JP5604543B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、冷蔵庫、特に冷却器に付着した霜を除去する除霜運転を自動的に行う冷蔵庫に関する。
冷蔵室(本願発明における冷蔵温度帯室に対応)と冷凍室(本願発明における冷凍温度帯室に対応)を、共通の冷却器によって冷却する冷気強制循環方式の冷蔵庫において、霜を解かす従来の技術としては、以下に示す特許文献1から特許文献4の技術が知られている。
特許文献1には、圧縮機停止状態、全ダンパ閉状態、庫内送風機停止状態で、除霜ヒータ通電状態として除霜する技術が記載されている。
特許文献2には、通常冷却運転中に圧縮機の運転時間の積算が所定値に達したとき、または、使用者が手動式の加湿スイッチをONした場合に、冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパを閉状態とし、庫内送風機を稼動させ加湿運転を行い、所定時間経過した後、または冷却器が所定の上限温度に上昇したときに除霜運転を終了させる技術が記載されている。
特許文献2にはまた、圧縮機の運転時間の積算値が所定値に達したときに、除霜ヒータに通電すると同時に、冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパを閉状態とし、庫内送風機を稼動させ加湿運転(兼除霜運転)を行う技術が記載されている。
また、特許文献3には、圧縮機の積算運転時間が所定の時間以上になった場合に、圧縮機の運転を停止し、除霜ヒータへ通電し、且つ冷凍室ダンパを閉状態、冷蔵室ダンパを開状態として、庫内送風機を稼動することで冷蔵室内の加湿運転(兼除霜運転)を行い、冷蔵室の温度が所定温度以上になったときには、除霜ヒータへの通電を停止及び圧縮機の運転再開により冷蔵室内の冷却運転(冷蔵室温度復帰運転)を行う技術が記載されている。
更に、特許文献4には、除霜運転時に除霜ヒータ通電前に圧縮機停止状態で、冷蔵室ダンパを開状態にして、比較的温度の高い冷蔵室内の冷気を、庫内送風機を稼動することにより冷気吐出ダクト内に呼び戻すようにして冷却器の温度を上昇させ、冷却器の温度が所定温度より高くなった場合に、庫内送風機を停止し、冷蔵室ダンパを閉状態にして除霜ヒータに通電し除霜する技術が記載されている。
特開2002−31466号公報 特開2001−280784号公報 特許第3912233号公報 特開2003−83667号公報
しかしながら、前記従来技術では、省エネルギ性能が十分高くなく、また、確実な除霜を行うとか、除霜中の冷蔵室温度及び冷凍室温度をそれぞれの所定温度以下に保つという点で信頼性が低かった。以下にその理由を説明する。
まず、省エネルギ性能に関する従来の技術の問題点について説明する。冷蔵室と冷凍室を共通に冷却する冷却器を備えた冷蔵庫において、この冷却器の霜を解かすための第一の方式は、特許文献1に記載されている、圧縮機停止状態、全ダンパ閉状態及び庫内送風機停止状態で、除霜ヒータ通電状態として霜を加熱して解かす方式である。この方式の省エネルギ性能は、〔1〕除霜ヒータと霜の間の熱伝達効率、〔2〕霜の冷熱の扱いを考えることで説明できる。まず、〔1〕除霜ヒータと霜の間の熱伝達効率についてであるが、特許文献1に記載の除霜ヒータによって霜を加熱する方式では、基本的に除霜ヒータから霜への伝熱は自然対流によることになるため(輻射もあるが一般に自然対流が支配的)、除霜ヒータと霜と間の熱伝達効率は低い。したがって、必要な熱量を霜に与えるためには、除霜ヒータへより多くの入力が必要になり省エネルギ性能は低い。次に、〔2〕霜の冷熱の扱いについて説明する。冷蔵室は通常3〜5℃程度に維持される室であるため、0℃で相変化(融解)する霜は、冷蔵室から見れば、冷蔵室を冷却し得る冷熱源として考えることができる。このことを考えると、特許文献1に記載の除霜ヒータによって霜を加熱して解かす方式(第一の方式)は、利用可能な霜の冷熱を冷蔵室の冷却に再利用せずに捨てていることになり、省エネルギ性能を十分高くすることができていない。
冷蔵室と冷凍室を共通に冷却する冷却器を備えた冷蔵庫において、この冷却器の霜を解かすための第二の方式は、特許文献2に記載されている、圧縮機停止状態で冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパを閉状態、除霜ヒータ非通電状態とし、庫内送風機を稼動させて冷蔵室を加湿するという方式である。この第二の方式は加湿を目的としたものであるが、この方式でも霜は解けるのでここでは第二の方式として説明する。この場合、除霜ヒータへの入力はゼロで、外部から投入するエネルギは庫内送風機の動力(一般に除霜ヒータ入力に比べて十分小さい)だけとなり、また、霜によって冷やされた空気が冷蔵室に供給される。
すなわち、霜の冷熱を利用して冷蔵室を冷やすため省エネルギ性能は非常に高い。ただし、この第二の方式によって完全な除霜を行うことは困難である。これは、圧縮機停止状態で冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパを閉状態とし、庫内送風機を稼動させるという方式では、霜を解かすために時間がかかるため、除霜(完全な除霜)を行おうとすると、ダンパを閉じて送風を止めている冷凍室の温度が上昇してしまうという不具合が生じるためである。したがって、特許文献2に記載されている冷却器の霜を解かすための第二の方式は冷蔵室と冷凍室を共通に冷却する冷却器を備えた冷蔵庫の除霜方式としては不向きである。
冷蔵室と冷凍室を共通に冷却する冷却器を備えた冷蔵庫において、この冷却器の霜を解かすための第三の方式は、特許文献2または特許文献3に記載されている、圧縮機停止状態で、冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパを閉状態、除霜ヒータ通電状態とし、庫内送風機を稼動させるという方式である。この第三の方式は加湿を目的としたものであるが、この方式でも霜は解けるので、ここでは第三の方式として説明する。図12を参照しながらこの方式の省エネルギ性能を説明する。
図12は、特許文献2または特許文献3に記載の、圧縮機停止時に、冷凍室への冷気循環を遮断した状態で、除霜ヒータに通電すると同時に、冷蔵庫内に設けられた庫内送風機によって冷蔵室に送風を行うことにより加湿運転を行った場合の冷蔵室内の温度、冷蔵室吐出空気温度、及び、冷却器温度の変化を表すタイムチャートである。冷蔵室から戻る空気は除霜ヒータによって加熱され温度上昇する。ここで、加湿の効果を高めるためには、冷蔵室からの戻り空気は、除霜ヒータによって温度を十分上げて、相対湿度を下げた状態にして(飽和水蒸気量を上げた状態にして)、冷却器に流すようにすればよい。これにより、冷却器表面の水(または霜)がより多く蒸発(または昇華)するので、多くの水分を含んだ空気を冷蔵室に供給できるようになる。
一方で、除霜ヒータによって温度を十分上げることにより、冷蔵室に供給する空気の温度も同時に上昇するため、図12に示すように、冷蔵室吐出空気の温度は冷蔵室より高くなり、結果として、冷蔵室温度は上昇することになる。したがって、特許文献2に記載の技術では、過度に冷蔵室温度が上昇することがあったため、そのような事態が生じないように特許文献3に記載の技術では、冷蔵室内の冷却運転(冷蔵室温度復帰運転)を行うようにしている。
なお、霜の相変化(融解)のために、霜融解開始から霜融解完了までは冷却器温度はほぼ0℃に保たれる。
このように、加湿を主目的として、圧縮機停止時に、冷凍室への冷気循環を遮断した状態で、除霜ヒータに通電すると同時に、冷蔵庫内に設けられた庫内送風機によって冷蔵室に送風を行う特許文献2、若しくは、特許文献3の従来技術では、冷蔵室の温度上昇が生じる、すなわち、冷蔵室を冷却できていない。このことから、冷却器の霜を解かすための第三の方式は、庫内送風機によって強制対流が形成されるため、除霜ヒータと霜の間の熱伝達効率は高いが、冷却器の霜を解かすための第一の方式の説明で述べたとおり、利用可能な霜の冷熱を冷蔵室の冷却に再利用できていないため、その分省エネルギ性能は低くなる。つまり、特許文献2、若しくは、特許文献3の従来技術では、加湿を目的とするため、「霜の冷熱を再利用する」という省エネ性を高めるための配慮がなされていない。
以上の理由により、従来の霜を解かす技術を用いて除霜(完全な除霜)を行う場合、省エネルギ効果が小さくなっていた。
次に前記した確実な除霜を行うとか、除霜中の冷蔵室温度及び冷凍室温度をそれぞれの所定温度以下に保つという点の信頼性に関する従来の技術の問題点について説明する。
特許文献2に記載の技術、若しくは、特許文献3に記載の技術では、冷蔵室からの戻り冷気が形成する冷却器室の冷気の流れの状態を示す流れ場と、冷凍室からの戻り冷気が形成する冷却器室の冷気の流れの状態を示す流れ場が異なるために、庫内送風機によって冷蔵室に送風を行い、除霜を行った場合に、霜が解け難い箇所が存在することに対する配慮がなされていない。その結果、使用者に特別な落ち度、例えば、冷蔵庫の扉を開放した状態で長時間放置する等がなくとも、省エネルギ性能の悪化や、冷蔵庫内の食品を所定温度範囲に維持できなくなるといった問題が生じていた。
また、特許文献4に記載の技術では、比較的温度の高い冷蔵室内の冷気を、庫内送風機を稼動することにより冷気吐出ダクト内に逆流させて冷却器温度を上昇させるものである。温度の高い冷蔵室内の冷気を冷蔵室戻りダクト内ではなく、冷蔵室送風ダクト内に逆流させるには、通常の冷却運転時とは逆向きの空気の流れを形成する必要があり、例えば、庫内送風機を逆回転させたり、逆向きの流れを形成するための第2の庫内送風機を別途設けたりすることが必要になる。
通常、庫内送風機は順回転時に送風効率が最大となるよう羽形状が設計されるため、逆回転時には送風効率が大幅に低下する。したがって、所定の風量を得るために、例えば逆回転時に回転速度を上げるといったことが必要になり、庫内送風機の所要動力が増大するという問題や、騒音が大きくなるという問題が生じていた。
また、逆向きの流れを形成するために別途、第2の庫内送風機を設けた場合は、冷蔵庫容積の減少や、コストの増加を招いていた。
更に、特許文献4に記載の技術は、冷却器温度が所定温度より高くなった場合に、庫内送風機を停止し、冷蔵室ダンパを閉状態にして除霜ヒータに通電し除霜するものであるが、除霜時の冷却器の温度変化に対する配慮が十分でないために、省エネルギ性能が低かったり、使用者に特別な落ち度がなくとも、冷蔵庫内の食品を所定温度範囲に維持できなくなったり、といった可能性が生じていた。
前記、課題が生じる理由を以下に説明する。除霜時の冷却器温度は霜の温度をほぼ表しており、霜の温度変化は、霜がマイナス温度から0℃に至るまでの顕熱変化の部分、霜の融解時(相変化時)に見られる0℃一定の潜熱変化の部分、霜が解けきった後の0℃より温度が高くなる顕熱変化の部分により構成される。霜(氷)の比熱は約2kJ/(kg・K)、霜(氷)の融解潜熱は約335kJ/kg、水の比熱は約4.2kJ/(kg・K)であることから、冷蔵庫の冷却器の霜を解かす場合、潜熱変化(相変化)時に非常に多くの熱量が必要となる。
このことから、除霜時に、特に霜が比較的多く存在する場合には、0℃一定の時間が長くなる。言い換えると、霜は、0℃一定の相変化時に非常に多くの熱を吸熱しうる冷熱源であるといえる。また、省エネルギ性能を考えると、除霜ヒータが非通電状態で、庫内送風機によって冷蔵室に送風を行う除霜方式は、霜の冷熱を利用して、冷蔵室を冷却しているつまり、冷蔵室の熱負荷で霜を解かしている効果と、送風により強制対流を起こすことで冷却器と送風との熱伝達効率が高まるために、省エネルギ性能が高い。
