JP4462737B2 - アクリル系合成繊維用処理剤及びアクリル系合成繊維の処理方法 - Google Patents

アクリル系合成繊維用処理剤及びアクリル系合成繊維の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクリル系合成繊維用処理剤(以下、単に処理剤という)及びこれを用いるアクリル系合成繊維の処理方法(以下、単に処理方法という)に関する。アクリル系合成繊維を湿式紡糸法で製造する場合、ゲル膨潤状態の繊維束に処理剤を付着する。ここで付着する処理剤には、繊維束を構成している単繊維同士の膠着を防止し、その後の工程通過性を良くするものであることが要求される。一方、近年のアクリル系合成繊維の紡績では、生産コストの低減や生産性の向上を一層図るため、高速リング紡績や高速ローター式オープンエンド紡績等の高速紡績への転換が進んでいる。かかる高速紡績では、例えば高速リング紡績では、紡績速度の高速化に伴い、いわゆる焼け玉が発生する。かかる焼け玉はアクリル系合成繊維由来の微小溶融物であり、その発生主原因は、アクリル系合成繊維がカード、練条、粗紡、精紡等の紡績各工程において種々の機材と高速で接触して通過することにより生じた合成繊維表面の損傷や毛羽が高温の糸導部位で擦過されるところにある。本発明は、アクリル系合成繊維に優れた膠着防止性、工程通過性及び焼け玉防止性を付与する処理剤及びこれを用いる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記したような処理剤として、所定の分子量分布を有するポリオキシアルキレンブロック共重合体を含有する各種の処理剤が提案されている(特開昭62−223379、特開昭62−223380、特開昭62−223381、特開昭63−303125)。ところが、これら従来の処理剤には、アクリル系合成繊維に相応の膠着防止性及び工程通過性を付与できるものの、焼け玉防止性、とりわけ高速紡績における焼け玉防止性を付与できないという問題がある。前記したような処理剤としては、アルキルホスフェートカリウム塩を主成分とする処理剤(特開昭60−224867、特開昭60−224868、特開昭60−224869、特開平10−212664)、アルキルホスフェートカリウム塩と、パラフィンワックスと、カチオン性界面活性剤とを含有する処理剤(特開平6−108361)、アルキルホスフェート又はアルキルエーテルノニオンホスフェートをアニオン対とする第4級アンモニウム塩と、高分子量のポリオキシエチレン化合物とを含有する処理剤(特開平3−174069)、アルキルアミノエーテル、そのリン酸塩又はその4級化物と、アルキルホスフェートカリウム塩又は高級脂肪酸カリウム塩とを含有する処理剤(特開平10−183469)等も提案されている。ところが、これら従来の処理剤には、高速紡績においてアクリル系合成繊維に相応の焼け玉防止性を付与できるものの、膠着防止性及び工程通過性を付与できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の処理剤では、これらをアクリル系合成繊維に付着しても、膠着防止性、工程通過性及び焼け玉防止性を同時に且つ充分に付与できない点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記課題を解決するべく研究した結果、ポリオキシアルキレンブロック共重合体、油脂エチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテル、含窒素有機化合物及び有機リン酸エステル塩、以上の特定の5成分がそれぞれ所定割合から成る処理剤が好適であり、またかかる処理剤をアクリル系合成繊維に所定量付着する処理方法が好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記のa成分が20〜60重量%、下記のb成分が10〜30重量%、下記のc成分が10〜30重量%、下記のd成分が5〜20重量%及び下記のe成分が5〜20重量%(合計100重量%)の割合から成ることを特徴とする処理剤に係る。また本発明は、上記の処理剤をアクリル系合成繊維に対し0.02〜1.5重量%となるよう付着することを特徴とする処理方法に係る。
【0006】
a成分:1〜3個の水酸基を有する炭素数1〜6の脂肪族ヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合した数平均分子量2000〜13000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=10/90〜80/20(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体
【0007】
b成分:炭素数12〜22の脂肪酸残基を有するグリセライドを主成分とする油脂及び/又は水添油脂1モル当たりエチレンオキサイドを100〜250モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
【0008】
c成分:アルケニル基の炭素数が16〜22であり且つオキシエチレン単位の繰り返し数が10〜30であるポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテル
【0009】
d成分:下記の1)〜8)から選ばれる含窒素有機化合物
1)炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数4〜15で且つ窒素数3〜6の脂肪族ポリアルキレンポリアミンとを縮合反応した脂肪酸アミド、2)前記1)の脂肪酸アミドの塩、3)前記1)の脂肪酸アミドにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド、4)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩、5)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物、6)前記1)の脂肪酸アミド2分子を炭素−窒素結合形成性架橋剤を用いて架橋した脂肪酸アミド架橋体、7)エチレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合した平均分子量5000〜50000の含窒素ポリオキシアルキレン化合物、8)アミノ当量1000〜4000のアミノ変性ポリオルガノシロキサン
【0010】
e成分:下記の式1で示される有機リン酸エステル塩
【0011】
【式1】
Figure 0004462737
【0012】
式1において、
R:炭素数12〜22の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを合計5〜30モルの割合で付加重合した片末端封鎖ポリオキシアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
M:アルカリ金属
m,n:1又は2であって、m+n=3を満足する整数
【0013】
本発明の処理剤に用いるa成分には、1)炭素数1〜6の脂肪族モノヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合したポリオキシアルキレンブロック共重合体、2)炭素数2〜6の脂肪族ジヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合したポリオキシアルキレンブロック共重合体、3)炭素数3〜6の脂肪族トリヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合したポリオキシアルキレンブロック共重合体、及び4)これらの混合物が包含される。いずれのポリオキシアルキレンブロック共重合体も数平均分子量は2000〜13000とするが、5000〜12000とするのが好ましい。
【0014】
a成分のポリオキシアルキレンブロック共重合体の原料となるヒドロキシ化合物としては、1)メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール等の炭素数1〜6の脂肪族モノヒドロキシ化合物、2)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜6の脂肪族ジヒドロキシ化合物、3)グリセリン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン等の炭素数3〜6の脂肪族トリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0015】
a成分のポリオキシアルキレンブロック共重合体は、前記した脂肪族ヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合したものであるが、かかる付加重合においてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの脂肪族ヒドロキシ化合物への付加重合の順序は制限されない。分子中にポリオキシエチレンブロックとポリオキシプロピレンブロックとが形成されたブロック共重合体であればよい。
