JP4481994B2 - 生体吸収性多孔体 - Google Patents

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Description

本発明は生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなる多孔体に関する。
近年、大きく損傷したり失われた生体組織と臓器の治療法として、細胞の分化、増殖能を利用し元の生体組織および臓器に再構築する再生医療の研究が活発になってきている。生体内において細胞が分化・増殖する場合、細胞外マトリックスが足場として機能し、組織の構築を行っているが、組織が大きく損傷し欠損している場合、細胞自身がマトリックスを産生するまで人工及び天然材料で補う必要がある。つまり補綴材(足場材料)は組織構築の上で最適な環境を与える重要なファクターである。この足場材料に求められる特性としては、1)生体吸収性、2)細胞接着性、3)多孔質性、4)力学強度などが挙げられ、これらの特性を満足する材料を創生することを目的として、合成高分子(ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなど)(例えばY.Ikada,H.Tsuji,Macromol.Rapid.Commun.,21,117(2000)、J.Mayer,E.Karamuk,T.Akaike,E.Wintermantal,J.Control.Release.,4,81(2000))、天然高分子(コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キトサンなど)(例えばWeinberg.C.B,Bell.E,Science.,231,397(1986),Aigner.J,Tegeler.J.A,Hutzler.P,Campoccia.D,Naumann.A,.J.Biomed.Mater.Res.,42,172(1998)、無機材料(ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム)(例えばLaffargue.P.H,Marchandise.X,Bone.,25(2S),55S(1999))、およびこれらの複合体などがこれまで検討されている。
前述したように、補綴材(足場材料)に求められる重要な特性の1つとして多孔質性がある。これは組織を再生させるのに必要な細胞への十分な酸素及び栄養を補給し、二酸化炭素や老廃物を速やかに排出する意味において重要である。そのため、足場材料の多孔質性を達成するために凍結乾燥法(例えばK.Wang,K.E.Healy,Polymer.,36,837(1995))、相分離法(例えばP.X.Ma,R.Zhang,J.Biomed.Mater.Res.,45,285(1999))、発泡法(例えばD.J.Mooney,R.Langer,Biomaterials.,17,1417(1996))により均一な多孔質体を作製している。
凍結乾燥法又は相分離法は得られた構造体のポアの形状が鱗片状であり、細胞の侵入が難しく足場材料として未充足な課題がある。また、発泡法についてもポアが単独に存在するため細胞の侵入が困難であるという課題がある。
またWO2004/88024号公報には熱可塑性ポリマーからなる繊維の集合体であって、平均繊維径が0.1〜20μmであり、かつ該繊維の任意の横断面が異形であり、更に平均見掛け密度が10〜95kg/mである不織布が記載されているが、足場材料としてさらなる厚みと強度を有するものが求められている。
また、実際の生体組織は均一な構造ではなく連続的な勾配構造を示している。例えば関節軟骨組織においては、表層部は細胞密度が低いが、下骨に近いほど細胞密度が比較的高い。つまり、より生体に近い組織を再生させるためには連続的な勾配構造を示す足場材料の開発が重要である。しかし前記従来技術では、ポアの空間的分布を制御することが困難であり、連続的な勾配構造を示す足場材料の作製には制限がある。しかし最近になってAthanasiou他(例えば米国特許第5,607,474号)、Mikos他(例えば米国特許第5,514,378号)、ETHICON INCORPORATED(例えば米国特許第6306424号)らにより、連続的な勾配構造を示す足場材料の検討が報告されている。しかし、構造が生体に非類似であったり、また例え勾配構造を示していても、その製造方法がポリマーと溶媒の非相溶性を利用した凍結乾燥または熱乾燥であるため、得られた構造体のポアの形状が鱗片状であり、細胞の侵入が難しく足場材料としては適していないなどの問題がある。
本発明の目的は、生体吸収性多孔体、とくに補綴材や再生医療分野における細胞培養基材に適した多孔体を提供することにある。詳細には、生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなる生体吸収性多孔体、またその生体吸収性多孔体を簡易的な手法により提供することにある。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1. 生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり、該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m、高さが0.5mm以上であることを特徴とする多孔体。
