JP4464408B2 - 光受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光受信装置に関するものであり、特に、マッハツェンダ(Mach−Zehnder:MZ)型の光復号器を用いた光受信装置に関するものである。
従来の光通信システムでは、例えばOOK(On−Off Keying)方式などの光強度を利用した変調方式を用いた情報伝送が行われている。
一方、近年の光通信システムの高速化、低コスト化に伴い、OOK方式に比較して非線形耐力に優れ、かつ約2倍(3dB)の感度改善効果が期待される光位相情報を利用したDPSK(Differential Phase Shift Keying)方式が注目されている。
このDPSK方式で伝送された光信号の復号には、例えばマッハツェンダ型の1ビット遅延器(以下「MZ型1ビット遅延器」と呼称)を用いた光復号器が用いられる。なお、このMZ型1ビット遅延器は、リチウムナイオベイト(LiNbO3)などで形成された誘電体導波路の電気光学効果を利用して伝送された光信号の復号を行っている。
このMZ型1ビット遅延器では、連続するビット間の位相差が0である場合にはコンストラクティブポート(constructive port)と呼ばれる一方のポートに光信号が出力され、位相差がπである場合にはディストラクティブポート(destructive port)と呼ばれる他方のポートに光信号が出力され、これらの両ポートからの光出力がバランスドレシーバと呼ばれる光受信器で差動受信される。このように、MZ型1ビット遅延器を具備する光受信装置では、バランスドレシーバを用いた差動受信を併用することで、受信感度を向上させるようにしている。
しかしながら、温度等の環境変化によりMZ型1ビット遅延器の位相あるいは入力光信号の波長が変化する場合には受信感度の劣化が生じる。したがって、温度等の環境変化が生ずる場合であっても、受信感度を安定化させることが従来からの課題であった。
このような課題を解決するための従来技術として、バランスドレシーバにて差動受信した光信号のビットレート周波数成分が最大となるように制御するMZ型1ビット遅延器の位相安定化手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この非特許文献1に示される光受信装置は、1ビット遅延器、バランスドレシーバなどを備えるDPSK受信器と、RFパワー分岐器、RFパワー検出器、位相制御回路などを備える制御系とで構成され、バランスドレシーバ直後の高速電気信号の一部がRFパワー分岐器において分岐され、RFパワー検出器によってそのRFパワーを測定するようにしている。その結果、この光受信装置では、測定されたRFパワーが最大となるようにマッハツェンダ型1ビット遅延器の位相制御機能の制御を行うことで受信感度の安定化を図るようにしている。
また、他の手法の一つとして、バランスドレシーバに流れる直流電流に基づいた位相制御を行うMZ型1ビット遅延器の位相安定化手法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
この非特許文献2に示される光伝送システムの受信装置は、1ビット遅延器、バランスドレシーバなどを備えるDPSK受信器と、DC電流検出器、位相制御回路などを備える制御系とで構成され、バランスドレシーバの直流電流成分を直流電流検出器で検出し、検出された直流電流値に基づいてマッハツェンダ型1ビット遅延器に具備される位相調整機能の制御を行うことで受信感度の安定化を図るようにしている。
しかしながら、非特許文献1に示される従来技術では、RFパワー分岐器とRFパワー検出器のような高価なRF機器を必要とするという問題点があった。
一方、非特許文献2に示される従来技術では、バランスドレシーバの直流電流に基づいた制御を行うため、制御に必要な誤差信号の品質が十分でないという問題点があった。
すなわち、従来の光受信装置においては、装置の低コスト化と光出力を安定化するための制御精度との両立に難点があった。
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、装置を安価に構成するとともにMZ型1ビット遅延器の位相変化や入力光信号の波長変化に起因する受信感度の変動を安定化することができる光受信装置を得るものである。
この発明に係る光受信装置は、光の位相状態を制御する第1及び第2の位相制御機能をもち、DPSK光信号を復号するマッハツェンダ型1ビット遅延器と、前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の片側出力ポートから出力される光出力信号の一部を分岐する光カプラと、前記光カプラにより分岐された光信号を第1の電気信号に変換するフォトダイオードと、前記フォトダイオードにより変換された第1の電気信号に基づき、前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の位相状態を制御する位相制御部と、前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の一方および他方の出力ポートからそれぞれ出力され復号されたDPSK光信号を第2の電気信号に変換するバランスドレシーバと、前記バランスドレシーバにより変換された第2の電気信号に対して識別再生処