JP2004037647A - 光送信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価な構成でMZ光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化を抑圧できるようにする。
【解決手段】重畳回路13は、駆動回路4が出力する周波数1R[Hz]の信号とディザ信号源12からの信号とを重畳してMZ光変調器3の駆動信号を生成しMZ光変調器3を駆動する。MZ光変調器3の出力光信号に含まれるディザ信号成分光がPD6にて電気信号に変換される。ミキサ8では、プリアンプ7の出力とディザ信号との位相比較が行われる。LPF9では、ミキサ8の出力からMZ光変調器3の動作点の誤差信号であるDC成分が検出される。検出された誤差信号は演算増幅器17を介して加算器10に入力され、DCバイアス電圧源11の出力と加算され、すなわちMZ光変調器3の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、コイル19を介してMZ光変調器3に印加される。
【選択図】 図1
【解決手段】重畳回路13は、駆動回路4が出力する周波数1R[Hz]の信号とディザ信号源12からの信号とを重畳してMZ光変調器3の駆動信号を生成しMZ光変調器3を駆動する。MZ光変調器3の出力光信号に含まれるディザ信号成分光がPD6にて電気信号に変換される。ミキサ8では、プリアンプ7の出力とディザ信号との位相比較が行われる。LPF9では、ミキサ8の出力からMZ光変調器3の動作点の誤差信号であるDC成分が検出される。検出された誤差信号は演算増幅器17を介して加算器10に入力され、DCバイアス電圧源11の出力と加算され、すなわちMZ光変調器3の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、コイル19を介してMZ光変調器3に印加される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、外部光変調方式の光変調器であるマッハツェンダ(Mach−Zehnder)型光変調器を用いた光送信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信システムでは、レーザーダイオードを駆動電流で変調して電気信号に比例した光の強度信号を得る直接変調方式の光変調器を用いた光送信装置が用いられてきた。しかし、直接変調方式の光変調器では、伝送速度が数Gbit/secを超えると、光の波長が変化するチャーピング現象が生ずるので、伝送速度が数Gbit/secを超える超高速・広帯域光通信システムでは、このチャーピング現象が伝送容量を制限する要因となっていた。
【0003】
一方、外部変調方式の光変調器では、チャーピング現象が非常に小さく、10GHz以上の動作帯域も比較的簡単に得られる。そこで、外部光変調方式の光変調器を用いた光送信装置を大容量光通信システムに適用することが検討されている。外部変調器として最も一般的なものは、リチウムナイオベイト(LiNbO3)などの誘電体導波路の電気光学効果を利用したマッハツェンダ型光変調器(以下、「MZ変調器」という)である。
【0004】
MZ光変調器を変調信号S(t)で変調した場合の出力光信号I(t)は次の式(1)で表される。
I(t)=k{1+cos(β・S(t)+δ)} ・・・ (1)
なお、式(1)において、kは比例係数、βは変調度、δは動作点の位相である。
【0005】
MZ光変調器では、変調信号S(t)として2値のデジタル信号を用い、β=π/2とし、適当なDC電圧を印加して初期の位相δがπ/2となるように選ぶと、変調信号に比例して完全にオン/オフする光信号が得られる。
【0006】
また、式(1)においてβ=πとし、適当なDC電圧を印加して初期の位相δが0となるように選び、変調信号S(t)を繰り返し周波数1R[Hz]の正弦波とすると、出力光信号I(t)は次の式(2)で表される。
I(t)=k{1+cos(π・sin(2πRt))} ・・・ (2)
【0007】
式(2)から、出力光信号I(t)は、繰り返し周波数2R[Hz]でオン/オフする光信号となることがわかる。このように、MZ光変調器では、印加する正弦波信号の倍の周波数の光信号を出力することもできる。
【0008】
ところが、通常のリチウムナイオベイト(LiNbO3)によるMZ光変調器では、動作点の位相δが一定であれば問題ないが、動作点がドリフトしてしまうので、送信光信号の品質が劣化するという問題がある。ドリフトには、温度変化がもたらす焦電効果による熱ドリフトと、電極に印加したDC電圧が素子表面に形成する電荷分布によってドリフトするDCドリフトとがある。これらのドリフトによる動作点変動を補償するために、最適な動作点になるようにDC電圧(バイアス電圧)を印加することが必要である。
【0009】
以下に図9〜図12を参照して、従来のMZ光変調器を用いた光送信装置で採用されているMZ光変調器のバイアス電圧供給制御方法を説明する。なお、図9は、従来の光送信装置の構成例を示すブロック図である。図10は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。図11は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。図12は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【0010】
図9に示す光送信装置は、入力信号端子51とデバイダ70と連続光光源52とMZ光変調器53と駆動回路54と終端器64と光出力端子65とからなる送信系と、光カプラ55とフォトダイオード(PD)56とバンドパスフィルタ57とプリアンプ58とバイアス制御回路62とコイル69と移相器63とからなるバイアス電圧制御系とで構成されている。バイアス制御回路62は、ミキサ59とローパスフィルタ(LPF)61と演算増幅器60と加算器67とDCバイアス源68とを備えている。演算増幅器60の正相入力端(+)は、制御目標電圧入力端子66に接続されている。なお、図9では、コイル69と終端器64が示されているが、コイルおよび終端器を内蔵するMZ型光変調器も知られており、コイルおよび終端器の使用は本質的ではない。
【0011】
入力信号端子51には、周波数1R[Hz]の正弦波信号が入力される。この周波数1R[Hz]の正弦波信号は、デバイダ70にて2分岐され、一方が駆動回路54に入力され、他方が移相器63に入力される。駆動回路54は、デバイダ70から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号を2Vπまで増幅し、内蔵するコンデンサによってDC成分をカットした駆動信号をMZ型光変調器53の駆動端に出力する。なお、駆動回路54がコンデンサを内蔵しない場合は、駆動回路54の破壊防止のために、駆動回路54とMZ型光変調器53との間にコンデンサが必要である。移相器63は、ディバイダ70から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号の位相を調整してミキサ59の一方の入力端に与える。
【0012】
MZ光変調器53は、連続光光源52から入射される連続光を駆動回路54からの駆動信号とコイル69からのDC信号(バイアス電圧)とに従って変調処理を行い、周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力する。変調された光信号は、光カプラ55を介して光出力端子65から外部に出射され、一部が光カプラ55からPD56に入射される。
【0013】
PD56は、光カプラ55から入射される光信号を電気信号に変換する。中心周波数が1R[Hz]であるバンドパスフィルタ57は、PD56の出力信号中に含まれる周波数1R[Hz]成分の信号を抽出する。プリアンプ58は、バンドパスフィルタ57の出力信号を増幅し、ミキサ59の他方の入力端に与える。
【0014】
ミキサ59は、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波を実行する。LPF61は、カットオフ周波数が1R[Hz]よりも十分低い値に設定されており、ミキサ59の出力信号からDC成分のみを抽出する。演算増幅器60は、LPF61が出力するDC信号と制御目標電圧入力端子66の入力信号との差動増幅を行う。通常、制御目標電圧入力端子66の入力信号はゼロである。加算器67は、DCバイアス電源68の出力信号と演算増幅器60の出力信号との加算を行い、バイアス電圧を発生する。バイアス電圧は、コイル69を介してMZ光変調器53のバイアス端子に与えられる。
【0015】
このように、バイアス電圧制御回路62では、ミキサ59の出力信号から誤差信号であるDC成分がLPF61にて抽出され、この誤差信号と制御目標値との差分が演算増幅器60にて求められ、演算増幅器60の出力信号と所定のDCバイアス電圧とを加算器67にて加算することで、誤差信号がMZ光変調器53に与えるバイアス電圧に変換され、コイル69を介してMZ光変調器53に供給される。
【0016】
これによって、MZ光変調器53においては、連続光光源52から入射される連続光が信号入力端子51から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号によって変調され、周波数2Rのパルス状光信号が光出力端子65から外部に出射される。その過程で、バイアス電圧制御系によってMZ光変調器53に最適な動作点で安定的に動作するようなバイアス電圧の供給制御が行われることになる。
【0017】
なお、プリアンプ58を線形アンプとすることはさらに望ましい。また、バンドパスフィルタ57とプリアンプ58は、正弦波抽出手段を構成しており、正弦波抽出手段としてはPLLなどを用いることもできる。
【0018】
次に、図10〜図12を参照して、バイアス電圧の供給制御動作について説明する。図10では、バイアス電圧が正しく設定されたときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しく設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から周波数2R[Hz]のパルス状光信号が出力される。各パルス光は、振幅が揃っている。