【0016】
a成分のポリオキシアルキレンブロック共重合体において、ポリオキシアルキレン基を構成するオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との割合は、オキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=10/90〜80/20(モル比)とするが、55/45〜80/20(モル比)とするのが好ましい。
【0017】
a成分のポリオキシアルキレンブロック共重合体は、公知の方法で合成することができる。これには例えば、特公昭58−58364号公報に記載の方法が挙げられる。
【0018】
本発明の処理剤に用いるb成分には、1)炭素数12〜22の脂肪酸残基を有するグリセライドを主成分とする油脂1モル当たりエチレンオキサイドを100〜250モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物、2)炭素数12〜22の脂肪酸残基を有するグリセライドを主成分とする水添油脂1モル当たりエチレンオキサイドを100〜250モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物、及び3)これらの混合物が包含される。
【0019】
b成分の油脂エチレンオキサイド付加物の原料となる油脂としては、1)アマニ油、キリ油、カヤ油、クルミ油、大豆油、ケシ油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、菜種油、米ヌカ油、落花生油、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、木ロウ等の植物油脂、2)牛脂、豚脂、羊脂等の動物油脂が挙げられる。また水添油脂としては、3)水添アマニ油、水添キリ油、水添カヤ油、水添クルミ油、水添大豆油、水添ケシ油、水添ヒマワリ油、水添綿実油、水添トウモロコシ油、水添ゴマ油、水添菜種油、水添米ヌカ油、水添落花生油、水添オリーブ油、水添ツバキ油、水添ヒマシ油、水添パーム油、水添パーム核油、水添ヤシ油、水添カカオ脂、水添木ロウ等の水添植物油脂、4)水添牛脂、水添豚脂、水添羊脂等の水添動物油脂が挙げられる。以上例示した油脂及び水添油脂のなかではヒマシ油が好ましい。
【0020】
b成分の油脂エチレンオキサイド付加物は、公知の方法で合成することができる。これには例えば、特公平6−88944号公報に記載の方法が挙げられる。
【0021】
本発明の処理剤に用いるc成分は、アルケニル基の炭素数が16〜22、好ましくは16〜18であって、且つオキシエチレン単位の繰り返し数が10〜30、好ましくは15〜25であるポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテルである。
【0022】
本発明の処理剤に用いるd成分は、含窒素有機化合物である。かかる含窒素有機化合物としては、1)炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数4〜15で且つ窒素数3〜6の脂肪族ポリアルキレンポリアミンとを縮合反応した脂肪酸アミド、2)前記1)の脂肪酸アミドの塩、3)前記1)の脂肪酸アミドにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド、4)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩、5)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物、6)前記1)の脂肪酸アミド2分子を炭素−窒素結合形成性架橋剤を用いて架橋した脂肪酸アミド架橋体、7)エチレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合した平均分子量5000〜50000の含窒素ポリオキシアルキレン化合物、8)アミノ当量1000〜4000のアミノ変性ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。これらのうちでは、前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド、前記4)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩、前記5)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物、前記6)の脂肪酸アミド架橋体、前記7)の含窒素ポリオキシアルキレン化合物が好ましい。
【0023】
d成分の含窒素有機化合物として例示した脂肪酸アミドにおいて、その原料となる脂肪酸としては、1)カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、2−エチルヘキサノイック酸、イソステアリン酸等の炭素数8〜22の飽和脂肪酸、2)カプロレイン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エルシン酸等の炭素数8〜22の不飽和脂肪酸が挙げられるが、なかでも炭素数12〜18の飽和脂肪酸が好ましい。
【0024】
またd成分の含窒素有機化合物として例示した脂肪酸アミドにおいて、その原料となる脂肪族ポリアルキレンポリアミンとしては、1)ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリエチレンポリアミン、2)ジプロピレントリアミン、テトラプロピレンペンタミン等のポリプロピレンポリアミン等が挙げられるが、なかでもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好ましい。
【0025】
以上説明したような脂肪酸アミドは、脂肪酸と脂肪族ポリアルキレンポリアミンとを縮合反応させる公知の方法で合成できる。これには例えば、特公昭42−2635号公報に記載の方法が挙げられる。この場合、縮合反応に供する脂肪酸と脂肪族ポリアルキレンポリアミンとの割合は任意であるが、脂肪酸/脂肪族ポリアルキレンポリアミン=1/1〜2/1(モル)の割合とするのが好ましい。
【0026】
d成分の含窒素有機化合物として例示した脂肪酸アミドの塩は、前記した脂肪酸アミド中のアミノ基の一部若しくは全部を有機酸又は無機酸で中和したものである。中和に用いる有機酸としては、1)酢酸、プロピオン酸、カプロン酸等の炭素数2〜6の脂肪族モノカルボン酸、2)グルコール酸、乳酸、リンゴ酸等の炭素数2〜4の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、3)メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸等の炭素数8〜12のアルキルスルホン酸、4)ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、5)トルエンスルホン酸、ドデシルベンセンスルホン酸等の炭素数1〜9のアルキル基で置換された置換芳香族スルホン酸、6)メチル酸性リン酸エステル、ブチル酸性リン酸エステル、ラウリル酸性リン酸エステル等の炭素数1〜12のアルキル酸性リン酸エステルが挙げられ、また中和に用いる無機酸としては、塩酸、リン酸、亜リン酸、ホウ酸等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜6の脂肪族モノカルボン酸、炭素数2〜4の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、炭素数1〜12のアルキル酸性リン酸エステルが好ましい。
【0027】
d成分の含窒素有機化合物として例示した脂肪酸アミドの塩において、脂肪酸アミドのアミノ基に対する有機酸又は無機酸による中和度は任意であるが、脂肪酸アミド中のアミノ基を50モル%以上中和したものが好ましい。
【0028】
d成分の含窒素有機化合物として例示したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドは、前記した脂肪酸アミドのアミノ基にアルキレンオキサイドを付加重合したものである。かかるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられ、またその付加形態としては、ランダム型、ブロック型、これらの混合型が挙げられるが、なかでも脂肪酸アミドに先ずエチレンオキサイドを付加重合し、次いでプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック型のものが好ましく、この場合、オキシエチレン基/オキシプロピレン基=25/75〜50/50(モル比)の割合で有するものがより好ましい。
【0029】
d成分の含窒素有機化合物として例示したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドにおいて、アミノ基1個当たりのアルキレンオキサイドの付加モル数は任意であるが、3〜60モルとするのが好ましく、3〜30モルとするのがより好ましい。
【0030】
