従来より家庭用の冷蔵庫等においては、給水管から供給された水を製氷皿に貯留して製氷し、製氷後に駆動装置により製氷皿を回動反転して離氷する自動製氷装置が普及している。
以下、図面を参照しながら上記従来の自動製氷装置について説明する。
図12は従来の製氷装置を搭載した冷蔵庫の側断面図、図13は従来の製氷装置の斜視図を示すものである。
図12、図13において、冷蔵庫本体1で外箱2、内箱3及び外箱2との内箱3間に充填された断熱材4により構成されている。冷蔵庫本体1の内部を上下に区画する区画壁5は、上部に冷凍室6、下部に冷蔵室7を区画形成している。冷凍サイクルの冷却器8、冷却器8で冷却した冷気を冷凍室6及び冷蔵室7内に強制送風するための送風機9がそれぞれ冷凍室6背面に備えられている。
次に自動製氷装置10は冷凍室6内に備えられており、モーター及び減速ギア部(図示せず)などを内蔵した駆動装置11、中央部に支持軸12を連結固定した製氷皿13、駆動装置11に製氷皿13を軸支させるためのフレーム14等により構成される。
なお、15は製氷皿13を歪変形させて離氷を行わせるためにフレーム14の一部に設けたストッパーであり、16はストッパー15に当接するように製氷皿13に上に取り付けた当て板である。17は自動製氷装置10の下方に備えた貯氷箱である。18は製氷用の水を貯水するための給水タンクであり、冷蔵室7内の一画に着脱自在に備えられる。19は給水タンク18の給水口であり、弁20によって開閉される。
21は給水タンク18の給水口19の下方に設けた水浮皿であり、給水口19を下向きにして給水タンク18をセットすると、弁20が押し上げられて給水口19が開口されるよう構成されている。22は水受皿21内に受けた水を揚水するための給水ポンプであり、23は給水ポンプ22に連結して、その出口を自動製氷装置10の製氷皿13に臨ませるように配設した給水管である。
この従来の自動製氷装置10について動作を説明する。使用者によって水を満たされた給水タンク18が所定の位置にセットされると、弁20が押し上げられて給水口19が開口して水受皿21に水が満たされる。その後、満たされた水は給水ポンプ22によって揚水され、給水管23を介して製氷皿13内に注水される。こうして製氷皿13内に所定量満たされた水は冷凍室6内での冷却作用によって氷結され、氷が生成される。
そして、製氷が完了すると駆動装置11の回動作用によって製氷皿13が支持軸12を中心として回動反転し、ストッパー15に当て板16が当接することによって製氷皿13が捻られ歪み変形を生じて製氷皿13内の氷が離氷される。離氷された氷は貯氷箱17内に落下して貯氷され、離氷作用の終了した製氷皿13は再び駆動装置11による逆回転作用によって元の位置に復帰する。
以後、この動作を給水タンク18の水を使いきるまで繰り返して自動的に製氷、貯氷を行うものである。
一方、提供する氷の形状を決める方法としては、上記の従来例で説明した製氷皿の形状によるもののほかに、比較的大きな板状の氷を作って砕氷機で割る方法が考えられる(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の砕氷機について説明する。
図14は従来の砕氷機の一部を破断した側断面図、図15は側断面図を示す。
図において、24は箱形のフレームであり、その天板部の凹部25にブロック状氷塊hを投入する投入口26を形成する。26aは、その投入口26を覆うカバーである。前記フレーム24の内部は、破砕された氷片iが排出される排出口27を設けた仕切壁28で上下に区画されており、該排出口27の下部には、氷片iが貯溜される容器29が固定されている。
その容器29の正面口30側には、常にフレーム24に設置された開閉扉31の背部に当接し、該開閉扉31の開閉に追随するコ字形ストッパー32が、容器29にピン33で回転自由に支承されている。前記排出口27の上部には、通常業務用に使用される重さ1貫目程度のブロック状氷塊hを通すホッパー34を一体に形成した砕氷ケース35が固定されている。そのホッパー34の上口36は、前記投入口26に連通させる。
