JP4460674B2 - 4トラック式クローラークレーン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にクローラークレーンに関する。特に、本発明は、4つのクローラー組立体を備えたクローラークレーンに関する。
【0002】
【関連技術の説明】
クローラークレーンは、しばしば100トンを越える重い荷を吊り、作業現場の或る場所から別の場所まで運搬して置くのに用いられる重機である。建築プロジェクトの規模が一層大がかりになるにつれて、300トンを越える荷の吊上げ、運搬及び載置をすることができるクローラークレーンの要望が高まった。
300トン以上を吊り上げることができるクレーンの一例がドイツ国特許出願公開明細書第2517203号(以下、「´203号ドイツ国技術文献」という)にく記載されている。特に、´203号ドイツ国技術文献は、4つのデュアルトラック式クローラーユニットを有するクローラークレーンを記載している。各クローラーユニットは、他のクローラーユニットには直接連結されておらず、アウトリガを介してハウジング8に連結されている。各クローラーユニットのトラックは、互いに対して異なる速度と異なる方向の両方又は何れか一方で駆動される。
【0003】
´203号ドイツ国技術文献に記載されたクローラークレーンは、幾つかの欠点をもっている。たとえば、作業現場でのクローラークレーンの組立て及び分解は、手が込んでいて時間がかかる場合がある。同様に、或る作業現場から別の作業現場へのクローラークレーンの輸送は、困難な場合がある。クローラークレーンは又、荷がクローラークレーンで吊り上げられているかどうかにかかわらず、移動を行う際の機動性が制限されている。
上述のクローラークレーンは、他にも幾つかの欠点をもっている。たとえば、かかるクローラークレーンは、クローラークレーンの種々の旋回形態についてクローラー組立体のところでの接地圧が不適当になる。´203号ドイツ国技術文献に記載されたクローラークレーンは又、その支点がクローラーユニットの中心の上方に位置せざるを得ないので吊上げ具合が不適当になる。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、車体が第1の端部を備えた第1のビーム及び第1の端部を備えた第2のビームを有するクローラー組立体付きの車体に関する。第1のクローラー組立体が、第1のビームの第1の端部に取り付けられ、第2のクローラー組立体が第1のクローラー組立体と第2のビームの第1の端部の両方に取り付けられている。
本発明の第2の特徴は、第1のクローラー組立体と、該第1のクローラー組立体に取り付けられた第2のクローラー組立体とから成り、第2のクローラー組立体が第1のクローラー組立体の走行方向と整列していることを特徴とするクローラーに関する。
【0005】
本発明の第3の特徴は、第1のクローラー組立体を第2のクローラー組立体に組み付ける方法であって、第1のクローラー組立体を第2のクローラー組立体に隣接して位置決めする段階と、第1のクローラー組立体が第2のクローラー組立体の走行方向と整列するように第1のクローラー組立体を第2のクローラー組立体に取り付ける段階とを有することを特徴とする方法に関する。
本発明の各特徴により、荷重容量が大きなクローラークレーンに関して組立て、分解及び運搬のための手の込み具合及び時間を減らす簡単な設計が得られる。本発明の各特徴により、荷がクローラークレーンで吊り上げられているかどうかにかかわらず、移動を行う際の大荷重容量クローラークレーンの機動性が向上する。
【0006】
また、本発明の各特徴により、クローラークレーンの旋回に用いられるクローラー組立体のところでの接地圧が適正になる。加うるに、本発明の各特徴により、他の大荷重容量のクローラークレーン、例えば´203号ドイツ国技術文献に記載されたクローラークレーンよりも支点距離を大きくすることにより、吊上げ具合が適正になる。
本発明の上記特徴及び上記利点は、添付の図面と関連して本発明の以下の詳細な説明を読むと一段と明らかになろう。
【0007】
【好ましい実施形態の説明】
本発明の好ましい実施形態は、4トラック式クローラークレーンに関し、これらの他の特徴は、米国特許第5,148,929号、第5,189,605号、第5,199,586号、第5,292,016号、第5,297,019号、第5,427,256号、第5,579,931号、第5,649,635号及び1997年4月3日に出願された同時係属米国特許出願第08/826,627号に開示されている。なお、これらの特許文献の権利は本出願人に譲渡されており、上記米国特許及び米国特許出願の開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
