JP4454894B2 - 電極シートの巻取り機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば電池を製造する工程において電池の電極シートを巻き取る際に使用する電極シートの巻取り機に関するものである。一般的にリチュームイオン電池等の2次電池は、図1に簡略化して示すようにプラスまたはマイナスである電極シート301,302と、これを絶縁する2枚のセパレータ304,305の合計4枚のシートを巻芯303に巻きつけてできるコイル状の巻取り品より構成されている。
【0002】
【従来の技術】
この種の電極シートの巻取り機においては、所定長さに切断した電極シート等の被巻取りシートを巻芯と対応する巻取り開始位置に供給して、その被巻取りシートの巻始め端部をセパレータ等の他のシート材とともに巻芯に止着するようになっている。そして、この状態で巻芯を回転させることにより、被巻取りシートを他のシート材とともに巻芯の外周に巻き取っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の電極シートの巻取り機においては、被巻取りシートを巻取り開始位置に正確に位置決めしないと、被巻取りシートを巻芯上に均一に巻き取ることができず、巻取り品に皺や巻ずれが発生するという問題があった。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、被巻取りシートを巻取り開始位置に正確に位置決めすることができて、皺や巻ずれが発生することなく均一に巻き取ることができる電極シートの巻取り機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定長さの被巻取りシートを巻取り開始位置に供給して巻き取るようにした電極シートの巻取り機において、前記被巻取りシートを巻取り開始位置に位置決めするための位置決め手段を設け、この位置決め手段は、側壁部を有するシート支持台と、そのシート支持台上に被巻取りシートを支持した状態でシート支持台を傾動させて、被巻取りシートの側縁を側壁部に当接させることにより、被巻取りシートを幅方向に位置決めする傾動手段とからなることを特徴とするものである。
【0008】
この請求項1に記載の発明によれば、被巻取りシートに無理な力が作用することなく、被巻取りシートを巻取り開始位置に正確に位置決めすることができて、皺や巻ずれが発生することなく均一に巻き取ることができる。ちなみに、被巻取りシートが電池の電極シートのように極めて薄いシート材で形成されている場合には、被巻取りシートの側縁に位置決め部材等を強制的に押し付けて位置決めを行うと、被巻取りシートに皺が発生するおそれがある。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記被巻取りシートを位置決め状態でシート支持台上に押圧保持する保持部材を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
従って、この請求項2に記載の発明によれば、被巻取りシートを所定位置に位置決めした状態で、位置ずれが生じることなく保持することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記被巻取りシートを積層状態で収容する収容ケースと、その収容ケース内から被巻取りシートを1枚ずつ振動移動等により分離させて取り出すための取出し手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
従って、この請求項3に記載の発明によれば、収容ケース内に積層状態で収容された被巻取りシートを、1枚ずつ正確に取り出して巻取り開始位置に供給することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
(電極シートの巻取り機32の概要)
電極シートの巻取り機の一連の作業の流れは図39に示すようにセパレータと、プラスまたはマイナスである2枚の電極シート43A,43Bを巻取り作業により巻取り品を形成し、この巻取り品を収納箱に収納してコンベアへ搬出するというものである。
【0013】
さらに、各電極シート43A,43B、セパレータ44の概略配置は模式的に描いた図2に示すように、リール47からセパレータ44がセパレータ引出し機構49により下方に引き出され、それと左右から供給された電極シート43A,43Bが巻芯45によりコイル状に巻かれるという構成になっている。なお、前記電極シート43A,43B、セパレータ44、巻芯45等は、理解を容易にするために、必要な図面においては、厚さや間隔を誇張して描いてある。
【0014】
次に、前記各電極シートの巻取り機32の概要構成を説明する。図3に示すように、ベース40上にはコラム41が立設されている。ベース40の上面中央には電池に使用する一対の被巻取りシートとしての電極シートがセパレータとともに巻き取るための電極シートの巻取り機構42が配設され、図4及び図5に示すように、一対の被巻取りシートとしての電極シート43A,43Bをセパレータ44とともに巻き取るための巻芯45が装備されている。前記コラム41の前面上部にはリール機構46が配設され、セパレータ44を巻装したリール47が設けられている。コラム41及びベース40にはセパレータ繰出し機構48、セパレータ引出し機構49及びセパレータ切断機構50がそれぞれ傾斜状態に配設されている。
【0015】
そして、図3及び図6(a)に示すように、リール機構46のリール47から供給されるセパレータ44がガイドローラ51を介してセパレータ繰出し機構48に導かれて、そのセパレータ繰出し機構48により所定量繰り出される。さらに、図6(b)に示すようにそのセパレータ44が、セパレータ引出し機構49により所定長さ引き出されるとともに、電極シートの巻取り機構42の巻芯45に保持される。そして、セパレータ44と電極シート43A,43Bとが巻芯45上で共巻きされた後、セパレータ44が前記セパレータ切断機構50によりリール47側の部分と切り離される。
【0016】
図4に示すように、前記ベース40の両側後部には一対のシート供給機構52が配設され、電極シート43A,43Bを積層状態で収容した左右各2個の収容ケース53が装備されている。各シート供給機構52の上方には取出し手段としてのシート取出し機構54が対向配置されるとともに、各シート供給機構52の前方には位置決め手段としてのシート位置決め機構55が配設されている。
