JP4462731B2 - 砥石の上下ドレッシング方法および研削装置 - Google Patents

砥石の上下ドレッシング方法および研削装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砥石のドレッシングを精度よく、かつ、ドレス時間を短縮できるサドルタイプまたはコラムタイプの研削装置に関するものである。また、本発明は、複数のドレッサ−を用い、砥石のドレッシングを精度よく、短時間で行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
砥石によりテ−ブル上に設けられたワ−クを研削するサドルタイプまたはコラムタイプの研削装置は知られている(特開昭55−83567号、同59−59349号、同61−173851号、特開平4−13552号、特開2000−135675号、特許第2694189号、特許第3023018号)。
図3にNC平面研削装置1の一例を示す。図中、10は作業台部、11は水平方向(X軸方向)に往復移動可能なテ−ブル、12は電磁チャック、13は前後方向(Z軸方向)に往復移動可能なサドル、20は砥石装置、21は砥石を垂直方向(Y軸方向)に移動する昇降機構を備えたコラム、22は砥石頭、24は砥石軸に備えられた砥石、70は操作盤、80はベッドである。
【0003】
このNC平面研削装置1では、テ−ブル11上の電磁チャック12にワ−クを固定し、サドル13を移動させてZ軸方向の位置を決め、テ−ブル11をX軸方向に往復移動させる過程で砥石軸頭に備えられた回転している砥石24をワ−クに接触させ、砥石軸頭をY軸方向に送りをかけてワ−クに切り込みを懸けて研削する。この際、ワ−ク表面には図示されていない研削液供給ノズルより研削液が供給される。
【0004】
ワ−クの研削加工中には砥石が磨耗し、表面粗さ、研削性、切残し量が変化するので、砥石の外周を適時ドレッシングする必要がある。ドレッサにはテ−ブル上に備えられて使用される卓上ドレッサまたは、砥石頭に設けられる頭上ドレッサが利用される。
従来の卓上ドレッサは砥石の外周面の仕上がり形状に沿ってドレッサを相対的に倣わせて行うとともに切り込み量を小さくして行う。
すなわち、テ−ブル上の卓上ドレッサに対して砥石を前後、上下に移動制御しつつドレス加工を行うとともに、1回の切り込み量を大きくとることが出来ないためにドレッシングに長時間要する欠点がある。
【0005】
特許第2694189号はかかる卓上ドレッサの欠点を改良する手段として、テ−ブルの左右に荒取り用ロ−タリ−ドレッサと仕上用首振りドレッサの複数の卓上ドレッサを用いることを提案し、砥石の下方位置にロ−タリ−ドレッサの位置決めをする工程(a)、ロ−タリ−ドレッサに対して砥石を回転しつつ下降させて砥石の径方向に所望量の切り込みを行う工程(b)、砥石の径方向に切り込みを行った後に砥石を上昇させてロ−タリ−ドレッサから離反する工程(c)、ロ−タリ−ドレッサから砥石を離反した後、砥石を前後方向へ所定ピッチだけ移動する工程(d)およびこれらa,b,cおよびd工程を繰返して砥石をドレッシングする方法を提案する。
【0006】
このドレッシング加工はドレッサの全周面でドレス可能であり、砥石外周面ドレス時間を従来法よりは短縮できるが、よりドレス時間の短縮が望まれている。
【0007】
頭上ドレッサは、ワ−クの高さや長さに影響されず、ドレスアプロ−チ時間が卓上ドレッサより短くできる利点がある。
特開平2000−135675号公報は、
a)所望のドレス量分だけ砥石をドレッシングする頭上ドレッサと、
b)ワ−クについて研削を実行しているときにドレッシング作業を行う旨の指示を与えるためのドレス割込指示手段と、
c)ドレス割込指示手段からの指示が与えられたときに研削作業を中断し、前記頭上ドレッサの動作を制御して砥石をドレッシングするとともに、当該ドレッシング作業が終了したときに前記ワ−クの研削作業を再開する制御手段、
の上記a,b,cの手段を具備するNC研削装置を提案する。
【0008】
