この従来技術では、シャッターカーテンが閉じ移動するときに巻取軸とブレーキ装置とを接続し、シャッターカーテンが開き移動するときには巻取軸とブレーキ装置とを切り離すための機械的なクラッチ装置が用いられており、このため、シャッター装置が全体的に複雑で大型のものとなっている。
本発明の目的は、開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動を制動させるためのブレーキ装置を備えていても、全体的に構造の簡単化と小型化を図ることができるようになるブレーキ装置付き開閉装置を提供するところにある。
本発明に係るブレーキ装置付き開閉装置は、開閉移動可能となっている開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動を制動させるためのブレーキ装置を備えているブレーキ装置付き開閉装置において、前記ブレーキ装置は、前記開閉体の前記一方の移動の運動エネルギを電力の発生で消費させる発電装置によって構成されていることを特徴とするものである。
このブレーキ装置付き開閉装置では、ブレーキ装置が、開閉体の一方の移動の運動エネルギを電力の発生で消費させる発電装置によって構成されており、開閉体の一方の移動がこの発電装置のブレーキ機能によって制動されるため、本発明によると、ブレーキ装置付き開閉装置の構造を全体的に簡単化しかつ小型化することができる。
本発明において、発電装置のブレーキ機能によって開閉体の上記一方の移動を制動させることは、移動速度を減速することでもよく、上記一方の移動が加速移動である場合には、その加速の大きさを低減させる移動や、一定速度に変更させること等でもよく、また、このような制動は、開閉体の上記一方の全移動過程を通してなされてもよく、全移動過程のうちの一部についてなされてもよい。
また、上記発電装置は、開閉体の上記一方の移動の運動エネルギを電力の発生で消費させる機能を有していれば、任意な構成とすることができる。その一例は、発電装置を、開閉体の運動エネルギが伝達されて発電するための発電機と、この発電機を電源とし、この電源で発生する電力を消費する電気回路とを含んで構成し、この電気回路を、開閉体の前記一方の移動時において発電機に発電させ、他方の移動時において発電機に発電させない発電スイッチ手段を備えたものとすることである。
本発明において、発電機は直流発電機でもよく、交流発電機でもよい。発電機を直流発電機する場合には、上記発電スイッチ手段をダイオードとすることにより、開閉体の前記一方の移動時において発電機に発電させ、他方の移動時において発電機に発電させないことができる。
また、発電機を直流発電機と交流発電機のいずれか一方とする場合には、上記発電スイッチ手段を、上記電気回路を選択的に開回路と閉回路にするために操作される操作スイッチとすることにより、開閉体の前記一方の移動時において発電機に発電させ、他方の移動時において発電機に発電させないことができる。
この操作スイッチは、メーク接点型のスイッチでもよく、ブレーク接点型のスイッチでもよく、開閉体の前記一方の移動時に閉成させることができる又は閉成しているスイッチであればよい。そして、この操作スイッチの配置位置は任意であり、この操作スイッチを、開閉体を開閉移動させるために開閉体自体に設けられる手掛け部材や把持部材等に配置することもできる。そして、操作スイッチをブレーク接点型のスイッチとすることにより、開閉体の前記一方の移動時には閉成していて、開閉体に他方の移動を行わせるために手掛け部材や把持部材等を手で触ったときに、この手で操作スイッチを開成させるようにすることもできる。
また、発電機を電源とし、この電源による電力を消費するための前記電気回路には、電力を消費するための電気部品が設けられるが、この電気部品は、抵抗器でもよく、電磁リレーでもよく、また、この電気部品を、開閉体が前記一方の移動を行っていることを周囲に報知するための部品、例えば、表示ランプやブザー等の報知部品としてもよく、これらの部品以外のものとしてもよく、さらに、電力を消費するための電気部品を2種類以上の電気部品としてもよい。電力を消費するための電気部品を2種類以上の電気部品とする場合には、1つの種類の電気部品を抵抗器としたときに、他の種類の電気部品を、この抵抗器が前記電力を消費する際に発生する熱を放熱するためのファン等の放熱手段としてもよい。
さらに、前記電気回路に電力を消費する電気部品として抵抗器を設ける場合には、この抵抗器は電気抵抗値を変更できる可変抵抗器とすることが好ましい。これによると、発電機の発電量、言い換えると発電機によるブレーキ力を変更できるため、開閉体の前記一方の移動の速度を調整することが可能となる。
また、発電機によるブレーキ力を極大とするためには、電気回路に電気部品を設けず、発電機のステーターの端子間を短絡してもよい。
また、開閉体の移動力を移動力伝達経路を介して発電機に伝達する場合において、この移動力伝達経路は、開閉体の移動速度を増速しないで発電機に直接的に伝達するものでもよく、あるいは、上記移動力伝達経路に、開閉体の移動速度を増速して発電機に伝達するための増速装置を設けてもよい。
後者によると、開閉体の移動速度が遅くても、発電機のローターの回転速度を速くできるため、ローターの回転速度が遅い場合に生ずる問題点、すなわち、発電効率の大幅な低下によってブレーキ力が大幅に低減してしまうという問題点の発生を防止することができる。
増速装置の構造は任意であり、例えば、歯車列によるものでもよく、ベルトとプーリによるものでもよく、チェーンとスプロケット等によるものでもよい。
また、前記電気回路を、開閉体の前記一方の移動の速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段からの信号が入力する制御手段と、速度検出手段で検出された開閉体の前記一方の移動の速度に応じて制御手段により電気回路を選択的に開回路と閉回路に切り替えるために制御される切替スイッチ手段とを備えたものとしてもよい。
