JP4461627B2 - アクチュエータ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電加熱によって作動させることができる形状記憶合金を用いたメッシュ状のアクチュエータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
形状記憶合金の線材を編組して作製したメッシュ状のアクチュエータが特開平6−102933号公報などで提供されている。このものは、形状記憶合金の線材を編組してメッシュ状に形成したものであり、形状記憶合金の変態温度にまで加熱されると、記憶された形状に網目が伸縮して変形するようになっている。従って、この形状記憶合金の線材に通電して加熱することによって、メッシュ状のアクチュエータに伸縮の変形動作をさせることができ、各種の機器の制御などに用いることができるのである。
【0003】
上記のようなメッシュ状のアクチュエータにあって、形状記憶合金の線材は交差したり、狭い隙間で近接したりして重なり合っているので、アクチュエータが伸縮の変形動作をする際に、線材の重なり合っている部分同士が擦れ合い、線材が摩耗して破損するおそれがある。また、線材に通電して発熱させる場合、線材が重なって接触していると、線材に直列通電をすることができなくなる。
【0004】
このために、形状記憶合金の線材の外周に樹脂を被覆し、線材を保護すると共に線材同士の接触部分での電気絶縁性を確保するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし樹脂の被覆では、アクチュエータの伸縮の変形動作が繰り返して多数回行なわれると、線材同士が重なる部分の多数回に及ぶ擦れ合いによって、樹脂の膜が容易に摩耗して剥がれが生じるおそれがあり、線材の保護や電気絶縁性を確保することができなくなるものであった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、長期に亘って線材を保護することができると共に電気絶縁性を確保することができ、しかも伸縮特性が向上するアクチュエータ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るアクチュエータは、通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータであって、形状記憶合金の線材1をメッシュ状に編組して形成され、形状記憶合金の線材1の外周にDLCの皮膜2を形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2の発明は、請求項1において、形状記憶合金の線材1の表面にプレコートされたWCの皮膜3を介してDLC皮膜2を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項3の発明は、請求項1において、形状記憶合金の線材1の表面にプレコートされたSiO2の皮膜4を介してDLC皮膜2を形成して成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項4の発明は、請求項1において、形状記憶合金の線材1の表面にプレコートされた樹脂の皮膜5を介してDLC皮膜2を形成して成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項5の発明は、請求項4において、樹脂の皮膜5とDLC皮膜2の境界部を樹脂とDLCとが混在する層6で形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、DLCは30質量%以上の水素を含有するものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項7に係るアクチュエータの製造方法は、通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータの製造方法であって、形状記憶合金の長尺の線材1を長手方向に送りながらCVD法で線材1の外周にDLC皮膜2を形成し、この後、このDLC皮膜2を形成した線材1をメッシュ状に編組することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項8に係るアクチュエータの製造方法は、通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータの製造方法であって、形状記憶合金の長尺の線材1を長手方向に送りながらPVD法で線材1の外周にDLC皮膜2を形成し、この後、このDLC皮膜2を形成した線材1をメッシュ状に編組することを特徴とするものである。
【0015】
また請求項9の発明は、請求項7又は8において、プラズマ中で形状記憶合金の線材1の外周にDLC皮膜2を形成するにあたって、線材1に負のバイアス電圧を印加することを特徴とするものである。
【0016】
