以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明の実施形態が適応される冷蔵庫の構成を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本実施形態例の冷蔵庫の正面外形図、図2は冷蔵庫の庫内の構成を示す断面図であり、図1中に示すX−X断面図である。図3は冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図であり、冷気ダクトや吹き出し口の配置などを示す図である。
図1に示すように、本実施形態例の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6から構成されている。
ここで、本実施形態例における冷蔵室2と野菜室6は、請求項に記載の冷蔵温度帯室に対応し、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は請求項に記載の冷凍温度帯室に対応する。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a、2bを備え、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと称する。
また、冷蔵室1は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する図示しない扉センサと、扉開放状態と判断させた状態が所定時間、たとえば1分以上継続された場合に、使用者に報知する図示しないアラーム、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする図示しない温度設定器等を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10は複数の真空断熱材25を実装している。
庫内は、断熱仕切壁28により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられ、断熱仕切壁29により、下段冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
扉2a、2b(図1参照、図2では冷蔵室扉2bは図示されていない)の庫内側には複数の扉ポケット32が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚36により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
図2に示すように、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの室の前方に備えられた扉3a、4a、5a、6aと一体に、収納容器3b、4b、5b、6bがそれぞれ設けられており、扉4a、5a、6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b、5b、6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aと一体に、図示しない収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器3bが引き出せるようになっている。
図2に示すように(適宜図3参照)、冷却器7は下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられており、冷却器7の上方に設けられた庫内送風機(送風機)9により冷却器7と熱交換して冷やされた空気(冷気、以下、冷却器7で冷やされてできた低温空気を冷気と称する)が冷蔵室送風ダクト11、符号省略の野菜室送風ダクト(図3参照)、上段冷凍室送風ダクト12、下段冷凍室送風ダクト13及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、野菜室6、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各室へ送られる。各室への送風は冷蔵室ダンパ20と冷凍室ダンパ50の開閉により制御される。
ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫1の各室の背面側に設けられている。
具体的には、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られ、冷蔵室送風ダクト11から分岐した野菜室送風ダクト(図3参照)を経て、吹き出し口6cから野菜室6に送られる。