図4は該公報に開示された頭上ドレッサを備えたNC平面研削装置の側面図である。図4において、2はワ−ク、12は電磁チャック、20は砥石装置、21はコラム、22は砥石頭、23は砥石軸、24は砥石、30は軸装置である。砥石軸23の鉛直方向(Y軸方向)昇降動力は、モ−タ31から歯車32、送りネジ33、ネジ受け34を介して砥石軸に伝えられる。
【0009】
砥石頭22の上部には、頭上ドレッサ40が設けられている。この頭上ドレッサ40は、砥石24の表面の形を整えたり、目立てを行うものであり、可動部41と固定部51とからなる。
可動部41は、ドッグ44と、ラチェットホイ−ル45と、エンコ−ダ46と、送りネジ47と、ドレスア−ム48と、ドレッシング用ダイアモンド49を有する。
【0010】
固定部51は、前端リミットスイッチ54と後端リミットスイッチ55と、爪56を有する。可動部41は油圧駆動または電気送り機構によって前進(+Z方向)及び後退(−Z方向)が可能である。
固定部51の前端リミットスイッチ54および後端リミットスイッチ55はそれぞれ可動部41の移動可能範囲の前端、後端に設けられる。稼動部のドッグ44を前端リミットスイッチ54、後端リミットスイッチ55と接触させることにより、可動部41が移動可能範囲を越えないように制御している。ドレッシングを行わぬときには、可動部41はドッグが後端リミットスイッチ55に接触する位置まで後退している。
【0011】
ラチェットホイ−ル45は可動部41の上部に設けられ、送りネジ47はラチェットホイ−ル45の軸に接続され、その送りネジ47の下側先端にドレスア−ム48が設けられている。ダイアモンド49はドレスア−ム48の下端に取り付けられている。
可動部41が−Z方向に後退し、ラチェットホイ−ル45が固定部51の爪56に当接するとラチェットホイ−ル45と爪56が噛み合い、ラチェットホイ−ル4はその歯の一つ分に対応する角度だけ回転する。するとドレスア−ム48およびダイアモンド49は、送りネジ47を介してラチェットホイ−ル45の回転角度に比例する量だけ降下する。よって、稼動部41が前後に一往復すると、その度にこの決められた量(ドレス量)分だけドレスア−ム48が下降し、砥石24がドレッシングされる。
【0012】
ラチェットホイ−ル45の上部にはドレス量の検出手段であるエンコ−ダ46が設けられ、ラチェットホイ−ル45の回転角度に対応するパルスを発生し、制御ユニット部60に供給する。
【0013】
頭上ドレッサは、コラムタイプの平面研削装置に採用されることが多い。頭上ドレッサは砥石の位置を変えずにドレスすることができ、かつ、1度のドレス量も多いので卓上ドレッサと比較すると短時間ですむ利点を有する。しかし、長時間研削をしているとコラムが熱変形し、砥石軸が傾斜すること(熱変位)があり、ワ−クテ−ブル表面からドレッサのダイヤモンドまでの高さが一定の卓上ドレッサと比較してドレス精度が悪いという欠点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明等は、卓上ドレッサと頭上ドレッサを併用すれば、卓上ドレッサのドレッシング精度が良好である利点と、頭上ドレッサのドレス時間が短いと言う利点が満喫できると着想し、本発明に到った。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、往復移動可能なワークテーブルと、該ワークテーブル上に保持されたワークを加工するための砥石頭の砥石軸に軸承された砥石と、前記ワークテーブル上にこのワークテーブル表面からドレッサのダイヤモンドまでの高さが一定となるよう備えられた卓上ドレッサーと、前記砥石頭の砥石頭上に取り付けられ、水平方向(Z軸方向)に前後送り可能にかつ鉛直方向(Y軸方向)に昇降可能に備えられた頭上ドレッサーを具備する研削装置を用い、予め前記砥石の下部にある卓上ドレッサーで回転する砥石のドレッシングを行い、ついで砥石の頭上にある頭上ドレッサーで回転する砥石をドレッシングする法であって、
