JP4459361B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動変速機の制御装置においては、一般に、車速とスロットル開度から予め設定された単一のギヤシフトスケジューリング用マップ(変速特性)を検索して変速比を決定している。
【0003】
さらに、車速とスロットル開度から走行抵抗、より具体的には車両の登坂あるいは降坂勾配を示すパラメータを求め、求めた勾配パラメータから予め設定された降坂用、登坂用などの複数のマップ(変速特性)のいずれかを選択し、選択したマップを車速とスロットル開度から検索することで、登降坂に良好な変速比となるように制御する自動変速機の制御装置も、特開平5−71625号公報などから知られている。
【0004】
ところで、近時、車両走行を誘導するナビゲーション装置を装着した車両が普及しつつある。ナビゲーション装置は、CD−ROMなどに格納した地図情報を備えると共に、GPS(Global Positioning System)などから車両の現在位置を検出し、検出された現在位置を含む走行路の地図情報などのナビゲーション情報を提供する。
【0005】
かかるナビゲーション情報を用いることによって現在走行している走行路の詳細を認識あるいは予測できることから、ナビゲーション情報を自動変速機の制御に取り入れる試みが種々なされている。
【0006】
例えば特開平9−229175号公報は、ナビゲーション装置から出力される、予定走行経路上に位置して車両が通過する際には減速が必要となる特定位置(例えば交差点、T字路など)を検出し、自車から特定位置までの距離を算出し、算出距離と車速とから予め設定された変速マップに基づいて変速比(シフト位置あるいは変速段またはギヤ)を選択して変速制御を行う技術を開示する。
【0007】
具体的には、例えば前方に交差点があるとき、1km程度手前から徐々に減速することで、安全で滑らかな変速制御を実現している。
【0008】
また特開平10−61759号公報は、ナビゲーション装置から出力される、所定区間内の道路上に設定されたノードの座標から走行路の平均曲率と平均勾配を求め、それらの積から変速制御の必要性を判断すると共に、前記積が小さい場合、さらに所定区間を分割して狭い区間について同様の判断を行うことにより、特に登降坂において不要なシフトアップを抑制する技術を提案する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来技術においてはナビゲーション情報に基づいて進行方向前方の走行路の状況を予測して変速制御を行っているが、変速動作用のアクチュエータは油圧アクチュエータであることから、変速を判断して開始するとき、実際の変速動作は遅れを持つ。
【0010】
その結果、例えばコーナなどに進入してから変速を判断して開始すると、コーナの曲率が増加した付近で変速動作が行われ、走行路状況の対応が困難となる場合も生じ得る。
【0011】
その点で、特開平9−229175号公報提案の技術によるとき、所定距離手前から減速を開始することで、かかる事態を回避することができるが、ドライバビリティの点で不満が残るものであった。
【0012】
また、前記した従来技術によるとき、予定経路が判定できない場合、例えば交差点で直進か右左折の両方の可能性がある場合、予定経路が設定されていないと、変速制御することができなかった。また、例えば右折を予定経路としても直進してしまうなど、運転者が予定経路通り走行するとは限らず、予定経路に従って変速制御すると、不適切となる場合があった。
【0013】
さらに、この種の制御を行うとき、車速を所定値に制御する車速制御、即ち、クルーズ制御が実行されている場合、比較的高速でコーナに進入する場合が生じるが、そのような場合にも最適に変速制御する必要がある。
【0014】
従って、この発明の目的は従来技術の上記した不都合を解消し、ナビゲーションなどの情報に基づいて変速ポイントから進行方向前方の走行路の状況を予測して変速制御を行うと共に、変速ポイントを通過した時点で変速準備を開始して変速動作用の油圧アクチュエータの応答遅れを低減すると共に、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に即応した変速制御を可能とするようにした自動変速機の制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、車速とスロットル開度から車両の登坂勾配あるいは降坂勾配を示す勾配パラメータを求め、前記求めた勾配パラメータから予め設定された複数の変速特性のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比を決定する変速制御手段を備えた自動変速機の制御装置において、前記車両が走行する走行路について予め設定された第1および第2の変速ポイントを通過したか否か判定する変速ポイント通過判定手段、前記車両が前記第1の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記自動変速機の油圧クラッチに油圧を供給し、目標位置に向けて変速準備を開始する変速準備開始手段、および前記車両が前記第2の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記勾配パラメータを補正する勾配パラメータ補正手段を備え、前記変速制御手段は、前記補正された勾配パラメータに基づいて前記複数の変速特性のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比を決定すると共に、前記車速を所定値に制御する車速制御手段、前記車両の前方に位置するコーナの曲率を検出して前記検出されたコーナを走行するに必要な舵角を算出する舵角算出手段、前記車両の舵角を検出する舵角検出手段、および前記算出された必要な舵角と検出された舵角の差を求め、求めた舵角差が所定値を超えるか否か判断する舵角差判断手段を備え、前記変速制御手段は、前記車速制御手段が動作しているときに前記舵角差が所定値を超えると判断される場合、前記第2のポイントを通過したと判定された後、前記変速比を増加方向に変更する如く構成した。尚、ここで、『変速ポイント』は車両に搭載される機器によって設定されるものでも良く、あるいは走行路に設置されるものでも良い。
【0016】
これによって、ナビゲーションなどの情報に基づいて変速ポイントから進行方向前方の走行路の状況を予測して変速制御を行うことができると共に、変速ポイント(第1の変速ポイント)を通過した時点で油圧クラッチに油圧を供給し、目標位置に向けて変速準備を開始することから、変速動作用の油圧アクチュエータの応答遅れを低減することができる。
【0017】
その結果、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)などを走行するときも、走行路に即応した変速制御を行うことができる。
【0018】
さらに、車速制御手段が動作しているときに舵角差が所定値を超えると判断される場合、第2のポイントを通過したと判定された後、変速比を増加方向に変更する如く構成したので、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に即応した変速制御を行うことができる。
【0019】
請求項2項にあっては、前記変速制御手段は、少なくとも前記必要な舵角に基づいて前記変速比を増加方向に変更する如く構成した。
【0020】
少なくとも前記必要な舵角に基づいて変速比を増加方向に変更する如く構成したので、必要な舵角が大きいほどシフト位置を2速分などと増加方向に大きく変速、より具体的にはシフトダウンすることができ、換言すれば、コーナの曲率Rが増加するほど減速させることができ、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に一層即応した変速制御を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1はこの発明に係る自動変速機の制御装置を全体的に示す概略図である。
【0023】
図1において、車両(後述する駆動輪Wなどで断片的に示す)1は、内燃機関(以下「エンジン」という)Eおよび自動変速機(以下「トランスミッション」という)Tを備える。
【0024】
内燃機関Eのクランクシャフト10は、トランスミッションTのトルクコンバータ12を介してメインシャフトMS(変速機入力軸)に接続される。図示のトランスミッションTは平行軸式であって、メインシャフトMSとそれに平行に設けられたカウンタシャフトCSとセカンダリシャフトSSとを備える。それぞれのシャフト上には、ギヤが支持される。
【0025】
