JP2010040860A - 積層コイル部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性体セラミック層と内部導体の間に空隙を形成することなく、内部応力の問題を緩和して、高特性で、信頼性の高い積層コイル部品を提供する。
【解決手段】磁性体セラミック素子3の側面から内部導体2に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層1aを備えた構成とする。
ポア面積率6〜20%の領域を有する上記磁性体セラミック層を複数層備えた構成とする。
内部導体と内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、かつ、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離した構成とする。
磁性体セラミック素子の側面から、磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させることにより、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する。
【選択図】図1
【解決手段】磁性体セラミック素子3の側面から内部導体2に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層1aを備えた構成とする。
ポア面積率6〜20%の領域を有する上記磁性体セラミック層を複数層備えた構成とする。
内部導体と内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、かつ、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離した構成とする。
磁性体セラミック素子の側面から、磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させることにより、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成することにより形成される、磁性体セラミック素子の内部に螺旋状コイルが配設された構造を有する積層コイル部品に関する。
近年、電子部品の小型化への要求が大きくなり、コイル部品に関しても、その主流は積層型のものに移りつつある。
ところで、磁性体セラミックと内部導体を同時焼成して得られる積層コイル部品は、磁性体セラミック層と内部導体との間で熱膨張係数の違いから発生する内部応力が、磁性体セラミックの磁気特性を低下させ、積層コイル部品のインピーダンス値の低下やばらつきを引き起こすという問題点がある。
そこで、このような問題点を解消するために、焼成後の磁性体セラミック素子を酸性のめっき液中に浸漬処理して、磁性体セラミック層と内部導体との間に空隙を設けることにより、内部導体による磁性体セラミック層への応力の影響を回避して、インピーダンス値の低下やばらつきを解消するようにした積層型インピーダンス素子が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この特許文献1の積層型インピーダンス素子においては、磁性体セラミック素子をめっき液中に浸漬して、内部導体が磁性体セラミック素子の表面に露出する部分からめっき液を内部に浸透させることにより、磁性体セラミック層と内部導体の間に不連続な空隙を形成するようにしていることから、磁性体セラミック層間に、内部導体と空隙が形成されることになり、内部導電体層が細って、セラミック層間に占める内部導体の割合が小さくならざるを得ないのが実情である。
そのため、直流抵抗の低い製品を得ることが困難になるという問題点がある。特に、寸法が、1.0mm×0.5mm×0.5mmの製品や、0.6mm×0.3mm×0.3mmの製品などのように小型の製品になると、磁性体セラミック層を薄くすることが必要になり、磁性体セラミック層間に、内部導体と空隙の両方を設けつつ、内部導体を厚く形成することが困難になるため、直流抵抗の低減を図ることができなくなるばかりでなく、サージなどによる内部導体の断線が発生しやすくなり、十分な信頼性を確保することができなくなるという問題点がある。
特開2004−22798号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、積層コイル部品を構成する磁性体セラミック層と内部導体の間に従来のような空隙を形成することなく、磁性体セラミック層と内部導体との間で、焼成収縮挙動や熱膨張係数の違いから発生する内部応力の問題を緩和することが可能で、直流抵抗が低く、かつサージなどによる内部導体の断線が発生しにくい、信頼性の高い積層コイル部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)の積層コイル部品は、
積層された複数の磁性体セラミック層と、前記磁性体セラミック層を介して配設された、Agを主成分とする内部導体とを備える磁性体セラミック素子の内部に、前記内部導体を層間接続することにより形成された螺旋状コイルを有する積層コイル部品であって、
前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えていること
を特徴としている。
積層された複数の磁性体セラミック層と、前記磁性体セラミック層を介して配設された、Agを主成分とする内部導体とを備える磁性体セラミック素子の内部に、前記内部導体を層間接続することにより形成された螺旋状コイルを有する積層コイル部品であって、
