ところで、シャッター装置において、シャッターカーテンを繰り出し、巻き取る巻取軸を回転させるための開閉機を構成するモータの消費電力量(言い換えると、モータに供給が必要なエネルギー量である電力量)はより小さいことが望ましい。
本発明の目的は、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源に供給が必要なエネルギー量をより小さくすることができるようになる開閉装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置は、開閉移動可能となっている開閉体と、この開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源と、を有し、前記開閉体の移動経路における任意の停止位置から所定距離離間した位置までの移動、又は前記開閉体の前記任意の停止位置から所定時間が経過するまでの移動は、前記駆動源で発生した前記駆動力で行われ、前記開閉体が前記所定距離離間した位置まで移動した後又は前記開閉体が前記所定時間が経過するまで移動した後から、前記開閉体の移動限位置までの前記開閉体の移動は、前記駆動源で発生した前記駆動力以外の付勢力で行われることを特徴とするものである。
本発明では、開閉体の移動経路における任意の停止位置から所定距離離間した位置までの移動、又は開閉体の移動経路における任意の停止位置から所定時間が経過するまでの移動は、駆動源で発生した駆動力で行われる。そして、開閉体が前記所定距離離間した位置まで移動した後、又は開閉体が前記所定時間が経過するまで移動した後から、開閉体の移動限位置までの移動は、駆動源で発生した駆動力以外の付勢力で行われる。
すなわち、本発明では、駆動源で発生した駆動力が利用されるのは、開閉体の移動経路における任意の停止位置から所定距離離間した位置までの移動、又は開閉体の移動経路における任意の停止位置から所定時間が経過するまでの移動である。そして、開閉体が前記所定距離離間した位置まで移動した後、又は開閉体が前記所定時間が経過するまで移動した後から、開閉体の移動限位置までの移動では、駆動源で発生した駆動力は利用されない。
したがって、本発明において、駆動源で発生した駆動力が開閉体の移動に利用されるのは、開閉体の移動経路のうちの任意の一部である。
このため、本発明によると、従来の開閉装置と比較して、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源に供給が必要なエネルギー量(例えば、電力量等)をより小さくすることができるようになる。
なお、本発明において、「所定距離離間した位置」とは、開閉体が移動限位置に達する途中までの位置であり、開閉体の移動限位置(全閉位置、全開位置)は除かれる。また、「所定時間」とは、開閉体が移動限位置に達する途中までの時間であり、開閉体が移動限位置に達するまでの時間は除かれる。
ここで、駆動源の駆動力以外の付勢力とは、例えば、開閉体の自重力でもよく、開閉装置に配置された戻し弾性部材の戻し弾性力(開閉体の閉じ移動と開き移動のうちの一方の移動により戻し弾性力が蓄圧され、この蓄圧された戻し弾性力が他方の移動時に利用されるもの)でもよく、これらを複合したもの等でもよい。例えば、駆動源の駆動力が電力により発生するものであるならば、駆動源の駆動力以外の付勢力とは、非電力(電力によらないもの)により発生するものであれば任意である。
本発明において、開閉体の移動が駆動源で発生した駆動力で行われるのは、言い換えると、駆動源で発生した駆動力が開閉体の移動に利用されるのは、例えば、開閉体の閉じ移動経路における全開位置又は略全開位置から所定距離離間した位置(途中位置)までの閉じ移動でもよく、開閉体の開き移動経路における全閉位置又は略全閉位置から所定距離離間した位置(途中位置)までの開き移動でもよく、開閉体の閉じ移動経路における前記所定距離離間した位置(途中位置)から、この所定距離離間した位置から閉じ移動方向へさらに所定距離離間した位置(全閉位置を含まない)までの閉じ移動でもよく、開閉体の開き移動経路における前記所定距離離間した位置(途中位置)から、この所定距離離間した位置から開き移動方向へさらに所定距離離間した位置(全開位置を含まない)までの開き移動でもよい。
また、開閉体の移動が駆動源で発生した駆動力で行われるのは、例えば、開閉体の閉じ移動経路における全開位置又は略全開位置から所定時間が経過するまでの閉じ移動でもよく、開閉体の開き移動経路における全閉位置又は略全閉位置から所定時間が経過するまでの開き移動でもよく、開閉体の閉じ移動経路における所定距離離間した位置(途中位置)から所定時間が経過するまでの閉じ移動でもよく、開閉体の開き移動経路における所定距離離間した位置(途中位置)から所定時間が経過するまでの開き移動でもよい。
なお、本発明において、開閉体の移動経路における開閉体の移動が駆動源で発生した駆動力で行われる範囲と、駆動源で発生した駆動力以外の付勢力で行われる範囲との境界において、開閉体の移動を一旦停止してもよく、一旦停止しなくてもよい。
本発明において、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源は、商用電源で動作するものでもよく、バッテリで動作するものでもよく、火災警報器等で構成される防災盤や、煙感知器等から発生した防災信号の入力で動作するもの等でもよい。また、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源は、水圧や風圧によるタービンや、石油系燃料によるエンジンとすることも可能である。
駆動源が防災信号の入力で動作するものとなっている場合には、駆動源に必要な電力は、駆動源が商用電源やバッテリで動作するものとなっている場合と比較してより小さいものとなる。また、駆動源が電気で動作するものとなっている場合には、駆動源が燃料等により動作するものとなっている場合と比較してより小型化しやすい。
本発明において、開閉体の移動を制動させるための制動手段を備えていることが好ましい。
これによると、開閉体の移動速度の急激な上昇を抑制することができ、開閉体を好ましい速度の範囲に近い速度で移動させることができる。
ここで、制動手段により開閉体の移動を制動させる範囲は、開閉体の移動経路のうちの全範囲でもよく、任意の一部の範囲でよい。例えば、開閉体が全開位置又は略全開位置から全閉位置又は略全閉位置まで閉じ移動するまでの全範囲でもよく、開閉体が全閉位置又は略全閉位置から全開位置又は略全開位置まで閉じ移動するまでの全範囲でもよく、これら両方の範囲でもよく、開閉体の移動経路のうち、開閉体が駆動源で発生した駆動力以外の付勢力で移動する範囲のみでもよい。
本発明において、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源の形式、構造は任意であり、例えば、直流モータ(直流電動機)でもよく、交流モータ(交流電動機)等でもよい。この場合において、駆動源で発生した駆動力以外の付勢力は、前述したように、非電力(電力によらないもの)により発生するものとなる。
本発明において、開閉体の移動を制動させるための前記制動手段の形式、構造は任意であり、その第1の例として、モータ(直流モータでもよく、交流モータでもよい)のコギングトルクを挙げることができる。
これによると、開閉体が駆動源であるモータで発生した駆動力以外の付勢力により移動しているとき、開閉体の移動はモータのコギングトルクにより制動されることになる。ここで、コギングトルクとは、非励磁状態でモータの回転子を動かした際に発生するコア−マグネット間の磁気吸引力によるトルクをいう。
また、制動手段の第2の例として、開閉体の開閉移動のうちの一方の移動の運動エネルギーを電力の発生で消費させる発電機として動作するモータ(直流モータでもよく、交流モータでもよい)と、このモータで発生した電力を消費するための電力消費手段と、を含んで構成された制動回路を挙げることができる。
これによると、開閉体を移動するための駆動力を発生していたモータは、電力が供給されていない状態では発電機として作動し、このモータで発生した電力が電力消費手段で消費される発電ブレーキとなる。
ここで、電力消費手段の形式、構造は、電力を消費するものであれば任意であり、例えば、抵抗器(固定抵抗器でもよく、可変抵抗器でもよい)、ランプ、ブザー、液晶表示装置、マイコン、ファン、電磁石等の電荷負荷部品からなるものでもよく、これらの電荷負荷部品の組合せからなるものでもよい。
本発明において、制動手段が、発電機として作動するモータと、電力消費手段と、を含んで構成される制動回路である場合には、この制動回路は、前記モータの発電の起電力を計測する起電力計測手段と、この起電力計測手段からの信号が入力する制御手段と、互いに消費電力能力が異なる複数の前記電力消費手段と、前記起電力計測手段で計測された起電力に応じて、前記複数の電力消費手段のうちの1つを前記制御手段が選択的に前記モータに接続するための選択スイッチ手段と、を備えるようにしてもよい。
これによると、モータで発生する電力量に応じて、選択スイッチ手段がモータと接続される複数の電力消費手段の1つを選択することになる。
