JP4462497B2 - ドレス装置、研削装置、及びドレス方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ドレス装置、研削装置、及びドレス方法に関し、例えば、燃料噴射ノズルの内面を研削する砥石をドレスするものに関する。
ディーゼルエンジンなどで使用される燃料噴射ノズルは、燃料の噴射量を調節する部品であるため、高い加工精度が要求される。
そこで加工精度を高めるために、燃料噴射ノズルの内面は、旋盤などにより粗加工した後、数値制御の内面研削装置で内面研削を行って仕上げ加工を行っている。
図7(a)〜(c)は、燃料噴射ノズル(ワーク)と内面研削砥石(以下、砥石)の関係を説明するための図である。
図7(a)は、燃料噴射ノズル2の断面を示しており、例えば、軸方向の長さが約50[mm]、外径が約10[mm]、内径が約6[mm]程度の円筒部材41を用いて構成されている。
燃料噴射ノズル2を構成する部材としては、鉄やステンレスなどの金属材料が用いられる。
円筒部材41の先端側は閉塞されており、その先端部分には半球形状を有する突起部45が形成されている。
突起部45には、燃料を噴射するための微細な噴射口(図示せず)が複数形成されており、これら噴射口は円筒部材41の内部の先端部分に貫通している。
円筒部材41の内部は円筒状にくり抜かれて内径面が形成されている。内径面は、開口端側に形成された第1内径面44と、閉塞端側に形成された第2内径面43から構成されており、かつ、第1内径面44の内径は第2内径面43の内径よりも大きくなっている。
燃料噴射ノズル2には、ディーゼルエンジン内ではニードルと呼ばれる円柱部材が挿入されて使用されるが、第1内径面44は、この円柱部材との摺動面を成すため、高い加工精度が要求される。
内径面の閉塞端側は漏斗状にすぼまってノズルシート面42が形成されている。燃料噴射ノズル2に挿入される円柱部材の先端部はノズルシート面42の形状と同様な円錐形状を成しており、ノズルシート面42との間隙の大きさにより燃料の噴射量が調節される。このため、ノズルシート面42も第1内径面44と同様に高い加工精度が必要とされる。
以上のように、第1内径面44とノズルシート面42は高い加工精度が必要とされるため、これらの部分を内面研削装置により内面研削を行って所望の加工精度を確保している。
第1内径面44とノズルシート面42をそれぞれ個別の砥石を用いて研削することも可能であるが、加工効率、及びコスト効率を向上させるために、先端が円錐状の斜面で形成された円柱状の砥石を用いて、第1内径面44とノズルシート面42の双方を研削することが行われている。
図7(b)は、円錐状の斜面と円柱面を有する砥石8でノズルシート面42を研削する場合の、燃料噴射ノズル2と砥石8の位置関係を示している。
ノズルシート面42を研削する場合は、砥石8と燃料噴射ノズル2をそれぞれ中心軸の回りに回転させながら、図7(b)に示したように、砥石8の斜面でノズルシート面42を切り込み、ノズルシート面42の研削を行う。
図7(c)は、砥石8で第1内径面44を研削する場合の燃料噴射ノズル2と砥石8の位置関係を示している。
図に示したように、第1内径面44を研削する場合は、砥石8と燃料噴射ノズル2をそれぞれ中心軸の回りに回転させながら、砥石8の円柱面で第1内径面44を切り込み、第1内径面44の研削を行う。なお、砥石8を中心軸の方向に前後させることにより、第1内径面44の全ての内周面に渡って研削が行われる。
このような、燃料噴射ノズルの内面研削に関する技術として、次の文献で開示されている内面研削方法及び装置、燃料噴射ノズル製造方法がある。
特開平11−277383号公報
この文献では、斜面と円柱面を有する砥石を用いて、燃料噴射ノズルのノズルシート部と内径面を研削する方法が開示されている。
砥石8は、研削を行うにつれて目つぶれや砥粒の脱落などが発生するため、時折ドレスして(即ち、表面を削って)砥石8の表面の状態を回復する必要がある。
ところが、砥石の斜面をドレスすると、円柱面の母線の長さが短くなるという問題があった。
図8は、砥石8の斜面31をドレスして、斜面31aを形成したところを示している。