前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えていること
を特徴としている。
また、前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する前記磁性体セラミック層は、複数層配設されていることが望ましい。
また、前記ポア面積率が6〜20%の領域を有する前記磁性体セラミック層としては、全体がポア面積率6〜20%の磁性体セラミック層を用いることが望ましい。
また、本発明の積層コイル部品においては、前記内部導体と前記内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、かつ、前記内部導体と前記磁性体セラミックとの界面が解離していることが望ましい。
また、本発明の積層コイル部品の製造方法は、
磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成して、内部に螺旋状コイルを備えるとともに、側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成する工程と、
前記磁性体セラミック素子の側面から、前記磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させることにより、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する工程と
を備えていることを特徴としている。
磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成して、内部に螺旋状コイルを備えるとともに、側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成する工程と、
前記磁性体セラミック素子の側面から、前記磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させることにより、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する工程と
を備えていることを特徴としている。
また、本発明の積層コイル部品の製造方法は、磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成して、内部に螺旋状コイルを備え、前記磁性体セラミック素子の互いに対向する側面に前記螺旋状コイルの一対の端部の互いに異なる方の端部が露出しているとともに、前記螺旋状コイルの端部が露出していない側面から、前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成する工程と、
前記磁性体セラミック素子の、前記一対の側面に露出した前記螺旋状コイルの一対の端部と導通するように、前記磁性体セラミック素子の前記一対の側面に外部電極を形成する工程と、
酸性物質を含むめっ液を用いて前記外部電極の表面にめっきを施す工程と
を備えていることを特徴としている。
前記磁性体セラミック素子の、前記一対の側面に露出した前記螺旋状コイルの一対の端部と導通するように、前記磁性体セラミック素子の前記一対の側面に外部電極を形成する工程と、
酸性物質を含むめっ液を用いて前記外部電極の表面にめっきを施す工程と
を備えていることを特徴としている。
本発明(請求項1)の積層コイル部品は、磁性体セラミック素子の側面から内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域(以下、「ポーラス領域」ともいう)を有する磁性体セラミック層を備えている。この積層コイル部品においては、ポア面積率6〜20%のポーラス領域から磁性体セラミック素子の内部に酸性溶液を浸入させ、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に到達させることにより、内部導体と磁性体セラミックとの界面の結合を切断する(すなわち解離させる)ことができる。したがって、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離して応力が十分に緩和された、特性の良好な積層コイル部品を得ることが可能になる。
なお、酸性溶液としては、例えば、電極表面にめっき処理を施す場合に用いられるめっき液を用いることが可能である。
なお、酸性溶液としては、例えば、電極表面にめっき処理を施す場合に用いられるめっき液を用いることが可能である。
また、磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を複数層配設することにより、本発明をより実効あらしめることができる。
すなわち、上述のように、酸性溶液をポーラス領域から内部導体と磁性体セラミックとの界面に到達させる場合において、より確実に酸性溶液を界面に到達させて、内部導体と磁性体セラミックとの界面の結合を切断することが可能になる。
すなわち、上述のように、酸性溶液をポーラス領域から内部導体と磁性体セラミックとの界面に到達させる場合において、より確実に酸性溶液を界面に到達させて、内部導体と磁性体セラミックとの界面の結合を切断することが可能になる。
また、ポア面積率が6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層として、全体がポア面積率6〜20%の磁性体セラミック層を用いることにより、磁性体セラミック層の形成に複雑なプロセスを必要とすることがなく、製造が容易で上述のような特有の作用効果を奏する積層コイル部品を提供することが可能になる。