本発明のクローラークレーンは、図1及び図3〜図9を参照すると最もよく理解できる。特に、図1は、基本的に5つの主要な構成要素、即ち(1)クレーンブーム102、(2)マスト104、(3)運転手の運転室106を有する上部構造体105、(4)4組のクローラー組立体162,164,166,168、及び(5)車体又は機体110を有する640トン級のクローラークレーンを示している。45トン級のクレーンブーム102が上部構造体105の一端に連結されていて、運転室構造体の上方へ空中に延びている。クレーンブーム102は高強度鋼で作られた3つのフレーム112で構成されており、これらフレームは、クレーンブーム102の全長が約125フィート(約38m)となるように周知の方法で互いに取り付けられている。クレーンブーム102は、さらにワイヤロープシステム118をさらに有し、このワイヤロープシステムの一端には、物体(図示せず)を地面から空中へ吊り上げることができるフックブロック120が取り付けられている。
【0008】
マスト104は、上部構造体105へのクレーンブーム102の取付け方法と同様な方法で上部構造体105に取り付けられている。マスト104の重さは約36トンであり、このマストは、全長が約80フィート(約24m)となるように互いに取り付けられた高強度鋼の3つのフレーム122で構成されている。マスト104の長さは、クローラークレーン100の全体サイズと共に、吊上げ能力が100メートル・トンを越える既存のクローラークレーンと比較して、クローラークレーン100が所与の荷重時半径で一層大きな荷又は荷重を吊り上げることができる要因の一つである。種々のブーム及び種々の吊り荷サイズの場合の本発明の吊上げ能力が図10A〜図10Cに示されている。図1に示すように、クレーンブーム102は、第2のワイヤロープシステム126によって昇降され、この第2のワイヤロープシステムは、一端がブーム巻上ドラム127に、他端がイクオライザ(平衡装置)129にそれぞれ取り付けられ、このイクオライザはクレーンブーム102の頂部に取り付けられている。したがって、ブーム巻上ドラム127の回転の結果として、クレーンブーム102の位置が変化することになる。マスト104の頂部は、2対のバックヒッチストラップ128に取り付けられ、これらバックヒッチストラップは、イクオライザ130を介してマスト起伏ガントリ132及びバックヒッチ133に連結され、これらは回転台116の後方部分134に取り付けられている。荷重が大きな場合の安定性を一層高めるため、重さが約240トンのバランスウエイト136を、回転台116の回転軸線139から約35フィート(約10.7m)のところに位置するよう回転台116の後方部分134に取り付けるのがよい。
【0009】
図1のクローラークレーン100は、最高600メートル・トンの荷重を吊り上げることができる。600〜800メートル・トンの範囲の荷重を吊り上げる場合、図1のクローラークレーン100を改造してクレーンブームブーム102を図2に示すように単一部分138の追加により約140フィートの長さにするのがよい。マスト104もまた、一対の部分140の追加によって長くし、全長が約140フィート(約42.7m)となるようにする。図2のクレーンブーム102及びマスト104のフレーム112,122及びこれらの構成部品のサイズは、追加の構造的一体性が得られるよう図1のものとは異なる場合がある。第2のバランスウエイト142を、クローラークレーン100の所望の用途に応じて用いてもよく、或いは用いなくてもよい。使用時、第2のバランスウエイト142は、ストラップ128に類似したストラップ144及び圧縮フレーム146を介してマスト104と他のバランスウエイト136の両方に取り付けられて回転軸線139から約72フィート(約21.9m)のところに位置するようにすることによって、クローラークレーン100に一層良好な安定性を与えるよう最高500メートル・トンの範囲にわたる場合のある重量を有している。図2の改造型クローラークレーン100の全重量は、約1200トンである。
【0010】
上述したように、クレーンブーム102は、上部構造体105に取り付けられている。上部構造体105は、運転手の運転室106及びエンジンを支持している。運転室106から、運転手は、クレーンブーム102、マスト104又は物体を昇降させるのに用いられる種々のワイヤロープを制御することができる。車体110は、上部構造体105が車体110を中心として旋回できるようにする旋回支承体147を有している。運転室106の内側から、運転手は上部構造体105の運動量及び旋回量を制御することができる。
