JP4475817B2 - 機械加工前のギヤ等の歯付き被加工物を機械加工する方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景技術】
本発明は、機械加工前の歯付き被加工物、特にギヤを機械加工する方法および装置に関する。
【0002】
機械加工前の歯の付いた被加工物は、あらゆる技術分野で利用されている。多くの場合、ギヤの歯は、機械加工前の状態で熱処理にかけられ、その後例えば研磨によって機械加工を完了する。但し、機械加工前のギヤを自動化された機械加工にかける場合は、研磨砥石、研磨ウォーム等の仕上げ工具が衝突することなく入り込めるように、歯と歯の間の隙間を発見するのが難題である。現在使われている、被加工物を留めるスピンドルが一本しかない装置の場合、この問題は、例えば誘導センサでギヤの歯の外径をスキャンする等の公知の方法で解決している。このいわゆる心出し(センタリング)操作の間、被加工物用スピンドルは、すべての、あるいは少なくとも数個の歯のフランク(左右両フランク)の実際の位置を測定するため、通常加工時より少ない回転数で回転する。続いての評価工程では、種々の測定時の偏りやギヤ硬化時の歪みをならすため、実際のフランク位置の平均値を求める。こうして求めた位置は、歯と歯の隙間の真中に仕上げ工具を挿入するための制御の目標値として特定する。そしてこの後、実際の機械加工を開始することができる。
【0003】
連続研磨加工をする装置の場合、被加工物用スピンドルは、加工を始めるに当たって、研磨ウォームを被加工物の歯と歯の間に挿入する前に、まず加工速度まで加速し、研磨スピンドルの角速度に同期しなければならない。
【0004】
これらの工程のすべて、すなわち被加工物を交換する工程と、歯のフランク位置を測定する工程と、その平均値を算出する工程と、被加工物を制御位置まで回転させて運ぶ工程と、そして加工速度まで加速する工程にかかる時間は、直接に生産にかかる時間ではないため、研磨加工物をコスト高なものにしている。
【0005】
ギヤの研磨を連続工程で行うためには、多数のNC(数値制御)軸をもつ研磨装置が必要である。研磨ウォームを修正する場合、従来の修正装置にあっては、多数の修正用のNC軸を追加する必要があった。従って、軸の数を減らすことができれば、製造コストを減らすことができ、研磨加工物に上乗せされる償却費も減らすことができる。
【0006】
【発明の概要】
本発明の目的は、機械加工前の歯の付いた被加工物を精密加工する際のコストを減らすことである。
【0007】
上記の目的は、一態様において装置台を備えた仕上げ加工装置上で、機械加工前の歯の付いた被加工物を機械加工する本発明によって達成される。本発明においては、仕上げ工具を留める仕上げ工具用のスピンドルは、第1のスライドに取り付けられ、この第1のスライドは装置台上で移動することができる。被加工物を運ぶキャリヤは、装置台上で移動可能に配置され、少なくとも2つの位置まで移動することができる。キャリヤ上には、少なくとも2本の被加工物用スピンドルが回転可能に取り付けられ、それぞれが1個のモータで駆動される。また、少なくとも1本のセンタリングプローブが設置される。仕上げ工具が被加工物の歯の間に入り込む際不要な衝突をさせないために行う被加工物用スピンドルの操作(センタリング操作)は、被加工物用スピンドルの1本に新しく留められた機械加工前の被加工物について、この機械加工前の被加工物に仕上げ工具が入り込む位置にキャリヤが到達する前に行われる。
【0008】
本発明のもう一つの態様においては、上述の目的は、機械加工前の歯の付いた被加工物を機械加工する装置によって達成される。本発明の装置は装置台を備え、この装置台上には、仕上げ工具を留める仕上げ工具用スピンドルが第1の軸の回りに回転可能に支持され、第1のモータで駆動される。また、装置台上には第2のモータで少なくとも二つの位置まで移動するキャリヤも設置される。そして、被加工物を留める少なくとも2本の被加工物用スピンドルは、キャリア上に回転可能に支持される。各被加工物用スピンドルは、第3のモータで駆動され、またそれぞれロータリエンコーダに接続される。そして、少なくとも1個のセンタリングプローブが、被加工物が仕上げ工具に入りこむことができるキャリヤの位置以外にある、一つの被加工物の歯のフランクの位置を測定するために、設置される。