予め前記卓上ドレッサーでドレッシングされた砥石の切り込み深さをrとすると、前記頭上ドレッサーによるドレッシング時は、この頭上ドレッサーを砥石に対しrだけ近づけた後に砥石のドレッシングを行うことを特徴とする、砥石の上下ドレッシング方法を提供するものである。
【0016】
前記頭上ドレッサーによるドレッシングは、の卓上ドレッサーでドレッシングされた砥石の切り込み深さr分を補うように頭上ドレッサーのダイヤモンドを砥石側にr分だけ追従するように下降させた後に砥石のドレッシングを行う。
【0017】
本発明の請求項2は、左右方向に往復移動可能なワークテーブルと、該ワークテーブル上に保持されたワークを加工するための砥石頭の砥石軸に軸承された砥石と、前記ワークテーブル上にこのワークテーブル表面からドレッサのダイヤモンドまでの高さが一定となるよう備えられた卓上ドレッサーと、前記砥石頭の砥石頭上に取り付けられ、水平方向(Z軸方向)に前後送り可能にかつ鉛直方向(Y軸方向)に昇降可能に備えられた頭上ドレッサーと、頭上ドレッサーの鉛直方向送り制御部を具備する研削装置であって、前記頭上ドレッサーは、鉛直方向にネジ送り可能であり、かつ、水平方向に前後送り可能に砥石頭に備えられていることを特徴とする、研削装置を提供するものである。
【0018】
請求項1に記載の砥石のドレッシング方法を実施できる研削装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の上下ドレッサを備えた研削装置の砥石頭とワ−クテ−ブルの関係を示す部分左側面図、図2は卓上ドレッサによるドレッサ後の砥石を、頭上ドレッサでドレッシングする際の砥石に対してドレス点を追従補正する状態の説明図である。
【0020】
図1において、1は卓上ドレッサーと別タイプ(ラチェットホイ−ル45の代わりにサ−ボモ−タを使用)の頭上ドレッサ40を有する研削装置で、砥石24はフランジ25により砥石軸23に回転自在に取り付けられている。研削装置1は、サドルタイプのものでも、コラムタイプのものでもよい。砥石は保護カバ−26により安全に保たてられる。
卓上ドレッサ90は、ベッド80上に設けられたV案内部を有する軌道91と平案内部を有する軌道92上を滑るワークテーブル11の表面上に固定されている。90aはダイヤモンドである。
卓上ドレッサ90は、特許第2694189号、特許第3023018号公報に記載されるようにテ−ブル11の左右方向に複数設けてもよい。
【0021】
頭上ドレッサー40は砥石頭22上に取り付けられ、可動部41と固定部51を有する。可動部41は、プッシュ44と、サーボモータ46と、ピニオン46bと、歯車45と、送りネジ47と、雌ネジ48と、ダイアホルダ49aに保持されたドレッシング用ダイモンド49を有する。
固定部51は、留めピン55と、ドッグ(図示されていない)と、ピストンロッド57aを有する。可動部41は油圧駆動57によって前進(+Z方向)及び後退(−Z方向)が可能である。58、59は油導入出口である。
卓上ドレッサ90は、特許第2694189号、特許第3023018号公報に記載されるようにテ−ブル11の左右方向に複数設けてもよい。
【0022】
送りネジ47は歯車45の軸45aに接続され、その送りネジ47の下側先端にドレスア−ム48が設けられている。ダイアモンド49はドレスア−ム48の下端に取り付けられている。軸45aの上端はロッド45bが伸び、ドッグ45cが設けられる。
【0023】
サ−ボモ−タ46のモ−タ軸46aが回転し、その回転をピニオン46bが歯車45に伝えると、歯車45はそのピニオン46b歯の一つ分に対応する角度だけ回転する。するとドレスア−ム48およびダイアモンド49は、送りネジ47を介して歯車45の回転角度に比例する量だけ降下する。よって、稼動部41が前後に一往復すると、その度にこの決められた量(ドレス量)分だけドレスア−ム48が加工し、砥石24がドレッシングされる。
【0024】
サ−ボモ−タ46は、歯車45の回転角度に対応するパルスを発生し、制御ユニット部60に伝達すう。
図中、45bはロッド、45cはドッグ、46cはロッド軸、46dは接点である。
【0025】