【0017】
そして、図16に示すように、前記各シート取出し機構54により、各シート供給機構52の左右それぞれ1つの収容ケース53から電極シート43A,43Bが吸着により1枚ずつ分離して取り出されて、シート位置決め機構55に受け渡される。各シート位置決め機構55においては、各電極シート43A,43Bが電極シートの巻取り機構42の巻芯45に対応する巻取り開始位置に位置決めされるとともに、所定の張力付与状態に保持される。この状態で、電極シートの巻取り機構42の巻芯45が回転されることにより、一対の電極シート43A,43Bがセパレータ44を介装した状態で巻芯45上に巻き取られて、巻取り品36が形成される。
【0018】
前記電極シートの巻取り機構42の巻芯45の斜め方向両側には、図3に示すように上下一対の加圧機構56が傾斜状態で対向配置されている。そして、電極シートの巻取り機構42によって巻取り品36が巻取り形成される際に、隙間なく巻き取られるように、この加圧機構56により、巻取り品36の外周が加圧される。
【0019】
図3に示すように、前記電極シートの巻取り機構42の右上方には取出し機構57が配設されている。そして、電極シートの巻取り機構42による巻取り品36の巻取りが終了した後、この取出し機構57により、巻取り品36が巻芯45から抜き取られる。ベース40の外側部には収納機構58が配設されている。そして、この収納機構58により、巻取り品36が収納箱35上の4つの収納溝35a内に順に挿入収納された後、4つの巻取り品36を収納した収納箱35が前記収納箱送出し機構34と対応する位置に移送されて、ローラコンベア31上に送り出される。
【0020】
次に、前記電極シートの巻取り機32の前述した各機構について詳細に説明する。
(電極シートの巻取り機構42)
図5及び図8に示すように、前記電極シートの巻取り機構42において、ベース40上には支持台61が前後方向に移動可能に支持され、その上面にはスピンドル62が回転可能に支持されている。スピンドル62には前記巻芯45を構成する2枚の平板状の巻片45a,45bが、一対の開閉部材63を介して開閉可能に支持されている。この巻片45a,45bは、セパレータ44の引出し経路に位置する。そして、図示しない開閉用シリンダにて操作軸64が摺動されることにより、一対のカム部材65,66を介して、巻芯45の巻片45a,45bが開閉される。スピンドル62に対応するように、ベース40上には中空シャフト67が回転可能に支持されている。中空シャフト67には摺動軸68が軸方向のみに摺動可能に挿通され、その先端には巻片45a,45bの先端を把持可能な把持部材69が取り付けられている。
【0021】
そして、支持台61の移動により巻芯45がセパレータ44の引出し経路から前方(図5の左方)へ離間する位置に配置され、図5において巻芯45の位置に障害物がなくなった状態で、図6(a)に示すように、前記セパレータ44がセパレータ繰出し機構48及びセパレータ引出し機構49により所定長さ引き出される。その後、図8に示すように巻芯45の巻片45a,45bが開放された状態でセパレータ44の引出し経路に後方(図5の右方)移動されて、図6(b)に示すように、両巻片45a,45b間にセパレータ44が挿入される。次いで、巻芯45の巻片45a,45bが僅かに隙間をあけた状態まで閉鎖方向に移動され、図7(a)に示すように、巻片45a,45bが一体回転して、図8のように水平状態になり、セパレータ44が巻片45a,45bの端縁に係止される。この状態で、図7(b)に示すように、一対の電極シート43A,43Bの端部が巻取り開始状態に左右から位置決め供給される。この巻取り開始状態においては、両電極シート43A,43Bの端部が巻片45a,45b間に位置する。
【0022】
そして、図7(c)に示すように、両巻片45a,45bが閉じられることにより、両電極シート43A,43Bの端部及びセパレータ44が巻片45a,45b間に把持される。それとともに、図示しない把持用シリンダにて摺動軸68が摺動されることにより、把持部材69が巻片45a,45bの先端に係合されて、図5に示す状態になり、巻片45a,45bが把持部材69により閉鎖状態で把持される。このため、両電極シート43A,43B及びセパレータ44が巻片45a,45b間で把持状態に保持される。
【0023】
前記ベース40上には回転用モータ70が配設されている。そして、この回転用モータ70により、回転軸71、プーリ72、ベルト73及びプーリ74を介してスピンドル62が回転されるとともに、回転軸71、プーリ75、ベルト76及びプーリ77を介して中空シャフト67及び摺動軸68が一体的に回転される。従って、図7(d)に示すように、巻芯45が時計方向に回転されて、その外周に電極シート43A,43B間にセパレータ44を介在させた状態で、電極シート43A,43Bとセパレータ44と共巻される。
【0024】
(セパレータ繰出し機構48)
図9及び図36に示すように、前記セパレータ繰出し機構48において、傾斜フレーム80には移動板81が移動可能に支持され、その下面にはクランプ板82が開閉可能に取り付けられている。そして、図示しないクランプ用シリンダにてクランプ板82が閉じられることにより、前記リール機構46のリール47から導かれるセパレータ44の端部が先端を巻芯45側に突出させた状態(図9の実線の状態)でクランプ板82と移動板81との間にクランプされる。この状態で、図示しない移動用モータにて移動板81が移動されることにより、セパレータ44が引き出されて、セパレータ引出し機構49側へ所定量Lの長さが繰り出される。また、巻芯45によるセパレータ44及び電極シート43A,43Bの巻取り時と、セパレータ引出し機構49によるセパレータ44の引出し時には、クランプ板82はセパレータ44のクランプを解放するように開放回動される。
【0025】
(セパレータ引出し機構49)
