JP2007063099A - フェライト焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高周波特性に優れ、製造の際のバレル研磨工程やメッキ工程等において内部への水分の侵入がない高い信頼性を有するフェライト焼結体及びその製造方法を得る。
【解決手段】 焼結体本体部11と該本体部11を覆う表層部12とからなり、表層部12の焼結密度が焼結体本体部11の焼結密度よりも2%以上高いフェライト焼結体。焼結密度が高い表層部12により焼結体本体部11への水分の侵入が阻止される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェライト焼結体及びその製造方法に関し、特に、磁芯材料やインダクタ材料などに使用されるフェライト焼結体及びその製造方法に関する。
一般に、各種フェライトが、その優れた磁気特性から磁芯材料や積層チップインダクタなどのインダクタ材料として使用されている。
例えば、積層チップインダクタは、ドクターブレード法などの手法を用いて、インダクタ材料の仮焼粉をスラリー状に分散させたものから厚さ数10μmのグリーンシートを成形し、次いで、ビアホール導体の形成、導電体パターンの印刷、前記グリーンシートの積層、圧着、カット、焼成の各工程を経て、ビアホール導体により順次電気的に接続された導電体パターンからなるコイルを内蔵した積層体を形成する。そして、前記積層体を焼成した後、この焼成により得られた焼結体をバレル研磨、外部電極の形成、メッキの各工程を経て製造されていた。
また、積層チップインダクタの製造には、前記のようなシート積層法のほかに、インダクタ材料の仮焼粉をスラリー状に分散させたものと導体ペーストとを交互に塗布、乾燥して前記積層体に相当するものを製造し、以下、前記と同様の工程を経て積層チップインダクタを製造する、いわゆる印刷法と呼ばれる方法も一般に知られている。そして、積層チップインダクタのフェライト材料としては、通常、Ni−Cu−Zn系フェライト材料やNi−Zn系フェライト材料などが、また、導電体材料としては電気伝導度の大きいAgが用いられていた。
ところで、近年、電子機器の小型化、高性能化、高信頼化、多機能化が進んでおり、それに用いる前記フェライト部品などについても、小型化及び電気的特性のさらなる向上が求められている。フェライト部品に対するかかる要求に応えるため、従来より、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、α−酸化第二鉄の焼結体であるインダクタンス素子用のコアにおいて、焼結体の見かけ密度を4.9g/cm3以下とすることにより、コアの誘電率を低くし、浮遊容量を低減させるようにした高周波用に適したインダクタンス素子用コアが提案されている。
ところで、積層体の焼成により形成された焼結体は、一般に湿式のバレル研磨により研磨され、また、外部電極には湿式メッキによりメッキ膜が形成される。このため、焼結体の見かけ密度が前記のように低くなると、バレル研磨工程やメッキ工程において、前記インダクタンス素子用コアの表面の開気孔から水分が侵入し、インダクタンス素子用コアの信頼性が低下するという問題点を有する。
特開平11−40408号公報
そこで、本発明の目的は、高周波特性に優れ、しかも製造の際のバレル研磨工程やメッキ工程などにおいて水分の侵入がなく、高い信頼性を有するフェライト焼結体及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係るフェライト焼結体は、焼結体本体部と該本体部を覆う表層部とからなり、前記表層部の焼結密度が前記焼結体本体部の焼結密度よりも2%以上高いことを特徴とする。
フェライト焼結体は、その表層部の焼結密度が高くなっているので、バレル研磨工程やメッキ工程において、焼結体本体部に侵入しようとする水分は表層部で侵入が阻止される。これにより、フェライト焼結体の耐環境性が維持される。また、焼結体本体部の焼結密度が低いので、焼結体本体部の内部に導体が存在するときには、焼成後にフェライト焼結体と内部導体の熱収縮率の差により生じる残留内部応力及び実装時に半田などから加わる外部応力が抑制される。