以上説明したようなポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドは、脂肪酸アミドにアルキレンオキサイドを塩基性触媒存在下に逐次付加重合する公知の方法で合成できる。これには例えば、米国特許2649473に記載の方法が挙げられる。
【0031】
d成分の含窒素有機化合物として例示したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩は、前記したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド中のアミノ基の一部若しくは全部を有機酸又は無機酸で中和したものである。中和に用いる有機酸や無機酸の種類は、前記した脂肪酸アミドの塩の場合と同じである。
【0032】
d成分の含窒素有機化合物として例示したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩において、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドのアミノ基に対する有機酸又は無機酸による中和度は任意であるが、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド中のアミノ基を50モル%以上中和したものが好ましい。
【0033】
d成分の含窒素有機化合物として例示したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物は、前記したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド中の3級アミノ基の一部若しくは全部を4級化剤で4級化したものである。かかる4級化剤としては、1)メチルクロライド、エチルブロマイド、ブチルアイオダイド、ベンジルクロライド等の炭素数1〜8のモノハロゲン化炭化水素、2)ジメチルサルフェート、ジエチルサルフェート等のアルキル基の炭素数が1〜3のジアルキルサルフェート、3)トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のアルキル基の炭素数が1〜8のトリアルキルホスフェート、4)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数1〜3のジアルキルサルフェート、アルキル基の炭素数1〜8のトリアルキルホスフェートが好ましい。
【0034】
d成分のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物において、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド中の3級アミノ基に対する4級化剤による4級化率は任意であるが、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド中の3級アミノ基を50モル%以上4級化したものが好ましい。
【0035】
以上説明したようなポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物は、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドを4級化剤で4級化する公知の方法で合成できる。これには例えば、米国特許2127476、米国特許2295655、ドイツ特許805521、特公昭64−504号公報に記載の方法が挙げられる。
【0036】
d成分の含窒素有機化合物として例示した脂肪酸アミド架橋体は、脂肪酸アミド2分子を炭素−窒素結合形成性架橋剤を用いて架橋したものである。かかる炭素−窒素結合形成性架橋剤としては、1)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物、2)ソルビトールトリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル化合物、3)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、α、ω−ドデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数4〜22の脂肪族二塩基酸、4)コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル等の、前記3)の脂肪族二塩基酸のエステル形成性誘導体、5)トリレンジイソシアネート、メチレン−ビス−(4−フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート、6)尿素、ジエチル炭酸エステル、ジプロピル炭酸エステル等の縮合的架橋剤、7)エピクロルヒドリン等が挙げられるが、なかでも尿素、エピクロルヒドリン、ソルビトールトリグリシジルエーテルが好ましい。
【0037】
以上説明したような脂肪酸アミド架橋体は、前記した脂肪酸アミド2分子を炭素−窒素結合形成性架橋剤を用いて架橋する公知の方法で合成できる。これには例えば、特公昭37−12043号公報、特公昭37−12045号公報に記載の方法が挙げられる。
【0038】
d成分の含窒素有機化合物として例示した含窒素ポリオキシアルキレン化合物は、エチレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合した平均分子量5000〜50000の化合物である。かかるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられ、またその付加形態としては、ランダム型、ブロック型、これらの混合型が挙げられるが、なかでもエチレンジアミンに先ずプロピレンオキサイドを付加重合し、次いでエチレンオキサイドを付加重合したポリオキシプロピレン−ポリオキシオキシエチレンブロック型のものがより好ましく、この場合、オキシプロピレン基/オキシエチレン基=10/90〜50/50(モル比)の割合で有するものがより好ましい。
【0039】
d成分の含窒素有機化合物として例示した含窒素ポリオキシアルキレン化合物において、その平均分子量は5000〜500000とするが、10000〜30000とするのが好ましい。
【0040】
以上説明したような含窒素ポリオキシアルキレン化合物は、エチレンジアミン1モル当たりアルキレンオキサイドを4モルの割合で無触媒下に付加した後、更にアルキレンオキサイドを塩基性触媒存在下に逐次付加重合する公知の方法で合成できる。これには例えば、米国特許2871266に記載の方法が挙げられる。
【0041】
d成分の含窒素有機化合物として例示したアミノ変性ポリオルガノシロキサンは、分子中にアミノ変性基を有するシロキサン基を有する線状ポリオルガノシロキサンである。かかるアミノ変性基としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基等が挙げられるが、なかでも2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が好ましい。
【0042】
d成分の含窒素有機化合物として例示したアミノ変性ポリオルガノシロキサンにおいて、そのアミノ当量は1000〜4000とするが、1200〜3000とするのが好ましい。
【0043】
以上説明したようなアミノ変性ポリオルガノシロキサンは、相当する単量体の混合物を常法にしたがって縮重合することにより合成できるが、市販品をそのまま利用することもできる。かかる市販品としては、TSF4700、TSF4701、TSF4702(いずれも商品名、東芝シリコーン社製)、SF8417(商品名、東レダウコーニング社製)、ポロンMF−14D、ポロンMF−14E(いずれも商品名、信越化学社製)、FZ−3705、FZ−338(いずれも商品名、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
【0044】
本発明の処理剤に用いるe成分は式1で示される有機リン酸エステル塩である。かかる有機リン酸エステル塩は、炭素数12〜22の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを合計5〜30モルの割合で付加重合した片末端封鎖ポリオキシアルキレングリコールをリン酸化剤と反応させ、得られた酸性リン酸エステルをアルカリ金属で中和することにより得ることができる。
【0045】