図に示したように、ドレス前の円柱面32の母線の長さがLであったものが、斜面31aを形成するためにドレスしたところ長さがL1(<L)になり、砥石の長さが短くなっている。
このように円柱面32の長さが変化すると、例えば、第1内径面44の内径真直度、テーパ、円筒度の加工精度に悪影響を及ぼす可能性があった。
そのため、第1内径面44用の砥石とノズルシート面42用の砥石を装備した2軸の内面研削装置を用いることもあった。
そこで、本発明の目的は、斜面と円柱面を有する内面研削砥石において、斜面をドレスしても円柱面の母線の長さを所定の長さに保つことである。
本発明は前記目的を達成するために、回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石をドレスするドレス装置であって、前記斜面部をドレスする斜面部ドレス手段と、前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形手段と、前記斜面部のドレス量に対して、前記第1の円柱面部の母線の長さが所定の値を保つように、前記成形した円柱面に第2の円柱面部を成形する第2の円柱面部成形手段と、を具備したことを特徴とするドレス装置を提供する(第1の構成)。
第1の構成において、前記第2の円柱面部成形手段は、前記斜面部が形成されている側と対向する一端側に第2の円柱面部を成形するように構成することもできる(第2の構成)。
また第1の構成、又は第2の構成において、円盤部材と、前記円盤部材に固定され、前記円盤部材の中心軸と平行な中心軸を有する円柱面をドレスする第1の切刃部と、前記円盤部材に固定され、前記円盤部材の中心軸と所定角度を成す斜面をドレスする第2の切刃部と、前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形機能と、を備えたドレッサを含むドレス装置を提供する(第の構成)。
また、本発明は、回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石が装着可能な砥石装着手段と、ワークを保持するワーク保持手段と、前記保持したワークの内面を前記内面研削砥石で研削する研削手段と、前記内面研削砥石をドレスする、第1の構成、第2の構成、又は第3の構成のドレス装置と、を具備したことを特徴とする研削装置を提供する(第の構成)。
また、本発明は、回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石をドレスするドレス方法であって、前記斜面部をドレスする斜面部ドレスステップと、前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形ステップと、前記斜面部のドレス量に対して、前記第1の円柱面部の母線の長さが所定の値を保つように、前記成形した円柱面に第2の円柱面部を成形する第2の円柱面部成形ステップと、を行うことを特徴とするドレス方法を提供する(第の構成)。
本発明によると、斜面と円柱面を有する内面研削砥石において、斜面をドレスしても円柱面の母線の長さを所定の長さに保つことができる。
(1)実施の形態の概要
図3(a)は、本実施の形態に係る砥石の外形を示している。
図3(a)に示したように、円柱面32の一端に段差部を設けることにより、円柱面32を、第1円柱面35と、第1円柱面35よりも外形が小さい第2円柱面36により構成する。
斜面31をドレスする場合は、図3(b)に示したように、円柱面32を段差も含めてドレスして、段差のない円柱面32aを形成する。
そして、図3(c)に示したように、第1円柱面35aの母線の長さがLとなる位置に段差部を形成し、第2円柱面36aを設ける。即ち、円柱面32に逃がしドレスを入れる。
このように、斜面31をドレスする度に、第1円柱面35の母線の長さがLとなるように円柱面32を成形することにより、第1内径面44(図7)を研削する部分の長さ(即ち第1円柱面35の母線の長さ)を一定値Lに保つことができる。
(2)実施の形態の詳細
図1(a)は、本実施の形態に係る内面研削装置のレイアウトを示した平面図である。
