JP4470730B2 - 助手席用エアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、助手席前方のインストルメントパネルの上面側に配置されるトップマウントタイプの助手席用エアバッグ装置のエアバッグに関する。
従来、助手席用エアバッグでは、膨張完了時の前端付近となる位置に、膨張用ガスを流入させる1つのガス流入口を備えるとともに、膨張完了時における後部側となる位置に、助手席に着座した乗員と干渉可能とされる乗員保護部を備えた構成とされ、乗員保護部が、左右方向に沿って並設されるとともにガス流入口近傍で相互に連通される2つの膨張部から、構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。そして、従来の助手席用エアバッグでは、左右2つの膨張部は、膨張完了時に後端側を左右方向に沿って配設される連結パネルにより連結され、乗員は、連結パネルにより受け止められる構成であった。
特開2003−335203公報(図17〜図28)
しかし、従来の助手席用エアバッグでは、乗員を受け止める連結パネルが、エアバッグの展開膨張完了時、略平面状となることから、エアバッグの膨張完了時において連結パネルが乗員と干渉した際に、乗員に与える反力を抑えて、的確に保護する点に改善の余地があった。特に、乗員の頭部は、質量が小さく、干渉時の反力を抑えて保護する点に、一層、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張を完了させたエアバッグに乗員の頭部が干渉した際に、乗員に与える反力を抑えて、乗員の頭部を的確に保護することが可能な助手席用エアバッグを提供することを目的とする。
本発明に係る助手席用エアバッグは、車両の助手席前方におけるインストルメントパネルの上面側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、上方へ突出するとともに、インストルメントパネル上面とインストルメントパネル上方のウィンドシールドとの間を塞ぐように、車両の後方側へ展開膨張する構成とされて、
膨張完了時の前端側下面の左右方向の中央付近となる位置に、膨張用ガスを流入させるガス流入口を備えるとともに、膨張完了時における後部側となる位置に、助手席に着座した乗員と干渉可能とされる乗員保護部を備える構成の助手席用エアバッグにおいて、
助手席用エアバッグが、膨張完了時の形状を、前端側を頂部とした略四角錐形状とされて、上下両側で略左右方向に沿って配設される上側壁部及び下側壁部と、左右両側で略前後方向に沿って配設される左側壁部及び右側壁部と、乗員側で上側壁部と下側壁部とを連結するように略左右方向に沿って配設される後側壁部と、を備える構成とされ、下側壁部の前端側に、ガス流入口を配設させて構成され、
乗員保護部が、エアバッグの膨張完了時において、左右方向の中央に前方に凹む凹部を介在させて、左右方向側で並設される左右の肩拘束部を、備えた構成とされ、
肩拘束部が、乗員の左右の肩部と干渉可能に、それぞれ上下方向に延びるように、後方側に突出する構成とされ、
凹部が、エアバッグの膨張完了時において、後側壁部から上側壁部の領域にかけての左右方向の中央を、斜め前下方向となるガス流入口側に向かって凹ませるように、形成されて、
凹部の後面側が、
乗員の頭部を拘束可能に斜め上方向を向くように、車両搭載状態での膨張完了時のエアバッグにおけるガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面で、かつ、上下両端側を除く大部分の部位の接線方向を、上端側を前方に位置させて下端側を後方に位置させるように傾斜して配設されるとともに、
車両搭載状態での膨張完了時のエアバッグにおけるガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面において、下端側の部位を、膨張完了時の側方側から見たエアバッグの外形線から分岐させるように構成され、その分岐点を、膨張完了時のエアバッグにおけるインストルメントパネルから突出している部位の下端よりも上方であって、かつ、乗員側となる位置に、配設させるように、
構成されて
乗員保護部における分岐点より下方の領域が、後面を、肩拘束部の後面と略面一とするように、構成されるとともに、乗員の腹部を拘束する腹部拘束部を構成していることを特徴とする。
本発明の助手席用エアバッグでは、膨張完了時のエアバッグに乗員が干渉する際に、まず、前方移動してくる乗員の左右の肩部が、後方側に突出するように配設されている左右の肩拘束部と干渉することとなって、乗員の前進移動する運動エネルギーが低減され、その後、両肩を肩拘束部により拘束された乗員の頭部が、肩拘束部間の上部から後部にかけて配設される凹部内に侵入しつつ、前方側への移動を抑えるように、拘束されることとなる。また、乗員の頭部が、凹部後面と干渉することとなっても、本発明の助手席用エアバッグでは、凹部の後面側が、接線方向を、上端側を前方に位置させて下端側を後方に位置させるように傾斜して配設されるように、構成されていることから、上半身を前傾させつつ前進移動してくる乗員の頭部を、傾斜状態を維持したまま、前傾している乗員の上半身と略平行として、乗員の頭部に対して凹凸を少なくした状態の凹部の後面で、ソフトに受け止めることができる。そのため、本発明の助手席用エアバッグでは、肩拘束部によって運動エネルギーが抑えられた状態で、乗員の頭部を、エアバッグからの反力を抑えて、ソフトに受け止めることができる。
従って、本発明の助手席用エアバッグでは、膨張を完了させたエアバッグに乗員の頭部が干渉した際に、反力を抑えて、乗員の頭部を的確に保護することができる。