図15に示すように砕氷ケース35内には、2本のローター37,38を一定間隔で夫々軸39,40により回転自在に設ける。前記両ローター37,38の軸方向には、2〜3個のアーム41,42が、砕氷の大きさに合わせて一定間隔で一列に突出して設けられ、該アーム41,42に第1打撃ピン43,44が夫々植設されている。
この第1打撃ピン43,44と180°の角度を置いて、両ローター37,38の軸方向には、2〜3個のアーム45,46が、前記同様に一列に突出して設けられ、該アーム45,46に第2打撃ピン47,48が夫々植設されている。
ローター37,38間の中央下方には、第1打撃ピン43,44と第2打撃ピン47,48により順次に破砕される氷塊hを支承する山形形状の受部49が設けられている。その受部49には、前記何れかの打撃ピンの先端が通過する位置に円弧状凹部50が形成されている。
図15に示すように、両ローター37,38の軸39,40の一端側を砕氷ケース35の外部に突出させて、一方のローター37と他方のローター38の第1打撃ピン43,44同士の位相を90°変位させて、夫々にタイミングギア51,52を取り付ける。他方のローター38の軸40にスプロケット53を固定し、ホッパー34の外側面に取着されたモーターMの主軸にスプロケット54を固定して、スプロケット53とスプロケット54とにチェーン55が掛けられている。
このように構成したアイスクラッシャーにおいては、ホッパー34からブロック状氷塊hを投入してローター37,38が回転されると、一方のローター37と他方のローター38の第1、第2打撃ピン43,44,47,48が、その氷塊hを交互に打撃して氷塊hを投入先端から順次に破砕する。
特開平8−86548号公報
本発明は、板状の氷を作る製氷部と、前記氷内部に、前記氷の一面から略垂直に所定の深さまで挿入された回動可能なシャフトと前記シャフトを回転駆動させて前記製氷部で製氷した氷を砕氷する駆動装置とを備えた砕氷機と、前記シャフトの回転状態を検知する検知手段とを備えたことにより、氷が割れないときにはシャフトの回転が阻害され続けていることを検知することができるので、氷が割れていないことを実際に氷を見なくとも間接的に判断することができる。また、シャフトの回転状態を検知することで、駆動装置の故障等を間接的に判断することができる為、不定形の氷を提供する小型の製氷装置の信頼性を向上させることができる。
また、本発明は、検知手段を、前記シャフトが所定の角度回転したかを検知する検知手段とすることにより、氷が割れないときには、シャフトの回転が阻害され続けてシャフトが所定の回転角度まで回転しないため、氷が割れていないことを実際に氷を見なくとも判断することができる。また、シャフトの回転状態を検知することで、駆動装置の故障等を間接的に判断することができる為、不定形の氷を提供する小型の製氷装置の信頼性を向上させることができる。
また、本発明は、所定時間以上シャフトの回転が外力により停止すると、前記駆動装置を停止する制御手段を備えたことにより、氷が割れずにシャフトの回転が阻害され続けた場合に、駆動装置を停止させることにより、駆動装置に負荷がかかりすぎるのを防止することができる。
また、本発明は、請求項1から3のいずれかに記載の製氷装置の製氷部に、氷を加熱する加熱手段を備え、前記シャフトを回転させる前に前記加熱手段により氷を加熱する製氷装置で、前記シャフトの回転が外力により停止すると、前記駆動手段を停止させ、前記加熱手段により板状の氷を加熱した後に、再び前記駆動手段により前記シャフトを回転させることにより、製氷部と板状の氷の密着を弱めることが可能となり、小さなトルクで氷を割ることができるようになり、確実に氷を割ることができる。
また、本発明は、氷を加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段により氷を加熱した後、前記製氷部を反転させてから前記シャフトを回転させる製氷装置で、前記シャフトの回転が外力により停止すると、前記駆動手段を停止させ、前記製氷部を水平位置に復帰させることにより、砕氷前の板状の氷が、そのまま落下するのを防ぐことができる。