理を施すクロックデータリカバリー回路と、前記クロックデータリカバリー回路により識別再生処理が施された第2の電気信号に対して誤り訂正処理を施して誤り訂正情報に基づいた第2の誤差信号を生成するFECデコーダと、前記FECデコーダにより生成された第2の誤差信号に基づいて前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第2の位相制御機能を制御するための第2の位相制御信号を生成する第2の位相制御回路とを設け、前記位相制御部は、前記フォトダイオードにより出力された第1の電気信号を所望のレベルに増幅するプリアンプと、RF帯の周波数に比して低周波数fの周波数成分を含むディザ信号を発生するディザ信号源と、周波数fのカットオフ周波数を持ち、前記プリアンプにより増幅された第1の電気信号の低周波成分fを通過させるローパスフィルタと、前記ディザ信号源により発生されたディザ信号と前記ローパスフィルタにより通過させられた第1の電気信号との間の位相比較結果を示す位相比較信号を第1の誤差信号として出力するミキサと、前記ミキサにより出力された第1の誤差信号が零となるように前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第1の位相制御機能を制御するための第1の位相制御信号を生成する第1の位相制御回路と、前記第1の位相制御回路により出力された第1の位相制御信号に前記ディザ信号源により発生されたディザ信号を加算する加算器とを有し、前記第1の電気信号が最大値となるよう、前記加算器により出力された第1の位相制御信号を前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第1の位相制御機能に印加してフィードバック制御を行うとともに、前記第2の位相制御回路により生成された第2の位相制御信号を前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第2の位相制御機能に印加してフィードバック制御を行うものである。
この発明に係る光受信装置は、光/電気変換手段の出力に基づいた安定化制御が行われるので、受信感度の安定化を安価かつ高精度に実現することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の光受信装置に係る実施例1〜5を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施例1〜5により本発明が限定されるものではない。
実施例1.
図1は、本発明の実施例1に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。同図に示す光受信装置は、受信系(DPSK受信器)と制御系とを備えている。受信系は、光入力信号端子1と、1端子の入力ポート4および2端子の出力ポート5、6を具備するとともに、例えばDPSK信号などを復号するMZ型1ビット遅延器2と、2端子の出力ポート5、6から出力された光信号を差動受信するバランスドレシーバ10と、電気出力端子11と、を備えるように構成されている。また、制御系は、光信号の一部を分岐する光カプラ7と、光/電気変換手段としてのPD(Photo Diode)8と、MZ型1ビット遅延器2の位相を制御するための位相制御信号を出力する位相制御部9と、を備えるように構成されている。
MZ型1ビット遅延器2には、位相制御部9の制御対象として単一または複数の位相制御機能40が具備されている。この位相制御機能40は、例えばMZ型1ビット遅延器2に具備される電極(RF電極、DC電極)、光導波路などがその機能を具現する。例えば、電極への印加電圧に基づいて光導波路の屈折率を変化させることができ、当該屈折率の変化に基づいて光受信信号の位相制御を行うことができる。
つぎに、図1に示した光受信装置の動作について説明する。同図において、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5から出力される光信号は光カプラ7により一部分岐され、PD8において電気信号に変換される。PD8で変換された電気信号は位相制御部9に入力され処理され、制御信号としてMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される。後述のとおり、この電気信号のパワーが最大となる場合が入力光信号に対するMZ型1ビット遅延器2の最適動作点であり、この電気信号が最大値となるようなフィードバック制御を行うことで、受信感度の安定化制御が可能となる。
なお、図1では、出力ポート5の光信号の一部を光カプラ7によって分岐しているが、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート6の光出力を分岐するようにしてもよい。この構成の場合にも、光/電気変換した電気信号を用いたフィードバック制御により、受信感度の安定化制御が可能となる。
図2は、MZ型1ビット遅延器2の入力ポート4に入力される光DPSK信号と、出力ポート5、6から出力される光信号の波長シフトに対する光出力特性を示す図である。同図において、実線で示される曲線K1がMZ型1ビット遅延器2に入力されるDPSK信号の光スペクトルであり、波線で示される曲線K2がMZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)から出力される光信号のスペクトルであり、一点鎖線で示される曲線K3がMZ型1ビット遅延器2の出力ポート6(ディストラクティブポート)から出力される光信号のスペクトルである。