【0019】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、一定振幅のレベル信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、周波数1R[Hz]の駆動信号である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Cをプリアンプ58の出力振幅、定数Aを移相器63の出力振幅、θを初期位相とすると、 C×Asin(2π×1Rt+θ) ・・・(3)
となる。
【0020】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、0レベルとなる。すなわち、LPF61の出力には、周波数1R[Hz]の信号成分は観測されないことがわかる。
【0021】
図11では、バイアス電圧が正しい値からやや高いときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から出力される周波数2Rのパルス状光信号は、振幅が1周期毎に異なり、一定ではなくなる。
【0022】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、周波数分1R[Hz]の信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、プリアンプ58の出力信号と同相である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Aを移相器63の出力振幅、定数Bをプリアンプ58の出力振幅とすると、
となる。
【0023】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力は、AB/2となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、正方向のDC信号となり、周波数1R[Hz]の信号が検出できることがわかる。
【0024】
図12では、バイアス電圧が正しい値からやや低いときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや低い所に設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から出力される周波数2Rのパルス状光信号は、振幅が1周期毎に異なり、一定ではなくなる。図11(c)とは、位相が180度ずれた関係となっている。
【0025】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、周波数1R[Hz]の信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、プリアンプ58の出力信号と逆相である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Aを移相器63の出力振幅、定数Bをプリアンプ58の出力振幅とすると、
となる。
【0026】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力は、−AB/2となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、負方向のDC信号となり、周波数1R[Hz]の信号が検出できることがわかる。
【0027】
このようにして、バイアス電圧の最適点からのずれに対応した誤差信号がLPF61から出力される。この誤差信号の極性は、バイアス電圧の正しい値からのずれの方向に応じて反転するので、バイアス電圧を制御する方向を知ることができる。したがって、この誤差信号を演算増幅器60に入力し、フィードバック制御を行うことで、MZ光変調器53の動作点ドリフトが抑圧できる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のバイアス電圧制御方法では、通常、MZ光変調器の駆動信号である1R周波数信号として5[GHz]の信号が用いられる。したがって、PDでは、MZ光変調器の出力光信号から5[GHz]の周波数信号を検出する必要がある。そのような高速PDは、高価である。また、中心周波数が5[GHz]であるバンドパスフィルタ、プリアンプおよびミキサも高価であるという問題がある。
【0029】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、安価な構成でMZ光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑圧できる光送信装置を得ることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる光送信装置は、被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の信号と低周波数のディザ信号とを重畳した前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる前記ディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するバイアス制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、駆動手段によって、マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の信号と低周波数のディザ信号との重畳が行われ、マッハツェンダ型光変調器が駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号源の出力信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、マッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。
【0032】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記バイアス制御手段は、前記位相比較手段の位相比較結果信号から直流成分を抽出するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算し前記マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧を発生するバイアス電圧発生手段とを備えたことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、上記の発明において、バイアス制御手段では、位相比較手段の出力信号がローパスフィルタに入力され、位相比較結果信号から直流成分が抽出される。ローパスフィルタの出力信号は、誤差信号として増幅手段に入力される。増幅手段では、ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分が増幅される。そして、バイアス電圧発生手段にて、増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算することで、マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧が生成される。
【0034】
つぎの発明にかかる光送信装置は、被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる低周波数のディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するとともに、発生したバイアス電圧に前記ディザ信号を重畳して前記マッハツェンダ型光変調器に出力するバイアス制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、マッハツェンダ型光変調器は、駆動手段が発生する周波数1R[Hz]の駆動信号によって駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧には、低周波数のディザ信号が重畳されている。したがって、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号には、ディザ信号が含まれている。このディザ信号が重畳されているバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にてその位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、ディザ信号と重畳されてマッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。
【0036】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記被変調光信号は、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源から生成されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、上記の発明において、前記被変調光信号の光源には、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源が用いられる。
【0038】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記マッハツェンダ型光変調器は、電極を2つ有し、前記2つの電極に極性が異なる駆動信号を入力することで動作することを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、上記の発明において、前記マッハツェンダ型光変調器が有する2つの電極には、極性が異なる駆動信号を入力される。すなわち、当該マッハツェンダ型光変調器は、プッシュプル型である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光送信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0041】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である光送信装置の構成を示すブロック図である。図1に示す光送信装置は、入力信号端子1と連続光光源2とMZ光変調器3と駆動回路4と終端器15と光出力端子16とからなる送信系と、光カプラ5とフォトダイオード(PD)6とプリアンプ7とバイアス制御回路14とコイル19とディザ信号源12と重畳回路13とからなるバイアス電圧制御系とで構成されている。重畳回路13は、駆動回路4の出力信号とディザ信号源12からのディザ信号とを重畳するようになっている。バイアス制御回路14は、ミキサ8とローパスフィルタ(LPF)9と演算増幅器17とDCバイアス電圧源11と加算器10とを備えている。演算増幅器17の正相入力端(+)は、制御目標電圧入力端子18に接続されている。なお、図1では、コイル19と終端器15が示されているが、コイルおよび終端器を内蔵するMZ型光変調器も知られており、コイルおよび終端器の使用は本質的ではない。