また、本発明の助手席用エアバッグでは、凹部の後面が、上下両端側を除いた大部分の部位において、上端側を前方に位置させ、下端側を後方に位置させる傾斜面として、構成されていることから、着座した乗員の頭部の高さ位置が変わっても、この頭部を、凹部後面における傾斜した部位により、受け止めることができる。そのため、本発明の助手席用エアバッグでは、着座した乗員の体格差に拘わらず、乗員の頭部をソフトに保護することができる。
さらに、本発明の助手席用エアバッグでは、凹部の後面側を、車両搭載状態での膨張完了時のエアバッグにおけるガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面において、下端側の部位を、膨張完了時の側方側から見たエアバッグの外形線から分岐させるように構成して、その分岐点を、膨張完了時のエアバッグにおけるインストルメントパネルから突出している部位の下端よりも上方であって、かつ、乗員側となる位置に、配設させるように、構成していることから、エアバッグの膨張完了時において、インストルメントパネルと乗員腹部との間に配設される下端側の部位を、厚く膨張させることが可能となり、この部位により、乗員の腹部を安定して保護することができる
さらにまた、上記構成の助手席用エアバッグにおいて、凹部の後面側を、
車両搭載状態での膨張完了時の前記エアバッグにおける前記ガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面において、上端側の部位を、膨張完了時の側方側から見たエアバッグの外形線から分岐させるように構成され、その分岐点を、膨張完了時のエアバッグの上端よりも下方であって、かつ、ウィンドシールド側となる位置に、配設させるように、
構成することが好ましい。
助手席用エアバッグを上記構成とすれば、エアバッグの膨張完了時において、凹部が、上端側の部位における後面側を、車両前方側に大きく凹ませるように、配設されることとなる。すなわち、上記構成の助手席用エアバッグでは、下端側から上端側に向かうにつれて、肩拘束部の後面と凹部後面との距離が大きく設定されることとなる。そのため、上記構成の助手席用エアバッグでは、小柄な乗員が着座している場合、小柄な乗員の頭部は、肩拘束部後面と凹部後面との距離が小さく設定される部位で、保護されることとなるが、小柄な乗員は、衝突時に、肩部より頭部が前方へ移動する距離が小さいことから、肩拘束部後面と凹部後面との距離が小さくとも、頭部が、肩部より先にエアバッグと干渉することが抑えられて、肩拘束部により肩部が拘束された後、頭部が凹部後面に拘束されることとなり、首部への負担を抑えて、頭部をソフトに保護することができる。これに対し、大柄な乗員が着座している場合、大柄な乗員は、衝突時に、肩部より頭部が前方へ移動する距離が、小柄な乗員と比較して、大きくなるものの、本発明の助手席用エアバッグでは、大柄な乗員の頭部は、小柄な乗員の頭部が拘束される部位よりも上方側であって、肩拘束部後面と凹部後面との距離が大きく設定される部位で、保護されることとなるため、頭部が、肩部より先にエアバッグと干渉することが抑えられて、小柄な乗員の場合と同様に、肩拘束部により肩部が拘束された後、頭部が凹部後面に拘束されることとなり、首部への負担を抑えて、頭部をソフトに保護することができる。そのため、本発明の助手席用エアバッグでは、着座した乗員の体格に応じて、頭部を、ソフトに保護することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の助手席用エアバッグ15は、図1に示すように、インストルメントパネル(以下「インパネ」と称する)1の上面2側の内部に配置されるトップマウントタイプの助手席用エアバッグ装置Mに使用されるものである。この助手席用エアバッグ装置Mは、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持するケース6と、エアバッグ15をケース6に取り付けるためのリテーナ11と、折り畳まれたエアバッグ15を覆うエアバッグカバー10と、を備えて構成されている。
なお、本明細書での上下、前後、及び、左右の方向は、車両の直進状態における車両の上下、前後、及び、左右の方向に一致するものである。
エアバッグカバー10は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後2枚の扉部10a・10bをエアバッグ15に押されて開くように構成されている。また、エアバッグカバー10の扉部10a・10bの周囲には、ケース6に連結される連結壁部10cが、形成されている。
インフレーター8は、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース6に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えて構成されている。
ケース6は、上端側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形板状の底壁部6aと、底壁部6aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー10の連結壁部10cを係止する周壁部6bと、を備えて構成されている。ケース6には、底壁部6aの部位に、車両のボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
なお、エアバッグ15とインフレーター8とは、エアバッグ15内に配設される円環状のリテーナ11の複数のボルト11aが、エアバッグ15、インフレーター8のフランジ部8c、及び、ケース底壁部6a、を貫通して、ナット12止めされることにより、ケース6に取り付けられている。