また、図3及び図4は、図2に示した出力ポート5、6の各出力特性における中心波長(Δλ=0)近傍のスペクトルを拡大した図である。例えば、図3は出力ポート5(コンストラクティブポート)のスペクトルであり、図4は出力ポート6(ディストラクティブポート)のスペクトルを示している。なお、図3および図4の両グラフともに、それぞれの最大値で正規化している。
つぎに、図3及び図4をそれぞれ参照して、図1に示した光受信装置におけるMZ型1ビット遅延器2の出力安定化制御について説明する。図3に示されるように、Δλ=0となる波長が局所的最大値を与えることになり、入力光信号に対するMZ型1ビット遅延器2の位相制御の最適動作点となる。すなわち、出力ポート5から出力される光信号は、波長シフトに対する光出力特性の最大値制御を行うことで受信感度の安定化が可能となる。
同様に、図4に示されるように、Δλ=0となる波長が局所的最小値を与えることになり、入力光信号に対するMZ型1ビット遅延器2の位相制御の最適動作点となる。すなわち、出力ポート6から出力される光信号は、波長シフトに対する光出力特性の最小値制御を行うことで受信感度の安定化が可能となる。
なお、光出力特性の最大値制御もしくは最小値制御の手法としては、例えば山登り法などの制御アルゴリズムを用いることができる。また、受信感度の安定化制御を高速に行う場合には、例えば勾配法や、直線探索法に基づく最適解探索法などの制御アルゴリズムを用いることができる。
以上説明したように、この実施例1に係る光受信装置によれば、光/電気変換手段(例えばPD)の出力に基づいた安定化制御を行うようにしているので、安価かつ高精度に受信感度の安定化を図ることができる。
実施例2.
図5は、本発明の実施例2に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。同図に示す光受信装置では、位相制御部9の構成を詳細に示している。すなわち、同図に示す位相制御部9は、PD8の光出力が入力されるプリアンプ12と、プリアンプ12の出力の高周波成分を遮断するローパスフィルタ(LPF)13と、ディザ信号を発生するディザ信号源16と、ディザ信号およびLPF13の出力信号が入力され、これらの出力信号間の位相比較を行った位相比較信号を誤差信号として出力する位相比較手段としてのミキサ14と、ミキサ14の出力信号(誤差信号)に基づいたDC電圧を出力する位相制御回路15と、DC電圧にディザ信号を重畳させるための加算器17とを備えるように構成されている。なお、その他の構成については、実施例1の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
つぎに、図5に示す光受信装置の動作について説明する。なお、ここでは実施例1とは異なる処理を中心に説明し、共通な処理についての説明は省略する。
図5において、ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は、加算器17を介してMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される。その結果、出力ポート5、6から出力される光信号には、このディザ信号が重畳される。なお、低周波数という意味は、RF帯の周波数に比して低周波であればよく、このような低周波数の信号を用いることで高価なRF機器の使用を排除することができる。また、このディザ信号は単一周波数の正弦波である必要はなく、低周波数f[Hz]の周波数成分を含むものであればよい。
光信号に重畳されたディザ信号は、光強度情報として光カプラ7を介したPD8にて電気信号に変換される。電気信号に変換されたディザ信号は、プリアンプ12で所望のレベルに増幅され、例えばf[Hz]のカットオフ周波数を持つローパスフィルタ(以下「LPF」と略記)13を通過した後、ミキサ14の一方の入力端に出力される。一方、ミキサ14の他方の入力端には、ディザ信号源16が発生するディザ信号が入力される。これらの信号が入力されたミキサ14では、元のディザ信号および光/電気変換後のディザ信号との位相比較結果を表す位相比較信号が誤差信号として出力される。位相制御回路15では、この誤差信号に基づいた位相制御信号が生成され加算器17に出力される。この位相制御信号は加算器17でディザ信号が重畳され、このディザ信号が重畳された位相制御信号に基づいてMZ型1ビット遅延器2の位相制御が実行される。
つぎに、図6〜図8を参照して、図5に示した光受信装置の動作を説明する。なお、図6は、図5に示す光受信装置における最適点での動作を説明するための波形図であり、図7は、図5に示す光受信装置において動作点が最適値から長波長側にずれたときの動作を説明するための波形図であり、図8は、図5に示す光受信装置において動作点が最適値から短波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。
