JP4483189B2 - 光ファイバー被覆用樹脂組成物及びそれを用いた素線、ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバー被覆用樹脂組成物及びこれを用いた光ファイバー素線、及びユニットに関する。特に、本発明は2次被覆層あるいはユニット層に用いられる光ファイバー被覆用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーケーブルは大容量情報の伝送媒体として実用化され、現在、光ファイバーケーブルによる広帯域情報通信網が建設されつつある。光ファイバーには、導波ガラスに紫外線等の放射線硬化型樹脂による1次被覆層および2次被覆層を施した2層被覆構造のものと、単層の被覆層を施した単層被覆構造の形態のものがある。
【0003】
2層被覆構造を有する光ファイバーの1次被覆層は、通常、ヤング率(引張割線弾性率)が0.01から1.0kg/mmの柔軟な被覆層であり、2次被覆層は、通常、20から200kg/mmの比較的堅い被覆層である。
【0004】
また、光ファイバーの使用形態としては種々の形態があるが、中でも、導波ガラス上に被覆層を施した複数の光ファイバー素線、あるいは最外層に着色層を設けた複数の着色素線を同心円状あるいは平面状に並べて、放射線硬化型樹脂で一体化したユニットという形態がある。ユニットの構造は、単層あるいは2層被覆された複数の光ファイバーを放射線硬化型樹脂の硬化被膜(ユニット層)で包み込んだ構造である。更に、複数のユニットを一体化したユニットもある。このユニットという形態は、光ファイバーを高密度化する方法として有用であり、現在では光ファイバーケーブルの構成材として一般的なものとなっている。これら、一次被覆層、2次被覆層、ユニット層に使用される硬化型樹脂を光ファイバー被覆用樹脂組成物と呼んでいる。
【0005】
2次被覆層、ユニット層に使用される光ファイバー被覆用樹脂組成物には、次のような性能が要求されている。
1.高速加工性
粘度が低く、高速でも塗布・成形ができること。
2.高速硬化性
数百m/分以上の高速加工(低光量)においても十分に硬化し、必要なヤング率の硬化物が得られること。
3.耐久性
長期にわたり種々の環境(温水、高湿度、高温、防水混和物)に暴露されても、当該樹脂組成物による硬化被膜の機械特性が変化せず、光ファイバーの耐久性が良いこと。
4.温度特性
該樹脂組成物による硬化被膜により被覆された光ファイバーが、広範な温度範囲において使用されても、伝送特性、機械特性が変化しないこと。
5.強靱性
該樹脂組成物による硬化被膜が、ヤング率、引張破壊伸びのバランスが良いこと。
6.耐水損失特性
光ファイバーケーブル敷設後の事故によりケーブルシースが破損し、ケーブル内に水が侵入しても、該樹脂組成物による硬化被膜により被覆された光ファイバーの光伝送特性を長期に渡り低下させないこと。
7.保存性
該樹脂組成物を低温で保存しても固化がなく、保存性がよいこと。
等が要求されている。
【0006】
これらの特性を改善するため、これまで種々の検討が行われてきた。例えば、引張破壊伸びを改善するため、数平均分子量が1000〜15000の高分子量ウレタンアクリレートと数平均分子量が800以下の低分子量ウレタンアクリレートの組合せが開示されている(特許文献1参照)。また、強靱性と高速硬化性を向上させるため、分子内にポリエーテル構造を有する脂肪族系のラジカル重合性ポリマー及び分子内にビスフェノールAあるいはビスフェノールFタイプの構造とポリエーテル構造を有するラジカル重合性ポリマーを含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。更に、強靱性を向上させるため、分子内に環構造を有するウレタンアクリレートを含有し、組成物中のウレタン結合濃度が2.0×10−3mol/g以上である、硬化後の皮膜が高ヤング率(1500MPa)となる光ファイバー用の樹脂組成物が開示されている(特許文献3参照)。
【0007】
ところが、現在では、上記の要求特性に加えて、更に重要な特性が求められている。それは、光ファイバー被覆用樹脂組成物により被覆された光ファイバーが、該樹脂組成物からなる被膜層の表面に何らかの原因でキズ(ノッチ)が入った場合でも、そのキズが取り扱い中、あるいは長期間設置されている間に更に拡がり、光ファイバーの特性に重大な支障を引き起こすことがないような十分な耐引き裂き強度を有すること(以下、本発明では「耐ノッチ性」という)、同時に、ユニットを解体し、内部のユニットあるいは素線を取り出す際に、所望の箇所で確実に破壊でき、長手方向に途中で切れずに、長尺で安定してユニット層が破壊できる特性を有すること(以下、本発明では「解体性」という)である。このような耐ノッチ性と解体性を同時に満足するためには、硬化後の光ファイバー被覆用樹脂組成物が十分な引き裂き強度を有し、また、同時に適度なヤング率及び適度な引張破壊伸び特性を有することが重要である。しかしながら、前記の先行技術において開示されている光ファイバー被覆用樹脂組成物では、過酷な取り扱いにおいてノッチが入った場合の耐ノッチ性及び解体性について、何ら考慮されておらず、結果として、これらの特性に関して十分に満足のできるものは得られていなかった。なお、一般的に、このような耐ノッチ性を試験する方法としては、JIS K 6252−1993に記載された方法が用いられている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−275619号公報
【特許文献2】
特開昭63−168417号公報
【特許文献3】
特開平5−163318号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な強靱性を有し、特にノッチが入った場合における耐ノッチ性に優れる光ファイバー被覆用樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記課題を解決し、光ファイバー及びユニットの解体性に優れる光ファイバー被覆用樹脂組成物を用いた光ファイバー素線及びユニットを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造のラジカル重合性オリゴマーを用い、光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度を特定の値に設定することにより上記課題が解決できる光ファイバー被覆用樹脂組成物を得ることができることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、ラジカル重合性オリゴマー(A)とラジカル重合性モノマー(B)を含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性オリゴマー(A)が、下記(1)〜(3)、
(1)数平均分子量が50〜600であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a1)