すなわち、モータで発生する電力量が所定の上限値を上回った場合(言い換えると、開閉体の移動速度が所定の上限値を上回った場合)には、選択スイッチ手段が、消費電力能力が大きい電力消費手段から消費電力能力が小さい電力消費手段へ切り替えることにより、発電機として動作するモータによる制動力が大きくなるので、開閉体の移動速度を遅くすることができる。一方、モータで発生する電力量が所定の下限値を下回った場合(言い換えると、開閉体の移動速度が所定の下限値を下回った場合)には、選択スイッチ手段が、消費電力能力が小さい電力消費手段から消費電力能力が大きな電力消費手段へ切り替えることにより、モータによる制動力が小さくなるので、開閉体の移動速度を速くすることもできる。
このように、モータで発生した電力量に応じて、開閉体の移動に対する制動力を変更することができ、これにより、開閉体の移動速度を所定範囲の速度とすることができる。
なお、選択スイッチ手段は任意なものでよく、その一例は電磁リレーである。この電磁リレーのスイッチ部の切り替え動作は、独自の任意の電源(モータと同じ系統でも別系統でもよい)から供給される電力により行われるものでもよく、モータで発電された電力により行われるもの等でもよい。
本発明において、開閉体の閉じ移動中における障害物の感知をするための障害物感知手段を備えていてもよい。
ここで、障害物感知手段の形式、構造は任意であり、その一例として、開閉体の閉じ移動方向の端部に設けられ、障害物に当接することで障害物を感知する感圧スイッチを挙げることができる。この例では、感圧スイッチが作動することにより、障害物を感知した旨の信号が、感圧スイッチから開閉装置の制御部へ有線又は無線で伝達されるものである。
また、障害物感知手段の他の一例として、開閉体におけるこの開閉体の開閉移動方向と直交する方向又は略直交する方向である幅方向の両端部に配置され、開閉体の開閉移動を案内するための一対のガイド部材のうち、一方のガイド部材における開閉体の開閉移動方向の所定位置に配置され、障害物感知信号(光波や超音波等)を送信する送信部と、他方のガイド部材の前記所定位置に配置され、前記送信部から送信された前記障害物感知信号を受信する受信部と、を含んで構成されるものを挙げることができる。この例では、開閉体の閉じ移動中には障害物感知信号が送信部から受信部へ常時送信されるようにし、この障害物感知信号が障害物により遮断されることで受信部が障害物を感知するものであり、これにより、障害物を感知した旨の信号が、受信部から開閉装置の制御部に有線又は無線で伝達されるものである。
また、本発明において、前記障害物感知手段を備えている場合であって、前記制動回路で構成される前記制動手段を備えている場合には、障害物感知手段が障害物を感知したとき、前記制動回路を短絡させるための短絡手段を備えるようにしてもよい。
これによると、モータで発生した電力を消費する制動回路が短絡されるため、開閉体の閉じ移動に対して大きな制動力が発生し、開閉体の閉じ移動方向の端部に当接したときに障害物が受ける衝撃をより小さくすることができるようになる。
ここで、短絡手段の形式、構造は任意であり、その一例として、モータの端子間を短絡させるための短絡回路を挙げることができる。
この短絡回路の構成例として、モータの両端子にそれぞれ接続されたリード線と、これらのリード線同士を接続する、あるいは、接続しないスイッチ手段(例えば、障害物感知手段を構成する障害物感知スイッチ)と、を含んで構成されるものを挙げることができる。この構成例では、スイッチ手段は、平常時(障害物非感知時)では、リード線同士を接続しないものとし、非常時(障害物感知時)には、リード線同士を接続するものとし、非常時には、前記スイッチ手段により、リード線同士が接続されることにより、制動回路には、電力消費手段等の電気部品を有しない短絡回路が形成され、この結果、モータの端子間が短絡されてモータによるブレーキ力が極大となる。
また、本発明において、前記制動回路で構成される制動手段を備えている場合には、前記電力消費手段は、前記開閉体の移動を報知するための報知手段であってもよい。
これによると、報知手段が、モータで発生した電力を利用して開閉体の移動を報知するとともに、モータで発生した電力を消費するための電力消費手段となる。
なお、報知手段とは、例えば、モータで発生した電力により、ブザーや音声等が出力される音響器具でもよく、赤色燈や黄色燈等が出力される電灯器具でもよく、これらを併用したもの等でもよい。なお、報知手段は、この報知手段自身の作動の仕方(所定表示の繰り返し、音色の変化、点滅等)を制御する回路を搭載したものでもよい。
以上説明した本発明は任意な開閉装置に適用でき、例えば、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置にも適用でき、開閉体が戸となっている開閉装置や、開閉体が門扉となっている開閉装置等にも適用できる。
シャッター装置は、火災等の災害発生時に、防災用シャッターカーテンが閉じ移動して全閉位置又は略全閉位置に達することにより防災区画を形成する防災シャッター装置(エレベータ用の防災シャッター装置を含む)でもよく、出入口や窓等の開口部をシャッターカーテンが開閉する開口部用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、トラックの荷台やコンテナに設置されるシャッター装置等でもよい。
扉装置は、火災等の災害発生時に防災扉が閉じ回動する防災用扉装置でもよく、玄関ドア等の扉装置等でもよい。
また、開閉装置がシャッター装置である場合において、シャッターカーテンの全部又は主要部は、シートで形成されていてもよく、多数のスラットの連設で形成されていてもよく、ネット(金属製等のニットで形成された網状のものを含む)で形成されていてもよく、複数のパネルの連設で形成されていてもよく、複数のパイプとこれらのパイプ同士を連結するリンクで形成されていてもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合等で形成されていてもよい。
また、シャッターカーテンの開閉移動方向は、上下方向でもよく、左右方向でもよく、これらの方向に対して傾斜した方向でもよい。
シャッターカーテンの開閉移動方向が上下方向である場合には、下方向への移動が閉じ移動であって、上方向への移動が開き移動でもよく、下方向への移動が開き移動であって、上方向への移動が閉じ移動でもよい。
また、シャッターカーテンの閉じ移動が下方への移動となっている場合において、この閉じ移動させるための原理は任意なものでよく、その一例は、閉じ移動をシャッターカーテンの自重によって行わせる自重閉鎖式である。
また、シャッターカーテンを開閉移動させるための構造は、任意であり、その一例は、正逆回転可能となっている巻取軸の巻き取り、繰り出しにより、シャッターカーテンを開閉移動させることである。
巻取軸も任意な構造のものでよく、例えば、中空又は中実の1本の軸又は軸方向に結合された複数本の軸によるものでもよく、あるいは、回転しない中心軸と、この中心軸の外周に回転自在に配置され、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための回転体とを含んで構成されたもの等でもよい。そして、この回転体は、軸方向に離れて中心軸の外周に複数配置されたホイールと、これらのホイール同士を連結する連結部材とを含んで構成されたもの等でもよく、この連結部材は、円周方向に複数配置されたバー状部材でもよく、あるいは、それぞれのホイールを内部に収納したパイプ状のもの等でもよい。
シャッターカーテンの開閉移動が巻取軸の正逆回転により行われる場合には、駆動源は、この駆動源で発生した駆動力を伝達するための動力伝動手段(例えば、チェーンやスプロケット等で構成されるもの)を介して前記巻取軸に接続するようにしてもよく、前記巻取軸に直接接続するようにしてもよい。
本発明において、シャッターカーテンの下方向への繰り出し時における巻取軸の回転によって戻し弾性力が蓄圧され、この蓄圧された戻し弾性力をシャッターカーテンの上方向への巻き取り時の巻取軸に付与する戻し弾性部材を備えるようにしてもよい。
これによると、戻し弾性部材に蓄圧された戻し弾性力を補助力として利用して、シャッターカーテンを開き移動させることができる。
また、この戻し弾性部材を備える場合において、シャッターカーテンの閉じ移動経路における全開位置又は略全開位置から所定距離離間した位置までの範囲では、戻し弾性部材の戻し弾性力による巻取軸回りのトルク(言い換えると、ばねトルク)が、シャッターカーテンの自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸回りのトルク(言い換えると、シャッターカーテンの自重トルク)よりも大きくなるようにし、前記所定距離離間した位置から全閉位置又は略全閉位置までの範囲では、シャッターカーテンの自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸回りのトルクが、戻し弾性部材の戻し弾性力による巻取軸回りのトルクよりも大きくなるようしてもよい。これにより、シャッターカーテンの前記所定位置から全閉位置又は略全閉位置までの閉じ移動は、シャッターカーテンの自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸回りのトルクで行われる。
すなわち、シャッターカーテンの全開位置又は略全開位置から所定距離離間した位置までの閉じ移動は、駆動源で発生した駆動力による巻取軸の回転で行われるようにし、このシャッターカーテンの前記所定距離離間した位置から全閉位置又は略全閉位置までの閉じ移動は、駆動源で発生した駆動力以外の付勢力であるシャッターカーテンの自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸回りのトルクで行われるようにすることができる。