前記セパレータ引出し機構49は、図3に示すように巻芯45の右下方に位置している。図10及び図11に示すように、傾斜フレーム85には支持板86が移動可能に支持されている。支持板86には一対の支持ロッド87が支持板86に固定されたブロック88を介して支持板86と同方向へ移動可能に支持されている。支持ロッド87の基端を連結する連結板89と各ブロック88との間には緩衝用バネ90が介装されている。両支持ロッド87の先端部間には一対のクランプ爪91が開閉可能に取り付けられ、開閉用シリンダ92により開閉される。そして、この開閉用シリンダ92にてクランプ爪91が閉じられることにより、図9の鎖線で示すように、前記セパレータ繰出し機構48にて繰り出されたセパレータ44の先端が両クランプ爪91間にクランプされる。なお、図36にはこれら一連の動作が明示してある。
【0026】
前記傾斜フレーム85の一端には移動用モータ93が配設され、そのモータ軸及び傾斜フレーム85の他端にはプーリ94,95がそれぞれ取り付けられている。両プーリ94,95間には移動用ベルト96が掛装され、その一部が伝達板97を介して前記支持板86に連結されている。
【0027】
そして、移動用モータ93にて移動用ベルト96が回転されることにより、伝達板97を介して支持板86が移動されて、クランプ爪91にクランプされたセパレータ44が所定長さ下方へ引き出される。また、セパレータ44が巻芯45上に巻き取られる際には、移動用モータ93によりクランプ爪91が支持板86とともに巻芯45側にセパレータ44の巻取りに追従するように移動される。この場合、クランプ爪91に与えられる移動位置がセパレータ44の巻取り移動位置より若干遅れ方向にずらしてあるため、クランプ爪91はセパレータ44に対して所定の張力を付与しながらセパレータ44とともに斜め上方に移動する。
【0028】
そして、このセパレータ44の引出し時には、支持板86の移動が巻き取りに追随して一対の緩衝用バネ90を介してクランプ爪91に伝達される。また、セパレータ44の巻取り時には、セパレータ44に引っ張られて緩衝用バネ90に対して圧縮力が作用する。この反作用のため、セパレータ44に所定値を越える張力が作用する場合には、緩衝用バネ90が付勢力に抗してさらに圧縮される。従って、このような場合、クランプ爪91の移動が許容されるため、セパレータ44に過大な引っ張り力が作用することがなく、セパレータ44が損傷するおそれを防止することができる。クランプ爪91は、巻取り終了直前にセパレータ44のクランプを解放する。
【0029】
(セパレータ切断機構50)
図12に示すように、前記セパレータ切断機構50において、セパレータ44の引出し経路の一側には保持板100が回動レバー101を介して回動可能に配設され、その先端にはカッタ105と係合する溝部100aが形成されるとともに、基端にはガイドローラ102が取り付けられている。そして、この保持板100が回動用シリンダ103により、セパレータ44の引出し経路から離間した退避位置Aと、セパレータ44の引出し経路に隣接した作用位置Bとに回動される。
【0030】
前記セパレータ44の引出し経路を挟んで前記保持板100の反対側にはカッタ用シリンダ104が配設され、そのピストンロッドにはカッタ105が取り付けられている。
【0031】
そして、図37のフロー図に示すように、保持板100が作用位置Bに回動配置された状態で、カッタ用シリンダ104にてカッタ105が保持板100の溝部100aに向かって突出移動されることにより、セパレータ44が切断される。このセパレータ44の切断は、前記巻芯45によるセパレータ44及び電極シート43A,43Bの巻取り終了時に行われる。
【0032】
(シート供給機構52)
図4及び図13〜図16に示すように、前記各シート供給機構52において、ベース40上のフレーム108上には支持板109が配設されている。支持板109の上面には図14において実線で示す前記2個の収容ケース53が着脱可能に支持され、それらの内部には所定長さに切断した多数の電極シート43A,43Bが積層状態で収容されている。図15での支持板109の下部には一対の昇降体110が昇降可能及び前後方向へ移動可能に配設されている。そして、この昇降体110が昇降用シリンダ111にて昇降されるとともに、移動用シリンダ112にて図14において鎖線で示す取出し位置へ順に移動されることにより、収容ケース53がシート供給位置に順番に配置される。また、この状態で収容ケース53が空になった場合には、電極シート43A,43Bを満載した収容ケース53と脱着交換される。
【0033】
前記シート供給位置の収容ケース53の下方には、押上部材113が一対のロッド114を介して昇降可能に配設されている。そして、模式的に描いた図13に示すように、電極シート43A,43Bが1枚ずつピックアップされるごとに、押上用モータ115にてスプロケット116、チェーン117及びロッド114を介して押上部材113が所定量ずつ間欠的に上昇される。このことにより、シート供給位置の収容ケース53内に積層収容されている電極シート43A,43Bが1枚分ずつ上端開口部側へ押上げ供給される。
【0034】
(シート取出し機構54)
図16及び図17に示すように、前記各シート取出し機構54において、コラム41の側面には支持アーム120が水平方向に突設されている。支持アーム120の下面には吸着装置121が左右方向、前後方向及び上下方向へ移動可能に支持され、その下部には複数の吸着部121aが配設されている。各吸着部121aは、エアによる吸引作用を有する。
【0035】
そして、図16,17に示すように、吸着装置121が移動用モータ122によりピニオン123及びラック124を介して左右方向へ振動移動させて完全にシートを1枚ずつ分離させるとともに、その後上昇し、移動用シリンダ125によりピニオン126及びラック127を介して前後方向へ移動される。この移動により、吸着装置121の吸着部121aが前記シート供給位置の収容ケース53の上方に対向配置される。
【0036】
そして、図38の動作フロー図に示すように、この状態で、吸着装置121が昇降用シリンダ128にて下降されることにより、収容ケース53内に積層収容された最上部の電極シート43A,43Bが吸着部121aに吸着される。このとき、分離手段としての移動用モータ122にて吸着装置121が左右方向へ往復移動されることにより、吸着部121aが電極シート43A,43Bの長手方向に摺動されて、吸着部121aに吸着された電極シート43A,43Bがその下に位置する次に吸着される電極シート43A,43Bと分離される。その後、移動用シリンダ125により吸着装置121が上昇に続いて前方に移動されて、吸着部121aに吸着された電極シート43A,43Bが前方のシート位置決め機構55上に移送される。そして、シート位置決め機構55上で吸着部121aの吸引作用が停止され、電極シート43A,43Bがシート位置決め機構55上に載置供給される。