具体的には、メインシャフトMS上には、メイン1速ギヤ14、メイン3速ギヤ16、メイン4速ギヤ18、およびメインリバースギヤ20が支持されると共に、カウンタシャフトCS上には、メイン1速ギヤ14に噛合するカウンタ1速ギヤ22、後述する第2セカンダリ2速ギヤに噛合するカウンタ2速ギヤ23、メイン3速ギヤ16に噛合するカウンタ3速ギヤ24、メイン4速ギヤ18に噛合するカウンタ4速ギヤ26、およびメインリバースギヤ20にリバースアイドルギヤ28を介して噛合されるカウンタリバースギヤ30が支持される。
【0026】
他方、セカンダリシャフトSS上には、第1セカンダリ2速ギヤ32および第2セカンダリ2速ギヤ34が支持される。上記においてメインシャフトMS上に相対回転自在に支持されたメイン1速ギヤ14を1速用油圧クラッチC1でメインシャフトMS上に結合すると、1速(シフト位置あるいは変速段(変速比))が確立する。
【0027】
1速用油圧クラッチC1は、2速〜4速変速段の確立時にも係合状態に保持されるため、カウンタ1速ギヤ22は、ワンウェイクラッチCOWを介して支持される。尚、後述するレンジにおいて1,2レンジが選択されたときに駆動輪W側から内燃機関Eを駆動できる、換言すればエンジンブレーキとして機能するように、1速ホールドクラッチCLHが設けられる。
【0028】
また、セカンダリシャフトSS上に相対回転自在に支持された第2セカンダリ2速ギヤ34を2速用油圧クラッチC2でセカンダリシャフトSS上に結合すると、メイン3速ギヤ16、カウンタ3速ギヤ24、第1セカンダリ2速ギヤ32およびカウンタ2速ギヤ23を介して、2速(シフト位置あるいは変速段(変速比))が確立する。
【0029】
カウンタシャフトCS上に相対回転自在に支持されたカウンタ3速ギヤ24を3速用油圧クラッチC3でカウンタシャフトCS上に結合すると、3速(シフト位置あるいは変速段(変速比))が確立する。
【0030】
更に、カウンタシャフトCS上に相対回転自在に支持されたカウンタ4速ギヤ26をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMS上に相対回転自在に支持されたメイン4速ギヤ18を4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMS上に結合すると、4速(シフト位置あるいは変速段(変速比))が確立する。
【0031】
カウンタシャフトCS上に相対回転自在に支持されたカウンタリバースギヤ30をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCS上に結合した状態で、メインシャフトMS上に相対回転自在に支持されたメインリバースギヤ20を前記4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMS上に結合すると、後進ギヤが確立する。
【0032】
そして、カウンタシャフトCSの回転は、ファイナルドライブギヤ36およびそれに噛合するファイナルドリブンギヤ38を介してディファレンシャルDに伝達され、それからドライブシャフト40を介して駆動輪Wに伝達される。
【0033】
エンジンEの吸気路(図示せず)に配置されたスロットルバルブ(図示せず)の付近には、スロットル開度センサS1が設けられ、スロットル開度THに応じた信号を出力する。またファイナルドリブンギヤ38の付近には車速センサS2が設けられ、ファイナルドリブンギヤ38の回転速度から車速Vに応じた信号を出力する。
【0034】
メインシャフトMSの付近には入力軸回転速度センサS3が設けられてトランスミッションの入力軸回転数NMに応じた信号を出力すると共に、カウンタシャフトCSの付近には出力軸回転速度センサS4が設けられ、トランスミッションの出力軸回転数NCに応じた信号を出力する。
【0035】
車両運転席床面に装着されたシフトレバー44の付近にはシフトレバーポジションスイッチS5が設けられ、P,R,N,D4,D3,2,1の7種のレンジのうち、運転者が選択したレンジに応じた信号を出力する。
【0036】
さらに、エンジンEのクランクシャフト10の付近にはクランク角センサS6が設けられ、クランクシャフト10の回転からエンジン回転数(速度)NEに応じた信号を出力すると共に、シリンダブロック(図示せず)の適宜位置には水温センサS7が設けられ、エンジンEの冷却水温Twに応じた信号を出力する。
【0037】
また、車両運転席床面のブレーキペダル(図示せず)の付近にはブレーキスイッチS8が設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれてブレーキ(図示せず)が作動させられたときオン信号を出力すると共に、トランスミッションTの適宜位置には油温センサS9が設けられ、油温、即ち、ATF温度に応じた信号を出力する。
【0038】
また、車両運転席のステアリングホイール(図示せず)には舵角センサS10が設けられ、ステアリングホイールを介して運転者によって入力された舵角(車両1の舵角)θstに応じた信号を出力する。
【0039】
これらセンサ出力およびスイッチ出力は、ECU(電子制御ユニット)に送られる。
【0040】
ECUはCPU50、ROM52、RAM54、入力回路56および出力回路58から構成され、前記したセンサ出力は、入力回路56を介してECU内に入力される。ECUにおいてCPU50は、ロックアップクラッチ制御を含む後述する変速制御を行う。
【0041】
ECUは油圧制御回路Oを備える。油圧制御回路OはシフトソレノイドSL1,SL2と、トルクコンバータ12のロックアップクラッチのオン/オフ制御用ソレノイドSL3と容量(係合力)制御用ソレノイドSL4と、前記した油圧クラッチを制御するためのリニアソレノイドSL5を備える。
【0042】
CPU50は出力回路58を通じて指令値を油圧制御回路Oに送出し、シフトソレノイドSL1,SL2を励磁・非励磁して図示しないシフトバルブを切り替え、所定の変速段の油圧クラッチを解放・締結すると共に、リニアソレノイドSL5を介してクラッチ力を制御し、さらにソレノイドSL3を介してトルクコンバータ12のロックアップクラッチLをオン/オフ制御し、ソレノイドSL4を介してクラッチ容量を制御する。
【0043】
さらに、図示の装置は、ナビゲーション装置70を備える。ナビゲーション装置70は、CPU72を有するマイクロコンピュータからなると共に、車両走行予定地域の地図情報、山岳路および市街地の種別、およびマーカ(変速ポイント。後述)などのナビゲーション情報などを記憶したCD−ROM74、およびGPSからの信号をアンテナ76を介して受信するGPS受信装置78を備える。
【0044】
ECUのCPU50とナビゲーション装置70のCPU72とは双方向通信自在に接続され、CPU50はナビゲーション装置70のCPU72を介して上記したナビゲーション情報を入力し、それに基づいて制御(以下「NAVI−AT協調制御」という)を行う。
【0045】
さらに、図示の装置は、クルーズ制御装置(車速制御装置)80を備える。クルーズ制御装置はCPU82からなるマイクロコンピュータおよびスロットルアクチュエータ84ならびにブレーキアクチュエータ86からなる。前記したスロットル開度センサS1および車速センサS2(並びに図示しないセットスイッチなどのクルーズ制御用スイッチ)の出力は、クルーズ制御装置80のCPU82にも入力される。
【0046】
クルーズ制御装置80においてCPU82は、これらセンサ入力およびスイッチ入力に基づいて運転者によって指定された所定車速となるようにスロットルアクチュエータ84およびブレーキアクチュエータ86を動作させ、スロットルバルブおよびブレーキの動作を制御する。ECUのCPU50とクルーズ制御装置80のCPU82とは双方向通信自在に接続される。
【0047】
さらに、図2以下を参照してこの装置の動作を説明する。
【0048】
理解の便宜のため、この制御が前提とする、前記した特開平5−71625号公報に記載された変速制御について図2フロー・チャートを参照して説明する。図示のプログラムは、20msecごとに実行される。
【0049】
図2の処理を概括すると、図3に示すように、予想加速度と実加速度を求めてその差分の平均値(前記した勾配パラメータに相当)を算出し、算出値に応じて5種のシフトマップ(平坦路用、重登坂用、軽登坂用、重降坂用、および軽降坂用)ならびにコーナスポーツマップ(後述)のいずれかを選択し、選択したマップを検出した車速Vとスロットル開度THから検索してシフト位置(変速段あるいは変速比)を決定する。尚、その詳細はこの公報に記載されているので、以下の説明は簡単に止める。
【0050】
図2の説明に戻ると、先ず、S10において車速V、スロットル開度THなど必要な制御パラメータを検出あるいは算出し、S12に進んで予想加速度GGHを検索する。予想加速度は、平坦路を走行するとき車両1に期待される走行加速度を3速についてのみ予め設定しておき、検出した車速Vとスロットル開度THから検索する。
【0051】
