請求項1に記載の発明は、上面を開口した板状の氷を作る製氷部と、前記製氷部内において回転駆動して前記板状の氷を複数に分割する分割手段と、前記分割手段を駆動する駆動装置と、前記製氷部を回転駆動する反転装置と、製氷部の下方には氷を貯える貯氷箱を備えた製氷装置で、製氷完了時、前記製氷部を反転させながら、前記分割手段を回転駆動して前記板状の氷を複数の不定形な氷に分割するもので、製氷完了から離氷するまでの時間を短縮することができ、さらに製氷完了時、製氷部を反転させながら、分割手段を回転駆動して板状の氷を複数の不定形な氷に分割することで、製氷部が上向きの状態より砕氷を開始し一枚氷を完全に分割でき、一枚氷の状態で氷が貯氷箱に落下するのを防止し、氷が製氷皿の角に残り次の製氷動作で再度氷が成長して砕氷がしにくくなり分割手段のトルクが増加してしまうことを防止できます。また、製氷部を反転させながら分割手段を回転駆動するので製氷部が上向きの状態で砕氷するのに比較して氷屑の飛散を少なくできる効果があります。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明による実施の形態1の製氷装置を搭載した冷蔵庫の側断面図であり、図2は同実施の形態の製氷装置の一部の斜視図である。図3は図2の製氷装置の一部破断面分解図である。図4は図2における上断面図である。
図において、31は複数の貯蔵室を有する冷凍冷蔵庫本体であり、32は冷凍冷蔵庫本体31の上部に形成された第1冷蔵室で、扉33と断熱壁34によって囲まれ、外気と断熱されている。
35は冷蔵室32の下方に形成された冷凍室35(以下、製氷室35という)であり、断熱壁34と扉36によって囲まれ、外気と断熱されている。製氷室35内には、氷を貯えるための貯氷容器35aが下方に設置されている。
37は第1冷蔵室32と製氷室35の間に位置する第2冷蔵室で、断熱壁34と扉38によって囲まれ、外気と断熱されており、風路39により第1冷蔵室32と冷気が行き来するようになっている。
第1冷蔵室32に配置された給水タンク40,給水ポンプ41、および第1冷蔵室32から断熱壁34を貫通して製氷室35に向け配置された給水経路42から構成された給水装置200と、板状の氷を作る製氷部300、および板状の氷を複数に分割する砕氷機400から構成される製氷装置100がある。
製氷部300は、一時的に水を貯え直方体の板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器43と、一方の面が製氷容器43の底面を形成するように製氷容器43に密着するように固定され、他方の面がペルチェ44の一方の面にヒートコンダクタ45を介して密着された冷却板46と、ペルチェ44の他方の面に密着されたヒートシンク47から構成される。
更に、冷却板46には、製氷容器43の上面開口側に向かって垂直に二本の上下面が開口された筒状部46aが、製氷容器43の短辺の略中央で長辺を略三等分する位置に製氷容器43の高さと略同じ高さまで設けられている。
砕氷機400は、製氷部300内で回転駆動し、板状の氷をバラバラに分割する分割手段48(以降、シャフトという)として、冷却板46の筒状部46aに外周側が被さり、筒状部46aの内側の穴を通って冷却板46を貫通する回転軸をもつ二本のシャフト48と、二本のシャフト48の回転軸とそれぞれ接合された出力軸49をもつ駆動装置50(以降、ギアユニットという)から構成される。
シャフト48の外周部には、シャフト48の回転軸から放射状に延び、互いに略90度の位置関係にある4本のリブ48aが、回転した際に隣のシャフト48のリブ48aや製氷容器43の側面に接触しない幅で突出している。ギアユニット50は、モータ51の回転を複数の減速歯車52等を介して減速させ、出力軸49を同時に同じ方向に回転させる。更に、ギアユニット50は、製氷部300と一体になるよう、冷却板46とヒートシンク47の間にはさまれた状態で製氷部300に固定されている。
更に、製氷部300と砕氷機400は、製氷部300と砕氷機400を回転駆動させる反転装置53(以降、駆動メカという)と回転駆動軸54とで、製氷容器43が給水経路42の出口の下方に位置し、製氷室35内上部に、製氷室35と第2冷蔵室37との間の断熱材34内に製氷容器43周辺が一部埋め込まれた状態で、貯氷容器35aの上方に位置するように回転可能に配置されている。
