JP4454758B2 - 複合運動装置及び搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合運動装置及び該装置を備えた搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、ワークの搬送を行うための装置として、いわゆるピックアンドプレースユニットと称される搬送装置が知られている。このような装置は、ワークを把持するためのチャック等の把持手段を備えている。そして、ワークを第1の地点から第2の地点へと搬送するべく、把持手段が複合運動を行えるように構成されている。一般には、把持手段は、ワークを左右方向に移動させるための動作と、ワークを昇降させるための動作とを行いうる。
【0003】
上記のような複合運動を可能とするための機構として種々の技術が開発されている。第1の技術としては、カムを用いたものであり、カム溝等の形状に応じて複合運動を行わせるものが挙げられる。すなわち、動作ストロークやタイミングシーケンスを予め設定しておいた上でカム溝等を構成することにより、把持手段は前記カム溝の形状等に則した動作を行う。
【0004】
また、第2の技術としては、モータとシリンダとを組み合わせることにより複合運動を行わせるものが挙げられる。この技術では、モータの回転動作によって、把持手段が旋回方向への動作を行い、シリンダの出没動作によって把持手段が昇降方向への動作を行う。
【0005】
さらに、第3の技術としては、上記第2の技術のシリンダに代えて、サーボモータ等のリニアモーションアクチュエータを用いたものが挙げられる。この技術では、リニアモーションアクチュエータの動作によって把持手段が昇降方向への動作を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記第1の技術では、カム溝等が、動作ストロークやタイミングシーケンスが予め設定されたものであるため、逆に動作ストロークやタイミングシーケンスを修正、変更しようとした場合には著しい困難を伴う。また、上記動作ストロークやタイミングシーケンスといった動作条件が全て完全に確定した段階でしかカムの製作に着手できない。そのため、結果的に搬送装置の製造に時間を要することとなり、短期間での納品が困難となるという問題がある。
【0007】
さらに、第2の技術では、アクチュエータとしてシリンダを用いるため、シリンダのエネルギーロスが大きく、しかも流体を用いるため、追従性に乏しいといった問題がある。また、1サイクル当たりの搬送速度(タクトスピード)の増大を図れないといった問題もある。
【0008】
併せて、第3の技術では、追従性の向上を図ることはできるものの、制御軸数が増えることとなり、装置の著しい複雑化及びコストの増大を招くこととなる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した不具合のない、すなわち、動作条件の修正、変更を容易に行うことができ、エネルギーロスが少なく、かつ、装置の複雑化及びコストアップを抑制することのできる複合運動装置及び搬送装置を提供することを主要課題の一つとしている。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決する一つの手段としては、少なくとも伝達機構を介して駆動源の動力を運動体に出力し、該運動体を動作させることの可能な複合運動装置であって、前記駆動源をモータにより構成するとともに、前記伝達機構を少なくともカム機構により構成し、前記運動体が、前記モータの動力をほぼ直接的に用いることに基づく第1の動作及び該第1の動作とは異なり前記モータの動力を前記伝達機構にて動作方向を変換することに基づく第2の動作を行うよう構成した複合運動装置が挙げられる。この手段によれば、駆動源の動力が少なくとも伝達機構を介して運動体に出力され、該運動体が動作させられる。駆動源はモータにより構成されるとともに、伝達機構は少なくともカム機構により構成され、前記モータの動力に基づいて運動体が第1の動作及びそれとは異なる第2の動作を行う。ここで、第1の動作は、モータの動力をほぼ直接的に用いることに基づく動作であり、第2の動作は、モータの動力を伝達機構にて動作方向を変換することに基づく動作である。このため、動作ストロークやタイミングシーケンスを修正、変更しようとした場合でも、特にカム機構の本質部分に加工を加えることなく、例えばモータの動作を変更等することで対処することが可能となる。また、駆動源として流体圧を利用しておらず、モータの動力に基づいた動作が行われるため、エネルギーロス、追従遅れが生じにくい。さらに、駆動源は、モータのみであるので、制御軸数が増えることがない。
