光Lを照射し、所定のビアホールとなる部分(本実施例では導体パターンの内端部に相当する部分)以外を硬化させ、ビアホールの部分を現像処理により除去してビアホール112Bを形成して導体パターン121の内端部を表出させる。そして、表1に示すように、このアルミナ基板111を、昇温速度7℃/分の昇温速度で850℃のピーク温度まで昇温して図4のBに示す温度プロファイルで焼成し、図3の(e)に示すように一層目の絶縁層112を形成した。
一層目の絶縁層112を形成した後は、上述の手順に従って二層目以降の各導体パターン、絶縁層及び保護層の全層を、それぞれ7℃/分の昇温速度で850℃のピーク温度まで昇温して図4のBに示す温度プロファイルの条件で逐次焼成することによって高周波コイル部品10を得た。
尚、現像処理後にビアホール内に導電性ペーストを充填しておくことにより、ビアホール導体を絶縁層112と同時に形成する。
さて、本実施例では、一層目の絶縁層112において発生した気泡の数を計数するために、二層目の絶縁層まで焼成して実施例1の試料を作製した。そして、この試料について、拡大鏡を用いてアルミナ基板1枚当たりの気泡の数を計数した。この際、高周波コイル部品の不具合の原因となる直径50μm以上の大きさの気泡を計数し、この計数の結果を表1に示した。
また、実施例1の試料と比較するために、従来の製造方法に則って比較例1の試料を作製した。比較例1の試料は、従来の方法と同様にアルミナ基板111上の全層とも同一焼成条件で交互に繰り返して逐次焼成して作製した。比較例1の試料としては実施例1の試料と同様に二層目の絶縁層まで形成し、一層目の絶縁層中に含まれる気泡を計数した。比較例1の試料を作製する際には、表1に示すように一層目の感光性導体ペースト121A及び一層目の感光性絶縁ペースト112Aの双方とも、二層目以降の各層と同様に、昇温速度7℃/分で850℃のピーク温度まで昇温し、図4のBに示す温度プロファイルで焼成して一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112を形成した。そして、二層目の絶縁層を形成した段階で、一層目の絶縁層112において発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。尚、二層目以降の導体パターン及び絶縁層は、全て一層目のものと同様に図4のBに示す温度プロファイルで焼成する。
表1に示す結果によれば、実施例1の場合には一層目の絶縁層112中の気泡の数が41個であった。これに対して、比較例1の場合にはその気泡の数が96個であり、実施例1の場合と比較して気泡の数が格段に多いことが判った。これらの結果から、一層目の感光性導体ペースト121Aの焼成温度を、一層目の絶縁層112以降の各層の焼成温度より高く(本実施例では、50℃高く)設定することで、一層目の導体パターン121の焼結性を従来よりも高めることができ、一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を格段に抑制し、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を従来と比較して格段に高めることができた。
本実施例では、一層目の感光性導体ペースト121Aの焼成条件を変えた以外は実施例1と同様に二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例2の試料を作製した。即ち、アルミナ基板11上で一層目の感光性導体ペースト121Aを焼成する際に、表1に示すように、まず昇温速度4℃/分で550℃のピーク温度まで昇温し、図4のCに示す温度プロファイルで一層目の感光性導体ペースト121Aを仮焼した後、この感光性導体ペースト121Aを昇温速度7℃/分で850℃のピーク温度まで昇温し、図4のBに示す温度プロファイルで焼成して導体パターン121を形成し、実施例2の試料として作製した。そして、一層目の絶縁層112において発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が実施例1の場合の半分程度の19個と極めて少ないことが判った。この結果から、一層目の感光性導体ペースト121Aを焼成する際にこの層を仮焼した後、この層をこれより上層の各層の焼成温度と同一温度に設定して焼成しても、仮焼工程を入れることによって一層目の導体パターン121の焼結性を高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を更に抑制することができ、延いては一層目の絶縁膜112の膜質及び絶縁性を実施例1の場合よりも高められることが判った。
本実施例では、銀粉末の粒径を2μmから1μmに変えた感光性導体ペースト121Aを一層目の感光性導体ペーストとして使用した以外は比較例1(従来例)と同様に二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例3の試料を作製した。そして、一層目の絶縁層112内で発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が44個で実施例1の場合と同程度になることが判った。この結果から、従来と同様に全層とも同一の焼成条件で逐次焼成しても、感光性導体ペースト121Aの銀粉末の粒径を実施例1の場合より細かくすることで、一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112の焼結性を高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を実施例1と同程度まで抑制することができ、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を実施例1の場合と同程度まで高められることが判った。尚、一層目以外の他の層の導体パターン122、123、124には粒径2μmの銀粉末を用いた。