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、例えば、冷蔵室2の下面に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、冷却器収納室8(図5参照)の正面から見て、例えば、右側下部に戻る。また、野菜室6からの戻り空気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8の下部に戻る。
図3では冷凍室ダンパ50が省略されているが、冷凍室ダンパ50が開状態のとき、冷却器7で熱交換された冷気が庫内送風機9により図示省略の製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口3c、4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4へ送風され、下段冷凍室送風ダクト13を経て吹き出し口5cから上段冷凍室4へ送風される。
上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口17を介して、冷却器収納室8に戻る。
また、冷却器7の下方に除霜ヒータ22が設置されており、除霜ヒータ22の上方には、除霜水が除霜ヒータ22に滴下することを防止するために、上部カバー53が設けられている。
なお、除霜ヒータ22は、後記する制御基板31によるデューティ制御により出力を可変できる。
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜が除霜によって融解することで生じた除霜水は冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に、排水管27を介して後記する機械室19に配された蒸発皿21に達し、後記する凝縮器の熱により蒸発させられる。
また、冷却器7の正面から見て右上部には冷却器温度センサ35,冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33,下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34がそれぞれ備えられており、それぞれ冷却器7の温度(以下、冷却器温度と称する),冷蔵室2の温度(以下、冷蔵室温度と称する),下段冷凍室5の温度(以下、冷凍室温度と称する)を検知できるようになっている。
ここで、本実施形態における冷蔵室温度が請求項に記載の冷蔵温度帯室の温度に、冷凍室温度が請求項に記載の冷凍温度帯室の温度に対応する。
更に、冷蔵庫1は、庫外の温湿度環境(外気温度,外気湿度)を検知する図示しない外気温度センサと外気湿度センサを備えている。
なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33Aを配置しても良い。
断熱箱体10の下部背面側には、機械室19が設けられており、機械室19には、圧縮機24及び図示しない凝縮器が収納されており、図示しない庫外送風機により凝縮器の熱が除熱される。
ちなみに、本実施形態では、イソブタンを冷媒として用い、冷媒封入量は約80gと少量にしている。
冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31が配置されており、制御基板31は、前記した外気温度センサ、外気湿度センサ、冷却器温度センサ35、冷蔵室温度センサ33、冷凍室温度センサ34、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前記した扉センサ、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器、下段冷凍室5内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機24のON、オフ等の制御、冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50を個別に駆動する図示省略のそれぞれのアクチュエータの制御、庫内送風機9のON/オフ制御や回転速度制御、前記庫外送風機のON/オフ制御や回転速度制御等の制御、前記した扉開放状態を報知するアラームのON/オフ等の制御を行う。
次に、図4及び図5を参照しながら、適宜図2、図3を参照して本実施形態の冷蔵庫の冷却器に流入する空気の流れを説明する。
次に、図4及び図5を参照しながら、適宜図2、図3を参照して本実施形態の冷蔵庫の冷却器に流入する空気の流れを説明する。
図4は、冷却器周辺部分の部分側面図であり、図5は、冷却器周辺部分の部分正面図である。