(2)環状構造を有するポリイソシアネート化合物(a2)
(3)同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)
を反応させた数平均分子量が600〜1600のラジカル重合性オリゴマー(A1)と、下記(4)〜(6)、
(4)数平均分子量が800〜10000であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a4)
(5)ポリイソシアネート化合物(a5)
(6)同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)
を反応させたラジカル重合性オリゴマー(A2)を含有し、前記ラジカル重合性オリゴマー(A1)とラジカル重合性オリゴマー(A2)の質量比(A1)/(A2)が20/80〜80/20であり、且つ前記光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度が1.85〜3.00mol/kgであることを特徴とする光ファイバー被覆用樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は上記光ファイバー被覆用樹脂組成物で被覆された光ファイバー素線、及びユニットを提供するものである。
【0013】
本発明者等は、高分子量ウレタンアクリレートと低分子量ウレタンアクリレートを組合せて使用すると、適度なヤング率及び引張破壊伸びを得ることができ、その結果、強靱性に優れる光ファイバー被覆用樹脂組成物が得られることを見出した。しかし、それだけでは、十分に満足できる耐ノッチ性及び解体性を実現することができなかった。本発明者等は、十分な強靱性を保持しながら、耐ノッチ性及び解体性を向上させる検討を行った。その結果、高分子量ウレタンアクリレート及び低分子量ウレタンアクリレートを製造する際に用いるポリオール化合物の数平均分子量を特定の範囲に設定し、且つ、光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度を1.85〜3.00mol/kgとすることにより上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
【0015】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物が含有するラジカル重合性オリゴマー(A1)を製造するために用いるポリオール化合物(a1)としては、数平均分子量が50〜600であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオールであれば公知のものを使用できる。例えば、(1)エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、3−メチルペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール、(2)ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール、(3)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2種以上の共重合体であるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0016】
上記ポリオール化合物(a1)は、分子内に環状構造を有さない鎖状の分子構造である。そのような化合物を用いた光ファイバー被覆用樹脂組成物は、硬化後の被膜のヤング率が必要以上に高くなったり、伸びが低くなったりすることがなく、良好な耐ノッチ性が得られるので好ましい。なお、分子内に環状構造を有さない鎖状の分子構造であれば、直鎖状、分岐状のいずれでも構わない。
【0017】
また、上記ポリオール化合物(a1)の数平均分子量は、150〜500であることがより好ましく、中でも150〜400であることが特に好ましい。数平均分子量がそのような範囲になると耐ノッチ性が高くなり、好ましい。ポリオール化合物(a1)としては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、若しくは3−メチルテトラヒドロフランの単一の開環付加重合体、又はそれらの開環付加共重合体であることが好ましい。これらの中でも、プロピレンオキシドの単一の開環付加重合体、つまり、ポリプロピレングリコールが特に好ましい。側鎖を有するポリエーテルジオールを使用すると光ファイバー被覆用樹脂組成物が低温で固化することがなく、また耐ノッチ性が良好となるため好ましい。
【0018】
環状構造を有するポリイソシアネート化合物(a2)としては、公知のものが使用できるが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のポリイソシアネートが使用できる。中でも分子量が150〜300のジイソシアネートを使用すると被覆層の耐ノッチ性がより良好となるため好ましい。
【0019】
同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)としては、公知のものが使用できるが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも同一分子中に一個の水酸基と一個のラジカル重合性不飽和基を有するものを使用すると被覆層の耐ノッチ性がより良好となるため好ましい。
【0020】
本発明で使用するラジカル重合性オリゴマー(A1)の数平均分子量は、600〜1600であるが、700〜1400であることがより好ましい。さらに好ましくは数平均分子量800〜1100である。このような範囲であると被覆層の耐ノッチ性がより良好となるため好ましい。
【0021】
本発明で使用するラジカル重合性オリゴマー(A1)は、上記の原料を種々選択することにより様々な構造のオリゴマーを製造することができる。例えば、3官能以上のポリオール化合物(a1)、またはポリイソシアネート化合物(a2)を使用することにより分岐構造を有するオリゴマーとすることができる。しかしながら、ラジカル重合性オリゴマー(A1)としては、2官能のポリオール化合物(a1)及び2官能のポリイソシアネート化合物(a2)を用いて直鎖状の主鎖を有するオリゴマーとすることが好ましい。また、同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)としては、同一分子中に一個の水酸基と一個のラジカル重合性不飽和基を有するものを使用することが好ましい。このような材料を使用した場合、ラジカル重合性オリゴマー(A1)は下記式1の構造となる。
式1;R−A(−R−A−R−A)n−R−A−R