また、本発明は、前記シャフトの回転が外力により停止すると、前記駆動手段を停止させ、前記製氷部を水平位置に復帰させ、前記加熱手段により氷を加熱した後に、再び前記
シャフトを回転させることにより、製氷部と板状の氷の密着を弱めることが可能となり、小さなトルクで氷を割ることができるようになり、確実に氷を割ることができる。
また、本発明は、前記加熱手段による加熱と、前記駆動装置の駆動のタイミングをずらしたことにより、砕氷に必要な電力を低減することができるため、製氷装置の供給電源の容量を比較的小さくできるため、低コスト化が図れる。
また、本発明は、製氷装置の製氷部が、製氷容器底面を形成する冷却板と、上面が開口されたトレイから形成され、前記加熱手段はトレイ周囲を囲い、前記冷却板に密着するように配置され、前記加熱手段がヒーターであることにより、コストが低減することができる。
また、本発明は、製氷装置の製氷部は、製氷容器底面を形成する冷却板と、上面が開口されたトレイから形成され、前記加熱手段はヒーターであり、前記冷却板下面部に前記加熱手段であるヒーターを配置したことにより製氷容器底面を効率よく過熱することができる。
また、本発明は、製氷装置の前記加熱手段は面ヒーターであることより前記冷却板を均温化することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における製氷装置を搭載した冷蔵庫の側断面図であり、図2は同実施の形態の製氷装置の一部の斜視図であり、図3は同製氷装置の一部を上から見た図である。図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。図6は同実施の形態の製氷装置の主要部の制御内容を示すフローチャートである。
図において、冷凍冷蔵庫本体56は複数の貯蔵室を有し、冷凍冷蔵庫本体56の上部には扉57と断熱壁58によって囲まれ、外気と断熱されている第1冷蔵室59が形成されている。
冷蔵室59の下方には冷凍室(以下、製氷室60という)が形成され、断熱壁58と扉61によって囲まれ、外気と断熱されている。製氷室60内には、氷を貯えるための貯氷容器62が下方に設置されている。
第1冷蔵室59と製氷室6されており、風路65により第1冷蔵室59と冷気が行き来するようになっている。
製氷装置66は、第1冷蔵室59に配置された給水タンク67,給水ポンプ68、および第1冷蔵室59から断熱壁58を貫通して製氷室60に向け配置された給水経路69から構成された給水装置70と、製氷室60に配置された製氷部71、および製氷部71で作った氷を分割手段する砕氷機72から構成される。
製氷部71は、一時的に水を貯え直方体の板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器73と、一方の面が製氷容器73の底面を形成するように製氷容器73に密着するように固定された冷却板74と、冷却板74の裏面に固定されたヒートコンダクタ75と、一方の面がヒートコンダクタ75ヒートシンク76に挟まれたペルチェ77とから構成される。更に、冷却板74には、冷却板74に密着し冷却面74と接する部分以外を断熱されたサーミスタ107(図示せず)が取り付けられている。
砕氷機72は、冷却板74の製氷容器73内側に開いた二つの穴74aを貫通する二本のシャフト78と、二本のシャフト78にそれぞれ接続された出力ギア79を持ち、冷却板74とヒートシンク76の間に挟まれて固定されたギアユニット80から構成される。冷却板74とシャフト78との貫通部には、ニトリルゴム等で形成され、シャフト78との接触部にグリスが塗布されたシール部材81がギアユニット80側から装着されており、製氷部の水がギアユニット80側に漏れ出てくることが無いように配慮されている。
シャフト78の冷却板74よりも上側の形状は、シャフト78の回転軸から放射状に延び、互いに略90度の位置関係にある4本のリブ78aが、回転した際に隣のシャフト78のリブ78aや製氷容器73の側面に接触しない幅で形成されている。