砥石の卓上ドレッサによるドレッシングは、従来法、例えば、特許第2786842号、特許第2694189号、特許第3023018号公報に記載される方法を採用することができる。
すなわち、プログラムメモリ−をNC平面研削装置に入力し、卓上ドレッサによるドレッシングを数回のサイクルに分けて行い、入力された目標のr量だけドレス加工する。頭上ドレッサと卓上ドレッサのダイモンドツールは初期セット時にどちらも砥石に接触する高さ位置とする(図1)。ワークテーブルの左右送り速度は10〜50m/分と速く、ドレス前後送り速度は50〜200mm/分、ドレス量(高さ)は0.01〜0.03mm/分が一般的である。
【0026】
ついで、制御ユニット部60の指令を受けて頭上ドレッサ40の送りネジ47をエンコーダまたはサーボモータ46が回転させ、頭上ドレッサ40のダイアモンド49をr量の高さ分だけ下降させ(図2a)、1〜2サイクルドレシングする。
【0027】
この頭上ドレッサ40の下方送りは、卓上ドレッサによるr量(高さ)のドレシングが終了してから行なってもよいが、卓上ドレッサの1パス完了毎に卓上ドレッサ1パスによりドレスされた量r(高さ)に追従して頭上ドレッサ40の送りネジ47を順次量r(高さ)下方送りする(図2b)のが、よりドレス時間を短縮でき好ましい。頭上ドレッサ40のエンコーダまたはサーボモー制御による送りネジ47の送り速度は1〜10mm/分と遅いので、卓上ドレッサによる砥石のドレッシング1パス完了毎に頭上ドレッサを下方方向へr量降下させることにより、ドレス時間を短縮できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の卓上ドレッサと頭上ドレッサを用いる砥石のドレッシング方法は、短時間で精度よく砥石をドレスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の卓上ドレッサと頭上ドレッサを備えた研削装置の部分側面図である。
【図2】 砥石のドレッシング状態を示す図である。
【図3】 平面研削盤の斜視図である。
【図4】 頭上ドレッサを備える平面研削装置の側面図である。
【符号の説明】
1 平面研削装置
11 テ−ブル
12 電磁チャック
24 砥石
40 頭上ドレッサ
90 卓上ドレッサ

Claims (2)

  1. 往復移動可能なワークテーブルと、該ワークテーブル上に保持されたワークを加工するための砥石頭の砥石軸に軸承された砥石と、前記ワークテーブル上にこのワークテーブル表面からドレッサのダイヤモンドまでの高さが一定となるよう備えられた卓上ドレッサーと、前記砥石頭の砥石頭上に取り付けられ、水平方向(Z軸方向)に前後送り可能にかつ鉛直方向(Y軸方向)に昇降可能に備えられた頭上ドレッサーを具備する研削装置を用い、予め前記砥石の下部にある卓上ドレッサーで回転する砥石のドレッシングを行い、ついで砥石の頭上にある頭上ドレッサーで回転する砥石をドレッシングする法であって、
    予め前記卓上ドレッサーでドレッシングされた砥石の切り込み深さをrとすると、前記頭上ドレッサーによるドレッシング時は、この頭上ドレッサーを砥石に対しrだけ近づけた後に砥石のドレッシングを行うことを特徴とする、砥石の上下ドレッシング方法。
  2. 左右方向に往復移動可能なワークテーブルと、該ワークテーブル上に保持されたワークを加工するための砥石頭の砥石軸に軸承された砥石と、前記ワークテーブル上にこのワークテーブル表面からドレッサーのダイヤモンドまでの高さが一定となるよう備えられた卓上ドレッサーと、前記砥石頭の砥石頭上に取り付けられ、水平方向(Z軸方向)に前後送り可能にかつ鉛直方向(Y軸方向)に昇降可能に備えられた頭上ドレッサーと、頭上ドレッサーの鉛直方向送り制御部を具備する研削装置であって、前記頭上ドレッサーは、鉛直方向にネジ送り可能であり、かつ、水平方向に前後送り可能に砥石頭に備えられていることを特徴とする、研削装置。
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