【0011】
上記モータはダイレクトドライブモータであることが好ましい。ダイレクトドライブモータは低回転・高トルク特性があり、この特性により減速機を介することなくダイレクトドライブモータのロータを直接カム機構に接続することができ、省スペース化や部品点数の低減や組付け工数の低減という観点で優れている。また、減速機が必要な場合は、たとえモータ使用といえども潤滑油が必要となって環境問題上好ましくないが、このような問題も発生しないという点で優れている。さらに、バックラッシがなく、位置の再現性にも優れる。
【0012】
さらに、前記カム機構は、カム溝を有するカム体とそのカム溝に案内されるカムフォロアとを備えており、前記カム体を、前記モータの動力を入力する側に設けるとともに、前記カムフォロアを、前記動力を出力する側に設けることが好ましい。このように構成すれば、カム溝を有するカム体にモータの動力が入力され、カムフォロアからその動力が出力される。従って、運動体は、カムフォロアの動きに伴って第1及び第2の動作を行うこととなる。
【0013】
特に、前記カムフォロアの動作に基づいて前記運動体に第2の動作を行わしめる動作機構を設けることが好ましい。この構成によれば、カムフォロアの動作に基づいて、動作機構を介して運動体が第2の動作を行う。このため、第2の動作を、カムフォロアの動作とは別の動作とすることも可能となる。
【0014】
併せて、前記運動体の動作が第1及び第2の動作間で切換えられるに際し、前記運動体の動作速度がそれまでよりも低下するように前記モータを制御することが好ましい。このような制御により、第1の動作から第2の動作が行われるとき、或いは、第2の動作から第1の動作が行われるときに運動体が衝撃を受けたりしにくく、滑らかな運動を期待することが可能となる。
【0015】
加えて、前記第1の動作の動作量を規制する規制手段を設けることが好ましい。このような構成とすることで、規制手段の設定を変更したり、規制手段を適宜制御することで、第1の動作の動作量を適宜変更、調整することが可能となる。なお、前記規制手段は、前記第1の動作を規制するストッパ機構であることが好ましい。この構成によれば、ストッパ機構の位置等を調整することで、第1の動作の動作量が変更、調整される。また、前記規制手段を、前記第1の動作を規制するブレーキングシステムにより構成してもよい。この構成によれば、ブレーキ制御を行うことで、第1の動作の動作量が随時、かつ、任意に変更、調整される。
【0016】
さらにまた、前記第1の動作は、前記モータの旋回方向への移動動作であり、前記第2の動作は、前記旋回方向に交わる方向への移動動作であることが好ましい。このような構成とすることで、運動体は、モータの旋回方向へ移動し、かつ、それに交わる方向へ移動する。なお、前記旋回方向に交わる方向は、ほぼ鉛直方向であることが好ましい。このような構成とした場合、運動体による的確な移送動作等を期待できる。
【0017】
また、上記課題を解決する手段として、上記複合運動装置を具備し、かつ、前記運動体は、ワークを把持するためのワーク把持手段を備えている搬送装置が挙げられる。上記構成によれば、第1及び第2の動作を行うワーク把持手段がワークを把持したり放したりすることに基づき、的確な搬送が行われる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は複合運動装置を含む搬送装置1全体を示す側面図である。同図に示すように、搬送装置1は、中空状の固定軸2を備えており、その下部には、駆動源であるモータとしてのダイレクトドライブモータ(以下、「DDモータ」という)3が設けられている。DDモータ3は、周知のとおり、図示しないステータとロータ4とを備えている。ステータは、前記固定軸2側に固定されており、コイルを備えている。そして、図示しない制御装置からの制御信号に基づいて前記コイルに通電を行うことにより、ロータ4が前記固定軸2を中心に周方向(旋回方向)に回転(回動)制御されるようになっている。