内面研削装置1は、数値制御により主軸の回転数、砥石の移動経路(パス)、砥石のドレス量(切込量)、ドレス回数(切込回数)、クーラントの吐出などを制御することができるNC工作機械で構成されている。
このため、加工プログラムを実行してワークを自動的に加工することができるほか、ドレスプログラムを実行して砥石8を自動的にドレスすることができる。
内面研削装置1は、ワークヘッドスピンドル16、モータ23、砥石スピンドル12を備えている。
ワークヘッドスピンドル16は、軸受によって保持された回転軸を備えている。この回転軸の先端には、燃料噴射ノズル2を着脱可能に保持するワーク保持部(ワーク保持手段)が形成されている。
ワーク保持部は、例えば、ダイヤフラムチャック、コレットチャック、パワーチャックなどの保持機構により構成されている。
一方、回転軸の他端には、プーリ20が取り付けられている。
モータ23は、回転軸が、ワークヘッドスピンドル16の回転軸と平行になるように配設されており、回転軸の先端にはプーリ24が設けられている。
そして、プーリ24とプーリ20には、ベルト22が掛けられており、モータ23の回転駆動力がベルト22を介してワークヘッドスピンドル16に伝達されるようになっている。
そのため、モータ23を駆動して、ワーク保持部に装着された燃料噴射ノズル2を中心線の回りに回転させることができる。
なお、本実施の形態の内面研削装置1では、プーリベルトを使用したワークヘッドスピンドル16を用いたが、これに限定するものではなく、ワークヘットスピンドルにモータが直づけされたビルトイン構造を用いることもできる。
砥石スピンドル12は、回転軸と、この回転軸を駆動して回転させるためのモータを備えており、回転軸がワークヘッドスピンドル16の回転軸と平行となるように配設されている。
砥石スピンドル12の回転軸の先端には、砥石8に設けられた金属棒(クイルと呼ばれることがある)を装着して保持するための装着機構(砥石装着手段)が設けられており、これにより砥石8を回転軸の先端に装着することができる。
なお、この金属棒の内部には、クーラント(研削液)を供給するための流路が設けられており、砥石8の先端付近からクーラントが吐出されて研削箇所に供給されるようになっている。
また、突起部45(図7(a))に既に燃料の噴射口が形成されている場合は、この噴射口から研削液を供給することも可能である。
砥石スピンドル12は、毎分15万回転程度の高速回転を行うことができ、砥石8にとって最適な周速を達成することができる。
なお、砥石スピンドル12の回転速度と回転方向は数値制御プログラムにより設定することができる。
内面研削装置1は、燃料噴射ノズル2と砥石8を回転させながら、砥石8を燃料噴射ノズル2に挿入して、砥石8を燃料噴射ノズル2の内面に当てることにより、燃料噴射ノズル2の内周面全周に渡って研削を行うことができる(研削手段)。
砥石8は、剛性の高い金属棒の先端に砥粒を樹脂で固めるなどして構成されている。
本実施の形態では、一例として、砥石8をCBN(cubic boron nitride:立方晶窒化ホウ素)で構成したが、これは砥石8の材質を限定するものではなく、ワークなどに応じた材質を選択することができる。
砥石スピンドル12は、テーブル14の上面に設置されており、更に、テーブル14は、テーブル13の上面に設置されている。
テーブル14は、x軸方向(砥石8の斜面方向)に移動可能に設置され、テーブル13はz軸方向(主軸方向)に移動可能に設置されている。
これらテーブルの移動量、及び移動速度は数値制御によりコントロールされる。
砥石スピンドル12は、テーブル14とテーブル13の移動によりzx平面内を移動することができる。
なお、x軸とz軸が成す角度(砥石8の斜面と円柱面が成す角度でもある)をαとする。
このように、x軸、z軸の成す角度を砥石8の斜面と円柱面の成す角度と同じにすることにより、ドレス時でのテーブル14などの移動を簡単化することができる。
例えば、テーブル13を固定してテーブル14をx軸方向に移動させることにより砥石8の斜面31(図3(a))をドレスすることができる。