【0037】
(シート位置決め機構55)
このシート位置決め機構では、巻ずれやシワの発生がなく正確に巻取り作業が行えるようにするため、巻芯に対して電極シートを正確に配置するようにする。この機構では図19(a)(b)(c)に示す順序でシートの位置決め及び巻取りを行う。
【0038】
つまり図19(a)(b)(c)のXの場所でまず巾方向の位置決めを行い、次に手前(作業者側)へ移動し、Yの場所で長手方向の修正を行う。すなわち、シート供給機構52から電極シート43A,43Bを取り出し、シート位置決め機構55へ載置する。次に載置されたシートを図19(a)で示すように各電極シート43A,43Bを巻芯に対して直角になるよう巾方向の位置修正を行う(実線の状態から鎖線の状態へ)。次に、図19(b)のYの位置に移動し、図19(c)に示すように各電極シート43A,43Bの先端位置と巻芯45からの距離Δが等しくなるよう各電極シート43A,43Bの長手方向の位置決めを行う。
【0039】
まず巾方向の位置修正動作から説明する。
図16及び図18に示すように、前記各シート位置決め機構55において、ベース40上には移動板131が支持されている。図18,20に示すように、この移動板131は、移動用モータ132及びボールネジ133により、巻芯45の回転軸線と直交する左右方向へ移動可能に支持される。そして、この動きは図19(c)の巻芯45方向への移動の動作となる。移動板131の上面には支持板134が巻芯45の回転軸線と同方向(前後方向)へ移動可能に支持され、移動用シリンダ135により前後2位置に移動される。これは図19(b)の動きとなる。すなわち移動板131と支持板134は巻芯45に対して平行及び直角に移動可能な2段階構造となっている。
【0040】
図20〜図22に示すように、前記支持板134の上面には支持ロッド136が巻芯45の回転軸線と直交する左右方向へ延びるように配設されている。図23(a)〜(c)に示すように、支持ロッド136にはシート支持台137が支持アーム138を介して回動可能に支持され、この支持台137は図18に示す切欠部137bを有する底壁部137aと、その底壁部137aに直交する後ろ側の側壁部137cとから構成されている。そして、このシート支持台137が傾動手段としての支持台回動用シリンダ139により、図23(a)に示す下方の支持位置と、図23(b)で示す上方の傾斜位置とに回動される。なお、図23(a)〜(c)は、理解を容易にするために模式的に描いてある。
【0041】
また、図23(a)及び図40に示すように、シート支持台137が支持位置に回動配置された状態で、前記シート取出し機構54から底壁部137a上に電極シート43A,43Bが受け渡される。その後、図23(b)に示すように、シート支持台137が支持台回動用シリンダ139により傾斜位置に傾動される。この傾動により、電極シート43A,43Bの側縁が側壁部137cに当接されて、図19(a)に示すように、電極シート43A,43Bが幅方向の所定位置に位置決めされる。そして、この電極シート43A,43Bの位置決め状態で、シート支持台137が支持位置に復帰回動される。
【0042】
また、模式的に描いた図22に示すように、この傾動位置決め後に前記支持ロッド136には位置決めされた電極シート43A,43Bのズレ防止を目的として保持部材としての保持ロッド142が支持アーム143を介して回動可能に支持されている。この保持ロッド142は、硬質のパイプ状の素材をシリコンゴム等の軟質物質で被覆したもので、電極シート43A,43Bに傷をつけることなく電極シート43A,43Bを押さえることができる。
【0043】
そして、図23(c)及び図40に示すように、電極シート43A,43Bの位置決め後に、シート支持台137の傾斜位置において、この保持ロッド142がロッド回動用シリンダ144により、下方へ回動される。この回動により、保持ロッド142が図23(b)に示す傾斜位置から図23(c)で示す押圧位置に移動されて、電極シート43A,43Bが位置決め状態でシート支持台137上に軽く押圧保持される。これにより図19(a)のX位置での巾方向の位置修正動作は終了する。
【0044】
図18及び図27に示すように、ガイドレール147b上には支持板147が巻芯45の回転軸線と直交する左右方向へ移動可能に支持されている。支持板147上には一対の始端クランプ爪148が開閉可能に支持され、開閉用シリンダ149により各一対のリンク150,151を介して開閉される。そして、図18に鎖線で示すように、前記シート支持台137が図18の実線位置から鎖線で示す前記受渡し位置Yに移動されたとき、始端クランプ爪148がシート支持台137の底壁部137aに切欠部137bがあるため、電極シート43A,43Bの始端より入り込んだ途中位置に対応配置される。この状態で、始端クランプ爪148が閉じられて、シート支持台137上の電極シート43A,43Bの巻始め端部が始端クランプ爪148間にクランプされる。その後、移動用シリンダ135によりシート支持台137が原位置に戻る。
【0045】
図18に示すように、前記ベース40上には移動用モータ152が配設され、この移動用モータ152によりボールネジ153を介して前記支持板147が移動される。そして、前記始端クランプ爪148間に電極シート43A,43Bの巻始め端部がクランプされた状態で、始端クランプ爪148が支持板147とともに、図18に鎖線で示す位置から巻芯45側に接近移動され、図示しないセンサの検知によりZ位置に位置決めされる。この接近移動により、図8及び図18に示すように、巻芯45の巻片45a,45b間に電極シート43A,43Bの巻始め端部が挿入配置される。これにより巾方向と長手方向の位置決めは完了する。
【0046】
(シート繰り出し機構)
この機構は巻取り作業が進行するにつれ、シート終端部を一定の張力を付与しながら巻芯の回転に追随させる機構である。
【0047】