(式中、Aはウレタン結合Rは同一分子内に一個の水酸基と一個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)から由来する基、Rは2官能のポリイソシアネート化合物(a2)から由来する基、Rは、2官能のポリオール化合物(a1)から由来する基、nは1以上の整数である。)
【0022】
上記式1で表される化合物の中で、n=1及びn=2の化合物の合計がラジカル重合性オリゴマー(A1)全体の30質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であると光ファイバーの被覆層の耐ノッチ性がより良好となるため好ましい。
【0023】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物では、ラジカル重合性オリゴマー(A)として、ラジカル重合性オリゴマー(A1)以外にラジカル重合性オリゴマー(A2)を使用する。ラジカル重合性オリゴマー(A2)は、下記(4)〜(6)、
(4)数平均分子量が800〜10000であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a4)
(5)ポリイソシアネート化合物(a5)
(6)同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)
反応させたラジカル重合性オリゴマーである。中でも、特に、数平均分子量が800〜10000のジオール化合物と、ジイソシアネート化合物と、同一分子内に1個の水酸基と1個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物を反応させたウレタンアクリレートであることが好ましい。
【0024】
数平均分子量が800〜10000であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a4)としては、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2種以上の共重合体であるポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリオール化合物(a4)は、分子内に環状構造を有さない鎖状の分子構造である。分子内に環状構造を有さない鎖状の分子構造であれば、直鎖状、分岐状のいずれでも構わない。中でもプロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、3−メチルテトラヒドロフラン等の分岐を有する環状エーテルの単一の開環付加重合体、または開環付加共重合体は低温保存性が良く、高速硬化性が高いので好ましい。これらの中でも、プロピレンオキシドの単一の開環付加重合体、つまり、ポリプロピレングリコールが特に好ましい。
したがって、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物における好ましい実施形態としては、ポリオール化合物(a1)及び前記ポリオール化合物(a4)がポリエーテル構造を有する化合物であることが好ましく、特に、ポリオール化合物(a1)及び前記ポリオール化合物(a4)が、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、及び3−メチルテトラヒドロフランから選択される1種以上の化合物の開環付加重合体であることが好ましい。
【0025】
また、ポリイソシアネート化合物(a5)としては、特に限定されるものではなく、前記のポリイソシアネート化合物(a2)で例示した化合物の他に公知の化合物を使用することができる。そのような化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の環状構造を有さない化合物がある。
なお、ラジカル重合性オリゴマー(A2)の数平均分子量は、1200〜20000であることが好ましく、1400〜15000であることがより好ましい。さらに好ましくは数平均分子量1400〜10000である。
【0026】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物におけるラジカル重合性オリゴマー(A1)とラジカル重合性オリゴマー(A2)の質量比(A1)/(A2)は20/80〜80/20である。より好ましくは30/70〜70/30であり、さらに好ましくは40/60〜70/30の範囲である。上記範囲であると耐ノッチ性が良好となるため好ましい。
【0027】
本発明では、前記ラジカル重合性オリゴマー(A1)及び(A2)以外に公知のオリゴマーを使用することができる。例えばポリイソシアネート化合物(a2)と同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)の反応生成物であるウレタンアクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸等の重合性不飽和基を有するカルボン酸類の反応生成物であるエポキシアクリレート、更に、エポキシアクリレートをポリオールとするウレタンアクリレート、及びビニルエーテル化合物を反応させたオリゴマー等がある。
【0028】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物では、光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度が1.85〜3.00mol/kgの範囲であることが必要である。より好ましくは1.85〜2.50mol/kgの範囲、特に好ましくは1.85〜2.20mol/kgの範囲である。このような範囲にすることにより光ファイバーの被覆層あるいはユニット材にノッチが入った場合でも、十分な強靱性を示し、耐ノッチ性に優れる光ファイバー被覆用樹脂組成物となる。
【0029】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物には、前記のラジカル重合性オリゴマー(A1)及び(A2)の他に、ラジカル重合性モノマー(B)を用いることができる。光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度(mol/kg)は、ラジカル重合性オリゴマー(A)及びラジカル重合性モノマー(B)のそれぞれが含有するウレタン結合の含有濃度(mol/kg)を算出し、それぞれの配合比率を基に求めた値である。以下に具体的な計算方法を示す。
【0030】
求めるべき光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度をZ(mol/kg)とする。また、ラジカル重合性オリゴマー(A)又はラジカル重合性モノマー(B)として使用される化合物R中のウレタン結合の含有濃度をZ(mol/kg)とする。
(1)Zの算出。
(mol/kg)=(Rmol/M)×1000
mol;化合物Rの1mol中のウレタン結合のmol数
;化合物Rの分子量
なお、Rmol及びMは、化合物Rを製造するための原料の分子量及びモル比から化学量論的に求められる値である。