これによると、開閉体の前記一方の移動に加速力が加わるなどし、このために開閉体の前記一方の移動の速度が減速させるべき所定の速い速度に達したときに、制御手段が切替スイッチ手段を切り替え制御して電気回路を閉回路とし、これにより、発電機に発電させ、開閉体の前記一方の移動の速度を減速させるためのブレーキ力を発電機に生じさせることができ、また、開閉体の前記一方の移動の速度が所定値以下に遅い速度まで低下したときには、制御手段が切替スイッチ手段を切り替え制御して電気回路を開回路とし、これにより、発電機の発電を停止させ、開閉体の前記一方の移動の速度を増速させることができる。この結果、減速させて行う開閉体の前記一方の移動の速度を、一定範囲内の速度又は一定の速度とすることができる。
さらに、前記電気回路を、互いに消費電力値が異なる複数の電力消費手段と、開閉体の前記一方の移動の速度に応じてこれらの電力消費手段のうちの1つを選択的に前記発電機に接続する選択スイッチ手段とを備えたものとしてもよい。
これによると、開閉体の前記一方の移動の速度に応じて、選択スイッチ手段が発電機と接続される電力消費手段を選択することになり、開閉体の前記一方の移動の速度が所定値以上に速くなった場合に、選択スイッチ手段が、消費電力値が大きい電力消費手段から消費電力値が小さい電力消費手段へ切り替えることにより、開閉体の前記一方の移動の速度を遅くすることができ、また、開閉体の前記一方の移動の速度が所定値以下に遅くなった場合に、選択スイッチ手段が、消費電力値が小さい電力消費手段から消費電力値が大きな電力消費手段へ切り替えることにより、開閉体の前記一方の移動の速度を速くすることもできる。これにより、減速させて行う開閉体の前記一方の移動の速度を、所定の速度とすることができる。
このような選択スイッチ手段は任意なものでよく、その一例は電磁リレーである。この電磁リレーは、スイッチ部の切り替え作動のための電力が独自の電源から供給されるものでもよく、前記発電機で発電された電力によって切り替え作動するものでもよい。電磁リレーが前者である場合には、開閉体の前記一方の移動の速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段からの信号に基づき、上記独自の電源から電磁リレーのコイル部に電力を供給制御する制御手段とが用いられ、速度検出手段によって検出された上記速度が所定値以上に速くなったときに、制御手段は上記独自の電源から電磁リレーに電力を供給し、電磁リレーのスイッチ部は、発電機に接続する電力消費手段を消費電力値が大きい電力消費手段から消費電力値が小さい電力消費手段へ切り替える。
以上において、消費電力値が異なるそれぞれの電力消費手段は、1個の抵抗器、ランプ、モーター、電磁石等の電荷負荷部品からなるものでもよく、複数の電荷負荷部品の組合せからなるものでもよい。
以上説明した本発明は任意なブレーキ装置付き開閉装置に適用でき、例えば、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置にも適用でき、開閉体が扉となっている扉装置等にも適用できる。
シャッター装置は、火災等の災害発生時に防災用シャッターカーテンが閉じ移動することにより防災区画を形成する防災シャッター装置(エレベータ用の防災シャッター装置を含む)でもよく、出入口や窓等の開口部をシャッターカーテンが開閉する開口部用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、トラックの荷台やコンテナに設置されるシャッター装置等でもよい。
扉装置は、火災等の災害発生時に防災扉が閉じ回動する防災用扉装置でもよく、玄関ドア等の扉装置等でもよい。
また、ブレーキ装置付き開閉装置がシャッター装置である場合において、シャッターカーテンの全部又は主要部は、シートで形成されていてもよく、多数のスラットの連設で形成されていてもよく、ネットで形成されていてもよく、複数のパネルの連設で形成されていてもよく、複数のパイプとこれらのパイプ同士を連結するリンクで形成されていてもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合等で形成されていてもよい。
また、シャッターカーテンの開閉移動方向は、上下方向でもよく、左右方向でもよく、これらの方向に対して傾斜した方向でもよい。
シャッターカーテンの開閉移動方向が上下方向である場合には、下方への移動が閉じ移動であって、上方への移動が開き移動でもよく、下方への移動が開き移動であって、上方への移動が閉じ移動でもよい。
さらに、前記発電機に電力を発生させて運動エネルギが消費されるシャッターカーテンの前記一方の移動は、閉じ移動でもよく、開き移動でもよい。この一方の移動が閉じ移動である場合には、シャッターカーテンが全開位置から全閉位置に達するまでの時間を、発電機が発電することによるブレーキ力によって長くできるため、それだけシャッターカーテンによって開閉される箇所を通過するための時間又はシャッターカーテンによって開閉される箇所から避難するための時間を長くできる。この作用効果は、シャッター装置が前述の防災シャッター装置である場合において、特に有効である。
また、シャッターカーテンの閉じ移動が下方への移動となっている場合において、この閉じ移動させるための原理は任意なものでよく、その一例は、閉じ移動をシャッターカーテンの自重によって行わせる自重閉鎖式である。
このようにシャッターカーテンが自重閉鎖式シャッターカーテンとなっている場合には、前記電気回路を、全開位置から所定の高さ位置まで閉じ移動した自重閉鎖式シャッターカーテンによって閉成される検出スイッチ手段を備えたものとし、この検出スイッチ手段の閉成によって前記発電機に発電させるようにすることが好ましい。