図3、図8A及び図8Cに示すように、車体110は、矩形の中央支持構造体148を備えた全体としてH形のものであり、この矩形中央支持構造体は、この横方向側部154に垂直な一対の互いに同一形状の平行なビーム150,152に一体的に取り付けられている。車体110は好ましくは、全溶接高強度鋼プレートで構成され、重さは約36トンである。横方向側部154の各々の長さは約13フィート(約4m)であり、中央支持構造体148の前方側部156及び後方側部158はそれぞれ、約3.5mの長さ及び約6フィート(約1.8m)の高さを有している。各ビーム150,152の長さ、幅及び高さは、それぞれ約33.5フィート(約10.2m)、約5.5フィート(約1.7m)及び約7フィート(約2.1m)である。ビーム150,152のそれぞれの重さは約16.5トンであり、これらビームは、中央支持構造体148の前方側部156と後方側部158と交差する垂直対称平面の周りに対称的に位置している。
【0011】
図3に示すように、中央支持構造体148は、ビーム150,152を支持するよう配置された4つのアタッチメント延長手段又はビーム159を有している。中央支持構造体148へのビーム150の取付けを以下に説明するが、中央支持構造体148へのビーム152の取付けも同様に行われることは理解されよう。図5C及び図5Dに示すように、中央支持構造体148の前方側部156のアタッチメントビーム159は、一対の垂直方向プレート161を有し、各プレート161は、上方雌型受け具、例えばフック163及び下方開口部165を有している。フロントビーム150は、プレート161相互間に挿入された一対の雄型挿入部品167を有している。各挿入部品167は、下方開口部173及び挿入部品167の互いに平行な横方向側部171に設けられた対をなすピン169を有している。2つの雄型挿入部品167がクレーンにより垂直方向プレート161相互間で下降すると、ピン169はフック163の開口部の底に係合し、ビーム150はピン169を中心として回動してついには開口部165,173が互いに整列する図5Dに示す位置に達するようになる。ビーム150を中央支持構造体148に取り付けるために一対のピンが整列状態の開口部165,173に挿入される。
【0012】
左側のフロントクローラー組立体162、左側のリヤクローラー組立体164、右側のフロントクローラー組立体166及び右側のリヤクローラー組立体168は、作業現場に運搬しやすいよう別個の構成要素である。フロント及びリヤクローラー組立体は、車体110に取り付けられる前に、コネクタにより互いに取り付けられる。以下に行う説明は左側のリヤクローラー組立体164への左側のフロントクローラー組立体162の取付けに関するが、クローラー組立体166,168相互間の連結にもそのまま適用できる。図7A及び図7Bに示すように、フロントクローラー組立体162の上方アタッチメント構造体207の後方端部224は、水平方向の雌型受入れ部材、例えばフロントクローラー組立体162の水平方向プレート228に形成された細長い開口部226を有している。リヤクローラー組立体164の上方アタッチメント構造体207の前方端部230は、雄型アタッチメント装置、例えば垂直方向に延びるピン232のような垂直方向の固定ピボット点要素を有している。ピン232の頂部は好ましくは、面取りされる。開口部226及びピン232は、フロントクローラー組立体162を、クローラー組立体162,164が図3、図7A及び図7Bに示すように互いに整列する作業位置から0〜45°又は0〜15°の角度範囲、好ましくは5〜15°の角度範囲でリヤクローラー組立体164の上方に位置させた時にピン232が開口部226を貫通するようにする互いに協働する形状を有している。当然のことながら、雌型受入れ部材及び雄型アタッチメント装置は、本発明の精神から逸脱することなく入れ替えることができる。他の実施形態では、開口部226は円形であってもよく、或いは複数のピン232及び開口部226を用いてクローラー組立体を取り付けてもよい。
【0013】
フロント及びリヤクローラー組立体162,164の取付けは、ウィスコンシン州モニトボク所在のモニトボク・クレーン・インコーポレイテッドによって製造され、1995年6月6日に出願された米国特許出願第08/469,194号に記載されているM−250シリーズのクローラークレーンに用いられている車体とクローラーの連結方式に類似しており、かかる米国特許出願の内容を本明細書の一部を形成するものとして引用する。特に、フロントクローラー組立体162の後方端部224は、リヤクローラー組立体164の前方端部230の上に位置していて、開口部226の長手方向軸線234が、垂直方向ピン232の長手方向軸線236に対して0°〜45°又は0°〜15°、好ましくは5°〜15°の角度をなすようになっている。次に、フロントクローラー組立体162を下降させて開口部226がピン232に嵌まるようにする。フロントクローラー組立体162の下降を続けてフロントクローラー組立体162を回転係合させてこれがリヤクローラー組立体164に対して作業整列位置に配置できるようにする。この作業位置では、肩231は、支承面233′に係合する。加うるに、停止面付き停止装置を、米国特許出願第08/469,194号に記載されている停止面付き停止装置と類似した方向でクローラー組立体の下方部分に設けるのがよく、これらは作業位置において互いに係合してクローラー組立体162の垂直方向プレート237の孔233とクローラー組立体164の垂直方向プレート239の孔235を互いに整列させる。いったん作業位置に位置すると、2つのピン241を整列状態の孔233,235に差し込んでクローラー組立体162,164を互いに固定する