【0042】
入力信号端子1には、MZ光変調器3を駆動する周波数1R[Hz]の正弦波信号が入力される。駆動回路4は、入力信号端子1に印加される周波数1R[Hz]の正弦波信号を2Vπまで増幅し、その駆動信号を重畳回路13に出力する。重畳回路13は、ディザ信号源12が発生する低周波数fd[Hz]のディザ信号と駆動回路4が出力する駆動信号とを重畳し、内蔵するコンデンサによってDC成分をカットした駆動信号をMZ光変調器3の駆動端に出力する。なお、重畳回路13がコンデンサを内蔵しない場合は、重畳回路13の破壊防止のために、重畳回路13とMZ型光変調器53との間にコンデンサが必要である。
【0043】
MZ光変調器3は、連続光光源2から入射される連続光を重畳回路13からの駆動信号とコイル19からのDC信号(バイアス電圧)とに従って変調処理を行い、周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力する。変調された光信号は、光カプラ5を介して光出力端子16から外部に出射され、一部が光カプラ5から低速なPD6に入射される。
【0044】
PD6は、光カプラ5から入射される光信号に含まれる低周波数分であるディザ信号光成分を電気信号に変換する。したがって、PD6は、低速のものが用いられる。プリアンプ7は、PD6の出力電気信号を増幅し、ミキサ8の一方の入力端に与える。ミキサ8の他方の入力端には、ディザ信号源12が発生する低周波数のディザ信号が入力されている。したがって、ミキサ8は、低速なディザ信号同士の位相比較を行うことになるので、低速のものが用いられる。
【0045】
ミキサ8の出力は、LPF9に入力される。LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9は、ミキサ8の出力信号からDC成分のみを抽出する。演算増幅器17は、逆相入力端(−)に印加されるLPF9の出力信号と正相入力端(+)に印加される制御目標電圧入力端子18の入力信号との差動増幅を行う。通常、制御目標電圧入力端子18の入力信号はゼロである。加算器10は、DCバイアス電源11の出力信号と演算増幅器17の出力信号との加算を行い、バイアス電圧を発生する。バイアス電圧は、コイル19を介してMZ光変調器3の駆動端に与えられる。
【0046】
このように、バイアス電圧制御回路14では、ミキサ8の出力信号から誤差信号であるDC成分がLPF9にて抽出され、この誤差信号と制御目標値との差分が演算増幅器17にて求められ、演算増幅器17の出力信号と所定のDCバイアス電圧とを加算器10にて加算することで、誤差信号がMZ光変調器3に与えるバイアス電圧に変換され、コイル19を介してMZ光変調器3に供給される。
【0047】
これによって、MZ光変調器3においては、連続光光源2から入射される連続光が、信号入力端子1から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号に低周波数fd[Hz]が重畳された駆動信号よって変調され、2R[Hz]のパルス列光信号が光出力端子16から外部に出射される。その過程で、バイアス電圧制御系によって、MZ光変調器3に対し最適な動作点で安定的に動作するようなバイアス電圧の供給制御が行われることになる。
【0048】
次に、図2〜図5を参照して、図1に示した光送信装置で行われるバイアス電圧の供給制御動作を説明する。なお、図2は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。図3は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。図4は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。図5は、図1に示すLPFの出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係を示す特性図である。
【0049】
図2では、バイアス電圧が正しく設定されたときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0050】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しく設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、周波数2fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数2fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0051】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数2fd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0052】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、(f)に示すように、0レベルとなる。すなわち、LPF9の出力には、周波数fd[Hz]のディザ信号成分は観測されないことがわかる。
【0053】
図3では、バイアス電圧が正しい値からやや高いときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0054】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、周波数fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0055】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数fd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。(d)および(e)では、プリアンプ7の出力波形とディザ信号波形が逆相の関係にある。ディザ信号の位相を基準とした場合、プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0056】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、−(AB/2)となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、負方向のDC信号となり、周波数fd[Hz]のディザ信号成分が検出できることがわかる。
【0057】
図4では、バイアス電圧が正しい値からやや低いときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0058】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、図3(c)とは逆相である周波数fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0059】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数がfd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。(d)および(e)では、プリアンプ7の出力波形とディザ信号波形が同相の関係にある。ディザ信号の位相を基準とした場合、プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0060】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、AB/2となる。つまり、LPF9の出力信号は、(f)に示すように、正方向のDC信号となり、周波数fd[Hz]のディザ信号成分が検出できることがわかる。
【0061】
LPF9の出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係は、例えば図5に示すようになっている。図5において、横軸はバイアス電圧であり、中央に最適電圧点ゼロが規定され、そこから左側が低バイアス電圧で、右側が高バイアス電圧であるとしている。縦軸は、誤差信号であり、中央に0レベルが規定され、そこから上方が正極性(+)であり、下方が負極性(−)であるとしている。
【0062】
図5において、バイアス電圧が、最適電圧点0に設定できているときは、誤差信号は、0レベルである。図2に示したケースである。バイアス電圧が、最適電圧点0から高めに設定されると、誤差信号は、0レベルから負極性側に移行したレベルになる。図3に示したケースである。バイアス電圧が、最適電圧点0から低めに設定されると、誤差信号は、0レベルから正極性側に移行したレベルになる。図4に示したケースである。
【0063】
このように、LPF9からは、バイアス電圧の最適点0からのずれに対応した誤差信号が出力される。したがって、誤差信号が0レベルとなるようにバイアス制御回路14がMZ光変調器3に印加するバイアス電圧を制御することで、MZ光変調器3の動作点ドリフトの問題が解決でき、光出力端子16から出射される光信号の品質劣化を抑制することができる。
【0064】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図6では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0065】