また請求項10の発明は、請求項7乃至9のいずれかにおいて、プラズマ中で形状記憶合金の線材1の外周にDLC皮膜2を形成するにあたって、線材1を囲むように複数枚の電極7を配置することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項11の発明は、請求項7乃至10のいずれかにおいて、プラズマ中で形状記憶合金の線材1の外周にDLC皮膜2を形成するにあたって、プラズマ生成用のガスを導入するガス導入口8を線材1の外周を囲むように配置することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項12の発明は、請求項7乃至11のいずれかにおいて、形状記憶合金の長尺の線材1を長手方向に送りながら、プラズマで線材1の表面を洗浄した後、線材1の外周にDLC皮膜2を形成することを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
線材1はNiTi合金やCu−Zn系合金などの形状記憶合金(SMA)で形成されるφ0.50mm以下の細線であり、図1(a)に示すように、この線材1の外周には全面に亘ってDLCの皮膜2が最外層となるように被覆して設けてある。DLC(Diamond Like Carbon;ダイヤモンド状炭素)はダイヤモンドに近い性質を示すアモルファス構造のカーボンであり、樹脂よりもはるかに、耐摩耗性が高く、電気絶縁性が高く、また摩擦係数が小さいなどの特性を有する。
【0021】
そしてこの線材1をメッシュ状に交差させながら編組することによって、図1(b)のような多数の網目を有するメッシュ状のアクチュエータAを作製することができるものである。このアクチュエータAの線材1には直流電源を有する温度制御部12が接続してあり、線材1に直流電流を通電することができるようにしてある。
【0022】
このように形成されるメッシュ状のアクチュエータAにあって、温度制御部12の電源から直流電流を線材1に通電すると、線材1に電流が流れる際に発生するジュール熱で線材1が加熱される。そして形状記憶合金の変態温度にまで加熱されると、記憶された形状に線材1が変形し、アクチュエータAはその網目が伸縮して変形する。アクチュエータAはこのようにメッシュ形状であるために、網目の伸縮による可撓性が高く、容易に大きく変形すると共に、しかも線材1は細いためにジュール熱の発生で急速に発熱するものであり、低電流の通電によって迅速な応答性でアクチュエータAを大きく変形動作させることができるものである。
【0023】
また、このアクチュエータAを変形動作させる際に、線材1同士が交差したり、狭い隙間で近接したりして重なり合っている部分では、線材1間で擦れ合いが発生するが、線材1の表面は耐摩耗性の高いDLC皮膜2で被覆されているので、DLC皮膜2は擦れ合いによって容易に摩耗せず剥離しないものであり、長期に亘って線材1を保護することができるものである。しかもこのDLC皮膜2は電気絶縁性が高く、線材1同士が接触する部分で電流の短絡が起こらないものであり、線材1に直列通電を行なうことができ、通電電流値を大幅に下げても発熱させることができるものである。またDLC皮膜2は摩擦係数が小さいので、アクチュエータAが伸縮変形する際に線材1間に生じる摩擦抵抗を低減することができ、アクチュエータAの伸縮特性が向上するものである。
【0024】
上記のようなアクチュエータAを製造するにあたっては、まず、形状記憶合金の線材1の外周にDLC皮膜2を形成し、このDLC皮膜2を形成した線材1をメッシュ編みし、この後、例えば線材1がNiTi合金の場合は450℃程度の温度で加熱処理することによって、形状を記憶させることによって、行なうことができる。ここで、形状記憶合金の線材1をメッシュ編みした後にDLC皮膜2の形成を行なうと、成膜工程中に温度が例えば120℃程度以上に温度が上がったときに、形状記憶が失われてしまうことがあるが、上記のように形状記憶合金の線材1にDLC皮膜2を形成した後にメッシュ編みしてアクチュエータAを作製するようにすれば、このような問題はなくなるものである。
【0025】
また、線材1の外周へのDLC皮膜2の形成は、プラズマCVDなどのCVD法(化学蒸着法)や、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)で行なうことができる。
【0026】
図2は線材1の外周にプラズマCVD法でDLC皮膜2を形成する工程を示すものであり、蒸着チャンバー14内で線材1にDLC皮膜2を蒸着するようにしてある。すなわち、電気的に接地された蒸着チャンバー14内は一対の防着板15a,15bで仕切って、中央の成膜室16と一側部の送り出し室17と他側部の巻取り室18が形成してある。また形状記憶合金の線材1としては長尺のものが用いられるものであり、送り出しリール19に巻いた状態で送り出し室17内にセットしてある。この長尺の線材1は送り出しリール19から繰り出して、一方の防着板15aの通過孔20aから成膜室16に通し、他方の防着板15bの通過孔20bから巻取り室18に送り、巻取りリール22に巻き取るようになっている。送り出し室17内と巻取り室18内にはそれぞれ線材1に接触しながら回転するロール24が配設してあり、線材1を押さえると共に電気的に線材1をアースするようにしてある。さらに蒸着チャンバー14には送り出し室17においてガス導入口23が設けてある。
【0027】
また、成膜室16内には、成膜室16に通される線材1を挟んで対向するように、一対の電極7,7が配設してある。一方の電極7aは蒸着チャンバー14に接続してアースしてあり、他方の電極7bにはDCあるいはRFの電源26が接続してある。
【0028】