【0020】
ロータ4の上部には、略円環状をなし、一部にカム溝5を有するカム体としての板カム6が固定されており、ロータ4の回動に伴って板カム6も一体となって回動するようになっている。この板カム6の上方にはホルダ7が設けられ、このホルダ7は、ベアリング8を介して前記固定軸2を中心に周方向(旋回方向)に回転(回動)可能となっている。ホルダ7の後端(図の右端)上部には、ストップブロック9が上方へ突出するよう一体的に形成されている。
【0021】
さらに、図1,2に示すように、前記ホルダ7の上方には、第1リング11及び第2リング12が固定軸2に対しそれぞれ上下位置に外嵌固定されている。第1及び第2リング11,12には、互いに異なる方向へ、かつ、互いに異なる位置から外方へ突出する突起13,14が一体形成されており、該突起13,14には、ストップ部材15,16がそれぞれ取付けられている。各ストップ部材15,16は、ねじ17及び第1のストッパ18、並びに、ねじ19及び第2のストッパ20によってそれぞれ構成されている。従って、ホルダ7が回動して、ストップブロック9が第1のストッパ18に当たった場合、それ以上のホルダ7の回動が規制され、ホルダ7がそれとは反対方向に回動して、ストップブロック9が第2のストッパ20に当たった場合、それ以上のホルダ7の反対方向への回動が規制されるようになっている。なお、第1及び第2のストッパ18,20の位置は、それぞれねじ17,19を操作したり、第1及び第2リング11,12の外嵌状態を一旦解除して突起13,14の位置を調節したりすることにより、調整できるようになっている。本実施の形態では、両ストップ部材15,16(第1及び第2のストッパ18,20)並びにストップブロック9によってホルダ7の旋回動作量(回動量)を規制するための規制手段が構成されている。
【0022】
さて、ホルダ7の前部(図の左部)は、ホルダアーム21となっている。ホルダアーム21の上面には、前後方向(図の左右方向)に延びる一対のリニアレール22が設けられている。また、一対のリニアレール22間において、ホルダアーム21には、リニアレール22と平行に延びる切欠き部23が形成されている。さらに、リニアレール22にはリニアガイド24が設けられており、このリニアガイド24は、リニアレール22に案内されるようにして該レール22上を前後方向にスライド可能となっている。リニアガイド22の略中央部には下方に延びるようにしてポール25が設けられ、該ポール25は前記切欠き部23内において、前後方向に移動可能に挿通されている。そして、ポール25の下端部には円柱状のカムフォロア26が設けられている。本実施の形態では、前記カム溝5を有する板カム6及びカムフォロア26によって伝達機構たるカム機構が構成されている。
【0023】
前記ホルダアーム21の基部には、支柱27が上方へ突出形成されているとともに、リニアガイド24のほぼ前端部にも支柱28が上方へ突出形成されている。そして、両支柱27,28を繋ぐようにして、バネ29が引張力を持った状態で取付けられている。従って、この引張力によってリニアガイド24が後方(図の右方)へ押し付け力を受け、もって、カムフォロア26が板カム6の周面(主としてカム溝5)に押し当てられた状態に維持されるようになっている(図3参照)。
【0024】
また、前記ホルダアーム21のほぼ前端部には、上方へ延びる一対の円筒状のマスト31が固定されている。これらマスト31には、上下スライダー32が上下動可能に設けられている。より詳しくは、図4に示すように、上下スライダー32は、上枠33及び下枠34と、これら両枠33,34を連結する円柱状の一対のロッド35とを備えている。そして、一対のロッド35が前記マスト31の挿通孔に挿通された状態となっている。