一方、庫内送風機を停止状態で除霜ヒータに通電する除霜方式は、霜の冷熱を冷却に利用せず、また、冷却器とその周りの空気とは自然対流であり、強制対流に比べて熱伝達効率が低いために省エネルギ性能は低い。
以上を考慮した場合、特許文献4に記載の技術における、庫内送風機を停止するための冷却器温度の設定値を、0℃以下に設定した場合、霜の有する冷熱の内、顕熱変化の部分の冷熱しか冷蔵室の冷却に利用できないことになる。したがって、冷蔵室の冷却のためにより多くの利用可能な冷熱が取り出せる潜熱変化の部分については、庫内送風機を停止した状態で行われる除霜ヒータによる除霜によって捨てられてしまうことになる。これにより省エネルギ効果が小さくなっていた。
一方、庫内送風機を停止するための冷却器温度の設定値を、0℃より高い温度に設定した場合、霜の量が比較的多い場合、前記のとおり0℃一定の時間(潜熱変化の部分)が長くなり、この間に、冷気循環を遮断した状態の冷凍室の温度上昇が著しくなり、使用者に特別な落ち度がなくとも、冷凍食品が解けるといった問題を生じる可能性があった。
本発明は前記の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、省エネルギ性能が高く、冷蔵庫内の食品を所定温度範囲に維持できないという可能性が生じ難い、信頼性の高い冷蔵庫を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
冷凍温度帯室と、冷蔵温度帯室と、圧縮機と、前記冷凍温度帯室と前記冷蔵温度帯室を冷却する冷却器と、前記冷却器で冷却された冷気を、前記冷凍温度帯室と前記冷蔵温度帯室に循環させる送風機と、前記冷却器から前記冷凍温度帯室への送風を制御する冷凍室ダンパと、前記冷却器から前記冷蔵温度帯室への送風を制御する冷蔵室ダンパと、制御装置とを備える冷蔵庫において、
前記圧縮機の停止時に、前記冷凍室ダンパを閉状態とし、前記冷蔵室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させて除霜を行う第1の除霜手段を備え、
前記制御装置は、前記冷却器通過後の空気の温度が前記冷蔵温度帯室を所定温度範囲に維持して冷却が可能な範囲で前記第1の除霜手段を制御して、前記冷蔵温度帯室が所定の下限温度より低くなった場合、前記第1の除霜手段を停止することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、除霜運転では、圧縮機を停止した状態で、冷凍室ダンパを閉状態とし、冷蔵室ダンパを開状態とし、送風機を稼動させて除霜を行いつつ、冷蔵温度帯室の温度が維持されるように送風機を動かす第1の除霜手段を備えているので、冷蔵温度帯室を冷却器に付着した霜の潜熱等で冷却することになり、省エネルギ効果が大きい。すなわち、第1の除霜手段による除霜運転では、冷却器に付着した霜を冷蔵温度帯室からの戻り空気で解かしつつ、冷蔵温度帯室を冷却器に付着した霜の潜熱等で冷却することになり、省エネルギ効果が大きい。また、冷蔵温度帯室の温度を所定値に維持できないという不具合を生じない。すなわち、制御装置が、冷却器通過後の空気の温度が冷蔵温度帯室を所定温度範囲に維持して冷却が可能な範囲で第1の除霜手段を制御して、冷蔵温度帯室が所定の下限温度より低くなった場合、第1の除霜手段を停止する。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の冷蔵庫の構成において、前記圧縮機の稼動時に、前記冷蔵室ダンパを閉状態とし、前記冷凍室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させる前記冷凍温度帯室の冷却運転の後に、前記第1の除霜手段による除霜を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、「前記圧縮機の稼動時に、前記冷蔵室ダンパを閉状態とし、前記冷凍室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させる前記冷凍温度帯室の冷却運転」を行い、その冷却運転の後の圧縮機の停止時に、前記冷凍室ダンパを閉状態とし、前記冷蔵室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させる第1の除霜手段による除霜を行われるので、圧縮機の停止時における第1の除霜手段による除霜においても、冷蔵庫の温度が適切に維持される。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の冷蔵庫の構成において、前記冷凍温度帯室が第一の所定温度より高い場合、前記冷蔵温度帯室が所の上限温度より高い場合、及び前記冷却器温度が第の所定温度より高い場合の少なくともいずれかの条件を満たすと、前記第1の除霜手段を停止することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、適切に除霜を行うことができる。なお、後記する図7のフローチャートにおけるステップS107の枠内に例示された温度は、「第一の所定温度」に相当する。また、ステップS108の枠内に例示された温度は、「第二の所定温度」に相当する。また、ステップS109の枠内に例示された温度は、「第三の所定温度」に相当する。そして、ステップS110の枠内に例示された温度は、「第四の所定温度」に相当する。
本発明によれば、省エネルギ性能が高く、冷蔵庫内の食品を所定温度範囲に維持できないという可能性を生じ難い、信頼性の高い冷蔵庫を提供することができる。
本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面外形図である。 冷蔵庫の庫内の構成を表す縦断面図である。 冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。 冷却器周辺部分の部分側面図である。 冷却器周辺部分の部分正面図である。 除霜モードを説明する図である。 除霜運転の制御の流れを示すローチャートである。 除霜運転の制御の流れを示すローチャートである。 除霜運転の制御の流れを示すローチャートである。 除霜運転の制御の流れを示すローチャートである。 除霜モード4における除霜時のタイムチャートである。 従来技術における加湿運転時のタイムチャートである。
本発明に係る冷蔵庫の実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫の正面外形図であり、図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図であり、冷気ダクトや吹き出し口の配置などを示す図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6から構成されている。
ここで、本実施形態における冷蔵室2と野菜室6は、請求項に記載の冷蔵温度帯室に対応し、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は請求項に記載の冷凍温度帯室に対応する。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a,2bを備え、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを単に扉2a,2b,3a,4a,5a,6aと称する。
また、冷蔵庫1は、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する図示しない扉センサと、扉開放状態と判定された状態が所定時間、例えば、1分間以上継続された場合に、使用者に報知する図示しないアラーム、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする図示しない温度設定器等を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。冷蔵庫1の断熱箱体10は複数の真空断熱材25を実装している。
庫内は、断熱仕切壁28により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられ、断熱仕切壁29により、下段冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
扉2a,2b(図1参照、図2では冷蔵室扉2bは図示せず)の庫内側には複数の扉ポケット32が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚36により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
図2に示すように、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの室の前方に備えられた扉3a,4a,5a,6aと一体に、収納容器3b,4b,5b,6bがそれぞれ設けられており、扉4a,5a,6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b,5b,6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aと一体に、図示しない収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器3bが引き出せるようになっている。
図2に示すように(適宜図3参照)、冷却器7は下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられており、冷却器7の上方に設けられた庫内送風機(送風機)9により冷却器7と熱交換して冷やされた空気(冷気、以下、冷却器7で冷やされてできた低温空気を冷気と称する)が冷蔵室送風ダクト11、符号省略の野菜室送風ダクト(図3参照)、上段冷凍室送風ダクト12、下段冷凍室送風ダクト13及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、野菜室6、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各室へ送られる。各室への送風は冷蔵室ダンパ20と冷凍室ダンパ50の開閉により制御される。
ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫1の各室の背面側に設けられている。
具体的には、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られ、冷蔵室送風ダクト11から分岐した野菜室送風ダクト(図3参照)を経て、吹き出し口6cから野菜室6に送られる。
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、例えば、冷蔵室2の下面に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、冷却器収納室8(図5参照)の正面から見て、例えば、右側下部に戻る。また、野菜室6からの戻り空気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8の下部に戻る。
図3では冷凍室ダンパ50が省略されているが、冷凍室ダンパ50が開状態のとき、冷却器7で熱交換された冷気が庫内送風機9により図示省略の製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口3c,4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4へ送風され、下段冷凍室送風ダクト13を経て吹き出し口5cから上段冷凍室4へ送風される。