このため、駆動源で発生した駆動力が利用されるのは、少なくともシャッターカーテンの全開位置又は略全開位置から所定距離離間した位置までの閉じ移動であればよい。
なお、シャッターカーテンの閉じ移動経路における全開位置又は略全開位置から所定距離離間した位置までの範囲では、戻し弾性部材の戻し弾性力による巻取軸回りのトルクが、シャッターカーテンの自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸回りのトルクよりも大きくなるようにした場合には、シャッターカーテンを全開状態又は略全開状態に保持するための全開保持装置が不要となる。
なお、戻し弾性部材の形式、構造は任意であり、その一例は、ばねである。そして、この戻し弾性部材をばねとする場合には、このばねは、ねじりコイルばねやぜんまいばね等の任意なものでよい。
なお、本発明において、手動で操作する押しボタン式等の開閉スイッチを備え、この開閉スイッチを操作することにより、シャッターカーテンの開閉移動が、駆動源で発生する駆動力で強制的に行われるようにしてもよい。
本発明によると、開閉体を移動させるための駆動力を発生する駆動源に供給が必要なエネルギー量をより小さくすることができるようになる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る開閉装置となっている防災用シャッター装置の全体正面図であり、この全体正面図は、上下方向を開閉移動方向とする開閉体となっているシャッターカーテン1が全閉状態又は略全閉状態となっているときを示している。
建物の出入口である開口部2を上下に移動して開閉するシャッターカーテン1は、開口部2の左右両側で建物の壁等の躯体3に取り付けられているガイドレール4に、シャッターカーテン1の左右方向の両端部である幅方向両端部がスライド自在に挿入されている。これらのガイドレール4は、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するガイド部材であって、シャッターカーテン1に対して不動となった不動部材となっている。
なお、それぞれのガイドレール4におけるシャッターカーテン1の幅方向の端部が挿入された図示しない開口部には、シャッターカーテン1と接触する図示しない遮煙部材が設けられ、これらの遮煙部材により、火災の発生で生じた煙が全閉位置又は略全閉位置に達しているシャッターカーテン1とガイドレール4との間の隙間を通過してシャッターカーテン1の反対側に達することが防止されている。
開口部2の上部には、2点鎖線で示されたシャッターケース5が設けられ、このシャッターケース5の内部に、巻取軸6が左右一対のブラケット7,8で支持されて回転自在に収納配置されており、この巻取軸6には、シャッターカーテン1の上端部が結合されている。シャッターカーテン1の閉じ側の端部、言い換えると、シャッターカーテン1の下端部は、エンド部材である座板1Aとなっており、この座板1Aの上端には、シャッターカーテン1の大部分を形成する多数のスラット9が上下に連結され、このため、シャッターカーテン1は、その主要部が多数のスラット9の連設で形成されたスラット式のシャッターカーテンとなっている。
シャッターカーテン1が左右一対のガイドレール4に案内されて上昇し、座板1Aが、シャッターケース5の下面を形成していてシャッターカーテン1を上下に挿通させているスリットが設けられているまぐさに達するまで、シャッターカーテン1が巻取軸6に巻き取られることにより、シャッターカーテン1は開口部2を全開状態とする。なお、前記まぐさのスリットにも、上述したガイドレール4の開口部に設けられている遮煙部材と同様な遮煙部材が設けられている。
本実施形態では、シャッターカーテン1は巻取軸6を正回転させながら巻取軸6から繰り出されて閉じ移動し、座板1Aが開口部2の床2Aに着床することにより、シャッターカーテン1は開口部2を全閉状態とする。
このように、本実施形態では、シャッターカーテン1は、下方向への移動が閉じ移動であって、上方向への移動が開き移動となっている。
シャッターカーテン1の表裏面のうちの一方の面である図1に示されている表面側には、シャッターカーテン1を上方向へ開き移動させる際に、手を掛けてシャッターカーテン1を持ち上げるための左右一対の手掛け部材10が設けられている。これらの手掛け部材10は、火災発生時等の非常時等に避難者が、全閉位置又は略全閉位置に達しているシャッターカーテン1で仕切られた空間のうちの一方の空間から他方の空間へ移動するため等のときに、全閉位置又は略全閉位置に達しているシャッターカーテン1を持ち上げて開き移動させ、その下を通過できるようにするものである。
図2には、前記巻取軸6の内部構造が示されている。中空部材からなる巻取軸6は、両端の第1及び第2中心軸41,42を中心に回転自在となっている。第1中心軸41は、左右の前記ブラケット7,8のうちの一方のブラケット7に結合されて回転しない軸となっており、この第1中心軸41は、巻取軸6の一方の開口端部に結合された軸受け部材43の内部に挿入されている。一方、第2中心軸42は、巻取軸6に結合されているために回転する軸となっており、この第2中心軸42は、他方のブラケット8に結合された軸受け部材44の内部に回転自在に挿入されている。
巻取軸6の内部には、巻取軸6に結合されていてこの巻取軸6と一体に回転する回転部材45が組み込まれており、この回転部材45と第1中心軸41とに、戻し弾性部材である戻しばね(ねじりコイルばね)46の両端が連結されている。巻取軸6の内部に収納されているこの戻しばね46には、シャッターカーテン1を下方へ繰り出すために巻取軸6が正回転したときには、戻しばね力が蓄圧されることになり、シャッターカーテン1は、この戻しばね力を蓄圧しながら全閉位置又は略全閉位置に達する。
図2に示されているように、第2中心軸42の左右の両端部のうちの巻取軸6に結合されていない側の端部(図2でが右側の端部)には、スプロケット13が固定されている。また、ブラケット8には、シャッターカーテン1を移動させるための駆動力を発生する駆動源である直流モータ14が取り付けられており、この直流モータ14の駆動軸14Aには、スプロケット16が固定されている。そして、このスプロケット16と前記スプロケット13とに、チェーン12が掛け回されている。このため、チェーン12、スプロケット13及びスプロケット16は、直流モータ14で発生する駆動力を巻取軸6に伝動するための動力伝動手段11となっている。これにより、巻取軸6は、直流モータ14で発生した駆動力により、電動による回転が可能となっている。
図3は、横軸を、戻しばね46を巻き締める巻取軸6の回転数とし、縦軸を、巻取軸6回りのトルク(巻取軸6の回転力)としたグラフである。この図3には、巻取軸6の回転数に対する戻しばね46に蓄圧された戻しばね力による巻取軸6回りのトルク(ばねトルク)の変化を示すラインAと、巻取軸6の回転数に対するこの巻取軸6から繰り出されているシャッターカーテン1の部分の自重による巻取軸6回りのトルク(自重トルク)の変化を示すラインBが示されている。
図3に示されているように、シャッターカーテン1の全開位置Y1(図1も参照)は、戻しばね46の巻き締めに関する巻き締め初期範囲αと中間範囲βとの境界位置と一致しており、シャッターカーテン1の全閉位置Y3(図1も参照)は、中間範囲βと巻き締め終期範囲γとの境界位置と一致している。
また、図3に示されているように、全開位置Y1に達していたシャッターカーテン1が、巻取軸6が1回転や数回転等の所定角度の回転を行って繰り出されたときには、シャッターカーテン1が全開位置Y1に達しているときにおける巻径は大きいため、巻取軸6のこの所定角度の回転によって下方へ繰り出されるシャッターカーテン1の長さは、シャッターカーテン1が全開位置Y1に達していないときから始まる巻取軸6の所定角度の回転の場合よりも長くなる。このため、シャッターカーテン1を全開位置Y1から繰り出す巻取軸6の所定角度の回転によって巻径は減少するが、この巻径の減少よりも、シャッターカーテン1の下方への繰り出し長さはシャッターカーテン1の自重トルクの増大に貢献することになる。このため、シャッターカーテン1が全開位置Y1から繰り出されたときには、シャッターカーテン1の自重トルクの増加率は大きい。
図3で示されているように、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける全開位置Y1から途中位置Y2(言い換えると、全開位置Y1から所定距離離間した位置Y2)までの距離L1(図1も参照)では、戻しばね46の戻しばね力による巻取軸6回りのトルクAが、シャッターカーテン1の自重に基づく巻取軸6回りのトルクBよりも大きくなっている。一方、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける途中位置Y2から全閉位置Y3までの距離L2(図1も参照)では、シャッターカーテン1の自重に基づく巻取軸6回りのトルクBが、戻しばね46の戻しばね力による巻取軸6回りのトルクAよりも大きくなっている。
言い換えると、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46のばねトルクAが、シャッターカーテン1の自重トルクBよりも大きくなっており、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける途中位置Y2から全閉位置Y3までは、シャッターカーテン1の自重トルクBが、戻しばね46のばねトルクAよりも大きくなっている。