冷却板46の製氷容器43近傍には、製氷容器43内の水の状態を温度で検知するためのサーミスタ55が、冷却板46に接する面以外が断熱されて配置されている。
製氷装置100は、制御装置(図示せず)により制御される。
以上のように構成された製氷装置100について、次にその動作を説明する。
図4は、制御装置による製氷装置100の制御内容のうち、本発明の主要部を示したフローチャートである。
製氷制御がスタートされ、サーミスタ55が所定温度以下を検知すると(STEP1)、駆動メカ53により、製氷部300と砕氷機400を所定角度回転駆動させて傾け、所
定時間傾けた状態で停止させてから、反対方向に傾けるというサイクルを繰り返す揺動動作を開始する(STEP2)。本実施の形態においては、製氷容器43を15度傾け、5秒間傾けた状態で停止させてから、反対方向に15度傾けるというサイクルを製氷終了まで繰り返した。
給水タンク40内の水は、給水ポンプ41を所定時間、所定間隔で所定回数だけ駆動させることにより、所定量だけ給水経路42を通って製氷容器43内に間欠的に給水される(STEP3)。
製氷容器43の底面に位置する冷却板46は、ペルチェ44に所定の方向(以下、正通電とする)の直流電流を印加することにより、ヒートコンダクタ45を介して冷却され、製氷容器43内の水を氷へと相変換させる。その際、ペルチェ44の発熱面は、ヒートシンク47に固定されているため、製氷室35内の冷風により放熱される。この構成により、ペルチェ44に流れる電流を制御することで、冷却板46の冷却量を制御することができるため、凍結速度を制御することができる。
本実施の形態では、給水回数は20回とし、一回あたりの給水量が製氷容器43の高さで0.5mmとなるように給水ポンプ41の駆動時間を調整した。また、製氷容器43周辺の温度は、第2冷蔵室37の温度の影響を受けて比較的高い温度となるが、必要に応じて製氷容器43の上部の第2冷蔵室37と製氷室35の間の断熱壁34に設置されたヒータ(図示せず)により、製氷容器43周辺の温度が0℃付近となるように調整することにより、氷が下からのみ成長するようにし、更には、冷却板46の温度を凍結速度が一定になり、二時間で給水した水が完全に凍結するようにペルチェ44に流す電流値を調節した。
また、給水ポンプ41は、前に入れた水が完全に凍結してしまう前に次の給水を行なうように、給水ポンプ41の駆動間隔を調整した。
また、製氷終了は、給水ポンプ41を所の回数駆動させ終え所定時間tが経過した後(STEP4)、製氷容器43に取り付けたサーミスタ55の温度Tiが所定の温度以下になった(STEP5)ことを検知して判断する(STEP6)。
製氷終了後、揺動動作を終了し(STEP7)、貯氷箱35a内の氷の量が、所定の量以下であることを検知すると(STEP8)、ペルチェ44に逆方向の電流を流し(STEP9)、サーミスタ55が所定の温度以上(STEP10)となるようにし、氷と冷却板46との付着を氷を薄く融かすことにより解消する。
その後、駆動メカ53を駆動することにより、製氷部300と砕氷機400とを反転し(STEP11)、砕氷機400のギアユニット50により、2本のシャフト48が同時に所定角度だけ回転駆動する(STEP12)。
シャフト48が回転されると、氷にもシャフト48とともに回転しようとする力がかかるが、製氷容器43側面により回転が抑制されるため、シャフト48のリブ48aにより氷に応力集中が生じ、シャフト48部分から製氷容器43外側に向けて氷に亀裂が走り、板状の氷が複数の丸みを帯びていない不定形な氷に分割され、そのまま貯氷容器35a内に落下する。
シャフト48の回転駆動が終わると、製氷部300と砕氷機400とは駆動メカ53により水平位置に復帰され(STEP13)、シャフト48もギアユニット50により元の位置(原点)に復帰する(STEP14)。
また例えば、シャフト48の回転駆動の後、さらに所定時間(例えば5秒間)駆動させ、その後シャフトの位置があらかじめ指定された初期位置になるように配置される。そして水平位置に復帰される。
その後、ペルチェ44に正通電を行い(STEP15)、製氷制御スタート(STEP1)に戻る。