上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口17を介して、冷却器収納室8に戻る。
また、冷却器7の下方に除霜ヒータ22が設置されており、除霜ヒータ22の上方には、除霜水が除霜ヒータ22に滴下することを防止するために、上部カバー53が設けられている。
なお、除霜ヒータ22は、後記する制御基板31によるデューティ制御により出力を可変できる。
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜が除霜によって融解することで生じた除霜水は冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に、排水管27を介して後記する機械室19に配された蒸発皿21に達し、後記する凝縮器の熱により蒸発させられる。
また、冷却器7の正面から見て右上部には冷却器温度センサ35、冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33、下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34がそれぞれ備えられており、それぞれ冷却器7の温度(以下、冷却器温度と称する)、冷蔵室2の温度(以下、冷蔵室温度と称する)、下段冷凍室5の温度(以下、冷凍室温度と称する)を検知できるようになっている。
ここで、本実施形態における冷蔵室温度が請求項に記載の冷蔵温度帯室の温度に、冷凍室温度が請求項に記載の冷凍温度帯室の温度に対応する。
更に、冷蔵庫1は、庫外の温湿度環境(外気温度、外気湿度)を検知する図示しない外気温度センサと外気湿度センサを備えている。
なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33Aを配置しても良い。
断熱箱体10の下部背面側には、機械室19が設けられており、機械室19には、圧縮機24及び図示しない凝縮器が収納されており、図示しない庫外送風機により凝縮器の熱が除熱される。
ちなみに、本実施形態では、イソブタンを冷媒として用い、冷媒封入量は約80gと少量にしている。
冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU,ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31が配置されており、制御基板31は、前記した外気温度センサ、外気湿度センサ、冷却器温度センサ35、冷蔵室温度センサ33、冷凍室温度センサ34、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前記した扉センサ、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器、下段冷凍室5内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機24のオン、オフ等の制御、冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50を個別に駆動する図示省略のそれぞれのアクチュエータの制御、庫内送風機9のオン/オフ制御や回転速度制御、前記庫外送風機のオン/オフ制御や回転速度制御等の制御、前記した扉開放状態を報知するアラームのオン/オフ等の制御を行う。
次に、図4及び図5を参照しながら、適宜図2、図3を参照して本実施形態の冷蔵庫の冷却器に流入する空気の流れを説明する。
図4は、冷却器周辺部分の部分側面図であり、図5は、冷却器周辺部分の部分正面図である。
冷蔵室ダンパ20が閉状態で、且つ冷凍室ダンパ50が開状態で、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5)のみの冷却が行われている状態では、製氷室3に製氷室送風ダクトを介して送風された冷気及び上段冷凍室4に上段冷凍室送風ダクト12(図2参照)を介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降し、下段段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト13(図2参照)を介して送風された冷気とともに、図4中に矢印Cで示す冷凍室戻り空気ように、下段冷凍室5の奥壁下部に配された冷凍室戻り口17を経由して冷却器収納室8の下部前方から冷却器収納室8に流入し、冷却器配管7aに多数のフィンが取り付けられて構成された冷却器7と熱交換する。
ちなみに、冷凍室戻り口17の横幅寸法は、図5に示す冷却器7の幅寸法(冷却器幅寸法L)とほぼ等しい横幅である。
一方、冷蔵室ダンパ20が開状態で、且つ冷凍室ダンパ50が閉状態で、冷蔵温度帯室(冷蔵室2及び野菜室6)のみの冷却が行われている状態では、冷蔵室2からの戻り冷気は、図5中に矢印Dで示す冷蔵室戻り空気のように、冷蔵室戻りダクト16を介して、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換する。
なお、野菜室6を冷却した冷気は、図4及び図5中に図示しない、野菜室戻り口6d(図2参照)を介して、冷却器収納室8の下部に流入するが、風量が冷凍温度帯室を循環する風量や冷蔵室2を循環する風量に比べて少なく、冷却器収納室8内の冷気の流れの状態を示す流れ場(以下、冷却器収納室8内の冷気の流れの状態を示す流れ場を単に「流れ場」と称する)に与える影響が比較的小さいのでここでは説明を省略する。
冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50が両方とも開状態で、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室が同時に冷却されている場合は、冷蔵温度帯室からの戻り冷気の流れと、冷凍温度帯室からの戻り冷気の流れが互いに影響しあうため、冷却器収納室8内の冷気の流れは複雑な流れ場となるが、おおよそ、図4に示す冷凍温度帯室からの戻り冷気の流れCと、図5に示す冷蔵室2からの戻り冷気の流れDを重ね合わせた流れ場となる。
本実施形態の冷蔵庫1の構成に限らず、冷蔵温度帯室と冷凍温度帯室を、共通の冷却器7によって冷却する冷気強制循環方式の冷蔵庫では、それぞれの戻り冷気の、冷却器収納室8への流入箇所、冷却器収納室8への流入方向(角度)、風量等が異なるために、冷凍温度帯室からの戻り冷気と、冷蔵温度帯室からの戻り冷気が形成する冷却器収納室8における流れ場は、冷蔵温度帯室のみを冷却している場合、冷凍温度帯室のみを冷却している場合、冷蔵温度帯室及び冷凍温度帯室を同時に冷却している場合との間で、一般に異なるものとなる。
一方、通常、冷蔵庫1の庫内の温湿度環境を考えた場合、温度が高い冷蔵温度帯室の方が、温度が低い冷凍温度帯室に比べて、一般に絶対湿度が高くなるので、冷却器7への着霜の元となる水分は、主に冷蔵温度帯室から運ばれてくることになる。このことから、本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵室戻り冷気が流入する図5中に示す領域B周辺に着霜が生じやすい。この着霜状態の場合、圧縮機24(図2参照)停止時に、冷凍温度帯室への冷気循環を遮断した状態で、庫内送風機9によって冷蔵温度帯室に送風を行い、除霜を行うと(例えば特許文献2に記載の技術)、着霜が生じやすい箇所と除霜を行う際に形成される流れが流れやすい箇所が一致するため、霜は解けやすく除霜の効率は高くなる。
ところが、使用者が特異な冷蔵庫1の使用をしなくとも前記した通常の冷蔵庫の庫内温湿度環境から逸脱する条件が生じることがある。
例えば、冷凍温度帯室に大量に常温の魚や肉を入れて冷凍保存を試みる場合、若しくは、冷凍温度帯室の扉3a,4a,5aと断熱箱体10の間に微小な隙間が生じているにも関わらず、扉3a,4a,5aの開放状態を前記扉センサが検知できず、アラームによる報知がなされなくて使用者がその状況を気付かない場合等に生じる。後者の例としては、冷凍温度帯室の扉3a,4a,5aと、断熱箱体10の開口部の縁の前面との間に細かな食品かす等が挟まった状態で扉3a,4a,5aが閉められた場合が考えられる。この場合、扉3a,4a,5aは基本的に閉まっているので、アラーム機能は作動せず、使用者は扉に隙間が生じていることを知りえないため、次回の扉3a,4a,5aの開閉が行われるまでは、隙間が生じている状態で冷蔵庫1の運転が継続されることになる。
前記のような状態においては、冷却器7への着霜の元となる水分は、冷凍温度帯室からも多く冷却器収納室8に運ばれてくることになる。したがって、着霜は、冷却器幅寸法Lと略等しい寸法の冷凍室戻り口17からの流入の影響で、冷却器7の下部のほぼ全幅に大量に生じることになる。
一方で、圧縮機24停止時に、冷凍温度帯室への冷気循環を遮断した状態で、庫内送風機9によって冷蔵温度帯室に送風を行い、除霜を行う場合、除霜が効果的に行われる領域は前記のとおり、冷蔵温度帯室からの戻り冷気が流れやすい図5中に示す領域Bとなるため、冷蔵温度帯室からの戻り冷気の流れの影響が及び難い図5中に示す領域A付近の霜は解け難い。
したがって、領域A付近の霜がなかなか解けないために除霜時間が延びてしまい、除霜の間、庫外からの熱侵入を受け続けている冷凍温度帯室の温度が著しく上昇し、例えば、冷凍食品が解けるといった可能性が生じていた。
更には、領域A付近に霜が残っているにもかかわらず、冷却器7に設ける冷却器温度センサの設置場所によっては、その検知温度が上昇することで除霜が終了したと誤判定され、冷却器7に霜が残ったまま通常運転を再開し、冷却器7における熱交換の効率が低下し、省エネルギ性能が悪化する。ひいては、冷却能力が不足し、冷蔵庫1の庫内温度を所定値に維持できないといった不具合を生じる可能性があった。
次に、従来技術において除霜終了を誤判定する原因を以下で説明する。冷蔵温度帯室を循環する空気の流れは、図5中の霜が解けやすい領域B付近の霜が解けるほど、領域B付近の通風抵抗が減少するので、更に領域B付近に空気の流れが集中することになる。したがって、時間の経過とともに霜が少ない領域を流れる空気の量が増えていき、霜との熱交換量が減少するため、領域A付近に霜が残っていても循環する空気温度が上昇することがある。この空気温度の上昇によって、例えば、一般に除霜時に冷却器7の霜が残りやすい冷却器7の上部に冷却器温度センサ35が設置されていた場合であってもその位置での冷却器温度にもとづいて、制御基板31(図3参照)は除霜が終了したと判定してしまうことがある。
このような不具合は、例えば、特許文献2や特許文献3に記載されている、圧縮機24停止時に、冷凍室ダンパ50を閉じて冷凍温度帯室への冷気循環を遮断した状態で、除霜ヒータ22に通電し、庫内送風機9によって冷蔵温度帯室に送風を行う方式を採用した場合であっても生じることがあった。これは、除霜ヒータ22に通電しても、送風を行っているために、除霜ヒータ22からの輻射による除霜効果が小さくなり、図5中の領域A付近の霜が解け難いためである。
除霜ヒータ22からの輻射による除霜効果が小さくなる理由は以下のとおりである。輻射による伝熱量Qradは次式(1)に示すように高温面T1と低温面温度T2の4乗の差(T −T )に比例することが知られている。
rad ∝(T −T ) ・・・・・・・・・・・・・・(1)
一方、発熱量Qが一定の物体表面の温度Tsurfは、次式(2)に示すように、空気の温度Tairと伝熱面積Sが同じであれば物体表面の熱伝達率hが大きいほど低くなる。