これによると、シャッターカーテンが自重によって全開位置から所定の高さ位置に向かって閉じ移動している間は、検出スイッチ手段は開成していて、発電機によるブレーキ力は生じないため、この所定の高さ位置に達するまでのシャッターカーテンの閉じ移動速度を高速とすることができる。このため、この後にシャッターカーテンの閉じ移動速度が発電機によるブレーキ力で低下しても、充分に長い上記通過時間等を確保しながら、シャッターカーテンが全開位置から全閉位置に達するまでの全体時間を短縮することができる。
また、シャッターカーテンを開閉移動させるための構造は、任意であり、その一例は、正逆回転可能となっている巻取軸の巻き取り、繰り出しにより、シャッターカーテンを開閉移動させることである。この場合には、この巻取軸に前記発電機を接続することができる。この接続は、前記移動力伝達経路についての説明から明らかなように、増速装置等を介在させないで直接的に行ってもよく、増速装置を介在させて行ってもよい。
巻取軸も任意な構造のものでよく、例えば、中空又は中実の1本の軸又は軸方向に結合された複数本の軸のよるものでもよく、あるいは、回転しない中心軸と、この中心軸の外周に回転自在に配置され、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための回転体とを含んで構成されたもの等でもよい。そして、この回転体は、軸方向に離れて中心軸の外周に複数配置されたホイールと、これらのホイール同士を連結する連結部材とを含んで構成されたもの等でもよく、この連結部材は、円周方向に複数配置されたバー状部材でもよく、あるいは、それぞれのホイールを内部に収納したパイプ状のもの等でもよい。
また、シャッターカーテンの閉じ移動を発電機に伝達してこの発電機を発電させるためには、シャッターカーテンの開閉移動が、巻取軸の巻き取り、繰り出しによってなされる場合であっても、これとは異なる方式によってなされる場合であっても、例えば、シャッターカーテンの座板部分に、シャッターカーテンの開閉移動を案内するガイドレールによって歯車式の原理で回転する回転部材を設け、この回転部材の回転を発電機に伝達することにより、発電するようにしてもよい。
さらに、シャッターカーテンの開き移動は、手操作力でなされてもよく、電動モータ等の駆動源からの駆動力でなされてもよく、バランスウェイトの重量でなされてもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合等でなされてもよい。
また、シャッター装置に、シャッターカーテンの閉じ移動時に戻し弾性力が蓄圧される戻しばね等による弾性部材を設け、この戻し弾性力を補助力として利用してシャッターカーテンの開き移動を行わせるようにしてもよい。これによると、シャッターカーテンの閉じ移動時に戻し弾性力が蓄圧される分だけ、シャッターカーテンの閉じ移動速度を低下させることができる。この弾性部材をばねとする場合には、このばねは、ねじりコイルばねやぜんまいばね等の任意なものでよい。
なお、以上説明した本発明は、発電機を、シャッターカーテン等の開閉体の前記他方の移動時において、この他方の移動を行わせるための電動モーターとして用いてもよい。このためには、この電動モーターのための電源と、この電源と前記電気回路とを選択的に切り替えるスイッチ手段とを用意し、前記他方の移動時に、このスイッチ手段によって前記電気回路から電源回路に切り替えるようにすればよい。
本発明によると、開閉装置が、開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動を制動させるためのブレーキ装置を備えていても、この開閉装置を、全体的に構造を簡単化、小型化して構成できるようになる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るブレーキ装置付き開閉装置となっているシャッター装置の全体を示す正面図である。図2は、図1のS2−S2線断面図であり、図3は、シャッター装置の縦断面図である。このシャッター装置はエレベータ用の防災シャッター装置であり、このエレベータ用の防災シャッター装置は、図2及び図3で示されているとおり、エレベータホール1から見て、エレベータ扉2の手前側において、防災用シャッターカーテン20が上下に開閉移動するものとなっている。
図2及び図3で示されている建物内の縦穴3で昇降するエレベータの昇降箱4は、エレベータ用の防災シャッター装置が設置されている建物の各階で停止し、図3で示されているとおり、エレベータ扉1の手前上部には、昇降箱4の現在位置等を表示するインジケータ5が、天井部材6に吊り下げ状態で取り付けられたケース7の内部に組み込み配置されている。左右2個のエレベータ扉2は、図3で示された上下のガイド部材8,9で案内されて左右に開閉移動自在となっているため、昇降箱4が停止した階のエレベータ扉2は、図示しない駆動装置の駆動力で開閉移動する。
図2で示すように、エレベータ扉2より手前側の左右両側の側壁10には、シャッターカーテン20の左右方向である幅方向の両端部がスライド自在に挿入されたガイドレール21が取り付けられ、ガイド部材となって上下に延びているこれらのガイドレール21でシャッターカーテン20の開閉移動が案内される。ガイドレール21の内部において、シャッターカーテン20には抜け止め部材22が取り付けられ、これらの抜け止め部材22で抜け止めされながらシャッターカーテン20は開閉移動する。