エアバッグ15は、エアバッグ本体16と、エアバッグ本体16内に配設される整流布31と、から構成されている。エアバッグ本体16は、図2〜5に示すように、単体で膨張させた際の膨張完了時の形状を、前端側を頂部とした略四角錐形状とされて、上下両側で略左右方向に沿って配設される上側・下側壁部16a・16bと、左右両側で略前後方向に沿って配設される左側・右側壁部16c・16dと、乗員側で上側壁部16aと下側壁部16bとを連結するように略左右方向に沿って配設される後側壁部16eと、を備えて構成されている。そして、実施形態のエアバッグ本体16は、膨張完了時に乗員側となる後部側に配設される乗員保護部25と、膨張完了時に乗員保護部25の前方側であってインパネ1とウィンドシールド4との間に配設される前端側を閉塞された略筒形状の車体側部17と、を備えて構成されており、膨張完了時のエアバッグ本体16における下側壁部16bの前端側となる車体側部17の左右方向の中央付近となる部位に、膨張用ガスを流入させるように円形に開口されて、周縁18をケース6に取り付けられるガス流入口19を、配設させて構成されている。ガス流入口19の周縁18には、リテーナ11のボルト11aを挿通させて、流入口周縁18をケース6の底壁部6aに取り付けるための複数の取付孔20が、形成されている。また、エアバッグ本体16における左側・右側壁部16c・16dには、余剰の膨張用ガスを排気するベントホール23が、それぞれ、配設されている。
乗員保護部25は、間に凹部27を介在させて、左右両側に並設されて上下方向に延びるように後方側へ突出する左右の肩拘束部26L・26Rを、備えた構成とされている。肩拘束部26L・26Rは、膨張完了時において、後面26dを略上下方向に沿わせるように配設されるもので、乗員MPの左右の肩部MSと干渉可能な構成とされている。凹部27は、膨張完了時のエアバッグ本体16における左右方向の中央付近に配設されるもので、ガス流入口18側となる斜め前下方向に凹むように、配設されている。すなわち、凹部27の後面28側は、エアバッグ15の膨張完了時において、乗員MPの頭部MHを拘束可能に、斜め上方向を向くように、配設されることとなる。そして、実施形態の場合、左右の肩拘束部26L・26Rの隆起した状態と、凹部27の凹んだ状態と、は、エアバッグ本体16の後側壁部16eから上側壁部16aの領域内となる前方側に延びるように、形成されている。
また、具体的には、凹部27の後面28は、車両搭載状態でのエアバッグ15の膨張完了時における左右方向の中央を通る前後方向に沿った断面(ガス流入口18の中央を通る前後方向に沿った断面)において、上下両端側を除く大部分の部位の接線Pの方向を、上端Pa側を前方に位置させて下端Pb側を後方に位置させるように、傾斜して配設されている。実施形態の場合、図示された接線Pは、凹部後面28における上下方向の略中央の部位の接線であり、水平方向に対する傾斜角度θを、略60゜に設定されている(図9参照)。そして、実施形態のエアバッグ15では、凹部後面28が、接線Pと、接線Pと平行に配設されるとともに膨張完了時のエアバッグ本体16の上部後端部位と接する接線P´と、の距離L(図9参照)を、100mm以上(望ましくは100〜200mm)に設定されるような構成とすることが好ましい。この距離Lが100mm未満では、エアバッグ15の膨張完了時における肩拘束部26L・26Rの後面26dと、凹部27の後面28と、の実質的な距離が小さく、肩拘束部26L・26Rにより肩部MSを拘束した後に凹部後面28により頭部MHを拘束する態様を得がたく、乗員MPの頭部MHの拘束時に、頭部MHをソフトに拘束できない場合があるためである。実施形態の場合、接線Pと接線P´との間の距離Lは、150mmに設定されている。
さらに、実施形態のエアバッグ15では、車両搭載状態での膨張完了時におけるガス流入口18の中央を通る前後方向に沿った断面において、凹部27の後面28が、上端側及び下端側を、それぞれ、エアバッグ本体16の外形線16fから分岐させるように、構成されている。そして、実施形態では、凹部後面28における上端側の分岐点28aは、乗員保護部25の上端25aよりも下方であって、かつ、ウィンドシールド4側となる位置に、配設されており、下端側の分岐点28bは、乗員保護部25の下端25bよりも上方であって、かつ、乗員MP側となる位置に、配設されている。
すなわち、実施形態のエアバッグ15では、凹部27は、乗員保護部25における下端25b側を除いた部位に配設されることとなり、乗員保護部25における下端25b側となる分岐点28bの下方の領域の部位は、後面25cを、肩拘束部26L・26Rの後面26dと略面一とするように、構成されている。そして、実施形態のエアバッグ15では、この乗員保護部25における下端25b側の部位が、乗員MPの腹部MBを拘束する腹部拘束部29を構成することとなる。なお、エアバッグ15は、車両搭載状態においては、上面側をウィンドシールド4に押えられるようにして膨張することから、図4・9に示すごとく、エアバッグ15を単体で膨張させた場合には、凹部後面28の上端側の分岐点28aは、車両搭載状態よりも、前方側に配設されることとなる。