このため、本実施形態では、シャッターカーテン1は、全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力によって巻取軸6からの勝手な繰り出しが抑止されるようになっている。これにより、本実施形態では、シャッターカーテン1を全開状態又は略全開状態に保持するための全開保持装置が不要となっている。一方、シャッターカーテン1が途中位置Y2まで巻取軸6から繰り出された後は、シャッターカーテン1は、全閉位置Y3に達するまで自重降下(自重による閉じ移動)を行うようになっている。
なお、シャッターカーテン1の巻径は、このシャッターカーテン1を構成している前記スラット9の厚さ等の関係により、実際には巻取軸6の回転数に対して滑らかに変化しないため、実際のラインBは、図3で示されているようには滑らかに変化せず、凹凸を生じながら全体として図3のトルクBのように変化する。
前述したように、本実施形態では、シャッターカーテン1が巻取軸6から繰り出されて閉じ移動することにより、正回転する巻取軸6に組み込まれている戻しばね46には戻しばね力が蓄圧される。このため、シャッターカーテン1が全閉位置Y3に達した後、このシャッターカーテン1を前記手掛け部材10に手を掛けて持ち上げる(開き移動させる)ときには、巻取軸6は、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力で逆回転してシャッターカーテン1を巻き取るため、手掛け部材10によるシャッターカーテン1の持ち上げは、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力で補助されることになる。これにより、火災発生時等の非常時等の上記避難者は、比較的小さな力によってシャッターカーテン1を軽く持ち上げて開き移動させ、その下を通過することができる。
なお、避難訓練等のためにシャッターカーテン1を全閉状態とした後、管理者等がシャッターカーテン1を全開状態に戻すときには、シャッターカーテン1を大きな力で持ち上げて全開位置Y1まで開き移動させる。これにより、シャッターカーテン1は、戻しばね46の戻しばね力によって全開位置Y1で停止し、シャッター装置は、シャッターカーテン1の閉じ移動開始前の状態に戻る。
なお、本実施形態では、シャッターカーテン1の座板1Aに係止棒等の操作棒の先端を係止等して手作業で引き下げ操作を行うことによっても、シャッターカーテン1を閉じ移動させることが可能となっている。
前述したように、本実施形態では、シャッターカーテン1は、全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46の戻しばね力によって巻取軸6からの繰り出しが抑止されるようになっている(図1及び図3参照)。このため、火災発生時等の非常時等において、シャッターカーテン1を全開位置Y1から少なくとも途中位置Y2まで巻取軸6から繰り出すために、直流モータ14で発生した駆動力により巻取軸6を正回転させるようになっている。
図1及び図2に示されているように、直流モータ14には、この直流モータ14の動作を制御するための図示しないメモリ、MPU等を含んで構成される制御装置15が接続されている。バッテリ等からの電力供給により動作するこの制御装置15は、火災発生時等の非常時等において有電圧の防災信号BS(例えば、DC24(V)等)を出力する火災警報器等で構成される図示しない外部の防災盤と接続されている。
図4には、制御装置15に備えられ、直流モータ14を駆動させるためのモータ駆動回路の第1の実施形態が示されている。この図4に示されているように、火災発生時等の非常時等には、防災盤から防災信号BSがモータ駆動回路50に供給され、これにより、直流モータ14が駆動する。すなわち、モータ駆動回路50の2個の端子51,52のうちのプラス端子51に入力された防災信号BSにより、モータ駆動回路50には電流Iが流れ、これにより、直流モータ14が駆動する。この直流モータ14で発生した駆動力は、動力伝動手段11を介して巻取軸6の第2中心軸42に伝動されるので、この巻取軸6は正回転を開始し、これにより、シャッターカーテン1は巻取軸6から繰り出される閉じ移動を開始する。
本実施形態では、防災盤から出力される防災信号BS(図1及び図2参照)は、一定電圧の直流の有電圧信号となっており、この防災信号BSの発生時間(出力時間)は、シャッターカーテン1が移動経路Lのうちの全開位置Y1から途中位置Y2(図1及び図3参照)まで閉じ移動するように巻取軸6を回転させるために十分な時間となっている。言い換えると、本実施形態では、防災信号BSの発生時間は、シャッターカーテン1が全開位置Y1から途中位置Y2まで閉じ移動するように巻取軸6を回転させるために十分な時間となっている。
図5には、火災発生時等の非常時等における本実施形態に係るシャッター装置の動作のフローチャート図が示されている。
この図5に示すように、制御装置15のモータ駆動回路50に防災信号BSが入力されていない場合(ステップS1−NO)、言い換えると、防災盤から防災信号BSが出力されていない場合には、直流モータ14には電力が供給されていないため、シャッターカーテン1は、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力により全開状態又は略全開状態が保持される。
一方、制御装置15のモータ駆動回路50に防災信号BSが入力された場合(ステップS1−YES)、言い換えると、防災盤から防災信号BSが出力された場合には、直流モータ14は防災信号BSにより駆動し(ステップS2)、これにより、巻取軸6が正回転してシャッターカーテン1は電動降下(電動による閉じ移動)を開始する(ステップS3)。
この後、防災信号BSの入力が継続している場合(ステップS4−YES)には、前記ステップS2以降の処理に戻り、シャッターカーテン1は電動降下を継続する。
一方、防災信号BSの入力がされなくなった場合(ステップS4−NO)には、直流モータ14の駆動は停止する(ステップS5)が、このとき、シャッターカーテン1は、前述したように、移動経路Lのうちの途中位置Y2(図1及び図3参照)まで閉じ移動しており、また、この途中位置Y2から全閉位置Y3までは、戻しばね46のばねトルクよりもシャッターカーテン1の自重トルクのほうが大きくなっている(図3参照)。
このため、シャッターカーテン1は、この途中位置Y2まで移動した後から全閉位置Y3までは、自重降下を行う(ステップS6)。すなわち、シャッターカーテン1は、途中位置Y2まで移動した後から全閉位置Y3までは、駆動源である直流モータ14で発生した駆動力以外の付勢力となっているシャッターカーテン1の自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸6回りのトルクによる閉じ移動を行う。
シャッターカーテン1の自重降下中は、このシャッターカーテン1を繰り出している巻取軸6の回転力が、前記動力伝動手段11を介して直流モータ14の駆動軸14Aに伝達されるため、この駆動軸14Aは電動によらない回転を行う。このため、直流モータ14には、前述したように、非励磁状態でモータの回転子を動かした際に発生するコア−マグネット間の磁気吸引力によるトルク、すなわち、コギングトルクが発生する。これにより、直流モータ14の駆動軸14Aの回転速度が略一定に調整されるので、巻取軸6の回転速度も略一定に調整される。この結果、シャッターカーテン1は略一定の速度で閉じ移動を行う。したがって、本実施形態では、シャッターカーテン1の閉じ移動を制動するための制動手段を備えており、この制動手段は、直流モータ14のコギングトルクとなっている。
以上説明したように、本実施形態では、図1及び図3に示されているように、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46のばねトルクが、シャッターカーテン1の自重トルクよりも大きくなっており、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける途中位置Y2から全閉位置Y3までは、シャッターカーテン1の自重トルクが、戻しばね46のばねトルクよりも大きくなっている。これにより、シャッターカーテン1は、全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46の戻しばね力によって巻取軸6からの繰り出しが阻止されるようになっている。
このため、本実施形態では、シャッターカーテン1を全開位置Y1から全閉位置Y3まで閉じ移動させるために、巻取軸6を回転させる駆動力を発生する直流モータ14を駆動させるために必要な電力は、シャッターカーテン1が全開位置Y1から途中位置Y2まで閉じ移動するように巻取軸6を所定角度回転させるために必要な駆動力を直流モータ14に発生させる電力だけでも済むようになっている。