本実施例では、一層目の感光性絶縁ペースト112Aの焼成温度を変えた以外は実施例1と同一条件で二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例4の試料を作製した。即ち、表1に示すように、一層目の感光性絶縁ペースト112Aを昇温速度7℃/分で900℃のピーク温度まで昇温し、図4のAに示す温度プロファイルで焼成した。そして、一層目の絶縁層112において発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が実施例1の場合の半分程度の19個と極めて少ないことが判った。この結果から、一層目の感光性導体ペースト121A及び感光性絶縁ペースト112Aの焼成温度を、二層目以降の各層の焼成温度より高く設定することで、一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112の焼結性を更に高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を実施例1の半分程度まで抑制することができ、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を実施例1よりも高められることが判った。
本実施例では、一層目の感光性絶縁ペースト112Aの焼成条件を変えた以外は実施例1と同一条件で二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例5の試料を作製した。即ち、表1に示すように、一層目の感光性絶縁ペースト112Aを焼成する際に、昇温速度4℃/分で550℃のピーク温度まで昇温し、図4のCに示す温度プロファイルで二層目の感光性絶縁ペースト112Aを仮焼し、次いで、この感光性導体ペースト121Aを昇温速度7℃/分で850℃のピーク温度まで昇温し、図4のBに示す温度プロファイルで焼成した。そして、一層目の絶縁層112において発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が実施例1の場合の1/4程度の9個と極めて少ないことが判った。この結果から、一層目の感光性導体ペースト121Aを二層目以降の各層よりも高い温度に設定すると共に、一層目の感光性絶縁ペースト112Aを焼成する際にこの層を仮焼した後、この層をこれより上層の各層の焼成温度と同一温度に設定して焼成しても、仮焼工程を入れることによって一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112の焼結性を更に高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を実施例1の半分程度まで抑制することができ、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を実施例1よりも高められることが判った。
本実施例では、セラミック粉末の粒径を3μmから1.5μmに変えた感光性絶縁ペースト112Aを一層目の感光性絶縁ペーストとして使用した以外は実施例1と同一条件で二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例6の試料を作製した。そして、一層目の絶縁層112内で発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が21個で実施例1の場合の1/3以下になることが判った。この結果から、感光性絶縁ペースト112Aのセラミック粉末の粒径を実施例1の場合より細かくすることで、一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112の焼結性を更に高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を実施例1の半分程度まで抑制することができ、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を実施例1よりも高められることが判った。
本実施例では、セラミック粉末中の低融点ガラス粉末の含有量を5wt%から10wt%に変えた感光性絶縁ペースト112Aを使用した以外は実施例1と同一条件で二層の絶縁層まで逐次焼成して実施例7の試料を作製した。そして、一層目の絶縁層112内で発生した気泡の数を計数し、この結果を表1に示した。表1に示す結果によれば、本実施例では一層目の絶縁層112中の気泡の数が21個で実施例1の半分程度になることが判った。この結果から、感光性絶縁ペースト112Aにおけるセラミック粉末中の低融点ガラス粉末の含有量を高めることで、一層目の導体パターン121及び一層目の絶縁層112の焼結性を更に高めて一層目の絶縁層112において発生する気泡の数を実施例1の半分程度まで抑制することができ、延いては一層目の絶縁層112の膜質及び絶縁性を実施例1よりも高められることが判った。
Figure 0004483307
尚、本発明は上記各実施例に何等制限されるものではなく、例えば、銀粉末やガラス粉末を他の金属粉末やセラミック粉末を適宜選択して用いることができる。また、上記実施形態では説明しなかったが、一層目の感光性導体ペースト及び一層目の感光性絶縁ペーストの焼結性を高めるために、これらの層を、これらより上層の各層よりも長時間焼成しても上記各実施例と同様の作用効果を期することができる。長時間焼成する場合には、一層目の感光性導体ペースト及び一層目の感光性絶縁ペーストの焼成温度をそれより上層の焼成温度と同一温度に設定しても焼成を行っても良い。また、上記実施形態では積層構造部品として高周波コイル部品を例に挙げて説明したが、本発明は、積層セラミックコンデンサ等の積層構造部品に広く適用することができる。
本発明は、携帯電話等に汎用される高周波コイル部品等の積層構造部品を製造する場合に好適に利用することができる。
本発明の積層構造部品の一実施形態を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその内部構造を示す透視図である。 図1に示す積層構造部品を示す分解斜視図である。 本発明の積層構造部品の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図3に示す積層構造部品の製造方法における焼成温度プロファイル示すグラフである。
符号の説明
10 高周波コイル部品(積層構造部品)
111 アルミナ基板(絶縁体基板)
112〜114 絶縁層
121〜124 導体パターン(導電層)