本発明の積層コイル部品においては、内部導体と内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面に空隙を存在させることなく、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離した構成を備えているので、磁性体セラミック層と内部導体の間で発生する内部応力の問題が緩和され、特性の良好な積層コイル部品を提供することができる。
また、本発明の積層コイル部品の製造方法は、磁性体セラミック素子の側面から、磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させて、内部導体と、その周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断するようにしているので、磁性体セラミック素子の側面から、酸性溶液を内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に確実に浸透させることが可能になり、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の応力を緩和することができる。その結果、特性のばらつきが少なく、直流抵抗を低減することが可能で、サージなどによる内部導体の断線が発生しにくく、信頼性の高い積層コイル部品を効率よく製造することが可能になる。
また、内部に螺旋状コイルを備え、磁性体セラミック素子の互いに対向する側面に螺旋状コイルの一対の端部が露出しているとともに、螺旋状コイルの端部が露出していない側面から、内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域(ポーラス領域)を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成し、螺旋状コイルの一対の端部と導通するように、磁性体セラミック素子の前記一対の側面に外部電極を形成した後、酸性物質を含むめっき液を用いて前記外部電極の表面にめっきを施すことにより、磁性体セラミック素子の端面を外部電極が覆っている場合にも、磁性体セラミック素子の側面から、前記ポーラス領域を経てめっき液(酸性溶液)を内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に確実に浸透させて、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の応力を緩和することができる。その結果、特性が良好で、信頼性の高い積層コイル部品をさらに効率よく製造することが可能になる。
また、酸性物質を含むめっき液を、酸性溶液として用い、めっきを施す際に、同時に酸性溶液を磁性セラミック素子に浸透させることにより、既存の工程に新たな工程を付加することを必要とせずに、効率よく信頼性の高い積層コイル部品を製造することが可能になる。
以下、本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例にかかる積層コイル部品(この実施例1では積層インピーダンス素子)の構成を模式的に示す正面断面図、図2は図1の積層コイル部品の製造方法を示す分解斜視図、図3は図1の積層コイル部品の側面断面図である。
この積層コイル部品10は、積層された磁性体セラミック層1と、磁性体セラミック層1を介して積層された、Agを主成分とする内部導体2が接続されてなる螺旋状コイル4を有する磁性体セラミック素子3を備えている。そして、磁性体セラミック素子3の両端部には、螺旋状コイル4の両端部4a,4bと導通するように一対の外部電極5a,5bが配設されている。
また、磁性体セラミック素子3を構成する磁性体セラミック層1のうち、最も下側の内部導体2に接する磁性体セラミック層1(1a)と、中央の内部導体2に接する磁性体セラミック層1(1a)と、最も上側の内部導体2に接する磁性体セラミック層1(1a)の合計3層の磁性体セラミック層1として、ポア面積率6〜20%の、ポーラスな磁性体セラミック層が配設されている。
なお、積層コイル部品10の寸法は、長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmである。
また、螺旋状コイル4を構成する内部導体2の幅は約80μm、厚みは15μm、螺旋状コイル4の巻回数は12ターンである。また、磁性体セラミック層1は、焼成前のグリーンシートの状態で厚みが約30μmのものである。
また、螺旋状コイル4を構成する内部導体2の幅は約80μm、厚みは15μm、螺旋状コイル4の巻回数は12ターンである。また、磁性体セラミック層1は、焼成前のグリーンシートの状態で厚みが約30μmのものである。
この積層コイル部品10において、内部導体2と、その周囲の磁性体セラミック11との界面には空隙が存在せず、内部導体2とその周囲の磁性体セラミック11とは密着しているが、内部導体2と磁性体セラミック11とが界面で結合していない状態、すなわち解離した状態となっている。
また、この積層コイル部品10においては、内部導体2と磁性体セラミック11が、その界面で解離しているため、内部導体2と磁性体セラミック11との結合を切断するために界面に空隙を設ける必要がなく、内部導体を細らせることなく、応力が緩和された積層コイル部品10を得ることができる。したがって、特性のばらつきが少なく、直流抵抗を低減することが可能で、サージなどによる内部導体の断線が発生しにくい、高信頼性の積層コイル部品を提供することが可能になる。
次に、この積層コイル部品10の製造方法について説明する。