ギアユニット80は、モーター82の回転を出力ギア79を含む複数の減速歯車等を介して減速させ、二本のシャフト78を同時に回転させる。ギアユニット80内には、出力ギア79(すなわちシャフト78)が所定の角度回転した際に信号を出力する位置検知スイッチ83が配置されている。
製氷部71と砕氷機72は、駆動メカ84と回転駆動軸85とにより、製氷室60内で、貯氷容器62上方で給水経路69の下方に、一体で回転可能に固定されている。
製氷装置66は、制御装置(図示せず)により動作を制御される。
以上のように構成された製氷装置について、次にその動作、作用を説明する。
給水ポンプ68を所定の時間駆動することにより、給水タンク67内の水が給水経路70を通って、製氷容器73内に決まった量だけ給水される(STEP1)。
製氷容器73内に貯留された水は、製氷室60の冷気と、冷却板74の下方にヒートコンダクタ75を介して熱的に接触しているペルチェ77に所定の方向に電流を流して冷却板74を冷却することにより、時間が経過すると氷になる(STEP2)。ペルチェ77の所定方向に通電すると、ペルチェ77のヒートシンク76側は発熱するが、ヒートシンク76が製氷室60の冷気により放熱される。
冷却板74の温度は製氷中も徐々に低下していくが、製氷容器73内の水が完全に氷になり潜熱変化がなくなると急激に低下し始めるので、サーミスタ107により冷却板74の温度を検知することにより製氷の完了を検知することができる(STEP3)。
製氷が完了すると、ペルチェ77に製氷時と逆方向に電流を流す(STEP4)ことにより、ペルチェ77の吸熱面(冷却面)と放熱面(加熱面)を入れ替えてやることにより冷却板74を加熱して氷を溶かすことにより、冷却板74と氷の密着を弱めてやる。加熱の際も、サーミスタ107により冷却板74の温度を検知する(STEP5)ことにより、加熱により氷が融けすぎてしまうことを防止することができる。
所定の加熱が終わるとペルチェ77への通電を停止してから(STEP6)、ギアユニット80のモーター82へ通電し(STEP7)、減速歯車を介して出力ギア79にトルクを発生させる。出力ギア79のトルクはシャフト78に伝達され、リブ78aから氷に応力集中が生じ、氷の破壊応力を超える力がかかった時に氷が脆性破壊を起こして板状の氷から不定形な複数の氷に分割される。氷が分割されると、シャフト78は所定の角度まで回転を続け、所定の角度に到達すると位置検知スイッチ83が信号を出力する(STEP8)。
給水の異常により氷が所定の厚さ以上になった等の理由で、モーター82により発生させるシャフト78のトルクが氷の破壊応力を下回ったときは、シャフトの回転は阻害され、シャフトが所定の角度に到達せず、位置検知スイッチからの信号が出力されないため、氷が分割されていないことを検知することができる。また、駆動装置である駆動メカ84やモーター82等の故障といった何らかの理由でシャフト78が回転しない場合においても、位置検知スイッチからの信号が出力されないため、シャフト78が回転していないことを検知することができる。
このようにシャフト78が回転しない状態でモーター82に通電しつづけると、最悪の場合モーター82が焼きついて破損してしまうことも考えられるので、所定時間モーター82を動作しても位置検知スイッチ83の信号が出力されないと、モーター82への通電を停止し(STEP9)、再びペルチェ77に冷却板74を加熱する方向に所定時間だけ通電してから(STEP10)、モーター82を再駆動させる。冷却板74を加熱することにより氷の温度も上昇していくが、氷の温度が高くなるほど氷の硬さは低くなるので、氷を分割するのに必要なトルクは低下する。ペルチェ77による加熱とモーター82の駆動は、氷が分割されてシャフト78が所定位置まで回転し、位置検知スイッチ83の信号が出力されるまで繰り返す。
信号の出力を受けると、モーター82を駆動させることにより、シャフト78を元の位置に戻し(STEP11)、駆動メカ84により、一体となった製氷部71と砕氷機72を反転させ(STEP12)氷を貯氷容器62内に落下させ、水平位置に復帰させ(STEP13)給水の動作に戻り、給水タンク67内の水がなくなるまで繰り返す。