【0014】
クローラー組立体162,164及び166,168を互いに取り付けた状態で、互いに平行なビーム150,152の端部160を4つのクローラー組立体に取り付ける。各ビーム150,152へのクローラー組立体162,164,166,168の取付けは、L字形コネクタ170によって同一方法で達成され、このL字形コネクタは、図6Bに示すように一対の開口部176,178及び雌型受け具180を有する前方側部172及び後方側部174を有している。各コネクタ170は、全溶接高強度鋼プレートで構成され、重さは約3000ポンド(約1360kg)である。左側のフロントクローラー組立体162の場合、コネクタ170をまず最初に、下方開口部176を、クローラー組立体のフレーム188の前方フェース184及び後方フェース186に形成された対応関係にある開口部182と整列させてクローラー組立体162に取り付ける。次に、一対のピン190を互いに整列状態にある開口部176,182に差し込む。クローラー組立体のフレーム188をコネクタ170に取り付けた上でピン190によりクローラー組立体162を整列状態の開口部176,182上に心出しされた長手方向軸線の回りに回動させる。クローラー組立体のフレーム188へのコネクタ170の取付け後、コネクタ170及びこれに取り付けられたクローラー組立体のフレーム188をクレーンによって吊り上げ、そして下降させて車体110に係合させる。図6Aに示すように、各端部160は、ビーム150,152の前方側部196及び後方側部198に取り付けられたピン192を有する。クレーンで下降させると、雌型受け具180は、ピン192にフック掛けされてこれに係合する。次に、コネクタ170及びクローラー組立体162を一段と下降させて図6Aに示す位置までピン192の回りに下方に回動するようにする。次に、水平方向ピン202をコネクタ170の側部172,174に形成された上方開口部178に貫通させることにより、コネクタ170及びクローラー組立体162を車体110に固定する。4つの管状構造部材400をクローラー組立体のフレーム188及びビーム150,152に取り付けると安定性が一段と増す。
【0015】
図4Dに示すように、各クローラー組立体のフレーム188は、互いに平行であって且つ互いに約90.5インチ(約2.3m)の間隔を置いて位置した一対のクローラーフレーム206に中央フレーム204を一体的に取り付けて構成されている。中央フレーム204の長さは約72インチ(約1.83m)、幅は約66インチ(約1.68m)である。クローラーフレーム206は各々、約180インチ(約4.57m)の長さ、約40インチ(約1.02m)の幅及び約33インチ(約0.84m)の高さを有している。クローラーフレーム206及び中央フレームはそれぞれ、全溶接高強度鋼プレートで構成されていて、各クローラーフレーム206が約6トンの重さを有し、中央フレーム204が約2.5トンの重さを有するようになっている。各クローラーフレーム206は、幅が約1.22m及び長さが約5.06mである外側ループ状クローラートラック210及び内側ループ状クローラートラック212を支持している。外側及び内側のトラックの幅はそれぞれ同様に1.52mであるのがよい。外側トラック210及び内側トラック212は、約90.5インチ(約2.3m)の距離だけ互いに間隔を置いている。かくして、各クローラー組立体162,164,166,168は、互いに平行であって、中央フレーム204の両側の横方向側部214,216上に設けられた外側のクローラートラック210と内側のクローラートラック212で構成されている。
【0016】
以下に行う説明は単一のクローラー組立体162と関連した対をなすクローラートラック210,212を移動させる構造体に関するが、これは他の3つのクローラー組立体164,166,168にそのまま適用できる。図4A及び図4Bに示すように、クローラー組立体162の各クローラーフレーム206は、内方端部にタンブラ218を有し、このタンブラはクローラーフレーム206と関連したクローラートラック210,212に周知の方法で係合してこれを移動させる。各クローラーフレーム206と関連したタンブラ218は、周知の方法で油圧モータ及び歯車減速装置によって駆動される。かくして、図3に示すように、外側のクローラートラック210は少なくとも1つのモータ及び歯車減速装置220によって動力供給され、内側のクローラートラック212は少なくとも1つのモータ及び歯車減速装置222によって動力供給される。各クローラーフレーム206と関連したモータ220,222は、運転室106内の運転手により周知の方法で制御される。デュアルトラック式クローラー組立体162がシングルトラッククローラー組立体と同一の方法で動作できるようにするために、モータ220,222を同期させてクローラー組立体162のクローラートラック210,212がそれぞれ一斉に動くようにする。同期は、モータ220,222が、作動油をモータに供給する共通のポンプを共用することにより達成される。