2. 該多孔体の平均繊維径が0.2〜8μmであることを特徴とする1に記載の多孔体。
3. 平均見かけ密度が100〜250kg/mであることを特徴とする1に記載の多孔体。
4. ポロシティが10〜90%であり、異なるポロシティが連続的に存在する勾配構造を有することを特徴とする3に記載の多孔質材料。
5. 該生体吸収性ポリマー100重量部に対して、さらに分散補助剤を0.01〜50重量部含むことを特徴とする1に記載の多孔体。
6. 分散補助剤が生体吸収性を示すことを特徴とする5に記載の多孔体。
7. 該分散補助剤が、リン脂質類、糖質類、糖脂質類、ステロイド類、ポリアミノ酸類、タンパク質類、およびポリオキシアルキレン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする6に記載の多孔体。
8. 該生体吸収性ポリマーが、主として脂肪族ポリエステルからなる1に記載の多孔体。
9. 該脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする8に記載の多孔体。
10. 1に記載の多孔体からなることを特徴とする補綴材。
11. 揮発性溶媒と生体吸収性ポリマーとからなる溶液を静電紡糸法にて紡糸し繊維構造体を得る工程、得られた繊維構造体を切断する工程、切断された繊維構造体を溶媒中に浮遊させ遠心分離する工程、次いで凍結乾燥する工程を含む、生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m3、かつ厚みが0.5mm以上である多孔体の製造方法。
12. 該溶液にさらに分散補助剤を含む溶液を用いて紡糸することを特徴とする11に記載の製造方法。
13. 揮発性溶媒と生体吸収性ポリマーとからなる溶液を静電紡糸法にて紡糸する方法において、ノズルと捕集電極の間に静電気除去器を使用することを特徴とする生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m3、かつ厚みが0.5mm以上である多孔体の製造方法。
発明の効果
本発明の生体吸収性多孔体は、補綴材として有用である。本発明により所望の形状に合わせた成形体が提供でき、軟骨損傷部などの高い負荷が掛かるような部位における補綴材として有用である。
本発明の生体吸収性多孔体は、補綴材の中でも再生医療分野における細胞培養基材、特に軟骨再生用基材として有用である。
多孔体を移植に用いる場合、移植初期における加重圧縮に耐える機械強度が必要となるが、本発明により用途に応じた機械強度を有する多孔体を提供することができる。
本発明の製造方法のなかで、紡糸液を静電場中に吐出する静電紡糸法で用いる装置の一例である。 本発明の製造方法のなかで、紡糸液の微細滴を静電場中に導入する静電紡糸法で用いる装置の一例である。 本発明の製造方法2の静電紡糸法で用いる装置の一例である。 実施例3で得られた多孔体の光学顕微鏡写真 実施例4で得られた多孔体の光学顕微鏡写真 実施例5で得られた多孔体上部の走査型電子顕微鏡写真 実施例5で得られた多孔体中部の走査型電子顕微鏡写真 実施例5で得られた多孔体下部の走査型電子顕微鏡写真 実施例6で得られた多孔体の光学顕微鏡写真 実施例7で得られた多孔体の光学顕微鏡写真 実施例8の術後8週目における多孔体埋入部近傍の顕微鏡写真 実施例9の術後8週目における多孔体埋入部近傍の顕微鏡写真 比較例1の術後8週目における欠損部近傍の顕微鏡写真 組織学的評価をする際に用いた項目と得点 組織学的評価
符号の説明
1. ノズル
2. 紡糸液
3. 紡糸液保持槽
4. 電極
5. 繊維状物質捕集電極
6. 高電圧発生器
7. ノズル
8. 紡糸液
9. 紡糸液保持槽
10. 電極
11. 繊維状物質捕集電極
12. 高電圧発生器
13. ノズル
14. 紡糸液
15. 紡糸液保持槽
16. 電極
17. 電極
18. 高電圧発生器
19. 巻き取り装置
20. 静電除去装置
発明の好ましい実施形態
以下、本発明について詳述する。なお、これらの説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明で使用されている繊維構造体とは、単数または複数の繊維が積層され、集積されて形成された3次元の構造体である。繊維構造体の平均繊維径は0.05〜10μmである。平均繊維径が、0.05μmよりも小さいと該繊維構造体の強度が保てないため好ましくない。また平均繊維径が10μmよりも大きいと繊維の比表面積が小さく生着する細胞数が少なくなるため好ましくない。より好ましくは平均繊維径が0.2〜10μm、さらに好ましくは平均繊維径が0.2〜8μmである。
また、繊維の任意の横断面は略真円でも異形でも良い。繊維の任意の横断面が異形であると、繊維の比面積は増大するので、細胞の培養時に、細胞が繊維表面に接着する十分な面積をとることができる。