続いてS14に進み、実加速度HDELVを算出する。具体的には、検出した車速の1階差分値から車両1が実際に発生している実加速度を求め、予め設定された特性を検出した車速Vとスロットル開度THから検索して補正係数を求め、それを実加速度に乗じて3速相当値に補正して算出する。
【0052】
続いてS16に進み、求めた予想加速度と実加速度の差を算出して登降坂差分PNOあるいはPKUとする。続いてS18に進み、ブレーキスイッチS8(BRK)がオンしているか否か判断し、肯定されるときはS20に進んでブレーキタイマ(ダウンカウンタ)TMPAVBに所定値YTMPAVBをセットする(このタイマはブレーキが戻された時点でスタートする)。
【0053】
これは、ブレーキが一旦操作された後は、ブレーキが戻されても制動系の応答遅れから制動力が零にならないため、このタイマ値相当時間をブレーキ操作中とみなすための処理である。
【0054】
続いてS22に進み、D4レンジなど登降坂制御必要レンジか否か判断し、肯定されるときはS24に進み、登降坂制御必要レンジ間でレンジ切替中か否か判断する。S24で否定されるときはS26に進んでタイマTMPAHN2に所定値YTMPAHN2をセットしてスタートさせる(このタイマは時間計測してレンジ切替えが正常かどうかを確認するためのものである)。
【0055】
続いてS28に進み、フラグBRKOK2のビットを参照してブレーキ信号が正常か否か判断し、正常と判断されるときはS30に進んでレンジ切替中か否か再び判断し、否定されるときはS32に進んで第2のタイマTMPAHNの値が0に達したか否か判断する(このタイマは変速中か否か判断するためのタイマである)。
【0056】
S32でタイマ値が0と判断されるときは変速中ではないと判断してS34に進み、現在のシフト位置(変速段あるいは変速比)SHが1速か否か判断する。これは、1速のときはダウンシフトがあり得ないことから演算を簡略にするためである。
【0057】
S34で否定されるときはS36に進み、登降坂差分の平均値PNOAVEあるいはPKUAVEを算出する。これは、登降坂差分PNOあるいはPKUの算出値と前回平均値の加重平均値を求めることで算出する。
【0058】
ここで、PNOAVEが前記した登坂勾配を示す勾配パラメータに、PKUAVEが降坂勾配を示す勾配パラメータに相当する。以下、両者を総称とするとき『勾配パラメータ』と、別々に指称するとき『登坂勾配パラメータ』あるいは『降坂勾配パラメータ』という。
【0059】
尚、S22で否定されるときはS38に進み、不要となったタイマをリセットすると共に、S42に進んで勾配パラメータPNOAVEあるいはPKUAVEを零にする。S28でブレーキ信号が正常ではないと判断されたときも同様である。
【0060】
またS30でレンジ切替え中と判断されてS40に進み、そこで肯定されてタイマ値が零に達したと判断された場合はレンジ切替えに長時間を要して断線などの異常が生じたと判断できるので、S42に進んで差分平均値は零とすると共に、否定されるときはS44に進み、勾配パラメータを前回値のままとする。
【0061】
またS32でシフト中(変速中)と判断されたときもシフト位置(変速段あるいは変速比)を確定できず、加速度も安定しないため、S44に進む。S34で肯定されて1速と判断されるときも同様である。
【0062】
続いてS45に進み、上記した変速制御とナビゲーション装置70から得られるナビゲーション情報に基づく制御(NAVI−AT協調制御)を行う。これについては後述する。
【0063】
続いてS46に進んで登降坂MAPS1,2を判別する。この制御においては前記の如く、複数のマップ(変速特性)、より詳しくは図4に示す如く、重登坂用、軽登坂用、平坦路用、軽降坂用および重降坂用の5種のマップを用意すると共に、それに0から4までのマップ番号を付して特定する。尚、上記に加え、後述するNAVI−AT協調制御においては、降坂コーナ走行時用としてコーナスポーツマップなるマップも用意する。
【0064】
S46の処理は、図4および図5に示す如く、勾配パラメータPNOAVEあるいはPKUAVE(あるいはPKUAVE2。後述)を基準値PNOnm,PKUnmと比較し、特定されたマップ番号が論理的に取り得る最小マップ(「MAPS1」という)と最大マップ(「MAPS2」という)を決定する作業である。
【0065】
図6に平坦路用マップの特性を、図7に軽登坂用(軽降坂用)マップの特性を、図8に重降坂用マップの特性を、図9にコーナスポーツマップの特性を示す(軽登坂マップと軽降坂マップは同一とする)。
【0066】
これらのマップは3速領域の設定で異なる。即ち、平坦路用マップに比して軽登坂(軽降坂)用マップは低スロットル開度域で拡大され、軽登坂(軽降坂)用マップに比して重降坂用は中高スロットル開度域でスロットル開度THで拡大される(低スロットル開度域ではシフトアップのため逆に縮小される)。
【0067】
図2の説明に戻ると、続いてS48に進み、求めた最小マップ(MAPS1)と最大マップ(MAPS2)のいずれかを選択(決定)する。選択(決定)したマップを「MAPS」という。
【0068】
図10はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0069】
以下説明すると、S100で現在選択されているマップ(MAPS)とMAPS2(最大マップ)を比較する。論理的にはマップ番号において最大マップ≧選択マップ≧最小マップとなるように選択すべきマップを決定すれば良い。
【0070】
従って、先ずS100で現在のマップが最大マップを超えているか否か判断し、超えていると判断されるときは、選択マップのマップ番号を最小値0と仮定すればマップ番号”1,2,3,4”のいずれかになるので、S102に進み、現在の選択マップが番号2(平坦路用マップ)か否か判断する。
【0071】
S102で選択マップが番号2(平坦路用マップ)を超えていると判断されるときはマップ番号は”3,4”となり、降坂用マップとなるので、S104に進み、選択マップのマップ番号から”1”を減算したマップに決定する。
【0072】
一方、S102で選択マップが平坦路用マップ以下と判断されるときは”2,1”のいずれかとなり、平坦路用から軽登坂用または軽登坂用から重登坂用への切り換えとなるが、マップによって3速領域が異なることから、現在4速にあるときにはマップを切り換えると直ちに3速へシフトダウンされる恐れがあり、これは運転者が予期しないシフトダウンであって好ましくない。
【0073】
それを回避するため、S106に進み、現在のシフト位置が3速か否か判断し、3速以下と判断される場合のみマップを平坦路用から軽登坂用へ、ないしは軽登坂用から重登坂用へと切り換える。従って、4速にあるときはマップ切り換えは中止される。
【0074】
他方、S100で選択マップが最大マップ以下と判断されるときは上限側の条件は満足されているので、下限側について判定するためにS108に進み、選択マップがMAPS1(最小マップ)以上か否か判断し、最小マップ以上と判断されるときは前記した論理式を満足しているので、マップを切り換えない。
【0075】
S108で選択マップのマップが最小マップ未満と判断されるときは最小マップ以上の値に修正する必要があるのでS110に進み、選択マップと平坦路用マップとを比較する。
【0076】
選択マップが平坦路用より小さいと判断される場合、取るべきマップは”1,2”のいずれかと言うことになるので、S112に進み、現在のマップに1を加算して増加補正する。従って現在軽登坂用マップを使用していれば平坦路用マップに、現在重登坂用マップを使用していれば軽登坂用マップに切り換えることになる。
【0077】
S110で選択マップが平坦路用マップ以上と判断されたときは現在の選択マップの番号は”2”か”3”となり、”2”か”3”からの加算の場合には3速領域の拡大の問題がある。
【0078】
そこで、S114に進んで現在3速以下にあるか否か判断し、現在3速以下であれば予期しないシフトダウンが生じないので、S112に進んで直ちにマップ切り換えを行うと共に、4速と判断されるときはS116に進み、選択マップと平坦路用マップとを比較する。
【0079】
S116で選択マップが平坦路用マップと判断されるときはS118に進み、検出した車速Vを所定値YKUV1と比較すると共に、現在の選択マップが平坦路用マップではない、即ち軽降坂用マップと判断されるときはS120に進み、検出した車速Vを別の所定値YKUV3と比較し、それらのステップで車速が所定値以上と判断されるときはS112にジャンプしてマップ切り換えを行う。これらの処理は、運転者が予期しないダウンシフト防止のためである。
【0080】
またS118,S120で現在の車速が境界車速未満と判断されるときはS122に進み、スロットル開度THが全閉付近の開度CTH以下か否か判断する。ここで否定されるときはアクセルペダルが踏まれていることを意味し、しかも4速でアクセルペダルを踏んでいることを意味するので、ダウンシフト回避のため、S112をスキップしてマップ切り換えを行わない。