以上のように、本実施の形態1の製氷装置100では、板状の氷を分割する際に、製氷部が反転した状態であるため、氷が分割とともに確実に貯氷箱に落下するので、不定形で丸みを帯びることのない、ウイスキーの水割り等に入れても官能的に優れた氷を提供することができる。また製氷部から離れにくい氷を離氷しやすくすることができる。
更に、氷を分割する前に冷却板を加熱して氷との付着を解消しているために、比較的小さなトルクで氷を分割することができ、また、使用に適さない小さく砕けた氷が発生することを抑制することができる。
更に、貯氷箱にある氷の量が所定量以下のときにのみ、冷却板の加熱以降の動作に進むので、一度凍った氷が融け、再び凍らせなければならないといったことがなく、加えて、必要量以上の氷が貯氷箱に貯まってしまうようなことがない。
更に、貯氷箱にある氷の量が所定量よりも多い場合には、冷却板の温度は零度以下に保たれるので、氷は製氷容器内に保存され、氷の使用により貯氷箱の氷が所定量以下になったときには、すぐに氷を補充することができる。
なお、本実施の形態1のような凍らせ方を行えば、製氷部300において水が製氷容器43内で下から上に向かって徐々に凍っていき、加えて給水を分割して行なうことにより、未凍結の状態である水の厚さが常に薄く形成されているため、水中に溶け込んでいた空気が気泡となって周辺空気中に拡散しやすく、透明な氷を作ることができる。
更に製氷中、製氷容器43が傾いて停止する動作を繰り返していることにより、氷と水の境界面が常に動き、境界面にできた気泡が水の流れにより境界面から引き離され、気泡が浮力により、製氷容器43周辺の空気中に拡散されるのを促進するため、比較的速い凍結速度で透明度の高い氷を作ることができる。
更に、板状の氷の砕氷として用いた砕氷機400では、シャフト48が氷を割るのに必要なトルクは、一般的なDCモータで十分に実現可能なトルクであるため、小型で安価なコンパクト砕氷機が実現できる。
(実施の形態2)
図5は、制御装置による製氷装置100の制御内容のうち、本発明の主要部を示したフローチャートである。
製氷制御がスタートされ、サーミスタ55が所定温度以下を検知すると(STEP1)、駆動メカ53により、製氷部300と砕氷機400を所定角度回転駆動させて傾け、所定時間傾けた状態で停止させてから、反対方向に傾けるというサイクルを繰り返す揺動動作を開始する(STEP2)。
給水タンク40内の水は、給水ポンプ41を所定時間、所定間隔で所定回数だけ駆動させることにより、所定量だけ給水経路42を通って製氷容器43内に間欠的に給水される
(STEP3)。
製氷終了は、給水ポンプ41を所の回数駆動させ終え所定時間tが経過した後(STEP4)、製氷容器43に取り付けたサーミスタ55の温度Tiが所定の温度以下になった(STEP5)ことを検知して判断する(STEP6)。
製氷終了後、揺動動作を終了し(STEP7)、貯氷箱35a内の氷の量が、所定の量以下であることを検知すると(STEP8)、ペルチェ44に逆方向の電流を流し(STEP9)、サーミスタ55が所定の温度以上(STEP10)となるようにし、氷と冷却板46との付着を氷を薄く融かすことにより解消する。
その後、駆動メカ53を駆動することにより、製氷部300と砕氷機400とを反転し(STEP11)、砕氷機400のギアユニット50により、2本のシャフト48が同時に所定角度だけ回転駆動する(STEP12)。
シャフト48が回転されると、氷にもシャフト48とともに回転しようとする力がかかるが、製氷容器43側面により回転が抑制されるため、シャフト48のリブ48aにより氷に応力集中が生じ、シャフト48部分から製氷容器43外側に向けて氷に亀裂が走り、板状の氷が複数の丸みを帯びていない不定形な氷に分割され、そのまま貯氷容器35a内に落下する。
氷の分割が完了すると、シャフト48もギアユニット50により元の位置(原点)に復帰させる(STEP13)。この際、シャフト48に引っかかって貯氷箱35aに落下しなかった氷は、シャフト48の回転により動かされるため、引っかかりが解消されて落下する。
その後、製氷部300と砕氷機400とは駆動メカ53により水平位置に復帰される(STEP14)。
その後、ペルチェ44に正通電を行い(STEP15)、製氷制御スタート(STEP1)に戻る。
以上のように、本実施の形態2の製氷装置100では、板状の氷を分割する際に、製氷部が反転した状態であるため、氷が分割とともに確実に貯氷箱に落下する。