図24及び図26に示すように、前記シート支持台137の前方において、ベース40上には支持板154が巻芯45の回転軸線と直交する左右方向へ移動可能に支持されている。支持板154には一対の支持ロッド155がブロック156を介して支持板154と同方向へ移動可能に支持され、それらの基端を連結する連結板157と各ブロック156との間には緩衝用バネ158が介装されている。両支持ロッド155の先端部間には一対の終端クランプ爪159が開閉可能に取り付けられ、開閉用シリンダ160により開閉される。そして、この開閉用シリンダ160にて終端クランプ爪159が閉じられることにより、前記シート支持台137上に位置決め保持された電極シート43A,43Bの巻終り端部が終端クランプ爪159間にクランプされる。
【0048】
図24に示すように、前記ベース40上には移動用モータ161が配設され、そのモータ軸及びベース40上にはプーリ162,163が取り付けられている。両プーリ162,163には移動用ベルト164が掛装され、その一部が伝達板165を介して支持板154に連結されている。そして、移動用モータ161にて移動用ベルト164が正逆回転されることにより、終端クランプ爪159が左右方向に移動される。
【0049】
そして、図25(a)及び図40の動作フロー図に示すように、電極シート43A,43Bがシート位置決め機構55の始端クランプ爪148及び終端クランプ爪159によりクランプされた状態で、シート支持台137のみが図18の右方向X位置に後退され、電極シート43A,43Bが残される。この状態から始端クランプ位置は固定の状態で、終端クランプ爪159からは巻芯45から離間する方向への弱い力が付与され、電極シート43A,43Bが張力付与状態に緊張保持される。なお、図25は理解を容易にするために模式的に描いてある。
【0050】
そして、この状態において、始端クランプ爪148及び終端クランプ爪159の同時移動により、図25(b)に示すように、電極シート43A,43Bは両端にて始端クランプ爪148及び終端クランプ爪159にクランプされた状態で、図18で示す巻芯45に対する巻取り開始位置Zに移動される。このように始端クランプ爪148及び終端クランプ爪159等により、張力付与手段としての張力付与機構が構成されている。次いで、この状態において、巻芯45の巻片45a,45bが閉鎖状態になりセパレータ44、電極シート43A,43Bの始端部が巻芯45に止着される。次に、電極シート43A,43B及びセパレータ44の巻取りが開始される。
【0051】
この巻取りにおいては、前記セパレータ引出し機構49のクランプ爪91と同様に、移動用モータ161により終端クランプ爪159が巻芯45側に電極シート43A,43Bの巻取りに追従するように移動される。そして、終端クランプ爪159に与えられる移動位置が電極シート43A,43Bの巻取り移動位置より若干遅れ方向にずらしているため、終端クランプ爪159は電極シート43A,43Bに対して所定の張力を付与しながら電極シート43A,43Bとともに移動する。一方、電極シート43A,43Bの巻取りが開始されて、電極シート43A,43Bがセパレータ44に巻込まれると、始端クランプ爪148は、電極シート43A,43Bを開放する。終端クランプ爪159は、巻取り終了直前に電極シート43A,43Bのクランプを解放して、元の後退位置に復帰する。
【0052】
さらに、この電極シート43A,43Bの引出し時及び巻取り時には、支持板154の移動が一対の緩衝用バネ158を介して終端クランプ爪159に伝達される。また、電極シート43A,43Bの巻取り時には、緩衝用バネ158に対して圧縮力が作用する。このため、電極シート43A,43Bに所定値を越える張力が作用している場合でも、緩衝用バネ158が付勢力に抗して圧縮される。よって、電極シート43A,43Bに過大な張力が掛かるのを防止でき、電極シート43A,43Bが損傷するおそれを防止することができる。
【0053】
(巻取り品加圧機構56)
図28及び図29に示すように、前記各巻取り品加圧機構56において、コラム41には揺動レバー168が支持ピン169を介して揺動可能及び長孔168aの範囲内で往復移動可能に支持されている。揺動レバー168には一対の加圧ロッド170が移動可能に支持され、それらの先端部には加圧ローラ171がホルダ172を介して回転可能に支持されている。揺動レバー168の基端には加圧用シリンダ173が配設され、この加圧用シリンダ173により一対の緩衝用バネ174を介して両加圧ロッド170が巻芯45側に移動付勢される。この移動付勢により、巻芯45上に電極シート43A,43B及びセパレータ44が巻き取られて巻取り品36が形成される際に、その巻取り品36の周面形状に応じて加圧ローラ171が進退移動されて、巻取り品36の外周面が最適圧力で加圧される。
【0054】
図5、図28(a)及び図29に示すように、前記揺動レバー168の先端に対応して、コラム41には回転軸175が回転可能に支持され、前記電極シートの巻取り機構42の中空シャフト67の回転に伴い、プーリ176、ベルト177及びプーリ178を介して、巻芯45の回転速度の2倍の速度で回転される。回転軸175の先端には揺動円板179が取り付けられ、その揺動円板179上の偏心ピン179aが揺動レバー168の先端に回転自在に連結されている。そして、巻芯45の回転に伴い加圧ローラ171が巻取り品36の長径部を乗り越えて接触移動される際に、回転軸175の回転により揺動円板179を介して、揺動レバー168が45度以内の揺動角度で支持ピン169を中心に時計反時計方向に揺動される。この揺動により、図28(b)に示すように、加圧ローラ171が巻取り品36の長径部を乗り越えた後に、その外周面から浮き上がるのが防止される。
【0055】
(取出し機構57)
図3及び図30に示すように、前記取出し機構57において、ベース40上には搬出フレーム182が左右方向へ延長配置されている。搬出フレーム182には支持板183が左右方向へ移動可能に支持され、移動用モータ184により、プーリ185,186及び移動用ベルト187を介して移動される。支持板183の先端には昇降板188が支持ブロック189を介して昇降可能に支持され、昇降用シリンダ190により昇降される。昇降板188の下面には左右各一対のクランプ爪191が開閉可能に支持され、一対の開閉用シリンダ192により開閉される。
【0056】
そして、図41に示すように、前記巻芯45上への電極シート43A,43B及びセパレータ44の巻取りが終了して、所定形状の巻取り品36が形成された後、昇降板188が図30に実線で示す上方位置から鎖線で示す下方位置に下降されて、クランプ爪191が巻取り品36の両側に対向配置される。この状態で、各クランプ爪191が閉じられて、巻取り品36が両側縁からクランプ爪191により把持されるとともに、図5で示す電極シートの巻取り機構42の支持台61の左前方への退避移動により、巻芯45が巻取り品36から抜き取られる。