そしてプラズマCVD法でDLC皮膜2の蒸着を行なうにあたっては、まず、蒸着チャンバー14内を例えば1×10-4Paになるまで真空引きする。次に、蒸着チャンバー14内が例えば10Paになるまでガス導入口23から反応ガスとして炭化水素系のガスを導入する。この炭化水素系ガスとしてはエチレンガスを用いることができる。次にRF電源26をオンにし、例えば500Wを電極7a,7b間に印加すると、電極7a,7b間でのグロー放電による気体放電現象によってエチレンガスが励起され、エチレンプラズマPが発生する。このように成膜室16内にエチレンプラズマPが生じた後、線材1を送り出しリール19から送り出すと共に巻取りリール22に巻き取ることによって、線材1を連続的に成膜室16に通過させると、線材1の外周にエチレンプラズマP中のCイオンが吸着されて蒸着されるものであり、線材1の外周にDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0029】
このように、長尺の線材1を送りながら成膜室16内でプラズマCVDすることによって、線材1の外周に連続的にDLC皮膜2を形成することができるものであり、バッチ工法ではない連続工法で処理を行なうことができて、生産性を高めることができるものであり、また線材1の外周にその周方向及び長手方向ともに均一な膜厚でDLC皮膜2を形成することができるものである。線材1の外周に形成するDLC皮膜2の膜厚は、DLC皮膜2の膜厚が厚いと、メッシュ形状のアクチュエータAを伸縮変形させる際に、DLC皮膜2が線材1の表面から剥がれるおそれがあるので、1μm以下であることが望ましい。また、DLC皮膜2で線材1を保護すると共に電気絶縁性を確保するためには、DLC皮膜2の厚みは0.2μm以上であることが望ましい。
【0030】
上記のようにしてプラズマCVDによって線材1の外周にDLC皮膜2を形成した後、このDLC皮膜2を形成した線材1をメッシュ編みすることによって、アクチュエータAを作製することができるものである。尚、プラズマCVD法は成膜による付き回り性がよいので、形状記憶合金の変態温度以下の低温で成膜をすることができるものであり、線材1をメッシュ編みしてメッシュ状のアクチュエータAを作製した後に、線材1にDLC皮膜2を形成するようにすることも可能である。
【0031】
ここで、DLC皮膜2のDLCにはエチレンプラズマP中のCイオンの他にHイオンも含有されているが、DLC皮膜2には30質量%以上、より望ましくは40質量%以上の水素を含有しているのが好ましい。DLCに水素を多く含むと、カーボンはSP2混成軌道による結合がSP3混成軌道による結合よりも多くなり、DLC皮膜2はポリマーライクな柔らかい膜になるので、アクチュエータAが伸縮する際の線材1の変形にDLC皮膜2が追随し易くなり、DLC皮膜2の剥離を防ぐことができるものである。水素含有率の上限は、ポリエチレンの水素含有率である約70質量%である。
【0032】
上記の図2の実施の形態では、線材1を挟んで対向する一対の電極7,7を設けるようにしたが、図3の実施の形態では、線材1の外周を囲むように3枚以上の複数枚の電極7,7…が配置してある。このように線材1の外周を囲むように複数枚の電極7,7…を配置することによって、電極7,7…で囲まれる空間内において線材1の外周にプラズマPを均一に形成することができるものであり、線材1の外周に全周に亘って均一なDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0033】
また図4の実施の形態では、ガス配管31を成膜室16内に配設すると共に、線材1をこのガス配管31内に通すようにしてある。このガス配管31は外管32と内管33の二重管に形成してあり、内管33にその周方向に等間隔で複数個のガス導入口8が形成してある。線材1はこの内管33内を通されるようにしてあり、内管33に設けたガス導入口8は線材1の外周を囲むように配置されている。そしてプラズマ生成用のエチレンガスはガス配管31の外管32と内管33の間を送られるものであり、エチレンガスがガス導入口8から内管33の内方に放出されると、線材1の外周はエチレンガスで均一に包まれるようになる。従って、線材1の外周にエチレンガスプラズマPを均一に形成することができるものであり、線材1の外周に全周に亘って均一なDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0034】
図5はスパッタリング法でDLC皮膜2を形成する工程を示すものであり、蒸着チャンバー14の成膜室16内には、成膜室16に通される線材1を挟んで対向するように、一対のターゲット28が配設してある。このターゲット28としてはグラファイトなどの炭素材料が用いられるものであり、各ターゲット28にはDCあるいはRFの電源26が接続してある。蒸発チャンバー14のその他の構成は図2のものと同じである。
【0035】
そしてスパッタリング法でDLC皮膜2の蒸着を行なうにあたっては、まず、蒸着チャンバー14内を例えば1×10-4Paになるまで真空引きする。次に、蒸着チャンバー14内が例えば10Paになるまでガス導入口23から希ガスを導入する。この希ガスとしてはArガスを用いることができる。次にDC電源26をオンにし、例えば2kWをターゲット28に印加すると、このように電圧を印加することによってグロー放電による気体放電現象でArガスが励起され、ArプラズマPが発生する。このように成膜室16内にArプラズマPが生じた後、線材1を送り出しリール19から送り出すと共に巻取りリール22に巻き取ることによって、線材1を連続的に成膜室16に通過させる。このとき、ArプラズマP中のイオンがターゲット28に衝突してC原子がはじき出され、このはじき出されたC原子が線材1の外周に吸着されて堆積し、線材1の外周にDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0036】