【0017】
図3に示すように、フロントビーム150に取り付けられた左側のフロントクローラー組立体162及び右側のフロントクローラー組立体166は、それぞれ、リヤビーム152に取り付けられた左側のリヤクローラー組立体164及び右側のリヤクローラー組立体168の走行方向と整列している。車体110の左側(L)では、左側フロントクローラー組立体162の外側クローラートラック210は、左側リヤクローラー組立体164の外側クローラートラック210の走行方向と整列している。クローラー組立体162の内側クローラートラック212は、クローラー組立体164の内側クローラートラック212の走行方向と整列している。同様に、車体110の右側Rに位置したフロントクローラー組立体166の内側クローラートラック210及び外側クローラートラック212は、それぞれ、リヤクローラー組立体168の内側クローラートラック210及び外側クローラートラック212の走行方向と整列している。車体110の左側の互いに整列状態にあるフロントクローラー組立体162及びリヤクローラー組立体164は、単一の左側クローラートラックとして働き、車体110の右側の整列状態にあるクローラー組立体166,168は単一の右側クローラートラックとして働くことが望ましい。これを達成するには、左側フロントクローラー組立体162のモータ220,222を、左側リヤクローラー組立体164のモータ220,222に同期させて車体110の左側の4つすべてのクローラートラックが一斉に動くようにする。同期は、上部構造体105内に設けられていて、ポンプによる作動油のポンプ送りを制御するようクローラー組立体162,164の共通のポンプに電気的に接続された電子制御ユニットによって達成される。同様に、右側フロントクローラー組立体166のモータ220,222を右側リヤクローラー組立体168のモータ220,222に同期させて車体110の右側の4つのクローラートラックが一斉に動くようにする。この構成の実際の作用効果として、クローラークレーン100を単一の左側クローラートラック及び単一の右側クローラートラックを有し、各クローラートラックがデュアルトラック式クローラー組立体の幅である約11フィート5インチ(約3.48m)に等しいフットプリント幅W及び地面に接触しない限り整列状態のクローラー組立体の最も遠くに位置する端部から距離d、即ち約11フィート(約3.35m)の距離に等しい有効フットプリント長さを有するクローラークレーン100を構成できる。隙間dにより、有効フットプリント長さは約33フィート(約10m)に減少する。
【0018】
以下の説明に制約されないが、フットプリント幅の増加とフットプリント長さの減少の両方又はいずれか一方により、クローラートラック210の前方側部、後方側部及びコーナのところにおける接地圧が減少すると考えられる。接地圧の減少は、クローラーの前部又はフロント及びコーナのところで特に著しく、それによりクローラークレーン100による旋回性が向上することになる。例えば、幅が1.22mのトラック210を用いた場合、半径が7m〜30mの範囲にわたる荷重の場合の接地圧は、(1)クローラーの前部及び後部のところで80〜58psi(1平方インチ当たりのポンド)、(2)クローラーの側部のところで約60〜40psi、(3)約90〜70psiの範囲にある(図11A〜図11C参照)。幅が1.5mのトラック210を用いた場合、半径が7〜30mの範囲にわたる荷重についての接地圧は、(1)クローラーの前部及び後部のところで80〜40psi、(2)クローラーの側部のところで約50〜30psi、(3)約70〜50psiの範囲にある(図12A〜図12C参照)。
【0019】