図6では、最適点におけるMZ型1ビット遅延器2の動作が示されている。同図(a)に示される位相制御信号は、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される加算器17の出力信号を表している。ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は、加算器17を介して位相制御回路15の出力である位相制御信号に重畳される。
同図(b)に示される動作特性曲線は、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の光出力特性を示している。この動作特性曲線が示すように、位相制御機能40に印加する電圧に対して周期的に光出力が変化する。なお、「●」印で示した動作点が光強度の最大値を与え得る最適な動作点である。よって、ディザ信号を含む電圧を印加した場合、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の出力光信号は同図(c)に示すような2f[Hz]の周波数成分が含まれ、プリアンプ12の出力信号は同図(d)に示すような波形となる。
このプリアンプ12の出力信号とディザ信号源16から出力された同図(e)に示されるディザ信号とは、ミキサ14にて同期検波され、このとき出力されるミキサ14の出力信号は同図(f)に示すような零レベルのDC電圧となる。
図7では、位相制御機能40に印加する電圧が最適値から長波長側にずれたときのMZ型1ビット遅延器2の動作が示されている。同図(a)に示される位相制御信号は、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される加算器17の出力信号を表している。なお、ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は加算器17を通して位相制御回路15の出力である制御信号に重畳される。
同図(b)に示される動作特性曲線は、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の光出力特性を示している。この動作特性曲線が示すように、位相制御機能40に印加する電圧が最適値から長波長側にずれた結果、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の出力光信号は、同図(c)に示すようなf[Hz]の周波数成分が含まれ、プリアンプ12の出力信号は同図(d)に示すような波形となる。
このプリアンプ12の出力信号とディザ信号源16から出力された同図(e)に示されるディザ信号とは、ミキサ14にて同期検波され、このとき出力されるミキサ14の出力信号は同図(f)に示されるような負のDC電圧となる。
図8では、位相制御機能40に印加する電圧が最適値から短波長側にずれたときのMZ型1ビット遅延器2の動作が示されている。同図(a)はMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される加算器17の出力信号を表している。ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は加算器17を通して位相制御回路15の出力である制御信号に重畳される。
同図(b)に示される動作特性曲線は、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の光出力特性を示している。この動作特性曲線が示すように、位相制御機能40に印加する電圧が最適値から短波長側にずれた結果、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)の出力光信号は、同図(c)に示すような、図7(c)の波形に比して位相が半周期異なるf[Hz]の周波数成分が含まれ、プリアンプ12の出力電気信号は同図(d)に示すような波形となる。
このプリアンプ12の出力信号とディザ信号源16から出力されたディザ信号とは、ミキサ14にて同期検波され、このとき出力されるミキサ14の出力信号は同図(f)に示されるような正のDC電圧となる。
このように、ミキサ14は、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加する電圧の最適値からのずれに対応してDC電圧の誤差信号を出力する。したがって、位相制御回路15は、自身に出力される誤差信号が零となるようにMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40を制御することで、受信感度の安定化を実現することができる。
さらに、位相制御回路15中に広域部分を制限するローパスフィルタを設けるようにすれば、ミキサ14の出力中に含まれる余分な高周波成分を抑圧することができる。
また、図5に示した光カプラ7をMZ型1ビット遅延器2の出力ポート6(ディストラクティブポート)に配してもよい。この場合には、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加する電圧の最適値から長波長側にずれた場合には正の誤差信号、短波長側にずれた場合には負の誤差信号が得られるので、上述と逆向きの制御を行うようにすればよい。
以上説明したように、この実施例2に係る光受信装置によれば、光/電気変換手段(例えばPD)の出力に加えて、低速のディザ信号を用いた安定化制御を行うようにしているので、安価かつ高精度に受信感度の安定化を図ることができる。
実施例3.