以上のように、本実施の形態においてはシャフトの回転が阻害されたことを検知する検知手段として、シャフトが所定角度回転したら信号を出力する位置検知スイッチを用いたので、所定時間モーターを駆動させても位置検知スイッチからの信号がないと、氷によりシャフトの回転が阻害され続けていると判断して、氷が分割されていないことを制御装置で検知することができる。
なお、本実施の形態においては、シャフトの回転が阻害されたことを検知する手段として、シャフトの位置検知スイッチを用いたが、砕氷機の駆動装置のモーターの電流値を検知する制御回路を用いれば、モーターに所定の電流が流れつづけていることを検知して、氷によりシャフトの回転が阻害されつづけていることを検知することができ、氷が分割できていないことを制御装置で判断することができる。
また、所定の時間以上シャフトの回転が阻害され続けるとギアユニットのモーターへの通電を停止する制御手段を設けたので、万が一、氷が分割されなくても、モーターに通電が続きモーターが発熱することにより破損することを防止することができる。
また、所定時間モーターを駆動しても氷が分割できなかった際に、加熱手段により冷却板を加熱することにより、氷を分割するのに必要なトルクを低減させてやることができ、確実に氷を分割することができる。
また、加熱手段と砕氷機の駆動装置を同時に駆動しないことにより、一度に必要な電流容量が小さく設定でき、製氷装置に搭載する電源の容量が大きくなるのを抑制することができるため、制御装置のコストを低減することが期待できる。
なお、本実施の形態においては、シャフトをあらかじめ製氷容器底面から挿入した状態で製氷を行い、製氷終了後、シャフトを回転させて氷を分割する方式としたが、製氷装置の構成は、本実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、板状の冷却板に上側から水を流し、その水を水受け皿で受け止めて循環水路により再度冷却板に流して製氷する方式では、冷却板とシャフトとの間に若干の隙間ができるように、シャフトを冷却板の水を流す側から冷却板に向けて配置すれば、本発明において同等の効果を得ることができる。
また、なお、本実施の形態においては、ペルチェを冷却板の製氷容器と反対の面にペルチェを配置し、ペルチェへの通電の方向を切り替えることにより、製氷中は冷却に、氷の分割前は加熱に用いたが、ペルチェを用いなくとも製氷室の冷気のみでも製氷は可能であり、加熱には冷却板にヒーターを配置することにより、同様の効果を得ることは可能である。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における製氷装置の一部の斜視図であり、図8は同実施の形態の製氷装置の一部の斜視分解図である。図9は、同実施の形態の主要部の制御内容を示すフローチャートである。
製氷装置100は給水装置70と製氷部101とギアユニット102から構成される。
製氷部101は、一時的に水を貯え直方体の板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器103と、一方の面が製氷容器103の底面を形成するように製氷容器103に密着するように固定された冷却板104と、冷却板104の上面の製氷容器103近傍に冷却板104に密着されたヒーター105と冷却板104の裏面に密着されたヒートシンク106と構成される。更に、冷却板104には、冷却板104に密着し冷却面103と接する部分以外を断熱されたサーミスタ107が取り付けられている。製氷容器103と、冷却板104と、水漏れ防止材108と、ギアユニット102と、ヒートシンク106とは、保持部材109,109により上下に狭持されるよう構成されている。
この時に、製氷容器103は、保持部材109,110により冷却板104方向に押さえ付けられ、同時に、水漏れ防止材108は適度に圧縮されている。