図6に示すように、実施の形態2による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、重畳回路13を省略し、加算器10にてバイアス電圧にディザ信号源12からのディザ信号を重畳するようにしている。
【0066】
この構成によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器3の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。
【0067】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図7では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
【0068】
図7に示すように、実施の形態3による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、連続光光源2に代えて、パルス変調光光源21が設けられている。パルス変調光光源21は、周波数2R[Hz]のパルス変調光、または、ビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光を出射することができる。
【0069】
このようなパルス変調光光源21として、例えば、半導体レーザをゲインスイッチングしたもの、ファイバ型光増幅器を用いたリング発振器、MZ光変調器によって連続光をパルス状に変調したものなどを用いることができる。
【0070】
この実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器3の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。
【0071】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図8では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
【0072】
図8に示すように、実施の形態4による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、MZ光変調器3に代えて、MZ光変調器31が設けられ、それに伴い移相器32およびデバイダ33が設けられている。また、終端器34が設けられている。
【0073】
MZ光変調器31は、電極を2つ有するプッシュプル型MZ光変調器である。デバイダ33は、重畳回路13の出力信号振幅を2等分した変調器駆動信号を生成する。デバイダ33が生成する変調器駆動信号の一方は、プッシュプル型MZ光変調器が持つ2つの電極の一方に直接入力される。デバイダ33が生成する変調器駆動信号の他方は、移相器32にて180°移相されてプッシュプル型MZ光変調器が持つ2つの電極の他方に入力される。つまり、MZ光変調器31が有する2つの電極には、位相が180°異なる変調器駆動信号が入力される。
【0074】
この構成によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器31の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。加えて、プッシュプル型MZ光変調器を用いたので、光出力中に含まれるチャープの低減効果が得られる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、駆動手段によって、マッハツェンダ型光変調器の周波数1R[Hz]の信号と低周波のディザ信号との重畳が行われ、マッハツェンダ型光変調器が駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号源の出力信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、マッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。これによって、マッハツェンダ型光変調器では、動作点ドリフトが補償されるので、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制される。ここで、光信号/電気信号変換手段や位相比較手段は、低速のものでよいので、安価に構成することができる。
【0076】
つぎの発明によれば、上記の発明において、バイアス制御手段では、位相比較手段の出力信号がローパスフィルタに入力され、位相比較結果信号から直流成分が抽出される。ローパスフィルタの出力信号は、誤差信号として増幅手段に入力される。増幅手段では、ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分が増幅される。そして、バイアス電圧発生手段にて、増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算することで、マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧が生成される。このようにしてバイアス制御手段では、動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を生成し、マッハツェンダ型光変調器に供給することができる。
【0077】
つぎの発明によれば、マッハツェンダ型光変調器は、駆動手段が発生する周波数1R[Hz]の駆動信号によって駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧には、低周波数のディザ信号が重畳されている。したがって、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号には、ディザ信号が含まれている。このディザ信号が重畳されているバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がバイアス制御手段にてマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、ディザ信号と重畳されてマッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。これによって、マッハツェンダ型光変調器は、動作点ドリフトが補償されるので、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制される。ここで、光信号/電気信号変換手段や位相比較手段は、低速のものでよいので、安価に構成することができる。
【0078】
つぎの発明によれば、上記の発明において、被変調光信号の光源には、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源を用いることができる。
【0079】
つぎの発明によれば、上記の発明において、マッハツェンダ型光変調器が有する2つの電極には、極性が異なる駆動信号を入力される。すなわち、当該マッハツェンダ型光変調器は、プッシュプル型である。これよって、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制されるのに加えて、光信号中に含まれるチャープの低減効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。
【図3】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。
【図4】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【図5】図1に示すミキサの出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係を示す特性図である。
【図6】この発明の実施の形態2である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の光送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。
【図11】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。
【図12】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【符号の説明】
1 入力信号端子、2 連続光光源、3 マッハツェンダ型光変調器(MZ光変調器:シングル型)、4 駆動回路、5 光カプラ(CPL)、6 受光素子(PD)、7 プリアンプ、8 ミキサ、9 ローパスフィルタ(LPF)、10 加算器、11 DCバイアス電圧源、12 ディザ信号源、13 重畳回路、14 バイアス制御回路、15,34 終端器、16 光出力端子、17 演算増幅器、18 制御目標電圧入力端子、19 コイル、21 パルス変調光光源、31 マッハツェンダ型光変調器(MZ光変調器:プッシュプル型)、32
移相器、33 デバイダ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、外部光変調方式の光変調器であるマッハツェンダ(Mach−Zehnder)型光変調器を用いた光送信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信システムでは、レーザーダイオードを駆動電流で変調して電気信号に比例した光の強度信号を得る直接変調方式の光変調器を用いた光送信装置が用いられてきた。しかし、直接変調方式の光変調器では、伝送速度が数Gbit/secを超えると、光の波長が変化するチャーピング現象が生ずるので、伝送速度が数Gbit/secを超える超高速・広帯域光通信システムでは、このチャーピング現象が伝送容量を制限する要因となっていた。
【0003】
一方、外部変調方式の光変調器では、チャーピング現象が非常に小さく、10GHz以上の動作帯域も比較的簡単に得られる。そこで、外部光変調方式の光変調器を用いた光送信装置を大容量光通信システムに適用することが検討されている。外部変調器として最も一般的なものは、リチウムナイオベイト(LiNbO3)などの誘電体導波路の電気光学効果を利用したマッハツェンダ型光変調器(以下、「MZ変調器」という)である。