更に、製氷部が反転した状態でシャフトを原点復帰させるので、万が一分割された氷がシャフトや製氷容器に引っかかって落下しなかったとしても、シャフトの回転駆動により氷が動かされるので、引っかかりが解消され、氷をより確実に落下させることができるので、不定形で丸みを帯びることのない、ウイスキーの水割り等に入れても官能的に優れた氷を、確実に提供することができる。
(実施の形態3)
図6は、制御装置による製氷装置100の制御内容のうち、本発明の主要部を示したフローチャートである。
製氷制御がスタートされ、サーミスタ55が所定温度以下を検知すると(STEP1)、駆動メカ53により、製氷部300と砕氷機400を所定角度回転駆動させて傾け、所定時間傾けた状態で停止させてから、反対方向に傾けるというサイクルを繰り返す揺動動作を開始する(STEP2)。
給水タンク40内の水は、給水ポンプ41を所定時間、所定間隔で所定回数だけ駆動させることにより、所定量だけ給水経路42を通って製氷容器43内に間欠的に給水される(STEP3)。
製氷終了は、給水ポンプ41を所の回数駆動させ終え所定時間tが経過した後(STEP4)、製氷容器43に取り付けたサーミスタ55の温度Tiが所定の温度以下になった(STEP5)ことを検知して判断する(STEP6)。
製氷終了後、揺動動作を終了し(STEP7)、貯氷箱35a内の氷の量が、所定の量以下であることを検知すると(STEP8)、ペルチェ44に逆方向の電流を流し(STEP9)、サーミスタ55が所定の温度以上(STEP10)となるようにし、氷と冷却板46との付着を氷を薄く融かすことにより解消する。
その後、2本のシャフト48が同時に所定角度だけギアユニット50により回転駆動される(STEP11)。シャフト48が回転されると、氷にもシャフト48とともに回転しようとする力がかかるが、製氷容器43側面により回転が抑制されるため、シャフト48のリブ48aにより氷に応力集中が生じ、シャフト48部分から製氷容器43外側に向けて氷に亀裂が走り、板状の氷が複数の丸みを帯びていない不定形な氷に分割される。
駆動メカ53を駆動することにより、製氷部300と砕氷機400とを反転する(STEP12)。その際、氷は加熱と分割の動作により製氷容器43から剥がれているので、自重によりそのまま貯氷容器35a内に落下する。
シャフト48もギアユニット50により元の位置(原点)に復帰させる(STEP13)。この際、シャフト48に引っかかって貯氷箱35aに落下しなかった氷は、シャフト48の回転により動かされるため、引っかかりが解消されて落下する。
その後、製氷部300と砕氷機400とは駆動メカ53により水平位置に復帰され(STEP13)、シャフト48もギアユニット50により元の位置(原点)に復帰する(STEP14)。
その後、ペルチェ44に正通電を行い(STEP15)、製氷制御スタート(STEP1)に戻る。
以上のように、本実施の形態3の製氷装置100では、板状の氷を分割した後に、製氷部を反転させるため、氷の分割により氷が勢いよく貯氷箱に落下し、大きな音を立てることなく、不定形で丸みを帯びることのない、ウイスキーの水割り等に入れても官能的に優れた氷を提供することができる。
(実施の形態4)
図7は、制御装置による製氷装置100の制御内容のうち、本発明の主要部を示したフローチャートである。
製氷制御がスタートされ、サーミスタ55が所定温度以下を検知すると(STEP1)、駆動メカ53により、製氷部300と砕氷機400を所定角度回転駆動させて傾け、所定時間傾けた状態で停止させてから、反対方向に傾けるというサイクルを繰り返す揺動動作を開始する(STEP2)。
給水タンク40内の水は、給水ポンプ41を所定時間、所定間隔で所定回数だけ駆動させることにより、所定量だけ給水経路42を通って製氷容器43内に間欠的に給水される
(STEP3)。
製氷終了は、給水ポンプ41を所の回数駆動させ終え所定時間tが経過した後(STEP4)、製氷容器43に取り付けたサーミスタ55の温度Tiが所定の温度以下になった(STEP5)ことを検知して判断する(STEP6)。