図9は、本発明の実施例3に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。実施例2では、プリアンプ12へのディザ信号を、光カプラ7を介してMZ型1ビット遅延器2のいずれかの出力ポートから出力するようにしていたが、この実施例3では、実施例2とは異なり、バランスドレシーバ10から出力するようにしている点が相違する。なお、その他の構成については、実施例1、2の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
つぎに、図9に示す光受信装置の動作について説明する。同図において、ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は、加算器17を介してMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される。その結果、出力ポート5、6から出力される光信号には、このディザ信号が重畳される。
光信号に重畳されたディザ信号は、光強度情報としてバランスドレシーバ10で電気信号に変換される。電気信号に変換されたディザ信号の受信感度は、バランスドレシーバ10の差動受信によってDPSK信号と同様に3dB向上する。
電気信号に変換されたディザ信号は、RFパワー分岐器18により分岐され、プリアンプ12で所望のレベルに増幅され、例えばf[Hz]のカットオフ周波数を持つLPF13を通過した後、ミキサ14の一方の入力端に出力される。一方、ミキサ14の他方の入力端には、ディザ信号源16が発生するディザ信号が入力される。これらの信号が入力されたミキサ14は、元のディザ信号および光/電気変換後のディザ信号との位相比較結果を表す位相比較信号が誤差信号として出力される。位相制御回路15では、この誤差信号に基づいた位相制御信号が生成され加算器17に出力される。この位相制御信号は加算器17でディザ信号が重畳され、このディザ信号が重畳された位相制御信号に基づいてMZ型1ビット遅延器2の位相制御が実行される。
つぎに、図10〜図12を参照して、図9に示した光受信装置の動作を説明する。なお、図10は、図9に示す光受信装置における最適点での動作を説明するための波形図であり、図11は、図9に示す光受信装置において動作点が最適値から長波長側にずれたときの動作を説明するための波形図であり、図12は、図9に示す光受信装置において動作点が最適値から短波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。
図10では、最適点におけるMZ型1ビット遅延器2の動作が示されている。同図(a)に示される位相制御信号は、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加される加算器17の出力信号を表している。ディザ信号源16で生成される低周波数f[Hz]のディザ信号は、加算器17を介して位相制御回路15の出力である位相制御信号に重畳される。
同図(b)に示される動作特性曲線は、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5(コンストラクティブポート)および出力ポート6(ディストラクティブポート)の光出力特性を示している。これらの動作特性は、位相制御機能40に印加する電圧に対して相反的かつ周期的に光出力が変化し、同図(b)の「●」印に示されるそれぞれの最適点において、各光出力が最大出力(出力ポート5)および最小出力(出力ポート6)となる。よって、ディザ信号を含む電圧を印加した場合、MZ型1ビット遅延器2の出力ポート5、6の各出力光信号は、同図(c)に示すように、互いに位相の反転した2f[Hz]の周波数成分が含まれ、差動受信した後のプリアンプ12の出力信号は同図(d)に示すような波形となる。
このプリアンプ12の出力信号とディザ信号源16から出力された同図(e)に示されるディザ信号とは、ミキサ14にて同期検波され、このとき出力されるミキサ14の出力信号は同図(f)に示すような零レベルのDC電圧となる。
図11、図12にはそれぞれ、位相制御機能40に印加する電圧が最適値から長波長側にずれた場合あるいは短波長側にずれた場合の各動作を表す波形が示されている。基本的な動作は、図7、図8と同様であり、相違点は図11(d)および図12(d)で得られる差動出力信号が、それぞれ図7(d)および図8(d)の2倍の振幅を持つことにある。
このように、ミキサ14は、MZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40に印加する電圧の最適値からのずれに対応してDC電圧の誤差信号を出力する。したがって、位相制御回路15は、自身に出力される誤差信号が零となるようにMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能40を制御することで、受信感度の安定化を実現することができる。さらに、差動出力信号が2倍の振幅を持つ電気信号であるため、実施例2と比較して3dBの誤差検出能力向上が見込めるという効果が得られる。
以上説明したように、この実施例3に係る光受信装置によれば、実施例2と同様に低周波のディザ信号を用いた安定化制御を行うようにしているので、受信感度の安定化を安価に実現することができるとともに、差動受信後にディザ信号を検出するようにしているので、受信感度の安定化をさらに高精度に実現することができる。
実施例4.