(2)Zの算出
化合物Rとして、R1、R2、…Ri成分を使用しているとすると、
Z=(ZR1×WR1+ZR2×WR2+ … +ZRi×WRi)/(WR1+WR2+ … +WRi+その他の添加物の配合量)
R1、WR2、…、WRi ;R1、R2、…Ri成分の配合量
【0031】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物が硬化した際に、硬化被膜が優れた耐ノッチ性を示すためには、硬化被膜のヤング率(引張割線弾性率)が100〜1450MPaであることが必要である。中でも、400〜1200MPaであることがより好ましく、500〜1000MPaであることが特に好ましい。ヤング率が上記範囲であると十分な耐ノッチ性を得ることができる。
【0032】
耐ノッチ性を試験する方法としては、JIS K 6252−1993に記載された方法を用いることができる。該試験法によって測定された「耐ノッチ性」が4.5以上(kgf/mm)であると、ノッチが入った場合の引裂強度に優れた光ファイバー用樹脂組成物が得られる。中でも「耐ノッチ性」が4.8以上(kgf/mm)であることが特に好ましい。なお、本発明における試験方法の詳細は以下の通りである。
(1)硬化塗膜の作成方法;調製した光ファイバー被覆用樹脂組成物をガラス板に塗布し、メタルハライドランプを用い、窒素雰囲気下で0.5J/cmの紫外線を照射して膜厚150μmの硬化塗膜を得る。
(2)試験片;JIS K 6252−1993記載のクレセント型試験片。クレセント型試験片には、試験片のくぼみの中央に、試験片の主軸と直角方向に長さ1.0±0.2mmの切り込み(ノッチ)を入れる。切り込みは鋭利な刃物で、JIS K 6252−1993記載の方法に則り、試験片の厚さ方向に対して平行に(試験片の上下面に対しては垂直に)入れる。
(3)測定機種;島津製作所製引張試験器、オートグラフAGS−100G型
(4)引張速度;50mm/min
(5)測定条件は23℃、50%RHである。
上記測定方法によりノッチが入ったサンプルを引張り、サンプルが破断した時の引裂強度を耐ノッチ性の値とした。
【0033】
本発明で使用するラジカル重合性モノマー(B)としては、公知のものが使用できる。例えば、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンサクシネート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アッシドホスフェート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム等の単官能重合性モノマー等が挙げられる。
【0034】
また、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンのジアクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3ジオキサンのジアクリレート等の2官能重合性モノマーが挙げられる。
【0035】
更に、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリメリット酸のトリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレート等の多官能重合性モノマーがある。
【0036】
中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート等の2官能を越える多官能重合性モノマーは、強靱性を高めるので好ましい。また、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール等の窒素を含有する単官能重合性モノマーも耐ノッチ性を高めるので好ましい。更に、窒素を含有する単官能重合性モノマーと2官能を越える多官能重合性モノマーとを併用することにより、耐ノッチ性がより高くなるので特に好ましい。
【0037】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物を可視光、あるいは紫外線で硬化させる場合には、必要に応じて光重合開始剤(C)を用いることができる。光重合開始剤(C)としては、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2、6ージメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール等が挙げられる。
【0038】
これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2、6ージメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾールの群から選ばれる2種類以上を混合して用いると、高速硬化性が良好となり好ましい。中でも、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾールを含む系は著しく高速硬化性が優れており、好ましい。
【0039】
更に、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物には、上記の成分以外に、ヒドロキノン、メトキノン等の重合禁止剤、ヒンダードフェノール系、イオウ系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、亜燐酸エステル系の脱色剤、シリコーンオイル等の消泡剤、離型剤、レベリング剤、顔料等を添加しても構わない。
【0040】
上記のラジカル重合性オリゴマー(A)は、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物全体に対し、40質量%〜90質量%用いるのが好ましい。中でも、50質量%〜80質量%、特に50質量%〜70質量%用いるのが、より好ましい。また、重合性モノマー(B)は、光ファイバー被覆用樹脂組成物全体に対し、10質量%〜60質量%用いるのが好ましい。中でも、30質量%〜50質量%用いるのが、より好ましい。
【0041】
また、2官能を越える多官能重合性モノマーは、光ファイバー被覆用樹脂組成物全体に対し、0質量%〜40質量%用いるのが好ましい。中でも、10質量%〜30質量%用いるのがより好ましい。
【0042】
上記光重合開始剤(C)は、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物を紫外線で硬化させるために添加するもので、ラジカル重合性オリゴマー(A)、ラジカル重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)の合計100質量%に対し、通常0.01〜10質量%含有させる。0.05〜5質量%が特に好ましい。
【0043】