このように、長尺の線材1を送りながら成膜室16内でスパッタリングすることによって、線材1の外周に連続的にDLC皮膜2を形成することができるものであり、バッチ工法ではない連続工法で処理を行なうことができて、生産性を高めることができるものである。また、線材1の表面にはターゲット28に向いている側に集中してDLCが付着するが、図5のように線材1を挟んで一対のターゲット28を対向させて配設することによって、線材1の表面に両側からDLCを付着させることができ、線材1の外周の全周に均一な厚みでDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0037】
ちなみに、ターゲット28を一つだけ用いる場合は、図6に示すように、線材1を反転ロール29に架け渡して蛇行させた状態で送ることによって、線材1の両面にDLCを付着させることが可能になる。また線材1を外周回りに回転させながら送ることによっても、一つのターゲット28に対して線材1の外周に均一にDLC皮膜2を形成することが可能であるが、この場合には装置の構造が複雑化する問題がある。
【0038】
DLC皮膜2の厚みは既述のように0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。またターゲット28としてグラファイトを用いると、水素が殆ど含有されない硬質なDLC皮膜2を形成することができる。一方、水素を混入させてスパッタを行なうことによって、DLC皮膜2を柔らかい膜にすることもできるものである。尚、スパッタリングなどPVD法で成膜したDLC皮膜2は、一般に、硬質膜で摩耗に強く、電気絶縁性の高いものが得られる。
【0039】
ここで、図2のプラズマCVDなどのCVD法やイオンプレーティングなどのPVD法のように、電圧を印加してプラズマPを発生させた状態で線材1にDLC皮膜2を形成するにあたって、線材1に負のバイアス電圧を印加しながら処理を行なうことができる。線材1に接触しているロール24によって線材1に負のバイアス電圧を印加することができるものであり、このように線材1に負のバイアス電圧を印加すると、プラズマP中のCイオンを電気的吸引力で強制的に線材1に引き寄せて堆積させることができ、緻密なDLC皮膜2を形成することができるものであり、また成膜初期に線材1の表面にCイオンを高速エネルギーで衝突させることができ、DLC皮膜2の密着性を高めることができるものである。さらに、このようにCイオンを電気的吸引力で線材1に引き寄せることができるために付き回り性が良く、線材1の外周に均一にDLC皮膜2を形成することができると共に、メッシュ状に編んだアクチュエータAに対しても均一にDLC皮膜2を成膜することができるものである。
【0040】
線材1への負のバイアスの印加方法は、DCでもRFでもいずれでもよく(但し、RFの場合は整合をとるようにするのが望ましい)、印加バイアス電圧は−50〜−200Vの範囲が好ましい。−50Vよりも正に近い電圧であると、バイアス効果を十分に得ることができず、−200Vよりもさらに負の電圧であると、Cイオンが線材1に衝突するスパッタ作用が生じて、却って成膜効率が低下するおそれがある。尚、線材1に大きな負のバイアス(特に数十keV以上)をパルスでかけた場合、線材1の表面近傍にCイオンの注入が生じ、ミキシング効果によりDLC皮膜2の密着力を高めることができるものである。
【0041】
また、図2のようにプラズマCVD法でDLC皮膜2を形成する場合、線材1に形成されるDLC皮膜2の水素含有量を、線材1に印加する負のバイアス電圧の値によって調整することができる。すなわち、低いバアイス電圧値のほうが水素含有量は大きくなるものであり、この点においても、印加バイアス電圧は−50〜−200Vの範囲が好ましいのである。尚、水素含有量は、RFの印加パワーにも影響される。
【0042】
図7は本発明の他の実施の形態の一例であり、プラズマPで線材1の表面を洗浄した後、線材1の外周にDLC皮膜2を形成するようにした蒸着チャンバー14を示している。すなわち、電気的に接地された蒸着チャンバー14内は3枚の防着板15a,15b,15cで仕切って、送り出し室17と、洗浄室35と、成膜室16と、巻取り室18がこの順に形成してある。また形状記憶合金の線材1としては長尺のものが用いられるものであり、送り出しリール19に巻いた状態で送り出し室17内にセットしてある。この長尺の線材1は送り出しリール19から繰り出して、防着板15aの通過孔20aから洗浄室35に通した後、防着板15bの通過孔20bから成膜室16に通し、さらに防着板15cの通過孔20cから巻取り室18に送り、巻取りリール22に巻き取るようになっている。送り出し室17内と巻取り室18内にはそれぞれ線材1に接触しながら回転するロール24が配設してあり、線材1を押さえると共に電気的に線材1をアースするようにしてある。さらに洗浄室35と成膜室16にそれぞれガス導入口36,37が設けてある。
【0043】