冷蔵室ダンパ20が閉状態で、且つ冷凍室ダンパ50が開状態で、冷凍温度帯室(製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5)のみの冷却が行われている状態では、製氷室3に製氷室送風ダクトを介して送風された冷気及び上段冷凍室4に上段冷凍室送風ダクト12(図2参照)を介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降し、下段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト13(図2参照)を介して送風された冷気とともに、図4中に矢印Cで示す冷凍室戻り空気ように、下段冷凍室5の奥壁下部に配された冷凍室戻り口17を経由して冷却器収納室8の下部前方から冷却器収納室8に流入し、冷却器配管7aに多数のフィンが取り付けられて構成された冷却器7と熱交換する。
ちなみに、冷凍室戻り口17の横幅寸法は、図5に示す冷却器7の幅寸法(冷却器幅寸法L)とほぼ等しい横幅である。
一方、冷蔵室ダンパ20が開状態で、且つ冷凍室ダンパ50が閉状態で、冷蔵温度帯室(冷蔵室2及び野菜室6)のみの冷却が行われている状態では、冷蔵室2からの戻り冷気は、図5中に矢印Dで示す冷蔵室戻り空気のように、冷蔵室戻りダクト16を介して、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換する。
なお、野菜室6を冷却した冷気は、図4及び図5中に図示しない、野菜室戻り口6d(図2参照)を介して、冷却器収納室8の下部に流入するが、風量が冷凍温度帯室を循環する風量や冷蔵室2を循環する風量に比べて少なく、冷却器収納室8内の冷気の流れの状態を示す流れ場(以下、冷却器収納室8内の冷気の流れの状態を示す流れ場を単に「流れ場」と称する)に与える影響が比較的小さいのでここでは説明を省略する。
冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50が両方とも開状態で、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室が同時に冷却されている場合は、冷蔵温度帯室からの戻り冷気の流れと、冷凍温度帯室からの戻り冷気の流れが互いに影響しあうため、冷却器収納室8内の冷気の流れは複雑な流れ場となるが、おおよそ、図4に示す冷凍温度帯室からの戻り冷気の流れCと、図5に示す冷蔵室2からの戻り冷気の流れDを重ね合わせた流れ場となる。
本実施形態の冷蔵庫1の構成に限らず、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室を、共通の冷却器7によって冷却する冷気強制循環方式の冷蔵庫では、それぞれの戻り冷気の、冷却器収納室8への流入箇所、冷却器収納室8への流入方向(角度)、風量等が異なるために、冷凍温度帯室からの戻り冷気と、冷蔵温度帯室からの戻り冷気が形成する冷却器収納室8における流れ場は、冷蔵温度帯室のみを冷却している場合、冷凍温度帯室のみを冷却している場合、冷蔵温度帯室及び冷凍温度帯室を同時に冷却している場合との間で、一般に異なるものとなる。
また、使用者が特異な冷蔵庫1の使用をしなくとも前記した通常の冷蔵庫の庫内温湿度環境から逸脱する条件が生じることがある。
例えば、冷凍温度帯室に大量に常温の魚や肉を入れて冷凍保存を試みる場合、若しくは、冷凍温度帯室の扉3a,4a,5aと断熱箱体10の間に微小な隙間が生じているにも関わらず、扉3a,4a,5aの開放状態を前記扉センサが検知できず、アラームによる報知がなされなくて使用者がその状況を気付かない場合等に生じる。後者の例としては、冷凍温度帯室の扉3a,4a,5aと、断熱箱体10の開口部の縁の前面との間に細かな食品かす等が挟まった状態で扉3a,4a,5aが閉められた場合が考えられる。この場合、扉3a,4a,5aは基本的に閉まっているので、アラーム機能は作動せず、使用者は扉に隙間が生じていることを知りえないため、次回の扉3a,4a,5aの開閉が行われるまでは、隙間が生じている状態で冷蔵庫1の運転が継続されることになる。
前記のような状態においては、冷却器7への着霜の元となる水分は、冷蔵温度帯室からのみでなく、冷凍温度帯室からも多く冷却器収納室8に運ばれてくることになる。したがって、着霜は、冷却器幅寸法Lと略等しい寸法の冷凍室戻り口17からの流入の影響で、冷却器7の下部のほぼ全幅に大量に生じることになる。
なお、以下の説明では、圧縮機24が稼動している状態を「圧縮機ON」、圧縮機24が停止している状態を「圧縮機OFF」、庫内送風機9が稼動している状態を「庫内送風機ON」、庫内送風機9が停止している状態を「庫内送風機OFF」、除霜ヒータ22に通電している状態を「除霜ヒータON」、除霜ヒータ22に通電していない状態を「除霜ヒータOFF」、冷蔵室ダンパ20が開状態で、冷蔵温度帯室への送風が可能な状態を「冷蔵室ダンパ開」、冷蔵室ダンパ20が閉状態で、冷蔵温度帯室への送風が遮断された状態を「冷蔵室ダンパ閉」、冷凍室ダンパ50が開状態で、冷凍温度帯室への送風が可能な状態を「冷凍室ダンパ開」、冷凍室ダンパ50が閉状態で、冷凍温度帯室への送風が遮断された状態を「冷凍室ダンパ閉」と略称する。