(1)Ni−Cu−Zn系のフェライト原料と、水系のバインダーとを含むスラリーをシート状に成形して、厚みが約30μmの第1のグリーンシートを作製した。
また、上記(1)で用いたフェライト原料と、水系のバインダーと、焼成後に空孔率が約50%となるような割合で添加された焼失材を含むスラリーをシート状に成形して、厚みが約30μmの第2のグリーンシート、すなわち、焼成後にポア面積率6〜20%の磁性セラミック層となるグリーンシートを作製した。
なお、第2のグリーンシートとして、焼成後にポア面積率が6〜20%の磁性セラミック層となるものを用いているのは、ポア面積率が6%未満になると、後述の酸性溶液(めっき液)を、磁性体セラミック素子の側面から浸入させて内部導体にまで到達させることが困難になり、20%を超えると、積層コイル部品の強度が低下することによる。
(1)Ni−Cu−Zn系のフェライト原料と、水系のバインダーとを含むスラリーをシート状に成形して、厚みが約30μmの第1のグリーンシートを作製した。
また、上記(1)で用いたフェライト原料と、水系のバインダーと、焼成後に空孔率が約50%となるような割合で添加された焼失材を含むスラリーをシート状に成形して、厚みが約30μmの第2のグリーンシート、すなわち、焼成後にポア面積率6〜20%の磁性セラミック層となるグリーンシートを作製した。
なお、第2のグリーンシートとして、焼成後にポア面積率が6〜20%の磁性セラミック層となるものを用いているのは、ポア面積率が6%未満になると、後述の酸性溶液(めっき液)を、磁性体セラミック素子の側面から浸入させて内部導体にまで到達させることが困難になり、20%を超えると、積層コイル部品の強度が低下することによる。
(2)上記(1)で作製したグリーンシートの所定の位置にビアホールを形成した後、グリーンシートの表面に内部導体形成用の導電性ペーストを印刷して、コイルパターン(内部導体パターン)を形成した。
なお、上記導電性ペーストとしては、不純物元素が0.02重量%以下のAg粉末と、ワニスと、溶剤とを配合してなり、Ag含有率が85重量%の導電性ペーストを用いた。コイルパターン(内部導体パターン)形成用の導電性ペーストとしては、上述のように、Agの含有量が高いもの、例えば、Ag含有率が83〜89重量%のものを用いることが望ましい。
なお、不純物元素が多いと、酸性溶液により内部導体が腐食し、直流抵抗が増加するという不具合が生じる場合がある。
なお、上記導電性ペーストとしては、不純物元素が0.02重量%以下のAg粉末と、ワニスと、溶剤とを配合してなり、Ag含有率が85重量%の導電性ペーストを用いた。コイルパターン(内部導体パターン)形成用の導電性ペーストとしては、上述のように、Agの含有量が高いもの、例えば、Ag含有率が83〜89重量%のものを用いることが望ましい。
なお、不純物元素が多いと、酸性溶液により内部導体が腐食し、直流抵抗が増加するという不具合が生じる場合がある。
(3)次に、図2に模式的に示すように、上述の方法で作製した、各グリーンシートを、例えば以下に説明するような順序で積層、圧着することにより、積層体(未焼成の磁性体セラミック素子)23を作製する。
グリーンシートを積層するにあたり、まず、内部導体パターンの形成されていない第1のグリーンシート21(21a)を下側の外層部形成用グリーンシートとして所定枚数積層する。
それから、その上に、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層し、さらに、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第1のグリーンシート21を所定枚数積層した後、内部導体パターン22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層し、さらに、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第1のグリーンシート21を所定枚数積層し、さらにその上に内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層する。これにより、各内部導体パターン22がビアホール導体24を介して層間接続され、螺旋状コイル4(図1参照)が形成される。
その後、さらに、内部導体パターンの形成されていない第1のグリーンシート21(21a)を上側の外層部形成用グリーンシートとして所定枚数積層し、圧着する。
これにより、図3に示すように、焼成後に磁性体セラミック素子3となる積層体(未焼成の磁性体セラミック素子)であって、焼成後にポア面積率6〜20%のポーラスな磁性体セラミック層1a(図1)となる第2のグリーンシート31が、所定の間隔をおいて3層配設された積層体が得られる。
グリーンシートを積層するにあたり、まず、内部導体パターンの形成されていない第1のグリーンシート21(21a)を下側の外層部形成用グリーンシートとして所定枚数積層する。
それから、その上に、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層し、さらに、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第1のグリーンシート21を所定枚数積層した後、内部導体パターン22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層し、さらに、内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第1のグリーンシート21を所定枚数積層し、さらにその上に内部導体パターン(コイルパターン)22が形成された第2のグリーンシート31を1枚積層する。これにより、各内部導体パターン22がビアホール導体24を介して層間接続され、螺旋状コイル4(図1参照)が形成される。