【0004】
MZ光変調器を変調信号S(t)で変調した場合の出力光信号I(t)は次の式(1)で表される。
I(t)=k{1+cos(β・S(t)+δ)} ・・・ (1)
なお、式(1)において、kは比例係数、βは変調度、δは動作点の位相である。
【0005】
MZ光変調器では、変調信号S(t)として2値のデジタル信号を用い、β=π/2とし、適当なDC電圧を印加して初期の位相δがπ/2となるように選ぶと、変調信号に比例して完全にオン/オフする光信号が得られる。
【0006】
また、式(1)においてβ=πとし、適当なDC電圧を印加して初期の位相δが0となるように選び、変調信号S(t)を繰り返し周波数1R[Hz]の正弦波とすると、出力光信号I(t)は次の式(2)で表される。
I(t)=k{1+cos(π・sin(2πRt))} ・・・ (2)
【0007】
式(2)から、出力光信号I(t)は、繰り返し周波数2R[Hz]でオン/オフする光信号となることがわかる。このように、MZ光変調器では、印加する正弦波信号の倍の周波数の光信号を出力することもできる。
【0008】
ところが、通常のリチウムナイオベイト(LiNbO3)によるMZ光変調器では、動作点の位相δが一定であれば問題ないが、動作点がドリフトしてしまうので、送信光信号の品質が劣化するという問題がある。ドリフトには、温度変化がもたらす焦電効果による熱ドリフトと、電極に印加したDC電圧が素子表面に形成する電荷分布によってドリフトするDCドリフトとがある。これらのドリフトによる動作点変動を補償するために、最適な動作点になるようにDC電圧(バイアス電圧)を印加することが必要である。
【0009】
以下に図9〜図12を参照して、従来のMZ光変調器を用いた光送信装置で採用されているMZ光変調器のバイアス電圧供給制御方法を説明する。なお、図9は、従来の光送信装置の構成例を示すブロック図である。図10は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。図11は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。図12は、図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【0010】
図9に示す光送信装置は、入力信号端子51とデバイダ70と連続光光源52とMZ光変調器53と駆動回路54と終端器64と光出力端子65とからなる送信系と、光カプラ55とフォトダイオード(PD)56とバンドパスフィルタ57とプリアンプ58とバイアス制御回路62とコイル69と移相器63とからなるバイアス電圧制御系とで構成されている。バイアス制御回路62は、ミキサ59とローパスフィルタ(LPF)61と演算増幅器60と加算器67とDCバイアス源68とを備えている。演算増幅器60の正相入力端(+)は、制御目標電圧入力端子66に接続されている。なお、図9では、コイル69と終端器64が示されているが、コイルおよび終端器を内蔵するMZ型光変調器も知られており、コイルおよび終端器の使用は本質的ではない。
【0011】
入力信号端子51には、周波数1R[Hz]の正弦波信号が入力される。この周波数1R[Hz]の正弦波信号は、デバイダ70にて2分岐され、一方が駆動回路54に入力され、他方が移相器63に入力される。駆動回路54は、デバイダ70から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号を2Vπまで増幅し、内蔵するコンデンサによってDC成分をカットした駆動信号をMZ型光変調器53の駆動端に出力する。なお、駆動回路54がコンデンサを内蔵しない場合は、駆動回路54の破壊防止のために、駆動回路54とMZ型光変調器53との間にコンデンサが必要である。移相器63は、ディバイダ70から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号の位相を調整してミキサ59の一方の入力端に与える。
【0012】
MZ光変調器53は、連続光光源52から入射される連続光を駆動回路54からの駆動信号とコイル69からのDC信号(バイアス電圧)とに従って変調処理を行い、周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力する。変調された光信号は、光カプラ55を介して光出力端子65から外部に出射され、一部が光カプラ55からPD56に入射される。
【0013】
PD56は、光カプラ55から入射される光信号を電気信号に変換する。中心周波数が1R[Hz]であるバンドパスフィルタ57は、PD56の出力信号中に含まれる周波数1R[Hz]成分の信号を抽出する。プリアンプ58は、バンドパスフィルタ57の出力信号を増幅し、ミキサ59の他方の入力端に与える。
【0014】
ミキサ59は、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波を実行する。LPF61は、カットオフ周波数が1R[Hz]よりも十分低い値に設定されており、ミキサ59の出力信号からDC成分のみを抽出する。演算増幅器60は、LPF61が出力するDC信号と制御目標電圧入力端子66の入力信号との差動増幅を行う。通常、制御目標電圧入力端子66の入力信号はゼロである。加算器67は、DCバイアス電源68の出力信号と演算増幅器60の出力信号との加算を行い、バイアス電圧を発生する。バイアス電圧は、コイル69を介してMZ光変調器53のバイアス端子に与えられる。
【0015】
このように、バイアス電圧制御回路62では、ミキサ59の出力信号から誤差信号であるDC成分がLPF61にて抽出され、この誤差信号と制御目標値との差分が演算増幅器60にて求められ、演算増幅器60の出力信号と所定のDCバイアス電圧とを加算器67にて加算することで、誤差信号がMZ光変調器53に与えるバイアス電圧に変換され、コイル69を介してMZ光変調器53に供給される。
【0016】
これによって、MZ光変調器53においては、連続光光源52から入射される連続光が信号入力端子51から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号によって変調され、周波数2Rのパルス状光信号が光出力端子65から外部に出射される。その過程で、バイアス電圧制御系によってMZ光変調器53に最適な動作点で安定的に動作するようなバイアス電圧の供給制御が行われることになる。
【0017】
なお、プリアンプ58を線形アンプとすることはさらに望ましい。また、バンドパスフィルタ57とプリアンプ58は、正弦波抽出手段を構成しており、正弦波抽出手段としてはPLLなどを用いることもできる。
【0018】
次に、図10〜図12を参照して、バイアス電圧の供給制御動作について説明する。図10では、バイアス電圧が正しく設定されたときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しく設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から周波数2R[Hz]のパルス状光信号が出力される。各パルス光は、振幅が揃っている。
【0019】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、一定振幅のレベル信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、周波数1R[Hz]の駆動信号である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Cをプリアンプ58の出力振幅、定数Aを移相器63の出力振幅、θを初期位相とすると、 C×Asin(2π×1Rt+θ) ・・・(3)
となる。
【0020】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、0レベルとなる。すなわち、LPF61の出力には、周波数1R[Hz]の信号成分は観測されないことがわかる。
【0021】
図11では、バイアス電圧が正しい値からやや高いときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から出力される周波数2Rのパルス状光信号は、振幅が1周期毎に異なり、一定ではなくなる。
【0022】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、周波数分1R[Hz]の信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、プリアンプ58の出力信号と同相である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Aを移相器63の出力振幅、定数Bをプリアンプ58の出力振幅とすると、
となる。
【0023】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力は、AB/2となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、正方向のDC信号となり、周波数1R[Hz]の信号が検出できることがわかる。
【0024】
図12では、バイアス電圧が正しい値からやや低いときのMZ光変調器の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、周波数1R[Hz]の駆動信号とバイアス電圧とが合成された信号である。動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器53の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや低い所に設定されていることが示されている。その結果、(c)に示すように、MZ光変調器53から出力される周波数2Rのパルス状光信号は、振幅が1周期毎に異なり、一定ではなくなる。図11(c)とは、位相が180度ずれた関係となっている。
【0025】
この場合には、(d)に示すように、プリアンプ58からは、周波数1R[Hz]の信号が出力される。移相器63の出力は、(e)に示すように、プリアンプ58の出力信号と逆相である。したがって、プリアンプ58の出力信号と移相器63の出力信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ59の出力は、定数Aを移相器63の出力振幅、定数Bをプリアンプ58の出力振幅とすると、