式1で示される有機リン酸エステル塩には、1)アルキル基の炭素数が12〜22であって、ポリオキシアルキレン基が5〜30個のオキシアルキレン単位の繰り返しからなるポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、2)アルケニル基の炭素数が12〜22であって、ポリオキシアルキレン基が5〜30個のオキシアルキレン単位の繰り返しからなるポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩が包含される。上記のポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩には、モノポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、ジポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、及びこれらの混合物が包含される。また上記のポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩には、モノポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、ジポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩、及びこれらの混合物が包含される。e成分としては、なかでもモノポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩とジポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩との混合物が好ましい。
【0046】
式1で示される有機リン酸エステル塩において、前記したようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩或はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩としては、アルキル基或はアルケニル基の炭素数が12〜22のものを用いるが、12〜18のものを用いるのが好ましい。またアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチュウム等を用いるが、カリウムを用いたものが好ましい。
【0047】
式1で示される有機リン酸エステル塩において、前記したようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェートアルカリ金属塩或はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルホスフェートアルカリ金属塩としては、ポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位を50モル%以上有するものを用いるのが好ましく、オキシエチレン単位のみを有するものを用いるのがより好ましい。かかるポリオキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の繰り返し数は5〜30とするが、10〜25とするのが好ましい。
【0048】
本発明の処理剤は、以上説明したようなa成分、b成分、c成分、d成分及びe成分の5成分系から成るものであって、a成分が20〜60重量%、b成分が10〜30重量%、c成分が10〜30重量%、d成分が5〜20重量%、及びe成分が5〜20重量%(合計100重量%)の割合から成るものであるが、a成分が25〜55重量%、b成分が15〜25重量%、c成分が15〜25重量%、d成分が6〜18重量%、及びe成分が6〜18重量%(合計100重量%)の割合から成るものが好ましい。
【0049】
次に本発明の処理方法について説明する。本発明の処理方法では、以上説明したような本発明の処理剤をアクリル系合成繊維に付着する。付着に際しては通常、予め処理剤濃度が5〜30重量%程度の高濃度水性液を調製しておき、使用の際にこれを1重量%程度の低濃度水性液として、アクリル系合成繊維に付着する。その付着工程としては、紡糸工程、延伸工程、更には延伸後の各工程が挙げられるが、湿式紡糸して延伸及び水洗した後のゲル膨潤状態にある繊維束に付着するのが特に好ましい。またその付着方法は浸漬法、スプレー法、ローラー給油法、ガイド給油法等のいずれでもよいが、浸漬法若しくはスプレー法が好ましい。本発明の処理剤をゲル膨潤状態にある繊維束に付着する場合には通常、処理剤を付着した後、熱処理して乾燥緻密化を行なう。このときの熱処理は、120〜180℃で1〜7分行なう。かくして乾燥緻密化した後、通常は再度熱処理を行なう。このときの熱処理は乾熱の場合は180℃以下、湿熱の場合は130℃以下で行なう。処理剤の付着量は、アクリル系合成繊維に対し0.02〜1.5重量%となるようにするが、0.05〜1重量%となるようにするのが好ましい。
【0050】
本発明の処理剤を付着するアクリル系合成繊維としては、1)アクリロニトリルを40重量%以上、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アリルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩等の非ハロゲン系ビニルモノマーを60重量%以下の割合で共重合したアクリル繊維、2)塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲン系ビニルモノマーと、アクリロニトリルとを共重合したモダアクリル繊維、3)モダアクリル繊維にハロゲン系化合物等を添加したもの等、各種が挙げられるが、なかでもモダアクリル繊維が好ましい。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明に係る処理剤の実施形態としては、次の1)〜12)が挙げられる。
1)下記のa成分が48重量%、下記のb成分が18重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が6重量%、及び下記のe成分が8重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−6)。
a成分:エチレングリコールにエチレンオキサイド(以下、EOという)とプロピレンオキサイド(以下、POという)とをブロック状に付加重合した数平均分子量5000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位(以下、EO単位という)/オキシプロピレン単位(以下、PO単位という)=30/70(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)24重量部と、エチレングリコールにEOとPOとをブロック状に付加重合した数平均分子量10000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がEO単位/PO単位=70/30(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)24重量部との混合物
b成分:ヒマシ油1モル当たりEOを200モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:EO単位の繰り返し数が20であるポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド1モル当たりEOを7モルの割合で付加重合したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)
e成分:ポリオキシエチレングリコール(EO単位の繰り返し数16)モノセチルエーテルリン酸エステルカリウム塩であって、モノリン酸エステル塩/ジリン酸エステル塩=1/1(モル比)の割合から成る有機リン酸エステル塩(E−1)
【0052】
2)下記のa成分が40重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−7)
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)20重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテル(C−1)
d成分:ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド1モル当たりPOを3モル、EOを12モルの割合でブロック状に付加重合したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−2)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−1)
【0053】
3)下記のa成分が32重量%、下記のb成分が24重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が12重量%及び下記のe成分が12重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−8)
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)16重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)16重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:EO単位の繰り返し数が16であるポリオキシエチレングリコールヘキサデセニルエーテル(C−2)10重量部と、EO単位の繰り返し数が24であるポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−3)10重量部との混合物