その後、さらに、内部導体パターンの形成されていない第1のグリーンシート21(21a)を上側の外層部形成用グリーンシートとして所定枚数積層し、圧着する。
これにより、図3に示すように、焼成後に磁性体セラミック素子3となる積層体(未焼成の磁性体セラミック素子)であって、焼成後にポア面積率6〜20%のポーラスな磁性体セラミック層1a(図1)となる第2のグリーンシート31が、所定の間隔をおいて3層配設された積層体が得られる。
(4)それから、この未焼成の磁性体セラミック素子23を必要に応じてカットした後、所定の条件で焼成することにより、焼結体である磁性体セラミック素子3を得た。
この実施例では、磁性体セラミック素子3における、磁性セラミック層の積層数(全積層数)を24層とし、そのうちの3層は上述のポーラスな磁性体セラミック層とした。さらに、内部導体の積層数は16層とした。
また、この積層コイル部品の寸法は、上述のように、長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmである。
また、螺旋状コイル4を構成する内部導体2の幅は約80μm、厚みは15μm、螺旋状コイル4の巻回数は12ターンである。
この実施例では、磁性体セラミック素子3における、磁性セラミック層の積層数(全積層数)を24層とし、そのうちの3層は上述のポーラスな磁性体セラミック層とした。さらに、内部導体の積層数は16層とした。
また、この積層コイル部品の寸法は、上述のように、長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmである。
また、螺旋状コイル4を構成する内部導体2の幅は約80μm、厚みは15μm、螺旋状コイル4の巻回数は12ターンである。
(5)次に、磁性セラミック素子3の両端面に、Ag含有率が85重量%の導電性ペーストを塗布し、800℃で1時間熱処理して、導電性ペーストを焼き付けることにより外部電極5a,5b(図1)を形成した。
それから、形成された外部電極5a,5bに、Niめっき、Snめっきを行い、下層にNiめっき膜層、上層にSnめっき膜層を備えた2層構造のめっき膜を形成した。これにより、図1に示すように、磁性体セラミック素子3の内部に、螺旋状コイル4を備えた構造を有する積層コイル部品(積層インピーダンス素子)10が得られる。
それから、形成された外部電極5a,5bに、Niめっき、Snめっきを行い、下層にNiめっき膜層、上層にSnめっき膜層を備えた2層構造のめっき膜を形成した。これにより、図1に示すように、磁性体セラミック素子3の内部に、螺旋状コイル4を備えた構造を有する積層コイル部品(積層インピーダンス素子)10が得られる。
なお、上記めっき工程では、Niめっき液として、硫酸ニッケルを約300g/L、塩化ニッケルを約50g/L、ホウ酸を約35g/Lの割合で含み、pHが4の酸性の溶液を用いた。
また、Snめっき液として、硫酸スズを約70g/L、クエン酸水素アンモニウムを約100g/L、硫酸アンモニウムを約100g/Lの割合で含み、pHが5の酸性の溶液を用いた。
また、Snめっき液として、硫酸スズを約70g/L、クエン酸水素アンモニウムを約100g/L、硫酸アンモニウムを約100g/Lの割合で含み、pHが5の酸性の溶液を用いた。
それから、上述のようにして作製した実施例の積層コイル部品の、磁性体セラミック層(上記第2のグリーンシートを用いて形成したポーラスな磁性体セラミック層)のポア面積率を以下の方法で測定した。
めっき前の磁性体セラミック素子の幅方向と厚み方向で規定される断面(以下、「W−T面」という)を鏡面研磨し、収束イオンビーム加工(FIB加工)した面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、焼結後の磁性体セラミック中のポア面積率を測定した。
具体的には、ポア面積率は画像処理ソフト「WINROOF(三谷商事(株)」により測定した。その具体的な、測定方法は、以下の通りである。
FIB装置 :FEI製FIB200TEM
FE−SEM(走査電子顕微鏡) :日本電子製JSM−7500FA
WinROOF(画像処理ソフト):三谷商事株式会社製、Ver.5.6
FIB装置 :FEI製FIB200TEM
FE−SEM(走査電子顕微鏡) :日本電子製JSM−7500FA
WinROOF(画像処理ソフト):三谷商事株式会社製、Ver.5.6
<収束イオンビーム加工(FIB加工)>
上述の方法で鏡面研磨した試料の研磨面に対し、入射角5°でFIB加工を行った。
上述の方法で鏡面研磨した試料の研磨面に対し、入射角5°でFIB加工を行った。
<走査電子顕微鏡(SEM)による観察>
SEM観察は、以下の条件で行った。
加速電圧 :15kV
試料傾斜 :0゜
信号 :二次電子
コーティング :Pt
倍率 :5000倍
SEM観察は、以下の条件で行った。
加速電圧 :15kV
試料傾斜 :0゜
信号 :二次電子
コーティング :Pt
倍率 :5000倍
<ポア面積率の算出>
ポア面積率は、以下の方法で求めた
a)計測範囲を決める。小さすぎると測定箇所による誤差が生じる。
(この実施例では、22.85μm×9.44μmとした)
b)磁性体セラミックとポアが識別しにくければ明るさ、コントラストを調節する。 c)2値化処理を行い、ポアのみを抽出する。画像処理ソフトWinROOFの「色抽出」では完全でない場合には手動で補う。
d)ポア以外を抽出した場合はポア以外を削除する。