また、冷蔵庫1の通常冷却運転のモードとして複数の冷却運転モードが用意されており、「圧縮機ON,庫内送風機ON,冷蔵室ダンパ開,冷凍室ダンパ閉,除霜ヒータOFF」の状態を「冷蔵室冷却運転」モード、「圧縮機ON,庫内送風機ON,冷蔵室ダンパ閉,冷凍室ダンパ開,除霜ヒータOFF」の状態を「冷凍室冷却運転」モード、「圧縮機ON,庫内送風機ON,冷蔵室ダンパ開,冷凍室ダンパ開,除霜ヒータOFF」の状態を「冷蔵室・冷凍室同時冷却運転」モードと称する。
ここで、通常冷却運転とは、冷蔵室温度センサ、冷凍室温度センサ及び外気温度センサが検知する温度にもとづき、圧縮機24と、庫内送風機9と、庫外送風機の制御(ON/OFF制御や回転速度制御)と、冷蔵室ダンパ20,冷凍室ダンパ50の開閉状態の制御によって、各室を所定温度(例えば、冷蔵室は3℃程度、野菜室は5℃程度、冷凍室は−18℃程度)に維持する運転である。
なお、以下の冷蔵庫の制御の説明においては、野菜室6は、冷蔵室2の一部として扱い、野菜室6に関する説明は省略する。
次に、以上のような構成の冷蔵庫において、本発明の実施形態例について図6乃至図9を用いて説明する。図6は冷蔵庫の制御を示すフローチャート、図7及び図8は冷蔵庫の制御を示すタイムチャート、図9は除霜が成立する条件を示す表である。
<実施形態例1>
図6に示すように、本実施形態例の冷蔵庫は、電源の投入により(スタート)、圧縮機が駆動して通常冷却運転を開始する(ステップS101)。
冷却運転中には、除霜開始条件の判別が行われる(ステップS102)。冷蔵庫1では、図9に示す条件が満たされた場合に除霜開始条件が継続される(ステップS102がYes)。ステップS102が不成立の場合、冷却運転が継続される(ステップS101に戻る)。
例えば、(a)庫外温度(Tout)がTout>35℃、庫外温度(相対湿度)(RHout)がRHout≦50%において、扉開閉累積時間(t1)がt1≧20分且つ冷却運転継続時間(t2)(前回除霜完了からの経過時間、または、除霜運転未実装の場合の電源投入後からの経過時間)がt2≧12時間の場合、または、冷却運転継続時間(t2)がt2≧48時間の何れかが満足された場合に除霜開始条件が成立する。他の成立条件は、(b)Tout>35℃、50<RHout≦80%において、t1≧15分且つt2≧12時間、または、t2≧48時間の何れかが満足された場合、(c)Tout>35℃、RHout>80%において、t1≧10分且つt3≧12時間、または、t2≧48時間の何れかが満足された場合、(d)20℃<Tout≦35℃、RHout≦50%において、t1≧25分且つt2≧12時間、または、t2≧72時間の何れかが満足された場合、(e)20℃<Tout≦35℃、50<RHout≦80%において、t1≧20分且つt3≧12時間、または、t2≧72時間の何れかが満足された場合、(f)20℃<Tout≦35℃、RHout>80%において、t1≧15分且つt3≧12時間、または、t2≧72時間の何れかが満足された場合、(g)Tout≦20℃、RHout≦50%において、t1≧50分且つt3≧12時間、または、t2≧96時間の何れかが満足された場合、(h)Tout≦20℃、50<RHout≦80%において、t1≧40分且つt3≧12時間、または、t2≧96時間の何れかが満足された場合、(i)Tout≦20℃、RHout>80%において、t1≧30分且つt3≧12時間、または、t2≧96時間の何れかが満足された場合である。
冷蔵庫1は、3つの除霜手段を備えている。「第1の除霜手段」は、庫内送風機9を駆動することによって冷蔵温度帯室を冷却しながら除霜するものであり、「圧縮機OFF、庫内送風機ON,除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉」にて霜を解かすものである。「第2の除霜手段」は、除霜ヒータ22通電状態で庫内送風機9を駆動し,冷蔵温度帯室を冷却しながら除霜するものであり、「圧縮機OFF、庫内送風機ON,除霜ヒータON、冷蔵室ダンパ開、冷凍温室ダンパ閉」にて霜を解かすものである。「第3の除霜手段」は、除霜ヒータ22の通電のみによって除霜するものであり、「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、除霜ヒータON、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ開放」にて霜を解かすものである。