洗浄室35内には、洗浄室35に通される線材1を挟んで対向するように、一対の電極38が配設してある。一方の電極38aは蒸着チャンバー14に接続してアースしてあり、他方の電極38bにはDCあるいはRFの電源39が接続してある。また成膜室16内には、成膜室16に通される線材1を挟んで対向するように、一対の電極7が配設してある。一方の電極7aは蒸着チャンバー14に接続してアースしてあり、他方の電極7bにはDCあるいはRFの電源40が接続してある。
【0044】
そしてまず、蒸着チャンバー14内を例えば1×10-4Paになるまで真空引きする。次に、蒸着チャンバー14内が例えば10Paになるまでガス導入口36から洗浄室35にArガスを、ガス導入口37から成膜室16にエチレンガスをそれぞれ導入する。次に各RF電源39,40をオンにし、例えば500Wを電極38a,38b間及び電極7a,7b間に印加すると、電極38a,38b間でのグロー放電によって洗浄室35内にArプラズマPが発生すると共に、電極7a,7b間でのグロー放電によって成膜室16内にエチレンプラズマPが発生する。このように洗浄室35内と成膜室16内にそれぞれプラズマPが生じた後、線材1を送り出しリール19から送り出すと共に巻取りリール22に巻き取ることによって、線材1を連続的に洗浄室35及び成膜室16に通過させる。このように線材1を洗浄室35に通過させる際に線材1の表面がArプラズマPの作用でクリーニングされ、洗浄されるものであり、線材1を成膜室16に通過させる際に、エチレンプラズマP中のCイオンが線材1の表面に吸着されて蒸着されるものであり、線材1の外周にDLC皮膜2を形成することができるものである。成膜室16で線材1の外周にDLC皮膜2を形成するに先だって、線材1の表面は洗浄室35で洗浄されているので、DLC皮膜2の密着性を向上させることができるものである。
【0045】
ここで、洗浄室35と成膜室16の間でガスが流通すると、Arガスとエチレンガスが混合し合って洗浄と成膜の各プロセスを分離することが困難になる。そこでこの場合には、図8に示すように、洗浄室35と成膜室16の間の防着板15bに長い細管42に設け、線材1は細管42内を通して洗浄室35から成膜室16へと移動するようにしてある。細管42は線材1が通過可能な程度に内径を線材1の外径よりわずかに大きく形成したものであり、しかも長く形成してあるので、洗浄室35と成膜室16の間でのガスの流通を阻止しつつ線材1を洗浄室35から成膜室16へと移動できるようにしてある。このように洗浄室35と成膜室16の間は防着板15bで完全に区切られているので、洗浄室35内と成膜室16内はそれぞれに備えた真空ポンプで個別に真空引きできるようにしてある。
【0046】
尚、洗浄室35に導入するガスとして窒素ガスを用いて窒素プラズマを生成させるようにすれば、線材1の表面を窒化させることができ、DLC皮膜2の密着性をさらに向上させることが可能である。この場合、洗浄室35と成膜室16の間に表面改質室を設け、この表面改質室で窒素プラズマを生成させて線材1の表面を窒化させるようにしてもよい。また、洗浄室35と成膜室16の間に中間膜形成室を設け、線材1の表面を洗浄した後、DLC皮膜2を形成する前に、後述のWC皮膜3、SiO2皮膜4、樹脂皮膜5を中間膜形成室で線材1の表面に形成するようにしてもよい。
【0047】
図9は本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、このものでは、形状記憶合金の線材1の外周表面にWC皮膜3を形成し、その上に最外層としてDLC皮膜2が形成してある。このように線材1の表面にWC皮膜3をプレコートしておくことによって、WC皮膜3が中間膜となって線材1に対するDLC皮膜2の密着力を向上することができるものである。WC皮膜3の膜厚は絶縁性と可撓性を確保するために、0.05〜0.2μm程度が好ましい。尚、中間膜としてSiCを形成することによっても、DLC皮膜2の密着力を向上することができるものであり、また線材1に予めプラズマ窒化やプラズマ浸炭等の改質を施しておくことによっても、DLC皮膜2の密着力を向上することができるものである。
【0048】
図10の実施の形態では、形状記憶合金の線材1の外周表面にSiO2皮膜4を形成し、その上に最外層としてDLC皮膜2が形成してある。このように線材1の表面にSiO2皮膜4をプレコートしておくことによって、SiO2皮膜4が中間膜となって線材1に対するDLC皮膜2の密着力を向上することができるものであり、また電気抵抗の大きいSiO2皮膜4によってDLC皮膜2による電気絶縁性を一層高めることができるものである。SiO2皮膜4の膜厚は0.05〜0.2μm程度が好ましい。DLC皮膜2は絶縁材料であるが、例えばDLC皮膜2がグラファイト的な原子構造の場合や、摩擦抵抗低減や膜応力低下のためにDLC皮膜2に金属を添加した場合は、電気抵抗が低下することがあるので、これらの場合に、SiO2皮膜4を中間膜として形成することは特に好ましい効果を得ることができるものである。
【0049】
図11の実施の形態では、形状記憶合金の線材1の外周表面に樹脂皮膜5を形成し、その上に最外層としてDLC皮膜2が形成してある。樹脂皮膜5としてはポリイミド、パリレン、PTFC等を用いることができる。このように線材1の表面に樹脂皮膜5をプレコートしておくことによって、電気抵抗の大きい樹脂皮膜5でDLC皮膜2による電気絶縁性を一層高めることができるものであり、また表面に存在するDLC皮膜2によって樹脂皮膜5が摩耗して剥がれることを防ぐことができるものである。樹脂皮膜5の膜厚は絶縁性と可撓性を確保するため、0.1〜0.2μm程度が好ましい。