また、それぞれのガイドレール21におけるシャッターカーテン20の幅方向の端部が挿入された開口部には、シャッターカーテン20と接触する遮煙部材23が設けられ、これらの遮煙部材23により、火災の発生で生じた煙が全閉位置に達しているシャッターカーテン20とガイドレール21との間の隙間を通過してシャッターカーテン20の反対側に達することが防止されている。
図3で示されているように、天井部材6で仕切られた天井裏空間11には、シャッターカーテン20が上方へ開き移動できるようにシャッターカーテン20を巻き取り、シャッターカーテン20が下方へ閉じ移動できるようにシャッターカーテン20を繰り出すための巻取軸24が水平に配置され、この巻取軸24は、天井裏空間11に存在する下がり壁等の建物躯体12に取り付けられた図1の左右の支持部材25,26によって正逆回転自在に支持されている。天井部材5には、左右のガイドレール21の間において、シャッターカーテン20を上下に挿通させるための隙間を有しているまぐさ13が取り付けられ、このまぐさ13の隙間にも、図示されていないが、上述した遮煙部材23と同様な遮煙部材が設けられている。
図1及び図3で示されているように、巻取軸24及び支持部材25,26はシャッターケース27の内部に収納され、このシャッターケース27の内部には、シャッターカーテン20が全開位置に達しているときに、シャッターカーテン20の下端部又はこの下端部近くに取り付けられた被係止部材28を係止するための係止装置29が配置されている。この係止装置29は、上片部30Aと下片部30Bとを有する二股状となっている係止部材30を有し、この係止部材30は上下に回動自在である。通常時の係止部材30は、係止装置29に組み込まれているストップ手段のストップ機能により、上片部30Aと下片部30Bが水平姿勢となった状態で下向き回動が阻止されており、このときには、下片部30Bが被係止部材28の開口孔28Aに挿入されているため、全開位置に達しているシャッターカーテン20は、係止装置29の係止作用によってこの全開位置に維持される。
エレベータ用の防災シャッター装置がそれぞれの階に設置されている建物において火災が発生すると、この火災を検知したセンサからの信号が入力した制御装置により、又は火災の発生を知った人が図示しない操作部材を操作することにより、それぞれのエレベータ用の防災シャッター装置における係止装置29の上記ストップ手段のストップ機能が解除されるため、これらのシャッター装置のシャッターカーテン20は、シャッターカーテン20の自重によって係止部材30を下向きに回動させ、この下向き回動で被係止部材28が係止部材30から離脱したシャッターカーテン20は下方へ閉じ移動し、この閉じ移動は、シャッターカーテン20の自重による巻取軸24の正回転によってなされ、シャッターカーテン20は巻取軸24から繰り出されて全閉位置に達する。
シャッターカーテン20は、図1及び図3で示されているとおり、閉じ側先端部材となっている座板31と、この座板31が下端部に取り付けられ、シャッターカーテン20の大部分の面積を形成しているカーテン本体32とを有し、カーテン本体32は、耐火性及び遮煙性を有するシートに耐火性塗料を塗布及び/又は含浸させて形成されている。上記被係止部材28は座板31に取り付けられている。
シャッターカーテン20には、図1で示されているように、前記エレベータ扉2と対面する側において、シャッターカーテン20を上方へ開き移動させる際に、手を掛けてシャッターカーテン20を持ち上げるための2種類の手掛け部材33,34が設けられている。これらの手掛け部材33,34は、エレベータの昇降箱4を利用した火災からの避難者が昇降箱4から降りてきたときに、全閉位置に達しているシャッターカーテン20を持ち上げてその下を通過できるようにするのものである。下側の手掛け部材33は、座板31に下向きに取り付けられたコ字状部材であり、上側の手掛け部材34は、カーテン本体32に水平に配置され、シャッターカーテン20の補強部材となっている棒状部材35の一部によって形成されている。
この棒状部材35を具体的に説明すると、カーテン本体32は、上下の重なり部分を有して上下に配置された複数のシート32Aで形成され、上下2枚のシート32Aの重なり部分は袋部となっており、この袋部の内部に、両端が左右のガイドレール21の内部に挿入された棒状部材35が挿入されている。また、重なり部分には、前記エレベータ扉2と対面する側において、複数の切れ目36が形成され、これらの切れ目36から露出した棒状部材35の一部が、上記手掛け部材34となっている。このような手掛け部材34は、本実施形態では、カーテン本体32に上下2段設けられている。
昇降箱4を利用した前記避難者が、全閉位置に達しているシャッターカーテン20を持ち上げてその下を通過するときには、先ず、上下2段設けられている手掛け部材34のうちの上段の手掛け部材34に手を掛けてシャッターカーテン20を持ち上げ、次に下段の手掛け部材34に手を掛けてシャッターカーテン20をさらに持ち上げ、その下の手掛け部材33にも手を掛けてシャッターカーテン20を一層高く持ち上げる。
図4には、前記巻取軸24の内部構造が示されている。中空部材からなる巻取軸24は、両端の第1及び第2中心軸41,42を中心に回転自在である。第1中心軸41は、左右の前記支持部材25,26のうちの一方の支持部材25に結合されて回転しない軸となっており、この第1中心軸41は、巻取軸24の一方の開口端部に結合された軸受け部材43の内部に挿入されている。第2中心軸42は、巻取軸24に結合されているために回転する軸となっており、この第2中心軸42は、他方の支持部材26に結合された軸受け部材44の内部に回転自在に挿入されている。
巻取軸24の内部には、巻取軸24に結合されていて巻取軸24と一体に回転する回転部材45が組み込まれ、この回転部材45と第1中心軸41とに戻しばね46の両端が連結されている。巻取軸24の内部に収納されているこの戻しばね46には、前述したように、シャッターカーテン20を下方へ繰り出すために巻取軸24が正回転したときには、戻しばね力が蓄圧されることになり、シャッターカーテン20は、この戻しばね力を蓄圧しながら全閉位置に達する。