d成分:前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)を酢酸で中和した、アミン価11.3、中和度80%のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド酢酸塩(APS−1)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−1)
【0054】
4)下記のa成分が32重量%、下記のb成分が24重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が12重量%及び下記のe成分が12重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−9)
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)16重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)16重量部との混合物
b成分:水添ヒマシ油1モル当たりEOを200モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物(B−4)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールヘキサデセニルエーテル(C−2)
d成分:前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−2)を酢酸で中和した、アミン価0.8、中和度95%のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド酢酸塩(APS−2)
e成分:ポリオキシエチレングリコール(EO単位の繰り返し数10)モノラウリルエーテルリン酸エステルカリウム塩であって、モノリン酸エステル塩/ジリン酸エステル塩=1/1(モル比)の割合から成る有機リン酸エステル塩(E−2)
【0055】
5)下記のa成分が54重量%、下記のb成分が16重量%、下記のc成分が16重量%、下記のd成分が7重量%及び下記のe成分が7重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−10)
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)27重量部と、ポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)27重量部との混合物
b成分:ヒマシ油1モル当たりEOを100モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物(B−2)8重量部と、ヤシ油1モル当たりEOを240モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物(B−3)8重量部との混合物。
c成分:前記のポリオキシエチレンフリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)をジエチル硫酸を用いて4級化した、アミン価3.6、4級化率93%のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−1)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−2)
【0056】
6)下記のa成分が40重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−11)
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)20重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)をトリメチルホスフェートを用いて4級化した、アミン価3.7、4級化率93%のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−2)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−2)
【0057】
7)下記のa成分が48重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−13)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)24重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)24重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド2分子をエピクロルヒドリンを用いて架橋した脂肪酸アミド架橋体(AB−2)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−1)
【0058】
8)下記のa成分が48重量%、下記のb成分が18重量%、下記のc成分が18重量%、下記のd成分が8重量%及び下記のe成分が8重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−14)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)28重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド2分子を尿素を用いて架橋した脂肪酸アミド架橋体(AB−3)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−1)
【0059】
9)下記のa成分が32重量%、下記のb成分が24重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が12重量%及び下記のe成分が12重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−18)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)16重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)16重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールヘキサデセニルエーテル(C−2)10重量部と、前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−3)10重量部との混合物
d成分:前記の脂肪酸アミド架橋体(AB−2)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−1)
【0060】
10)下記のa成分が40重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−19)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)20重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:前記の脂肪酸アミド架橋体(AB−3)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−2)
【0061】
11)下記のa成分が40重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−20)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)20重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:エチレンジアミンにPOとEOとをブロック状に付加重合した、分子中に15個のPO単位と35個のEO単位とで構成されたポリオキシアルキレン基を4個有する、平均分子量9700の含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−1)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−2)
【0062】
12)下記のa成分が40重量%、下記のb成分が20重量%、下記のc成分が20重量%、下記のd成分が10重量%、及び下記のe成分が10重量%(合計100重量%)の割合から成る処理剤(P−21)。
a成分:前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−1)20重量部と、前記のポリオキシアルキレンブロック共重合体(PE−2)20重量部との混合物
b成分:前記の油脂エチレンオキサイド付加物(B−1)
c成分:前記のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル(C−1)
d成分:エチレンジアミンにPOとEOとをブロック状に付加重合した、分子中に10個のPO単位と25個のEO単位とで構成されたポリオキシアルキレン基を4個有する、平均分子量6800の含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−2)