【0009】
本発明の他の態様は、以下の記述により明らかとなろう。
【0010】
装置台1上では、研磨ウォーム4を運ぶ研磨ヘッド3を備えた研磨スライド2がスライド可能に案内される。研磨ウォーム4は、回転プレート7上に回転可能に支持された被加工物用スピンドル6aに留められた被加工物5を機械加工する。他方、機械加工を終えた被加工物8aを未加工の新たな被加工物8bと交換するのに用いられる第2の被加工物用スピンドル6bは、回転プレート7上に配置される。被加工物8aと8bの交換は、被加工物5の機械加工中に、装填器10を使って行われる。本発明によれば、センタリングも時間の無駄なく行うことができる。センタリングは、被加工物用スピンドル6a,6bのどちらが研磨位置あるいは装填位置にあるかによって、回転プレート7上に配置されたセンサ9aまたは9bを使って行われる。このセンタリングは、装填工程が完了し、未加工の新しい被加工物8bが加工用スピンドル6bに留められるや否や直ちに開始される。今日では加工に要する時間は短くなっているが、本発明よれば、センタリングが被加工物の研磨工程もしくは回転プレート7の回転中に完全に並行して行われるため、加工時間がセンタリングのために犠牲にならないことを意味する。
【0011】
本発明においては、直接の加工に関係しない時間は、回転プレート7が回転状態にあるときに、両被加工物用スピンドル6a,6bに付加的な回転を与えることによっても短縮される。この回転は、回転プレート7の回転とは反対方向のものであるが、被加工物5が衝突することなく研磨ウォーム4と噛み合い、また噛み合い状態から外れるときには回転プレート7の動きと同期するように動く。このようにして、ひとつの被加工物を研磨した後次の新しい被加工物の研磨を開始する前に後退と前進を行わねばならない研磨スライド2は、未加工の新しい被加工物8bを研磨する際に削られる材料の量に相当する小幅な移行をするだけでよくなる。なお被加工物用スピンドルの回転に付加的に回転を加える代わりに、一定の速度で回転する研磨用スピンドルに付加的な回転を加えてもよい。
【0012】
図2から分るように、研磨スライド2は横送り台である。第1のスライド15は、装置台1の上で、研磨スピンドル17の軸16と直角の方向xに変位することができ、行程センサ19の付いたサーボモータ18によって移動させられる。第1のスライド15上には、キャリア20が回動可能に取付けられ、このキャリヤ20は、研磨スピンドルの軸16と直交する軸22の回りでスピンドル21によって回動する。スピンドル21は、傾き角を設定したりあるいは図示のようなロータリエンコーダ24を備えたサーボモータ23の設定をする手動の設定装置を備えることもできる。キャリヤ20上では、第2のスライド25が軸16と平行方向に変位することができる。研磨ウォーム4のこのy方向の動きは、移行(シフティング)に用いられる。第2のスライド25は、ロータリエンコーダ27を備えた付加サーボモータ26によって駆動される。第2のスライド25上には、研磨スピンドル17が、回転可能に取付けられ、ロータリエンコーダ30を備えたサーボモータ29によって駆動される。
【0013】
2つのスピンドル6aと6bは、ロータリエンコーダ32aと32bをそれぞれ備えたサーボモータ31aと31bによって駆動され、それぞれスピンドル軸33a,33bの回りで回転する。回転プレート7は、装置台1上において軸33a,33bと平行な軸34の回りに回転可能に支持されたシャフト35に固定される。シャフト35は、サーボモータ36によって駆動され、またロータリエンコーダ37に接続されている。