すなわち、本実施形態では、シャッターカーテン1の全開位置Y1から少なくとも前記途中位置Y2を超えた位置までの閉じ移動、言い換えると、シャッターカーテン1の全開位置Y1から所定時間(防災信号BSの発生時間)が経過するまでの閉じ移動は、直流モータ14で発生した駆動力で行われ、シャッターカーテン1が少なくとも前記途中位置Y2を超えた位置まで移動した後、言い換えると、シャッターカーテン1が前記所定時間が経過するまで移動した後から、全閉位置Y3までのシャッターカーテン1の閉じ移動は、直流モータ14で発生した駆動力以外の付勢力となっているシャッターカーテン1の自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸6回りのトルクで行われるようになっている。
したがって、本実施形態によると、従来のシャッター装置と比較してシャッターカーテンを閉じ移動させるための駆動力を発生する駆動源に必要な電力をより少なくすることができるようになる。
また、本実施形態では、直流モータ14に供給する電力は、商用電源を直流に変換したものではなく、直流の有電圧信号である防災信号BSのみとなっている。
このため、本実施形態によると、防災信号BSを有効活用することができ、また、直流モータ14に供給する電力設備を別途用意する必要がないため、従来のシャッター装置と比較して、シャッター装置の構造の簡単化や低コスト化を図ることができるようになる。
また、前述したように、本実施形態では、シャッターカーテン1は、全開位置Y1から途中位置Y2までは、戻しばね46の戻しばね力によって巻取軸6からの繰り出しが阻止されるようになっている。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1を全開状態又は略全開状態に保持するための全開保持装置が不要となり、この点においても、従来のシャッター装置と比較して、構造の簡単化や低コスト化を図ることができるようになる。
また、本実施形態によると、シャッターカーテン1が全開状態又は略全開状態に保持されているときに、動力伝動手段11を構成するチェーン12が経年劣化等により破断することがあっても、シャッターカーテン1は、戻しばね46の戻しばね力により全開状態又は略全開状態が維持される。すなわち、本実施形態によると、戻しばね46の戻しばね力により、チェーン12の破断によるシャッターカーテン1の落下が防止される。
なお、シャッターカーテン1が全開位置Y1から途中位置Y2まで閉じ移動しているときにチェーン12が破断しても、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力により、シャッターカーテン1の落下は防止される。
また、本実施形態では、シャッターカーテン1が途中位置Y2まで巻取軸6から繰り出された後は、シャッターカーテン1は、全閉位置Y3に達するまで自重による降下を行うようになっているが、この自重降下中においては、前述したように、直流モータ14で発生するコギングトルクにより、シャッターカーテン1の閉じ移動速度が略一定に保たれる。言い換えると、直流モータ14で発生するコギングトルクにより、巻取軸6の回転速度が略一定に調整される。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1の閉じ移動速度を略一定に調整するためのガバナーブレーキ等の制動装置を巻取軸6等に設けることが不要となり、従来のシャッター装置と比較して、構造の簡単化や低コスト化を図ることができるようになる。
なお、本実施形態において、シャッターカーテン1の閉じ移動に対する制動がより確実に行われるようにするために、上記ガバナーブレーキ等の制動装置を巻取軸6等に別途設けるようにしてもよい。
なお、本実施形態では、シャッターカーテン1を手操作で開き移動させる場合には、直流モータ14には電力が供給されないため、シャッターカーテン1の開き移動中においても、直流モータ14ではコギングトルクが発生する。このため、シャッターカーテン1の開き移動速度も略一定に調整され、これにより、シャッターカーテン1が全開位置Y1に達する際、シャッターカーテン1の座板1Aが、前記まぐさに強く衝突して損傷してしまうことが防止される。このように、本実施形態では、直流モータ14のコギングトルクは、シャッターカーテン1の開き移動を制動させるための制動手段にもなる。
図6及び図7には、モータ駆動回路の第2の実施形態が示されている。図6は、本実施形態に係るモータ駆動回路150に防災信号BSが入力されているときの回路状態を示す図であり、図7は、このモータ駆動回路150に防災信号BSの入力がされなくなったときの回路状態を示す図である。なお、以下で説明する各実施形態において、前述した部材、装置等と同一又は同一機能の部材、装置等には同じ符号を用い、これらの説明は省略する。
図6に示されているように、本実施形態に係るモータ駆動回路150は、直流モータ14の端子であるプラス端子51とマイナス端子52と間に配置された可変抵抗器54及び電磁リレー53と、3個のダイオード55,56,57とを含んで構成されている。コイル部53Aとスイッチ部53Bを有する電磁リレー53は、コイル部53Aに電流が流れるとスイッチ部53Bが開く(オフとなる)B接点型の電磁リレーとなっている。
この図6に示されているように、火災発生時等の非常時等において、防災信号BSがプラス端子51に入力すると、モータ駆動回路150に接続された直流モータ14には電流I1が流れる。一方、電磁リレー53のコイル部53Aには電流I2が流れることにより、この電磁リレー53のスイッチ部53Bが開くため、可変抵抗器54には電流は流れない。一方、電流I1が流れ込んだ直流モータ14は駆動を開始し、これにより、巻取軸6が正回転して、シャッターカーテン1は電動降下を開始する。
この後、図7に示すように、プラス端子51に防災信号BSが入力しなくなると、電磁リレー53のコイル部53Aには電流が流れなくなるため、この電磁リレー53のスイッチ部53Bは閉じる(オンとなる)。また、直流モータ14にも電流が流れなくなるため、直流モータ14はモータとして動作しなくなるが、この直流モータ14の駆動軸14Aには、巻取軸6の回転が動力伝動手段11により伝動されるため、直流モータ14の駆動軸14Aは回転を継続する。これにより、防災信号BSが入力しなくなった以降の直流モータ14は発電機として動作するようになる。
図7に示すように、発電機として動作するこの直流モータ14からは電流I3が流れるが、この電流I3の方向は、直流モータ14をモータとして動作させるために流れる電流I1(図6参照)の方向とは反対の方向となる。また、この電流I3は、モータ駆動回路150に配置されている2個のダイオード55,56の存在により、プラス端子51側や電磁リレー53のコイル部53Aには流れないようになっている。このため、電流I3は、可変抵抗器54に流れ込むようになっている。
このため、防災信号BSの入力がされなくなったときの直流モータ14は、シャッターカーテン1の閉じ移動の運動エネルギーを電力の発生で消費させる発電機として動作する。そして、防災信号BSの入力がされなくなったときのモータ駆動回路150は、発電機として動作する直流モータ14と、この直流モータ14で発生した電力を消費するための電力消費手段である可変抵抗器54とを含んで構成される制動回路となる。すなわち、本実施形態では、モータ駆動回路150は、シャッターカーテン1の閉じ移動を制動するための制動手段である制動回路となる。これにより、自重降下中のシャッターカーテン1の閉じ移動速度は、一定に調整される。
なお、本実施形態では、可変抵抗器54の抵抗値を調整することにより、発電機としてのブレーキ力を調整することができるようになる。また、本実施形態では、モータ駆動回路150に配置する抵抗器は可変抵抗器であったが、固定抵抗器でもよい。
なお、図示されていないが、全閉位置Y3に達しているシャッターカーテン1を開き移動させるときには、防災信号BSが入力されていない状態にある直流モータ14は発電機として動作しようとし、この直流モータ14からは、図7に示す電流I3の方向とは反対の方向の電流がモータ駆動回路150内を流れようとする。しかし、この電流は、モータ駆動回路150に配置されている3個のダイオード55,56,57の存在により、モータ駆動回路150を流れないようになっている。このため、直流モータ14は発電機として動作しないようになっている。
図8及び図9には、モータ駆動回路の第3の実施形態が示されている。図8に示されているように、本実施形態に係るモータ駆動回路250は、図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150において、シャッターカーテン1の開閉移動を電動によっても行うことができるようにしたものである。すなわち、本実施形態に係るモータ駆動回路250は、図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150に、電動によるシャッターカーテン1の開閉制御を行うための電動開閉制御回路59と、この電動開閉制御回路59により制御される接点58を追加したものである。
図9に示すように、電動開閉制御回路59により接点58が制御され、この電動開閉制御回路59と直流モータ14とが接続されている間は、電動開閉制御回路59により直流モータ14が制御されるようになる。つまり、図示しない操作指示手段により電動開閉制御回路59にシャッターカーテン1の開閉指示がされたときには、この電動開閉制御回路59は、接点58を制御して電動開閉制御回路59自身と直流モータ14とを接続し、その状態で電動開閉制御回路59から直流モータ14に電力を供給してこの直流モータ14を駆動させる。一方、リミット信号や操作指示手段からの停止指示によりシャッターカーテン1の移動が停止されるときには、電動開閉制御回路59は、直流モータ14への電力供給を停止してこの直流モータ14の駆動を中止させ、接点58を制御して電動開閉制御回路59と直流モータ14との接続を解除する。