【0050】
上記のように線材1の外周表面にWC皮膜3、SiO2皮膜4、樹脂皮膜5をプレコートするにあたっては、例えばスパッタリングで行なうことができる。図12はその装置を示すものであり、図12の蒸着チャンバー14にあって、図7のものと符号が同じものは図7と同様に形成してある。そして図12の蒸着チャンバー14では、防着板15aと防着板15bとの間の室は中間膜形成室44として形成されるものであり、中間膜形成室44内には、中間膜形成室44に通される線材1を挟んで対向するように、一対のターゲット45が配設してあり、一方のターゲット45をアースすると共に他方のターゲット45にはDCあるいはRFの電源46が接続してある。このターゲット45としては、WC皮膜3を形成する場合にはWC材料が、SiO2皮膜4を形成する場合にはSiO2材料が、樹脂皮膜5を形成する場合には樹脂材料が用いられるものである。
【0051】
そしてまず、蒸着チャンバー14内を例えば1×10−4Paになるまで真空引きする。次に、蒸着チャンバー14内が例えば10Paになるまでガス導入口36から中間膜形成室44にArガスを、ガス導入口37から成膜室16にエチレンガスをそれぞれ導入する。次に中間膜形成室44のDC電源46をオンにし、例えば2kWをターゲット45に印加する(樹脂皮膜5を形成するときはRF電源46をオンにして500Wを印加する)ことによって中間膜形成室44内でArプラズマPを発生させると共に、成膜室16のRF電源40をオンにし、例えば500Wを電極7a,7b間に印加することによって成膜室16内にエチレンプラズマPを発生させる。このように中間膜形成室44内と成膜室16内にそれぞれプラズマPが生じた後、線材1を送り出しリール19から送り出すと共に巻取りリール22に巻き取ることによって、線材1を連続的に中間膜形成室44及び成膜室16に通過させる。このように線材1を中間膜形成室44に通過させる際に、ArプラズマPによるスパッタリング作用でターゲット45の材料が線材1の外周に吸着されて堆積し、線材1の外周にWC皮膜3、SiO皮膜4、樹脂皮膜5を中間膜として形成することができるものであり、また線材1を成膜室16に通過させる際に、エチレンプラズマP中のCイオンが線材1の中間膜の表面に吸着されて堆積し、線材1の外周に中間膜を介してDLC皮膜2を形成することができるものである。尚、中間膜形成室44の前に、既述のような洗浄室35を設け、線材1の表面をプラズマ洗浄した後に、中間膜の形成やDLC皮膜2の形成を行うようにするのが好ましい。
【0052】
また、線材1の表面にポリイミドの樹脂皮膜5を形成する場合、ポリアミドの蒸着重合によって行なうことができる。図13はポリイミド樹脂を蒸着重合する装置の一例を示すものであり。蒸着チャンバー48内にロータリーポンプなどの真空ポンプ18が接続してあり、この蒸着チャンバー48にはさらに原料モノマーである無水ピロメリト酸(PMDA)とオキシジアニリン(ODA)を供給するモノマータンク50,51が接続してある。そして蒸着チャンバー48内においてホルダー52に線材1をセットし、蒸着チャンバー48内を10Pa程度に真空引きすると共に300℃程度に加熱し、この状態でモノマータンク50,51からPMDAとODAをそれぞれ蒸着チャンバー48内に気化させて導入し、PMDAとODAを線材1の表面で反応させて0.1μm厚程度のポリアミック酸膜を成膜したのち、300℃程度の温度で60分程、加熱を保持して硬化させることによって、「化1」に示す縮重合反応で得られるポリイミド樹脂による樹脂皮膜5を線材1の表面に形成することができるものである。
【0053】
【化1】
Figure 0004461627
【0054】
図14は本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、上記のように形状記憶合金の線材1の表面に樹脂皮膜5を中間膜として設けると共にその上にDLC皮膜2を設けるにあたって、樹脂皮膜5とDLC皮膜2の境界部を樹脂とDLCとが混在する層6で形成するようにしてある。この場合、混在層6は、樹脂皮膜5と接する側では樹脂が100%であり、外側にいくに従って樹脂に対するDLCの混在比率が徐々に高くなり、DLC皮膜5と接する側ではDLCが100%になるように、樹脂とDLCの混在比率が傾斜的に変化するようにしてある。このように、樹脂皮膜5とDLC皮膜2の間に樹脂とDLCとの混在層6を形成することによって、混在層6を介してDLC皮膜2の密着強度を高めることができるものである。
【0055】
図15はこのような樹脂皮膜5、混在層6、DLC皮膜2を線材1に形成するための装置の一例を示すものであり、図5に示すものと符号が同じものは図5と同様に形成してある。そして図15の蒸着チャンバー14では、成膜室16にエチレンガス用のガス導入口53、PMDA用のガス導入口54、ODA用のガス導入口55がそれぞれ接続してあり、ロール24には負の電圧が印加してある。
【0056】