e成分:前記の有機リン酸エステル塩(E−2)
【0063】
また本発明に係る処理方法の実施形態としては、次の13)が挙げられる。
13)前記した1)〜12)のいずれかの処理剤に温水を加え、ホモジナイザーに供して水性液とした後、更に水希釈して処理剤濃度5重量%程度としたものを、延伸工程後の給油工程で、モダアクリル繊維に、処理剤として0.05〜1重量%の付着量となるよう、スプレー法で付着する方法。
【0064】
以下、本発明の構成および効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0065】
【実施例】
試験区分1(d成分の合成)
・脂肪酸アミド(A−1)の合成
ステアリン酸579g(2.04モル)及びジエチレントリアミン103g(1.0モル)をフラスコに仕込み、180℃に保持して、生成する水を窒素気流により留去しながら4時間反応を行ない、反応物を得た。得られた反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)であった。
【0066】
・脂肪酸アミド(A−2)及び(A−3)の合成
脂肪酸アミド(A−1)と同様にして、脂肪酸アミド(A−2)及び(A−3)を得た。以上で合成した各脂肪酸アミドの内容を表1にまとめて示した。
【0067】
【表1】
Figure 0004462737
【0068】
・脂肪酸アミド塩(AS−1)の合成
酢酸1.0g(0.017モル)及び水32gをフラスコに仕込み、酢酸水溶液とした。そこへ溶融状態としたジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)12.7g(0.02モル)を撹拌しながら注入し、脂肪酸アミド塩(AS−1)を得た。この脂肪酸アミド塩(AS−1)を分析したところ、アミン価15、中和度80%であった。
【0069】
・脂肪酸アミド塩(AS−2)の合成
乳酸1.5g(0.017モル)及び水35.2gをフラスコに仕込み、乳酸水溶液とした。そこへ溶融状態としたトリエチレンテトラアミンのジステアリン酸アミド(A−3)13.6g(0.02モル)を撹拌しながら注入し、脂肪酸アミド塩(AS−2)を得た。この脂肪酸アミド塩(AS−2)を分析したところ、アミン価7.4、中和度90%であった。
【0070】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)の合成
ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)635g(1.0モル)及び水酸化カリウム13gをオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、120℃に加温し、エチレンオキサイド308g(7モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、反応物を得た。得られた反応物を分析したところ、分子中に7個のEO単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)であった。
【0071】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−2)の合成
ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド(A−2)747g(1.0モル)及び水酸化カリウム13gをオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、120℃に加温し、プロピレンオキサイド174g(3モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、更にエチレンオキサイド528g(12モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、反応物を得た。得られた反応物を分析したところ、分子中に3個のPO単位及び12個のEO単位で構成されたポリオキシプロピレンポリオキシエチレン基を有するポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−2)であった。
【0072】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−1)の合成
酢酸1.0g(0.017モル)及び水46.4gをフラスコに仕込み、酢酸水溶液とした。そこへ溶融状態とした前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)18.9g(0.02モル)を撹拌しながら注入し、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−1)を得た。このポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−1)を分析したところ、アミン価11.3、中和度80%であった。
【0073】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−2)の合成
ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−1)の合成と同様にして、前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−2)を酢酸で中和し、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−2)を得た。このポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド塩(APS−2)を分析したところ、アミン価10.8、中和度95%であった。
【0074】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−1)の合成
前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)199g(0.21モル)をフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に撹拌しながら80℃に加温し、ジエチル硫酸31g(0.2モル)を10分間かけて滴下し、反応温度を80〜85℃に維持して反応させた。更に同温度で1時間熟成して、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−1)を得た。このポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−1)を分析したところ、アミン価3.6、4級化率93%であった。
【0075】
・ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−2)の合成
前記のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド(AP−1)199g(0.21モル)をフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に撹拌しながら80℃に加温し、トリメチルホスフェート28g(0.2モル)を10分間かけて滴下し、反応温度を80〜85℃に維持して反応させた。更に同温度で3時間熟成して、ポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−2)を得た。このポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド4級化物(APQ−2)を分析したところ、アミン価3.7、4級化率93%であった。
【0076】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−1)の合成
ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)1270g(2モル)を90〜110℃で溶融状態とし、これにトリエチレングリコールジグリシジルエーテル202g(1モル)を滴下して、90〜110℃で6時間架橋反応を行ない、反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド2分子がメチレンアミノ基で架橋された構造の脂肪酸アミド架橋体(AB−1)であった。
【0077】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−2)の合成
ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド(A−2)747g(1モル)を90〜110℃で溶融状態とし、これにエピクロルヒドリン279g(3モル)を滴下して、90〜110℃で架橋反応を6時間行なった後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去して反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド2分子がメチレンアミノ基で架橋された構造の脂肪酸アミド架橋体(AB−2)であった。