本発明の光ファイバー用樹脂組成物においては、加工性及び光ファイバーの伝送特性を良好にするため、組成物及び硬化膜の物性値が以下の範囲になるように適宜調製するのが好ましい。
【0044】
・組成物の粘度:1.0〜10.0Pa・s(25℃、B型粘度計)であることが好ましい。1.0Pa・s以下、10.0Pa・s以上では高速での光ファイバー製造時に外径の変動や硬化膜の破断が生じて高速硬化性が悪い。
【0045】
その他の硬化膜の特性としては、以下の範囲にあることが伝送特性、素線、ユニットのハンドリング性が良いので好ましい。
・ガラス転移点:50〜150℃、好ましくは80℃〜120℃。
・引張破壊強さ:30MPa以上、好ましくは40MPa以上。
・引張破壊伸び:30%以上、好ましくは40%、さらに好ましくは50%以上の範囲がよい。引張破壊伸びが30%未満であると解体性が不良となり好ましくない。
【0046】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれにより何等限定されるものではない。なお、例中の部はすべて質量基準である。
【0047】
1.ラジカル重合性オリゴマー(A2)の合成
(合成例1−ウレタンアクリレート(A2−1)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)2000g(1モル)、ジブチル錫ジアセテート2gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、NCO%を測定したところ3.58%であった。ついでHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)232g(2モル)を仕込んで、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。合成したウレタンアクリレート(A2−1)の数平均分子量は2580であった。
【0048】
(合成例2−ウレタンアクリレート(A2−2)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらテトラヒドロフラン/ブチレンオキシド(10mol%)の共重合体であるポリエーテルポリオール1000g(1モル、OH価=112KOH−mg/g)、ジブチル錫ジアセテート1gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、NCO%を測定したところ3.57%であった。ついでHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)232g(2モル)を仕込んで、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。合成したウレタンアクリレート(A2−2)の数平均分子量は1580であった。
【0049】
(合成例3−ウレタンアクリレートオリゴマー(A2−3)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール(分子量8000)8000g(1モル)、ジブチル錫ジアセテート2gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、ついでHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)232g(2モル)を仕込んだ。この温度でさらに7時間反応を行った後、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。合成したウレタンアクリレート(A2−3)の数平均分子量は8580であった。
【0050】
(合成例4−ウレタンアクリレート(A2−4)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、水添ジフェニルメタンジイソシアネート951g、ジブチルスズジラウレート5g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1.5g、を仕込み、数平均分子量2000のポリエーテルグリコール(保土ヶ谷化学(株)PPTMG2000)3628gを3時間にわたり、60〜70℃で添加した。添加後さらに60〜70℃で1時間攪拌した。ついで、60〜70℃にしたままHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)420gを1時間にわたり滴下し、ラジカル重合性オリゴマー(A2−4)を得た。合成したウレタンアクリレート(A2−4)の数平均分子量は2756であった。
【0051】
(合成例5−ウレタンアクリレート(A2−5)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、IPDI(イソホロンジイソシアネート)96.52g、ジブチルスズジラウレート1g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.5gを仕込み、これにプロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体であるジオール(数平均分子量4000保土ヶ谷化学PPTG4000)869.56gを2時間にわたり、60〜70℃で添加した。添加後さらに60〜70℃で1時間攪拌した。ついで、60〜70℃にしたままHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)50.43gを1時間にわたり滴下し、ラジカル重合性オリゴマー(A2−5)を得た。合成したウレタンアクリレート(A2−5)の数平均分子量は4676であった。
【0052】
(合成例6−ウレタンアクリレート(A2−6)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリテトラメチレングリコール(分子量650)650g(1モル)、ジブチル錫ジアセテート1gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、ついでHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)232g(2モル)を仕込んだ。この温度でさらに7時間反応を行った後、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。合成したウレタンアクリレート(A2−6)の数平均分子量は1230であった。
【0053】
2.ラジカル重合性オリゴマー(A1)の合成