【0014】
すべてのサーボモータ、ロータリエンコーダおよび行程センサは、制御装置38に接続される。
【0015】
被加工物5と仕上げ工具4の間で被加工物5の軸方向(z方向)に、ギヤの歯幅にわたって機械加工を行うのに必要な相対運動を行うため、両被加工物用スピンドル6a,6bは、スライド41a,41bにそれぞれ回転可能に支持されるとともに、それぞれ回転プレート7上でz方向にスライド可能に支持される。スライドガイドは、スライド41a,41bの下方への動きを制限する下方ストッパ42を備える。各スライド41a,41b上では、ロール43が水平軸の回りで回転することができる。研磨位置にあるスライド41aの場合は、もう一つのスライド44が、装置台1上に、軸33a,33bおよび34に対して傾いた方向に変位可能に取り付けられる。スライド44は、ロータリエンコーダ46を備えたサーボモータ45によって駆動される。軸33a,33bと直角に水平面上で回転する回転面47を含む。モータ45によってスライド44が前方に駆動されると、ロール43は回転面47上を移動して、スライド41aがストッパ42からもちあがり、z方向にシフトする。回転プレート7の回転運動は、スライド44が出発位置(ロール43が回転面47から離れる)まで引き込まれない限りは止められている。
【0016】
各z−スライド41a,41bは第1および第2のスライド15,25から分離されているため容易に形成でき、またより剛性でかつ体積の少ないものにすることができる。よって、製造コストと製造に必要なスペースを減らすことができる。また、z−スライド41a,41bを駆動するのに、駆動装置は1個ですむため、これによってもコストを減らすことができる。
【0017】
回転プレート7上には、さらに修正装置54が取り付けられる。この修正装置54は、修正ディスク57が取り付けられた出力シャフト56を備えたモータ55を含む。修正ディスク57は、例えばデンマーク国特許DE−A−196 24 842に従って形成される。修正装置54はまた、シャフト56の軸と直交する軸58の回りで回転する図示していないモータによって回動することができる。したがって、回転プレート7は3つの位置に向けて動くことができる。即ち、図示のようにギヤ5が研磨ウォーム4に入り込む第1の位置、次に第1の位置から180°回転され、ギヤ8が研磨ウォーム4に入り込む第2の位置、そして第2の位置から90°回転され、修正装置54によって研磨ウォーム4を修正するための第3の位置である。
【0018】
従来の修正工程と比較すると、本発明においては、修正が、歯付きギヤ5が研磨ウォームに入り込むその同じ位置で行われ、また、研磨ウォーム4の回転によって生ずる偏りが自動的に補償されるため、より精度の高い修正が行われる。修正は、研磨のために必ず必要なNCスライド軸x、y、zによって、希望ならば、軸58の回りにおける修正装置54の付加的な回動運動によって、行うことができる。
【0019】
図示の態様からは離れるが、被加工物用スピンドル6aと6bのキャリヤ7は、軸34の回りで回転する代わりに2つないし3つの位置に直線的にスライドするようにすることもできる。しかし、この場合は装填器10が2台必要になる。
【0020】
また状況が許す場合は、ギヤ8のセンタリングを、回転プレート7がギヤ8の位置で静止している間に独立して、即ちギヤ5の研磨工程の最中に行うこともできる。この場合は、ただ1個のセンタリングプローブ9を用いるが、このプローブ9は装置台1にしっかりと固定する。
【0021】
最後に、本発明の工程は、シリンダ状の研磨ウォーム4以外の他の研磨工具、例えば研磨ディスクを用いても行うことができる。この場合、ギヤ5は、研磨しながら徐々に厚さ方向にずらしていくか、あるいはギヤの厚さ方向全体にわたって同じように研磨できるよう球状の研磨ウォームを用いる。さらに、本発明は、ギヤの他の精密加工操作(ホーニング加工やシェービング等、仕上げ工具が歯の付いた被加工物に入り込まねばならないもの)を行う場合にも応用できる。これらの場合、研磨ウォーム4はホーニングホイールやシェービングギヤに置き換える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歯付きギヤ研磨装置の模式的な平面図である。