製氷終了後、揺動動作を終了し(STEP7)、貯氷箱35a内の氷の量が、所定の量以下であることを検知すると(STEP8)、ペルチェ44に逆方向の電流を流し(STEP9)、サーミスタ55が所定の温度以上(STEP10)となるようにし、氷と冷却板46との付着を氷を薄く融かすことにより解消する。
その後、2本のシャフト48が同時に所定角度だけギアユニット50により回転駆動される(STEP11)。シャフト48が回転されると、氷にもシャフト48とともに回転しようとする力がかかるが、製氷容器43側面により回転が抑制されるため、シャフト48のリブ48aにより氷に応力集中が生じ、シャフト48部分から製氷容器43外側に向けて氷に亀裂が走り、板状の氷が複数の丸みを帯びていない不定形な氷に分割される。
駆動メカ53を駆動することにより、製氷部300と砕氷機400とを反転する(STEP12)。その際、氷は加熱と分割の動作により製氷容器43から剥がれているので、自重によりそのまま貯氷容器35a内に落下する。
反転動作が完了すると、シャフト48もギアユニット50により元の位置(原点)に復帰させる(STEP13)。この際、シャフト48に引っかかって貯氷箱35aに落下しなかった氷は、シャフト48の回転により動かされるため、引っかかりが解消されて落下する。
その後、製氷部300と砕氷機400とは駆動メカ53により水平位置に復帰される(STEP14)。
その後、ペルチェ44に正通電を行い(STEP15)、製氷制御スタート(STEP1)に戻る。
以上のように、本実施の形態3の製氷装置100では、板状の氷を分割した後に、製氷部を反転させるため、氷の分割により氷が勢いよく貯氷箱に落下し、大きな音を立てることない。
更に、製氷部が反転した状態でシャフトを原点復帰させるので、万が一分割された氷がシャフトや製氷容器に引っかかって落下しなかったとしても、シャフトの回転駆動により氷が動かされるので、引っかかりが解消され、氷をより確実に落下させることができるので、不定形で丸みを帯びることのない、ウイスキーの水割り等に入れても官能的に優れた氷を、確実に提供することができる。
(実施の形態5)
図8は本発明による実施の形態5の製氷装置の一部の斜視図であり、図9は図8の製氷装置の分解図である。
製氷装置401は給水装置200と砕氷機400と製氷部402とから構成されている。
製氷部402は、一時的に水を貯え板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器43
と、冷却板403と、製氷容器43の外周フランジと冷却板403の間に配置される水漏れ防止材404とから構成され、さらに冷却板403の下方に駆動ユニット405が配置される。
駆動ユニット405の後方、冷却板403の下方にはフィン形状を備えた冷却促進部材406が冷却板403に熱伝導的に接して配置されている。
また、冷却板403と、冷却促進部材406とは、アルミ等の熱伝導性の良い材料で成形されている。
更に、冷却板403の製氷容器43外側で比較的製氷容器43に近い位置には、冷却板403を加熱するためのヒータ407が設置されている。
製氷容器43と、冷却板403と、水漏れ防止材404と、駆動ユニット405と、冷却促進部材406とは、保持部材408、409により上下に狭持されるよう構成されている。
この時に、製氷容器43は、保持部材408、409により冷却板403方向に押さえ付けられ、同時に、水漏れ防止材404は適度に圧縮されている。
また、駆動ユニット405には、複数個の砕氷軸410が連結されており、冷却板403を貫通して製氷部402方向へ延伸されている。このとき、冷却板403の貫通穴には、砕氷軸410の周囲をシールする水漏れ防止材411が設けられている。さらに、駆動ユニット405の側面には検氷軸412が設けられており、検氷軸412を介して検氷レバー413が取り付けられている。またさらに、駆動ユニット405の正面には回動軸414が設けられている。図示はしていないが、駆動ユニット405の内部には少なくとも1個の駆動部が設けられており、砕氷軸410、検氷軸412、回動軸414を駆動させる。
また、冷却板403には温度検知手段、例えば温度センサ415が設けられている。
また、製氷容器43の外周には、ヒータ405と温度センサ415を覆う断熱材416、417が設けられている。