e)画像処理ソフトの「総面積・個数計測」で総面積、個数、ポアの面積率、計測範囲の面積を測定する。
上述のようにして測定した、この実施例の積層コイル部品のポーラスな磁性体セラミック層のポア面積率は、11%であった。
なお、本発明におけるポア面積率は、上述のようにして測定した値である。
ポア面積率は、以下の方法で求めた
a)計測範囲を決める。小さすぎると測定箇所による誤差が生じる。
(この実施例では、22.85μm×9.44μmとした)
b)磁性体セラミックとポアが識別しにくければ明るさ、コントラストを調節する。 c)2値化処理を行い、ポアのみを抽出する。画像処理ソフトWinROOFの「色抽出」では完全でない場合には手動で補う。
d)ポア以外を抽出した場合はポア以外を削除する。
e)画像処理ソフトの「総面積・個数計測」で総面積、個数、ポアの面積率、計測範囲の面積を測定する。
上述のようにして測定した、この実施例の積層コイル部品のポーラスな磁性体セラミック層のポア面積率は、11%であった。
なお、本発明におけるポア面積率は、上述のようにして測定した値である。
また、比較のため、上述の第2のグリーンシート、すなわち、焼成後にポア面積率6〜20%の磁性セラミック層となるグリーンシートは用いず、磁性体セラミック層用のグリーンシートとして、上記第1のグリーンシートのみを用い、その他は上記実施例の場合と同様の方法で比較例の積層コイル部品を作製した。
この比較例の積層コイル部品は、磁性体セラミック素子に、ポーラスな磁性体セラミック層を含まない構成のものである。
この比較例の積層コイル部品は、磁性体セラミック素子に、ポーラスな磁性体セラミック層を含まない構成のものである。
[特性の評価]
それから、上述のようにして作製した実施例の積層コイル部品および比較例の積層コイル部品について、インピーダンスの測定を行った。
インピーダンスを測定するにあたっては、20個の試料を用意し、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製HP4291A)を用いて、100MHzにおけるインピーダンスを測定した。そして、その平均値を求め、これをインピーダンス(|Z|)の値とした。
その結果を表1に示す。
それから、上述のようにして作製した実施例の積層コイル部品および比較例の積層コイル部品について、インピーダンスの測定を行った。
インピーダンスを測定するにあたっては、20個の試料を用意し、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製HP4291A)を用いて、100MHzにおけるインピーダンスを測定した。そして、その平均値を求め、これをインピーダンス(|Z|)の値とした。
その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例の積層コイル部品の場合、インピーダンスは552Ωであったが、比較例の積層コイル部品の場合、インピーダンスは337Ωと小さいことが確認された。
実施例の積層コイル部品の場合、外部電極にNiめっき、Snめっきを施す工程で、めっきが行われると同時に、磁性体セラミック素子(積層コイル部品)の、外部電極が覆っていない側面に露出した、上述のようにポア面積率が11%であるポーラスな磁性体セラミック層から、Niめっき液および/またはSnめっき液が、磁性体セラミック素子の内部導体と磁性体セラミックの界面に到達して、内部導体と磁性体セラミックの界面における結合の切断が行われる。その結果、実施例の積層コイル部品では、内部応力による磁性体セラミックの磁気特性の低下を防止して、高いインピーダンス値を得ることが可能になる。
一方、比較例の積層コイル部品では、磁性体セラミック層が密でめっき液が内部導体と磁性体セラミックの界面にまで到達できず、内部導体と磁性体セラミックの界面における結合を切断することができないため、磁性体セラミック層と内部導体との間で熱膨張係数の違いから発生する内部応力により、磁性体セラミックの磁気特性が低下し、インピーダンス値も低い値となっている。
なお、上記実施例では 外部電極をめっきする際のめっき液を酸性溶液として利用し、積層コイル部品をこのめっき液に浸漬することにより、内部導体と、その周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断するようにしているが、例えば、めっき工程とは別の段階で、酸性溶液に磁性体セラミック素子を浸漬するように構成することも可能である。なお、酸性溶液としては、上述のめっき液に準じるような組成の酸性溶液を用いてもよく、他の酸性溶液を用いてもよい。
また、上記実施例では、ポーラスな磁性体セラミック層を3層配設するようにしているが、図4に示すように、ポーラスな磁性体セラミック層1aは少なくとも1層配設されていればよい。
内部導体は一つの螺旋状コイルを構成しており、1層でも内部導体に達するポーラスな部分を備えた磁性体セラミック層が存在すれば、酸性溶液(めっき液)は内部導体まで到達し、毛管現象などにより、螺旋状のコイルと磁性体セラミックの界面の全体にまで行き渡って、内部導体と、その周囲の磁性体セラミックとの界面の結合が切断されるため、十分な応力緩和を行うことができる。
内部導体は一つの螺旋状コイルを構成しており、1層でも内部導体に達するポーラスな部分を備えた磁性体セラミック層が存在すれば、酸性溶液(めっき液)は内部導体まで到達し、毛管現象などにより、螺旋状のコイルと磁性体セラミックの界面の全体にまで行き渡って、内部導体と、その周囲の磁性体セラミックとの界面の結合が切断されるため、十分な応力緩和を行うことができる。