上述の説明は、クローラー組立体をどのように車体及びそれ自体に取り付けるかに関するものである。以下の説明は、図1のクローラークレーンの輸送及び構造の特徴に関する。具体的に説明すると、43トンの中央支持構造体148、旋回支承体147及びアダプタフレーム149(図8A)をトレーラ台上に載せて作業現場まで輸送する。中央支持構造体148が作業現場でトレーラ台上に載っている、トレーラ台上に載せて作業現場まで輸送されたビーム150,152を上述した方法で中央支持構造体148に取り付けて図3及び図8BのH型の車体110を形成する。いったんビーム150,152を取り付けると、油圧リフト151を作動させてこれを地面に係合させ、それにより組み立てられた状態の車体110を上昇させてトレーラベッドを車体110の下から取り出すことができるようにする。次に、4つのクローラー組立体162,164,166,168を別のトレーラ台上に載せて作業現場まで送り、ここでこれらを積み降ろして車体110及びそれ自体に上述した方法で取り付ける(図6、図7及び図8C参照)。回転台116の前方部分250及び運転室106を、トレーラ台上に載せて作業現場まで輸送し、ここでこれらを図8Dに示すように周知の方法でアダプタフレーム149に取り付ける。次に、回転台116の後方部分134及びバランスウエイト136を別のトレーラ台上に載せて作業現場まで送り、次にこれらを周知の方法で回転台156の前方部分250に取り付ける(図8E及び図8F)。
【0020】
回転台116及びバランスウエイト136がいったん定位置に位置すると、クレーンブーム102及びマスト104を取り付けることができる。マスト104の頂部フレーム及び底部フレーム122、ブーム巻上ドラム127及びイクオライザを一つのトレーラ台上に載せて輸送し、マスト104の中間フレーム122をこれとは別のトレーラ台上に載せて輸送する。図8Gに示すように、マスト104の頂部及び底部フレーム122を互いに取り付ける。さらに、支持プレート155を図9A及び図9Bに概略的に示すように底部フレームに取り付けられている一対のブラケット157,159に取り付けることにより、ブーム巻上ドラム127をマスト104の底部フレーム内に回転自在に取り付ける。支持プレート155は、ブラケット157,159に取り付けられたピン304に嵌まる閉鎖された開口部300及びスロット302を有している。ブーム巻上ドラム127を底部フレーム122内に設けることにより、クローラークレーン100の組立て及び分解の際に顕著な利点が得られる。特に、第2のワイヤロープシステム126は、クローラークレーン100の組立て、輸送及び分解全体を通じて頂部及び底部フレーム122に取り付けられた状態に保たれ、これに対し、他のクローラークレーンでは、ワイヤロープシステムを分解中に取り降ろさなければならない。
【0021】
図8Gに示すように、頂部及び底部フレーム122を、周知の方法でアダプタフレーム149に取り付ける。頂部及び底部フレーム122を互いに離して中間フレーム122が頂部及び底部フレーム122相互間に位置した状態でこれらに取り付けるようにする(図8H参照)。図8Iに示すように、ワイヤロープシステム306を巻上ドラム308から引っ張ってこれをイクオライザ130に連結する。次に、巻上ドラム308を回転させてマスト104を上方に引き上げる(図8J参照)。
図8Jのマスト104一式は、クレーンブーム102をクローラークレーン100上で引き上げてこれを支持するのに用いられる。図8Kに示すように、クレーンブーム102の3つのフレーム112を、周知の方法でクローラークレーン102に隣接して互いに取り付ける。3つのフレーム112は、別個のトレーラ台上に載せて作業現場まで輸送される。第2のワイヤロープシステム126は、クレーンブーム102の頂端部を補助クレーンで吊り上げた状態で、イクオライザ129をクレーンブーム102の底部に係合させるよう配置される。次に、クレーンブーム102を周知の方法でアダプタフレーム149に取り付ける。次に、イクオライザ129をクレーンブーム102から外し、マスト104を下降させてついにはイクオライザ129が、クレーンブーム102上に位置するストラップ310上に位置するようにする。この段階で、イクオライザ129をストラップ310にピン止めし、ストラップ310をきつく引っ張る(図8L参照)。次に、巻上ドラム308を回転させてマスト104を図8Mの作業位置まで引き上げ、ここで巻上ドラム127を回転させてクレーンブーム102を直立位置まで吊り上げる(図8N)。図8Oに示すように、クローラークレーン100は、部分138,140を作業現場まで輸送してマスト104及びクレーンブーム102の長さを長くして、地面上に支持されている第2のバランスウエイト142を付け足すことにより、一層大きな荷重を吊り上げるよう改造できる。
【0022】
上述の説明は、図8N及び図8Oのクローラークレーン100の組立てに関するものであるが、クローラークレーン100の分解及び別の作業現場への輸送は、実質的に上述の組立て段階を逆にしたものであることは理解されよう。