【0057】
その後、支持板183が図3の右方に移動されて、クランプ爪191間にクランプされた巻取り品36が収納機構58と対応する位置に取り出される。そして、図3に鎖線で示すように、この取出し位置で巻取り品36がクランプ爪191から一対の持替え用クランプ爪193に持ち替えられる。このクランプ爪193は、左右方向の水平軸線及び垂直軸線を中心に回動可能である。このため、クランプ爪193の回動により、巻取り品36が姿勢変更され、収納機構58上の収納箱35の収納溝35aに収納される。ここで、収納箱には図30(b)に示すように、底板36bの上に4つの収納溝35aを設けたブロック35cが固定され、側面にはICメモリ等の記憶素子35bが張り付けられた構造となっている。
【0058】
(収納機構58)
図3、図31及び図32に示すように、前記収納機構58において、ベース40上には支持板196が巻芯45の回転軸線と同方向へ移動可能に支持され、その上面両側には複数の支持ローラ197が回転可能に支持されている。そして、図1の前記収納箱取込み機構33によりローラコンベア31上から取り込まれた空の収納箱35が支持ローラ197上に支持された状態で、空の収納箱35の底板36bが図示しないクランプツメでクランプ保持される。この状態で、移動用モータ200によりボールネジ201を介して支持板196が所定量ずつ移動されて、前記取出し機構57により電極シートの巻取り機構42から取り出された巻取り品36が収納箱35上の4つの収納溝35a内に順に収納される。
【0059】
前記ベース40上には取付台202が支持板196の移動方向と同方向へ移動可能に支持され、押出用シリンダ203により移動される。取付台202上には押出板204が回動可能に支持され、回動用シリンダ205によりリンク206を介して、図32に実線で示す作用位置と鎖線で示す退避位置とに回動される。
【0060】
そして、図42に示すように、収納箱35の各収納溝35aに対する巻取り品36の収納が完了して、クランプ板198による収納箱35のクランプが解除された後、押出板204が作用位置に回動配置された状態で、押出用シリンダ203により取付台202が図31の矢印方向へ移動される。この移動により、押出板204が収納箱35の底板36bに係合して、その収納箱35が支持ローラ197上から前記収納箱送出し機構34と対応する位置に押出し移動される。
【0061】
(収納箱送出し機構34)
図33及び図34に示すように、前記収納箱送出し機構34において、ローラコンベア31の側部には送出し板209がローラコンベア31の延長方向と直交する方向へ移動可能に配設され、移動用シリンダ210により移動される。送出し板209上には書込みヘッド211が配設され、前記巻取り品収納機構58により巻取り品36を収納した収納箱35が送出し板209上に押出移動されたとき、この書込みヘッド211が収納箱35の外面に設けられたICメモリ等の記憶素子35bに対向配置される。そして、この状態で書込みヘッド211により記憶素子35bに対して、巻取り品36の巻取りに使用した電極シートの巻取り機の番号や巻取り年月日等の巻取りデータが書き込まれる。その後、移動用シリンダ210により送出し板209が移動されて、図33に鎖線で示すように、収納箱35がローラコンベア31上に送出される。
【0062】
前記ローラコンベア31の下方には昇降用シリンダ212が配設され、そのピストンロッドには受渡し部材213が取り付けられている。そして、この受渡し部材213が上方位置に移動配置された状態で、前記送出し板209により収納箱35がローラコンベア31上に送出されて、受渡し部材213上に支持される。その後、受渡し部材213が下方位置に移動されることにより、収納箱35が受渡し部材213上からローラコンベア31上に受け渡される。
【0063】
(全体の動作)
さて、図39及び図43に全体の動作シーケンスが記述してあるが、巻取り開始時には、巻芯45は図5で示す左前方の後退位置に配置されて、巻芯45と把持部材69との間の巻取り加工位置が開放され、しかも巻片45a,45bが互いに離間した開放状態にある。また、図9に実線で示すように、セパレータ44の先端部がクランプ板82にクランプされている。この状態で、図9に2点鎖線で示すとともに、図35及び図36に示すように、クランプ板82が傾斜フレーム80に沿って下方へ移動してセパレータ44を引き下げるとともに、クランプ爪91が上昇してセパレータ44の先端をクランプする。
【0064】
そして、図9に示すクランプ板82が解放動作されて上方へ後退し、続いてクランプ爪91が下降してセパレータ44を張設状態で斜め下方へ引き出す。セパレータ44は、解放状態のクランプ板82と移動板81との間を通って引き出される。次いで、巻芯45が把持部材69側、すなわち巻取り加工位置に後方移動するとともに、図8に示すように、巻片45a,45b間が狭まり、セパレータ44が巻片45a,45bに係止される。
【0065】
一方、図38及び図40の動作フロー図に示すように、左右のシート供給機構52の収容ケース53からそれぞれ1枚の電極シート43A,43Bがシート取出し機構54により取り出されて、図18に実線で示してある後退位置にあるシート支持台137上に載置される(X位置)。そして、シート支持台137が、図23(b)に示すように後方へ傾斜して、電極シート43A,43Bが位置決めされた後に、電極シート43A,43Bが保持ロッド142により押さえられた状態で水平に復帰して、前方へ移動される(Y位置)。次いで、電極シート43A,43Bの先端部及び後端がそれぞれ始端クランプ爪148及び終端クランプ爪159によりクランプされて、電極シート43A,43Bが張設される。この状態で、電極シート43A,43Bが巻芯45側に移動され(Z位置)、その先端が、図8に示すように巻片45a,45b間に位置決めされる。
【0066】