【0081】
逆にS122で肯定されるときはアクセルペダルが踏まれていず、運転者の減速意図が窺えるので、S124に進み、選択マップが平坦路用のものか否か再び判断し、肯定されるときはS112に進み、マップ切り換えを行う。
【0082】
またS124で否定されるときは選択マップが軽降坂用マップとなるので、S126に進んでブレーキ操作が行われているか否か判断して運転者が真に減速意図を有しているか否か判断する。ブレーキ操作が行われていないときは運転者が減速意図を有していないと思われるので、S112はスキップしてマップ切り換えを行わない。
【0083】
他方、ブレーキ操作中と判断されるときはS128からS136に進んで減速度データYDVOAを選択し、S138に進んで選択した減速度データYDVOAを実際の減速度DTV(ブレーキ操作中の単位時間当たりの車速の減少量)と比較し、実際の減速度DTVが選択した減速度データ以下と判断されるときは急減速と判断し、S112に進んでマップ切り換えを行う。
【0084】
即ち、ブレーキ操作が行われていて運転者が減速を意図している場合であってもシフトダウン時の減速度は高車速ほど大きいので、高車速ほどブレーキによる減速度が大きくならないと、マップが切り換え難くすると共に、比較結果から急減速が意図されていると判断されるときのみマップ切り換えを行ってダウンシフトさせる。尚、S138で実際の減速度DTVが選択した減速度データを超えると判断されるときは、S112をスキップする。
【0085】
続いて、S140に進み、決定されたマップ(番号)が”4”(重降坂用)か否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS141に進み、フラグF.CSNAVI(後述)のビットが1か否か判断し、肯定されるときはS142に進み、マップMAPSをコーナスポーツマップに切り換える。これについては後述する。
【0086】
他方、S141で否定されるときはS143に進み、検出したスロットル開度THが所定開度THREF(例えば(2/8)×WOT〔度〕)以上か否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS144に進んでマップ(番号)を強制的に3(軽降坂用)に書き換える。
【0087】
これは、スロットル開度THが所定開度以上踏み込まれたときは運転者がエンジンブレーキの補助を要求していず、むしろ加速を望んでいるものとみなしてマップを軽降坂用に切り換えるためである。
【0088】
図2フロー・チャートに戻ると、次いでS50に進み、検出した車速Vとスロットル開度THから決定(選択)したマップを検索し、出力シフト位置(変速段あるいは変速比)SOを決定する。
【0089】
上記を前提として図2のフロー・チャートのS45のNAVI−AT協調制御について説明する。
【0090】
図11はその動作を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0091】
以下説明すると、先ずS200において車両1がナビゲーション装置70を装着した車両か否か判断する。これは、前記したナビゲーション装置70のCPU72と通信可能か否かで判断する。
【0092】
S200で肯定されるときはS202に進み、ナビゲーション装置70が正常に動作しているか否か判断する。これは、ナビゲーション装置70のCPU72と通信し、ナビゲーション装置70において故障検知を示す適宜なフラグのビットが1にセットされているか否か判定することで判断する。
【0093】
S202で肯定されるときはS204に進み、GPSからの受信状態が良好か否か同様の手法で判断し、肯定されるときはS206に進み、(超過)積載重量(積載Wt)を推定する。
【0094】
図12はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0095】
以下説明すると、S300においてエンジンEの出力が正常か否か判断する。検出水温が所定範囲にあり、検出大気圧が所定大気圧以上にあって(換言すれば所定以上の高度になく)、さらに図示しないエンジン制御ECUの故障検知フラグを参照してもエンジンEに故障が検知されていないとき、エンジンEの出力が正常と判断する。
【0096】
S300で肯定されるときはS302に進み、トランスミッションTが正常か否か判断する。検出油温(ATF温度)が所定範囲にあり、さらに図示しないトランスミッション故障検知フラグを参照してトランスミッションTに故障が検知されていないとき、トランスミッションTが正常と判断する。尚、油温センサS9の設置を省略し、水温センサS7の検出値を使用しても良い。
【0097】
S302で肯定されるときはS304に進み、積載重量推定区間か否か判断する。これは、ナビゲーション装置70の情報から、現在、平坦路、即ち、勾配抵抗のない路面を走行しているか否か判断することで行う。
【0098】
S304で肯定されるときはS306に進み、前記した登坂勾配パラメータPNOAVEをしきい値#PNOHE1(図13に示す)と比較し、登坂勾配パラメータPNOAVEがしきい値#PNOHE1以上と判断されるときはS308に進み、登坂勾配パラメータPNOAVEからしきい値#PNOHE1を減算した値を(超過)積載重量推定値HWTNAVIとする。
【0099】
具体的には、図示の如く、重み係数#HKを用い、加重平均して学習制御することで(超過)積載重量推定値HWTNAVIを算出する。尚、車重(乗員数)はエンジン停止の度に変わる可能性があるので、学習値はエンジン停止後は保持しない。
【0100】
しきい値#PNOHE1は標準的な重量(2名)を積載した車両の登坂勾配パラメータを示すに足る値を実験により求めて適宜設定する。登坂勾配パラメータ(車両走行加速度)がそのしきい値以上のときは、期待する加速度が得られていない、即ち、積載重量が標準値より多いと判断し、登坂勾配パラメータPNOAVEからしきい値#PNOHE1を減算して得た差を(超過)積載重量HWTNAVIと推定する。
【0101】
図13に示す如く、乗員2名(各人体重50kgと想定)を標準とするとき、積載重量の推定値HWTNAVIは、登坂勾配パラメータPNOAVEが増加するにつれて増大するように設定される。
【0102】
一方、S304で否定され、現在、登降坂路を走行していると判断されるときはS310に進み、(超過)積載重量推定値HWTNAVIは前回値(図2フロー・チャートの前回プログラムループ時の算出値)を保持する。
【0103】
また、S300あるいはS302で否定されるときはS312に進み、積載重量は標準値とみなし、保持されている(超過)積載重量推定値HWTNAVIがあるとき、それをクリアして零にする。これは、S306で登坂勾配パラメータPNOAVEがしきい値#PNOHE1未満と判断されるときも同様である。
【0104】
図11の説明に戻ると、続いてS208に進み、NAVI協調降坂路制御を行う。
【0105】
図14はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0106】
以下説明すると、S400で登坂勾配パラメータPNOAVEを第2のしきい値#PNOHE2と比較する。ここで、しきい値#PNOHE2は、車両1が登坂路にあることを示すに足る値を実験により求めて適宜設定する。
【0107】
S400で登坂勾配パラメータPNOAVEが第2のしきい値#PNOHE2以上と判断されるときは登坂路にあると判断してS402に進み、タイマTMNAVIH(ダウンカウンタ)に所定値#TMNAVIHをセットしてスタートさせ、時間計測を開始する。
【0108】
続いてS404に進み、降坂勾配パラメータPKUAVEをPKUAVE2と書換え、S406に進み、タイマTMWTHに所定値#TMWTHをセットしてスタートさせ、時間計測を開始する。このタイマは後述するAT単独降坂制御で使用する。
【0109】
一方、S400で登坂勾配パラメータPNOAVEが第2のしきい値#PNOHE2未満と判断されるときは平地あるいは降坂路にあると判断してS408に進み、登降坂補正区間、より詳しくは山岳路における距離において比較的長い、例えば1km程度の登降坂路にあるか否か判断する。これは、ナビゲーション情報から判断する。
【0110】
S408で肯定されるときはS410に進み、前記タイマTMNAVIHに所定値#TMNAVIHをセット(スタート)して時間計測を開始し、S412に進み、降坂勾配パラメータPKUAVEに前記した積載重量推定値HWTNAVIを加算して降坂勾配パラメータPKUAVEを増加補正すると共に、増加補正された値をPKUAVE2と書き換える。
【0111】
他方、S408で否定されて登降坂補正区間にないと判断されるときはS414に進み、降坂勾配パラメータPKUAVEを第3のしきい値#PKUNAVIHと比較する。ここで、しきい値#PKUNAVIHは、車両1が所定勾配以上の急な降坂路にあることを示すに足る値を実験により求めて適宜設定する。