(合成例7−ウレタンアクリレート(A1−1)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール400g(1モル、数平均分子量400)、ジブチル錫ジアセテート1gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、ついで2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)260g(2モル)を仕込んで、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。GPC分析の結果、ウレタンアクリレート(A1−1)にはラジカル重合性オリゴマー(A1)として、数平均分子量が1399であるTDIとポリプロピレングリコールとHPAの付加物が93質量%、他にTDIとHPAの直接付加物7質量%が含まれていた。
【0054】
(合成例8−ウレタンアクリレート(A1−2)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらトリプロピレングリコール192g(1モル、分子量192)、ジブチル錫ジアセテート1gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、ついで2−ヒドロキシプロピルアクリレート260g(2モル)を仕込んで、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。GPC分析の結果、ウレタンアクリレート(A1−2)にはラジカル重合性オリゴマー(A1)として、数平均分子量が1045であるTDIとポリプロピレングリコールとHPAの付加物が90質量%、他にTDIとHPAの直接付加物10質量%が含まれていた。
【0055】
(合成例9−ウレタンアクリレートオリゴマー(A1−3)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながら3−メチル−1,5−ペンタンジオール118g(1モル、分子量118)、ジブチル錫ジアセテート1gを仕込んで発熱に注意しながら70℃まで昇温し、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、ついで2−ヒドロキシプロピルアクリレート)260g(2モル)を仕込んで、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認し反応を終了させた。GPC分析の結果、ウレタンアクリレート(A1−3)にはラジカル重合性オリゴマー(A1)として、数平均分子量が971であるTDIと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとHPAの付加物が94質量%、他にTDIとHPAの直接付加物6質量%が含まれていた。
【0056】
(合成例10−ウレタンアクリレート(A1−4)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)1851g、ジブチルスズジラウレート5g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1.5gを仕込んだ。ついで数平均分子量360のビスフェノールAプロピレンオキシド付加物1951gを2時間かけて、60〜70℃にしたまま添加した。1時間攪拌後、HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)1234gを1時間にわたり滴下した。ラジカル重合性オリゴマー(A1−4)を得た。GPC分析の結果、ウレタンアクリレート(A1−4)にはラジカル重合性オリゴマー(A1)として、数平均分子量が1315であるTDIとビスフェノールAプロピレンオキシド付加物とHEAの付加物が90質量%、他にTDIとHEAの直接付加物10質量%が含まれていた。
【0057】
(合成例11−ウレタンアクリレート(A1−5)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、TDI(2,4−トリレンジイソシアネート)1851g、ジブチルスズジラウレート5g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1.5gを仕込んだ。ついで数平均分子量400のビスフェノールAエチレンオキシド付加物2291gを2時間かけて、60〜70℃にしたまま添加した。1時間攪拌後、HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)1234gを1時間にわたり滴下した。ラジカル重合性オリゴマー(A1−5)を得た。GPC分析の結果、ウレタンアクリレート(A1−5)にはラジカル重合性オリゴマー(A1)として、数平均分子量が1375であるTDIとビスフェノールAエチレンオキシド付加物とHEAの付加物が90質量%、他にTDIとHEAの直接付加物10質量%が含まれていた。
【0058】
3.その他のラジカル重合性オリゴマー(A)の合成
(合成例12−ウレタンアクリレートオリゴマー(A−X)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(分子量130)260g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174g(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、ジブチル錫ジアセテート1g、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ラジカル重合性オリゴマー(A)としてウレタンアクリレート(A−X)を得た。合成したウレタンアクリレート(A−X)の数平均分子量は434であった。
【0059】
(合成例13−ウレタンアクリレートオリゴマー(A−Y)の合成)
攪拌翼のついたフラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232g(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174g(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、ジブチル錫ジアセテート1g、メトキノン0.2g、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール1gを加えた。この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ラジカル重合性オリゴマー(A)としてウレタンアクリレート(A−Y)を得た。合成したウレタンアクリレート(A−Y)の数平均分子量は406であった。
【0060】
(光ファイバー被覆用樹脂組成物の調製)
上記合成例で合成した化合物と下記の化合物を用いて、表1、表2の配合(質量部)で加熱混合し、1ミクロンのフィルターで濾過し、均一な光ファイバー被覆用樹脂組成物を調製した。
【0061】
ラジカル重合性オリゴマー
A−O:ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとアクリル酸の付加物
ラジカル重合性モノマー