次に、巻片45a,45b間がさらに狭まって、それらの間にセパレータ44及び電極シート43A,43Bが挟持されるとともに、把持部材69が前進して、巻片45a,45bを把持する。この状態で、巻芯45が回転を開始し、セパレータ44及び電極シート43A,43Bの巻取りが行われる。巻取りが開始されると、始端クランプ爪148が電極シート43A,43Bに対するクランプを解除するが、終端クランプ爪159により電極シート43A,43Bが張設状態に維持される。同時に、クランプ爪91によりセパレータ44も張設状態に維持される。さらに、巻芯45上に巻取られたセパレータ44及び電極シート43A,43Bは加圧ローラ171により適当な圧力で加圧されて巻き皺が生じない扁平状に巻き取られる。
【0067】
セパレータ44及び電極シート43A,43Bの巻取り終了間近になると、巻芯45の回転が停止され、図12に示すセパレータ切断機構50によりセパレータ44が切断される。切断されたセパレータ44のリール側端部はクランプ板82によりクランプされて、次の引出しを待つ。セパレータ44の切断後、終端クランプ爪159が電極シート43A,43Bを、クランプ爪91がセパレータ44をそれぞれ解放する。従って、この状態で、巻取り品36の巻き取り加工が終了する。この終了時には、前記巻取り品36は、図30(a)に示すように、水平状態で停止される。
【0068】
次に、図30,図41及び図41に示すように、取出し機構57のクランプ爪191により、巻取り品36の両端がクランプされ、巻芯45が前方へ後退して、巻取り品36から抜け出る。その取出し機構57により巻取り品36が図3の右方に示す位置に搬送され、そこで持替え用クランプ爪193に持ち替えられて、下方で待機している収納箱35の収納溝35aに立設状態で差し込まれる。
【0069】
前記収納箱35は、ひとつの収納溝35aに巻取り品36が差し込まれるごとに、収納溝35aの配列ピッチ分だけ移動して、次の収納溝35aに対する巻取り品36の差し込みを待つ。このようにして、4箇所の収納溝35aに巻取り品36が収納されると、図33,図34に示すように、記憶素子35bに対して加工関連情報が書き込まれる。そして、収納箱35は、ローラコンベア31に送り出されて、次工程に搬送される。
【0070】
(実施形態の効果)
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この電極シートの巻取り機においては、所定長さの電極シート43A,43Bを巻取り開始位置に位置決めして供給するためのシート位置決め機構55が設けられている。このため、電極シート43A,43Bを巻取り開始位置に正確に位置決めすることができて、皺や巻ずれが発生することなく均一に巻き取ることができる。
【0071】
(2) この電極シートの巻取り機においては、前記シート位置決め機構55が、側壁部137cを有するシート支持台137と、そのシート支持台137上に電極シート43A,43Bを支持した状態でシート支持台137を傾動させて、電極シート43A,43Bの側縁と側壁部137cを当接させることにより行い、電極シート43A,43Bを幅方向に位置決めする。このため、電極シート43A,43Bに無理な力が作用することなく、電極シート43A,43Bを巻取り開始位置に正確に巾方向に位置決めすることができる。
【0072】
(3) この電極シートの巻取り機においては、前記電極シート43A,43Bを位置決め状態でシート支持台137上に押圧保持する保持ロッド142が設けられている。このため、電極シート43A,43Bを所定位置に位置決めした状態で、位置ずれが生じることなく確実に保持することができる。
【0073】
(4) この電極シートの巻取り機においては、前記電極シート43A,43Bを積層状態で収容する収容ケース53と、その収容ケース53内から電極シート43A,43Bを1枚ずつ分離させながら取り出すための振動移動を利用したシート取出し機構54とが設けられている。このため、収容ケース53内に積層状態で収容された電極シート43A,43Bを、1枚ずつ正確に取り出して巻取り開始位置に供給することができる。
【0074】
(5) この電極シートの巻取り機においては、前記電極シート43A,43Bの巻き取りに際して、電極シート43A,43Bを巻取り開始位置に所定の張力付与状態で保持する張力付与機構148,159が設けられている。このため、電極シート43A,43Bを巻取り開始時から所定の張力付与状態で均一に巻き取ることができる。
【0075】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態において、電極シートの巻取り機構42を変更して構成すること。例えば、巻芯45を、断面半円形の巻片45a,45bにより全体として断面円形又は四角に構成すること。このようにすれば、円筒状又は角形の巻取り品36が形成される。
【0076】
・ 前記実施形態では、セパレータ44の長さ方向中央部が巻取りが開始されるように構成したが、セパレータ44の一端部から開始されるように構成すること。
【0077】
このように構成した場合でも、前記実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
【0078】
(1) 所定長さの被巻取りシートを巻取り開始位置に供給して巻き取るようにした電極シートの巻取り機において、前記被巻取りシートの巻き取りに際して、被巻取りシートを巻取り開始位置に所定の張力付与状態で保持する張力付与手段を設けたことを特徴とする電極シートの巻取り機。
【0079】
この構成によれば、被巻取りシートを巻取り開始時から所定の張力付与状態で均一に巻き取ることができる。
(2) 所定長さの被巻取りシートを巻き取るようにした電極シートの巻取り機において、図44に示すように、工場等の敷地にローラコンベア31が敷設され、その両側にはローラコンベア31の流れの方向に沿って複数の電極シートの巻取り機32が所定間隔おきに設置され、各電極シートの巻取り機32に対応して、ローラコンベア31の両側には収納箱取込み機構33及び収納箱送出し機構34が配設され、そして、ローラコンベア31に沿って搬送される空の収納箱35が、収納箱取込み機構33により各電極シートの巻取り機32に取り込まれ、各電極シートの巻取り機32においては、その巻取り品36が収納箱35内に複数個(この実施形態では4個)ずつ収納され、巻取り品36が収納された収納箱35は、収納箱送出し機構34によりローラコンベア31上に送り出されて、そのローラコンベア31に沿って搬送されように構成し、ここにおいて、その収納箱の外面には巻取り品の巻取りデータを記憶するための記憶素子を設けたことを特徴とする電極シートの巻取り機。