【図2】 図1の研磨装置の模式的な側面図である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。

Claims (8)

  1. 装置台と、この装置台上で動く第1のスライドと、この第1のスライド上に取り付けられて仕上げ工具を留める仕上げ工具用スピンドルと、前記装置台上において少なくとも2つの位置に移動可能に設置されるキャリヤと、このキャリヤ上に回転可能に取り付けられる少なくとも2本の被加工物用スピンドルであって、それぞれが1個のモータで駆動される被加工物用スピンドルと、少なくとも1本のセンタリングプローブを備える仕上げ装置に配置された機械加工前の歯の付いた被加工物を機械加工する方法であって、
    前記仕上げ工具が被加工物の歯の隙間に衝突することなく入り込めるようにするために必要な前記被加工物用スピンドルの操作が、前記被加工物用スピンドルの一本に新しく留められた未加工の被加工物について、前記未加工の被加工物に前記仕上げ工具が入り込む位置にキャリヤが到達する前に行われる方法。
  2. 前記仕上げ工具が作動する領域に、前記被加工物を、衝突することなく、入れたり出したりする新しい動きが生起するように、前記キャリヤの移動の最中に、前記キャリヤの移動の動作に同期された前記仕上げ工具用スピンドルの回転と関連する前記被加工物用スピンドルの回転に、付加的な回転が加えられる請求項1記載の方法。
  3. 装置台と、この装置台に設けられ第1の軸の回りに回転可能で第1のモータによって駆動される仕上げ工具を留めるための仕上げ工具用スピンドルと、第2のモータによって動かされ少なくとも前記装置台上で2つの位置まで移動可能なキャリヤと、それぞれが1個の第3のモータを備え被加工物を留める少なくとも2本の被加工物用スピンドルであって、前記キャリヤ上でそれぞれが互いに距離をおいて設置され2本の第2の軸の回りで回転する被加工物用スピンドルを備える、機械加工前の歯の付いた被加工物を機械加工する装置であって、
    前記両被加工物用スピンドルはそれぞれが1個のロータリエンコーダに接続され、前記被加工物が前記仕上げ工具に入りこむことができる前記キャリヤの位置以外にある、一つの前記被加工物の歯のフランクの位置を測定する少なくとも1個のセンタリングプローブを備えた装置。
  4. 前記被加工物用スピンドルそれぞれにセンタリングプローブが与えられ、これらのセンタリングプローブは前記キャリヤに取り付けられる請求項3記載の装置。
  5. 前記キャリヤは第3の軸の回りに回転することができ、この第3の軸と前記第2の軸は互いに平行である請求項3記載の装置。
  6. 前記装置はさらに、前記仕上げ工具が入り込む位置にはない被加工物を留めた前記被加工物用スピンドルの一方について、機械加工を完了した被加工物と未加工の被加工物を交換する被加工物の自動交換器を具備する請求項3記載の装置。
  7. 前記仕上げ工具を修正する修正装置が、前記キャリヤにさらに取付けられ、また、前記キャリヤは、少なくとも3つの位置まで移動することができ、これらの位置の一つにおいて、修正装置が前記仕上げ工具を修正できる請求項3記載の装置。
  8. 前記被加工物用スピンドルはそれぞれ、前記キャリヤ上の第2の軸に対して平行に移動できる1個の第1のスライド上に回転可能に取り付けられ、前記第1のスライドはそれぞれ、この第1のスライドが作動位置にあるときに、前記装置台上で移動可能な第2のスライドと係り合うキャリヤ要素を含む請求項3記載の装置。
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