なお、x軸、z軸の成す角度を、必ずしも砥石8の斜面と円柱面の成す角度に等しくする必要はない。
この場合は、x軸とz軸を同時に制御して砥石スピンドル12を斜面方向に移動させてドレスすればよい。
モータ18は、ドレッサ19を回転させるためのモータであり、ワークヘッドスピンドル16の近辺に固定されている。モータ18は、ドレッサ19を着脱可能に保持することができる。
ドレッサ19は、図1(b)に示したような円盤部材を用いて構成されたディスク型ロータリドレッサであり、後述するように外輪部25aと斜面部26aに切刃を有している。
砥石8をドレスする場合は、モータ18と砥石スピンドル12を回転させながら、砥石スピンドル12をzx平面内で移動させ、砥石8をドレッサ19の表面に形成されたこれら切刃に接触させる。すると、切刃により砥石8の表面が研削されてドレスされる。
なお、ドレスは、図示しないクーラント供給装置によってクーラントを供給しながら行う。このクーラント供給装置は、燃料噴射ノズル2を研削する場合にもクーラントを供給する。
なお、ドレスとは、砥粒の脱落、砥石の目つぶれ、目詰まりを起こして研削能力が低下した砥石の表面を除去し、砥石表面の砥粒の状態を再生する作業である。また、ドレスする処理をドレッシングとも呼ぶ。
また、砥石研削面の修正、及び回転軸に対する振れの修正を行う成形作業をツルーイングというが、何れも砥石8の表面を研削する加工であるため、本実施の形態のドレスは、ツルーイングの概念も含むものとして説明する。
以上のように、内面研削装置1は、ドレッサ19により砥石8をドレスするドレス装置を構成すると共に、燃料噴射ノズル2を研削する研削装置を構成している。
次に、図2を用いてドレッサ19の構造について説明する。図2(a)はドレッサ19の径方向の断面図を示しており、図2(b)にドレッサ19の平面図を示している。
ドレッサ19は、例えば、鉄、アルミ、ステンレスなどの金属材料で形成された円盤部材27で構成されている。円盤部材27の中心には、モータ18のスピンドルに装着するための貫通孔28が形成されている。
ドレッサ19の外周部分には、ドレッサ19の外周に張り出すように斜面部が設けられている。そして、斜面部の外輪部分には外輪部切刃25、25、25、・・・、が配置されており、斜面部には斜面部切刃26、26、26、・・・が配置されて構成されている。
外輪部切刃25は、例えば直方体形状を有するダイヤモンド粒により構成されており、円盤部材27の外輪部25a上に、中心軸に対して同心となるように複数配置されている。本実施の形態では、24個の外輪部切刃25を等間隔にて配置した。
また、外輪部切刃25は、円盤部材27の中心軸と垂直に突出しており、後述するように、この露出している部分の先端が砥石8の円柱面32をドレスする。
このように、外輪部切刃25は、円盤部材27に固定され、円盤部材27の中心軸と平行な中心軸を有する円柱面32をドレスする第1の切刃部を構成している。
斜面部切刃26も、例えば直方体形状を有するダイヤモンド粒により構成されており、斜面部26aから斜面部26aと垂直に突出している。本実施の形態では、24個の斜面部切刃26を等間隔に配置した。
後述するように、斜面部切刃26の露出した部分の先端が砥石8の斜面31をドレスする。
このように、斜面部切刃26は、円盤部材27に固定され、円盤部材27の中心軸と所定角度を成す斜面31をドレスする第2の切刃部を構成している。
なお、本実施の形態では、ドレッサ19により砥石8をドレスするが、これは、砥石8をドレスするドレッサをドレッサ19に限定するものではなく、各種の形態のドレッサが使用可能であり、後述する所望のドレス後の形状が得られるものであればよい。
次に、砥石8のドレスについて説明する。
図3(a)は、本実施の形態に係る砥石8の外形形状を示した図である。
砥石8は、回転軸を中心とする斜面31(斜面部)と、斜面31と連続し、回転軸を中心軸とする円柱面32(円柱面部)を有している。
円柱面32は、更に、斜面31と連続する第1円柱面35(第1の円柱面部)と、第1円柱面35と連続し、第1円柱面35よりも小径の第2円柱面36(第2の円柱面部)から構成されている。ここで、第1円柱面35の母線の長さをLとする。