本発明に係るフェライト焼結体は、前記表層部の焼結密度が5.0g/cm3以上であることが好ましく、バレル研磨工程やメッキ工程において、焼結体本体部に侵入しようとする水分が表層部で阻止される。
また、前記焼結体本体部の焼結密度が4.9g/cm3以下であることが好ましく、焼成後にフェライト焼結体と内部導体の熱収縮率の差により生じる残留内部応力及び実装により半田などから加わる外部応力が抑制される。また、フェライト焼結体の誘電率も低くなる。
さらに、前記焼結体本体部にコイルが内蔵されていてもよい。焼結体本体部の焼結密度が低いので誘電率が低くなる。また、焼結体本体部とコイル導体の熱収縮率の差により焼結体本体部に生じる残留内部応力及び実装時に半田などから加わる外部応力が緩和され、インダクタンスの低下が抑制される。
また、前記焼結体本体部にコイル導体が巻回されていてもよく、コモンモードチョークコイルなどとして使用することができる。
本発明に係るフェライト焼結体の製造方法は、フェライト原料からフェライト成形体を形成する工程と、前記フェライト成形体の表面に焼結助剤を付与する工程と、前記フェライト成形体を焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
前記焼結助剤の作用により、フェライト成形体の焼成工程において、フェライト成形体の表面領域の焼結が内側領域よりも速く進行し、フェライト焼結体の表層部分に焼結密度の高い表層部が形成される。
本発明に係るフェライト焼結体の製造方法においては、フェライト成形体の表面に焼結助剤を付与する工程の前に、フェライト成形体に熱処理を施すことが好ましい。この熱処理により、フェライト成形体の強度が高くなり、焼結助剤の付与工程におけるフェライト成形体の損傷が少なくなり、その取り扱いが容易になる。
また、前記焼結助剤が、炭化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ素アルコキシド、ホウ酸塩、及び酸化ビスマスのうちの一つ以上を含有するものであれば、フェライト成形体の焼成工程において、フェライト成形体の表面領域の焼結を内側領域よりも速く進行させることになる。
さらに、前記フェライト成形体の内部にコイルを形成する工程を含んでいてもよい。焼結体本体部の焼結密度が低いのでその誘電率が低くなる。また、焼結体本体部とコイル導体の熱収縮率の差により焼結体本体部に生じる残留内部応力及び実装時に半田などから加わる外部応力が緩和され、インダクタンスの低下が抑制される。
本発明に係るフェライト焼結体によれば、焼結密度が高い表層部により焼結体本体部への水分の侵入が阻止されるので、フェライト焼結体の耐環境性が維持される。また、焼結体本体部の焼結密度が低いので、浮遊容量が小さくなりフェライト焼結体の高周波特性が良好となる。さらに、焼結体本体部の内部に内部導体が存在するときには、焼成後にフェライト焼結体と内部導体の熱収縮率の差により生じる残留内部応力及び実装により半田などから加わる外部応力が緩和され、インダクタンスの低下を抑制することができる。
また、本発明に係るフェライト焼結体の製造方法によれば、焼結助剤をフェライト成形体に付与するだけで、フェライト成形体の表面領域の焼結が内側領域よりも速く進行し、簡単にフェライト焼結体の表層部分に焼結密度の高い表層部を形成することができ、信頼性の高いフェライト焼結体を安価に製造することができる。
以下、本発明に係るフェライト焼結体及びその製造方法の実施形態及び実施例について説明する。
(第1実施形態、図1及び図2参照)
本発明の第1の実施形態であるフェライト焼結体の一部破断斜視図を図1に示す。このフェライト焼結体10は、例えば、コモンモードチョークコイルのコアに使用されるもので、リング形状を有している。フェライト焼結体10は、焼結体本体部11と該本体部11を覆う表層部12とからなる。表層部12の焼結密度は、焼結体本体部11の焼結密度よりも2%以上高くなるようにしている。
このように本体部11と表層部12とで異なる焼結密度を有するフェライト焼結体10は、次のようにして製造することができる。即ち、フェライト仮焼粉を水中に分散し、粉砕してセラミックスラリーを製造し、このセラミックスラリーからセラミックグリーンシートを成形する。得られたグリーンシートを積層及び圧着したものを、リング状に打ち抜いてリング状のフェライト成形体13(図2参照)を形成する。そして、このフェライト成形体13に熱処理(一次熱処理)を施す。熱処理(一次熱処理)工程により、フェライト成形体13の機械的強度が高くなり、焼結助剤15の付与工程におけるフェライト成形体13の取り扱いが容易となる。