そして、蒸着チャンバー14内を1×10-4まで真空引きし、まずPMDAとODAを加熱してその蒸発ガスをそれぞれガス導入口54,55から成膜室16に導入し、次に成膜室16にエチレンガスをエチレンガス圧10Paでガス導入口53から導入すると共に、RF電源26をオンにして300Wを印加し、エチレンガスプラズマPを発生させる。PMDAとODAのモノマーはプラズマPで活性化されて「化1」のように反応し、線材1の表面にポリイミド樹脂が堆積する。またエチレンガスプラズマPのプラズマCVDによってDLCも堆積される。このとき、最初は、PMDAとODAのみを導入し、次いでエチレンガスの導入を開始して、PMDAとODAの導入を減らしながらエチレンガスの導入を増やし、最後にPMDAとODAの導入を停止してエチレンガスのみを導入するようにすることによって、線材1の表面にまずポリイミド樹脂のみからなる樹脂皮膜5を形成し、次にこの上に、内側では樹脂の比率が多く外側ではDLCの比率が多くなるように混在比率が徐々に変化する混在層6を形成し、さらにこの上に、DLCのみからなるDLC皮膜2を形成することができるものである。
【0057】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るアクチュエータは、形状記憶合金の線材をメッシュ状に編組して形成されるアクチュエータにおいて、形状記憶合金の線材の外周にDLCの皮膜を形成するようにしたので、線材同士が重なっている部分で擦れ合いが発生しても、線材の表面は耐摩耗性の高いDLC皮膜で被覆されており、摩耗することなくDLC皮膜で線材を長期に亘って保護することができると共に線材の表面の電気絶縁性を保持することができるものであり、しかもDLC皮膜は摩擦係数が小さく、アクチュエータが伸縮変形する際に線材間に生じる摩擦抵抗を低減することができ、アクチュエータの伸縮特性が向上するものである。
【0058】
また請求項2の発明は、形状記憶合金の線材の表面にプレコートされたWCの皮膜を介してDLC皮膜を形成するようにしたので、WC皮膜によってDLC皮膜の密着力を向上させることができるものである。
【0059】
また請求項3の発明は、形状記憶合金の線材の表面にプレコートされたSiO2の皮膜を介してDLC皮膜を形成するうようにしたので、SiO2皮膜によってDLC皮膜の密着力を向上させることができると共に、電気絶縁性の高いSiO2皮膜によって線材の表面の電気絶縁性を高く保持することができるものである。
【0060】
また請求項4の発明は、形状記憶合金の線材の表面にプレコートされた樹脂の皮膜を介してDLC皮膜を形成するようにしたので、樹脂皮膜によって線材の表面の電気絶縁性を高く保持することができると共に、樹脂皮膜の摩耗をDLC皮膜で防ぐことができるものである。
【0061】
また請求項5の発明は、樹脂皮膜とDLC皮膜の境界部を樹脂とDLCとが混在する層で形成するようにしたので、樹脂皮膜とDLC皮膜の密着力を樹脂とDLCとが混在する層で高めることができるものである。
【0062】
また請求項6の発明は、DLC皮膜に30質量%以上の水素を含有させるようにしたので、DLC皮膜を柔らかくすることができ、アクチュエータが伸縮する際の線材の変形にDLC皮膜を追随させることができるものであり、DLC皮膜が線材から剥離することを防ぐことができるものである。
【0063】
本発明の請求項7に係るアクチュエータの製造方法は、形状記憶合金の長尺の線材を長手方向に送りながらCVD法で線材の外周にDLC皮膜を形成し、この後、このDLC皮膜を形成した線材をメッシュ状に編組するようにしたので、連続工法で生産性高く線材にDLC皮膜を形成することができ、またDLC皮膜を形成する際の熱はメッシュ状のアクチュエータには作用しないものであって、アクチュエータの形状記憶が失われるようなことがなくなるものである。
【0064】
本発明の請求項8に係るアクチュエータの製造方法は、形状記憶合金の長尺の線材を長手方向に送りながらPVD法で線材の外周にDLC皮膜を形成し、この後、このDLC皮膜を形成した線材をメッシュ状に編組するようにしたので、連続工法で生産性高く線材にDLC皮膜を形成することができ、またDLC皮膜を形成する際の熱はメッシュ状のアクチュエータには作用しないものであって、アクチュエータの形状記憶が失われるようなことがなくなるものである。
【0065】
また請求項9の発明は、プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、線材に負のバイアス電圧を印加するようにしたので、線材にCイオンを強制的に引き寄せてDLC皮膜を形成することができ、緻密なDLC皮膜を得ることができるものである。
【0066】
また請求項10の発明は、プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、線材を囲むように複数枚の電極を配置するようにしたので、線材の外周に均一なプラズマを生成させることができ、線材の外周に全周に亘って均一なDLC皮膜を形成することができるものである。
【0067】
また請求項11の発明は、プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、プラズマ生成用のガスを導入するガス導入口を線材の外周を囲むように配置したので、線材の外周に均一なプラズマを生成させることができ、線材の外周に全周に亘って均一なDLC皮膜を形成することができるものである。
【0068】