また、図3(a)には、z軸とx軸の方向も示している。z軸は、砥石8の回転軸の方向であり、x軸は、水平面内での斜面31の母線の方向(z軸に対して角度αを成す)となっている。
図3(b)は、斜面31と円柱面32のドレスを説明するための図である。
図には、ドレッサ19と砥石8の位置関係を示すため、ドレッサ19の刃先の部分も図示してある。
まず、斜面31のドレスに関しては、斜面部切刃26を斜面31に当て、砥石8をx軸方向に前後させることにより行う。斜面31のz方向のドレス量をAとする。
このように、斜面31をドレスすることにより新たな斜面31aが形成される。
円柱面32のドレスに関しては、外輪部切刃25を円柱面32に当てて、砥石8をz軸方向に前後させることにより行う。円柱面32のドレス量は、第1円柱面35と第2円柱面36の段差以上とし、これにより、第2円柱面36の外径以下の外径を有する円柱面32aが形成される。
このようにして円柱面32aを形成した後、内面研削装置1は、図3(c)に示したように、外輪部切刃25を円柱面32aの端部(斜面31と対向する側の端部)に当ててz方向に前後してドレスを行い、第2円柱面36aを形成する。
第2円柱面36aの外径は、第1円柱面35a(円柱面32aから第2円柱面36aを除いた部分)の外径よりも小さくなっている。このようにして、第1円柱面部と第2円柱面部が再形成される。
また、内面研削装置1は、ドレス前に第1円柱面35と第2円柱面36の段差があった位置(図3(c)では点線で示してある)よりも−z方向、即ち、斜面31から遠い方向にAだけシフトした位置から第2円柱面36aを形成する。これによって第1円柱面35aの母線の長さがLとなる。
以上のようにして、斜面31をドレスすると共に、第1内径面44(図7)を研削する部分である第1円柱面35aの長さを一定値Lに保つことができる。
なお、以上の説明では、斜面31aの形成、円柱面32aの形成、第2円柱面36aの形成の順序で加工したが、加工順序は任意でよく、最終的に斜面31a、円柱面32a、第2円柱面36aが得られればよい。
次に、砥石8の形状の変形例について説明する。
図4は、砥石8の変形例である砥石8aの形状を示した図である。
砥石8aでは、第1円柱面35と、第1円柱面35よりも外径の小さい第2円柱面36によって円柱面32が構成されている点は砥石8と同じであるが、第2円柱面36が斜面31側に形成されている。
砥石8aでは、斜面31をドレスすると、斜面31が−z方向、即ち斜面31が形成されていない側の端部方向に後退するが、新たに形成された斜面31が第1円柱面35と干渉しない場合は、第1円柱面35の母線の長さは一定値Lに保たれる。
以上に説明したように、第2円柱面36は斜面31側に形成してもよいし、又は斜面31と対向する側に形成してもよく、砥石8及び砥石8aは、回転軸を中心線とする第1円柱面35と、前記第1円柱面35と同心であり、前記第1円柱面35と連続する、前記第1円柱面35よりも小径の第2円柱面36と、を有する円柱面32と、前記回転軸を中心線とし、前記第1円柱面35と前記第2円柱面36の何れか一方と連続する斜面31と、から構成されている。
次に、内面研削装置1のハードウェア的な構成について説明する。
図5は、内面研削装置1のハードウェア的な構成の一例を示したブロック図である。
内面研削装置1は、CPU(Central Processing Unit)65、ROM(Read Only Memory)66、RAM(Random Access Memory)67、入力部68、表示部69、駆動制御部71、入出力I/F(インターフェース)72、記憶媒体駆動部73、記憶部74などの各機能部がバスライン75で接続されて構成されている。
CPU65は、数値制御プログラムに従って、テーブル13、テーブル14、砥石スピンドル12、モータ23、クーラントの供給など、内面研削装置1を構成する各要素の数値制御を行う。
また、CPU65は、ファイルの入出力や、数値制御プログラムの編集の受け付けなど、所定のプログラムに従って各種の情報処理も行う。