前記フェライト成形体13を、図2に示すように、匣14上に載置してその表面全体に、焼結助剤15を付与する。焼結助剤15が付与されたフェライト成形体13を焼成(二次熱処理)し、得られたものを湿式バレル研磨し、図1に示した構成を有するフェライト焼結体10を得る。焼結助剤15は、炭化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ素アルコキシド、ホウ酸塩、及び酸化ビスマスのうちの一つ以上を含有しており、フェライト成形体13の焼成工程において、フェライト成形体13の表面領域の焼結を内側領域よりも速く進行させる。
図1のような構成を備えたフェライト焼結体10では、表層部12の焼結密度が高くなっているので、フェライト成形体13の焼成によって得られたものを湿式バレル研磨する際に、焼結体本体部11への水分の侵入は表層部12により阻止される。これにより、フェライト焼結体10の耐環境性が維持され、信頼性が高くなる。また、焼結体本体部11の焼結密度が低いので、フェライト焼結体10の誘電率が低く、この焼結体にコイル導体を巻回してコモンモードチョークコイルなどを形成した場合、コイル導体による浮遊容量が小さくなり、高周波特性の優れたフェライト焼結体を得ることができる。
本第1実施形態において、フェライト焼結体10は、表層部12の焼結密度が5.0g/cm3以上であることが好ましい。表層部12の焼結密度が5.0g/cm3未満となると、フェライト成形体13を焼成して得られた焼結体を湿式バレル研磨する際に、表層部12を通して焼結体本体部11に水分が侵入するのを阻止することができなくなる。
また、本第1実施形態において、フェライト焼結体10は、焼結体本体部11の焼結密度が4.9g/cm3以下であることが好ましい。焼結体本体部11の焼結密度が4.9g/cm3を超えると、フェライト焼結体10の誘電率が高く浮遊容量が大きくなり、好ましい電気的特性を得ることができなくなる。
(第2実施形態、図1及び図2参照)
第2実施形態は前記第1実施形態で説明したフェライト焼結体10の製造方法において、フェライト成形体13の表面に焼結助剤15を付与する前の一次熱処理工程を省略したものである。本第2実施形態においても前記第1実施形態と同様に、表層部12の焼結密度が焼結体本体部11の焼結密度よりも2%以上高いフェライト焼結体10を得ることができる。
このように、一次熱処理工程を省略することによって製造工程が簡易となる。
(第3実施形態、図3及び図4参照)
第3実施形態であるフェライト焼結体は、内部にコイル導体からなるコイルが形成された積層チップインダクタであり、その分解斜視図を図3に、縦断面図を図4に示す。この積層チップインダクタ20は、チップ形状のセラミック焼結体21に、螺旋状のコイル22を内蔵したものである。焼結体本体部23を覆うように前記第1実施形態で説明したのと同様の表層部24が形成されている。
積層チップインダクタ20は次のようにして製造することができる。即ち、セラミックグリーンシート31に、レーザによって形成した小孔に導体ペーストを充填してビアホール導体32を形成するとともに、スクリーン印刷によりAgペーストなどからなるコイル導体パターン33を形成する。これらグリーンシート31を、コイル導体パターン33がビアホール導体32により順次直列に接続されるように積層して圧着し、カットすることによりセラミック積層体34を形成する。このセラミック積層体34を、焼結密度が4.8g/cm3となるまで850℃で熱処理(一次熱処理)した後、前記第1実施形態と同様に、匣14(図2参照)上に載置してその上に焼結助剤15(図2参照)を滴下し、セラミック積層体34の表面全体に焼結助剤15を付与する。
その後、セラミック積層体34を、再度、850℃で焼結する(二次熱処理)。なお、一次熱処理と二次熱処理は同じ温度でなくてもよい。これにより得られたものを、湿式バレル研磨工程で研磨した後、Agペーストなどを用いて外部電極を形成する工程、外部電極表面への湿式メッキ工程の各工程を経ることにより、図4に示す内部構造を有する積層チップインダクタ20を得ることができる。