整流布31は、図4・5に示すように、エアバッグ本体16内において、ガス流入口19の上方側を覆うように配設されるとともに、ガス流入口19から流入した膨張用ガスGを前後両側へ整流可能に、前後方向の両端を開口させた略筒形状とされている。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、ガス流入口19から流入した膨張用ガスGは、整流布31の前後の開口32A・32Bから、エアバッグ本体16内に流入することとなる。また、整流布31は、図1・8〜10に示すように、エアバッグ15の展開膨張時において、前後両端の開口32A・32Bの上部側を、インパネ1の上面2よりも上方に突出させるように、配設されている。実施形態の場合、整流布31は、ガス流入口19の前後左右の寸法より大きな形状として、かつ、エアバッグ本体16の展開膨張時に、ガス流入口19の中央付近と対向する前後方向の断面形状を、ガス流入口19から離れる上方へ膨らむ円弧状の曲線状としている。また、整流布31には、前後両端の開口32A・32Bの開口面積より小さく開口して、ガス流入口19から流入した膨張用ガスを逃がし可能な貫通孔33が、形成されている。実施形態の場合、貫通孔33は、ガス流入口19の中心を基準として左右対称となる2箇所に、円形に開口して、形成されている(図4・5参照)。この貫通孔33は、ガス流入口19から流入した膨張用ガスのうち少量を逃がすことにより、エアバッグ15の展開膨張時において、整流布31の前後の開口32A・32Bの方向を安定させて、エアバッグ本体16内への膨張用ガスGの流出方向を安定させるために、配設されている。
実施形態の場合、整流布31は、図6に示す整流布素材53から、構成されている。この整流布素材53は、略長方形状の連結部54と、連結部54の左右両側から延びる延設部55・55と、から構成されている。連結部54は、周縁をエアバッグ本体16を構成する後述する第1基布40の下側部位41に縫着されるとともに、ガス流入口19に対応した開口54aと、取付孔20に対応した開口54bと、を備える構成である。延設部55・55は、連結部54から離れた側の縁部55a・55a相互を縫着させる構成である。延設部55の部位には、開口54aの左右両側であって、開口54aの中心を基準とした左右対称となる位置に、貫通孔33・33が、それぞれ、形成されている。
また、エアバッグ本体16は、複数の基布の周縁相互を結合させて構成されるもので、左側・右側壁部16c・16d及び下側壁部16bの前部側部位を構成する外側パネル部37と、上側・後側壁部16a・16e及び下側部位16bの後部側部位を構成する内側パネル部38と、から構成されている。実施形態の場合、エアバッグ本体16は、外側パネル部37を構成する1枚の第1基布40と、内側パネル部38を構成する同一形状の左右一対の第2基布45L・45Rと、から構成されている。
第1基布40は、開いた蝶の形状に近似した左右対称形として、車体側部17におけるガス流入口19の周縁18を構成する略長方形状の下側部位41と、下側部位41から左右両側に延びるように配設される略三角板形状の左側・右側部位42・43と、を備える構成とされている。下側部位41は、膨張を完了させたエアバッグ本体16の下側壁部16bにおけるガス流入口19近傍となる前部側部位を、構成することとなる。左側・右側部位42・43は、膨張を完了させたエアバッグ本体16の左側・右側壁部16c・16dを、主に構成することとなる。また、各左側・右側部位42・43における外周縁42a・43a近傍となる部位は、それぞれ、エアバッグ本体16の上側・下側・後側壁部16a・16b・16eの左右両端側の部位(後述する縫合部位35L・35Rの左右両端側の部位)を、構成することとなり、外周縁42a・43a近傍部位における後上側部位42c・43cが、それぞれ、肩拘束部26L・26Rにおける突出頂部26aより左右方向の端部側に配設される外側壁部26bを、構成することとなる。実施形態の場合、左側・右側部位42・43は、ガス流入口19の中心を通る線を中心線として略線対称形に、形成されている。
各第2基布45L・45Rは、図2・3・5に示すごとく、膨張完了時における内側パネル部38の領域を左右方向に沿って2分割するように構成されるもので、実施形態の場合、各第2基布45L・45Rは、膨張完了時のエアバッグ本体16において、上側・後側壁部16a・16eと、下側壁部16bの後部側の部位と、を構成することとなる。実施形態の場合、各第2基布45L・45Rは、略C字形状に湾曲した帯状とされており、後上側部位45b近傍の部位を幅広とするように、構成されている。そして、各第2基布45L・45Rの後上側部位45bが、それぞれ、肩拘束部26L・26Rにおける突出頂部26aより左右方向の中央側に配設される内側壁部26cを、構成することとなる。そして、各第2基布45L・45Rにおいて、後上側部45bの前方に配設される前上側部45aが、上側壁部16aを構成し、後上側部45bの下方に配設される後下側部45dが、後側壁部16eの下部側部位(乗員保護部25の下端側部位、すなわち、腹部拘束部29)を構成し、後下側部45dの前方に配設される前下側部45cが、下側壁部16bの後部側の部位を構成することとなる。
実施形態の場合、各第2基布45L・45Rは、外側縁部45h側の形状を、それぞれ、第1基布40における左側・右側部位42・43の周縁部42a・43aにおける元部側縁部42b・43bを除いた部位の形状と略同一とするように、形成されている。そして、各第2基布45L・45Rの内周側に形成される内側縁部45eが、凹部27のエアバッグ本体16内へ凹んだ先端27aを構成することとなる。
乗員保護部25における肩拘束部26L・26R及び凹部27は、第1基布40の左側・右側部位42・43と、第2基布45L・45Rと、の周縁相互を、それぞれ縫合させることにより、構成されている。実施形態の場合、第1基布40における左側部位42の周縁部42aと第2基布45Lの外側縁部45hとを縫着させて構成される縫合部位35Lと、右側部位43の周縁部43aと第2基布45Rの外側縁部45hとを縫着させて構成される縫合部位35Rと、が、各肩拘束部26L・26Rの突出頂部26aを構成することとなる。そして、各第2基布45L・45Rの内側縁部45e・45e相互を縫着させて構成される縫合部位36が、凹部27の先端27aを構成することとなる。なお、実施形態のエアバッグ15では、縫合部位36は、エアバッグ本体16の膨張完了時において、乗員側部位25の下端25b付近(腹部拘束部29)の部位からガス流入口19近傍の部位にかけては、エアバッグ本体16の外形線16fと略一致するように、配設されることとなる。