冷蔵庫1は、第1から第3の除霜手段へ順次切り替える「省エネ除霜モード」と、第3の除霜手段のみによる「高信頼性除霜モード」の2つの除霜モードを備えており、図9の(d)(e)(g)(h)(i)が成立した場合には「省エネ除霜モード」、(a)(b)(c)(f)が成立した場合には「高信頼性除霜モード」が選択される。
「省エネ除霜モード」の場合(ステップS103がNo)、続いて「圧縮機ON、庫内送風機ON、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉」で冷凍室プリクール運転が実施される(ステップS104)。これにより除霜中に冷却されない冷凍温度帯室を事前に十分冷却することができ、除霜中に冷凍食品や氷が溶けるといった不具合が生じ難くなる。
冷凍室プリクール運転を所定時間(本実施形態例の冷蔵庫1では30分)実施後、除霜時間のカウントを開始し(ステップS105)、第1の除霜手段による除霜運転が実施される(ステップS106)。冷却器温度センサ35の検知温度TDが−3℃に到達すると(ステップS107)、第2の除霜手段による除霜に移行する(ステップS108)。除霜開始から30分経過したとき(ステップS109がYes)、第3の除霜手段に移行する(ステップS115)。もしくは第2の除霜手段に移行してから30分が経過せずに、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+2℃に到達したとき(ステップS109がNo、ステップS110がYes)、除霜開始から20分以上経過しているかを判定し(ステップS111)、20分以上経過している場合(ステップS111がYes)は第3の除霜手段に移行する(ステップS115)。除霜開始から20分以上経過していない場合(ステップS111がNo)は、除霜開始から10分以上経過しているかを判定(ステップS112)する。除霜開始から10分以上経過している場合(ステップS112がYes)は、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+5℃に到達すると(ステップS113)、第3の除霜手段に移行する(ステップS115)。除霜開始から10分経過していない場合(ステップS112がNo)は、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+7℃に到達すると(ステップS114)、第3の除霜手段に移行する(ステップS115)。なお、第2の除霜手段の終了温度を決定するための第2判定温度(ステップS110)は、「冷却器温度センサ35の検知温度TDが0℃より高い」という条件を満足していれば良く、また、第2の除霜手段の終了温度は、「除霜開始からの経過時間が短いほど終了温度が高くなる」という条件を満足していれば良いため、本実施形態例の冷蔵庫1とは異なる温度であっても良い。
第3の除霜手段による除霜は、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+8℃に到達した場合に除霜完了と判定し(ステップS116)、冷却器収納室8内の融解水の排水を促すために「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉」とする「オフタイム」を所定時間(本実施形態例の冷蔵庫1では5分間)確保し(ステップS117)、除霜時間のカウントを終了する(ステップS118)。なお、除霜完了の判定は、「冷却器温度センサ35の検知温度TDが0℃より高い」という条件を満足していれば良く、本実施形態例の冷蔵庫1とは異なる温度であっても良い。
続いて貯蔵室に高温空気が送風されることを避けるために、「圧縮機ON、庫内送風機OFF、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ開」とすることで冷却器収納室8内の冷却を行う「庫内送風機停止運転」を所定時間(本実施形態例の冷蔵庫1では3分間)(ステップS119)実施後、冷却運転を再開する(ステップS101)。
ステップS103において「高信頼性除霜モード」が成立した場合(ステップS103がYes)、続いて「圧縮機ON、庫内送風機ON、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ開」で全室プリクール運転が実施される(ステップ201)。「高信頼性除霜モード」では、除霜運転中に貯蔵室の冷却は行われないが、全室プリクールにより除霜中に冷却されない各貯蔵室を事前に十分冷却することができ、除霜中に各貯蔵室の温度が過度に上昇することを防ぐことができる。