【0112】
S414で降坂勾配パラメータPKUAVEが第3のしきい値#PKUNAVIH未満と判断されるときは平地あるいは登坂路あるいは緩やかな降坂路を走行しているとみなしてS402に進むと共に、S414で降坂勾配パラメータPKUAVEが第3のしきい値#PKUNAVIH以上と判断されるときは急な降坂路を走行しているとみなしてS416に進み、前記した第1のタイマTMNAVIHの値が零に達したか否か判断する。
【0113】
S416で否定されるときはS404に進むと共に、肯定されてタイマ値が0に達したと判断されるときはS412に進み、前記した(超過)積載重量推定値HWTNAVIを降坂勾配パラメータPKUAVEに加算して増加補正し、増加補正された値をPKUAVE2と書き換える。
【0114】
図12および図14の処理について図15タイム・チャートを参照して説明すると、ナビゲーション情報および登坂勾配パラメータから平地にあると判断されるとき、換言すれば勾配抵抗の影響を受けないとき、標準値を超過する積載重量を推定する。
【0115】
次いでナビゲーション情報および登坂勾配パラメータから登降坂補正区間にあると判断されるときは、降坂勾配パラメータPKUAVEを(超過)積載重量推定値HWTNAVIだけ増加補正する。
【0116】
また、登降坂補正区間外にあっても、降坂勾配パラメータPKUAVEから急な降坂路にあると判断されるときは、その降坂路状態が所定時間#TMNAVIH(より詳しくは距離において500mに相当する値)継続するときは、降坂勾配パラメータPKUAVEを同様に増加補正する。
【0117】
その結果、図4に示す如く、降坂勾配パラメータPKUAVE2が増加することから、図2のS46,S48ならびに図10などの処理においてマップが平坦路用から軽降坂用、軽降坂用から重降坂用と切り換えられて3速域が多用され、降坂路を走行するときに運転者に意図する駆動力を与えることができる。
【0118】
即ち、エンジンブレーキを効き易くしてブレーキ踏力を低減させることができ、降坂時のドライバビリティを向上させることができる。このように、図2あるいは図10などの処理において、PKUAVE2は、PKUAVEと等価な降坂勾配パラメータとして扱われる。
【0119】
この場合、ナビゲーション情報から山岳路における登降坂補正区間にあるか否か検知するので、市街地の立体交差などの短区間を登降坂補正区間と誤認することがない。また、ナビゲーション情報が誤っていたとしても、補正は、ナビゲーション情報と登坂勾配パラメータの両者が一致したときに求めた(超過)積載重量を降坂勾配パラメータに増加補正して行うので、誤ったナビゲーション情報から影響を受けることがない。
【0120】
それ以外にも、降坂勾配パラメータから降坂状態を検知して補正を行うが、降坂状態が所定時間(500m相当値)続いたときのみ行うので、同様に市街地の立体交差などの短区間で不要なマップ切り換えを行うことがない。従って、図15の市街地の立体交差等のUPDOWNと記載した箇所に破線で示すように、3速に不要にシフトダウンされることがない。
【0121】
図11の説明に戻ると、続いてS210に進み、経路誘導中か否か判断する。これはナビゲーション装置70において経路誘導モードが選択されているか否か判定することで判断する。S210で肯定されるときはS212に進み、車両走行が経路上にあるか否か判断する。これも、ナビゲーション装置70において経路モードが選択され、かつ経路上に車両1が位置しているか否か判定することで行う。
【0122】
S212で肯定されるときはS216に進み、NAVI協調降坂コーナ制御を行う。
【0123】
尚、S212で否定されるときはS214に進み、ナビゲーション情報から前方に分岐路があるか否か判断し、否定されるときはS216に進んでNAVI協調降坂コーナ制御を行うと共に、肯定されるときは、経路走行ではない場合、分岐路があるとき、運転者が分岐路のいずれを選択するか分からないので、S216(NAVI協調降坂コーナ制御)をスキップする。
【0124】
図16はそのNAVI協調降坂コーナ制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0125】
以下説明すると、S500において登坂勾配パラメータPNOAVEを前記した第2のしきい値#PNOHE2と再び比較し、登坂勾配パラメータPNOAVEがしきい値#PNOHE2未満と判断されるときは平地あるいは降坂路を走行していると判断してS502に進み、ナビゲーション情報から進行方向前方にコーナ(湾曲路)があるか否か検出する。コーナが検知されるときは、ナビゲーション情報からコーナの曲率Rも入力する。
【0126】
S502で肯定されるときはS504に進み、スロットル開度THが所定スロットル開度#THCSNAVIを超えるか否か判断する。所定スロットル開度#THCSNAVIは、運転者がコーナでコーナスポーツマップ(特性)に基づく変速制御を意図しているか否か判断するためのしきい値であり、実験により求めて適宜設定する。
【0127】
S504で否定されるときは運転者にそのような意図が見られないと判断してS506に進み、降坂勾配パラメータPKUAVE2に所定値HCUNAVInを加算して増加補正し、増加補正された値をPKUAVE2と書き換える。その結果、重降坂マップあるいは軽降坂マップが選択されることになる。所定値HCUNAVInは固定値ではなく、車速と(後述する図18(a)に示す如く)コーナの曲率Rが増加するほど増大するように設定する。
【0128】
他方、S504で肯定されるときは運転者にそのような意図が見られると判断してS508に進み、コーナスポーツマップ判定フラグF.CSNAVIのビット(初期値0)を1にセットする(その結果、図10のS141で肯定されてS142に進み、コーナスポーツマップが選択される)。次いでS510に進み、降坂勾配パラメータPKUAVE2に第2の所定値HCSNAVInを加算して増加補正する。
【0129】
この実施の形態において、図4および図5に示す如く、コーナスポーツマップは重降坂用マップ(マップ番号4)と等価な関係にあり、重降坂マップが選択される状態にあるとき、スロットル開度THが前記所定値#THCSNAVIを超えればコーナスポーツマップが、然らざれば重降坂マップが選択されるように構成される。
【0130】
コーナスポーツマップは図9に示す如く、重降坂用マップに比較して3速領域が拡大されていることから、図17タイム・チャートに示す如く、降坂時にコーナを走行するとき、3速が使用され、運転者の意図通りの特性を与えることができる。
【0131】
ここで、所定値HCSNAVInも、前記した所定値HCUNAVInと同様に、車速の増加に応じて増大するように設定すると共に、図18(b)に示す如く、コーナの曲率Rが増加するにつれて増大するように設定する。
【0132】
それによって、コーナの曲率が増すにつれて3速領域が多用されることになり、運転者の意図する駆動力増加に良く応えることができ、ドライバビリティを向上させることができる。これは分岐路を経由した場合も同様である。図17の下部および図18(c)(d)に示す如く、かかる制御が行われなければ、4速に制御され、運転者の意図に良く応えることができない。
【0133】
尚、この実施の形態では3速、4速の場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、車速、コーナ曲率、スロットル開度に応じて1速から3速の間でも適宜設定することができる。その場合には図18(a)のマップ特性をそれに応じて設定すれば良いので、詳細な説明は省略する。
【0134】
尚、図16においてS500で登坂勾配パラメータPNOAVEがしきい値#PNOHE2以上と判断されるときは登坂路を走行していると推定されるので、S512に進み、前記フラグのビットを0にリセットする。S502で進行方向前方にコーナがないと判断されるときも同様である。
【0135】
図11に戻ると、S200ないしS204のいずれかで否定されるとき、即ち、ナビゲーション装置を装着していない、ナビゲーション装置が正常に動作していない、あるいはGPSの受信状態が良好ではないときは、ナビゲーション情報を使用し難いことから、S218に進み、ナビゲーション情報なしの降坂制御(以下「AT単独降坂路制御」という)を行う。
【0136】
図19はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0137】
以下説明すると、S600において降坂勾配パラメータPKUAVEを所定値#PKUWTHと比較する。所定値#PKUWTHは、単独降坂制御を行う降坂路にあるか否かを判定するためのしきい値であり、適宜実験により求めて設定する。
【0138】