また、エアバッグ本体16には、ガス流入口周縁18を補強する補強布48・49・49と、縫合部位36の部分を補強する補強布50L・50Rと、ガス流入口周縁18を保護する保護布51と、が、配設されている。補強布48は、第1基布40における下側部位41の内周側を略全面にわたって覆い可能な形状とされており、左右両側に突出するように形成される突出部48a・48aの先端48b・48bを、縫合部位35L・35Rの近傍に縫着させる構成とされている。補強布49・49は、ガス流入口19の周縁18を補強可能な略円形状とされている。なお、実施形態のエアバッグ15では、補強布49が2枚配設される構成であるが、補強布49の枚数は、インフレーター8の出力に応じて、適宜変更可能である。補強布50L・50Rは、縫合部位36を補強可能なように、各第2基布45L・45Rの内側縁部45eに対応して略C字形状に湾曲した形状とされており、各第2基布45L・45Rの内側縁部45eを略全域にわたって覆い可能とされている。保護布51は、ガス流入口19の前後両側に延びるような略長方形状とされて、インフレーター8から吐出される膨張用ガスGが、ガス流入口19近傍に配設される縫合部位57・58や、第1基布40の下側部位41と第2基布45L・45Rとの縫着部位等に、直接当たるのを防止するために、エアバッグ本体16の内周側に配設されている。保護布51は、左右方向の縁部側を、複数箇所で、縫合部位35L・35Rの近傍に縫着させる構成とされている。実施形態の場合、保護布51は、前後両端51a・51b側と、ガス流入口19と前端51aとの間の部位51cと、の6箇所で、縫合部位35L・35Rの近傍に縫着されている。
なお、第1・第2基布40・45L・45R、補強布48・49・50L・50R、保護布51、及び、整流布素材53は、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されて、シリコン等のコーティング剤を塗布しないノンコート布として、構成されている。
次に、実施形態のエアバッグ15の製造について説明する。まず、平らに展開した状態の第1基布40に、補強布48、整流布素材53、及び、補強布49・49を、順に重ね、ガス流入口19の周縁18となる取付孔20の外周側となる位置と、整流布素材53における連結部54周縁となる位置と、において、それぞれ、縫合糸を利用して、第1基布40に、補強布48・49・49・整流布素材53を縫着させ、縫合部位57・58を形成する。次いで、補強布49の上に、保護布51を重ね、ガス流入口19と取付孔20との間の部位を、略円形に縫合して、縫合部位56を形成する。その後、孔明け加工により、ガス流入口19及び取付孔20を形成する。次いで、整流布素材53における延設部55・55の縁部55a・55a相互を、縫合糸を利用して円弧状に縫合し、整流布31を所定形状に形成する。なお、実施形態では、第1基布40に補強布48・49・49・保護布51・整流布素材53を縫着させた後、孔明け加工により、ガス流入口19と取付孔20とを形成しているが、勿論、各補強布48・49・49・保護布51・整流布素材53に、ガス流入口と取付孔とを構成する開口を、それぞれ、予め形成しておいてもよい。
次いで、第2基布45L・45Rを相互に重ね、さらに、補強布50L・50Rで、第2基布45L・45Rの内側縁部45e・45eの部位を挟むように、補強布50L・50Rを、第2基布45L・45Rに重ね、内側縁部45e・45sを、補強布50L・50Rとともに、縫合して、縫合部位36を形成する。次いで、第2基布45L・45Rを、内側縁部45eの縫い代が露出しないように反転させつつ、上側縁部45f・45fを略直線状に配置させるように開き、直線状に配置させた各第2基布45L・45Rの上側縁部45fを、第1基布40における下側部位41の前側縁部41aと、補強布48の前側縁部48cと、に、縫着させる。同様に、直線状に配置させた各第2基布45L・45Rの下側縁部45gを、第1基布40における下側部位41の後側縁部41bと、補強布48の後側縁部48dと、に、縫着させる。そして、下側部位41における前後の左側縁部41cを、左側部位42の周縁部42aにおける元部側縁部42bに縫着させ、右側縁部41dを、右側部位43の周縁部43aにおける元部側縁部43bに縫着させる。その後、左側部位42の周縁部42aと第2基布45Lの外側縁部45hとを縫着させて縫合部位35Lを形成し、右側部位43の周縁部43aと第2基布45Rの外側縁部45hとを縫着させて縫合部位35Rを形成する。次いで、補強布48の先端48b・48bと、保護布51における左右両縁側の部位の一部(51a・51b・51cの部位)と、を、縫合部位35L・35Rの近傍部位に、それぞれ、縫着させ、縁部の縫い代を外部に露出させないように、ガス流入口19を利用して反転させれば、エアバッグ15を製造することができる。なお、ガス流入口19を利用して反転させる作業が困難な場合には、整流布素材53の各延設部55・55の縁部55a・55a相互を縫合する作業を、エアバッグ本体16を反転させた後に、延設部55・55をガス流入口19から引き出して、行なうようにしてもよい。
そして、実施形態のエアバッグ15では、内側パネル部38を構成する第2基布45L・45Rが略同一形状の左右一対とされるとともに、第2基布45L・45Rが、外側縁部45hを、それぞれ、外側パネル部37を構成する第1基布40の左側・右側部位42・43の周縁部42a・43aに沿わせるように、周縁部42a・43aにおける元部側縁部42b・43bを除いた部位の形状と略同一として、形成されている。そのため、エアバッグ15の縫合作業時に、基布40・45L・45R相互を重ねるように配置させれば、縫着させる縁部相互の位置を一致させることができて、縫合作業が容易となる。