ここで、繊維の任意の横断面が異形であるとは、繊維の任意の横断面が略真円形状をとらないいずれの形状も指し、繊維表面が一様に凹部及び/又は凸部を有して粗面化されている場合を含む。
前記異形形状は、繊維表面の微細な凹部、繊維表面の微細な凸部、繊維表面の繊維軸方向に筋状に形成された凹部、繊維表面の繊維軸方向に筋状に形成された凸部及び、繊維表面の微細孔部からなる群から選ばれた少なくとも1種によることが好ましく、これらは単独で形成されていても複数が混在していても良い。
ここで、上記の「微細な凹部」、「微細な凸部」、とは、繊維表面に0.1〜1μmの凹部または凸部が形成されていることをいい、「微細孔」とは、0.1〜1μmの径を有する細孔が繊維表面に存在することをいう。また、上記筋状に形成された凹部及び/又は凸部は、0.1〜1μm幅の畝形状が繊維軸方向に形成されていることをいう。
本発明の繊維構造体からなる多孔体は、平均見かけ密度が10〜350kg/mである。平均見かけ密度が10kg/mより低いと細胞侵入性は良いものの機械強度が低く、また350kg/mより高いと細胞が侵入するのが困難となり足場材料としては好ましくない。平均見かけ密度は得られた多孔体の体積(面積×厚み)と質量とを測定し算出することができる。平均見かけ密度は好ましくは50〜300kg/mである。さらに好ましくは、100〜250kg/mである。
本発明の繊維構造体からなる多孔体は、ポロシティが10〜90%であることが好ましい。ポロシティが10%より低いと生着する細胞数が少なく、また90%より高いと生着する細胞数は多いものの、殆どが空間であるために機械強度が低く足場材料としては好ましくない場合がある。さらにはポロシティが20〜70%であることが好ましく、20〜50%がより好ましい。ポロシティは平均見かけ密度とポリマー固有密度より算出することができる。
本発明の繊維構造体からなる多孔体は、平均見かけ密度及び/またはポロシティが均一であっても、または勾配が付いていてもどちらでも良く、要求される足場部位に応じて選択できる。
異なるポロシティが連続的に存在する勾配構造とは、2段階以上の勾配構造であれば良く、2段でも多段でも構わない。このような勾配構造を有していても多孔体全体として平均見かけ密度は10〜350kg/mとなっている。また、この場合のポロシティは10〜90%である。
本発明の多孔体は、円柱、多角柱、円錐台、多角錐台などの三次元形であって、高さが0.5mm以上であり、高さの上限は問わず、細胞培養基材として使用する部位に依存するといえる。高さが0.5mmより低いと機械強度が低く、膝関節など負荷の高い組織の細胞培養基材としては好ましくない。
本発明の多孔体を、例えば生体の損傷部に穴を開け埋入し、補綴材表面に細胞を再生するために用いることができるが、本発明の多孔体は所望の形状に合わせた成形体が提供できるという特徴を有する。求められる厚みを持った基材が提供できるので、例えば不織布を重ねて圧着させたような積層体に比べて、界面剥離が無く形状安定性に優れることから、高い負荷が掛かるような部位における補綴材、細胞培養基材として有用である。
例えば多孔体を移植に用いる場合、移植初期における加重圧縮に耐える機械強度が必要となるが、本発明により用途に応じた機械強度を有する多孔体を提供することができる。
本発明の多孔体を構成する生体吸収性ポリマーは、好ましくは主として脂肪族ポリエステルからなる。脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また本発明の多孔体は、さらに分散補助剤を含むことが好ましい。分散補助剤が生体吸収性を示すことがさらに好ましい。該分散補助剤としては、リン脂質類、糖質類、糖脂質類、ステロイド類、ポリアミノ酸類、タンパク質類、およびポリオキシアルキレン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的な分散補助剤としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールなどのリン脂質類および/またはポリガラクチュロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチン、ガラクトマンナン、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、硫酸化ジェラン、カラヤガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カードラン、プルラン、セルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グルコマンナン、キチン、キトサン、キシログルカン、レンチナンなどの糖質類および/またはガラクトセレブロシド、グルコセレブロシド、グロボシド、ラクトシルセラミド、トリヘキソシルセラミド、パラグロボシド、ガラクトシルジアシルグリセロール、スルホキノボシルジアシルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、グリコシルポリプレノールリン酸などの糖脂質類および/またはコレステロール、コール酸、サポゲニン、ジギトキシンなどのステロイド類および/またはポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸類および/またはコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、カゼイン、ケラチン、セリシン、トロンビンなどのタンパク質類および/またはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエーテルなどのポリオキシアルキレン類などが挙げられる。
生体吸収性多孔体における分散補助剤の好ましい含有量としては、生体吸収性ポリマー100重量部に対して0.01〜50重量部である。含有量が0.01重量部より低いと水に対する濡れ性が悪くホモジナイザーでの繊維切断が離しい場合があり、また遠心分離処理を行った際繊維が沈降し難いことがある。50重量部より高いと紡糸段階で繊維が形成され難い。さらに好ましくは含有量0.1〜20重量部である。また、分散補助剤を含むことで多孔体への細胞侵入性が高まる。
本発明の生体吸収性多孔体は、生体吸収性ポリマー、分散補助剤以外の第3成分をさらに含有しても良い。該成分には、例えばFGF(繊維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、PDGF(血小板由来増殖因子)、TGF−β(β型形質転換増殖因子)、NGF(神経増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、BMP(骨形成因子)などの細胞増殖因子などが挙げられる。
本発明の多孔体は、補綴材として有用である。軟骨が損傷した部位に埋入して軟骨損傷の治療方法に用いることができる。治療方法は以下の手順で行うことができる。まず、関節部を手術し軟骨を露出させる。次に、軟骨の損傷部位にドリルなどで穴を開ける。穴は、厚さ2mm程度の軟骨組織より下の軟骨下骨に達する程度の深さまで開けることが好ましい。従って穴の深さは3〜8mm程度が好ましい。その後、穴の内径に略一致する形状の本発明の補綴材を埋入する。その後、手術部位を修復し、自然治癒により、軟骨の再生を行う。
本発明は、揮発性溶媒と生体吸収性ポリマーとからなる溶液を静電紡糸法にて紡糸し繊維構造体を得る工程、得られた繊維構造体を切断する工程、切断された繊維構造体を溶媒中に浮遊させ遠心分離する工程、次いで凍結乾燥する工程、を含む、生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m、かつ厚みが0.5mm以上である多孔体の製造方法である(方法1)。該溶液にさらに分散補助剤を含む溶液を用いて紡糸することが好ましい。
また本発明は、揮発性溶媒と生体吸収性ポリマーとからなる溶液を静電紡糸法にて紡糸する方法において、ノズルと捕集電極の間に静電気除去器を使用することを特徴とする、生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m、かつ厚みが0.5mm以上である多孔体の製造方法である(方法2)。
まず方法1について述べる。
本発明で溶液を形成する揮発性溶媒とは、生体吸収性ポリマーを溶解し常圧で沸点が200℃以下であり、室温で液体である物質である。具体的な揮発性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、テトラヒドロフラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、水、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが挙げられる。これらのうち、生体吸収性ポリマー、とくに脂肪族ポリエステルの溶解性等から、塩化メチレン、クロロホルム、アセトンが特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いても良く、複数の溶媒を組み合わせても良い。また本発明においては、本目的を損なわない範囲で他の溶媒を併用しても良い。
本発明で使用する静電紡糸法とは、生体吸収性ポリマーまたは生体吸収性ポリマーと分散補助剤とを揮発性溶媒に溶解した溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曵糸することにより、繊維状物質を製造する方法である。繊維状物質とは既に溶液中の溶媒が留去され、繊維状物質となっている状態のみならず、いまだ溶媒を含んでいる状態も示している。本発明で用いられる電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示すものであれば良い。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。本発明における静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースに繋がった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3本を超える数の電極を使う場合も含むものとする。