ROM66は、内面研削装置1を動作させるための基本的なプログラムやデータなどを記憶した読み出し専用のメモリである。
RAM67は、CPU65が動作するためのワーキングエリアを提供する読み書き可能なメモリである。
入力部68は、内面研削装置1に情報を入力するための機能部であり、例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力装置を備えている。
入力装置には、数字、文字、記号などを入力する文字キーやテンキー、予め設定された機能を指定するための機能キーなどを備えている。
ユーザは、入力部68を操作することにより、数値制御プログラムの作成、呼出、編集などを行ったり、内面研削装置1の動作を規定する各種パラメータを設定したりすることができる。
表示部69は、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode−Ray Tube)ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイなどの表示装置を備えており、文字情報や画像情報を表示することができる。
ユーザは、表示部69に数値制御プログラムを表示してこれを編集したり、あるいは予め用意されているメニュー画面を表示して各種のパラメータを設定したりするのに用いることができる。
駆動制御部71は、例えば、ACサーボモータなどの駆動系に接続されており、CPU65は、駆動制御部71を介してテーブル13、テーブル14、砥石スピンドル12、モータ23、クーラントの供給装置などを制御することができる。
入出力I/F72は、内面研削装置1を外部機器と接続するためのインターフェースである。
入出力I/F72を用いて内面研削装置1をパーソナルコンピュータなどの外部機器に接続することにより、内面研削装置1と外部機器の間で数値制御プログラムの送受信などを行うことができる。
このため、外部で数値制御プログラムを用意し、入出力I/F72から内面研削装置1に入力することができる。
記憶媒体駆動部73は、装着された着脱可能な記憶媒体を駆動し、数値制御プログラムなどの読み書きを行う機能部である。
読み書き可能な記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、半導体記憶装置、磁気テープなどがある。
また、読み取り専用の記憶媒体としては、例えば、CD−ROMなどの光ディスク類や紙テープなどがある。
記憶部74は、例えば、半導体メモリやハードディスクなどで構成された読み書き可能な記憶装置である。
記憶部74には、プログラム類を格納したプログラム部76とデータ類を記憶したデータ部77が形成されている。
図5(b)に示したように、プログラム部76には、OS(Operating System)81、加工プログラム82、ドレスプログラム83、その他の各種プログラムがCPU65で実行可能に記憶されている。
加工プログラム82、ドレスプログラム83は、それぞれ燃料噴射ノズル2の加工、及び砥石8のドレスを行うための数値制御プログラムである。
なお、加工プログラム82やドレスプログラム83は複数記憶することができ、プログラム番号などの登録IDにより管理することができる。
そして、加工の際、あるいはドレスの際には、プログラム部76から目的のプログラムを呼び出してCPU65に実行させることができる。
OS81は、ファイルの入出力管理など、内面研削装置1を運営する基本的な機能をCPU65に発揮させるためのプログラムである。
データ部77には、内面研削装置1を動作させるための各種パラメータや座標値、内面研削装置1の運用履歴86などが記憶されている。
次に、図6のフローチャートを用いて砥石8をドレスする手順について説明する。以下の処理は、CPU65がドレスプログラム83に従って内面研削装置1の各部を制御して行うものである。
まず、内面研削装置1は、運用履歴86に記録されている前回のドレスデータを読み込む(ステップ5)。
この前回のドレスデータでは、前回のドレスで形成された斜面31、円柱面32の位置を規定する座標値などが含まれており、これによって、内面研削装置1は、今回ドレスする際のドレッサ19と砥石8との位置関係を把握し、前回ドレスした砥石8の表面から引き続きドレスを行うことができる。