surf=Tair+(Q/(h・S)) ・・・・・・・・・・(2)
また、一般に、熱伝達率hは物体表面を流れる風の風速が大きいほど高くなる。したがって、送風状態であれば送風しない状態に比べて熱伝達率hは高くなる。以上から、除霜ヒータ22の発熱量が同じ場合であっても、送風状態とした場合は、式(2)から、除霜ヒータ22表面の温度は送風しない場合に比べて低下する。除霜ヒータ22表面温度が低下すれば、式(1)から、低温面温度(ここでは霜表面温度)が同じ場合、輻射による伝熱量が減少するために輻射による除霜効果が小さくなる。
本実施形態の冷蔵庫では、更に除霜ヒータ22と冷却器7との間に、上部カバー53が存在するため、輻射による除霜効果は一段と小さくなる。
以上の理由により、例えば、特許文献2や特許文献3に記載されている、圧縮機24停止時に、冷凍温度帯室への冷気循環を遮断した状態で、除霜ヒータ22に通電し、庫内送風機9によって冷蔵温度帯室に送風を行う方式を採用した場合、図5中の領域A付近は、輻射による除霜が十分行われず、また、[発明が解決しようとする課題]に前記したとおり、冷蔵温度帯室を循環する空気流によっても十分除霜されない場合があり、省エネルギ性能が悪化する。ひいては、冷却能力が不足し、庫内温度を所定値に維持できないといった不具合を生じる可能性があった。
次に、本実施形態の冷蔵庫1の除霜方法について図6から図11を参照しながら説明する。
図6は除霜モードを説明する図であり、図7から図10は除霜の制御の流れを示すフローチャートであり、図11は除霜中の除霜ヒータ、庫内送風機、冷蔵室ダンパ、冷凍室ダンパ、圧縮機の動作状態を示すタイムチャートと冷蔵室温度、冷凍室温度、冷却器温度の推移を説明する図である。
なお、以下の説明では、圧縮機24が稼動している状態を「圧縮機ON」、圧縮機24が停止している状態を「圧縮機OFF」、庫内送風機9が稼動している状態を「庫内送風機ON」、庫内送風機9が停止している状態を「庫内送風機OFF」、除霜ヒータ22に通電している状態を「除霜ヒータON」、除霜ヒータ22に通電していない状態を「除霜ヒータOFF」、冷蔵室ダンパ20が開状態で、冷蔵温度帯室への送風が可能な状態を「冷蔵室ダンパ開」、冷蔵室ダンパ20が閉状態で、冷蔵温度帯室への送風が遮断された状態を「冷蔵室ダンパ閉」、冷凍室ダンパ50が開状態で、冷凍温度帯室への送風が可能な状態を「冷凍室ダンパ開」、冷凍室ダンパ50が閉状態で、冷凍温度帯室への送風が遮断された状態を「冷凍室ダンパ閉」と略称する。
また、冷蔵庫1の通常冷却運転のモードとして複数の冷却運転モードが用意されており、「圧縮機ON、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の状態を「冷蔵室冷却運転」モード、「圧縮機ON、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ開、除霜ヒータOFF」の状態を「冷凍室冷却運転」モード、「圧縮機ON、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ開、除霜ヒータOFF」の状態を「冷蔵室・冷凍室同時冷却運転」モードと称する。
ここで、通常冷却運転とは、冷蔵室温度センサ、冷凍室温度センサ及び外気温度センサが検知する温度にもとづき、圧縮機24と、庫内送風機9と、庫外送風機の制御(オン/オフ制御や回転速度制御)と、冷蔵室ダンパ20、冷凍室ダンパ50の開閉状態の制御によって、各室を所定温度(例えば、冷蔵室は3℃程度、野菜室は5℃程度、冷凍室は−18℃程度)に維持する運転である。
なお、以下の除霜方法の説明においては、野菜室6は、冷蔵室2の一部として扱い、野菜室6に関する説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、除霜運転におけるモードとして除霜モード1〜6の6つのモードを備えている。これらの除霜モードの中で、図6の表の下に示すように、「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の「庫内送風機による除霜」を行う除霜モード1は、請求項に記載の「第1の除霜手段」に対応し、「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON」の「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」を行う除霜モード3は、請求項に記載の「第2の除霜手段」に対応し、「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON」の「除霜ヒータによる除霜」を行う除霜モード6は、請求項に記載の「第3の除霜手段」に対応する。
そして、除霜モード2は、除霜モード1(第1の除霜手段)による除霜運転の後に引続いて除霜モード3(第2の除霜手段)による除霜運転を行うモードであり、除霜モード4は、除霜モード1(第1の除霜手段)による除霜運転の後に引続いて除霜モード3(第2の除霜手段)、除霜モード6(第3の除霜手段)による除霜運転を行うモードであり、除霜モード5は、除霜モード3(第2の除霜手段)による除霜運転の後に引続いて除霜モード6(第3の除霜手段)による除霜運転を行うモードである。
このように本実施形態の冷蔵庫1における除霜運転のモードは第1から第3の除霜手段の全て、または一部を組み合わせて除霜モードとしている。
本実施形態における除霜モード4が請求項の第1の除霜モードに対応し、除霜モード4,5が請求項に記載の第2の除霜モードに対応する。
図6の表の「除霜前条件」欄に示すように、除霜モード1〜6に対して適用される除霜運転開始前の冷蔵庫1の冷却運転モード、冷凍室温度や冷蔵室温度の温度に対する条件が異なっている。また、図6の表の「除霜」欄には、各除霜モードが分かり易いように除霜手段1〜3の組合せを記載してある。更に、図6の表の「除霜完了判定条件」欄に示すように、除霜モード1〜6は、どのような冷凍室温度や冷蔵室温度や冷却器温度の除霜完了判定温度の条件でそれぞれの除霜モードが完了するかが示され、例えば、冷凍室温度で判定する場合でも各モードで適用される温度数値が異なっている。
ここで、図6の表の「除霜完了判定条件」欄に示す冷却器温度の条件が請求項に記載の除霜完了判定温度に対応する。
除霜前条件及び除霜完了判定条件の詳細については、後記するフローチャートの説明の中で説明する。
《除霜運転の制御の流れ》
次に図7から図11を参照しながら除霜運転の制御の流れについて説明する。この制御は、制御基板31(図2参照)のCPUがROMに格納されたプログラムを実行することによって行われる。
図7に示すように、冷蔵庫は電源投入により運転が開始され(スタート)、初期条件としてFLAGi=0,FLAGj=0となされる(ステップS100)。
ここで、FLAGiは、後記するように除霜モード4が選択されたことを示すフラグであり、除霜モード4における除霜運転の途中で冷凍室温度が上昇し過ぎて、除霜運転を中断し冷凍室冷却運転等を一時的に行って、他の除霜モードに移行したことを示すフラグでもある。また、FLAGjは、後記するように冷却器除霜を優先する条件が満足されたことを示すフラグであり、その除霜運転における除霜モードの切替のためのフラグでもある。
そして、通常冷却運転が行われる(ステップS101)。ステップS102では、通常冷却運転のモードが「冷凍室冷却運転」で、且つ、冷凍室温度が−21℃より低いか否かをチェックする。「冷凍室冷却運転」モードで、且つ、冷凍室温度が−21℃より低い場合(Yes)はステップS103へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS101に戻り通常冷却運転を継続する。
通常冷却運転には、前記したとおり3種類の冷却運転モードがあるため、通常冷却運転を継続する場合、「冷凍室冷却運転」モードを継続する以外に、冷蔵室温度、冷凍室温度にもとづいて、「冷凍室冷却運転」モード以外の他の2種類の冷却運転モード(「冷蔵室冷却運転」モード、「冷蔵室・冷凍室同時冷却運転」モード)に切り替わる場合もある。
例えば、使用者が冷蔵室2に温度の比較的高い食品を入れる等があった場合、「冷凍室冷却運転」モードから「冷蔵室冷却運転」モードに切り替わり、冷蔵室2を素早く所定温度まで冷却した後に再び「冷凍室冷却運転」モードに移行する。
ステップS102において、冷凍室温度が−21℃より低い場合、続いて、信頼性確保除霜を行う条件を満足しているか否かを判定する(ステップ103)。ここで、信頼性確保除霜とは、冷却器7とその周辺の霜を完全に取り除くことを目的とした除霜であり、具体的には、冷却器温度が、霜が解ける温度である0℃より十分高い、例えば、8℃を超えるまで除霜を行うものである。本実施形態では、信頼性確保除霜を行う条件か否かは、前回の信頼性確保除霜の除霜運転完了後からの圧縮機24の積算運転時間と圧縮機24の稼動回転速度と、庫外の温湿度環境(外気温度、外気湿度(相対湿度))にもとづいて判断される。この条件は、予め、ROMにテーブルデータの形で、外気温度、外気室、積算運転時間、稼動回転速度をパラメータとして、格納されており、このデータテーブルを参照することによって判定される。例えば、外気温度30℃、相対湿度70%の条件であれば、ほぼ1日に1回の頻度で信頼性確保除霜を行う条件が満足される。
ステップS103において、信頼性確保除霜を行う条件が満足された場合(Yes)はステップS201へ進み、信頼性確保除霜を行う条件が満足されない場合(No)は、続いて、冷却器除霜を優先する条件か否かを判定する(ステップS104)。
ここで、「冷却器除霜を優先する」条件とは、庫内の温度変動が若干大きくなっても、冷却器に付着した霜を取り除くことを優先させる除霜が必要である条件である。この条件は、例えば、外気温度が35℃より高く、且つ、外気湿度が85%より高い場合とする。
ステップS104において、冷却器除霜を優先する条件が満足された場合(Yes)は、ステップS501へ進み、冷却器除霜を優先する条件が満足されない場合(No)は、自動的に除霜モード1が選択される(ステップS105)。
ここで、冷却器除霜を優先するか条件を満足とは、外気温度センサが検知する温度が35℃より高く、且つ、外気湿度センサが検知する湿度(相対湿度)が85%より高い場合に、冷却器除霜を優先する条件が満足されたと判定する。
(除霜モード1)
続いて、第1の除霜手段(「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」)による除霜運転が行なわれる(ステップS106)。ステップS106の除霜運転状態は、ステップS107における冷凍室温度−17℃より高、ステップS108における冷蔵室温度5℃より高、ステップS109における冷蔵室温度0℃より低、または、ステップS110における冷却器温度0.5℃より高の何れかの除霜完了判定条件が満足されるまで継続され、ステップS107〜ステップS110の何れかの除霜完了判定条件が満足される(Yes)と除霜モード1による除霜運転は終了し(ステップS111)、通常冷却運転(ステップS101)が再開される。ステップS107〜ステップS109のそれぞれの除霜完了判定条件が満足されない場合(No)は、次のステップS108〜ステップS110のそれぞれ除霜完了判定条件のチェックに進む。
ここで、ステップS107における冷凍室温度の−17℃は、請求項に記載の冷凍温度帯室上限温度に対応する。