M−1:イソボルニルアクリレート
M−2:N−ビニルピロリドン
M−3:N−ビニルカプロラクタム
M−4:ヒドロキシルプロピルアクリレート
M−5:トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリアクリレート
M−6:ノニルフェノールオキシエチルアクリレート
M−7:ポリエチレングリコールジアクリレート
N−1:ジシクロペンテニルアクリレート
N−2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
N−3:トリメチロールプロパントリアクリレート
酸化防止剤
R−1:3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
R−2:チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
光安定剤
N−1:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
光重合開始剤
I−1:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド
I−2:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
I−3:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
I−4:3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール
I−5:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
I−6:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1
I−7:ベンゾフェノン
S−1:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
【0062】
(硬化塗膜の作製)
表1に従って調製した光ファイバー被覆用樹脂組成物をガラス板に塗布し、メタルハライドランプを用い、窒素雰囲気下で0.5J/cmの紫外線を照射して膜厚150μmの硬化塗膜を得た。
【0063】
(硬化塗膜の評価)
各硬化塗膜を以下の試験法で評価した。
【0064】
(硬化塗膜のヤング率の測定法)
得られた硬化塗膜をJIS K 7113に従い、2号試験片でヤング率(引張割線弾性率)(2.5%)を測定した。ただし、引張速度は、1mm/minで測定した。測定条件は23℃、50%RHである。
(1)硬化塗膜の作成方法;調製した光ファイバー被覆用樹脂組成物をガラス板に塗布し、メタルハライドランプを用い、窒素雰囲気下で0.5J/cmの紫外線を照射して膜厚150μmの硬化塗膜を得る。
(2)試験片形状;JIS K 7113の2号試験片の形状のダンベルカッタターを用い硬化塗膜を打ち抜いた。標線の外側の表裏に2cm角厚さ1.2mmの金属片をシアノアクリレート接着剤で固定し試験片とした。
(3)測定機種;島津製作所製引張試験器、オートグラフAGS−100G型
(4)引張速度;1mm/min
(5)測定条件雰囲気;23℃、50%RH
【0065】
(硬化塗膜の引張破壊伸びの測定法)
(1)硬化塗膜の作成方法;調製した光ファイバー被覆用樹脂組成物をガラス板に塗布し、メタルハライドランプを用い、窒素雰囲気下で0.5J/cmの紫外線を照射して膜厚150μmの硬化塗膜を得る。
(2)試験片形状と方法;JIS K 7113の2号試験片の形状のダンベルカッタターを用い硬化塗膜を打ち抜き、JIS K 7113の方法に準拠した。
(3)測定機種;島津製作所製引張試験器、オートグラフAGS−100G型
(4)引張速度;1mm/min
(5)測定条件雰囲気;23℃、50%RH
なお、表1及び表2には引張破壊伸びの数値に加えて、引張破壊伸びが30%未満の場合を×、30%〜40%未満の場合を△、40%〜50%未満の場合を○、50%以上の場合を◎と表示した。
【0066】
(硬化物の耐ノッチ性の測定法)
(1)硬化塗膜の作成方法;調製した光ファイバー被覆用樹脂組成物をガラス板に塗布し、メタルハライドランプを用い、窒素雰囲気下で0.5J/cmの紫外線を照射して膜厚150μmの硬化塗膜を得る。
(2)試験片と試験方法;JIS K 6252−1993のクレセント型ダンベルカッターで打ち抜き試験片とした。この試験片を用いてJIS K 6252−1993の方法に準拠して測定した。クレセント型試験片には、試験片のくぼみの中央に試験片の主軸と直角方向に長さ1.0±0.2mmの切り込み(ノッチ)を入れた。切り込みは鋭利な刃物で、試験片の厚さ方向に対して平行に(試験片の上下面に対しては垂直に)入れた。
(3)測定機種;島津製作所製引張試験器、オートグラフAGS−100G型
(4)引張速度;50mm/min
(5)測定条件は23℃、50%RHである。
なお、表1及び表2には耐ノッチ性の数値に加えて、耐ノッチ性が4.3(kgf/mm)未満の場合を×、4.3〜4.5(kgf/mm)未満の場合を△、4.5〜4.8(kgf/mm)未満の場合を○、4.8以上(kgf/mm)の場合を◎と表示した。
【0067】
(評価結果)
評価結果は、表1、表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004483189
【0069】
【表2】
Figure 0004483189
【0070】
*表1、表2中、各化合物の配合量は質量部である。
「ラジカル重合性オリゴマー(A1)の量」は、(A1−1)〜(A1−5)の配合量に各合成例中に記載した(A1)の含有比率を乗じた値の合計。
【0071】
*表1、表2中に記載したウレタン結合濃度の計算例を以下に示す。
実施例1における計算例。
▲1▼オリゴマー(A2−1)は、PPG2000(数平均分子量2000)1モル/TDI(分子量174)2モル/HEA(分子量116)2モルが付加反応したものであるので、これらが化学量論的に反応した場合に生成するウレタン結合の量は4モルであり、オリゴマー(A2−1)の分子量は、下記の計算式から求められる値である。
分子量=2000×1+174×2+116×2=2580
したがって、オリゴマー(A2−1)1kg中に含まれるウレタン結合の濃度は、
ウレタン結合濃度=4÷2580×1000=1.550mol/kg
である。
【0072】
▲2▼オリゴマー(A2−3)は、PPG8000(数平均分子量8000)1モル/TDI(分子量174)2モル/HEA(分子量116)2モルが付加反応したものであるので、▲1▼と同様にオリゴマー(A2−3)1kg中に含まれるウレタン結合の濃度を求めると、
ウレタン結合濃度=4÷(8000+174×2+116×2)×1000=0.466mol/kg
となる。
【0073】