前述したように、自重で閉じ移動する自重閉鎖式となっているシャッターカーテン20が全閉位置に達した後、このシャッターカーテン20を手掛け部材33,34で持ち上げると、巻取軸24は、戻しばね46の蓄圧された戻しばね力で逆回転してシャッターカーテン20を巻き取るため、手掛け部材33,34によるシャッターカーテン20の持ち上げは戻しばね力で補助されることになり、このため、上記避難者は、小さい力によってシャッターカーテン20を軽く持ち上げてその下を通過することができる。
なお、避難訓練等のためにシャッターカーテン20を全閉とした後、シャッターカーテン20を全開位置に戻すときには、シャッターカーテン20を大きな力で持ち上げて全開位置まで上昇させる。これにより、前述したように係止装置29の下向き回動していた係止部材30の上片部30Aの下面に前記被係止部材28の上面が当接し、この当接によって係止部材30は上向きに回動して水平姿勢に戻るとともに、下片部30が被係止部材28の開口部28Aに挿入する。このときには、係止装置29の前記ストップ手段のストップ機能は回復しているため、水平姿勢に戻った係止部材30によってシャッターカーテン20は全開位置で停止し、全部がシャッターカーテン20の閉じ移動開始前の状態に戻る。
また、本実施形態に係るエレベータ用の防災シャッター装置には、図1で示されているように、全開位置にあったシャッターカーテン20が所定の高さ位置まで下降してきたときに、このシャッターカーテン20によって作動する検出スイッチ47が設けられている。本実施形態では、この検出スイッチ47は、左右のガイドレール21のうちの一方の内部に収納配置されているとともに、所定の高さ位置まで下降してきたシャッターカーテン20によって閉成するメーク接点型のスイッチとなっており、シャッターカーテン20が上記所定の高さ位置を越える高い位置に戻ったときには、検出スイッチ47は開成する。なお、この検出スイッチ47は、ガイドレール21の外部に配置してもよい。
図4で示されているとおり、前記左右の支持部材25と26のうち、巻取軸24と一体となって回転する第2中心軸42の側の支持部材26には増速装置48が取り付けられている。この増速装置48は、例えば、複数の歯車を噛合させた歯車列によるものであり、第2中心軸42はこの増速装置48の入力軸と接続されている。増速装置48の出力軸には、増速装置48に取り付けられた発電機51のローターが接続されている。このため、巻取軸24と発電機51とを繋ぐ移動力伝達経路である回転力伝達経路には、増速装置48が介在されており、巻取軸24がシャッターカーテン20を巻き取り、繰り出すために回転すると、この回転は、第2中心軸42を介して増速装置48に入力するとともに、増速装置48で増速されて発電機51のローターに伝達され、このローターは、巻取軸24よりも高速で回転する。
図5は、発電機51の発電電力が生ずるステーターに接続されている電気回路52を示す。この電気回路52は、発電機51に対して、上記検出スイッチ47と、ダイオード53と、可変抵抗器54とが直列接続されたものとなっている。発電機51は直流発電機であり、したがって電気回路52は直流回路である。ダイオード53は、シャッターカーテン20が下向きに閉じ移動することによって巻取軸24が前記正回転を行ったときに、この正回転が増速装置48を介してローターに伝達される発電機51が発電するように設定され、言い換えると、発電機51が電源となった直流電流が電気回路52に流れるように設定され、巻取軸24が前記逆回転を行ったときには、ダイオード53によって発電機51は発電しない。
このため、ダイオード53は、シャッターカーテン20が閉じ移動する巻取軸24の正回転時には発電機51に発電させ、シャッターカーテン20が開き移動する巻取軸24の逆回転時には発電機51に発電させない発電スイッチ手段となっている。
そして、本実施形態では、以上の直流発電機51と、検出スイッチ47、ダイオード53、可変抵抗器54を備えた電気回路51とにより、発電装置50が構成されている。
前述したように、全開位置にあったシャッターカーテン20が火災の発生によって下方へ閉じ移動すると、これによる巻取軸24の正回転が増速装置48を介して発電機51のローターに伝達される。閉じ移動を開始したシャッターーカーテン20が検出スイッチ47の配置位置に達するまでは、この検出スイッチ47は開成しているため、発電機51は発電せず、したがって発電機51はブレーキ装置とならず、自重閉鎖式シャッターカーテン20は、前記戻しばね46を蓄圧する分だけ減速するが、これを除くとシャッターカーテン20の重量に基づいた速度で閉じ移動する。シャッターカーテン20が検出スイッチ47の配置位置まで下降すると、このスイッチ47はシャッターカーテン20で閉成し、これ以後、発電機51は発電を開始することになる。
このため、これ以後のシャッターカーテン20の閉じ移動の運動エネルギは、より正確に言うと、この運動エネルギの一部は、発電機51の発電と、戻しばね46を蓄圧することとで消費されることになり、この発電機51が電源となって生じた電力は、電気回路51の抵抗器54において発熱となって消費される。このため、シャッターカーテン20は、ブレーキ装置となっている発電機51によるブレーキ力を受けながら閉じ移動し、シャッターカーテン20は減速された速度で下降して全閉位置に達する。
このため、シャッターカーテン20が閉じ移動を開始したときに、シャッターカーテン20の真下に人がいても、また、前述したようにエレベータの昇降箱4を利用して火災から避難してきた人がシャッターカーテン20の閉じ移動開始時にシャッターカーテン20の真下を通過しようとしていても、シャッターカーテン20から回避するために必要な充分な時間を確保することができる。