全室プリクール運転を所定時間(本実施形態例の冷蔵庫1では30分)実施後、ステップS115に移行し、第3の除霜手段による除霜運転が実施される。以後は「省エネ除霜モードと同様の制御ステップとなる。
図7は、冷蔵庫を16℃、相対湿度55%の室内に設置した際の制御状態と庫内主要部の温度変化を表すタイムチャートである。
図7に示すように、経過時間taにおいて除霜開始条件が満足され(ここでは冷却運転継続時間t2が48hに達し、除霜運転開始条件が成立している(図9の(h)の条件により図6のステップS102がYes)。図9の(d)(e)(g)(h)(i)が成立した場合には「省エネ除霜モード」が選択されるので(図6のステップS103がNo)、続いて「圧縮機OFF、庫内送風機ON、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ開」で冷凍室プリクール運転が実施される(図6のステップS104)。これにより冷凍温度帯室が冷却されて温度が下がり、冷却されない冷蔵温度帯室の温度が上昇する。
経過時間tbにおいて冷凍室プリクール運転継続時間(30分)が経過し、第1の除霜手段による除霜運転が実施される(図6のステップS106)。第1の除霜手段による除霜では、主に霜の顕熱と熱交換した空気で冷蔵温度帯室を冷却するように庫内送風機9を制御(具体的には1500min−1で駆動)するので、第1の除霜手段による除霜中の冷凍温度帯室の温度は低下している。これはヒータを用いずに庫内の熱付加で霜を加熱している状態となるため省エネルギ性の高い除霜となる。
経過時間tcにおいて、冷却器温度センサ35の検知温度TDが−3℃に到達し(図6のステップS107がYes)、第2の除霜手段による除霜に移行している(図6のステップS108)。第2の除霜手段による除霜では、除霜ヒータに通電することにより除霜を加速しつつ、主に霜の潜熱(冷却器緒温度(霜温度)が0℃でほぼ一定)と熱交換した空気で冷蔵温度帯室を冷却するように除霜ヒータと庫内送風機を制御(具体的には除霜ヒータを通電量150W、庫内送風機回転数を1200min−1で駆動)するので、第2の除霜手段による除霜中の冷蔵温度帯室の温度は維持されている。これは、ヒータに通電しながら庫内の熱負荷も利用し霜を加熱している状態となるため省エネルギ性能が高く、また比較的短い時間で霜の融解に必要な熱量を与えることが可能となる。
経過時間tc’において、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+2℃に到達し(図6のステップS110がYes)、除霜開始からの経過時間が20分未満かつ10分以上のため(図6のステップS111がNo、ステップS112がYes)、経過時間tdにおいて、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+5℃に到達し(図6のステップS113がYes)、第3の除霜手段による除霜に移行している(図6のステップS115)。第3の除霜手段による除霜では、除霜ヒータへの通電のみによる除霜となるため、冷蔵温度帯室及び冷凍温度帯室は冷却されず温度は上昇する。
経過時間teにおいて、冷却器温度センサ35の検知温度TDが+8℃に到達し(図6のステップS116がYes)、除霜ヒータへの通電が停止され、オフタイムに移行している(図6のステップS117)。
さらに経過時間tfにおいて、オフタイムの設定時間(5分)が経過したことにより、庫内送風機停止運転に移行している(図6のステップS119)。
冷凍温度帯室及び冷凍温度帯室は、オフタイムから庫内送風機運転の間は、冷却されないため温度が上昇している。一方、冷却器温度はオフタイム中に上昇するが、庫内送風機停止運転では、冷却器に低温冷媒が流れるため低下している。
経過時間tgにおいて、庫内送風機停止運転の設定時間(3分)が経過したことにより、庫内送風機が駆動され、冷却運転が再開されている(図6のステップS101)。
以上のように、本実施形態例の冷蔵庫では、冷却器温度センサが0℃以上の所定の第1判定温度(本実施形態例の冷蔵庫1では+2℃)を検知するまでの、除霜開始からの時間の長短に基づき、第2の除霜手段の終了温度を変更している(本実施形態例の冷蔵庫1では、冷却器温度センサが+2℃に到達するまで、除霜開始から20分以上経過なら+2℃、除霜開始から10分以上20分未満なら+5℃、10分未満なら+7℃)。第1の除霜手段および第2の除霜手段による除霜は、庫内の熱負荷を利用しているため、省エネルギ性能の高い特徴があるが、庫内送風機による流れ場の影響を受けるため、霜が溶けにくい箇所が生じてしまい、第1の除霜手段あるいは第2の除霜手段のみで除霜を終えると、冷却器への着霜量によっては、霜の溶け残りが生じることがあった。そこで、省エネ除霜モードを実施する場合には、第1の除霜手段及び第2の除霜手段による除霜の後に、図7の区間Dに示すように第3の除霜手段による除霜(除霜ヒータによる除霜)を実施し、霜の溶け残りが無いようにしている。