【0025】
上下スライダー32の下枠34には前方へ延びるアーム36が設けられているとともに、アーム36の先端には把持手段としてのチャック37が設けられている。チャック37は、図示しないアクチュエータによって開閉動作可能な一対の把持アーム37aを備えており、該把持アーム37aの開閉によって図示しないワークを離したり把持したりすることができるようになっている。
【0026】
図1,2,4に示すように、前記リニアガイド24のほぼ前端部には、L字状リンク38のほぼ基端部が回動可能に軸支されている。また、L字状リンク38のほぼ先端部には棒状リンク39のほぼ下端部が回動可能に軸支されている。さらに、棒状リンク39のほぼ上端部が前記上下スライダー32の上枠33の取付部に対し回動可能に軸支されている。そして、前記リニアガイド24が最も後端側(図1,2の右端側)に位置した状態にあっては、上下スライダー32が(もちろんチャック37も)持ち上げられた状態、すなわち、上方に位置した状態に維持されるようになっている。本実施の形態では、主として前記上下スライダー32、アーム36及びチャック37によって運動体が構成されている。また、L字状リンク38及び棒状リンク39によって、前後方向への動作を上下方向への動作に変換する動作機構が構成されている。
【0027】
次に、以上のように構成された搬送装置1を用いて搬送動作(複合運動)を行う場合について説明する。
【0028】
まず、ワークを離した状態から説明する。この時点では、ホルダ7は図7(a)の状態、すなわち、ホルダ7のストップブロック9が第2のストッパ20にほぼ当接した状態をとっており、上下スライダー32及びチャック37が持ち上げられた状態をとっているものとする。また、この時点におけるタイミングを、タイミングt0(図5参照)とする。この状態から制御装置は、まず、DDモータ3を正回転させる。これにより、ロータ4及び板カム6が正方向(図中反時計方向)へ回動し、これに追従してカムフォロア26がカム溝5の最も深い部分にはまり込んだまま旋回移動する(図6(a),(b)参照)。これにより、ホルダ7は旋回して、タイミングt1(図5参照)において図2の状態(中間状態)を経る。このとき、DDモータ3の速度Vの絶対値は最も大きく、それ以降速度Vは低減させられる。
【0029】
その後、ホルダ7はさらに旋回動作を続けるとともに、制御装置はタイミングt2(図5参照)においてDDモータ3の速度Vが「0」となるように駆動制御する。そして、そのタイミングt2において、今度は図7(b)に示すように、第1のストッパ18にストップブロック9が当接する(図6(c)参照)。このため、仮にDDモータ3がさらに動いたとしても、ホルダ7のそれ以上の回動は規制されることとなる。
【0030】
続いて、制御装置はさらにDDモータ3を正回転させる。このとき、板カム6はロータ4の回動に追従して若干回動するものの、ホルダ7の回動は規制されている。このため、図6(d)に示すように、それまでカム溝5の最も深い部分に位置していたカムフォロア26がカム溝5の形状に則して押し上げられる。これにより、図8に示すように、ポール25及びリニアガイド24が前記バネ29の引張力に抗して前方へ移動する。このため、L字状リンク38が基端部の軸支部分を中心に同図反時計方向に回動し、棒状リンク39が下方へ移動する。従って、図8,9に示すように、上下スライダー32、アーム36及びチャック37がそれに追従して下方へ移動する(図5のタイミングt3)。これら上下スライダー32等が下端に位置するタイミングt3において、制御装置はDDモータ3の速度Vがちょうど「0」となるように駆動制御する。そして、チャック37が別途駆動制御され、把持アーム37aによって図示しないワークが把持される。なお、カムフォロア26がカム溝5の形状に則して押し上げられるに際し、該カムフォロア26がカム溝5から外れて完全に板カム6の外周面に乗り上げてしまわない構成とするのが望ましい。このような構成とすることで、次に行われるカムフォロア26の復帰動作がより確実に行われることとなる。
【0031】