上記のようにして製造したエアバッグ15の車両への搭載を説明すると、まず、各取付孔20からボルト11aを突出させるように、内部にリテーナ11を配設させた状態で、エアバッグ15を折り畳み、さらに、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ15の周囲を、破断可能なラッピングシート14(図1参照)によりくるむ。そして、各ボルト11aをケース底壁部6aに挿通させつつ、折り畳んだエアバッグ15を、ケース6の底壁部6aに載置させる。次いで、インフレーター8の本体部8aを、底壁部6aの下方から、ケース6内に挿入させるとともに、底壁部6aから下方に突出している各ボルト11aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させる。その後、インフレーター8のフランジ部8cから突出した各ボルト11aにナット12を締結させれば、ケース6の底壁部6aに対して、折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8とを取り付けることができる。
そして、車両に搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー10の連結壁部10cに、ケース6の周壁部6bを係止させ、ケース6の図示しない所定のブラケットを、ボディ側の部位に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両に搭載することができる。
エアバッグ装置Mの車両への搭載後、車両の前面衝突時、インフレーター8の各ガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ本体16が、膨張してラッピングシート14を破断するとともに、エアバッグカバー10の扉部10a・10bを図1の二点鎖線に示すように押して開かせることとなる。そして、エアバッグ本体16は、エアバッグカバー10の扉部10a・10bが開いて形成された開口から、上方へ突出するとともに、インパネ上面2とインパネ1の上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように、車両の後方側へ展開膨張して、図1の二点鎖線、及び、図7〜9に示すごとく、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の助手席用エアバッグ15では、膨張完了時のエアバッグ本体16に乗員MPが干渉する際に、まず、図8に示すごとく、前方移動してくる乗員MPの左右の肩部MSが、後方側に突出するように配設されている左右の肩拘束部26L・26Rと干渉することとなって、乗員MPの前進移動する運動エネルギーが低減され、その後、両肩MSを肩拘束部26L・26Rにより拘束された乗員MPの頭部MHが、肩拘束部26L・26R間の上部から後部にかけて配設される凹部27内に侵入しつつ、前方側への移動を抑えるように、拘束されることとなる(図8・9参照)。また、乗員MPの頭部MHが、凹部後面28と干渉することとなっても、実施形態の助手席用エアバッグ本体16では、凹部26の後面28側が、接線方向を、上端側を前方に位置させて下端側を後方に位置させるように傾斜して配設されるように、構成されていることから、上半身を前傾させつつ前進移動してくる乗員MPの頭部MHを、傾斜状態を維持したまま、前傾している乗員MPの上半身と略平行として、乗員MPの頭MH部に対して凹凸を少なくした状態の凹部27の後面28で、ソフトに受け止めることができる。そのため、実施形態の助手席用エアバッグ15では、肩拘束部26L・26Rによって運動エネルギーが抑えられた状態で、乗員MPの頭部MHを、エアバッグ15からの反力を抑えて、ソフトに受け止めることができる。
従って、実施形態の助手席用エアバッグ15では、膨張を完了させたエアバッグ15に乗員MPの頭部MHが干渉した際に、反力を抑えて、乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。
また、実施形態の助手席用エアバッグ15では、凹部27の後面28が、上下両端側を除いた大部分の部位において、上端側を前方に位置させ、下端側を後方に位置させる傾斜面として、構成されていることから、着座した乗員MPの頭部MHの高さ位置が変わっても、この頭部MHを、凹部後面28における傾斜した部位により、受け止めることができる。すなわち、実施形態の助手席用エアバッグ15では、図10に示すごとく、小柄な乗員MP´が着座している場合にも、乗員MPの頭部MHと比較して下方に配設される頭部MH´を、大柄な乗員MPの頭部MHと同様に、凹部27における傾斜した後面28により、受け止めることができる。そのため、実施形態のエアバッグ15では、着座した乗員MP・MP´の体格差に拘わらず、乗員MP・MP´の頭部MH・MH´をソフトに保護することができる。
さらに、実施形態のエアバッグ15では、車両搭載時の膨張完了時において、ガス流入口19の中央を通る前後方向に沿った断面における凹部後面28の下端側のエアバッグ外形線16fからの分岐点28bを、膨張完了時のエアバッグ15における乗員保護部25の下端25bよりも上方であって、かつ、乗員MP側となる位置に、配設させていることから、エアバッグ15の膨張完了時において、インパネ1と乗員腹部MBとの間に配設される下端側の部位(腹部拘束部29)を、厚く膨張させることが可能となり、この腹部拘束部29により、乗員MPの腹部MBを安定して保護することができる。