このため、電動開閉制御回路59と直流モータ14とが接続されていない状態のモータ駆動回路250の動作は、前述した図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150の動作と同じとなるので説明を省略する。
電動開閉制御回路59と直流モータ14とが接続されているとき、商用電源60に接続された電動開閉制御回路59は、商用電源90から供給された電力を交流から直流に変換し、さらに、「開「閉」の制御に応じた極性(例えば「閉」の場合はプラス、「開」の場合はマイナス等)に変換した後、変換した電力を直流モータ14に供給するようになっている。これにより、電動開閉制御回路59による制御が「閉」のときには、直流モータ14には電流I4(図8に示す電流I1と同じ方向の電流)が流れて、シャッターカーテン1は電動による閉じ移動を行う。一方、電動開閉制御回路59による制御が「開」のときには、直流モータ14に電流I5(前記電流I1とは反対方向の電流)が流れて、シャッターカーテン1は電動による開き移動を行う。
図10及び図11には、モータ駆動回路の第4の実施形態が示されている。
図10に示されているように、本実施形態に係るモータ駆動回路350は、図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150において、発電機として動作する直流モータ14で発生する起電力に応じた電力消費手段の電力消費能力に応じて、シャッターカーテン1の閉じ移動に対するブレーキ力を調整するようにしたものである。以下、図6及び図7の実施形態と異なる点を説明する。
前述した図6及び図7に示す第2の実施形態では、モータ駆動回路150に配置されていた電力消費手段は1個の可変抵抗器54であったが、図10に示されているように、本実施形態に係るモータ駆動回路350には、互いに並列となっている2個の可変抵抗器61,62が配置されている。第1抵抗器である可変抵抗器61と、第2抵抗器である可変抵抗器62の電気抵抗値は、可変抵抗器61よりも可変抵抗器62の方が小さい値に設定されている。このため、可変抵抗器61と可変抵抗器62は、本実施形態における互いに消費電力能力が異なる2個の電力消費手段となっている。
また、図10に示されているように、可変抵抗器61,62と、電磁リレー53のスイッチ部53Bとの間には、開閉接点がC接点(切替接点)となっているC接点型の電磁リレー63のスイッチ部63Bが配置されており、このスイッチ部63Bは、通常時において可変抵抗器61側の接点部を閉路し、電磁リレー63のコイル部63Aが励磁されると、可変抵抗器62側の接点部を閉路するものとなっている。
また、電磁リレー63のコイル部63Aに接続され、このコイル部63Aを励磁するための励磁回路351は、直流モータ14が発電機として動作しているときにおけるこの直流モータ14の発電の起電力を計測する起電力計測手段71と、この起電力計測手段71で計測された起電力に関する信号が入力する制御装置72(MPU、メモリ等を有するもの)と、電源74(図示例ではDC12V電源)と、電源74からの電力を電磁リレー63のコイル部63Aに選択的に供給し又は供給しない電源スイッチ73(図示例ではトランジスタ)とを備えている。
この電源スイッチ73は、自重降下中のシャッターカーテン1の閉じ移動速度が徐々に加速することにより、直流モータ14が発電機として動作しているときにおけるこの直流モータ14の発電の起電力が所定の上限値を上回ったときに、この上限値が記憶されている制御装置72からの信号により、電源74の電力が電磁リレー63のコイル部63Aに供給される。これにより、コイル部63Aが励磁されるので、可変抵抗器61側の接点部を閉路していた電磁リレー63のスイッチ部63Bは、可変抵抗器62側の接点部を閉路する。前述したように、可変抵抗器61の電気抵抗値よりも可変抵抗器62の電気抵抗値の方が小さいため、発電機として動作している直流モータ14から発生する電力の消費能力は大きくなり、発電機としてのブレーキ力も大きくなる。
この後、大きくなったブレーキ力のためにシャッターカーテン1の閉じ移動速度が徐々に減速することにより、発電機として動作している直流モータ14で発電される電力量が所定の下限値を下回ったときに、この下限値が記憶されている制御装置72からの信号により、電源74が電磁リレー63のコイル部63Aへ供給していた電力が遮断される。これにより、コイル部63Aが励磁されなくなるので、可変抵抗器62側の接点部を閉路していた電磁リレー63のスイッチ部63Bは、可変抵抗器61側の接点部を閉路し、通常時の状態に戻る。これにより、発電機として動作している直流モータ14から発生する電力の消費能力は小さくなり、発電機としてのブレーキ力も小さくなる。
以上説明したように、本実施形態においても、防災信号BSの入力されていない状態のモータ駆動回路350は、シャッターカーテン1の閉じ移動を制動させるための制動回路となっている。
図12及び図13は、本実施形態に係るモータ駆動回路350を備えたシャッター装置の火災発生時等の非常時等における動作のフローチャート図である。
この図12に示すように、防災盤から制御装置15のモータ駆動回路350に防災信号BSが入力されていない場合(ステップS101−NO)には、直流モータ14に電力が供給されていないため、シャッターカーテン1は、戻しばね46に蓄圧された戻しばね力で全開状態又は略全開状態が保持される。
一方、制御装置15のモータ駆動回路350に防災信号BSが入力された場合(ステップS101−YES)には、モータ駆動回路350のプラス端子51に入力した防災信号BSの一部が、電磁リレー53のコイル部53Aに電流I2として流れ込む(図10参照)ため、このコイル部53Aが励磁されて電磁リレー53がオフとなる(ステップS102)。すなわち、電磁リレー53のB接点であるスイッチ部53Bがオフとなる(開路する)。
これにより、防災信号BSの残りは、2個の可変抵抗器61,62には流れずに、直流モータ14に電流I1として流れ込む(図10参照)ので、直流モータ14は駆動を開始する(ステップS103)。この結果、巻取軸6は直流モータ14で発生した駆動力により正回転し、シャッターカーテン1は電動降下を開始する(ステップS104)。
この後、防災信号BSの入力が継続している場合(ステップS105−YES)には、前記ステップS103以降の処理に戻り、シャッターカーテン1の電動降下が継続される。すなわち、防災信号BSの入力が継続している間、シャッターカーテン1の電動降下が継続される。
一方、防災信号BSの入力がされなくなった場合(ステップS105−NO)には、電磁リレー53のコイル部53Aに電流I2が流れなくなるため、このコイル部53Aはもとの非励磁状態に戻り、電磁リレー53がオンとなる(図11参照)(ステップS106)。すなわち、電磁リレー53のB接点であるスイッチ部53Bがオンとなる(閉路する)。
また、直流モータ14にも電流I1が流れなくなるため、この直流モータ14の駆動は停止する(ステップS107)。
このとき、シャッターカーテン1は、前述したように、移動経路Lのうちの少なくとも途中位置Y2(図1及び図3参照)まで閉じ移動しており、また、この途中位置Y2から全閉位置Y3までは、戻しばね46のばねトルクよりもシャッターカーテン1の自重トルクの方が大きくなっている(図3参照)。このため、シャッターカーテン1は、直流モータ14の駆動が停止した位置から全閉位置Y3に達するまでは、このシャッターカーテン1の自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸6回りのトルク(自重トルク)で閉じ移動を行う(ステップS108)。
そして、本実施形態では、直流モータ14への電力の供給(防災信号BSの入力)が停止した以降は、シャッターカーテン1の自重トルクに基づく巻取軸6の繰り出しによるこの巻取軸6の回転力(トルク)が、動力伝動手段11(図2参照)を介して直流モータ14の駆動軸14Aに伝達され、この駆動軸14Aは正回転を継続するので、この直流モータ14は発電機として動作するようになる。これにより、シャッターカーテン1は、直流モータ14の発電ブレーキ力による制動を受けながら、自重降下を行う。
このシャッターカーテン1の自重降下中は、制御装置72による起電力計測手段71で計測された起電力、すなわち、巻取軸6の正回転により直流モータ14で発生した起電力(以下、直流モータ14の起電力という)の判定が行われる(ステップS109)。
このステップS109において、直流モータ14の起電力が上記所定の上限値以下である場合には、ステップS108に戻る。そして、このステップS108であるシャッターカーテン1の自重降下中は、電磁リレー63のスイッチ部63Bが可変抵抗器61側の接点部を閉路しており、直流モータ14による発電ブレーキ力は小さいため、シャッターカーテン1は、移動速度が徐々に加速されながら閉じ移動(自重降下)を行う。