車体110の形態の他の変形例は、本発明の精神から逸脱することなく想到できることは注目されたい。例えば、取付け状態の車体110及びクローラー組立体162,164,166,168の全幅を、ビーム150,152を取り除いてクローラー組立体を中央支持構造体148の4つのアタッチメント延長手段又はビーム159に直接取り付けることにより、約30フィート(約9m)に減少させることができる(図13参照)。各クローラー組立体162,164,166,168は、構造及び機能が、一対のピン及び下方開口部を有する上述の雄型挿入部品67と類似したアタッチメント部品312を有している。かくして、クローラー組立体をビーム159上に下降させてこれらのピンがフック163に係合して作業位置まで下方に回動し、ここでクローラー組立体を下方開口部内に挿入されたピンにより定位置に係止するようにする。この取付け方式の実際の作用効果は、幅の狭いクローラークレーン100が得られることであり、クローラー組立体の走行方向は、中央支持構造体148の前方側部156及び後方側部158に平行である。三角形に似たアウトリガ314を組立て状態のクローラー組立体に取り付けて安定性が一段と得られるようにするのが良いことは注目される。この実施形態では、クローラークレーン100の全ての構成部品及び全ての組立て手順は、特に断らなければ図1のクローラークレーン100について上述したのと同一であることは注目されたい。
【0023】
図13の実施形態を、ビーム316,318を車体に取り付けることにより47フィート(約14.3m)幅のクローラークレーン100に変形することができる。ビーム316,318は、中央支持構造体148への取付けのために図1の実施形態の場合のビーム150,152と同一のアタッチメント構造体を有している。ビーム316,318の端部は、アタッチメント部品312に向くようになっており、ビーム316,318の端部は、ビーム150,152の端部のものと類似したフック状構造部材を有している。したがって、ビーム316,318への組立て状態のクローラー組立体の取付けは、図1のクローラー組立体とビーム150,152の取付けと類似している。三角形の形のアウトリガ314を組立て状態のクローラー組立体に取り付けて安定性が一段と得られるようにするのが良い。この実施形態では、クローラークレーン100の全ての構成部品及び全ての組立て手順は、別段の断りがなければ、図1のクローラークレーンについて上述したものと同一であることは注目されたい。
【0024】
上記の説明は、本発明を例示するためのものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。特許請求に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の多くの改造例、置換例及び他の設計変更例を想到できよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクローラークレーンの実施形態の右側面図である。
【図2】本発明のクローラークレーンの第2の実施形態の右側面図である。
【図3】図1及び図2のクローラークレーンに用いられる車体とクローラー組立体から成るシステムの平面図である。
【図4A】図1〜図3並びに図13及び図14のクローラークレーンに用いられるクローラー組立体の平面図である。
【図4B】図4Aのクローラークレーンの左側面図である。
【図4C】図4A及び図4Bのクローラークレーンに用いられるクローラーフレームの右側面図である。
【図4D】図4Cのクローラーフレームの平面図である。
【図4E】図4Cのクローラーフレームの正面図である。
【図5A】図1〜図3並びに図13及び図14のクローラークレーンに用いられる車体のビームの平面図である。
【図5B】図1〜図3並びに図13及び図14のクローラークレーンに用いられる車体の側面図である。
【図5C】中央支持構造体と図5A及び図5Bの車体のビームとの間の連結部の平面図である。
【図5D】図5CのA−A線における図5Cの連結部の断面図である。
【図6A】図4A〜図4Eのクローラー組立体と図5A及び図5Bの車体との間の連結部の正面図である。
【図6B】図6Aの連結部に用いられる、車体・クローラー組立体用コネクタの正面図である。
【図7A】図1〜図3並びに図13及び図14のクローラークレーンに用いられる2つの互いに整列状態にあるクローラー組立体相互の連結部の平面図である。
【図7B】図7AのB−B線における図7Aの連結部の断面側面図である。