冷却器への着霜量の多少による、除霜中の冷却器温度センサの温度変化の差は、特に潜熱区間の長さに表れるため、冷却器温度センサが潜熱区間を検知している時間が長いほど、冷却器への着霜量が多く、反対に潜熱区間の検知時間が短いほど、冷却器への着霜量が少ないと判断できる。よって、本実施形態例の冷蔵庫では、冷却器への着霜量の判定温度(第1判定温度)を0℃以上の所定温度(+2℃)とし、冷却器温度センサがこの所定温度(+2℃)に到達するまでの時間の長短に基づき、冷却器への着霜量の多少を判断し、第2の除霜手段の終了温度を変更している(冷却器温度センサが+2℃に到達するまでの除霜開始からの時間が、20分以上経過なら+2℃、10分以上20分未満なら+5℃、10分未満なら+7℃)。これにより、第2の除霜手段の終了判定温度(第2判定温度)を、過度に余裕を持った温度にすることなく、着霜量に応じた第2の除霜手段による除霜を行うことができる。したがって、省エネルギ性能と信頼性がともに高い冷蔵庫を提供することができる。
一般に、冷蔵庫の冷却器への着霜量は、冷蔵庫の運転履歴、庫内に収納される食品の種類や量、扉開閉頻度などにより多様に変化するため、冷却器への着霜量の多少は一定にはならない。よって、従来の冷蔵庫では、冷却器の除霜状態を検知する除霜完了検知手段で除霜完了を判定するために、信頼性上で最も厳しい条件、すなわち、第1の除霜手段及び第2の除霜手段では霜が溶けにくい箇所に着霜量が多い場合を想定して、判定基準値を定めることが必要になっていた。例えば、第2の除霜手段の終了判定温度を+2℃程度、第3の除霜手段の終了判定温度を+8℃程度にすることで、除霜ヒータによる除霜の時間を十分に確保する必要があった。一方で、本実施形態例の冷蔵庫では、冷却器への着霜量の判定温度(第1判定温度)を0℃以上の所定温度とし、冷却器温度センサがこの所定温度に到達するまでの時間の長短に基づき、冷却器への着霜量の多少を判断し、第2の除霜手段の終了温度を判定する。したがって、第1の除霜手段及び第2の除霜手段では霜が溶けにくい箇所の着霜量が少ない場合、つまり第3の除霜手段の時間が比較的短くても霜を完全に溶かしきれる場合に、省エネルギ性能の高い第2の除霜手段の終了判定温度(第2判定温度)を高くすることができる。
<実施形態例2>
図8は、冷蔵庫を32℃、相対湿度70%の室内に設置した際の制御状態と庫内主要部の温度変化を表すタイムチャートである。なお、本実施形態例2の冷蔵庫の制御は図6に示す通りであり、実施形態例1と同様である。
図8に示すように、経過時間taにおいて除霜開始条件が満足され(ここでは冷却運転継続時間t2が24hに達し、除霜運転開始条件が成立している(図9の(e)の条件により図6のステップS102がYes)。
経過時間tcにおいて、冷却器温度センサ35の検知温度TDが−3℃に到達し(図6のステップS107がYes)、第2の除霜手段による除霜に移行するまで(図6のステップS108)は実施形態例1と同様である。
経過時間tdにおいて、除霜開始から30分が経過しているため(図6のステップ109がYes)、第3の除霜手段に移行している。
その後は実施形態例と同様に、経過時間teにおいて第3の除霜手段からオフタイムへ移行し、経過時間tfにおいてオフタイムから庫内送風機停止運転へ移行し、経過時間tgにおいて冷却運転へ移行している。
本実施形態例では、冷却器温度センサの検知温度TDが第2の除霜手段の終了温度を決定するための判定温度(ステップS110)に到達せずに、第2の除霜手段が終了している。つまり、潜熱区間が長く、冷却器への着霜量が多量であると判断された場合は、第2の除霜手段の最大運転時間が設けられているため、第3の除霜手段の運転時間を十分に確保し、霜の溶け残りが無いようにして信頼性を確保している。
なお、本発明は上記した各実施形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、第1の除霜手段を実施せずに、除霜開始時点から第2の除霜手段を実施しても良い。例えば、冷却器7の温度を検知する温度センサを複数配置しても良い。また、稼動部品や、温度が上昇し難い箇所に補助ヒータを配置して、除霜運転時に加熱するようにしても良い。また、本実施形態例の冷蔵庫1は「冷蔵室ダンパ」、「野菜室ダンパ」、「冷凍室ダンパ」を備えており、各ダンパの稼動により冷蔵室、野菜室、冷凍室を、単独あるいは複数を同時に冷却できる冷蔵庫だが、これらダンパ全てを備えていなくても良い。
すなわち、上記した実施例は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。