一方、ステップS109において、直流モータ14の起電力が上記所定の上限値を上回る大きい値になっている場合(ステップS109−YES)には、制御装置72からの信号によって電源スイッチ73が電源74からの電力を電磁リレー63のコイル部63Aに供給することにより、このコイル部63Aが励磁状態となるため、可変抵抗器61側の接点部を閉路していた電磁リレー63のスイッチ部63Bは、ステップS110において、可変抵抗器62側の接点部を閉路する(電磁リレー63のオン)。すなわち、電磁リレー63のスイッチ部63Bは、ステップS110において、直流モータ14に接続されている可変抵抗器を、電気抵抗値が大きい可変抵抗器61から電気抵抗値の小さい可変抵抗器62へ切り替えるようになっている。
これにより、直流モータ14からの電力の消費能力は一層大きくなり、この直流モータ14の発電ブレーキ力の増大によって巻取軸6の正回転の回転速度は低下し、シャッターカーテン1の閉じ移動速度は減速される(ステップS111)。
この後、直流モータ14の起電力の判定が再度行われる(ステップS112)。このステップS112において、直流モータ14の起電力が上記所定の下限値以上である場合(ステップS112−NO)には、ステップS111に戻り、シャッターカーテン1の閉じ移動速度の減速が継続される。
一方、ステップS112において、直流モータ14の起電力が、巻取軸6の回転速度の低下で上記所定の下限値を下回った場合(ステップS112−YES)には、制御装置72からの信号によって、電源スイッチ73は、電磁リレー63のコイル部63Aに電力を供給していた電源74を遮断する。これにより、励磁されていたコイル部63Aは非励磁状態となるため、可変抵抗器62側の接点部を閉路していた電磁リレー63のスイッチ部63Bは、ステップS113において、可変抵抗器61側の接点部を閉路する(電磁リレー63のオフ)。すなわち、電磁リレー63のスイッチ部63Bは、ステップS113において、直流モータ14に接続されている可変抵抗器を、電気抵抗値が小さい可変抵抗器62から電気抵抗値の大きい可変抵抗器61へ切り替えるようになっている。
これにより、直流モータ14のからの電力の消費能力は一層減少して、この直流モータ14による発電ブレーキ力が小さくなるため、巻取軸6の正回転の回転速度が速くなり、シャッターカーテン1の閉じ移動速度が増速されてステップS108に戻る。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1は、電磁リレー63のスイッチ部63Bが、直流モータ14の起電力に応じて、選択的に可変抵抗器61と可変抵抗器62に切り替えることにより、全閉位置Y3に達するまで一定の範囲の閉じ移動速度で自重降下する。
このため、本実施形態では、電磁リレー63は、起電力計測手段71で計測された起電力に応じて、2個の可変抵抗器61,62のうちの1つを、起電力計測手段71からの信号が入力する制御手段である制御装置72が選択的に直流モータ14に接続するための選択スイッチ手段となっている。
なお、本実施形態において、制御装置72の図示しないメモリに設定されている起電力の上記所定の上限値と下限値を同一の値としてもよい。
なお、本実施形態において、シャッターカーテン1を開き移動させるときには、防災信号BSが入力されない直流モータ14は、シャッターカーテン1を巻き取る巻取軸6の逆回転でこの直流モータ14の駆動軸14Aも逆回転することにより、発電機として動作しようとし、モータ駆動回路350には、図11に示されている電流I3とは反対の方向の電流が流れようとするが、この電流は、3個のダイオード55,56,57の存在により、モータ駆動回路350内を流れないようになっている。このため、直流モータ14は発電機として動作せず、シャッターカーテン1の開き移動を手で行う場合等には、軽い力で行うことができる。
なお、本実施形態では、直流モータ14で発生する起電力に応じた電力消費手段の電力消費能力の切り替えに応じて、シャッターカーテン1の閉じ移動速度を所定の範囲内に調整するものであったが、巻取軸6に、この巻取軸6の回転速度を検出するためのロータリエンコーダ等の巻取軸回転速度検出手段を設け、この検出手段により検出された巻取軸6の回転速度に応じて、シャッターカーテン1の閉じ移動速度を所定の範囲内に調整するようにしてもよい。
図14は、シャッターカーテン1の閉じ移動中における障害物の感知をするための障害物感知手段を備えた実施形態に係るシャッター装置の全体図を示す図である。また、図15は、図14に示す障害物感知手段29の側断面図(シャッターカーテン1の左右方向である幅方向と直交する方向の断面図)であって、障害物感知手段29が障害物100を感知する直前の状態を示す図であり、図16は、図15に示す障害物感知手段29が障害物100を感知している状態を示す図である。
本実施形態に係る障害物感知手段29は、障害物に直接接触することにより障害物を感知する接触型の障害物感知手段となっており、図14に示すように、この障害物感知手段29はシャッターカーテン1の座板20の下部に設けられている。この座板20の下部は、図15に示されているように、水平部20Aと、この水平部20Aの幅方向(言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向と直交する方向であるシャッターカーテン11の厚さ方向)両端から垂直下方に延出する垂直延出部20Bと、それぞれの垂直延出部20Bの先端から前記幅方向内側に水平に延出する水平延出部20Cとを有する枠材となっている。
一方、障害物感知手段29は、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向へ移動自在な移動部材22と、アクチュエータが押しボタン26Aとなっている押しボタン方式のマイクロスイッチ26と、移動部材22とマイクロスイッチ26との間に配置され、上下方向への長さを有する板ばね23と、直流モータ14を制御する前記制御装置15とマイクロスイッチ26とを接続するためのリード線27と、を含んで構成されている。
内部にぜんまいばねを有する図14に示すコードリール28に収納可能となっているリード線27の下端部は、図15に示すように、このリード線27が挿通可能な孔25Aが形成されたカバー部材25に覆われているマイクロスイッチ26に接続されており、一方、リード線27の上端部は制御装置15に接続されている。そして、このリード線27は、シャッターカーテン1が巻取軸6から繰り出される(閉じ移動する)と共にコードリール28から繰り出され、シャッターカーテン1が巻取軸6に巻き取られる(開き移動する)と共にコードリール28に巻き取られるようになっている。
図15に示すように、移動部材22は、水平部22Aと、この水平部22Aの幅方向(言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向と直交する方向であるシャッターカーテン1の厚さ方向)両端から垂直上方に延出する垂直延出部22Bと、この垂直延出部22Bの先端から前記幅方向外側に水平に延出する水平延出部22Cとを有する枠材となっている。この移動部材22は、垂直延出部22B及び水平延出部22Cが、座板20の内部空間21でシャッターカーテン8の開閉移動方向(上下方向)に移動自在となっており、水平延出部22Cが座板20の水平延出部20Cの上面に載置可能となるように、座板20に取り付けられている。そして、この移動部材22の最大移動範囲はL3なっている。
マイクロスイッチ26は、座板20の水平部20Aに取り付けられており、アクチュエータである押しボタン26Aは、このマイクロスイッチ26から下方へ突出するように設けられており、上下方向(シャッターカーテン1の開閉移動方向)に突没可能となっている。このマイクロスイッチ26は、押しボタン26Aが押された(没入した状態にある)とき、前記リード線27との接点部が閉路した状態(オンの状態)となり、押しボタン26Aが押されない(突出した状態にある)とき、リード線27との接点部が開路した状態(オフの状態)となる。すなわち、マイクロスイッチ26は、A接点型の押しボタンスイッチとなっている。
上下方向への長さを有する板ばね23は、座板20の水平部20Aに形成された長孔20Dに挿通されている。この板ばね23の下端部は、移動部材22の内側に取り付けられた係止部材24に係止されており、上端部は、幅広部23Aとなっていてマイクロスイッチ26の押しボタン26Aに当接可能となっている。
このため、板ばね23は、移動部材22の移動をマイクロスイッチ26へ伝達するため伝達部材となっており、マイクロスイッチ26は、移動部材22の移動を感知するための感知部となっている。
本実施形態では、移動部材22が、図16に示すように、障害物100に当接することによりシャッターカーテン1の開き移動方向(上方向)に移動しない限り、この移動部材22は、図15に示すように、水平延出部22Cが座板20の水平延出部20Cの上面に載置され、座板20から垂下した状態となっている。このとき、板ばね23は、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向にまっすぐのびた状態となっている。すなわち、本実施形態では、板ばね23は、床面2A等に障害物が存在し、移動部材22がこの障害物に当接しない限り、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向にまっすぐのびた状態となっている。言い換えると、シャッターカーテン1が全開位置Y1に達している、いないにかかわらず、床面2A等に障害物が存在しない場合においては、板ばね23は、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向にまっすぐのびた状態となっている。