▲3▼オリゴマー(A1−1)は、PPG400(数平均分子量400)1モル/TDI(分子量174)2モル/HPA(分子量130)2モルが付加反応したものであるので、▲1▼と同様にオリゴマー(A1−1)1kg中に含まれるウレタン結合の濃度を求めると、
ウレタン結合濃度=4÷(400+174×2+130×2)×1000=3.968mol/kg
となる。
【0074】
▲4▼実施例1の光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合濃度を以上で求めたオリゴマーのウレタン結合濃度とそれらの配合量から求めると、
(1.550×12+0.466×7+3.968×42.4)÷98.1=1.94mol/kg
となる。
なお、配合物の総量は、オリゴマーA2-1(12部)+オリゴマーA2-3(7部)+オリゴマーA1-1(42.4部)+モノマー(16.2部+10部+8部)+添加剤(1部+1部+0.5部)=合計98.1部である。
【0075】
以下同様に実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例5の光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合濃度を計算した。
【0076】
(ユニットの製造及び解体性の評価)
光ファイバー素線及び光ファイバーユニットの製造及び評価
1次被覆用としてウレタンアクリレート系光硬化型樹脂組成物を、2次被覆用として実施例1の光ファイバー被覆用樹脂組成物を被覆して、外径240μmの光ファイバー素線を作製した。次に、この光ファイバー素線の外周に厚さ約5μmのウレタンアクリレート系光硬化型樹脂からなる着色層を被覆して、外径250μmの光ファイバー着色心線を作製した。更に、この光ファイバー着色心線を4本並行に束ねて並べ、実施例2〜7、および、比較例5の光ファイバー被覆用樹脂組成物を被覆して一体化した4心の光ファイバーテープ心線(ユニット)を作製し、単心分離性(解体性)を評価した。その結果、実施例2〜7の樹脂組成物を被覆した場合、テープ層が途中で割れることがなく、長尺に渡り被覆除去が可能であった。比較例5の樹脂組成物を被覆した場合は、被覆除去時にテープ層が途中で割れてしまい、長尺に渡る被覆除去が出来なかった。結果を表3に示す。解体性が良好な場合を○、解体性が不良な場合を×とした。
なお、ユニットを製造する際に使用した一次被覆材及び着色剤は以下の通りである。
一次被覆材;平均分子量4000のポリエーテルポリオールを出発原料とするウレタンアクリレートを主成分とし、光開始剤を含有する樹脂組成物。
着色剤;ビスフェーノールAを主骨格とするエポキシアクリレートを主成分とし、光開始剤とフタロシアニン、酸化チタン等の顔料(6重量%含有)とシリコーン系離型剤を含有する樹脂組成物。
【0077】
【表3】
Figure 0004483189
【0078】
【発明の効果】
本発明の光ファイバー用樹脂組成物によれば、ノッチが入った場合の耐ノッチ性に優れ、且つ解体時の作業性を同時に満足する優れた樹脂組成物を得ることができる。

Claims (7)

  1. ラジカル重合性オリゴマー(A)とラジカル重合性モノマー(B)を含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性オリゴマー(A)が、下記(1)〜(3)、
    (1)数平均分子量が50〜600であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a1)
    (2)環状構造を有するポリイソシアネート化合物(a2)
    (3)同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)
    を反応させた数平均分子量が600〜1600のラジカル重合性オリゴマー(A1)と、
    下記(4)〜(6)、
    (4)数平均分子量が800〜10000であり、分岐鎖を有していても良い鎖状構造の脂肪族ポリオール化合物(a4)
    (5)ポリイソシアネート化合物(a5)
    (6)同一分子内に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する化合物(a3)
    を反応させたラジカル重合性オリゴマー(A2)を含有し、前記ラジカル重合性オリゴマー(A1)とラジカル重合性オリゴマー(A2)の質量比(A1)/(A2)が20/80〜80/20であり、
    ラジカル重合性オリゴマー(A)の含有量が光ファイバー被覆用樹脂組成物中の40質量%〜90質量%であり、
    ラジカル重合性オリゴマー(A1)及びラジカル重合性オリゴマー(A2)を、ラジカル重合性オリゴマー(A1)とラジカル重合性オリゴマー(A2)の含有量の和がラジカル重合性オリゴマー(A)中の35.48/56以上の質量比にて含有し、
    且つ前記光ファイバー被覆用樹脂組成物中のウレタン結合の含有濃度が1.85〜3.00mol/kgであることを特徴とする光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  2. 前記光ファイバー被覆用樹脂組成物の総量に対する、前記ラジカル重合性オリゴマー(A1)及びラジカル重合性オリゴマー(A2)の含有量の和の比率が、質量比で、35.48/96.4〜59.4/99.2である請求項1に記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  3. 前記光ファイバー被覆用樹脂組成物の総量に対する前記ラジカル重合性オリゴマー(A1)の含有量の比率が、質量比で、14.4/99.2〜39.432/98.1である請求項1又は2に記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  4. 前記ポリオール化合物(a1)及び前記ポリオール化合物(a4)がポリエーテル構造を有する化合物である請求項1記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  5. 前記ポリオール化合物(a1)及び前記ポリオール化合物(a4)が、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、及び3−メチルテトラヒドロフランから選択される1種以上の化合物の開環付加重合体である請求項1記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  6. 請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物で被覆されたことを特徴とする光ファイバー素線。
  7. 請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物で被覆されたことを特徴とする光ファイバーユニット。
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