図13は、本発明の実施例4に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。同図に示す光受信装置では、実施例1の構成に加えて、光入力信号端子1とMZ型1ビット遅延器2の入力ポート4との間に挿入される光フィルタ19を備えるように構成されている。なお、その他の構成については、実施例1の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
光フィルタ19は、MZ型1ビット遅延器2のフリースペクトルレンジに対して0.8から2倍程度の帯域を有している。したがって、この実施例4の光受信装置では、光フィルタ19により不要雑音成分が削減されるとともに、MZ型1ビット遅延器2のフリースペクトルレンジに対応した帯域幅を選択することで、光/電気信号変換後の誤差検出能力を向上させることができ、受信感度の安定化をさらに高精度化することができる。
また、図14は、図13に示すMZ型1ビット遅延器2において、入力光信号の光信号対雑音比が悪い状況下での入力光信号の波長シフトに対する出力ポート5の光出力特性を示す図であり、図15は、当該状況下における出力ポート6の光出力特性を示す図である。
つぎに図14及び図15を参照して、図13に示した光受信装置での光フィルタ19の使用による誤差信号検出能力の向上について説明する。
図14において、図中の「○」印で示した曲線が光フィルタを使用しないときのMZ型1ビット遅延器2の出力ポート5での光出力を示したものであり、図中の「●」印がMZ型1ビット遅延器2のフリースペクトルレンジに対して2倍の帯域を有する光フィルタ19を使用したときの光出力を示したものである。
また、図14におけるΔλ=0が入力光信号に対するMZ型1ビット遅延器2の位相の最適動作点である。同図の波形に示されるように、Δλ=0である最適動作点からのずれに対する光出力の変化率を高めることが理解できる。このことから、光フィルタ19を用いることで光/電気信号変換後の誤差検出能力を向上させ、受信感度の安定化を高精度化することができる。
また、図15に示される出力ポート6の光出力特性においても、Δλ=0の点が局所的最小値を与える最適動作点となり、出力ポート5のときと同様にΔλ=0である最適動作点からのずれに対して光出力の変化を高めることができる。
なお、光フィルタ19として、MZ型1ビット遅延器2のフリースペクトルレンジに対して0.8倍の帯域を有するものを選択してもよい。このような特性の光フィルタ19を用いた場合には、Δλ=0近傍の光出力特性にほとんど影響を与えることなく、Δλ=0である最適動作点からのずれに対する光出力の変化率をさらに高めることができる。
以上説明したように、この実施例4に係る光受信装置によれば、1ビット遅延器のフリースペクトルレンジに対して0.8から2倍程度の帯域の光フィルタ19を使用するようにしているので、安価かつ高精度に受信感度の安定化を図ることができる。
なお、この実施例4では、光入力信号端子1とMZ型1ビット遅延器2の入力ポート4との間に挿入される光フィルタ19を実施例1の構成に付加することで実現しているが、この構成を実施例2および3、ならびに後述する実施例5の構成に付加することもできる。なお、これらの構成の場合であっても、この実施例4と同等の効果を得ることができる。
実施例5.
図16は、本発明の実施例5に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。同図に示す光受信装置では、図5に示した実施例2の構成において、受信系には、誤差検出手段として機能するクロックデータリカバリー回路(以下「CDR回路」と略記)20およびFECデコーダ21が付加され、制御系には、図5に示した光カプラ7、PD8および位相制御部9を具備する第1の位相制御系に加えて、FECデコーダ21の誤り検出結果に基づいてMZ型1ビット遅延器2を制御するための制御信号を生成出力する位相制御回路22を具備する第2の位相制御系が付加されるように構成されている。なお、その他の構成については、実施例2の構成と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
つぎに、図16に示す光受信装置の動作について説明する。なお、ここでは実施例2とは異なる処理を中心に説明し、共通な処理についての説明は省略する。
図16において、DPSK信号はバランスドレシーバ10にて電気信号に変換される。変換された電気信号は、CDR回路20にて識別再生処理が施された後、FECデコーダ21での誤り訂正処理が施される。この際、FECデコーダ21における誤り訂正情報に基づいた誤差信号が生成される。位相制御回路22は、この誤り訂正情報に基づいた誤差信号を用いてMZ型1ビット遅延器2の位相制御機能41を制御する。
このように、実施例5に係る第2の位相制御系は、主信号の誤り訂正情報を誤差信号として用いているので、受信感度の安定化を高精度に実現することができる。
また、第1の位相制御系と第2の位相制御系とを異なる時定数の制御ループとしてMZ型1ビット遅延器2の位相制御を行うようにすれば、両者の位相制御系が相互補完的な動作を行うので制御の安定度を向上させることができる。
さらに、第1の位相制御系での制御を粗調用に使用し、第2の位相制御系での制御を微調用に使用することで制御の安定化と制御の高速化とを両立させることができる。
以上説明したように、この実施例5に係る光受信装置によれば、光/電気変換手段(例えばPD)の出力に加えて、低速のディザ信号を用いた安定化制御を行うとともに、受信系(DPSK受信器)が有する誤り訂正情報を用いた制御をも行うようにしているので、安価かつ高精度に受信感度の安定化を図ることができるとともに、受信感度の安定化制御を高速に行うことができる。