さらにまた、実施形態のエアバッグ15では、車両搭載時の膨張完了時において、ガス流入口19の中央を通る前後方向に沿った断面における凹部後面28の上端側のエアバッグ外形線16fからの分岐点28aを、膨張完了時のエアバッグ15における乗員保護部25の上端25aよりも下方であって、かつ、ウィンドシールド4側となる位置に、配設させている構成である。そのため、エアバッグ15の膨張完了時において、凹部27が、上端側の部位における後面28側を、車両前方側に大きく凹ませるように、配設されることとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、下端側から上端側に向かうにつれて、肩拘束部26L・26Rの後面26dと凹部後面28との距離が大きく設定されることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ15では、図10に示すごとく、小柄な乗員MP´が着座している場合、小柄な乗員MP´の頭部MH´は、肩拘束部後面26dと凹部後面28との距離が小さく設定される部位で、保護されることとなるが、小柄な乗員MP´は、衝突時に、肩部MS´より頭部MH´が前方へ移動する距離が小さいことから、肩拘束部後面26dと凹部後面28との距離が小さくとも、頭部MH´が、肩部MS´より先にエアバッグ15と干渉することが抑えられて、肩拘束部26L・26Rにより肩部MS´が拘束された後、頭部MH´が凹部後面28に拘束されることとなり、首部への負担を抑えて、頭部MH´をソフトに保護することができる。これに対し、図9に示すごとく、大柄な乗員MPが着座している場合、大柄な乗員MPは、衝突時に、肩部MSより頭部MHが前方へ移動する距離が、小柄な乗員MP´と比較して、大きくなるものの、実施形態のエアバッグ15では、大柄な乗員MPの頭部MHは、小柄な乗員MP´の頭部MH´が拘束される部位よりも上方側であって、肩拘束部後面26dと凹部後面28との距離が大きく設定される部位で、保護されることとなるため、頭部MHが、肩部MSより先にエアバッグ15と干渉することが抑えられて、小柄な乗員MP´の場合と同様に、肩拘束部26L・26Rにより肩部MSが拘束された後、頭部MHが凹部後面28に拘束されることとなり、首部への負担を抑えて、頭部MHをソフトに保護することができる。そのため、実施形態のエアバッグ15では、着座した乗員MP・MP´の体格に応じて、頭部MH・MH´を、ソフトに保護することが可能となる。
さらにまた、実施形態のエアバッグ15では、凹部後面28が、上下方向の略中心の部位の接線Pと、接線Pと平行に配設されるとともに膨張完了時のエアバッグ本体16の上部後端部位と接する接線P´と、の距離L(図9参照)を、100mm以上に設定されていることから、膨張を完了させたエアバッグ本体16における肩拘束部26L・26Rの後面26dと凹部後面28との距離を十分に確保することができて、肩拘束部26L・26Rにより肩部MSを拘束した後に、凹部後面28により頭部MHを拘束することができて、凹部後面28により、乗員MPの頭部MHをソフトに、保護することができる。
また、実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時における左右方向の略中央となる位置に、内側パネル部38を構成する第2基布45L・45Rの内周側の縁部45e・45e相互を結合させた縫合部位36が、略前後方向に沿ったエアバッグ本体16の周方向の略全域に配設されることとなる。そして、実施形態のエアバッグ15では、この縫合部位36を構成する第2基布45L・45Rの内側縁部45eが、第2基布45L・45Rの外側縁部45hよりも長さ寸法を小さく設定されることから、この縫合部位36は、エアバッグ本体16の膨張完了時において、外側に突出せず、側方から見て、エアバッグ本体16の外形線16fと略同一、あるいは、内周側に位置することとなる(図4参照)。そのため、実施形態のエアバッグ15では、エアバッグ本体16を構成する基布全体が、第2基布45L・45Rの内側縁部45e・45e相互を縫着させて構成される縫合部位36に展開方向を規制されつつ、展開膨張するような態様となり、膨張完了時に乗員側となる後側壁部16eが乗員側に向かって大きく突出するように展開することを抑えることができて、エアバッグ本体16の膨張完了時の形状を規制することができる。その結果、エアバッグ本体16内に、後側壁部16eを乗員側と反対側の前方側へ引っ張るような膨張完了時の形状を規制するテザー等を配設させなくともよく、エアバッグ15を構成する部品点数を低減させることが可能となる。
また、実施形態のエアバッグ15では、エアバッグ本体16内に、ガス流入口19の上方側を覆うように配設されるとともに、ガス流入口19から流入した膨張用ガスGを前後両側へ整流可能に、前後方向の両端32A・32Bを開口させた略筒状の整流布31を、配設させていることから、エアバッグ15の展開膨張時において、ガス流入口19から流入した膨張用ガスGを、整流布31の前後両端の開口32A・32Bから、前後方向に沿うようにして、エアバッグ本体16内に流入させることができ、エアバッグ本体16下部側を、特に、エアバッグ本体16の後部の下部側に位置する腹部拘束部29の部位を、インパネ1に沿って展開させることができて、エアバッグ15が乗員MP側へ不必要に突出するように膨張することを抑えることができる。