ここで、各除霜完了判定条件について具体的に説明する。ステップS107の除霜完了判定条件(冷凍室温度>−17℃)は、庫外からの熱侵入によって冷凍室温度が上昇した場合や、除霜モード1による除霜運転の最中に、使用者によって冷凍温度帯室の扉3a,4a,5aのいずれかが開閉されるといった要因で冷凍室温度が上昇した場合に満足される。
ステップS108の除霜完了判定条件(冷蔵室温度>5℃)は、基本的に冷蔵室2は霜が持つ冷熱によって冷却されているため温度上昇は起こり難く満足されることは少ないが、使用者によって冷蔵室2内に温度の高い食品が入れられた場合に満足されることがある。霜が残っている状態(冷却器温度が低温の状態)であれば、時間はかかっても冷蔵室の冷却は実施されるが、ステップS108の除霜完了判定条件(冷蔵室温度>5℃)が満足されるような場合は、新しく入れられた食品の冷却速度が遅くなることがある。したがって、ステップS108の除霜完了判定条件は、新しく入れられた食品を素早く冷却するために設けているステップである。
ステップS109の除霜完了判定条件(冷蔵室温度<0℃)は、「圧縮機OFF」時の冷却器温度が非常に低温であり、低温であって量も比較的多い霜が冷却器7及びその周辺に付着しており、それら低温の霜の影響(霜の顕熱の影響)で、冷蔵室2の温度の低下が著しい場合に、稀に満足されるものであり、冷蔵室2内の食品の凍結防止のために設けられている。
ステップS110の除霜完了判定条件(冷却器温度>0.5℃)は、冷却器7の霜がほぼ完全に解けて、冷却器7の温度が上昇しはじめた場合に満足される。
なお、着霜量が比較的多い場合は、霜が解けるより先に冷凍室温度が上昇する傾向が強くなり、ステップS107の除霜完了判定条件が満足されることで除霜モード1が終了する場合が多い。一方、着霜量が比較的少ない場合は、ステップS110の除霜完了判定条件が満足されることで除霜モード1が終了する確率が高くなる。
(除霜モード1の効果)
次に、除霜モード1の効果について説明する。除霜モード1は、第1の除霜手段による除霜運転(庫内送風機による除霜)のみを用いた除霜のため、除霜のために外部から投入するエネルギは、庫内送風機9の動力(消費電力1〜2W程度)のみであり、霜の持つ冷熱を利用して冷蔵室2を冷却する、言い換えると、庫内の熱負荷を利用して霜を解かしていることから、非常に省エネルギ性能が高い除霜方式である。また、省エネルギ性能を高めるためには、除霜モード1を実施した際に、なるべく多くの霜を解かすことが効果的であり、冷却器7の霜がほぼ解けたといえる冷却器温度が0.5℃より高の除霜完了判定条件が満足されるまで除霜することが望ましい。
一方で、冷蔵庫1は、食品を所定の温度範囲に維持することが基本機能であるため、その基本機能が損なわれてはならない。そこで、所定温度範囲維持という冷蔵庫の基本機能が損なわれない範囲で、除霜モード1による省エネルギ効果を得るために、ステップS107〜ステップS109が設けられている。
これらのステップにより、所定温度範囲維持という基本機能が損なわれない範囲で、最大限の省エネルギ性能を得ることができる、信頼性(所定温度範囲維持)と省エネルギ性能を両立できる冷蔵庫となっている。
また、着霜量が比較的少ない場合は、ステップS110の除霜完了判定条件が満足されることで除霜モード1が終了する確率が高くなるが、着霜量が比較的少ない場合には、霜を解かすために必要な熱量に対して、圧縮機24の「停止時に冷却器7の冷媒配管内の液冷媒を加熱するために必要な熱量が相対的に大きな割合となるため、除霜モード1をステップS110の除霜完了判定条件を満足することで終了させるケースを増やす。すなわち、省エネルギ効果を高めるためには、「圧縮機OFF時」に冷却器7の冷却器配管7a内に存在する液冷媒の量を少なくすることも有効である。本実施形態では、冷媒封入量は約80g(冷媒はイソブタン)と少量にしているために、圧縮機24の停止時に冷却器7の冷却器配管7a内に存在する液冷媒の量を少なくできており、除霜モード1がステップS110の除霜完了判定条件を満足しで終了するケースが比較的多く、省エネルギ性能に優れた冷蔵庫となっている。
〈除霜モード4;信頼性確保除霜〉
次に、ステップS103において、信頼性確保除霜を行う条件が満足された場合(Yes)について説明する。
図7ステップS103において、信頼性確保除霜を行う条件が満足された場合(Yes)は、符号(1)にしたがって図8のステップS201に進みFLAGi=1と記憶させる。
次いで除霜モード4が選択され(ステップS202)、除霜モード4による除霜運転開始の条件である「冷凍室冷却運転」、且つ、冷蔵室温度が5℃より高いかをチェックする(ステップS203)。「冷凍室冷却運転」、且つ、冷蔵室温度が5℃より高となった場合(Yes)は、ステップS204へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS203を繰り返す。
図6に示すとおり、除霜モード4は、「冷凍室冷却運転」のモード中に冷蔵室温度が5℃より高となった場合に開始されるものなので、ステップS103の時点で「冷凍室冷却運転」が実施されていることから、ステップS202において除霜モード4が選択されても、冷蔵室温度が5℃より高となるまで「冷凍室冷却運転」の通常冷却運転のモードが継続する。
ステップS203からステップS204へ進むと、除霜モード4の第1段階の除霜運転である第1の除霜手段による除霜運転(「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」)を行う。続いて、ステップS205においてFLAGi=2か否かをチェックする。FLAGi=2の場合(Yes)は、ステップS208へ進み、FLAGi≠2の場合(No)は、ステップS206へ進む。ここでは、ステップS201において、FLAGi=1と記憶させてあるので、FLAGi=2は満足されないため、ステップS206へ進む。
ステップS206では、冷凍室温度が−10℃より高か否かをチェックする。冷凍室温度が10℃より高の場合(YES)は、ステップS301へ進み、そうでない場合(No)はステップS207へ進む。ステップS207では、冷蔵室温度と冷却器温度の温度差(冷蔵室温度−冷却器温度)が2℃より低か否かをチェックし、温度差が2℃より低の場合(Yes)は、ステップS208へ進み、そうでない場合はステップS206に戻り、第1の除霜手段による除霜運転を継続しながらステップS206,S207のチェックを繰り返す。
ここで、ステップS206における冷凍室温度の−10℃は、請求項に記載の冷凍室温度帯上限温度に対応する。
ステップS208では、除霜ヒータ22をオンとし、且つ、その出力を80Wとする(除霜ヒータON(80W))。ステップS208で除霜ヒータ22をオンとしたことによって、第2の除霜手段による除霜運転の状態(庫内送風機+除霜ヒータによる除霜:「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON」)となる。
そして、ステップS209において冷凍室温度が−10℃より高か否かをチェックする。冷凍室温度が−10℃より高の場合(Yes)は、符号(4)に従い、図9のステップS301に進み、冷凍室温度が−10℃以下の場合(No)はステップS210に進む。
ステップS210では、冷蔵室温度が冷却器温度より低いか否かをチェックし、冷蔵室温度が冷却器温度より低い場合(Yes)には、ステップS211へ進み、冷蔵室温度が冷却器温度以上の場合(No)は、再びステップS209に戻り、第2の除霜手段による除霜運転を継続し、ステップS209、S210のチェックを繰り返す。
ここで、ステップS209における冷凍室温度の−10℃は、請求項に記載の冷凍室温度帯上限温度に対応し、ステップS210における冷蔵室温度が冷却器温度より低い(冷蔵室温度<冷却器温度)が請求項に記載の「前記冷却器温度が0℃以上の所定の第1の冷却器温度」に対応する。
ステップS210で冷蔵室温度が冷却器温度より低(Yes)で、ステップS211に進むと、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉とし、更に、除霜ヒータ出力を80Wから160Wに変更する。これにより、第3の除霜手段による除霜運転の状態となる。図9に移ってステップS212では、冷凍室温度が−10℃より高か否かをチェックする。冷凍室温度が−10℃より高の場合(Yes)は、ステップS301へ進み、冷凍室温度が−10℃以下の場合(No)は、ステップS213に進み、冷却器温度が8℃より高か否かをチェックする。冷却器温度が8℃より高の場合(Yes)は、ステップS214へ進み、冷却器温度が8℃以下の場合(No)は、再びステップS212に戻り、第3の除霜手段による除霜運転を継続し、ステップS212、S213のチェックを繰り返す。
ここで、ステップS212における冷凍室温度の−10℃は、請求項に記載の冷凍室温度帯上限温度に対応し、ステップS213における冷却器温度が8℃より高(冷却器温度>8℃)が請求項に記載の「所定の第2の冷却器温度まで上昇したとき」に対応する。
ステップS213において、YesでステップS214へ進んだ場合は、除霜モード4による除霜運転は終了し、除霜ヒータ22をオフする(除霜ヒータOFF)。これにより、「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の状態となる。そして、ステップS215では、除霜ヒータ22をオフ後、5分が経過したか否かをチェックし(除霜ヒータ22をOFF後5分経過?)、経過しない場合(No)は、ステップS215を繰り返し、5分経過した場合(Yes)は圧縮機24をオンする(ステップS216、圧縮機ON)。これにより、「圧縮機ON、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の状態となる。
ステップS217では、圧縮機24をオン後2分が経過したか否かをチェックする。経過しない場合(No)は、ステップS217を繰り返し、2分経過した場合(Yes)はステップS101(図7参照)に戻り、再び通常冷却運転に戻る(圧縮機ON後2分が経過?)。
(除霜モード4の作用効果)
以上説明したステップS201からステップS217の流れが、信頼性確保除霜を行う条件が満足され、除霜モード4による除霜運転が実施された場合の説明である。
以下で、その効果を、図8、図9のフローチャートと、図11の除霜モード4による除霜運転におけるタイムチャートを参照しながら説明する。図11には、除霜モード4が選択されてからの、「冷凍室冷却運転」の区間、「第1の除霜手段」による除霜運転の区間TA、「第2の除霜手段」による除霜運転の区間TB、「第3の除霜手段」による除霜運転の区間TC、除霜運転完了後の経過の区間TD,TE、「通常冷却運転」の区間に分けられ、その間の冷蔵室温度、冷凍室温度及び冷却器温度の推移、除霜ヒータ22のオン状態(ON 160W)/オン状態(ON 80W)/オフ(OFF)状態、庫内送風機9のオン(ON)/オフ(OFF)状態、冷蔵室ダンパ20の開状態/閉状態、庫内送風機9のオン(ON)/オフ(OFF)状態、冷凍室ダンパ50の開状態/閉状態、圧縮機24のオン(ON)状態/オフ(OFF)状態が示されている。
図11に示すように、除霜モード4が選択されると、除霜モード4による除霜運転に入る前に、冷蔵室温度が5℃を超えるまで冷凍室冷却運転を実施し(ステップS203)、冷蔵室温度が5℃を超えたら、第1の除霜手段による除霜運転(「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」)が行われる(ステップS204〜ステップS207)。