本発明における生体吸収性ポリマー溶液中の生体吸収性ポリマーの濃度は、1〜30重量%であることが好ましい。生体吸収性ポリマーの濃度が1重量%より低いと、濃度が低すぎるため繊維状物質を形成することが困難となり好ましくない。また、30重量%より高いと得られる繊維状物質の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましい生体吸収性ポリマーの濃度は2〜20重量%である。
該溶液を静電場中に吐出するには、任意の方法を用いることが出来る。例えば、一例として図1を用いて以下説明する。溶液2をノズルに供給することによって、溶液を静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから溶液を電解によって曵糸して繊維化させる。このためには適宜な装置を用いることができ、例えば注射器の筒状の溶液保持槽3の先端部に適宜の手段、例えば高電圧発生器6にて電圧をかけた注射針状の溶液噴出ノズル1を設置して、溶液をその先端まで導く。接地した繊維状物質捕集電極5から適切な距離に該噴出ノズル1の先端を配置し、溶液2が該噴出ノズル1の先端を出るときにこの先端と繊維状物質捕集電極5の間にて繊維状物質を形成させる。
また当業者には自明の方法で該溶液の微細滴を静電場中に導入することもできる。一例として図2を用いて以下に説明する。その際の唯一の要件は液滴を静電場中に置いて、繊維化が起こりうるような距離に繊維状物質捕集電極11から離して保持することである。例えば、ノズル7を有する溶液保持槽9中の溶液8に直接、直接繊維状物質捕集電極に対抗する電極10を挿入しても良い。
該溶液をノズルから静電場中に供給する場合、数個のノズルを用いて繊維状物質の生産速度を上げることもできる。電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、紡糸液流量、紡糸液濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当であった。また、印加される静電気電位は一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、一層好ましくは5〜30kVである。所望の電位は任意の適切な方法で作れば良い。
上記説明は、電極がコレクタを兼ねる場合であるが、電極間にコレクタとなりうる物を設置することで、電極と別にコレクタを設けることが出来る。またコレクタの形状を選択することで、シート、チューブなどが得られる。さらに、例えばベルト状物質を電極間に設置して捕集することで、連続的な生産も可能となる。本発明においては、該溶液を捕集電極に向けて曵糸する間に、条件に応じて溶媒が蒸発して繊維状物質が形成される。通常の室温であれば捕集電極上に捕集されるまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、もし溶媒蒸発が不十分な場合は減圧条件下で曵糸しても良い。また、曵糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃である。
本発明の繊維を切断する方法は特に限定はされないが、ホモジナイザー、粉砕機、ミルを使用するのが好ましい。切断する際は、繊維状物質を直接または凍結した状態で切断しても良いし、または溶媒中に繊維状物質を浮遊させて切断しても良い。また溶媒中で切断する場合は、繊維状物質と溶媒の親和性を高めることでより効率的に切断出来ることから、繊維状物質を紡糸する段階で前記第2成分として挙げられた分散補助剤を含有させることが好ましい。分散補助剤は生体吸収性ポリマー100重量部に対して、0.01〜50重量部、含有させることが好ましい。
本発明で行う遠心分離は、繊維状物質を溶媒中に浮遊させて行う。溶媒中における繊維構造体の濃度は通常約0.001〜50重量%であり、該溶媒としては凍結乾燥できる溶媒であれば特に限定はされないが、取り扱い性及び安全性を考えた場合水が好ましい。また、多孔体の平均見かけ密度及びポロシティは遠心加速度及び遠心時間に依存するため、遠心加速度及び/または遠心時間をコントロールすることで、所望の平均見かけ密度及びポロシティを有する多孔体を得ることが可能となる。具体的には、遠心加速度が高く、遠心時間が長い場合においては、得られる多孔体の平均見かけ密度は高く、かつポロシティは低い。それに対し、遠心加速度が低く、遠心時間が短い場合においては、得られる多孔体の平均見かけ密度は低くかつポロシティは高い。遠心加速度の好ましい条件としては、100〜6,000Gであり、遠心時間の好ましい条件としては、10〜40分である。
このように遠心加速度をコントロールすることで、多段階の勾配構造を有する多孔質体を作製することが可能である。