以上のように、本発明は、高速光伝送システムに適用可能な受信装置として有用であり、特に、受信感度の安定化を簡易に実現したい場合などに好適である。
本発明の実施例1に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1に係る光受信装置のMZ型1ビット遅延器の入力ポートに入力される光DPSK信号と出力ポートから出力される光信号の波長シフトに対する光出力特性を示す図である。 図2に示した出力ポート5の出力特性における中心波長(Δλ=0)近傍のスペクトルを拡大した図である。 図2に示した出力ポート6の出力特性における中心波長(Δλ=0)近傍のスペクトルを拡大した図である。 本発明の実施例2に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係る光受信装置における最適点での動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例2に係る光受信装置において動作点が最適値から長波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例2に係る光受信装置において動作点が最適値から短波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例3に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係る光受信装置における最適点での動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例3に係る光受信装置において動作点が最適値から長波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例3に係る光受信装置において動作点が最適値から短波長側にずれたときの動作を説明するための波形図である。 本発明の実施例4に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例4に係る光受信装置のMZ型1ビット遅延器において、入力光信号の光信号対雑音比が悪い状況下での入力光信号の波長シフトに対する出力ポート5の光出力特性を示す図である。 本発明の実施例4に係る光受信装置のMZ型1ビット遅延器において、入力光信号の光信号対雑音比が悪い状況下での出力ポート6の光出力特性を示す図である。 本発明の実施例5に係る光受信装置の構成を示すブロック図である。

Claims (1)

  1. 光の位相状態を制御する第1及び第2の位相制御機能をもち、DPSK光信号を復号するマッハツェンダ型1ビット遅延器と、
    前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の片側出力ポートから出力される光出力信号の一部を分岐する光カプラと、
    前記光カプラにより分岐された光信号を第1の電気信号に変換するフォトダイオードと、
    前記フォトダイオードにより変換された第1の電気信号に基づき、前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の位相状態を制御する位相制御部と、
    前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の一方および他方の出力ポートからそれぞれ出力され復号されたDPSK光信号を第2の電気信号に変換するバランスドレシーバと、
    前記バランスドレシーバにより変換された第2の電気信号に対して識別再生処理を施すクロックデータリカバリー回路と、
    前記クロックデータリカバリー回路により識別再生処理が施された第2の電気信号に対して誤り訂正処理を施して誤り訂正情報に基づいた第2の誤差信号を生成するFECデコーダと、
    前記FECデコーダにより生成された第2の誤差信号に基づいて前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第2の位相制御機能を制御するための第2の位相制御信号を生成する第2の位相制御回路とを備え、
    前記位相制御部は、
    前記フォトダイオードにより出力された第1の電気信号を所望のレベルに増幅するプリアンプと、
    RF帯の周波数に比して低周波数fの周波数成分を含むディザ信号を発生するディザ信号源と、
    周波数fのカットオフ周波数を持ち、前記プリアンプにより増幅された第1の電気信号の低周波成分fを通過させるローパスフィルタと、
    前記ディザ信号源により発生されたディザ信号と前記ローパスフィルタにより通過させられた第1の電気信号との間の位相比較結果を示す位相比較信号を第1の誤差信号として出力するミキサと、
    前記ミキサにより出力された第1の誤差信号が零となるように前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第1の位相制御機能を制御するための第1の位相制御信号を生成する第1の位相制御回路と、
    前記第1の位相制御回路により出力された第1の位相制御信号に前記ディザ信号源により発生されたディザ信号を加算する加算器とを有し、
    前記第1の電気信号が最大値となるよう、前記加算器により出力された第1の位相制御信号を前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第1の位相制御機能に印加してフィードバック制御を行うとともに、
    前記第2の位相制御回路により生成された第2の位相制御信号を前記マッハツェンダ型1ビット遅延器の第2の位相制御機能に印加してフィードバック制御を行う
    光受信装置。
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