これは、庫内送風機9によって冷蔵室2に送風することで霜を解かす場合、冷蔵室2の温度はなるべく高い温度であった方が、冷却器7に付いた霜と熱交換しやすいため、予め冷蔵室2の温度を高くしておくものであり、これにより省エネルギ効果が高まる。また、冷蔵室2が庫外からの熱侵入により温度上昇するのを待つ間は冷凍室冷却運転が実施されているため、除霜時に庫外からの熱侵入で温度上昇しやすい冷凍室を除霜前に十分冷やしておくことができ、除霜時に、冷凍食品が解けるといった不具合の可能性を小さくする効果もある。
除霜モード4における第1段階として、第1の除霜手段による除霜運転が実施されると、図11中の区間TAに示すように、冷蔵室温度は霜の冷熱によって冷却され、一方、冷却器温度(霜温度)は冷蔵室の熱負荷によって上昇し、次第に冷却器温度との差が小さくなる。冷蔵室温度と冷却器温度との温度差が小さくなると、熱交換し難くなるため、そのまま第1の除霜手段による除霜運転を継続した場合、除霜時間が長くなってしまう。一方、図11中に示すように、除霜中、冷凍室温度は上昇し続ける。
したがって、除霜時間が長いと、冷凍食品が解けるといった不具合が生じる可能性があり望ましくないので、冷蔵室温度と冷却器温度との温度差が小さくなったと判断された場合((冷蔵室温度−冷却器温度)<2℃が満足された場合)(ステップS207)、除霜時間が長引かないように、除霜ヒータ22をオンとすることで(ステップS208)、冷蔵室2からの戻り空気を加熱し、除霜しやすくする。この「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON」の状態が、図11中の区間TBにおける第2の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」が実施されている状態である(ステップS208〜ステップS210)。第2の除霜手段における除霜ヒータ22の出力は80Wであり、この出力は、冷却器7に霜が残っている状態であれば、冷却器7を通過後の空気が冷蔵室2の冷却が可能な0〜4℃程度の温度となる出力である。
また、通常冷却運転時の庫内送風機9の回転速度は約1600rpmであり、区間TBにおける第2の除霜手段による除霜運転中は約1400rpmとしている。このように、第2の除霜手段による除霜運転時に庫内送風機9の回転速度を通常冷却運転時のそれから変えるのは、冷蔵室2の冷却が可能な0〜4℃程度の空気温度が得られるように調節するためである。
このように、本実施形態の冷蔵庫1の第2の除霜手段による除霜運転は、冷蔵室2の冷却が可能な0〜4℃程度の空気温度が得られるように調節されるので、特許文献2や特許文献3に開示されている加湿を目的として「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON」とした場合に生じていた、「利用可能な霜の冷熱を冷蔵室の冷却に再利用できていないため、その分省エネルギ性能は低くなる」という問題点を解決でき、省エネルギ性能が高くできている。
もし、「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」の除霜運転における除霜ヒータ22の出力が過剰であるとすると、冷蔵室2で保つべき温度より高い冷却器を通過後の空気温度となり、冷蔵室2を暖めてしまうため好ましくない。また、第2の除霜手段による除霜運転は、除霜時間の短縮によって冷凍室温度の上昇を抑制することが目的であるため、除霜ヒータ22の出力が過小だと、この目的が達成されない。したがって、第2の除霜手段における除霜ヒータ22の出力は適切なものでなければならない。第2の除霜手段の効果としては、冷凍室温度の上昇抑制とともに、除霜ヒータ22をオンとしているものの、冷蔵室2を冷やしながら霜を解かしている(冷蔵室2の熱負荷を使って霜を解かしている)ので、冷蔵室2の熱負荷を利用した分だけ、除霜のための外部からのエネルギ投入量が少なくて済み、省エネルギ効果が得られる。更に、送風によって冷却器7に冷蔵庫からの戻り空気(図5中の、矢印Dで示した冷蔵室戻り空気)を強制対流させているため、空気と霜との間の熱伝達効率が良く、霜が解けやすくなることによる省エネルギ効果もある。
このように、第1の除霜手段による除霜運転の後に第2の除霜手段による除霜運転を組み合わせることにより、除霜時間を短くしながらも除霜運転時の省エネルギ効果を得ることができる。
続いて、冷蔵室温度が冷却器温度以下になった時点(ステップS210)で「庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉」となり、除霜ヒータ22の出力は80Wから160Wに変わる(ステップS211)ことにより図11の区間TCでは、第3の除霜手段による除霜運転、「除霜ヒータによる除霜」が実施される(ステップS211〜ステップS213)。
冷蔵室温度が冷却器温度以下になると冷却器7が持つ冷熱では、冷蔵室2を冷却する能力はなく、それ以上送風を継続すると冷蔵室2を暖めてしまうことになるために、送風を停止、「除霜ヒータによる除霜」を行うことで冷蔵室2を暖めてしまうことを防ぐとともに、冷却器7に霜の解け残りがないようにする。
除霜モード4は信頼性確保除霜が目的であるため、霜の解け残りがないようにしなければならないが、前記のとおり、「庫内送風機ON」状態での第1の除霜手段または第2の除霜手段による除霜運転のみでは、霜が解け難い箇所が生じてしまい、霜の解け残りが生じることがあった。そこで、信頼性確保除霜を実施する場合には、第1の除霜手段及び第2の除霜手段の「庫内送風機ON状態」での除霜の後に、図11の区間TCに示すように「除霜ヒータによる除霜」を実施し、霜の解け残りがないようにしている。
なお、本実施形態では、第3の除霜手段による除霜運転では、除霜ヒータ22の出力を80Wから160Wに上げている。これにより、第3の除霜手段による除霜運転の区間TCを短くでき、その間の冷蔵室温度及び冷凍室温度の上昇を小さく抑えることができる。
また、第3の除霜手段による除霜運転は、送風状態での除霜に比べて冷却器収納室8内の空気と霜との自然対流による熱伝達効率が悪く、省エネルギ性能が低い除霜手段ではある。しかし、本実施形態では、プラス温度に保たれる冷蔵室温度よりも冷却器温度の方が高いという、ほぼ全ての霜が解けたといえる状態から第3の除霜手段による除霜運転が実施されるので、除霜手段3による除霜運転を行うことによる省エネルギ性能の低下の影響は比較的小さい。
このように、除霜モード4では、第1から第3の除霜手段による除霜運転を組み合わせることにより、柔軟で省エネルギ効果のある、確実な除霜を行え、除霜時間の短縮化も図ってその間に冷凍室温度が上昇するのを抑制している。
次に、冷却器温度が8℃を超えたとき(ステップS213)、除霜ヒータ22をオフし除霜モード4による除霜運転は終了し(ステップS214)、図11の区間TDで示すように、「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の状態で5分間待つ(ステップS215)。この経過の区間TDによって、除霜水の冷却器7、上部カバー53(図5参照)から樋23(図5参照)への滴下時間が確保され、滴下途中で通常冷却運転が再開されて再び氷結し、冷却器収納室8の一部を閉塞するといった事態が起こり難くなる。
また、ステップS213において冷却器温度が8℃を超えたときに第3の除霜手段による除霜運転を終了するように、図6に示す第3の除霜手段による除霜運転を含まない他の除霜モードの除霜完了判定温度(冷却器温度>0.5℃)よりも比較的高い温度に設定しているので略完全な除霜ができる。
経過の区間TDの5分が経過した後に、図11の経過の区間TEに示すように、まず、圧縮機24のみをオンし(「圧縮機ON、庫内送風機OFF、除霜ヒータOFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉」)(ステップS216)、2分間待ち(ステップS217)
、その後、通常冷却運転を再開する。この2分間の待ち時間は、除霜モード4による除霜運転が終了した時点で温度が高くなっている冷却器7とその周辺の空気が、そのまま庫内各室に送られて、庫内各室を暖めてしまうという問題が生じ難くするためのものであり、通常冷却運転再開前に、冷却器収納室8内を冷却するために設けられている。
以上で、信頼性確保除霜を行う条件が満足され、除霜モード4による除霜が実施された場合の作用を説明したが、除霜モード4では、第1の除霜手段による除霜運転、第2の除霜手段による除霜運転、第3の除霜手段による除霜運転のそれぞれの段階に、冷凍室温度をチェックするステップが設けてあり(ステップS206、ステップS209及びステップS212)、それらのステップで冷凍室温度の上昇が著しいと判定された(冷凍室温度が−10℃より高)場合、除霜モード4から除霜モード5による除霜に移行するようになっている。
(除霜モード4から除霜モード5への移行)
再び、図9のフローチャートに戻って、除霜モード4による除霜運転の途中において、ステップS206、ステップS209、または、ステップS212において、冷凍室温度が−10℃より高となり、ステップS301へ進み、除霜モード4から除霜モード5による除霜に移行する場合について説明する。
ステップS301では、冷却器温度が5℃より高か否かをチェックし、冷却器温度が5℃より高の場合(Yes)は、ステップS302へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS305へ進む。
ステップS302では、「庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータOFF」の状態とし、更に「圧縮機ON」とする(ステップS303)。そして、ステップS304では、圧縮機オン(ON)後2分が経過したか否かをチェックし、2分経過した場合(Yes)はステップS305に進み、経過していない場合(No)は、ステップS304を繰り返す。ステップS305では、FLAGi=1か否かをチェックする。FLAGi=1の場合(Yes)は、ステップS306へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS401へ進む。
ここでは、ステップS201でFLAGi=1と記憶させてあるの、Yesとなり、除霜モード5が選択される(ステップS306)。
また、ステップS301で冷却器温度が5℃より高となっていた場合、ステップS303で圧縮機のみオンとして、その後2分間待つようにしているのは、冷却運転が開始される前に、冷却器収納室8内を冷却することで、冷却器収納室8内の温度の高い空気がそのまま庫内各室に送られて、庫内各室を暖めてしまうという問題が生じ難くするためである。
除霜モード5による除霜運転は、図6に示すように冷凍室冷却運転中に冷凍室温度が−25℃より低となった場合に開始されるように設定されており、その条件を満足するように一旦冷凍室冷却運転が開始され(ステップS307)、ステップS308において冷凍室温度が−25℃より低か否かがチェックされ、冷凍室冷却運転は、冷凍室温度が−25℃より低でない場合(No)は、ステップS307に戻り、冷凍室温度が−25℃より低なるまで継続される(ステップS308)。ステップS308において冷凍室温度が−25℃より低となった場合(Yes)は、ステップS309に進み、FLAGi=2と記憶させ、ステップS204(図8参照)に移り、第1の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機による除霜」が実施される状態になり、次に、FLAGi=2か否かをチェックする(ステップS205)。