また、前述したように、全閉位置に達しているシャッターカーテン20を手掛け部材33,34で持ち上げて開き移動させる場合には、前述したように、巻取軸24は戻しばね46に蓄圧された戻しばね力で逆回転するが、この逆回転が増速装置48を介して発電機51のローターに伝達されても、発電スイッチ手段となっているダイオード53のために直流発電機51は発電しない。このため、シャッターカーテン20の上方への開き移動時には、発電機51はブレーキ装置とならず、シャッターカーテン20を戻しばね46の蓄圧された戻しばね力によって速い速度で開き移動させることができる。
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態では、シャッターカーテン20を減速させて閉じ移動させるためのブレーキ装置は、発電機51と、検出スイッチ47、ダイオード53、可変抵抗器54を備えた電気回路51とによって構成された発電装置50となっており、シャッターカーテン20を減速させて閉じ移動させることを、機械的なクラッチ装置を用いることなく実現しているため、このエレベータ用の防災シャッター装置の全体構造を簡単化し、小型化することもできる。
また、電気回路51における抵抗器54は電気抵抗値を変更できる可変抵抗器であるため、その電気抵抗値の変更を行うことにより、発電機51の発電によって減速されるシャッターカーテン20の閉じ速度を適正値に調整することができる。また、シャッターカーテン20の幅寸法が大きい大スパン用の防災シャッター装置については、シャッターカーテン20の重量が重くても、可変抵抗器54の電気抵抗値を調整することにより、シャッターカーテン20の閉じ速度を適正値に減速設定することができる。
さらに、シャッターカーテン20の閉じ移動時に戻しばね力が蓄圧される戻しばね46が巻取軸24に配置されているため、この戻しばね力が蓄圧される分だけシャッターカーテン20の閉じ移動速度を減速できる。
また、本実施形態では、電気回路52には、全開位置にあったシャッターカーテン20が所定の高さ位置まで下降したときにこのシャッターカーテン20で閉成し、それまでは開成している検出スイッチ47が設けられているため、この所定の高さ位置に達するまでのシャッターカーテン20を、発電機51にブレーキ力を発生させずに閉じ移動させることができる。このため、これ以後、発電機51にブレーキ力を発生させてシャッターカーテン20の閉じ速度を減速させても、シャッターカーテン20が全開位置から全閉位置に達するまでの全体時間を短縮することができ、火災発生時において、防災用シャッターカーテン20によってエレベータ前に短時間で防災区画を形成することができる。
このような検出スイッチ47を配置する高さ位置は、シャッターカーテン20の全開位置よりも低い位置ではあるが、人の身長よりも高い位置とし、これにより、全開位置から閉じ移動を開始したシャッターカーテン20が発電機51によるブレーキ力で減速し始める高さ位置を、人の身長よりの高い位置とすることが好ましい。このような高さ位置は、例えば、床から200cm〜220cm程度である。
また、本実施形態では、巻取軸24の回転は発電機51のローターに直接伝達されず、巻取軸24と発電機51との間に設けられた増速装置48によって巻取軸24の回転は発電機51のローターに増速されて伝達されるため、シャッターカーテン20が検出スイッチ47の配置位置に達したときにおける巻取軸24の回転速度が遅くなっていても、発電機51のローターを速い速度で回転させることができる。このため、このローターの回転速度が遅い場合に生ずる、発電効率の大幅な低下によってブレーキ力が大幅に低減してしまう問題点を解決でき、これによって発電機51のブレーキ機能をより確実に得られるようになる。
なお、図1で示されているように、左右一対のガイドレール21のうちの一方の内部又はガイドレール21の外部に、シャッターカーテン20が全閉位置に達したことを検出するための全閉スイッチ49を設け、この全閉スイッチ49からの信号を、建物全体のそれぞれのエレベータ用防災シャッター装置等を監視している監視装置へ出力させることにより、その階に設置されているシャッターカーテン20が全閉位置に達したとの情報をこの監視装置に入力できるようにしてもよい。また、この全閉スイッチ49は、その階のシャッターカーテン20が全閉となったことをその階にいる人に報知するための報知手段を作動させるために用いてもよい。
次に本発明に係る別実施形態を説明する。以下の説明では、前述した部材、機器等と同一又は同一機能の部材、機器には同じ符号を用いる。
図6の実施形態に係る発電装置60も、直流発電機51と、電気回路62とを含んで構成されており、電気回路62は、直流回路62Aと、電磁リレー63のコイル部63Aを励磁する励磁回路62Bとを有する。直流回路62Aには、発電機51に対して、電磁リレー63のスイッチ部63Bと、ダイオード53と、可変抵抗器54とが直列接続されている。励磁回路62Bは、巻取軸24の正回転の回転速度を検出する巻取軸回転速度検出器64と、この検出器64から巻取軸24の回転速度に関する信号が入力する制御装置65と、電源(図示例では12V電源)66と、電源66からの電力を電磁リレー63のコイル部63Aに選択的に供給し、供給しない電源スイッチ(図示例ではトランジスタ)67とを備えている。