となる。
【0026】
LPF61のカットオフ周波数は、1R[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF61の出力は、−AB/2となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、負方向のDC信号となり、周波数1R[Hz]の信号が検出できることがわかる。
【0027】
このようにして、バイアス電圧の最適点からのずれに対応した誤差信号がLPF61から出力される。この誤差信号の極性は、バイアス電圧の正しい値からのずれの方向に応じて反転するので、バイアス電圧を制御する方向を知ることができる。したがって、この誤差信号を演算増幅器60に入力し、フィードバック制御を行うことで、MZ光変調器53の動作点ドリフトが抑圧できる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のバイアス電圧制御方法では、通常、MZ光変調器の駆動信号である1R周波数信号として5[GHz]の信号が用いられる。したがって、PDでは、MZ光変調器の出力光信号から5[GHz]の周波数信号を検出する必要がある。そのような高速PDは、高価である。また、中心周波数が5[GHz]であるバンドパスフィルタ、プリアンプおよびミキサも高価であるという問題がある。
【0029】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、安価な構成でMZ光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑圧できる光送信装置を得ることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる光送信装置は、被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の信号と低周波数のディザ信号とを重畳した前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる前記ディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するバイアス制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、駆動手段によって、マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の信号と低周波数のディザ信号との重畳が行われ、マッハツェンダ型光変調器が駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号源の出力信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、マッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。
【0032】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記バイアス制御手段は、前記位相比較手段の位相比較結果信号から直流成分を抽出するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算し前記マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧を発生するバイアス電圧発生手段とを備えたことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、上記の発明において、バイアス制御手段では、位相比較手段の出力信号がローパスフィルタに入力され、位相比較結果信号から直流成分が抽出される。ローパスフィルタの出力信号は、誤差信号として増幅手段に入力される。増幅手段では、ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分が増幅される。そして、バイアス電圧発生手段にて、増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算することで、マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧が生成される。
【0034】
つぎの発明にかかる光送信装置は、被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる低周波数のディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するとともに、発生したバイアス電圧に前記ディザ信号を重畳して前記マッハツェンダ型光変調器に出力するバイアス制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、マッハツェンダ型光変調器は、駆動手段が発生する周波数1R[Hz]の駆動信号によって駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧には、低周波数のディザ信号が重畳されている。したがって、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号には、ディザ信号が含まれている。このディザ信号が重畳されているバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にてその位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、ディザ信号と重畳されてマッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。
【0036】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記被変調光信号は、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源から生成されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、上記の発明において、前記被変調光信号の光源には、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源が用いられる。
【0038】
つぎの発明にかかる光送信装置は、上記の発明において、前記マッハツェンダ型光変調器は、電極を2つ有し、前記2つの電極に極性が異なる駆動信号を入力することで動作することを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、上記の発明において、前記マッハツェンダ型光変調器が有する2つの電極には、極性が異なる駆動信号を入力される。すなわち、当該マッハツェンダ型光変調器は、プッシュプル型である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光送信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0041】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である光送信装置の構成を示すブロック図である。図1に示す光送信装置は、入力信号端子1と連続光光源2とMZ光変調器3と駆動回路4と終端器15と光出力端子16とからなる送信系と、光カプラ5とフォトダイオード(PD)6とプリアンプ7とバイアス制御回路14とコイル19とディザ信号源12と重畳回路13とからなるバイアス電圧制御系とで構成されている。重畳回路13は、駆動回路4の出力信号とディザ信号源12からのディザ信号とを重畳するようになっている。バイアス制御回路14は、ミキサ8とローパスフィルタ(LPF)9と演算増幅器17とDCバイアス電圧源11と加算器10とを備えている。演算増幅器17の正相入力端(+)は、制御目標電圧入力端子18に接続されている。なお、図1では、コイル19と終端器15が示されているが、コイルおよび終端器を内蔵するMZ型光変調器も知られており、コイルおよび終端器の使用は本質的ではない。
【0042】
入力信号端子1には、MZ光変調器3を駆動する周波数1R[Hz]の正弦波信号が入力される。駆動回路4は、入力信号端子1に印加される周波数1R[Hz]の正弦波信号を2Vπまで増幅し、その駆動信号を重畳回路13に出力する。重畳回路13は、ディザ信号源12が発生する低周波数fd[Hz]のディザ信号と駆動回路4が出力する駆動信号とを重畳し、内蔵するコンデンサによってDC成分をカットした駆動信号をMZ光変調器3の駆動端に出力する。なお、重畳回路13がコンデンサを内蔵しない場合は、重畳回路13の破壊防止のために、重畳回路13とMZ型光変調器53との間にコンデンサが必要である。
【0043】
MZ光変調器3は、連続光光源2から入射される連続光を重畳回路13からの駆動信号とコイル19からのDC信号(バイアス電圧)とに従って変調処理を行い、周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力する。変調された光信号は、光カプラ5を介して光出力端子16から外部に出射され、一部が光カプラ5から低速なPD6に入射される。
【0044】
PD6は、光カプラ5から入射される光信号に含まれる低周波数分であるディザ信号光成分を電気信号に変換する。したがって、PD6は、低速のものが用いられる。プリアンプ7は、PD6の出力電気信号を増幅し、ミキサ8の一方の入力端に与える。ミキサ8の他方の入力端には、ディザ信号源12が発生する低周波数のディザ信号が入力されている。したがって、ミキサ8は、低速なディザ信号同士の位相比較を行うことになるので、低速のものが用いられる。
【0045】