S600で降坂勾配パラメータPKUAVEが所定値#PKUWTH未満と判断されるときは平地あるいは登坂路を走行しているとみなしてS602に進み、タイマTMWTH(ダウンカウンタ)に所定値#TMWTHをセットしてスタートさせ、時間計測を開始し、S604に進み、降坂勾配パラメータPKUAVEをPKUAVE2と書き換える。
【0139】
続いてS606に進み、NAVI協調降坂路制御で使用するタイマTMNAVIHに所定値#TMNAVIHをセットしてスタートさせ、時間計測を開始する。
【0140】
他方、S600で降坂勾配パラメータPKUAVEが所定値#PKUWTH以上と判断されるときは降坂路とみなしてS608に進み、前記したタイマTMWTHの値が0になったか否か判断し、否定されるときはS604に進む。
【0141】
次回以降のプログラムループにおいてS608でタイマ値が零に達して肯定されるときはS610に進み、降坂勾配パラメータPKUAVEに所定値HKUWTを加算して増加補正し、増加補正値をPKUAVE2と書き換える。
【0142】
図20はその所定値HKUWTのテーブル特性を示す説明グラフである。図示の如く、所定値HKUWTは、車速が増加するにつれて増大するように設定する。
【0143】
図21は図19に示すAT単独降坂路制御の内容を示すタイム・チャートである。
【0144】
上記した如く、所定勾配(#PKUWTH相当値)が所定時間(#TMWTH)続くとき、降坂勾配パラメータPKUAVE(PKUAVE2)は増加補正される結果、重降坂マップが選択され、3速領域が多用されることから、十分なエンジンブレーキ効果を得ることができる。
【0145】
図11の説明に戻ると、次いでS220に進み、コーナマーカ制御を行う。
【0146】
図22はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0147】
以下説明すると、S700において選択されているレンジがD4レンジか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS702に進み、車両1が減速シフト仮指令マーカ(変速ポイント)を通過したか否か判定する。
【0148】
図23を参照して説明すると、この実施の形態においては、前記したナビゲーション装置70のCD−ROM74内には走行路のノード(座標位置情報)などの地図情報の他、分岐点(交差点、T字路、分岐路など)、コーナなどに設定されたマーカ(前記した変速ポイント)が記憶される。
【0149】
マーカは以下の種類からなる。
減速シフト仮指令マーカ(前記した第1の変速ポイント)
減速シフト本指令マーカ(前記した第2の変速ポイント)
減速シフト取り消し指令マーカ(前記した第3の変速ポイント)
【0150】
減速シフト仮指令マーカには、それに対応する目標シフト位置(変速段あるいは変速比)が設定される。ナビゲーション装置70においてGPS受信装置78を介して車両1の現在位置が検出され、車両1が上記した3種のマーカを通過したか否かが判定される。
【0151】
後述する如く、車両1が減速シフト仮指令マーカを通過したと判定されるとき、当該減速シフト仮指令マーカについて設定されている目標シフト位置に向けて変速準備が開始される。変速準備は具体的には、目標シフト位置の油圧クラッチ、即ち、C1,C2,C3,C4Rのいずれかの無効ストローク詰めを意味する。
【0152】
次いで、車両1が減速シフト本指令マーカを通過したと判定されるとき、降坂勾配パラメータPKUAVE2に所定値HACSNAVIが加算され、増加補正される。その結果、マップが平坦路用から軽降坂用、軽降坂用から重降坂用へと切り替えられ、それにつれて3速領域が拡大することから、変速、具体的にはシフトダウン、より具体的には4速から3速へのシフトダウンが生じ易くなる。
【0153】
尚、車両1が減速シフト本指令マーカを通過する前に、減速シフト取り消し指令マーカを通過したと判定されるとき、上記した変速準備は中止される。
【0154】
図22の説明に戻ると、S702で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS704に進み、現在のシフト位置が当該減速シフト仮マーカで設定される目標シフト位置を超えるか否か判断する。
【0155】
このコーナマーカ制御では分岐路あるいはコーナなどでのシフトダウンを予定するため、S704で否定されるときはシフトダウン不要となるが、先に述べた如く、クルーズ制御が実行されている場合、比較的高速でコーナに進入する場合が生じるため、S704で否定されるときはS705に進み、舵角判定・制御を行う。それについては後述する。
【0156】
他方、S704で肯定されるときはS706に進み、前記した変速準備がON、すなわち開始しているか否か判断し、否定されるときはS708に進み、前記した変速準備、即ち、該当する油圧クラッチに油圧を供給して無効ストローク(遊び)を無くす作業を行う。
【0157】
これによって、変速判断(シフトダウン判断)がなされたとき、油圧クラッチの応答遅れを低減することができ、よって変速(シフトダウン)を早期に実行することができる。
【0158】
尚、S706の判断は、油圧センサを設けてクラッチ油圧を検出し、検出値が所定油圧を超えたか否か判断することで行っても良く、あるいは油圧供給時間を計測し、計測値が所定時間を超えたか否か判断することで行っても良い。
【0159】
尚、S706で肯定されるときはS708をスキップする。
【0160】
次いでS710に進み、前記したコーナスポーツマップ判定フラグF.CSNAVIのビットが1にセットされているか、換言すれば、運転者がコーナスポーツマップの選択を意図しているか否か判断し、肯定されるときは運転者の意図に沿うべく以降の処理をスキップする。
【0161】
S710で否定されるときはS712に進み、車両1が減速シフト本指令マーカを通過したか否か判断し、肯定されるときはS714に進み、降坂勾配パラメータPKUAVE2に所定値HACSNAVIを加算して増加補正する。
【0162】
この結果、上記したようにマップが平坦路用マップから降坂用マップへと切り替えられて3速領域が拡大されたマップが選択され、4速から3速へ早期にシフトダウンされる。
【0163】
一方、S712で否定されるときはS716に進み、車両1が減速シフト取り消し指令マーカを通過したか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS718に進み、前記した変速準備をOFF、すなわち中止する。
【0164】
これによって、減速シフト仮指令マーカの通過判定を誤ったときも、変速制御を誤ることがない。
【0165】
尚、上記において、減速シフト取り消し指令マーカの通過以前に、減速シフト仮指令マーカを再び通過したときは、2回目の減速シフト仮指令マーカが予定する目標シフト位置について変速準備を開始する。
【0166】
この実施の形態は上記の如く、ナビゲーション情報に基づいて減速シフト仮指令マーカ、減速シフト本指令マーカおよび減速シフト取り消し指令マーカ(変速ポイント)から進行方向前方の走行路の状況を予測して変速制御を行うと共に、減速シフト仮指令マーカ(第1の変速ポイント)を通過した時点で変速準備を開始するので、変速動作用の油圧アクチュエータの応答遅れを低減することができる。
【0167】
その結果、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)などを走行するときも、走行路に即応した変速制御を行うことができる。
【0168】
図23において線100で示す走行軌跡は上記したコーナマーカ制御を行った場合を、線102で示す走行軌跡は上記したコーナマーカ制御を行わない場合を表す。走行軌跡100にあっては時点100aで4速から3速にシフトダウンされるのに対し、走行軌跡102にあっては4速から3速にシフトダウンされるのが時点102aで、遅れを持つ。
【0169】
図24は、図23に示すような走行路に例にとって上記したコーナマーカ制御を説明するタイム・チャートである。
【0170】
図24(a)は上記したコーナマーカ制御において、仮マーカ(減速シフト仮指令マーカ)を通過した時点で変速準備が開始され、本マーカ(減速シフト本指令マーカ)を通過した時点で3速にシフトダウンされる例を示す。
【0171】
図24(b)は上記したコーナマーカ制御において、現在のシフト位置が目標シフト位置と一致しており、従ってシフトダウン不要とされる例を示す。
【0172】
図24(c)は上記したコーナマーカ制御において、図23に示す走行路で右折せずに直進した場合を示す。この場合は、本マーカ(減速シフト本指令マーカ)を通過しなかったことから、取り消しマーカ(減速シフト取り消し指令マーカ)を通過した時点で変速準備が中止される。
【0173】
図25はコーナが連続する走行路を例にとった、図23と同様の説明図である。図25において線200で示す走行軌跡は上記したコーナマーカ制御を行った場合を、線202で示す走行軌跡は上記したコーナマーカ制御を行わない場合を表す。