ここでは、ステップS309においてFLAGi=2と記憶させてあるので、ステップS208に進み、第1の除霜手段による除霜運転は実施されることなく、第2の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」が行なわれる。以降ステップS209、または、ステップS212において、再び冷凍室温度が−10℃より高が満足された場合(Yes)以外は既に説明したステップを経て通常冷却運転に戻る。
(除霜モード5の作用効果)
除霜モード4の除霜運転の途中において、ステップS206、または、ステップS209、または、ステップS212の何れかで、冷凍室温度が著しく上昇する原因としては、使用者が偶々製氷室3や、上段冷凍室4や、下段冷凍室5の開閉を行い、比較的温度の高い食品を収納した場合も考えられるが、他に、霜の量が多く、除霜に時間がかかり過ぎた、若しくは、下段冷凍室5からの戻り冷気が多くの水分を冷却器収納室8に運んでくる状況となっており、庫内送風機9が稼動している状態での除霜運転では除霜され難い箇所に霜が多く存在し、その霜の影響で除霜時間が延び、冷凍室温度が−10度より高になる場合と考えられる。
何れの場合であっても上段冷凍室4や、下段冷凍室5に収納された冷凍食品が解けるといった不具合が生じる可能性があるため、一旦温度上昇した上段冷凍室4や、下段冷凍室5を再冷却するためのステップS307を設け、上段冷凍室4や、下段冷凍室5を低温に冷却する。これにより、信頼性確保除霜を実施している最中に、上段冷凍室4や、下段冷凍室5に収納された冷凍食品が解けるといった不具合を生じる可能性をなくせる。また、除霜モード4の過程において、冷凍室温度の上昇が著しかった原因が、霜の量が多く、除霜時間が長くなり過ぎたことによる場合、除霜時間を短縮することが望ましい。
したがって、除霜モード5は、除霜モード4における、第1の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機による除霜」が実施されるステップS204を実質的に経ずに、第2の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」を始める(ステップS208)。第2の除霜手段は、第1の除霜手段に比べて除霜ヒータ22をオンとする効果が加わるため、同じ霜の量であれば短時間で除霜できる。その結果、除霜モード5によって除霜時間が短縮でき、除霜時間が長くなることで製氷室3や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度が上昇することによる不具合は生じ難くなり、信頼性が高い除霜運転となる。
なお、第1の除霜手段による除霜運転のステップを省略しても、第2の除霜手段による除霜運転を実施することによる省エネルギ効果は得られるため、除霜モード5に移行することによって省エネルギ性能が大幅に悪化することはない。
(除霜モード6)
次に、ステップS305でFLAGi=1でなく(No)、ステップS401に進んで除霜モード6が選択される場合について説明する。
除霜モード6による除霜は、図6に示すとおり通常冷却運転(冷凍室冷却運転、冷蔵室冷却運転、または冷凍室・冷蔵室同時冷却運転)中に、冷凍室温度が−25℃より低で、且つ、冷蔵室温度が2℃より低となった場合に開始させるものであり、ステップS402において一旦通常冷却運転が開始され、ステップS403において、冷却運転モードのいずれかのモードであって、冷凍室温度が−25℃より低、且つ、冷蔵室温度が2℃より低が満足されているかをチェックし、満足されていない場合(No)は、ステップS402を継続し、満足された場合(Yes)は、ステップS404へ進む。
ステップS404では、第3の除霜手段による除霜運転、「除霜ヒータによる除霜」、(「圧縮機OFF、庫内送風機OFF、冷蔵室ダンパ閉、冷凍室ダンパ閉」、但し、除霜ヒータ22は出力160W)が行われる。続いて、ステップS212に戻り、以降は既に説明したステップを経て通常冷却運転に戻る。
なお、除霜モード6の過程において、再びステップS212で冷凍室温度が−10℃より高の場合(YES)は、ステップS309において、FLAGi=2と記憶されたままなので、再度除霜モード6が実施されることになる。
(除霜モード6の作用効果)
次に除霜モード5から、再び冷凍室温度の上昇が著しい場合に、除霜モード6に移行させることによる作用効果を説明する。
信頼性確保除霜は、除霜モード4がまず実施され、その過程において、冷凍室温度の上昇が著しい場合に除霜モード5に移行させ、除霜モード5の過程において、再び冷凍室温度の上昇が著しい場合に除霜モード6に移行させる。すなわち、除霜モード6は、信頼性確保除霜の過程で2回冷凍室温度上昇が著しいと判定された場合に実施されるものであり、このようなケースは、偶々冷凍温度帯室の扉3a,4a,5a,5bの開閉のタイミングが合致して起こることもありえるが、庫内送風機9の稼動状態での除霜運転(第1の除霜手段または第2の除霜手段による除霜運転)では、除霜が困難な箇所に多くの着霜が生じている可能性も高い。
したがって、本実施形態では、2回冷凍室温度上昇が著しいと判定された場合には除霜モード6に移行させることで、送風機9の稼動状態での除霜運転では除霜が困難な箇所に多くの着霜が生じている場合であっても、確実に除霜ができるようにしてあるため、信頼性の高い冷蔵庫となっている。
〈冷却器除霜を優先する場合〉
以上でステップS103において信頼性確保除霜を行う条件が満足された場合について説明したが、次に、ステップS104で冷却器除霜を優先する条件が満足された場合について説明する。
ステップS104においてYesの場合、続いて、FLAGj=2か否かをチェックする(ステップS501)。FLAGj=2の場合(Yes)は、ステップS508へ進み、FLAGj≠2の場合(No)は、ステップS502へ進む。ここでは、ステップS100の初期値設定においてFLAGj=0が記憶されているので、FLAGj=2は満足されず、ステップS502,S503へと進み、除霜モード2が選択される。除霜モード2による除霜運転は、図6に示すとおり冷凍室冷却運転中に、冷蔵室温度が5℃より高となった場合に開始されるものなので、冷凍室冷却運転(ステップS104時点では冷凍室冷却運転が実施されている)が行われ、ステップS505において冷蔵室温度が5℃より高か否かをチェックし、冷蔵室温度が5℃より高の場合(Yes)はステップS504へ進み、冷蔵室温度が5℃以下の場合(No)は、冷蔵室温度が5℃より高になるまで冷凍室冷却運転が継続される。
ステップS504では、第1の除霜手段による除霜運転(「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷凍室ダンパ閉、冷蔵室ダンパ開、除霜ヒータOFF」)が行われる。ステップS505では、冷却器温度が0.5℃より高か否かをチェックする。冷却器温度が0.5℃より高の場合(YES)は、符号(7)に従いステップS514へ進み、そうでない場合(No)はステップS506へ進む。ステップS506では、冷凍室温度が−14℃より高か否かをチェックし、冷凍室温度が−14℃より高の場合(Yes)は、ステップS515へ進み、そうでない場合はステップS507に進む。ステップS507では、冷蔵室温度と冷却器温度の温度差(冷蔵室温度−冷却器温度)が2℃より低か否かをチェックし、温度差が2℃より低の場合(Yes)は、ステップS511へ進み、そうでない場合はステップS505に戻り、第1の除霜手段による除霜運転を継続しながらステップS505,S506、S507のチェックを繰り返す。
ステップS511では、除霜ヒータ22が出力80Wでオン(ON)となる。これにより第2の除霜手段による除霜運転の状態(「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータON)となる。
ステップS512では、冷却器温度が0.5℃より高か否かをチェックし、冷却器温度が0.5℃より高の場合(Yes)は、ステップS514へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS513へ進む。ステップS513では、冷凍室温度が−14℃より高か否かをチェックし、冷凍室温度が−14℃より高の場合(Yes)は、ステップS514へ進み、そうでない場合(No)はステップS512へ戻り、第2の除霜手段による除霜運転を継続し、ステップS512、または、ステップS513のどちらかでYesとるまステップS512、または、ステップS513のチェックを繰り返す。
ここで、ステップS506,S512における冷凍室温度の−10℃は、請求項に記載の冷凍室温度帯上限温度に対応する。
ステップS514では、FLAGj=1と記憶させて、次いでステップS516では、庫内送風機9をオフ(OFF)、除霜ヒータ22をオフ(OFF)として、符号(5)に従いステップS101の通常冷却運転に戻る。また、ステップS513においてYesでステップS515に進んだ場合は、FLAGj=2と記憶させて、次いでステップS516では、庫内送風機9をオフ(OFF)、除霜ヒータ22をオフ(OFF)として、符号(5)に従いステップS101の通常冷却運転に戻る。
ステップS501において、FLAGj=2の場合(Yes)は、ステップS508へ進み、除霜モード3が選択される。除霜モード3による除霜運転は、図6に示すとおり冷凍室冷却運転中に、冷凍室温度が−25℃より低となった場合に開始されるものなので、冷凍室冷却運転(ステップS104時点では冷凍室冷却運転が実施されている)が行われ、ステップS509において冷蔵室温度が−25℃より低か否かをチェックし、冷凍室温度が−25℃より低の場合(Yes)はステップS510へ進み、冷凍室温度が−255℃以上の場合(No)は、冷凍室温度が−25℃より低になるまで冷凍室冷却運転が継続される。
ステップS510では、「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉」の状態とされ、ステップS511に進み、第2の除霜手段による除霜運転を行う。
(冷却器除霜を優先する場合の作用効果)
以下に冷却器除霜を優先する場合の作用効果を説明する。
まず、「冷却器除霜を優先する」ことが望ましい状況について説明する。本実施形態のフローチャートのステップS104における判断基準としているような環境条件(外気温度35℃より高く、且つ、湿度(相対湿度)が85%より高い条件)では、熱負荷が非常に大きく、また、着霜が進み易い非常に厳しい条件である。「冷蔵庫が所定温度に冷えない」という不良の多くはこのような高温多湿環境下において発生している。その原因として多いのが、霜の成長によって冷却能力不足に陥り、庫内を所定温度範囲に維持することができなくなるというものである。このような不良を減少させるためには、霜の成長が進まないようにして、冷却器の熱交換性能を高い状態で維持することが望ましい。
本実施形態では、冷却器除霜を優先することが望ましい場合には、除霜モード2による除霜が実施される。除霜モード2による除霜は、冷蔵室温度と冷却器温度の温度差が大きくて、第1の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機による除霜」が効果的な場合には、第1の除霜手段による除霜運転を行い、第1の除霜手段では冷蔵室温度と冷却器温度との温度差が小さいために熱交換性能が低下し、不利となる場合には、第2の除霜手段による除霜運転、「庫内送風機+除霜ヒータによる除霜」を行うようにしている。更に、除霜完了を判定する冷却器温度を信頼性確保除霜の際の冷却器温度が8℃より高ではなく、冷却器温度が0.5℃より高としているので、信頼性確保除霜に比べて、冷却器7を過度に過熱することがないため、短時間で効果的に冷却器7の霜を解かすことができる。