凍結乾燥工程は、到達温度において減圧下で行い、有機溶媒を除去する工程であり、特に限定はされない。凍結乾燥工程は、10〜30Paで行うことが好ましい。凍結乾燥時間は8〜24時間が好ましい。凍結する際温度勾配をつけて徐々に凍結させる方法が欠陥構造の少ない多孔質性材料を得る意味で好ましい。なお凍結乾燥機の種類は特に限定されず、市販されている凍結乾燥機を好適に用いることができる。
以下方法2について述べる。
紡糸工程については上記方法1と同様であるが、ノズル13と電極17の間に静電気除去器20を設置して紡糸を行い、ノズルと電極17との間で堆積した糸を巻取り機19により捕集し、捕集された繊維構造体を生検トレパンを用いて繰り抜き、形状の整った多孔体を得る。ここで使用する静電気除去器とは、イオンエアーを紡糸された糸に当てイオンバランスを均一に保ち、電極に届く前に糸の帯電状態を緩和することで空気中に堆積させる装置である。この装置を用いることによって高さが0.5mm以上の多孔体の製造が可能である。
また、多孔体の平均見かけ密度及びポロシティは巻き取り機の回転数に依存するため、巻き取り機の回転数をコントロールすることで、所望の平均見かけ密度及びポロシティを有する多孔体を得ることが可能となる。具体的には、回転数が高い場合においては、得られる多孔体の平均見かけ密度は高く、かつポロシティは低い。それに対し、回転数が低い場合においては、得られる多孔体の平均見かけ密度は低くかつポロシティは高い。回転数の好ましい条件としては、5〜200rpmである。
このように巻き取り機の回転数をコントロールすることで、多段階の勾配構造を有する多孔体を作製することが可能である。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の発明を制限するものではない。
本実施例に使用したポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体:バーミンガムポリマー社(Birmingham Polymers,Inc)製のポリDL乳酸/ポリグリコール酸(モル比=50/50)共重合体、固有粘度:1.08dL/g、30℃、ヘキサフルオロイソプロパノール、ホスファチジルエタノールアミンジオレオイル(COATSOME)は日本油脂(株)、塩化メチレン、エタノールは和光純薬工業(株)製を使用した。
[実施例1]
ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体0.9g、ホスファチジルエタノールアミンジオレオイル0.1g、塩化メチレン/エタノール=7/2(重量部/重量部)9gを室温(25℃)で混合し10重量%のドープ溶液を調整した。図2に示す装置を用いて、繊維状物質捕集電極11に5分間吐出した。噴出ノズル7の内径は0.8mm、電圧は14kV、噴出ノズル7から繊維状物質捕集電極までの距離は10cmであった。得られた繊維状物質0.2gをイオン交換水50ml中に入れて、ホモジナイザー(登録商標POLY TRON PT 2100)を用いて回転数22,000rpmで5分間切断した。得られた懸濁液の一部を遠心分離機(KUBOTA KN−70、回転半径15cm)を用いて回転数3,000rpm(1,500G)で25分間遠心分離を行った。そして−20℃で2時間凍結処理を行った後、20Paで6時間凍結乾燥を行い多孔体を得て、直径5mm×高さ5mmの円柱状のものを切り出した。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表1に示す。繊維径については、試料をスッパタコーティング(Pt1.0nm)処理し、SEM(JSM−5310型(日本電子製)、加速電圧:2.0kV、撮影角度30°)により観察を行った。多孔体の見かけ密度、およびポロシティについては、下記式により算出した。
ρ=4m/πd
ε=(1−ρ/ρp)×100
(ε:ポロシティ,ρ:多孔体の見かけ密度,m:質量,d:直径,h:厚さ,ρp:ポリマー固有密度(50/50 Poly(DL−lactide−co−glycolide:1.34g/ml))
[実施例2]
遠心分離を15分間行った以外は、実施例1と同様に多孔体を得た。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表1に示す。
[実施例3]
遠心分離を20分間行った以外は、実施例1と同様に多孔体を得た。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表1に示す。また、図4に実施例3で得られた多孔体の光学顕微鏡写真(DIGITAL MICROSCOPEE,KEYENCE社,倍率:450倍)を示す。
[実施例4]
遠心分離を5分間行った以外は、実施例1と同様に多孔体を得た。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表1に示す。また、図5に実施例4で得られた多孔体の光学顕微鏡写真(倍率:450倍)を示す。
Figure 0004481994
[実施例5]
ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体0.9g、ホスファチジルエタノールアミンジオレオイル0.1g、塩化メチレン/エタノール=7/2(重量部/重量部)9gを室温(25℃)で混合し濃度10%のドープ溶液を調整した。図2に示す装置を用いて、繊維状物質捕集電極5に5分間吐出した。噴出ノズル7の内径は0.8mm、電圧は14kV、噴出ノズル7から繊維状物質捕集電極までの距離は10cmであった。得られた繊維状物質0.2gをイオン交換水50ml中に入れて、ホモジナイザー(登録商標POLY TRON PT 2100)を用いて回転数22,000rpmで5分間切断した。得られた懸濁液の一部を遠心分離機(KUBOTA KN−70、回転半径15cm)を用いて回転数1,000rpm(170G)で10分間遠心分離を行った。さらにその上に懸濁液を追加し2,000rpm(700G)で10分間、同様に追加し3,000rpm(1,500G)で10分間遠心分離を行った。そして−20℃で2時間凍結処理を行った後、20Paで6時間凍結乾燥を行い多孔体を得た。得られた多孔体の繊維径及びポロシティを表2に示す。試料をスパッタコーティング(Pt1.0nm)処理し、SEM(JSM−5310型(日本電子製)、加速電圧:2.0kV、撮影角度30°)により観察を行い、繊維径を求めた。
図6に上部のSEM写真を、図7に中部、図8に下部のSEM写真を示す。
Figure 0004481994
[実施例6]
ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体1.5g、塩化メチレン/エタノール=7.5/1(重量部/重量部)8.5gを室温(25℃)で混合し15重量%のドープ溶液を調整した。図3に示す装置を用いて(ノズルと電極の間に静電除去器(春日電機(株))及び巻き取り機(HEIDON)を設置する)、120分間吐出し、巻き取り器19で紡糸された糸を巻き取り繊維構造体を得た。このときの巻き取り機の回転数は100rpmであった。噴出ノズル7の内径は0.8mm、電圧は12kV、噴出ノズル13から巻き取り器19までの距離は20cm、噴出ノズル13から静電除去器20までの距離は35cm、噴出ノズル13から電極17までの距離は55cmであった。生検トレパンを用いて直径5mm×高さ5mmの円柱状のものを切り出した。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表3に示す。図9に実施例6で得られた多孔体の光学顕微鏡写真(倍率:450倍)を示す。圧縮強度(10%変位応力、JIS規格K7220を参照)は、0.044MPaであった。
[実施例7]
紡糸時間が45分間、巻き取り機の回転数が20rpmである以外は、実施例6と同様に繊維構造体を得た。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表3に示す。また、図10に実施例7で得られた多孔体の光学顕微鏡写真(倍率:450倍)を示す。圧縮強度は、0.006MPaであった。
[実施例8]
紡糸時間が60分間、巻き取り機の回転数が100rpmで上部層を作製し、引き続き紡糸時間が20分間、巻き取り機の回転数が20rpmで下層部を作製した以外は実施例6と同様に繊維構造体を得た。得られた多孔体の繊維径、平均見かけ密度及びポロシティを表3に示す。
Figure 0004481994
[実施例9]
実施例3の多孔体を使用し、補綴材の生物学的評価を以下の方法により行った。
(a)ジメチルスルホキシド:和光純薬工業(株)製
(b)消毒用エタノール:和光純薬工業(株)製
(c)10%中性緩衝ホルマリン溶液:和光純薬工業(株)製
(d)Safranin O溶液:和光純薬工業(株)製
(e)Fast Green FCF:ポリサイエンス(Polyscience)(株)社製
(f)エチレンジアミン−N,N,N’,N’−4ナトリウム塩4無水物(以下EDTA):同仁化学研究所(株)
(g)結晶ペニシリンGカリウム(以下ペニシリン):萬有製薬(株)製
(h)ヨードチンキ:吉田製薬(株)製
(i)動物用ケタラール:三共エール薬品(株)製
(j)動物用セラクタール2%注射液:バイエル(Bayer)(株)製
(k)ウサギ:実験に使用したニュージーランド白色家兎(以下NZWウサギ)は雄性であり、日本SLC(株)より購入してゲージにて通常飼育を行った。手術時の週齢は24週齢であった。
(多孔体の埋入)
通常飼育したNZWウサギに後肢大腿部にケタラールとセラクタールを筋肉内投与し、全身麻酔下で以下の手術を施した。両側の後肢膝関節周辺部を剃毛し、エタノール消毒した。その後、膝関節内側を切開し、膝蓋骨を脱臼させることにより大腿骨膝蓋溝を露出させた。内側側副靭帯から5mmほど上部の滑車溝部分に、手術用ドリルで内径5mm、深さ5mmの円筒形の欠損部を作製することによって、膝関節軟骨全層を欠損させた。できた欠損部に実施例3で製造した平均見かけ密度208kg/cm(ポロシティ38%)の多孔体を埋入したのち、膝蓋骨を元の位置に戻して筋肉を手術用縫合糸にて縫合した。感染防止のためにペニシリンを患部に滴下したのち、皮膚を縫合した。最後にヨードチンキで消毒し、ゲージに戻して通常の飼育を行った。