【0174】
線202で示す走行軌跡においては4速と3速の間で頻繁にシフトダウンとシフトアップが繰り返されるの対し、線200で示す走行軌跡においては4速から3速へのシフトダウンが1回生じているのみで、連続するコーナ走行路に即応した制御が実現されているのが見て取れよう。
【0175】
さらに、この実施の形態においては、ナビゲーション情報に基づいて登降坂補正区間(特定路面)を走行していると判定されたとき、勾配パラメータを補正するようにしたので、特に降坂路を走行するとき、3速領域を多用させることができ、エンジンブレーキを効き易くしてブレーキ踏力を低減させることができ、降坂路を走行するときのドライバビリティを向上させることができる。
【0176】
ここで、図22のS705の舵角判定・制御を説明する。
【0177】
前記した如く、クルーズ制御が実行されている場合、比較的高速でコーナに進入する場合が生じるが、そのような場合にも最適に変速制御する必要がある。その意図から、S704で否定されるときはS705に進み、舵角判定・制御を行うようにした。
【0178】
図26はその処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0179】
以下説明すると、S800でクルーズ制御装置80のCPU82と通信してクルーズ制御が実行されているか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップする。
【0180】
S800で肯定されるときはS802に進み、ナビゲーション装置70で検出されたコーナの曲率に基づき、そのコーナを走行するのに必要な舵角、より具体的には、ステアリングホイールの遊びを含めてそのコーナを走行するのに必要な最低舵角(最低切れ角)θstrを求める。次いでS804に進み、求めた必要な舵角θstrと検出した実際の舵角θstの差θst1を算出し、S806に進み、算出した差θst1が零(所定値)を超えるか否か判断する。換言すれば、運転者が必要なステアリング操作を行っているか否か判断する。
【0181】
S806で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS808に進み、必要な舵角θstrおよび検出された車速Vから減速段数マップを検索し、変速段数(シフトダウンすべきギヤの数)を決定する。このように、コーナ走行に際し、例えば続けて2速分など適宜ギヤ数だけシフトダウン、即ち、変速比を増加方向に変更することで車速を低下させ、コーナを最適に走行させるようにした。
【0182】
図27はその減速段数マップの特性を示す説明グラフである。図示の如く、減速段数マップにおいては、必要な舵角θstrおよび車速Vに応じ、シフトダウン(減速)禁止領域a、1速シフトダウン(減速)領域bおよび2速シフトダウン(減速)領域cの3種が設定される。例えば、必要な舵角θstrと車速Vから領域cにあるときは2速シフトダウンされる。
【0183】
即ち、領域aにあっては必要な舵角θstrおよび車速Vが比較的小さい部位は安定領域と見做すことができると共に、高い部位ではシフトダウンによってエンジン回転数がレッドゾーンに入るのを防止する意図から、シフトダウンしないようにした。また、領域bを設けて2速分シフトダウン(減速)させるようにしたのは、車両安定性を考慮すると共に、段階的にすることで、違和感を軽減させるためである。
【0184】
次いでS810に進み、減速(シフトダウン)がなされたか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS812に進み、先に図22で説明したと同様に、前記した変速準備がON、すなわち開始しているか否か判断し、否定されるときはS814に進んで変速準備を行う。
【0185】
次いでS816に進み、前記したコーナスポーツマップ判定フラグF.CSNAVIのビットが1にセットされているか否か判断し、肯定されるときは運転者の意図に沿うべく以降の処理をスキップする。
【0186】
S816で否定されるときはS818に進み、車両1が減速シフト本指令マーカを通過したか否か判断し、肯定されるときはS820に進み、降坂勾配パラメータPKUAVE2に所定値HACSNAVIを加算して増加補正する。
【0187】
この結果、上記したようにマップが平坦路用マップから降坂用マップへと切り替えられて3速領域が拡大されたマップが選択され、4速から3速(あるいは2速)へ早期にシフトダウンされる。次いでS822に進み、減速(シフトダウン)がなされることからクルーズ制御を中止する。
【0188】
尚、S818で否定されるときはS824に進み、車両1が減速シフト取り消し指令マーカを通過したか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS826に進んで変速準備をOFF、すなわち中止する。
【0189】
図28および図29を参照して図26の処理を説明する。図28および図29は、図24に示すようなシフト位置(変速比)にあるときにコーナに進入した場合を示す説明図およびタイム・チャートである。
【0190】
図28(a)および図29(a)の場合、必要な舵角θstrと検出舵角θstが一致しているため、減速(シフトダウン)制御は行われない。図28(b)および図29(b)(c)の場合、必要な舵角θstrと検出舵角θstの差θst1がある、即ち、所定値(零)以上であるため、図29(b)(c)の上部に破線で示す如く、減速(シフトダウン)を行う。さらに、図29(b)では(c)に比して必要な舵角θstrが大きいため、舵角・車速判断で3速から1速に2速分変速する。
【0191】
前記した構成に加え、この実施の形態においては図26以降に示す舵角判定および制御を行うようにしたので、クルーズ制御が実行されている場合、比較的高速でコーナに進入する場合も生じるが、そのようなコーナ走行の場合でも最適に変速制御することができる。
【0192】
また、少なくとも必要な舵角θstr、より具体的には必要な舵角θstrおよび車速Vに基づいて変速比を増加方向に変更する如く構成したので、必要舵角が大きいほどシフト位置を2速分などと増加方向に大きく変速、より具体的にはシフトダウンすることができ、換言すれば、コーナの曲率Rが増加するほど減速させることができ、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に一層即応した変速制御を行うことができる。
【0193】
この実施の形態は上記したように、車速Vとスロットル開度THから車両1の登坂勾配あるいは降坂勾配を示す勾配パラメータPNOAVE,PKUAVE(PKUAVE2)を求め、前記求めた勾配パラメータから予め設定された複数の変速特性(マップ)のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比(シフト位置SO)を決定する変速制御手段を備えた自動変速機の制御装置において(CPU50,S10からS50)、前記車両1が走行する走行路について予め設定された第1および第2の変速ポイント(減速シフト仮指令マーカおよび減速シフト本指令マーカ)を通過したか否か判定する変速ポイント通過判定手段(CPU50,ナビゲーション装置70、S218,S702,S712)、前記車両1が前記第1の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記自動変速機の油圧クラッチ(C1,C2,C3,C4R)に油圧を供給し、目標位置に向けて変速準備を開始する変速準備開始手段(CPU50,S218,S702からS708)、および前記車両1が前記第2の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記勾配パラメータPKUAVE2を補正する勾配パラメータ補正手段(CPU50,S218,S712からS714)を備え、前記変速制御手段は、前記補正された勾配パラメータPKUAVE2に基づいて前記複数の変速特性のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比(シフト位置SO)を決定すると共に(CPU50,S10からS50)、前記車速Vを所定値に制御する車速制御手段(クルーズ制御装置80,CPU82)、前記車両1の前方に位置するコーナの曲率Rを検出して前記検出されたコーナを走行するに必要な舵角θstrを算出する舵角算出手段(ナビゲーション装置70,CPU50,S802)、前記車両1の舵角θstを検出する舵角検出手段、および前記算出された必要な舵角θstrと検出された舵角θstの舵角差θst1を求め、求めた舵角差θst1が所定値(零)を超えるか否か判断する舵角差判断手段(CPU50,S804,S806)を備え、前記変速制御手段は、前記車速制御手段が動作しているときに前記舵角差が所定値を超えると判断される場合、前記第2のポイントを通過したと判定された後、前記変速比を増加方向に変更する(CPU50,S808からS820)如く構成した。