さて、ワーク把持後、制御装置は今度はDDモータ3を逆回転させる。すると、板カム6はロータ4の逆方向への回動に追従して若干回動し、それまでカム溝5の形状に則して押し上げられていたカムフォロア26が再度カム溝5の最も深い部分に位置することとなる(図6(e)参照)。これにより、図1に示すように、ポール25及びリニアガイド24が前記バネ29の引張力によって後方へ移動する。このため、前記L字状リンク38が基端部の軸支部分を中心に同図時計方向に回動し、棒状リンク39が上方へ移動する。従って、図1,2に示すように、上下スライダー32、アーム36及びチャック37がそれに追従して再度上方へ移動する(図5のタイミングt4)。これら上下スライダー32等が復帰するタイミングt4においても、制御装置はDDモータ3の速度Vがちょうど「0」となるように駆動制御する。
【0032】
次に、制御装置は、この状態からDDモータ3を再度逆回転させる。これにより、ロータ4及び板カム6が逆方向へ回動し、これに追従してカムフォロア26がカム溝5の最も深い部分にはまり込んだまま逆方向へ旋回移動する(図6(f)参照)。これにより、ホルダ7が逆方向へ旋回するとともに、ワークを把持したチャック37もその方向へ旋回移動して、タイミングt5(図5参照)において図2の状態(中間状態)を経る。このとき、DDモータ3の速度Vの絶対値は最も大きく、それ以降速度Vの大きさは低減させられる。
【0033】
その後、ホルダ7はさらに逆旋回動作を続けるとともに、制御装置はタイミングt6(図5参照)においてDDモータ3の速度Vが「0」となるように駆動制御する。そして、そのタイミングt6において、今度は再度図7(a)に示すように、第2のストッパ20にストップブロック9が当接する(図6(g)参照)。このため、仮にDDモータ3がさらに逆方向に動いたとしても、ホルダ7のそれ以上の回動は規制されることとなる。
【0034】
続いて、制御装置はさらにDDモータ3を逆回転させる。このとき、板カム6はロータ4の回動に追従して若干回動するものの、ホルダ7の回動は規制されている。このため、図6(h)に示すように、それまでカム溝5の最も深い部分に位置していたカムフォロア26がカム溝5の形状に則して押し上げられる。これにより、上記同様、ポール25及びリニアガイド24が前記バネ29の引張力に抗して前方へ移動し、L字状リンク38及び棒状リンク39を介して上下スライダー32等が下方へ移動する(図5のタイミングt7)。このタイミングt7において、制御装置はDDモータ3の速度Vがちょうど「0」となるように駆動制御する。そして、チャック37が別途駆動制御され、把持アーム37aから図示しないワークが離される。なお、このときにも、上記同様の理由から、カムフォロア26がカム溝5の形状に則して押し上げられるに際し、該カムフォロア26がカム溝5から外れて完全に乗り上げてしまわない構成とするのが望ましい。
【0035】
ワークが離された後、制御装置は今度はDDモータ3を正回転させる。すると、板カム6はロータ4の正方向への回動に追従して若干回動し、カムフォロア26が再度カム溝5の最も深い部分に位置する。このため、上記同様、図1,2に示すように、ポール25及びリニアガイド24が前記バネ29の引張力によって後方へ移動し、L字状リンク38及び棒状リンク39を介して上下スライダー32等が再度上方へ移動し(図5のタイミングt8)、これにより、搬送装置1は当初の状態、すなわち、タイミングt0の状態に復帰する。なお、このタイミングt8において、制御装置はDDモータ3の速度Vがちょうど「0」となるように駆動制御する。そして、制御装置は、上記の動作制御を繰り返し実行し、これによりワークの搬送作業が繰り返し行われることとなる。
【0036】