製氷容器43と、冷却板403と、水漏れ防止材404と、駆動ユニット405と、冷却促進部材406と、ヒータ407と、保持部材408、409と、砕氷軸410と、水漏れ防止材411と、検氷軸412と、検氷レバー413と、回動軸414と、温度センサ415と、断熱材416、417は各々相互に固定され、全体として製氷装置401を構成しており、冷却促進部材405が製氷室35の扉36と反対側に位置する冷気吐出口(図示せず)に近接するように配置されている。
また、製氷装置401は、第2冷蔵室37と製氷室35の間にある断熱壁34に設けられた、略ドーム形状の凹部内にその上部が収納される。断熱材416、417と製氷室天面の凹部は、製氷装置401の回転に支障の無い程度に近接しており、製氷部402と製氷室の空気の循環は最小限に抑えられている。さらに、図示はしていないが、製氷室天面の凹部には加熱手段が設けられている。
以上のように構成された製氷装置について、以下その動作、作用を図10に示す本実施の形態の製氷装置の主要部のフローチャートを用いて説明する。
製氷制御がスタートされ、温度センサ415が所定の温度範囲内を検知すると(STEP1)、給水装置200により水が給水され(STEP2)、製氷容器43と冷却板403で区画された製氷部402に貯えられる。製氷容器43は下方が開放され、冷却板403が露出している状態である。
この時、製氷容器43と冷却板403の間には、水漏れ防止材404が配置されているため、製氷部402に貯えられた水は下方に漏れ出ることが無い。また、砕氷軸410の周囲には、水漏れ防止材411が設けられており、同じく製氷部402の水の漏出を防いでいる。水漏れ防止材411はゴム状の弾力性のある材料を用いており、形状としてはリング状を成している。
この水漏れ防止材411の内周には、単段、あるいは複数段のヒレ形状が設けられており、その内径は、砕氷軸410の外形よりも小さくなっている。さらに、水漏れ防止材411の内周にはグリスが塗布され、より防水性を高めた構造をとっている。
温度センサ415が冷却板403の温度上昇を検知し、給水が完了したと判断すると、回動軸414が、ある一定の振動数、振幅で、正逆転繰り返し、製氷装置401を揺動させることにより、製氷部402内に給水された水を適度に攪拌する(STEP3)。この時、回動軸414は製氷室内に固定されており、回動軸414の動作によって製氷装置401自体が揺動動作を行うことになる。
製氷室天面の凹部は加熱手段により温められ、かつ、断熱材416、417により製氷室内雰囲気との断熱を行うため、製氷部402近傍の雰囲気温度は0℃よりも高く保たれる。冷却促進部材406は製氷室35に吹き出される冷気により冷却され、冷却板403を冷却していく。冷凍温度になった冷却板403により、給水された水は下部から徐々に凍結していき、水中の気体成分を上方に逃がしていくが、製氷部402近傍の雰囲気温度は0℃よりも高く保たれるため、給水された水の上面が下面よりも先に凍結することが無い。この時、温度センサ415は冷却板403の温度を検知しており、ヒータ405への印加電圧を適度に変化させるか、ヒータ405への通電をオン・オフすることにより冷却板403の温度をコントロールして、凍結速度の最適な制御を行う。例えば、脱気速度よりも凍結速度が速すぎる場合には、ヒータ405の印加電圧を増加させる制御を行う(STEP4)。
加えて揺動動作により、水中の気体成分を逃がす効果、すなわち脱気効果がさらに高まることになる。また、このとき製氷容器43内の未凍結の水は、製氷容器43の略全幅にわたって移動することが可能である。
凍結完了は、給水終了後、所定時間tが経過した後(STEP5)、温度センサ415が所定の温度以下になった(STEP6)ことを検知して行う。このとき製氷容器43内には比較的透明度の高い略板状の氷ができている。
凍結完了後、揺動動作を終了し(STEP7)、検氷軸412を介して検氷レバー413を貯氷箱35a内に降下させるが、氷が貯氷箱35a内に所定の量以上貯まっていると、検氷レバー413と氷が接触して検氷軸412の回転が阻害されて満氷であることを検知し、貯氷箱内の氷が所定量以下であると貯氷量が不足していることを検知する(STEP8)。
満氷時には、氷を製氷容器43内でそのまま保持し、例えば所定時間ごとに検氷レバー413を動作させて貯氷箱35a内の氷の量を検知し、氷不足になれば、ヒータ405に通電して冷却板403を加熱する(STEP9)。冷却板403を加熱することにより、