なお、ポーラスな磁性体セラミック層の配設数は、上述のように3層、または1層に限られるものではなく、磁性体セラミック素子の厚みや、側面から内部導体までの距離などの条件に応じて、適切な層数を選択することが可能である。
また、本発明の積層コイル部品においては、図5(a),(b)、図6(a),(b)に示すように、磁性体セラミック素子3の側面から内部導体2に達する一部の領域だけがポーラスな、すなわち、ポア面積率が6〜20%の領域Pを有する磁性体セラミック層を備えた構成とすることも可能である。
なお、図5(a)では、ポア面積率が6〜20%のポーラスな領域Pが、磁性体セラミック素子3の対向する一対の側面から内部導体2に達するように3層配設されている場合を示しているが、図5(b)に示すように、ポア面積率が6〜20%のポーラスな領域Pを有する磁性体セラミック層は、少なくとも1層配設されていればよい。
また、図6(a)に示すように、磁性体セラミック素子3の側面から内部導体2に達する、ポア面積率が6〜20%のポーラスな領域Pを、磁性体セラミック素子3の一方の側面側にのみ設けることも可能であり、その場合、例えば図6(b)に示すように、ポア面積率が6〜20%のポーラスな領域Pを1層だけ備えた構成とすることも可能であり、また、特に図示しないが、複数層備えた構成とすることも可能である。
なお、図5(a),(b)に示すように、磁性体セラミック素子の側面から内部導体に達する一部の領域だけがポーラスで、他の領域は特にポーラスではない磁性体セラミック層を形成する方法としては、 例えば、図7(a)に示すように、上記実施例で用いた第1のグリーンシート21上に内部導体2を印刷し、その後、図7(b)に示すように、その周囲の一部の領域に、焼成後に、ポーラスな磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペースト41を印刷し、他の領域には、焼成後に特にポーラスではない磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペースト42を印刷する方法を用いることが可能である。なお、先に所定の位置にポーラスな磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペーストを塗布し、その後内部導体用の導電性ペーストを塗布するように構成することも可能である。
また、磁性体セラミック素子の側面から内部導体に達する一部の領域だけがポーラスで、他の領域は特にポーラスではない磁性体セラミック層を形成する方法としては、 特に図示しないが、一部の領域が焼成後にポーラスな磁性体セラミック層となり他の領域が特にポーラスではない磁性体セラミック層となるように、異なる材料を用いて形成された磁性体グリーンシートを用いることも可能である。
なお、例えば、図7(a)に示すように、上記実施例で用いた第1のグリーンシート21上に内部導体2を印刷し、その周囲の領域の全体に、図8に示すように、焼成後にポア面積率が6〜20%の磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペーストを塗布する方法を適用することにより、図9に示すように、内部導体2の全周においてその外周面(端面)と接するようにポーラスな磁性体セラミック層31が配設された構造の磁性体セラミック素子を形成することが可能になる。
また、上記の磁性体セラミックペーストを、段差解消のために、内部導体の周囲に塗布される磁性体セラミックペーストとしても用いることにより、効率よく、磁性体セラミック素子の側面から内部導体に達するポーラスな磁性体セラミック層を形成することが可能になる。
上述のように、本願発明においては、磁性体セラミック素子の側面から内部導体に達するポーラスな層として、全体がポーラスな磁性体セラミック層を配設したり、任意の領域だけがポーラスな磁性体セラミック層を配設したりすることが可能で、また、ポーラスな磁性体セラミック層やポーラスな領域の積層方向の配設数や配設位置、ポーラスな領域の同一平面における配設態様などに特別の制約はなく、条件に応じて適宜その配設態様を決定することが可能である。
また、ポーラスな領域は、磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達するように配設されてさえいればよく、その配設態様に特別の制約はないが、例えば、透視平面図で示した場合に、図10(a)に示すように、磁性体セラミック素子3の一対の側面のそれぞれの1箇所から内部導体2に達するような態様でポーラスな領域Pを配設したり、図10(b)に示すように、磁性体セラミック素子3の一対の側面のそれぞれの2箇所から内部導体2に達するような態様でポーラスな領域Pを配設したり、図10(c)に示すように、磁性体セラミック素子3の4つの側面のいずれもから内部導体2に達するような態様でポーラスな領域Pを配設したりすることが可能である。もちろんこれら以外の態様とすることも可能である。
また、上記の実施例では、1個ずつ積層コイル部品を製造する場合(個産品の場合)を例にとって説明したが、量産する場合には、例えば、多数のコイル導体パターンをマザーグリーンシートの表面に印刷し、このマザーグリーンシートを複数枚積層圧着して未焼成の積層体ブロックを形成した後、積層体ブロックをコイル導体パターンの配置に合わせてカットし、個々の積層コイル部品用の積層体を切り出す工程を経て多数個の積層コイル部品を同時に製造する、いわゆる多数個取りの方法を適用して製造することが可能である。
また、上記各実施例では、積層コイル部品が積層インピーダンス素子である場合を例にとって説明したが、本発明は、積層インダクタや積層トランスなど種々の積層コイル部品に適用することが可能である。