【0078】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−3)の合成
ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)1295g(2.04モル)及び尿素60g(1モル)をフラスコに仕込み、180℃に保持して、生成するアンモニアを窒素気流により留去しながら4時間架橋反応を行ない、反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド2分子がカルボニル基で架橋された構造の脂肪酸アミド架橋体(AB−3)であった。
【0079】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−4)の合成
ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド(A−1)1295g(2.04モル)及びアジピン酸ジメチル174g(1モル)をフラスコに仕込み、180℃に保持して、生成するメタノールを窒素気流により留去しながら6時間架橋反応を行ない、反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド2分子がアミド結合で架橋された構造の脂肪酸アミド架橋体(AB−4)であった。
【0080】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−5)の合成
トリエチレンテトラアミンのジステアリン酸アミド(A−3)1383g(2.04モル)及びヘキサメチレンジイソシアネート168g(1モル)をフラスコに仕込み、150℃に保持して、2時間架橋反応を行ない、反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド2分子がウレイレン基で架橋された構造の脂肪酸アミド架橋体(AB−5)であった。
【0081】
・脂肪酸アミド架橋体(AB−6)の合成
ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド(A−2)1494g(2モル)を90〜110℃で溶融状態とし、これにソルビトールトリグリシジルエーテル406g(1モル)を滴下して、90〜110℃で8時間架橋反応を行ない、反応物を得た。この反応物を分析したところ、ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド2分子がメチレンアミノ基で架橋された構造の脂肪酸アミド誘導体(AB−6)であった。以上で合成した各脂肪酸アミド架橋体の内容を表2にまとめて示した。
【0082】
【表2】
Figure 0004462737
【0083】
・含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−1)の合成
エチレンジアミン60g(1.0モル)をオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、100℃に加温し、プロピレンオキサイド232g(4モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、更に水酸化カリウム5gを加えた後、プロピレンオキサイド3248g(42モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、更にエチレンオキサイド6160g(140モル)を圧入して、反応させた。1時間の熟成反応後、反応物を得た。得られた反応物を分析したところ、分子中に15個のオキシプロピレン単位及び35個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシプロピレンポリオキシエチレン基を4個有する平均分子量9700の含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−1)であった。
【0084】
・含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−2)の合成
含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−1)の合成と同様にして、分子中に10個のオキシプロピレン単位及び25個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシプロピレンポリオキシエチレン基を4個有する平均分子量6800の含窒素ポリオキシアルキレン化合物(AT−2)であった。
【0085】
試験区分2(処理剤の調製)
表3に記載の割合で、a成分、b成分、c成分、d成分、及びe成分を均一混合し、本発明の実施例に相当する処理剤(P−1)〜(P−23)を調製した。同様にして、表4に記載の比較例に相当する処理剤(R−1)〜(R−10)を調製した。
【0086】
【表3】
Figure 0004462737
【0087】
【表4】
Figure 0004462737
【0088】
表3及び表4において、
PE−1:エチレングリコールにEOとPOとをブロック状に付加重合した数平均分子量5000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がEO単位/PO単位=30/70(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体
PE−2:エチレングリコールにEOとPOとをブロック状に付加重合した数平均分子量10000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がEO単位/PO単位=70/30(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体
PE−3:エチレングリコールにEOとPOとをブロック状に付加重合した数平均分子量8000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がEO単位/PO単位=45/55(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体
【0089】
B−1:ヒマシ油1モル当たりEOを200モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
B−2:ヒマシ油1モル当たりEOを100モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
B−3:ヤシ油1モル当たりEOを240モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
B−4:水添ヒマシ油1モル当たりEOを200モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
【0090】
C−1:EO単位の繰り返し数20のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル
C−2:EO単位の繰り返し数16のポリオキシエチレングリコールヘキサデセニルエーテル
C−3:EO単位の繰り返し数24のポリオキシエチレングリコールオクタデセニルエーテル
CR−1:EO単位の繰り返し数20のポリオキシエチレングリコールステアリルエーテル
【0091】
A−1〜A−3,AS−1,AS−2,AP−1,AP−2,APS−1,APS−2,APQ−1,APQ−2,AB−1〜AB−6,AT−1,AT−2:試験区分1で合成したもの
ASI−1:アミノ当量が1200であり、アミノ変性基が2−アミノエチル基であるアミノ変性ポリオルガノシロキサン
ASI−2:アミノ当量が1500であり、アミノ変性基がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基であるアミノ変性ポリオルガノシロキサン
【0092】
E−1:ポリオキシエチレングリコール(EO単位の繰り返し数16)モノセチルエーテルリン酸エステルカリウム塩であって、モノリン酸エステル塩/ジリン酸エステル塩=1/1(モル比)の割合から成る有機リン酸エステル塩
E−2:ポリオキシエチレングリコール(EO単位の繰り返し数10)モノラウリルエーテルリン酸エステルカリウム塩であって、モノリン酸エステル塩/ジリン酸エステル塩=1/1(モル比)の割合から成る有機リン酸エステル塩
【0093】
試験区分3(モダアクリル繊維への処理剤の付着とその評価)
・モダアクリル繊維綿の作製及び処理剤の付着