内面研削装置1は、前回のドレスデータを読み込むと、テーブル13、テーブル14を駆動して、砥石8をドレッサ19付近のドレス開始位置に移動させる。
そして、内面研削装置1は、モータ18を駆動してドレッサ19を回転させると共に、砥石スピンドル12を駆動して砥石8を回転させる。
次に、内面研削装置1は、前回のドレスデータを用いて斜面31のドレス開始位置を規定する座標値を取得すると共にドレス量をドレスプログラム83より取得する(ステップ10)。
次に、内面研削装置1は、ドレス箇所に対するクーラントの供給を開始し、引き続き斜面部切刃26を斜面31に当てて斜面31をドレスする(ステップ15)。その結果、斜面31a(図3(b))が形成される。
このように、内面研削装置1は、斜面31をドレスする斜面部ドレス手段を備えている。
斜面31のドレスを終えると、内面研削装置1は、前回のドレスデータを用いて円柱面32のドレス開始位置を規定する座標値を取得すると共にドレス量をドレスプログラム83より取得する(ステップ20)。
次に、内面研削装置1は、斜面部切刃26を円柱面32に当てて円柱面32をドレスし、円柱面32a(図3(b))を形成する(ステップ25)。
このように、内面研削装置1は、円柱面32を、外径が第2円柱面36の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形手段を備えている。
次に、内面研削装置1は、前回のドレスデータを用いて第2円柱面36のドレス開始位置を規定する座標値を取得すると共にドレス量をドレスプログラム83より取得する(ステップ30)。
次に、内面研削装置1は、外輪部切刃25を第2円柱面36aに当ててドレスし、第2円柱面36a(図3(c))を形成する(ステップ35)。
この際に、内面研削装置1は、斜面31のドレス量(図3(b)のA)から、第1円柱面35aの母線の長さが所定値L(図3(c))となるように、第2円柱面36aの形成位置を制御する。
このように、内面研削装置1は、斜面31のドレス量に対して、第1円柱面35aの母線の長さが所定の値(ここではL)となるように、前記成形した円柱面32aに第2円柱面36aを成形する第2の円柱面部成形手段を備えている。
内面研削装置1は、以上のようにして砥石8をドレスすると、クーラントの供給、モータ23、砥石スピンドル12を停止し、テーブル14とテーブル13を駆動して砥石8を所定の位置に移動する。
更に、内面研削装置1は、今回行ったドレスによるドレスデータを運用履歴86に記録する。
なお、本実施の形態では、斜面31、円柱面32、第2円柱面36の順序でこれらをドレスして形成していったが、形成順序は任意でよく、例えば、斜面31、第2円柱面36、円柱面32の順序でもよく、また、第2円柱面36、円柱面32、斜面31の順序でもよい。
また、以上の手順は、斜面31をドレスする場合であるが、燃料噴射ノズル2の第1内径面44(図7(a))を研削すると、第1円柱面35も砥粒の脱落や目つぶれなどを生じ、時折ドレスする必要がある。
この場合、第1円柱面35と第2円柱面36が成す段差よりもドレス量が小さい場合は、第1円柱面35をドレスした後も第2円柱面36が形成されているため、第1円柱面35だけドレスすればよい。
一方、第1円柱面35と第2円柱面36が成す段差よりもドレス量が等しいか大きい場合は、円柱面32の全体に渡って外径が一定となるようにドレスした後、第2円柱面36を形成する。又は、逆に第2円柱面36を形成した後、第1円柱面35を形成してもよい。
以上に、説明した本実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)斜面をドレスすることにより、第1円柱面の母線が短くなっても、円柱面に第1円柱面と第2円柱面を再度形成することにより第1円柱面の母線の長さを一定にすることができる。即ち、砥石長さを均一に保つことができる。
(2)変形例に係る砥石の場合は、斜面が第1円柱面に干渉するまで、斜面をドレスしても第1円柱面の母線の長さを一定にすることができる。