一方、図15に示すように、シャッターカーテン1の矢印Y方向への閉じ移動中において、図16に示すように、床面2A等に障害物100が存在し、移動部材22がこの障害物100に当接した場合には、上下方向にまっすぐにのびていた板ばね23は、移動部材22が上方向(図15の矢印Y方向とは反対の方向)に移動することにより撓むと共に、マイクロスイッチ26の押しボタン26Aを押し上げる。これにより、マイクロスイッチ26とリード線27との接点部が閉路した状態(オンの状態)となり、障害物感知手段29は障害物を感知している状態となる。
このように、本実施形態におけるシャッターカーテン1の座板20は、言い換えると、座板本体部となっている座板20と、接触型障害物感知手段29の一部を構成している移動部材22とを含んで構成されるいわゆるロングストローク座板となっている。一方、この座板20に設けられた接触型障害物感知手段29は、柔性接触型障害物感知手段となっている。
図17及び図18には、障害物感知手段29を構成するリード線27が接続したモータ駆動回路の第5の実施形態が示されている。
本実施形態に係るモータ駆動回路450は、図10及び図11に示す第4の実施形態に係るモータ駆動回路350と同様に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に発電機として動作する直流モータ14で発生する起電力に応じて、シャッターカーテン1の閉じ移動速度を制動する発電ブレーキ力を調整するための起電力測定手段71や制動装置72等の部材、装置等を備えているが、本実施形態では、直流モータ14で発生する電力を消費するための電力消費手段は、図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150と同様に、1個の可変抵抗器54となっている。
このため、本実施形態においても、防災信号BSの入力されていない状態のモータ駆動回路450は、シャッターカーテン1の閉じ移動を制動させるための制動回路となっている。
また、本実施形態に係るモータ駆動回路450には、座板20の水平部20Aに取り付けられているマイクロスイッチ26に接続されているリード線27が、直流モータ14の両端子にそれぞれ接続されている。
このため、図16に示すように、移動部材22が障害物100に当接することにより、上下方向にまっすぐにのびていた板ばね23が、移動部材22が上方向に移動することにより撓むと共に、マイクロスイッチ26の押しボタン26Aを押し上げる。この結果、前述したように、図18に示すように、マイクロスイッチ26とリード線27との接点部が閉路した状態(オンの状態)となり、モータ駆動回路450には、スイッチ手段であるマイクロスイッチ26と、リード線27とを含んで構成される短絡手段である短絡回路75が形成される。このため、発電機として動作していた直流モータ14から発生している電流I3は、この短絡回路75を流れることになるので、発電機として動作する直流モータ14による発電ブレーキ力は最大となる。この結果、シャッターカーテン1の閉じ移動に対して最大の制動力がかかり、このシャッターカーテン1の閉じ移動速度が大きく減速されることになる。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1の座板20に当接した障害物100が受ける衝撃力をより小さくすることができるようになる。
このように、本実施形態に係る障害物感知手段29は、障害物100を感知するための電源が不要となり、また、構造が簡単で故障しにくいものとなっているので、製造にかかるコストも安価となる。
図19及び図20には、モータ駆動回路の第6の実施形態が示されている。図19に示されているように、本実施形態に係るモータ駆動回路550は、図6及び図7に示す第2の実施形態に係るモータ駆動回路150に配置されていた電力消費手段である可変抵抗器54を、シャッターカーテン1の移動を報知するための報知手段であるブザー76に置き換えたものとなっている。
このため、本実施形態においても、防災信号BSの入力されていない状態のモータ駆動回路550は、シャッターカーテン1の閉じ移動を制動させるための制動回路となっている。
本実施形態では、報知手段であるブザー76は、図20に示すように、直流モータ14で発生した電力を利用して、シャッターカーテン1の自重降下(閉じ移動)を報知するとともに、直流モータ14で発生した電力を消費するための電力消費手段となる。
このため、本実施形態によると、火災発生時等の非常時等であって、シャッターカーテン1が降下中であることを外部の人間が知ることができるようになる。
なお、本実施形態では、報知手段は、ブザーであったが、合成音等の音声が出力される音響器具でもよく、赤色燈や黄色燈等が出力される電灯器具でもよく、これらを併用してもよい。
図21は、モータ駆動回路の第7の実施形態が備えられているシャッター装置の全体正面図であり、また、図22には、モータ駆動回路の第7の実施形態が示されている。
図21に示されているように、本実施形態では、左右一対のガイドレール4のうちの一方のガイドレール4の内部におけるシャッターカーテン1の移動経路の途中位置Y2には、全開位置Y1に達していたシャッターカーテン1がこの途中位置Y2まで下降してきたときに、このシャッターカーテン1によって作動する位置検出手段である検出スイッチ30が収納配置されている。
本実施形態では、この検出スイッチ30は、全開位置Y1に達しているシャッターカーテン1が前記途中位置Y2まで降下(閉じ移動)するまでは、図22に示す制御装置15のモータ駆動回路650を閉路(スイッチオン)の状態とし、途中位置Y2まで降下してきたシャッターカーテン1によって、図22に示すモータ駆動回路650を開路(スイッチオフ)の状態とするB接点型(ブレーク接点型)のスイッチとなっている。そして、全閉位置Y1に達していたシャッターカーテン1が上記途中位置Y2よりも高い位置まで上昇(開き移動)したときには、検出スイッチ30は、開路状態となっていたモータ駆動回路650を閉路状態とするようになっている。なお、この検出スイッチ30は、ガイドレール4の外部に配置してもよい。なお、検出スイッチ30は、シャッターカーテン1の位置が途中位置Y2よりも開放側(開き側)か閉鎖側(閉じ側)かを検出できるものであればよく、例えば、巻取軸6の回転数をカウントし、所定の値で出力接点をオン/オフに切り替える方式のものでもよい。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1が全開位置Y1から途中位置Y2まで降下した以降も、防災信号BSの発生が継続する場合が生じても、ガイドレール4に設けられている上記検出スイッチ30の作動により、上記モータ駆動回路650が開回路状態となるため、シャッターカーテン1が途中位置Y2まで降下した以降は、このシャッターカーテン1は、直流モータ14のコギングトルクによる制動を受けながら、一定の移動速度で自重降下を行う。
このように、本実施形態においても、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける全開位置Y1から途中位置Y2までの移動は、直流モータ14で発生した駆動力で行われ、シャッターカーテン1が全開位置Y1から途中位置Y2まで移動した後から、シャッターカーテン1の閉じ移動限位置である全閉位置Y3までの移動は、直流モータ14で発生した駆動力以外の付勢力となっているシャッターカーテン1の自重に基づく下方向への閉じ移動力による巻取軸6回りのトルクで行われるようになっている。
なお、以上説明した各実施形態において、防災信号BSは、一定電圧の直流の有電圧信号であったが、所定時間継続するパルス状の直流信号でもよい。この場合においても、パルス信号を発生させる時間は、シャッターカーテン1が、全開位置Y1から途中位置Y2まで、直流モータ14で発生した駆動力により回転する巻取軸6から繰り出されて閉じ移動する時間となっている必要がある。
また、以上説明した各実施形態において、直流モータ14を駆動させるための電力として、防災盤から出力された防災信号を利用するものであったが、防災盤を介さずに電池(バッテリ)等電源を繋いだ煙感知器(煙感知センサ)から出力される防災信号を直接利用するようにしてもよい。
なお、以上説明した各実施形態では、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける途中位置Y2から全閉位置Y3の間で、シャッターカーテン1を途中で停止させても、シャッターカーテン1は自重により全閉位置まで降下し、一方、シャッターカーテン1の移動経路Lにおける全開位置Y1から途中位置Y2の間で、シャッターカーテン1を途中で停止させても、シャッターカーテン1は戻しばね46に蓄圧された戻しばね力によって、全開位置Y1まで上昇するようになっている。このため、上記の場合においてシャッターカーテン1を途中で停止させるために、直流モータ14にブレーキをかけるためのブレーキ手段を設けるようにしてもよい。
また、以上説明した各実施形態において、蓄圧された戻しばね力によりシャッターカーテン1を全開状態又は略全開状態に保持している戻しばね46が破損等した場合を考慮して、より確実にシャッターカーテン1を全開状態又は略全開状態に保持するため全開保持装置(直流モータ14にブレーキをかけるものでもよい)を別途備えるようにしてもよい。この場合には、防災信号BSの入力がされた以降は、全開保持装置によるシャッターカーテン1の全開保持状態が解除されるようにする必要がある。