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、内部電極の厚みや磁性体セラミック層の厚み、製品の寸法、積層体(磁性体セラミック素子)の焼成条件などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることができる。
上述のように、本発明によれば、積層コイル部品を構成する磁性体セラミック層と内部導体の間に従来のような空隙を形成することなく、磁性体セラミック層と内部導体との間の焼成収縮挙動や熱膨張係数の違いから発生する内部応力を緩和して、直流抵抗が低く、かつサージなどによる内部導体の断線が発生しにくい、信頼性の高い積層コイル部品を提供することが可能になる。
したがって、本発明は、磁性体セラミック中にコイルを備えた構成を有する積層インピーダンス素子や積層インダクタなどをはじめとする種々の積層コイル部品に広く適用することが可能である。
したがって、本発明は、磁性体セラミック中にコイルを備えた構成を有する積層インピーダンス素子や積層インダクタなどをはじめとする種々の積層コイル部品に広く適用することが可能である。
1 磁性体セラミック層
1a ポーラスな磁性体セラミック層
2 内部導体
3 磁性体セラミック素子
4 螺旋状コイル
4a,4b 螺旋状コイルの両端部
5a,5b 外部電極
10 積層コイル部品
11 磁性体セラミック
21 第1のグリーンシート
21a 内部導体が形成されていない第1のグリーンシート
22 内部導体パターン
23 未焼成の磁性体セラミック素子
24 ビアホール導体
31 第2のグリーンシート
41 ポーラスな磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペースト
42 磁性体セラミックペースト
P ポーラスな領域
1a ポーラスな磁性体セラミック層
2 内部導体
3 磁性体セラミック素子
4 螺旋状コイル
4a,4b 螺旋状コイルの両端部
5a,5b 外部電極
10 積層コイル部品
11 磁性体セラミック
21 第1のグリーンシート
21a 内部導体が形成されていない第1のグリーンシート
22 内部導体パターン
23 未焼成の磁性体セラミック素子
24 ビアホール導体
31 第2のグリーンシート
41 ポーラスな磁性体セラミック層となるような磁性体セラミックペースト
42 磁性体セラミックペースト
P ポーラスな領域
Claims (6)
- 積層された複数の磁性体セラミック層と、前記磁性体セラミック層を介して配設された、Agを主成分とする内部導体とを備える磁性体セラミック素子の内部に、前記内部導体を層間接続することにより形成された螺旋状コイルを有する積層コイル部品であって、
前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えていること
を特徴とする積層コイル部品。 - 前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する前記磁性体セラミック層を複数層備えていることを特徴とする請求項1記載の積層コイル部品。
- 前記ポア面積率が6〜20%の領域を有する前記磁性体セラミック層は、全体がポア面積率6〜20%の磁性体セラミック層であることを特徴とする積層コンデンサ1または2記載の積層コイル部品。
- 前記内部導体と前記内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、かつ、前記内部導体と前記磁性体セラミックとの界面が解離していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層コイル部品。
- 磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成して、内部に螺旋状コイルを備えるとともに、側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成する工程と、
前記磁性体セラミック素子の側面から、前記磁性体セラミック層のポア面積率6〜20%の領域を経て酸性溶液を浸透させ、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面に酸性溶液を到達させることにより、前記内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する工程と
を備えていることを特徴とする積層コイル部品の製造方法。 - 磁性体セラミック層と、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体とを積層したセラミック積層体を焼成して、内部に螺旋状コイルを備え、前記磁性体セラミック素子の互いに対向する側面に前記螺旋状コイルの一対の端部の互いに異なる方の端部が露出しているとともに、前記螺旋状コイルの端部が露出していない側面から、前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有する磁性体セラミック層を備えた磁性体セラミック素子を形成する工程と、
前記磁性体セラミック素子の、前記一対の側面に露出した前記螺旋状コイルの一対の端部と導通するように、前記磁性体セラミック素子の前記一対の側面に外部電極を形成する工程と、
酸性物質を含むめっき液を用いて前記外部電極の表面にめっきを施す工程と
を備えていることを特徴とする積層コイル部品の製造方法。
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