【0194】
また、前記変速制御手段は、少なくとも前記必要な舵角θstrに基づいて前記変速比を増加方向に変更する(CPU50,S808からS820)如く構成した。
【0195】
尚、上記において変速ポイント(減速シフト仮指令マーカなど)をナビゲーション装置のCD−ROM74に記憶させたが、変速ポイントを走行路に設置(埋設)すると共に、車両1に適宜な検出手段を搭載し、設置された変速ポイントの通過を判定するようにしても良い。
【0196】
また、舵角センサS10をステアリングホイールの付近に配置して運転者がステアリングホイールを介して入力した舵角を検出するようにしたが、舵角センサを駆動輪W付近に配置し、操舵車輪の操向角から舵角を検出しても良い。
【0197】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、ナビゲーションなどの情報に基づいて変速ポイントから進行方向前方の走行路の状況を予測して変速制御を行うことができると共に、変速ポイント(第1の変速ポイント)を通過した時点で油圧クラッチに油圧を供給し、目標位置に向けて変速準備を開始することから、変速動作用の油圧アクチュエータの応答遅れを低減することができる。
【0198】
その結果、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)などを走行するときも、走行路に即応した変速制御を行うことができる。
【0199】
さらに、車速制御手段が動作しているときに舵角差が所定値を超えると判断される場合、第2のポイントを通過したと判定された後、変速比を増加方向に変更する如く構成したので、分岐路あるいはコーナ(湾曲路)、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に即応した変速制御を行うことができる。
【0200】
請求項2項にあっては、少なくとも前記必要な舵角に基づいて変速比を増加方向に変更する如く構成したので、必要な舵角が大きいほどシフト位置を2速分などと増加方向に大きく変速、より具体的にはシフトダウンすることができ、換言すれば、コーナの曲率Rが増加するほど減速させることができ、特に車速制御が実行されている際にコーナなどを走行するときも、走行路に一層即応した変速制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る自動変速機の制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図2フロー・チャートの変速制御で使用する予想加速度と実加速度ならびに差分平均値(勾配パラメータ)によるマップ選択を示す説明図である。
【図4】図2フロー・チャートで使用する差分平均値(勾配パラメータによるマップ選択)を示す説明図である。
【図5】同様に、図2フロー・チャートで使用する差分平均値(勾配パラメータによるマップ選択)を示す説明図である。
【図6】図2フロー・チャートで使用する複数のマップのうち、平坦路用マップの特性を示す説明グラフである。
【図7】図2フロー・チャートで使用する複数のマップのうち、軽登坂(降坂)用マップの特性を示す説明グラフである。
【図8】図2フロー・チャートで使用する複数のマップのうち、重登坂用マップの特性を示す説明グラフである。
【図9】図2フロー・チャートで使用する複数のマップのうち、コーナスポーツマップの特性を示す説明グラフである。
【図10】図2フロー・チャートの中のMAPS決定作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図11】図2フロー・チャートの中のNAVI−AT協調制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図12】図11フロー・チャートの中の積載重量推定作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図13】図12フロー・チャートで使用する値の特性を示す説明グラフである。
【図14】図11フロー・チャートの中のNAVI協調降坂制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図15】図14フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【図16】図11フロー・チャートの中のNAVI協調降坂コーナ制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図17】図16フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【図18】図16フロー・チャートで使用する値の特性を示す説明グラフである。
【図19】図11フロー・チャートの中のAT単独降坂制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図20】図19フロー・チャートで使用する値の特性を示す説明グラフである。
【図21】図19フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【図22】図11フロー・チャートの中のコーナマーカ制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図23】図22フロー・チャートのコーナマーカ制御を、従来技術と対比して示す説明図である。
【図24】図22フロー・チャートのコーナマーカ制御を、図23に示す走行路を例にとって説明するタイム・チャートである。
【図25】図22フロー・チャートのコーナマーカ制御を、従来技術と対比して示す、図23と同様の説明図である。
【図26】図22フロー・チャートの中の舵角判定・制御の詳細を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図27】図26フロー・チャートで使用される減速段数マップの特性を示す説明グラフである。
【図28】図26フロー・チャートの舵角判定・制御を示す、図23と同様な説明図である。
【図29】図26フロー・チャートの舵角判定・制御を示す、図24と同様なタイム・チャートである。
【符号の説明】
1 車両
E 内燃機関(エンジン)
T 自動変速機(トランスミッション)
O 油圧制御回路
C1,C2,C3,C4R 油圧クラッチ
50 ECUのCPU
70 ナビゲーション装置
80 車速制御装置(クルーズ制御装置)
S1 スロットル開度センサ
S2 車速センサ

Claims (2)

  1. 車速とスロットル開度から車両の登坂勾配あるいは降坂勾配を示す勾配パラメータを求め、前記求めた勾配パラメータから予め設定された複数の変速特性のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比を決定する変速制御手段を備えた自動変速機の制御装置において、
    a.前記車両が走行する走行路について予め設定された第1および第2の変速ポイントを通過したか否か判定する変速ポイント通過判定手段、
    b.前記車両が前記第1の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記自動変速機の油圧クラッチに油圧を供給し、目標位置に向けて変速準備を開始する変速準備開始手段、
    および
    c.前記車両が前記第2の変速ポイントを通過したと判定されるとき、前記勾配パラメータを補正する勾配パラメータ補正手段、
    を備え、前記変速制御手段は、前記補正された勾配パラメータに基づいて前記複数の変速特性のいずれかを選択し、前記選択した変速特性に基づいて変速比を決定すると共に、
    d.前記車速を所定値に制御する車速制御手段、
    e.前記車両の前方に位置するコーナの曲率を検出して前記検出されたコーナを走行するに必要な舵角を算出する舵角算出手段、
    f.前記車両の舵角を検出する舵角検出手段、
    および
    g.前記算出された必要な舵角と検出された舵角の差を求め、求めた舵角差が所定値を超えるか否か判断する舵角差判断手段、
    を備え、前記変速制御手段は、前記車速制御手段が動作しているときに前記舵角差が所定値を超えると判断される場合、前記第2のポイントを通過したと判定された後、前記変速比を増加方向に変更することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記変速制御手段は、少なくとも前記必要な舵角に基づいて前記変速比を増加方向に変更することを特徴とする請求項1項記載の自動変速機の制御装置。
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