(3)第1内径面を研削する面である第1円柱面の母線の長さが一定であるため、高い加工精度(内径円筒度、真直度など)を維持することができる。
本実施の形態に係る内面研削装置のレイアウトを説明するための平面図である。 本実施の形態に係るドレッサの構成を説明するための図である。 砥石の形状とドレス方法を説明するための図である。 変形例に係る砥石の形状を説明するための図である。 内面研削装置のハードウェア的な構成の一例を示したブロック図である。 砥石をドレスする手順を説明するためのフローチャートである。 砥石を用いた燃料噴射ノズルの内面研削を説明するための図である。 従来例による砥石のドレスを説明するための図である。
符号の説明
1 内面研削装置
2 燃料噴射ノズル
8 砥石
12 砥石スピンドル
13 テーブル
14 テーブル
16 ワークヘッドスピンドル
18 モータ
19 ドレッサ
20 プーリ
22 ベルト
23 モータ
24 プーリ
25 外輪部切刃
26 斜面部切刃
31 斜面
32 円柱面
35 第1円柱面
36 第2円柱面

Claims (5)

  1. 回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、
    前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石をドレスするドレス装置であって、
    前記斜面部をドレスする斜面部ドレス手段と、
    前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形手段と、
    前記斜面部のドレス量に対して、前記第1の円柱面部の母線の長さが所定の値を保つように、前記成形した円柱面に第2の円柱面部を成形する第2の円柱面部成形手段と、
    を具備したことを特徴とするドレス装置。
  2. 前記第2の円柱面部成形手段は、前記斜面部が形成されている側と対向する一端側に第2の円柱面部を成形することを特徴とする請求項に記載のドレス装置。
  3. 円盤部材と、
    前記円盤部材に固定され、前記円盤部材の中心軸と平行な中心軸を有する円柱面をドレスする第1の切刃部と、
    前記円盤部材に固定され、前記円盤部材の中心軸と所定角度を成す斜面をドレスする第2の切刃部と、
    前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形機能と、
    を備えたドレッサを含む、請求項1、又は請求項2に記載のドレス装置。
  4. 回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、
    前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石が装着可能な砥石装着手段と、
    ワークを保持するワーク保持手段と、前記保持したワークの内面を前記内面研削砥石で研削する研削手段と、前記内面研削砥石をドレスする、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のドレス装置と、
    を具備したことを特徴とする研削装置。
  5. 回転軸を中心線とする第1の円柱面部と、前記第1の円柱面部と同心であり、前記第1の円柱面部と連続する、前記第1の円柱面部よりも小径の第2の円柱面部と、を有する円柱面部と、
    前記回転軸を中心線とし、前記第1の円柱面部と前記第2の円柱面部の何れか一方と連続する斜面部と、から構成された内面研削砥石をドレスするドレス方法であって、
    前記斜面部をドレスする斜面部ドレスステップと、
    前記円柱面部を、外径が前記第2の円柱面の外径以下の円柱面となるように成形する円柱面部成形ステップと、
    前記斜面部のドレス量に対して、前記第1の円柱面部の母線の長さが所定の値を保つように、前記成形した円柱面に第2の円柱面部を成形する第2の円柱面部成形ステップと、
    を行うことを特徴とするドレス方法。
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