以上説明したように本実施の形態によれば、DDモータ3の動力に基づいて上下スライダー32等が旋回動作(回動方向への動作:第1の動作)を行うとともに、カムフォロア26がカム溝5にの形状に沿って乗り上げることによってリニアガイド24が直線動作(前後方向への動作)を行い、もって上下スライダー32等は上下動作(第2の動作)を行う。このため、動作ストロークやタイミングシーケンスを修正、変更しようとした場合でも、特にカム機構の本質部分に加工を加えることなく、例えばDDモータ3の動作量を変更したり、ストップ部材15,16の位置調整等をすることで容易に対処することが可能となる。そのため、そのときどきのニーズに応じた自由かつ容易な修正、変更等を行うことができる。また、逐一カム機構の本質部分を加工したりする必要がなく、別装置用のカム等を用意したりする必要もない。その結果、各種要請に対し、迅速な対応が可能となり、搬送装置1の製造から納品までの期間の著しい短縮を図ることもできる。
【0037】
さらに、駆動源としてシリンダ等の流体圧を利用しておらず、DDモータ3の動力に基づいた動作が行われるため、エネルギー効率の向上を図ることができ、しかも追従性に優れる。その結果、タクトスピードの著しい向上をも図ることができる。
【0038】
併せて、駆動源は、DDモータ3のみであるので、モータを複数設けることにより制御軸数が増えてしまうといった事態が生じない。その結果、装置全体の簡素化及びコストの著しい低減を図ることができる。
【0039】
加えて、本実施の形態では駆動源としてDDモータ3を使用しており、油圧シリンダを駆動源として用いていないので、油漏れという不具合を解消することができ、作業環境の悪化を防止することができる。また、空圧や油圧の配管を極力低減することができる。また、DDモータ3は低回転・高トルク特性があり、この特性により減速機を介することなくロータ4を直接板カム5に接続することができ、省スペース化や部品点数の低減や組付け工数の低減を図ることもできる。さらに、バックラッシがなく、位置の再現性にも優れる。
【0040】
また、本実施の形態では、カムフォロア26の前後動作に基づいて上下スライダー32等に上下動作を行わしめる動作機構を設けることとした。このため、ワークを搬送する際に一般的に行われるピックアンドプレース動作を円滑かつ確実に行うことができる。
【0041】
さらに、上下スライダー32等の動作が、旋回動作と上下動作との間で切換えられるに際し(タイミングt2,t4,t6,t8)、また、下方への動作及び上方への動作間で切換えられるに際し(タイミングt3,t7)、DDモータ3の速度が滑らかに「0」となるような制御が行われる。このため、上下スライダー32等の動作切換が行われるとき、衝撃を受けたしりにくく、滑らかな運動を行うことができる。そのため、搬送装置1全体の製品寿命の延命化を図ることができるとともに、ワークが非常にデリケートなもの(例えば壊れやすいもの)であったとしても、ワークの損傷を招くことなく搬送作業を行うことができる。
【0042】
併せて、本実施の形態では、前記旋回方向への動作量(回動量)を規制するべく規制手段を設けることとした。規制手段の設定を変更したり、規制手段を適宜制御することで、第1の動作の動作量が適宜変更、調整することが可能となる。
【0043】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0044】
(1)上記実施の形態では、固定軸2に第1及び第2リング11,12を設け、それらにストップ部材15,16を設け、該ストップ部材15,16及びストップブロック9により規制手段を構成することとした。これに対し、図10に示すような電磁ブレーキ機構40を設け、これを規制手段とすることとしてもよい。すなわち、固定軸2の周囲には、円環状のブレーキ板41が設けられている。このブレーキ板41には複数箇所に孔が形成され、該孔にブレーキ板41の回動を規制するためのピン42が挿通され、該ピン42は側方からのセットねじ43によって固定されている。これにより、ブレーキ板41は回動が規制された状態で上下動可能となっている。さらに、その上方にはコイル44が環状に配設されている。また、ブレーキ板41の上方には複数本のスプリング45が設けられている。そして、コイル44が通電された場合には、スプリング45が縮められる。このため、ブレーキ板41及びホルダ7間には摩擦力が作用せず、ホルダ7の自由な回動が許容される。これに対し、コイル44の通電が解除されると、同図に示すように、スプリング45の付勢力によってブレーキ板41が下方に押し付けられる。このため、ブレーキ板41及びホルダ7間に摩擦力が作用し、ホルダ7の回動が規制されることとなる。