【0080】
この構成によれば、記憶素子に巻取り品の巻取りに使用した電極シートの巻取り機の番号や巻取り年月日等の巻取りデータを書き込むことにより、不良品の発生時等の管理を容易に行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明は、被巻取りシートを巻取り開始位置に正確に位置決めすることができて、皺や巻ずれが発生することなく均一に巻き取ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 巻き取り動作を示す模式図。
【図2】 巻き取り機の巻き取り状態を示す簡略図。
【図3】 図1の巻取りシステムにおける電極シートの巻取り機の拡大正面図。
【図4】 図3の電極シートの巻取り機の平面図。
【図5】 図3の電極シートの巻取り機の電極シートの巻取り機構を拡大して示す側断面図。
【図6】 巻き取り過程を示す説明図。
【図7】 図6の巻き取り過程に続く巻き取り過程を示す説明図。
【図8】 図5の5−5線における拡大断面図。
【図9】 電極シートの巻取り機のセパレータ繰出し機構を示す拡大正面図。
【図10】 電極シートの巻取り機のセパレータ引出し機構を示す拡大断面図。
【図11】 セパレータ引出し機構の部分平面図。
【図12】 電極シートの巻取り機のセパレータ切断機構を示す拡大正面図。
【図13】 電極シート供給機構を示す簡略図。
【図14】 電極シートの巻取り機の電極シート供給機構を示す拡大平面図。
【図15】 電極シート供給機構の正断面図。
【図16】 電極シート供給機構の側面図。
【図17】 電極シートの巻取り機の電極シート取出し機構を示す拡大正面図。
【図18】 電極シートの巻取り機の電極シート位置決め機構を示す拡大平面図。
【図19】 電極シートの位置決め状態を示す説明図。
【図20】 電極シート位置決め機構の要部正断面図。
【図21】 電極シート位置決め機構の側断面図。
【図22】 電極シート位置決め機構の斜視図。
【図23】 電極シート位置決め機構の動作状態を示す断面図。
【図24】 電極シート位置決め機構の巻終り端部把持構造を示す正面図。
【図25】 電極シート位置決め機構の巻終り端部把持構造を示す斜視図。
【図26】 巻終り端部把持構造の要部平面図。
【図27】 電極シート位置決め機構の巻始め端部把持構造を示す正面図。
【図28】 (a)電極シートの巻取り機の加圧機構を示す要部拡大正面図、(b)加圧機構の他の状態を示す要部拡大図。
【図29】 加圧機構の横断面図。
【図30】 (a)電極シートの巻取り機の取出し機構を示す拡大正面図、(b)収納箱の説明図。
【図31】 電極シートの巻取り機の排出機構を示す拡大平面図。
【図32】 排出機構の正面図。
【図33】 巻取りシステムの取込み機構を拡大して示す正面図。
【図34】 取込み機構の要部側面図。
【図35】 セパレータの引き出し過程を示すフロー図。
【図36】 セパレータの巻き取り過程を示すフロー図。
【図37】 セパレータの切断過程を示すフロー図。
【図38】 電極シートの供給過程を示すフロー図。
【図39】 全体の動作を簡略に示すフロー図。
【図40】 電極シートの位置決め過程を示すフロー図。
【図41】 巻取り品の取り出し過程を示すフロー図。
【図42】 収納箱の処理過程を示すフロー図。
【図43】 全体の動作を示すフロー図。
【図44】 巻取りシステムを示す平面図。
【符号の説明】
32…電極シートの巻取り機、35…収納箱、36…巻取り品、42…電極シートの巻取り機構、43A,43B…被巻取りシートとしての電極シート、44…セパレータ、45…巻芯、45a,45b…巻片、46…リール機構、48…セパレータ繰出し機構、49…セパレータ引出し機構、50…セパレータ切断機構、52…シート供給機構、53…収容ケース、54…シート取出し機構、55…シート位置決め機構、56…加圧機構、62…スピンドル、63…開閉部材、67…中空シャフト、70…回転用モータ、91…クランプ爪、92…開閉用シリンダ、93…移動用モータ、104…カッタ用シリンダ、105…カッタ、110…昇降体、111…昇降用シリンダ、113…押上部材、115…押上用シリンダ、121…吸着装置、121a…吸着部、122…分離手段としての移動用モータ、125…移動用シリンダ、137…シート支持台、137a…底壁部、137c…側壁部、139…傾動手段としての支持台回動用シリンダ、142…保持部材としての保持ロッド、144…ロッド回動用シリンダ、148…張力付与手段としての張力付与機構を構成する始端クランプ爪、149…開閉用シリンダ、152…移動用モータ、159…張力付与手段としての張力付与機構を構成する終端クランプ爪、160…開閉用シリンダ、161…移動用モータ、168…揺動レバー、171…加圧ローラ、173…加圧用シリンダ、175…回転軸、179…揺動円板、184…移動用モータ、188…昇降板、190…昇降用シリンダ、191…クランプ爪、192…開閉用シリンダ、196…支持板、200…移動用モータ、203…押出用シリンダ、204…押出板、209…取込み板、210…移動用シリンダ、211…書込みヘッド。
Claims (3)
- 所定長さの被巻取りシートを巻取り開始位置に供給して巻き取るようにした電極シートの巻取り機において、
前記被巻取りシートを巻取り開始位置に位置決めするための位置決め手段を設け、この位置決め手段は、側壁部を有するシート支持台と、そのシート支持台上に被巻取りシートを支持した状態でシート支持台を傾動させて、被巻取りシートの側縁を側壁部に当接させることにより、被巻取りシートを幅方向に位置決めする傾動手段とからなることを特徴とする電極シートの巻取り機。 - 前記被巻取りシートを位置決め状態でシート支持台上に押圧保持する保持部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電極シートの巻取り機。
- 前記被巻取りシートを積層状態で収容する収容ケースと、その収容ケース内から被巻取りシートを1枚ずつ分離させて取り出すための取出し手段とを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電極シートの巻取り機。
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