第3実施形態である積層チップインダクタ20は、焼結体本体部23の焼結密度が低いので浮遊容量が小さくなっている。また、焼結体本体部23とコイル導体パターン33の熱収縮率の差により焼結体本体部23に生じる残留内部応力や半田実装による外部応力が緩和される。これにより、浮遊容量が小さく、かつ、セラミック焼結体21の内部応力及び外部応力によるインダクタンスの低下が抑制された優れた高周波特性を有する積層チップインダクタ20を得ることができる。
以下に、実施例及びその比較例を示し、さらに詳細に説明する。
(実施例1及び比較例1,2)
次の(1)〜(7)の工程で図1で説明したフェライト焼結体10(実施例1)を製造した。
(1)先ず、金属酸化物原料Fe23,ZnO,NiO,CuO及び添加剤を粉砕、混合、仮焼してフェライト仮焼粉を製造した。
(2)これを水中に分散し、玉石と混合して粉砕した。
(3)前記工程(1),(2)で得られたセラミックスラリーに、バインダ、分散剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤を加え、ドクターブレード法を用いて厚さ20μmのセラミックグリーンシートを成形した。
(4)前記工程(3)で得たセラミックグリーンシートを50枚積層して圧着し、リング状に打ち抜き、図2で説明したセラミック積層体13を得た。
(5)前記工程(4)で得たセラミック積層体13を、850℃の温度で、焼結密度が4.8g/cm3となるまで熱処理した(一次熱処理)。
(6)次に、前記工程(5)で熱処理したセラミック積層体13を、図2に示したように、匣14上に載置して、水に炭化ホウ素(B4C)粉末を分散させた焼結助剤15を滴下し、セラミック積層体13の表面全体に焼結助剤15を付与した。
(7)前記工程(6)で表面全体に焼結助剤15を付与したセラミック積層体13を、再度、850℃で焼結させた(二次熱処理)。
以上のようにして製造したフェライト焼結体(実施例1)の断面のFIB−SIM像(25,000倍)を図5及び図6に示す。図5はフェライト焼結体において符号P1で示された領域のFIB−SIM像であり、フェライト焼結体の表面から深さ5μmの範囲の領域からなる表層部の焼結密度は5.1g/cm3で、そのポアの体積率は1%程度であり、単位体積当たりのポアの個数が少なく、ポアの形も小さい。
図6はフェライト焼結体において符号P2で示された領域のFIB−SIM像であり、焼結体本体部の焼結密度は4.9g/cm3で、そのポアの体積率は6%程度と、単位体積当たりのポアの個数が多く、ポアの形も大きくなっている。
また、フェライト焼結体(実施例1)の表層部及びその近傍のSEM像を図8に示す。この図8はフェライト焼結体において符号Sで示された領域のSEM像で、表層部には、それよりも深い焼結体本体部よりも、ポア体積率が非常に小さい緻密な層が形成されていることが分かる。
さらに、前記フェライト焼結体(実施例1)について、焼結密度と吸水率との関係を求めた。その結果を図7に示す。図7では、以下に説明する比較例1(△印参照)及び比較例2(□印参照)の吸水率も併せて示している。なお、吸水率は、乾燥したサンプルの重量を測定し、その後、このサンプルを水中で3時間煮沸した後、再び重量を測定し、その増加分から求めた。
図7から、実施例1のサンプルも若干吸水しているが、これは焼結助剤のセラミック成形体への塗布むらによるものと考えられ、焼結助剤の塗布を均一にすれば、吸水量をさらに改善することができる。また、この図7から、フェライト焼結体の表層部の焼結密度が5.0g/cm3以上であれば、吸水が生じない(理論上限値は5.34g/cm3)ことが分かる。さらに、焼結体本体部の焼結密度の下限値が4.5g/cm3よりも小さくなると、フェライト焼結体の強度が大幅に低下する。
また、前記実施例1の製造工程において、製造工程(6)を省略、即ちセラミック成形体に焼成助剤を付与せずに焼成し、フェライト焼結体(比較例1)を製造した。