ミキサ8の出力は、LPF9に入力される。LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9は、ミキサ8の出力信号からDC成分のみを抽出する。演算増幅器17は、逆相入力端(−)に印加されるLPF9の出力信号と正相入力端(+)に印加される制御目標電圧入力端子18の入力信号との差動増幅を行う。通常、制御目標電圧入力端子18の入力信号はゼロである。加算器10は、DCバイアス電源11の出力信号と演算増幅器17の出力信号との加算を行い、バイアス電圧を発生する。バイアス電圧は、コイル19を介してMZ光変調器3の駆動端に与えられる。
【0046】
このように、バイアス電圧制御回路14では、ミキサ8の出力信号から誤差信号であるDC成分がLPF9にて抽出され、この誤差信号と制御目標値との差分が演算増幅器17にて求められ、演算増幅器17の出力信号と所定のDCバイアス電圧とを加算器10にて加算することで、誤差信号がMZ光変調器3に与えるバイアス電圧に変換され、コイル19を介してMZ光変調器3に供給される。
【0047】
これによって、MZ光変調器3においては、連続光光源2から入射される連続光が、信号入力端子1から入力される周波数1R[Hz]の正弦波信号に低周波数fd[Hz]が重畳された駆動信号よって変調され、2R[Hz]のパルス列光信号が光出力端子16から外部に出射される。その過程で、バイアス電圧制御系によって、MZ光変調器3に対し最適な動作点で安定的に動作するようなバイアス電圧の供給制御が行われることになる。
【0048】
次に、図2〜図5を参照して、図1に示した光送信装置で行われるバイアス電圧の供給制御動作を説明する。なお、図2は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。図3は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。図4は、図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。図5は、図1に示すLPFの出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係を示す特性図である。
【0049】
図2では、バイアス電圧が正しく設定されたときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0050】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しく設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、周波数2fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数2fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0051】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数2fd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0052】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、(f)に示すように、0レベルとなる。すなわち、LPF9の出力には、周波数fd[Hz]のディザ信号成分は観測されないことがわかる。
【0053】
図3では、バイアス電圧が正しい値からやや高いときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0054】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、周波数fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0055】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数fd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。(d)および(e)では、プリアンプ7の出力波形とディザ信号波形が逆相の関係にある。ディザ信号の位相を基準とした場合、プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0056】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、−(AB/2)となる。つまり、LPF61の出力信号は、(f)に示すように、負方向のDC信号となり、周波数fd[Hz]のディザ信号成分が検出できることがわかる。
【0057】
図4では、バイアス電圧が正しい値からやや低いときのMZ光変調器3の動作が示されている。入力信号(駆動電圧)(a)は、MZ光変調器3に入力される重畳回路13の出力信号を表している。ディザ信号源12から出力された低周波数fd[Hz]のディザ信号は、重畳回路13によって駆動回路4が出力するMZ光変調器駆動信号に重畳される。
【0058】
動作特性曲線(b)は、式(2)で与えられるMZ光変調器3の動作特性曲線を示している。バイアス電圧が正しい値からやや高い所に設定されていることが示されている。その結果、MZ光変調器3の出力光信号には、(c)に示すように、図3(c)とは逆相である周波数fd[Hz]の低周波数分光が含まれている。PD6は、この周波数fd[Hz]の低周波数分光を電気信号に変換する。
【0059】
この場合には、プリアンプ7の出力には、(d)に示すように、周波数がfd[Hz]である電気信号が得られる。(e)は、ディザ信号源12から出力されたディザ信号波形を表している。(d)および(e)では、プリアンプ7の出力波形とディザ信号波形が同相の関係にある。ディザ信号の位相を基準とした場合、プリアンプ7の出力信号とディザ信号とを掛け算して同期検波したときのミキサ8の出力は、定数Aをディザ信号源12の出力振幅とし、定数Bをプリアンプ7の出力振幅とすると、
となる。
【0060】
LPF9のカットオフ周波数は、fd[Hz]に比べて十分低く設定されている。したがって、LPF9の出力は、AB/2となる。つまり、LPF9の出力信号は、(f)に示すように、正方向のDC信号となり、周波数fd[Hz]のディザ信号成分が検出できることがわかる。
【0061】
LPF9の出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係は、例えば図5に示すようになっている。図5において、横軸はバイアス電圧であり、中央に最適電圧点ゼロが規定され、そこから左側が低バイアス電圧で、右側が高バイアス電圧であるとしている。縦軸は、誤差信号であり、中央に0レベルが規定され、そこから上方が正極性(+)であり、下方が負極性(−)であるとしている。
【0062】
図5において、バイアス電圧が、最適電圧点0に設定できているときは、誤差信号は、0レベルである。図2に示したケースである。バイアス電圧が、最適電圧点0から高めに設定されると、誤差信号は、0レベルから負極性側に移行したレベルになる。図3に示したケースである。バイアス電圧が、最適電圧点0から低めに設定されると、誤差信号は、0レベルから正極性側に移行したレベルになる。図4に示したケースである。
【0063】
このように、LPF9からは、バイアス電圧の最適点0からのずれに対応した誤差信号が出力される。したがって、誤差信号が0レベルとなるようにバイアス制御回路14がMZ光変調器3に印加するバイアス電圧を制御することで、MZ光変調器3の動作点ドリフトの問題が解決でき、光出力端子16から出射される光信号の品質劣化を抑制することができる。
【0064】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図6では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0065】
図6に示すように、実施の形態2による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、重畳回路13を省略し、加算器10にてバイアス電圧にディザ信号源12からのディザ信号を重畳するようにしている。
【0066】
この構成によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器3の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。
【0067】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図7では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
【0068】
図7に示すように、実施の形態3による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、連続光光源2に代えて、パルス変調光光源21が設けられている。パルス変調光光源21は、周波数2R[Hz]のパルス変調光、または、ビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光を出射することができる。
【0069】
このようなパルス変調光光源21として、例えば、半導体レーザをゲインスイッチングしたもの、ファイバ型光増幅器を用いたリング発振器、MZ光変調器によって連続光をパルス状に変調したものなどを用いることができる。
【0070】
この実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器3の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。
【0071】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4である光送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図8では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
【0072】
図8に示すように、実施の形態4による光送信装置は、実施の形態1(図1)に示した構成において、MZ光変調器3に代えて、MZ光変調器31が設けられ、それに伴い移相器32およびデバイダ33が設けられている。また、終端器34が設けられている。
【0073】