【図8A】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8B】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8C】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8D】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8E】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8F】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8G】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8H】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8I】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8J】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8K】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8L】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8M】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8N】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図8O】図1のクローラークレーンの組立ての進め具合を示す略図である。
【図9A】図1及び図2並びに図13及び図14のクローラークレーンに用いられる巻上ドラム支持体の側面図である。
【図9B】図9Aの支持体に用いられる支持プレートの正面図である。
【図10A】本発明を具体化したクローラークレーンが45.7mの上部構造体を使用した場合の吊上げ能力と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図10B】本発明を具体化したクローラークレーンが68.6mの上部構造体を使用した場合の吊上げ能力と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図10C】本発明を具体化したクローラークレーンが91.4mの上部構造体を使用した場合の吊上げ能力と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図11A】幅が1.2mのクローラートラックの場合のクローラーの前部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図11B】幅が1.2mのクローラートラックの場合のクローラーの側部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図11C】幅が1.2mのクローラートラックの場合のクローラーの中央部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図12A】幅が1.5mのクローラートラックの場合のクローラーの前部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図12B】幅が1.5mのクローラートラックの場合のクローラーの側部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図12C】幅が1.5mのクローラートラックの場合のクローラーの中央部に加わる接地圧と荷重時半径の関係を表すグラフ図である。
【図13】本発明による車体とクローラー組立体とから成るシステムの第2の実施形態の平面図である。
【図14】本発明による車体とクローラー組立体とから成るシステムの第3の実施形態の平面図である。
【符号の説明】
100 クローラークレーン
102 クレーンブーム
104 マスト
105 上部構造体
110 車体
118,126 ワイヤロープシステム
130 イクオライザ
136 バランスウエイト
150 ビーム
162,164,166,168 クローラー組立体

Claims (2)

  1. 車体/クローラーの組立体であって、
    第1の端部を備えた第1のビームと、第1の端部を備えた第2のビームとを備える車体と、
    前記第1のビームの第1の端部に取り付けられた第1のクローラー組立体と、
    前記第1のクローラー組立体に固定され、前記第2のビームの第1の端部に取り付けられた第2のクローラー組立体とを有し、
    前記第1のクローラー組立体及び前記第2のクローラー組立体は、恒久的に同じ移動方向に沿って移動するように互いに整列している
    ことを特徴とする車体/クローラーの組立体。
  2. 前記第1のクローラー組立体は、中央フレームと、該中央フレームの第1の側部に設けられた前記第1のクローラートラックと、前記中央フレームの前記第1の側部と反対側の第2の側部に設けられた第2のクローラートラックとを有する、請求項1記載の車体/クローラーの組立体。
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