Claims (8)

  1. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を形成する際の焼成温度を、それより上層の焼成温度より高く設定することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  2. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を仮焼することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  3. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を形成する際の焼成時間を、それより上層の焼成時間より長く設定することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  4. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層とセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層に、それより上層の導電層の金属粉末の粒径より細かい粒径の金属粉末を使用することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  5. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、導電層と絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層を形成する際の焼成時間を、それより上層の焼成時間より長く設定することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  6. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層とセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層に、それより上層の絶縁層のセラミック粉末の粒径より細かい粒径のセラミック粉末を使用することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  7. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層と低融点ガラス粉末を含むセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品の製造方法において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層のセラミック粉末中の低融点ガラス粉末の比率を、それより上層の絶縁層のセラミック粉末中の低融点ガラス粉末の比率より高く設定することを特徴とする積層構造部品の製造方法。
  8. 絶縁体基板上で逐次焼成してなる、金属粉末が焼成された導電層と低融点ガラス粉末を含むセラミック粉末が焼成された絶縁層とを有する積層構造部品において、上記絶縁体基板から一層目の上記導電層を被覆する上記絶縁層は、それより上層の絶縁層より高い比率で低融点ガラス粉末成分を含むことを特徴とする積層構造部品。
JP2004009871A 2004-01-16 2004-01-16 積層構造部品及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4483307B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004009871A JP4483307B2 (ja) 2004-01-16 2004-01-16 積層構造部品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004009871A JP4483307B2 (ja) 2004-01-16 2004-01-16 積層構造部品及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005203641A JP2005203641A (ja) 2005-07-28
JP4483307B2 true JP4483307B2 (ja) 2010-06-16

Family

ID=34822765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004009871A Expired - Lifetime JP4483307B2 (ja) 2004-01-16 2004-01-16 積層構造部品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4483307B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4453385B2 (ja) * 2004-02-13 2010-04-21 ソニー株式会社 表示装置の製造方法
EP2061290B1 (en) * 2006-09-06 2011-10-12 Tokuyama Corporation Ceramic substrate manufacturing method and ceramic substrate
KR20130046254A (ko) * 2011-10-27 2013-05-07 삼성전기주식회사 인덕터
JP7156197B2 (ja) 2019-07-25 2022-10-19 株式会社村田製作所 インダクタ部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005203641A (ja) 2005-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3918851B2 (ja) 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法
JP5825322B2 (ja) 積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び積層セラミックキャパシタの実装基板
JP2008085280A (ja) 表面実装型電子部品とその製造方法
JP2010040860A (ja) 積層コイル部品およびその製造方法
JP2004214573A (ja) セラミック多層基板の製造方法
JP4783842B2 (ja) 多層セラミック基板
JP2011151089A (ja) 積層セラミック電子部品とその製造方法
CN109644559A (zh) 电子器件以及多层陶瓷基板
JP2006253322A (ja) 電子部品
JP2008159738A (ja) コモンモードノイズフィルタ
JP4483307B2 (ja) 積層構造部品及びその製造方法
JP2009088420A (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP2004096010A (ja) 積層型セラミック電子部品の製造方法
JP2008091433A (ja) 積層型電子部品及びその製造方法
JP2009206233A (ja) セラミック基板の製造方法
JP2005101317A (ja) セラミック電子部品及びその製造方法
JP2005209404A (ja) 積層セラミック電子部品の内部電極用導電ペースト及びそれを用いた積層セラミック電子部品の製造方法
JP2006120779A (ja) 多層基板及びその製造方法
JP5195253B2 (ja) 電子部品の製造方法
JP3498200B2 (ja) 積層セラミック複合部品
JP2002246267A (ja) 積層型複合デバイス及びその製造方法
JP2007018774A (ja) チップ型ヒューズ素子
JP2013098350A (ja) 積層型インダクタおよびその製造方法
JP2011077158A (ja) 積層体およびこれを用いた電子部品の製造方法
JP2019179812A (ja) 積層バリスタの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4483307

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140402

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term