アクリロニトリル/塩化ビニル/塩化ビニリデン/スチレンスルホン酸ナトリウム=60/34.5/5/0.5(%)の割合で共重合したアクリル共重合体を濃度25%になるようジメチルスルホキシドに溶解し、紡糸原液とした。この紡糸原液を25000ホールの口金を通し、ジメチルスルホキシド/水=65/35(%)の20℃の水溶液中に紡出して、5.5倍延伸した後、水洗してゲル膨潤状態の繊維を得た。別に、試験区分2で調製した各処理剤に水を加え、80℃に加温して激しく撹拌した後、ホモジナイザーに供して、各処理剤の20%水性液を調製した。そして、前記したゲル膨潤状態の繊維に調製した処理剤の20%水性液を表5に記載の付着量となるようスプレー給油法で付着し、表面温度140℃のローラー式乾燥機で緻密化して、繊維束とした。緻密化した繊維束に公知の一般的な紡績用2次油剤を0.05%となるよう付着した後、クリンプ、カット、乾燥を行ない、処理剤を付着した繊度450Nm(2デニール)で51mmのモダアクリル繊維綿を得た。
【0094】
・処理剤付着量の測定
紡績用2次油剤を付着する直前の繊維束20gを、ベンゼン/アルコール=2/1(容量比)の溶剤120mlを使用して、ソックスレー抽出器で3時間抽出処理し、付着量を測定した。結果を表5にまとめて示した。
【0095】
・膠着防止性の評価
紡績用2次油剤を付着する直前の繊維束を5mmにカットし、カットした繊維束0.5gを500mlの水溶液中に投入して、スターラーで1分間、100rpmで撹拌した後、1分間放置し、沈降した繊維の分繊状態を観察して、径0.5mm以上の繊維の数を膠着繊維として数え、下記の基準で評価した。結果を表5にまとめて示した。
◎:膠着繊維が0、膠着防止性が優れている
○:膠着繊維が1〜10、膠着防止性が良好である
△:膠着繊維が11〜50、膠着防止性がやや不良である
×:膠着繊維が51以上、膠着防止性が不良である
【0096】
・カード通過性の評価
前記した450Nm(2デニール)で51mmのモダアクリル繊維綿50gを下記のカード工程にかけて、シリンダーへの繊維の沈み現象の程度を下記の基準で評価した。結果を表5にまとめて示した。
カード工程
ミニチュアフラットカード(大和機工社製)を使用し、25℃×65%RHの雰囲気下、ドッファ回転数18rpm、紡出ゲレン=3g/mの条件で運転した。
【0097】
カード通過性の評価基準
◎:シリンダーへの繊維の沈み現象が殆ど認められない
○:シリンダーへの繊維の沈み現象が僅かに認められる
△:シリンダーへの繊維の沈み現象がかなり認められる
×:シリンダーへの繊維の沈み現象が著しく認められる
【0098】
・精紡工程における焼け玉防止性の評価
前記した450Nm(2デニール)で51mmのモダアクリル繊維綿を用いて、0.59g/m(250ゲレン/30ヤード)、撚数19.7回/m(0.5回/インチ)のモダアクリル繊維粗糸を得た。得られた粗糸を下記の精紡工程に供し、精紡工程における焼け玉防止性を評価した。
【0099】
精紡工程
TWL型精紡機(トヨダ自動織機社製)の20錘を使用し、30℃×60%RHの雰囲気下、スピンドル回転数=14000rpm、トラベラーがOY−HN=2/0、紡出番手=綿番30番手、リング径=47mm、トータルドラフト=30倍、撚数=772回/m(19.6回/インチ)の条件で、回転数を10000rpmから徐々に上げ3時間運転を行ない、トラベラーの慣らしを終えた。その後各試料につき2錘づつ2時間紡出して紡績糸を得た。
【0100】
焼け玉防止性の評価
上記で得た紡績糸からランダムに100mづつ10点を評価用紡績糸として採取し、合計10点の各評価用紡績糸100mを白色板上にセリプレンで巻き、紡績糸表面の焼け玉の数、及びごく軽度の毛羽焼け症状を示す薄茶色点状物の数を数えて、以下の基準で焼け玉防止性を評価した。結果を表5にまとめて示した。
【0101】
評価基準
◎:焼け玉なし、薄茶色点状物なし、焼け玉防止性は極めて優秀
○:焼け玉なし、薄茶色点状物1〜15点あり、焼け玉防止性は良好
△:焼け玉1〜4点あり、焼け玉防止性はやや不良
×:焼け玉5点以上あり、焼け玉防止性は著しく不良
【0102】
【表5】
Figure 0004462737
【0103】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、アクリル系合成繊維に優れた膠着防止性及び工程通過性を付与でき、同時にその高速紡績においても優れた焼け玉防止性を付与できるという効果がある。

Claims (7)

  1. 下記のa成分が20〜60重量%、下記のb成分が10〜30重量%、下記のc成分が10〜30重量%、下記のd成分が5〜20重量%及び下記のe成分が5〜20重量%(合計100重量%)の割合から成ることを特徴とするアクリル系合成繊維用処理剤。
    a成分:1〜3個の水酸基を有する炭素数1〜6の脂肪族ヒドロキシ化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをブロック状に付加重合した数平均分子量2000〜13000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=10/90〜80/20(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体
    b成分:炭素数12〜22の脂肪酸残基を有するグリセライドを主成分とする油脂及び/又は水添油脂1モル当たりエチレンオキサイドを100〜250モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物
    c成分:アルケニル基の炭素数が16〜22であり且つオキシエチレン単位の繰り返し数が10〜30であるポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテル
    d成分:下記の1)〜8)から選ばれる含窒素有機化合物
    1)炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数4〜15で且つ窒素数3〜6の脂肪族ポリアルキレンポリアミンとを縮合反応した脂肪酸アミド、2)前記1)の脂肪酸アミドの塩、3)前記1)の脂肪酸アミドにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミド、4)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの塩、5)前記3)のポリオキシアルキレン変性脂肪酸アミドの4級化物、6)前記1)の脂肪酸アミド2分子を炭素−窒素結合形成性架橋剤を用いて架橋した脂肪酸アミド架橋体、7)エチレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合した平均分子量5000〜50000の含窒素ポリオキシアルキレン化合物、8)アミノ当量1000〜4000のアミノ変性ポリオルガノシロキサン
    e成分:下記の式1で示される有機リン酸エステル塩
    【式1】
    Figure 0004462737
    (式1において、
    R:炭素数12〜22の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを合計5〜30モルの割合で付加重合した片末端封鎖ポリオキシアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
    M:アルカリ金属
    m,n:1又は2であって、m+n=3を満足する整数)
  2. a成分が25〜55重量%、b成分が15〜25重量%、c成分が15〜25重量%、d成分が6〜18重量%及びe成分が6〜18重量%(合計100重量%)の割合から成る請求項1記載のアクリル系合成繊維用処理剤。
  3. a成分が、数平均分子量5000〜12000のポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、そのポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=55/45〜80/20(モル比)の割合から成るものであるポリオキシアルキレンブロック共重合体である請求項1又は2記載のアクリル系合成繊維用処理剤。
  4. b成分が、ヒマシ油1モル当たりエチレンオキサイドを100〜250モルの割合で付加重合した油脂エチレンオキサイド付加物である請求項1、2又は3記載のアクリル系合成繊維用処理剤。
  5. c成分が、アルケニル基の炭素数が16〜18であり且つオキシエチレン単位の繰り返し数が15〜25であるポリオキシエチレングリコールアルケニルエーテルである請求項1、2、3又は4記載のアクリル系合成繊維用処理剤。
  6. e成分が、式1中のRが炭素数12〜18の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイドを10〜25モルの割合で付加重合した片末端封鎖ポリオキシアルキレングリコールから水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1、2、3、4又は5記載のアクリル系合成繊維用処理剤。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載のアクリル系合成繊維用処理剤をアクリル系合成繊維に対し0.02〜1.5重量%となるよう付着することを特徴とするアクリル系合成繊維の処理方法。
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