ギアユニット102は、冷却板104の製氷容器103内側に開いた二つの穴103aを貫通する二本のシャフト111と、二本のシャフト111にそれぞれ接続された出力ギア112を持ち、冷却板104の下部に固定される。冷却板104とシャフト111との貫通部には、ニトリルゴム等で形成され、シャフト111との接触部にグリスが塗布されたシール部材113がギアユニット102側から装着されている。シャフト111の冷却板104よりも上側の形状は、シャフト111の回転軸から放射状に延び、互いに略90度の位置関係にある4本のリブ111aが、回転した際に隣のシャフト111のリブ111aや製氷容器103の側面に接触しない幅で形成されている。
モーター114はギアユニット102内に配置されており、モーター114の回転を出力ギア112を含む複数の減速歯車等を介して減速させ、二本のシャフト111を同時に回転させる。ギアユニット102内には、出力ギア112(すなわちシャフト111)が所定の角度回転した際に信号を出力する位置検知スイッチ(図示せず)が配置されている。
さらに、ギアユニット102の側面には検氷軸115が設けられており、検氷軸115を介して検氷レバー116が取り付けられている。またさらに、ギアユニット102の正面には回動軸、119が設けられている。製氷容器103の外周には、ヒーター105とサーミスタ107を覆う断熱材120,121が設けられている。
製氷容器103と、冷却板104と、水漏れ防止材108と、ギアユニット102と、ヒートシンク106と、ヒーター105と、保持部材109,110と、検氷レバー116と、回動軸、119と、サーミスタ107と、断熱材118,119は各々相互に固定され、全体として製氷装置100を構成しており、ヒートシンク106が製氷室35の扉36と反対側に位置する冷気吐出口(図示せず)に近接するように配置されている。
また、製氷装置100は、第2冷蔵室37と製氷室35の間にある断熱壁34に設けられた、略ドーム形状の凹部内にその上部が収納される。断熱材118,119と製氷室天面の凹部は、製氷装置100の回転に支障の無い程度に近接しており、製氷部101と製氷室の空気の循環は最小限に抑えられている。さらに、図示はしていないが、製氷室天面の凹部には加熱手段が設けられている。
製氷装置100は、制御装置(図示せず)により動作を制御される。
以上のように構成された製氷装置について、次にその動作、作用を説明する。
給水ポンプ68を所定の時間駆動することにより、給水タンク67内の水が給水経路70を通って、製氷容器103内に決まった量だけ給水される(STEP1)。
製氷容器103内に貯留された水は、製氷室60の冷気と、冷却板104の下方に接触しているヒートシンク106に製氷室60の冷気があたることにより冷却板104が冷却され、時間が経過すると氷になる。
冷却板104の温度は製氷中も徐々に低下していくが、製氷容器103内の水が完全に氷になり潜熱変化がなくなると急激に低下し始めるので、サーミスタ107により冷却板104の温度を検知することにより製氷の完了を検知することができる(STEP2)。
製氷が完了すると、貯氷量が所定量以下であることを確認する為に検氷レバー116動作させる(STEP3)。ヒーター105に電流を流す(STEP4)ことにより、冷却板104を加熱して氷を溶かすことにより、冷却板104と氷の密着を弱めてやる。加熱の際も、サーミスタ107により冷却板104の温度を検知する(STEP5)ことにより、加熱により氷が融けすぎてしまうことを防止することができる。
所定の加熱が終わるとヒーター105への通電を停止してから(STEP6)、ギアユニット102のモーター114へ通電し(STEP7)、減速歯車を介して出力ギア112にトルクを発生させる。出力ギア112のトルクはシャフト111に伝達され、リブ111aから氷に応力集中が生じ、氷の破壊応力を超える力がかかった時に氷が脆性破壊を起こして板状の氷から不定形な複数の氷に分割される。氷が分割されると、シャフト111は所定の角度まで回転を続け、所定の角度に到達すると位置検知スイッチが信号を出力する(STEP8)。