この電源スイッチ67は、巻取軸24の正回転の回転速度が所定の上限値以上になったときに、この上限値が記憶されている制御装置65からの信号により、電源66の電力を電磁リレー63のコイル部63Aに供給してスイッチ部63Bを閉成させ、これにより、直流回路62Aを閉回路とし、巻取軸24の正回転の回転速度が所定の下限値以下になったときには、この下限値も記憶されている制御装置65からの信号により、電源66と電磁リレー63のコイル部63間を遮断して電磁リレー63のスイッチ部63Bを開成させ、直流回路62Aを開回路とするものとなっている。
図7は、図6の実施形態の場合のフローチャートを示す。なお、この実施形態では、火災の発生時において、前述したように、火災を検知したセンサからの信号が入力する制御装置により、又は火災の発生を知った人が図示しない操作部材を操作することにより、前記係止装置29の上記ストップ手段のストップ機能が解除されてシャッターカーテン20が自重によって前記係止部材30を下向きに回動させたとき、そのストップ手段のストップ機構の解除又は係止部材30の下向き回動を検出するスイッチからの信号により、巻取軸回転速度検出器64と制御装置65が作動を開始するようになっている。また、シャッターカーテン20が全閉位置に達したときに作動する図1の全閉スイッチ49からの信号により、巻取軸回転速度検出器64と制御装置65は作動を終了するようになっている。
図7において、全開位置から閉じ移動を開始したシャッターカーテン20が、ステップS1において、全閉位置に達しておらず、ステップS2において、巻取軸24の正回転の回転速度が上記上限値よりも遅い速度となっている場合には、ステップS1に戻る。そして、ステップS1において、シャッターカーテン20が全閉位置に達する場合には、巻取軸24の正回転の回転速度が上記上限値よりも遅い速度となっているため、シャッターカーテン20は遅い閉じ速度で全閉位置に達する。一方、ステップS2において、巻取軸24の回転速度が上記上限値を超える速い速度になっていると、制御装置65からの信号によって電源スイッチ67が電源66からの電力を電磁リレー63のコイル部63Aに供給することにより、ステップS3において、電磁リレー63のスイッチ部63Bは閉成され(電磁リレー63のオン)、上記直流回路62Aは閉回路となる。これにより、発電機51は発電し、シャッターカーテン20の閉じ移動速度は発電機51のブレーキ力で減速される。
この減速状態において、ステップS4でシャッターカーテン20が全閉位置に達する場合には、シャッターカーテン20は減速された遅い閉じ速度で全閉位置に達する。
ステップS4において、シャッターカーテン20が全閉位置に達しない場合であって、ステップS5において、上記減速のために巻取軸24の正回転の回転速度が上記下限値以下の遅い速度になっていると、制御装置65からの信号によって電源スイッチ67は電源66と電磁リレー63のコイル部63A間を遮断し、ステップS6において、電磁リレー63のスイッチ部63Bは開成され(電磁リレー63のオフ)、上記直流回路62Aは開成される。これにより、発電機51の発電は停止され、この結果、シャッターカーテン20の閉じ移動速度は速くなって巻取軸24の正回転の回転速度も速くなり、ステップS1に戻る。
一方、ステップS5において、巻取軸24の正回転の回転速度が上記下限値以上の速い速度である場合には、ステップS4に戻る。
以上のことから、この実施形態によると、シャッターカーテン20を、上記上限値と下限値との間の減速された速度にして閉じ移動させることができる。
そして、この実施形態では、電源スイッチ67と電磁リレー63により、シャッターカーテン20の閉じ移動速度に応じて、制御装置65によって直流回路62Aを選択的に開回路と閉回路に切り替え制御される切替スイッチ手段68が構成されている。
なお、この実施形態において、上記上限値と下限値を同一値としてもよい。
また、この実施形態において、図6の直流回路62Aに、前述した検出スイッチ47を、電磁リレー63のスイッチ部63Bとダイオード53と可変抵抗器54とに対し直列関係にして配置し、全開位置からのシャッターカーテン20の閉じ移動によって作動するこの検出スイッチ47を、シャッターカーテン20が全開位置から閉じ移動を開始して巻取軸24の正回転の回転速度が上記上限値以上の所定速度になる図1の所定高さ位置に配置してもよい。
これによると、シャッターカーテン20が全開位置から閉じ移動を開始して巻取軸24の正回転の回転速度が上記上限値の速度になっても、シャッターカーテン20が、検出スイッチ47が配置されている高さ位置に達するまでは、直流回路62Aは開回路となっているため、発電機51によるブレーキ力は発生しない。このため、シャッターカーテン20が全開位置から全閉位置に達するまでの全体時間を短くすることができる。
図8の実施形態に係る発電装置70も、直流発電機51と、電気回路72とを含んで構成されている。電気回路72には、発電機51に対して、検出スイッチ47と、ダイオード53と、電磁リレー73と、可変抵抗器74とが直列接続されているが、可変抵抗器74は、互いに並列となった第1抵抗器74Aと第2抵抗器74Bとからなる。これらの抵抗器74Aと74Bの電気抵抗値は、第1抵抗器74Aよりも第2抵抗器74Bの方が小さい値に設定されている。これらの抵抗器74Aと74Bは、本実施形態における互いに消費電力値が異なる2個の電力消費手段となっている。
電磁リレー73のコイル部73Aには発電機51で発電される電流が通電され、通常時の電磁リレー73のスイッチ部73Bは、図8で示されているとおり第1抵抗器74Aに接続されているが、シャッターカーテン20の閉じ移動による巻取軸24の正回転の回転速度が速くなって発電機51の発電量が所定値を超えると、コイル部73Bの大きくなった磁力でスイッチ部73Bは、第1抵抗器74Aから第2抵抗器74Bへ切り替えられるようになっている。これにより、発電機51の発電量は大きくなり、発電機51によるブレーキ力も大きくなる。また、巻取軸24の正回転の回転速度が低下して発電機51の発電量も所定値以下になると、スイッチ部73Bは、第2抵抗器74Bから第1抵抗器74Aへ切り替えられるようになっている。これにより、発電機51の発電量は小さくなり、発電機51によるブレーキ力も小さくなる。