製氷容器43内の氷の冷却板403との密着力は弱まることになる。
温度センサ415が所定の温度以上になると(STEP10)、ヒータ405への通電を停止し(STEP11)、回動軸414を駆動させて製氷部402を反転させ(STEP12)、更に砕氷軸410を駆動して氷を複数に分割して貯氷箱35aに落下させる(STEP13)。氷の分割終了後、砕氷軸410を元の位置に戻し(STEP14)、更に回動軸414を駆動して製氷部402を水平位置に復帰させる(STEP15)、その後、製氷制御スタートに戻る。
以上のように、本実施の形態5の製氷装置401では、比較的簡単な構成で、安価なコストで加熱も可能な冷却板を備えた製氷装置を実現することができる。
更に、ヒータは、冷却板に接触している面以外を断熱材で覆われているため、ヒータの発熱ロスは低減し、ヒータの容量は比較的小さいものでも、短時間で冷却板を所定の温度まで上昇させることができる。
なお、本実施の形態においては、ウイスキーの水割り等に入れる際に、より官能的に優れた透明度の高い氷を作る製氷方法も合わせて示したが、氷の作り方はこの方法に固定されるものではない。
(実施の形態6)
図11は本発明による実施の形態の製氷装置の一部の斜視分解図である。
なお、実施の形態5と同じ構成の部分については、説明を省く。
製氷装置401は給水装置200と砕氷機400と製氷部402とから構成されている。
製氷部402は、一時的に水を貯え板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器43と、冷却板403と、製氷容器43の外周フランジと冷却板403の間に配置される水漏れ防止材404とから構成され、さらに冷却板403の下方に駆動ユニット405が配置される。
駆動ユニット405の後方、冷却板403の下方にはフィン形状を備えた冷却促進部材406が冷却板403に熱伝導的に接して配置されている。
また、冷却板403と、冷却促進部材406とは、アルミ等の熱伝導性の良い材料で成形されている。
更に、冷却板403と駆動ユニット405の間で、製氷容器43の底面に対応する部分には、冷却板403を加熱するために、略均一に発熱する面状ヒータ418が設置されている。略均一に発熱する面状ヒータとしては、金属抵抗体をシリコーンゴム等の絶縁体で挟み込んだものや、導電性樹脂の発熱体を絶縁体で挟み込んだものなどがあり、形状の自由度は比較的高い。
また、駆動ユニット405には、複数個の砕氷軸410が連結されており、冷却板403を貫通して製氷部402方向へ延伸されている。このとき、冷却板403の貫通穴には、砕氷軸410の周囲をシールする水漏れ防止材411が設けられているが、面状ヒータ418には、砕氷軸410が貫通するところに対応した穴が開いている。
以上のように構成された製氷装置について、以下その動作、作用を説明する。
給水装置200により給水された水は、製氷容器43内で冷却板403により冷却され、氷となる。
凍結が完了したことを温度センサ415で検知すると、面状ヒータ418に通電することにより、冷却板403が加熱され、冷却板403と氷の密着力を低減することができるが、この際、製氷容器43底面は略均一に発熱される面状ヒータ418により略均一に加熱されるため、氷の融け方に差が生じることが無い。
また、温度センサ415で冷却板403の一箇所の温度を測定して加熱の終了を検知しているが、冷却板403の温度分布が小さいことにより、確実に、氷が融けてしまわず、しかしながら氷と冷却板403の密着力を弱めることのできる、適した温度で加熱を終了することができる。
以上のように、本実施の形態6の製氷装置では、略均一に発熱する面状ヒータが製氷容器底面に対応する冷却板と駆動ユニットの間に配置されていることにより、冷却板の加熱により、氷の一部が融けすぎてしまうことを抑制することができ、更に、確実に氷と冷却板の密着力を弱める最適な温度で、加熱を終了することができる。
なお、本実施の形態では、面状ヒータを冷却板と駆動ユニットの間に配置したが、冷却板か駆動ユニットの少なくとも一方に、ヒータ線が配置される溝を形成する等の比較的簡単な構成を追加することにより、通常のヒータ線を面状ヒータの変わりに用いても同様の効果を得ることができる。