給水の異常により氷が所定の厚さ以上になった等の理由で、モーター114により発生させるシャフト111のトルクが氷の破壊応力を下回ったときは、シャフトの回転は阻害され、シャフトが所定の角度に到達せず、位置検知スイッチからの信号が出力されないため、氷が分割されていないことを検知することができる。回転しない状態でモーター114に通電しつづけると、最悪の場合モーター114が破損してしまうことも考えられるので、所定時間モーター114を動作しても位置検知スイッチの信号が出力されないと、モーター114への通電を停止し(STEP9)、再びヒーター105に所定時間だけ通電してから冷却板104を加熱させてから(STEP10)、モーター114を再駆動させる。冷却板104を加熱することにより氷の温度も上昇していくが、氷の温度が高くなるほど氷の硬さは低くなるので、氷を分割するのに必要なトルクは低下する。ヒーター105による加熱とモーター114の駆動は、氷が分割されてシャフト111が所定位置まで回転し、位置検知スイッチの信号が出力されるまで繰り返す。
信号の出力を受けると、モーター114を駆動させることにより、シャフト111を元の位置に戻し(STEP11)、ギアユニット102により、製氷部71を反転させ(STEP12)氷を貯氷容器62内に落下させ、水平位置に復帰させ(STEP13)給水の動作に戻り、給水タンク67内の水がなくなるまで繰り返す。
以上のように、本実施の形態においては加熱手段にヒーターを使用することによりコストを低減することができる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における製氷装置の一部の斜視分解図である。
なお、実施の形態2と同じ構成の部分については、説明を省く。
製氷装置100は給水装置70とギアユニット102と製氷部101とから構成されている。
製氷部101は、一時的に水を貯え板状の氷を作成する上下面が開口した製氷容器103と、冷却板104と、製氷容器103の外周フランジと冷却板104の間に配置される水漏れ防止材108とから構成され、さらに冷却板104の下方にギアユニット102が配置される。
ギアユニット102の後方、冷却板104の下方にはフィン形状を備えたヒートシンク106が冷却板104に熱伝導的に接して配置されている。
また、冷却板104と、ヒートシンク106とは、アルミ等の熱伝導性の良い材料で成形されている。
更に、冷却板104とギアユニット102の間で、製氷容器103の底面に対応する部分には、冷却板104を加熱するために、略均一に発熱する面状ヒーター120が設置されている。略均一に発熱する面状ヒーターとしては、金属抵抗体をシリコーンゴム等の絶縁体で挟み込んだものや、導電性樹脂の発熱体を絶縁体で挟み込んだものなどがあり、形状の自由度は比較的高い。
また、ギアユニット102には、複数個のシャフト111が連結されており、冷却板104を貫通して製氷部101方向へ延伸されている。このとき、冷却板104の貫通穴には、シャフト111の周囲をシールするシール部材113が設けられているが、面状ヒーター120には、シャフト111が貫通するところに対応した穴が開いている。
以上のように構成された製氷装置について、以下その動作、作用を説明する。
給水装置70により給水された水は、製氷容器103内で冷却板104により冷却され、氷となる。
凍結が完了したことをサーミスタ107で検知すると、面状ヒーター120に通電することにより、冷却板104が加熱され、冷却板104と氷の密着力を低減することができるが、この際、製氷容器103底面は略均一に発熱される面状ヒーター120により略均一に加熱されるため、氷の融け方に差が生じることが無い。
また、サーミスタ107で冷却板104の一箇所の温度を測定して加熱の終了を検知しているが、冷却板104の温度分布が小さいことにより、確実に、氷が融けてしまわず、しかしながら氷と冷却板104の密着力を弱めることのできる、適した温度で加熱を終了することができる。
以上のように、本実施の形態6の製氷装置では、略均一に発熱する面状ヒーターが製氷容器底面に対応する冷却板とギアユニットの間に配置されていることにより、冷却板の加熱により、氷の一部が融けすぎてしまうことを抑制することができ、更に、確実に氷と冷却板の密着力を弱める最適な温度で、加熱を終了することができる。