MZ光変調器31は、電極を2つ有するプッシュプル型MZ光変調器である。デバイダ33は、重畳回路13の出力信号振幅を2等分した変調器駆動信号を生成する。デバイダ33が生成する変調器駆動信号の一方は、プッシュプル型MZ光変調器が持つ2つの電極の一方に直接入力される。デバイダ33が生成する変調器駆動信号の他方は、移相器32にて180°移相されてプッシュプル型MZ光変調器が持つ2つの電極の他方に入力される。つまり、MZ光変調器31が有する2つの電極には、位相が180°異なる変調器駆動信号が入力される。
【0074】
この構成によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られ、光出力端子16から出射される光信号におけるMZ光変調器31の動作点ドリフトによる品質劣化を抑制することができる。加えて、プッシュプル型MZ光変調器を用いたので、光出力中に含まれるチャープの低減効果が得られる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、駆動手段によって、マッハツェンダ型光変調器の周波数1R[Hz]の信号と低周波のディザ信号との重畳が行われ、マッハツェンダ型光変調器が駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号源の出力信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、マッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。これによって、マッハツェンダ型光変調器では、動作点ドリフトが補償されるので、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制される。ここで、光信号/電気信号変換手段や位相比較手段は、低速のものでよいので、安価に構成することができる。
【0076】
つぎの発明によれば、上記の発明において、バイアス制御手段では、位相比較手段の出力信号がローパスフィルタに入力され、位相比較結果信号から直流成分が抽出される。ローパスフィルタの出力信号は、誤差信号として増幅手段に入力される。増幅手段では、ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分が増幅される。そして、バイアス電圧発生手段にて、増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算することで、マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧が生成される。このようにしてバイアス制御手段では、動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を生成し、マッハツェンダ型光変調器に供給することができる。
【0077】
つぎの発明によれば、マッハツェンダ型光変調器は、駆動手段が発生する周波数1R[Hz]の駆動信号によって駆動される。マッハツェンダ型光変調器のバイアス電圧は、バイアス制御手段から供給されるが、このバイアス電圧には、低周波数のディザ信号が重畳されている。したがって、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号には、ディザ信号が含まれている。このディザ信号が重畳されているバイアス電圧の供給は、次のようにしてフィードバック制御される。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の出力信号の一部が光信号/電気信号変換手段にて電気信号に変換され、マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれるディザ信号成分が検出される。そして、位相比較手段にて、光信号/電気信号変換手段の出力信号とディザ信号との位相比較が行われる。ついで、バイアス制御手段にて、その位相比較結果信号に基づきマッハツェンダ型光変調器の動作点の誤差信号が検出され、検出された誤差信号がバイアス制御手段にてマッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧に変換され、ディザ信号と重畳されてマッハツェンダ型光変調器のバイアス端子に印加される。これによって、マッハツェンダ型光変調器は、動作点ドリフトが補償されるので、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制される。ここで、光信号/電気信号変換手段や位相比較手段は、低速のものでよいので、安価に構成することができる。
【0078】
つぎの発明によれば、上記の発明において、被変調光信号の光源には、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源を用いることができる。
【0079】
つぎの発明によれば、上記の発明において、マッハツェンダ型光変調器が有する2つの電極には、極性が異なる駆動信号を入力される。すなわち、当該マッハツェンダ型光変調器は、プッシュプル型である。これよって、マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトによる送信光信号の品質劣化が抑制されるのに加えて、光信号中に含まれるチャープの低減効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。
【図3】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。
【図4】図1に示す光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【図5】図1に示すミキサの出力(誤差信号)とバイアス電圧との関係を示す特性図である。
【図6】この発明の実施の形態2である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4である光送信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の光送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値の場合)。
【図11】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干高い場合)。
【図12】図9に示す従来の光送信装置でのバイアス電圧の供給制御動作を説明する各部の波形図である(バイアス電圧が正しい値から若干低い場合)。
【符号の説明】
1 入力信号端子、2 連続光光源、3 マッハツェンダ型光変調器(MZ光変調器:シングル型)、4 駆動回路、5 光カプラ(CPL)、6 受光素子(PD)、7 プリアンプ、8 ミキサ、9 ローパスフィルタ(LPF)、10 加算器、11 DCバイアス電圧源、12 ディザ信号源、13 重畳回路、14 バイアス制御回路、15,34 終端器、16 光出力端子、17 演算増幅器、18 制御目標電圧入力端子、19 コイル、21 パルス変調光光源、31 マッハツェンダ型光変調器(MZ光変調器:プッシュプル型)、32
移相器、33 デバイダ。
Claims (5)
- 被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の信号と低周波数のディザ信号とを重畳した前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、
前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる前記ディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、
前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、
前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するバイアス制御手段と、
を備えたことを特徴とする光送信装置。 - 前記バイアス制御手段は、
前記位相比較手段の位相比較結果信号から直流成分を抽出するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタの出力信号と制御目標信号との差分を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の出力信号と所定の直流バイアス電圧とを加算し前記マッハツェンダ型光変調器に与えるバイアス電圧を発生するバイアス電圧発生手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光送信装置。 - 被変調光信号を駆動信号に従って変調処理して周波数2R[Hz]のパルス列光信号を出力するマッハツェンダ型光変調器と、
前記マッハツェンダ型光変調器の駆動周波数1R[Hz]の前記駆動信号を発生し前記マッハツェンダ型光変調器に対して出力する駆動手段と、
前記マッハツェンダ型光変調器の出力光信号に含まれる低周波数のディザ信号の周波数成分を電気信号に変換する光信号/電気信号変換手段と、
前記光信号/電気信号変換手段の出力信号と前記ディザ信号との位相比較を行う位相比較手段と、
前記位相比較手段の位相比較結果信号に基づいて前記マッハツェンダ型光変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生するとともに、発生したバイアス電圧に前記ディザ信号を重畳して前記マッハツェンダ型光変調器に出力するバイアス制御手段と、
を備えたことを特徴とする光送信装置。 - 前記被変調光信号は、連続光光源、または周波数2R[Hz]のパルス変調光光源ないしはビットレート2R[bit/sec]のパルス変調光光源から生成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光送信装置。
- 前記マッハツェンダ型光変調器は、電極を2つ有し、前記2つの電極に極性が異なる駆動信号を入力することで動作することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光送信装置。
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