(評価)
術後8週目に屠殺して欠損部位を摘出し、軟骨組織の目視による観察を行ったのち10%中性緩衝ホルマリン溶液に浸漬、固定させ、組織学的評価に供した。組織学的評価は、固定した組織を脱脂、EDTA脱灰した後、パラフィンに包埋し、欠損部の中心部近傍を矢状面に薄切して標本を作製し、作製した標本にSafranin O−Fast Green染色を施した。
標本の顕微鏡写真を図11に示す。術後8週目において修復された軟骨組織は、層状に形成する途上にあり、軟骨基質の産生を認めた。また、正常部との結合が良好であり、軟骨下骨の再構築が起こりつつある様子を認めた。
[実施例9]
実施例4(平均見かけ密度100kg/cm、ポロシティ70%)の多孔体を使用し、実施例8と同様に生物学的評価を行った。
標本の顕微鏡写真を図12に示す。術後8週目において修復された軟骨組織は、正常部とほぼ同等な厚さで形成され、ほとんどが硝子軟骨様を呈しており、軟骨基質の産生が良好である様子が観察された。また、正常部との結合も良好であり、組織の連続性を認めた。
[比較例1]
欠損部に多孔体を埋入しなかった以外は実施例8と同様に生物学的評価を行った。標本の顕微鏡写真を図13に示す。術後8週目において、軟骨組織は欠落しており、軟骨下骨部が露呈している様子が観察された。また、軟骨下骨の骨梁が乏しく、軟骨組織の修復は認められなかった。
実施例8、9、比較例1について以下の項目についてスコア化することにより組織学的な評価を行った。
組織学的評価に用いたスコアグレードは、Wakitani S et.al.,J Bone Joint Surg Am.76,579−92(1994)の変法であるMakino T et al.,Kobe J Med Sci.48:97−104(2002)に従って実施した。図14に組織学的評価をする際に用いた項目と得点を示す。
全体の合計は14点であり、項目によって3〜5段階で評価する。組織の修復度が高いほど、すなわち、正常組織に近い修復を示すほど、14点に近づくことになる。すなわち、項目は、修復された組織の形態(0点から4点)、基質の染色性(0点から3点)、表面の状態(0点から3点)、軟骨組織の厚さ(0点から2点)、非欠損部との結合度(0点から2点)、についてであり、本法では正常組織に近いほど得点が高くなる。
評価結果を図15に示す。多孔体を埋め込んだ群では、どの項目も比較例1より良好に軟骨組織の修復が進行していたことを示している。また、ポロシティの違いで比較すると、有意な差はみられないものの、細胞の形態はポロシティ70%の方が多くの硝子軟骨で組織修復されていた。これらのことより、ある一定の空隙率を持つ多孔体が軟骨組織を修復するのに有効であることが示された。

Claims (10)

  1. 生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり、該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が100250kg/m、高さが0.5mm以上であり、ポロシティが10〜90%であり、異なるポロシティが連続的に存在する勾配構造を有することを特徴とする多孔体。
  2. 該生体吸収性ポリマー100重量部に対して、さらに分散補助剤を0.01〜50重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔体。
  3. 分散補助剤が生体吸収性を示すことを特徴とする請求項に記載の多孔体。
  4. 該分散補助剤が、リン脂質類、糖質類、糖脂質類、ステロイド類、ポリアミノ酸類、タンパク質類、およびポリオキシアルキレン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の多孔体。
  5. 該生体吸収性ポリマーが、脂肪族ポリエステルからなる請求項1に記載の多孔体。
  6. 該脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の多孔体。
  7. 請求項1に記載の多孔体からなることを特徴とする補綴材。
  8. 揮発性溶媒と生体吸収性ポリマーとからなる溶液を静電紡糸法にて紡糸し繊維構造体を得る工程、得られた繊維構造体を切断する工程、切断された繊維構造体を溶媒中に浮遊させ遠心分離する工程、次いで凍結乾燥する工程を含む、生体吸収性ポリマーの繊維構造体からなり該繊維構造体の平均繊維径が0.05〜10μm、平均見かけ密度が10〜350kg/m、かつ厚みが0.5mm以上である多孔体の製造方法。
  9. 該溶液にさらに分散補助剤を含む溶液を用いて紡糸することを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  10. ノズルと捕集電極の間に静電気除去器を使用することを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
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