このフェライト焼結体(比較例1)の表層部及びその近傍のSEM像を図9に示す。図9はフェライト焼結体において符号Sで示された領域のSEM像である。図9からも分かるように、このフェライト焼結体(比較例1)では、表層部とその内側の本体部の結晶粒径は同程度であり、実施例1のような緻密な表層部は形成されていなかった。また、比較例1の吸水率を測定した結果、図7に△印で示すように、以下に説明する比較例2のサンプルの焼結密度の変化に対する吸水率(□印参照)を表す曲線上にあり、実験例1に対して吸水率が大きいことが分かる。
さらに、前記実施例1の製造工程において、製造工程(6)及び(7)を省略、即ち、セラミック積層体の熱処理を一回とし、製造工程(5)における熱処理条件を800℃〜900℃の範囲で種々変化させ、フェライト焼結体(比較例2)を製造した。
このフェライト焼結体(比較例2)についても、表層部及びその近傍のSEM像(図示せず)を観察すると、表層部とその内側の本体部の結晶粒径は同程度であり、前記実施例1のような緻密な表層部は形成されていなかった。また、種々の焼結密度を有する比較例2を製造してその吸水率を測定した(図7の□印参照)。この図7からも分かるように、比較例2のサンプルでは、焼結密度の変化に対して吸水率が大幅に変化していることが分かる。
(実施例2)
前記第1実施例の(1)〜(7)の工程のうち、(5)の一次熱処理工程を省略し、生セラミック成形体を熱処理することなくセラミック焼結体10(実施例2)を製造した。この実施例2についても、焼結密度の高い緻密な表層部の形成及びその吸水率などについて実施例1と同様の結果を得た。但し、実施例2では、一次熱処理を施していないセラミック積層体に焼結助剤を均一に塗布するので、
・セラミック積層体の表面から焼結助剤の分散媒中へセラミック仮焼粉が拡散しないようにする、
・生セラミック成形体に欠けが生じないようにする、
といった製造上の注意が必要であった。
(実施例3)
以下に示す(1)〜(9)の工程で積層チップインダクタ20(実施例3)を製造した。
(1)先ず、金属酸化物原料Fe23,ZnO,NiO,CuO及び添加剤を粉砕、混合、仮焼してフェライト仮焼粉を作製した。
(2)これを水中に分散し、玉石と混合して粉砕した。
(3)前記工程(1),(2)で得られたセラミックスラリーに、バインダ、分散剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤を加え、ドクターブレード法を用いて厚さ20μmのセラミックグリーンシート31(図3参照)を成形した。
(4)前記工程(3)で得たセラミックグリーンシートに、レーザによって形成した小孔に導体ペーストを充填してビアホール導体32を形成するとともに、スクリーン印刷によりAgペーストからなるコイル導体パターン33を形成した。
(5)その後、これらセラミックグリーンシート31を、コイル導体パターン33がビアホール導体32により順次直列に接続されるように積層して圧着し、カットすることによりチップ状のセラミック積層体34を得た。
(6)前記工程(5)で得たセラミック積層体34を、850℃の温度で、焼結密度が4.8g/cm3となるまで熱処理した(一次熱処理)。
(7)次に、前記実施例1と同様に、一次熱処理したセラミック積層体34を匣14上に載置し、水1ミリリットルに対して炭化ホウ素(B4C)粉末を30ミリグラムの割合で分散させた焼結助剤15を滴下し、セラミック積層体34の表面全体に焼結助剤15を付与した。
(8)前記工程(7)で表面全体に焼結助剤15を付与したセラミック積層体34を、再度、850℃で焼結させた(二次熱処理)。
(9)前記工程(8)で得たセラミック焼結体21を、湿式バレル研磨工程で研磨した後、Agペーストなどを用いて外部電極を形成する工程、該外部電極表面への湿式メッキ工程を処理し、サイズが0.8×0.8×1.0mmの積層チップインダクタ20を製作した。
実施例3についても、焼結密度が高い緻密な表層部24の形成及びその吸水率特性などについて前記実施例1と同様の結果を得た。また、実施例3の積層チップインダクタ20では、焼結体本体部23の焼結密度が4.6〜5.3g/cm3のサンプルについて、熱衝撃試験を行った結果を図10に示す。