図9は、図8の実施形態の場合におけるフローチャートを示す。全開位置から閉じ移動を開始したシャッターカーテン20が、ステップS11において、検出スイッチ47が配置された高さ位置に達するまでは、電磁リレー73のスイッチ部73Bが第1抵抗器74Aに接続されていても、検出スイッチ47がオフとなっていて、電気回路72は開回路となっているため、発電機51は発電せず、このため、シャッターカーテン20は減速されずに閉じ移動する。ステップS11において、シャッターカーテン20が検出スイッチ47の配置位置に達した(検出スイッチ47のオン)が、ステップS12において、シャッターカーテンが全閉位置に達しておらず、ステップS13において、巻取軸24の正回転による発電機51の発電量が上記所定値よりも小さい場合には、ステップS12に戻る。そして、ステップS12において、シャッターカーテン20が全閉位置に達する場合には、電磁リレー73のスイッチ部73Bが第1抵抗器74Aに接続されていて、発電機51によるブレーキ力は小さいため、シャッターカーテン20は多少加速された遅い閉じ速度で全閉位置に達する。
一方、ステップS13において、発電機51の発電量が上記所定値を超える大きい値になっていると、ステップS14において、電磁リレー73のスイッチ部73Bはコイル部73Aの磁力によって第1抵抗器74Aから第2抵抗器74Bへ切り替えられる(電磁リレー73のオン)。これにより、発電機51の発電量は一層大きくなり、発電機51によるブレーキ力の増大によって巻取軸24の正回転の回転速度は低下し、シャッターカーテン20の閉じ移動速度は減速される。
この減速状態において、ステップS15でシャッターカーテン20が全閉位置に達する場合には、シャッターカーテン20は減速された遅い閉じ速度で全閉位置に達する。
ステップS15においてシャッターカーテン20が全閉位置に達しない場合であって、ステップS16における発電機51の発電量が、巻取軸24の正回転の回転速度の低下で上記所定値以下の小さい値になっていると、ステップ17において、電磁リレー73のスイッチ部73Bは第2抵抗器74Bから第1抵抗器74Aへ切り替えられる(電磁リレー73のオフ)。このため、発電機51の発電量は一層減少して発電機51によるブレーキ力が小さくなるため、巻取軸24の正回転の回転速度が速くなり、シャッターカーテン20の閉じ移動速度が速くなってステップS12に戻る。
一方、ステップS16において、発電機51の発電量が上記所定値以上の大きな値である場合には、ステップS15に戻る。
このため、この実施形態によると、検出スイッチ47の配置位置を過ぎた後のシャッターカーテン20の閉じ移動速度を、電磁リレー73のスイッチ部73Bが選択的に第1抵抗器74Aと第2抵抗器74Bに切り替えることにより、シャッターカーテン20を所定の減速速度に設定しながら全閉位置へ閉じ移動させることができる。
また、この実施形態によると、発電機51は電磁リレー73に電力を供給するための電源となっているため、図6の実施形態と異なり、特別の電源を用意する必要がない。
そして、この実施形態では、スイッチ部73Bを有する電磁リレー73は、シャッターカーテン20の閉じ移動速度に応じて、第1抵抗器74Aと第2抵抗器74Bを選択的に発電機51に接続するための選択スイッチ手段となっている。
図10は、巻取軸24の回転力が伝達される発電機が交流発電機81となっている実施形態を示す。このため、発電機81と共に発電装置80を構成する電気回路82は、交流回路である。
この電気回路82には、発電機81に対して、検出スイッチ47と、手で操作されることにより、電気回路82を選択的に開回路と閉回路に切り替えるための操作スイッチ83と、可変抵抗器54とを直列接続したものとなっている。そして、操作スイッチ47は、通常時は閉成していて、手で操作されることにより開成されるブレーク接点型のスイッチである。この操作スイッチ84は、図1で説明したシャッターカーテン20を開き移動させる際に用いる手掛け部材33,34に配置される。
このため、手掛け部材33,34に手を掛けてシャッターカーテン20を開き移動させるときには、この手で操作スイッチ83は開成され、これにより、電気回路82は開回路となって発電機81は発電しない。一方、シャッターカーテン20が全開位置等から自重で閉じ移動し、シャッターカーテン20が検出スイッチ47の配置位置よりもさらに下方へ閉じ移動するする際には、検出スイッチ47は閉成し、操作スイッチ83も閉成しているため、閉回路となっている電気回路82によって発電機81は発電し、この発電機81のブレーキ力によってシャッターカーテン20の閉じ移動速度は減速される。
このように、図10の実施形態では、操作スイッチ83は、図5の実施形態のダイオード53と同じく、シャッターカーテン20の閉じ移動時に発電機81に発電させ、シャッターカーテン20の開き移動時には発電機81を発電させない発電スイッチ手段となっている。
なお、このように操作スイッチ83を発電スイッチ手段とすることは、発電機を直流発電機とした場合にも適用できる。
また、以上説明したそれぞれの実施形態において、検出スイッチ47及び全閉スイッチ49を、巻取軸24の正回転数をカウントする計数手段とし、この計数手段により、シャッターカーテン20が全閉位置から閉じ移動したときの巻取軸24の正回転数をカウントすることによってシャッターカーテン20の現在位置を検出できるようにしてもよい。また、全閉スイッチ49をシャッターカーテン20の前記座板31に配置し、この座板31が床に着床したときに作動するようにしてもよい。