また請求項12の発明は、形状記憶合金の長尺の線材1を長手方向に送りながら、プラズマで線材の表面を洗浄した後、線材の外周にDLC皮膜を形成するようにしたので、洗浄された線材の外周にDLC皮膜を形成することができ、DLC皮膜の密着力を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は線材の拡大した断面図、(b)はアクチュエータの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の一部の拡大しした断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の一部の拡大しした断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の一部の概略図である。
【図7】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の概略図である。
【図8】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の一部の概略図である。
【図9】本発明の実施の形態の一例を示す線材の拡大した断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の一例を示す線材の拡大した断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の一例を示す線材の拡大した断面図である。
【図12】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の概略図である。
【図13】本発明の実施の形態の一例における樹脂皮膜を形成する装置の概略図である。
【図14】本発明の実施の形態の一例を示す線材の拡大した断面図である。
【図15】本発明の実施の形態の一例におけるDLC皮膜を形成する装置の概略図である。
【符号の説明】
1 線材
2 DLC皮膜
3 WC皮膜
4 SiO2皮膜
5 樹脂皮膜
6 混在層
7 電極
8 ガス導入口

Claims (12)

  1. 通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータであって、形状記憶合金の線材をメッシュ状に編組して形成され、形状記憶合金の線材の外周にDLC(Diamond Like Carbon)の皮膜を形成して成ることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 形状記憶合金の線材の表面にプレコートされたWCの皮膜を介してDLC皮膜を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 形状記憶合金の線材の表面にプレコートされたSiO2の皮膜を介してDLC皮膜を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  4. 形状記憶合金の線材の表面にプレコートされた樹脂の皮膜を介してDLC皮膜を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  5. 樹脂の皮膜とDLC皮膜の境界部を樹脂とDLCとが混在する層で形成して成ることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
  6. DLCは30質量%以上の水素を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアクチュエータ。
  7. 通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータの製造方法であって、形状記憶合金の長尺の線材を長手方向に送りながらCVD法で線材の外周にDLC皮膜を形成し、この後、このDLC皮膜を形成した線材をメッシュ状に編組することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  8. 通電加熱して伸縮変形させることによって機器の制御に用いられるアクチュエータの製造方法であって、形状記憶合金の長尺の線材を長手方向に送りながらPVD法で線材の外周にDLC皮膜を形成し、この後、このDLC皮膜を形成した線材をメッシュ状に編組することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  9. プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、線材に負のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項7又は8に記載のアクチュエータの製造方法。
  10. プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、線材を囲むように複数枚の電極を配置することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  11. プラズマ中で形状記憶合金の線材の外周にDLC皮膜を形成するにあたって、プラズマ生成用のガスを導入するガス導入口を線材の外周を囲むように配置することを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  12. 形状記憶合金の長尺の線材を長手方向に送りながら、プラズマで線材の表面を洗浄した後、線材の外周にDLC皮膜を形成することを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
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