図10から、セラミック焼結体21の本体部23の焼結密度が4.9g/cm3よりも小さくなると、熱衝撃試験の変化率は高々10%程度となることがわかる。これにより、焼結体本体部23の焼結密度を4.9g/cm3よりも小さくすると、熱衝撃試験の変化率は高々10%程度となり、セラミック焼結体21の内部応力及び外部応力によるインダクタンスの低下が抑制されることが分かる。
(他の実施形態)
本発明に係るフェライト焼結体及びその製造方法は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の構成とすることができる。
例えば、本発明は、セラミック焼結体内にコイル導体のほか、キャパシタ電極などが形成されたものにも適用することができる。また、セラミック焼結体の材料としては、Ni−Zn−Cuフェライト、Ni−Znフェライト、Cu−Znフェライトなどの磁性体セラミック材料のほか、非磁性のセラミック材料を使用することができる。また、焼結助剤の付与方法としては、敵下する他に、ディップする方法などを用いてもよい。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態であるセラミック焼結体(リングコア)の構成を示す一部破断斜視図である。 セラミック積層体への焼結助剤を付与する工程の説明図である。 本発明の第3実施形態であるセラミック焼結体(積層チップインダクタ)を示す分解斜視図である。 本発明の第3実施形態であるセラミック焼結体(積層チップインダクタ)を示す縦断面図である。 実施例1の表層部のFIB−SIM像である。 実施例1の焼結体本体部のFIB−SIM像である。 実施例1及び比較例1,2の焼結密度に対する吸水率を示すグラフである。 実施例1の表層部のSME像である。 比較例1の表層部のSME像である。 実施例3の焼結密度に対する熱衝撃試験の変化率を示すグラフである。
符号の説明
10…フェライト焼結体
11…焼結体本体部
12…表層部
13…フェライト成形体
14…匣
15…焼結助剤
20…積層チップインダクタ
21…セラミック焼結体
22…コイル
23…焼結体本体部
24…表層部
31…セラミックグリーンシート
32…ビアホール導体
33…コイル導体パターン
34…セラミック積層体

Claims (9)

  1. 焼結体本体部と該焼結体本体部を覆う表層部とからなり、前記表層部の焼結密度が前記焼結体本体部の焼結密度よりも2%以上高いことを特徴とするフェライト焼結体。
  2. 前記表層部の焼結密度が5.0g/cm3以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結体。
  3. 前記焼結体本体部の焼結密度が4.9g/cm3以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフェライト焼結体。
  4. 前記焼結体本体部にコイルが内蔵されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  5. 前記焼結体本体部にコイル導線が巻回されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  6. フェライト原料からフェライト成形体を形成する工程と、
    前記フェライト成形体の表面に焼結助剤を付与する工程と、
    前記フェライト成形体を焼成する工程と、
    からなることを特徴とするフェライト焼結体の製造方法。
  7. 前記フェライト成形体の表面に焼結助剤を付与する工程の前に、フェライト成形体に熱処理を施すことを特徴とする請求項6に記載のフェライト焼結体の製造方法。
  8. 前記焼結助剤が、炭化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ素アルコキシド、ホウ酸塩及び酸化ビスマスのうちの一つ以上を含有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のフェライト焼結体の製造方法。
  9. 前記フェライト成形体の内部にコイルを形成する工程を含むことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のフェライト焼結体の製造方法。

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