なお、本実施の形態では、面状ヒーターを冷却板とギアユニットの間に配置したが、冷却板かギアユニットの少なくとも一方に、ヒーター線が配置される溝を形成する等の比較的簡単な構成を追加することにより、通常のヒーター線を面状ヒーターの変わりに用いても同様の効果を得ることができる。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における製氷装置の主要部の制御内容を示すフローチャートであり、以下、動作、作用を説明する。なお、実施の形態2と同じ構成については、同じ符号をつけ説明を省く。
給水ポンプ68を所定時間駆動することにより、製氷容器103内に所定量の水を給水し(STEP1)、冷却板104がヒートシンク106に製氷室60の冷気により冷却されることにより、製氷容器103内に氷ができるが、冷却板104に取り付けられたサーミスタ107により製氷の完了を検知する(STEP2)。
製氷が完了すると、貯氷量を確認するために検氷レバー116を動作させ(STEP3)、貯氷量が所定量以下であれば、ヒーター105に通電して(STEP4)、冷却板104を加熱して氷との付着力を小さくする。ヒーター105による加熱は、サーミスタ107により、冷却板104が所定の温度になったことを検知して(STEP5)完了し、余分な加熱により氷が融けすぎてしまうのを防止する。
所定の加熱が終わると、ヒーター105への通電を停止し(STEP6)、ギアユニット102により製氷部71を反転させ(STEP7)、その後、シャフト111を回転させるためにモーター114を駆動させる(STEP8)。このとき、シャフト111が正常に回転して氷が割れれば、所定時間以内に位置検知スイッチにより信号が出力され、シャフト111を初期位置に復帰させる動作(STEP16)に進むが、氷が割れずにシャフト111の回転が阻害されると、所定時間が経過しても位置検知スイッチが出力されないために、氷が分割できていないことを検知できる(STEP9)。
氷の分割が所定時間以内にできていないことを検知すると、モーター114への通電を停止し(STEP10)、製氷部71を水平に復帰させ(STEP11)、ヒーター105により冷却板104を再び所定時間加熱する(STEP12)。
所定時間加熱後、モーター114へ通電して、再度シャフト111の回転で氷の分割を試みる(STEP13)。ここで再び所定時間内に位置検知スイッチが信号を出力するかを検知し(STEP14)、信号を検知しなければ再びヒーター105による加熱に戻り、STEP12からSTEP14までを、氷が分割するまで繰り返す。氷が分割し、位置検知スイッチの信号が所定時間内に出力されると、製氷部71を反転し(STEP15)、氷を貯氷容器62内に落下させ、更にモーター114に通電することによりシャフト111を回転させて初期位置に復帰させる(STEP16)ことにより、製氷容器103内に残った氷があったとしても、掻き出すことができる。シャフト111が初期位置に復帰したら、製氷部71を水平位置に復帰させ(STEP17)、再度給水を行う(STEP1)。
以上のように、本実施の形態の製氷装置では、氷が分割できずにシャフトの回転が阻害されていることを検知することができるので、モーターがロックした状態で電流が流れ続けるのを防止できるため、モーターの破損を防止することができる。
また、加熱手段であるヒーター105による加熱と、駆動装置であるモーター114の駆動のタイミングをずらしたことにより、砕氷に必要な電力を低減することができるため、製氷装置の供給電源の容量を比較的小さくできるため、低コスト化が図れる。
更に、製氷部を反転させて氷を分割するのは、貯氷容器内に均一に氷を落下さるためであるが、砕氷に失敗した際に、製氷部を水平復帰させることにより、未分割の氷がそのまま貯氷箱容器に落下するのを防止できる。
また、更に、氷の分割を失敗した場合でも、再度ヒーターにより冷却板を加熱することにより、氷を分割しやすることができ、最悪の場合でも、氷が融けて貯氷容器内に水が落ちてしまうことも有り得るが、製氷容器から氷が取れなくなり、以降の製氷ができなくなるということが無い。