さらに、実施形態のエアバッグ15では、肩拘束部26L・26R間に配設される凹部27を、肩拘束部26L・26Rの内側壁部26cを構成する第2基布45L・45Rの内側縁部45eを縫合した縫合部位36により、構成される。そのため、この縫合部位36の形状(各第2基布26L・26Rにおける内側縁部45eの形状)を変更することにより、凹部27の形状、すなわち、凹部後面28の傾斜角度等を、変更することができる。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、エアバッグ本体16の外形形状を変更しなくとも、左右の肩拘束部26L・26Rの間の凹部27の形状を、容易に変更することができる。
なお、実施形態のエアバッグ15では、外側パネル部37を、左側壁部16cを構成する左側部位42と、右側壁部16dを構成する右側部位43と、を左右方向で連結させた1枚の第1基布40から構成しているが、外側パネル部の形状はこれに限られるものではなく、例えば、外側パネル部を、左側部位と右側部位とをそれぞれ分離させた二枚の基布から、構成してもよい。
本発明の一実施形態である助手席用エアバッグを使用した助手席用エアバッグ装置の車両前後方向の断面図である。 実施形態のエアバッグを単体で膨張させた状態の前方側から見た斜視図である。 実施形態のエアバッグを単体で膨張させた状態の後方側から見た斜視図である。 実施形態のエアバッグを単体で膨張させた状態の前後方向に沿った断面図である。 実施形態のエアバッグを単体で膨張させた状態の断面図であり、図4のV−V部位に対応する。 実施形態のエアバッグを構成する部材を示す平面図である。 実施形態のエアバッグの使用状態を説明する図であり、膨張が完了した状態を示す車両後方側から見た図である。 実施形態のエアバッグの使用状態を説明する図であり、膨張が完了した状態を示す車両の上方から見た概略図である。 実施形態のエアバッグの使用状態を説明する図であり、膨張が完了した状態を示す車両の側方から見た概略図である。 実施形態のエアバッグの使用状態を説明する図であり、膨張が完了した状態を示す車両の側方から見た概略図である。
符号の説明
1…インストルメントパネル(インパネ)、
4…ウィンドシールド、
15…エアバッグ、
16…エアバッグ本体、
16f…外形線、
25…乗員保護部、
25a…上端、
25b…下端、
26L・26R…肩拘束部、
27…凹部、
28…後面、
28a…分岐点、
28b…分岐点、
HP…頂部、
MP・MP´…乗員、
MH・MH´…頭部、
MS・MS´…肩部、
M…助手席用エアバッグ装置。

Claims (2)

  1. 車両の助手席前方におけるインストルメントパネルの上面側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、上方へ突出するとともに、前記インストルメントパネル上面と前記インストルメントパネル上方のウィンドシールドとの間を塞ぐように、車両の後方側へ展開膨張する構成とされて、
    膨張完了時の前端側下面の左右方向の中央付近となる位置に、膨張用ガスを流入させるガス流入口を備えるとともに、膨張完了時における後部側となる位置に、助手席に着座した乗員と干渉可能とされる乗員保護部を備える構成の助手席用エアバッグにおいて、
    前記助手席用エアバッグが、膨張完了時の形状を、前端側を頂部とした略四角錐形状とされて、上下両側で略左右方向に沿って配設される上側壁部及び下側壁部と、左右両側で略前後方向に沿って配設される左側壁部及び右側壁部と、乗員側で前記上側壁部と前記下側壁部とを連結するように略左右方向に沿って配設される後側壁部と、を備える構成とされ、前記下側壁部の前端側に、前記ガス流入口を配設させて構成され、
    前記乗員保護部が、前記エアバッグの膨張完了時において、左右方向の中央に前方に凹む凹部を介在させて、左右方向側で並設される左右の肩拘束部を、備えた構成とされ、
    該肩拘束部が、乗員の左右の肩部と干渉可能に、それぞれ上下方向に延びるように、後方側に突出する構成とされ、
    前記凹部が、前記エアバッグの膨張完了時において、前記後側壁部から前記上側壁部の領域にかけての左右方向の中央を、斜め前下方向となる前記ガス流入口側に向かって凹ませるように、形成されて、
    前記凹部の後面側が、
    前記乗員の頭部を拘束可能に斜め上方向を向くように、車両搭載状態での膨張完了時の前記エアバッグにおける前記ガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面で、かつ、上下両端側を除く大部分の部位の接線方向を、上端側を前方に位置させて下端側を後方に位置させるように傾斜して配設されるとともに、
    車両搭載状態での膨張完了時の前記エアバッグにおける前記ガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面において、下端側の部位を、膨張完了時の側方側から見たエアバッグの外形線から分岐させるように構成され、その分岐点を、膨張完了時のエアバッグにおける前記インストルメントパネルから突出している部位の下端よりも上方であって、かつ、乗員側となる位置に、配設させるように、
    構成されて
    前記乗員保護部における前記分岐点より下方の領域が、後面を、前記肩拘束部の後面と略面一とするように、構成されるとともに、前記乗員の腹部を拘束する腹部拘束部を構成していることを特徴とする助手席用エアバッグ。
  2. 前記凹部の後面側が、車両搭載状態での膨張完了時の前記エアバッグにおける前記ガス流入口の中央を通る前後方向に沿った断面において、上端側の部位を、膨張完了時の側方側から見たエアバッグの外形線から分岐させるように構成され、その分岐点を、膨張完了時のエアバッグの上端よりも下方であって、かつ、ウィンドシールド側となる位置に、配設させるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
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