また、除霜モード2の完了判定条件は、冷却器7の除霜がほぼ完了したといえる冷却器温度が0.5℃より高(ステップS505、ステップS512)が満足された場合以外に、冷凍室温度が−14℃より高(ステップS506、ステップS513)が満足された場合にも完了するようにしてあり、除霜モード2の最中に冷凍室温度が上昇し過ぎて、冷凍食品が解けるといった可能性が生じないようにしている。
なお、冷凍室温度が上昇し過ぎとする判定基準の温度-14℃は、除霜モード1による除霜の際の判定基準の温度−17℃より高くしている。これにより、庫内温度変動幅が若干大きくなる傾向になることがあるが、冷却器7の除霜がほぼ完了したといえる冷却器温度が0.5℃より高という条件によって除霜モード2が終了する確率が高くなり、霜が成長することによって庫内各室を所定温度まで冷やすことができなくなるといった不具合は発生し難くなる。
また、既に説明したとおり、第2の除霜手段は「除霜ヒータON」としているにもかかわらず、冷蔵室2を冷却することが可能な除霜手段であるので、除霜モード2の実施中(第1の除霜手段または第2の除霜手段による除霜運転実施中)は、冷蔵室2は冷却されるため温度上昇の問題は生じ難く、また、第2の除霜手段による除霜運転を実施するので除霜を比較的短時間で完了させることができ、その結果、冷凍室温度の上昇は比較的小さく抑えられる。
以上説明したとおり、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器7の除霜を優先することが望ましい場合には、除霜モード2による除霜を実施することにより、霜の成長によって冷却能力不足に陥り、庫内を所定温度範囲に維持することができなくなるという問題が生じ難い、信頼性の高い冷蔵庫となっている。
なお、除霜モード1においては、使用者によって冷蔵室2内に温度の高い食品を多量に収納するといったことがあった場合を想定して、除霜モード1の完了判定条件としてステップS108(冷蔵室温度が5℃より高)を設けてあるが、除霜モード2では、冷蔵室温度の上昇によって除霜を完了させるステップを設けていない。この理由は、ステップS108は、基本的に、冷蔵室2に投入された温度の高い食品を素早く冷やすために設けているステップであるが、本実施形態の冷蔵庫では、冷却器7の除霜を優先することが望ましいような環境下では、「素早く冷やす」という機能より、「確実に所定温度範囲に維持する」ということを重視しており、霜を解かし切る前に除霜モード2が完了してしまうケースを減らすために、冷蔵室温度上昇によって終了させるステップは設けていない。
(除霜モード2から除霜モード3に移行した場合の作用効果)
次に、除霜モード2が、冷凍室温度の上昇(冷凍室温度が−14℃より高)のために終了(ステップS509、ステップS513)した場合に実施される除霜モード3について説明する。除霜モード2が、冷凍室温度の上昇(ステップS506、または、ステップS513がYesとなって終了した場合は、ステップS515においてFLAGj=2と記憶させてあるため、再びステップS104において、冷却器除霜を優先する条件が満足され、ステップS501においてYesとなり、除霜モード3が選択される(ステップS508)。除霜モード3による除霜は、図6に示すとおり冷凍室冷却運転中に冷凍室温度が−25℃より低となった場合に開始されるものとしており、冷凍室冷却運転(ステップS104時点では冷凍室冷却運転が実施されている)は、冷凍室温度が−25℃より低となるまで継続される(ステップS509)。続いて、「圧縮機OFF、庫内送風機ON、冷凍室ダンパ閉、冷蔵室ダンパ開」の状態となり(ステップS510)、続いてステップS511で「除霜ヒータON(出力80W)」となる。これによりだい2の除霜手段による除霜運転が実施される。以下は既に説明したステップを経て通常冷却運転に戻る(ステップS101)。
除霜モード2が、冷凍室温度の上昇(冷凍室温度が−14℃より高)のために終了(ステップS506、ステップS513)した理由としては、使用者が偶々製氷室3や上段冷凍室4や下段冷凍室5の開閉を行い、比較的温度の高い食品を収納した場合も考えられるが、他に、霜の量が多く、除霜に時間がかかり過ぎた、若しくは、下段冷凍室5からの戻り冷気が多くの水分を運んでくる状況となっており、庫内送風機9のオン状態での除霜では除霜され難い箇所に霜が多く存在し、その霜の影響で除霜時間が延びていたといったことが考えられる。使用者が偶々製氷室3や上段冷凍室4や下段冷凍室5の開閉を行い、比較的温度の高い食品を収納したといった場合以外は、基本的に、除霜完了(冷却器温度が0.5℃より高)に至るまでの時間を短くすることと、除霜前に製氷室3や上段冷凍室4や下段冷凍室5を十分冷やしておくことが有効となる。
したがって、除霜モード3では、除霜前に冷凍室温度が−25℃より低となるまで冷却することで、事前に十分製氷室3や上段冷凍室4や下段冷凍室5を冷却し、また、冷却器7の除霜がほぼ完了したといえる冷却器温度が0.5℃より高に至るまでの時間を短縮するために、第1の除霜手段による除霜運転は実施せずに、第2の除霜手段による除霜運転を行うようにしている。これにより、除霜モード3による除霜開始後に、冷凍室温度が−14℃より高(ステップS513)が満足されるまでの時間が延び、冷却器温度が0.5℃より高(ステップS512)が満足されるまでの時間が短くなるため、除霜モード3は、冷却器温度が0.5℃より高(ステップS512)が満足されて終了する確率が高くなる。したがって、除霜モード2を実施して、冷凍室温度上昇が原因で除霜モード2が終了した場合に、除霜モード3を実施して、冷却器の除霜を完了させやすくすることで霜の成長によって冷却能力不足に陥り、庫内を所定温度範囲に維持することができなくなるという問題が生じ難くできる。
なお、ステップS512で冷却器温度が0.5℃より高が満足された場合は、FLAGj=1、ステップS513で冷凍室温度が−14℃より高が満足された場合、FLAGj=2となって、通常冷却運転に戻る(ステップS101)ので、次回ステップS104において、冷却器除霜を優先する条件が満足された場合には、それぞれ除霜モード2または除霜モード3による除霜が実施されることになる。これにより、冷却器7の除霜が完了しやすい場合には、省エネルギ性能の高い第1の除霜手段を実施する除霜モード2が実施され、冷凍室温度が上昇しやすい場合には信頼性の高い(冷却器の除霜が完了しやすい)除霜モード3が実施されるため、省エネルギ性能と信頼性を両立した冷蔵庫となっている。
なお、本実施形態の冷蔵庫の第1の除霜手段(庫内送風機による除霜)及び第2の除霜手段(庫内送風機+除霜ヒータによる除霜)を実施した場合には、同時に冷蔵室2や野菜室6の加湿効果も得られるため、本実施形態では、省エネルギ性能と信頼性を両立でき、更に、冷蔵温度帯室の乾燥を抑えた保鮮性の高い冷蔵庫となっている。
以上の本実施形態によれば、第1から第3の除霜手段による除霜運転を組み合わせた複数の除霜モードを設定し、通常の冷凍室冷却運転中に高頻度で行われる「庫内送風機による除霜」運転(除霜モード1)以外に、信頼性確保除霜(除霜モード4)や冷却器除霜を優先する場合の除霜(除霜モード2,3)を用意し、更に除霜モード4による除霜運転の途中で冷凍室温度が上昇した場合に、除霜運転を中断して、通常冷却運転に戻って、その後、除霜モード5,6によって除霜運転を再開できるように柔軟な構成としているので、省エネルギ性能と信頼性を両立でき、更に、除霜運転中に冷凍温度帯室の温度が上昇し過ぎて収納物を所定の温度範囲に維持できずに解かしてしまうという可能性がなくなる。
《変形例》
次に本実施形態の変形例について説明する。
前記した実施形態の冷蔵庫1では、通常冷却運転時に対して第2の除霜手段による除霜運転中は庫内送風機9の回転速度を減少させているが、それは冷蔵室2の冷却が可能な0〜4℃程度の空気温度を得られるように調節するためであるので、第1の変形例では、冷蔵室2の冷却が可能な0〜4℃程度の空気温度を得ることを確実にするために、冷蔵室送風ダクト11内または吹き出し口2cを流れる空気温度を検出するための追加の温度センサを少なくとも一つ設けて、その信号を制御基板31(図3参照)に入力する構成とする。そして、制御基板31は、第2の除霜手段による除霜運転中、前記追加の温度センサからの信号にもとづき前記0〜4℃程度の空気温度となるように、除霜ヒータ22の出力を調整する構成とする。
また、第2の変形例では、更に、このとき除霜ヒータ22の出力の調整に加えて、庫内送風機9の回転速度の調整もする構成とする。
このように第1の変形例または第2に変形例では、冷蔵室送風ダクト11内または吹き出し口2cを流れる空気温度を直接検出して除霜ヒータ22の出力の調整や庫内送風機9の回転速度の調整をするので、第2の除霜手段による除霜運転中における冷蔵室温度の制御を、冷蔵室温度が維持されるか低下するように確実に行える。
また、第2の除霜手段による除霜運転を開始してからの冷蔵室送風ダクト11内を流れる空気温度の変化に応じて、柔軟に除霜ヒータ22の出力や庫内送風機9の回転速度を変えることができるので、冷却器7の除霜の進行に応じた霜と空気との熱交換の度合いの変化に柔軟に対応できる。
1 冷蔵庫
2 冷蔵室(冷蔵温度帯室)
3 製氷室(冷凍温度帯室)
4 上段冷凍室(冷凍温度帯室)
5 下段冷凍室(冷凍温度帯室)
6 野菜室(冷蔵温度帯室)
7 冷却器
8 冷却器収納室
9 庫内送風機(送風機)
10 断熱箱体
11 冷蔵室送風ダクト
12 上段冷凍室送風ダクト
13 下段冷凍室送風ダクト
16 冷蔵室戻りダクト
17 冷凍室戻り口
20 冷蔵室ダンパ
22 除霜ヒータ
24 圧縮機
50 冷凍室ダンパ
53 上部カバー

Claims (3)

  1. 冷凍温度帯室と、冷蔵温度帯室と、圧縮機と、前記冷凍温度帯室と前記冷蔵温度帯室を冷却する冷却器と、前記冷却器で冷却された冷気を、前記冷凍温度帯室と前記冷蔵温度帯室に循環させる送風機と、前記冷却器から前記冷凍温度帯室への送風を制御する冷凍室ダンパと、前記冷却器から前記冷蔵温度帯室への送風を制御する冷蔵室ダンパと、制御装置とを備える冷蔵庫において、
    前記圧縮機の停止時に、前記冷凍室ダンパを閉状態とし、前記冷蔵室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させて除霜を行う第1の除霜手段を備え、
    前記制御装置は、前記冷却器通過後の空気の温度が前記冷蔵温度帯室を所定温度範囲に維持して冷却が可能な範囲で前記第1の除霜手段を制御して、前記冷蔵温度帯室が所定の下限温度より低くなった場合、前記第1の除霜手段を停止することを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記圧縮機の稼動時に、前記冷蔵室ダンパを閉状態とし、前記冷凍室ダンパを開状態とし、前記送風機を稼動させる前記冷凍温度帯室の冷却運転の後に、前記第1の除霜手段による除霜を行うことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
  3. 前記冷凍温度帯室が第一の所定温度より高い場合、前記冷蔵温度帯室が所の上限温度より高い場合、及び前記冷却器温度が第の所定温度より高い場合の少なくともいずれかの条件を満たすと、前記第1の除霜手段を停止することを特徴とする、請求項1又は2記載の冷蔵庫。
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