【0045】
このような構成とすることで、ホルダ7は2点間のストローク運動に限られず、任意の位置での回動、停止を自由に行うことができる。その結果、さらに応用範囲を広げることができるとともに、各種ニーズに応じた搬送作業を行うことができる。もちろん、上記実施の形態のストップ部材15,16等を用いた規制手段と、上記電磁ブレーキ機構とを併用することとしてもよい。
【0046】
(2)上記実施の形態では、板カム6の回動に伴いカムフォロア7が前後方向に動作する際に、その動作を上下動作に変換するべくL字状リンク38及び棒状リンク39によるリンク機構を採用することとした。これに対し、板カム6に代えて、図11に示すような円筒カム51を用いることとしてもよい。円筒カム51は図12の展開図に示すように部位によって高さの異なるカム溝52を備えており、該カム溝52にカムフォロア53がはまり込んでいる。但し、この場合、上下スライダー54を、上方位置或いは下方位置のいずれか一方の基準位置に、図示しないバネ等を用いて引きつけておくことが望ましい。このような構成を採用することにより、旋回動作を直接上下動作に変換することができる。そのため、上記実施の形態のリンク機構を省略することができ、装置のさらなる簡素化を図ることができる。
【0047】
(3)上記実施の形態では、カムフォロア7の前後方向に動作を上下動作に変換するためにリンク機構を採用したが、これを単に省略することとしてもよい。すなわち、図13に示すように、リニアガイド61にアーム62を延設するとともにその先端にチャック63を固定するといった構成としてもよい。かかる構成によれば、第1の動作は旋回方向への動作となり、第2の動作は前後方向(同図矢印方向)への動作となる。
【0048】
(4)さらに、上記実施の形態では、駆動源として旋回動作するDDモータ3を用いたが、直線動作を行いうるリニアモータを用いることとしてもよい。また、他のモータ、例えばサーボモータ等を駆動源として用いてもよい。但し、この場合減速機を併用することが好ましい。
【0049】
(5)上記実施の形態では、複合運動装置を含む搬送装置1に具体化したが、複合運動装置を他の用途に用いることとしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の複合運動装置及び搬送装置によれば、動作条件の修正、変更を容易に行うことができ、エネルギーロスが少なく、かつ、装置の複雑化及びコストアップを抑制することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態における搬送装置の一部破断側面図である。
【図2】搬送装置の平面図である。
【図3】板カム及びカムフォロアの関係を示す平面模式図である。
【図4】上下スライダー及びチャックを主として示す正面図である。
【図5】作用を説明するための図であって、時間の経過に対する制御されるDDモータの速度の関係を示すタイミングチャートである。
【図6】作用を説明する図であって、各タイミングにおける板カム及びカムフォロアの位置関係を示す模式図である。
【図7】ホルダが旋回動作を行った状態を示す平面図である。
【図8】上下スライダー等が下方へ移動した状態を示す部分断面図である。
【図9】上下スライダー等が下方へ移動した状態を示す正面図である。
【図10】別の実施の形態における規制手段を示す一部破断側面図である。
【図11】別の実施の形態におけるカム機構等を示す一部破断側面図である。
【図12】円筒カムのカム溝を示す展開図である。
【図13】別の実施の形態における搬送装置を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
1…搬送装置、2…固定軸、3…駆動源を構成するモータとしてのダイレクトドライブ(DD)モータ、4…ロータ、5…カム機構を構成するカム溝、6…カム機構を構成するカム体としての板カム、7…ホルダ、9…規制手段を構成するストップブロック、15,16…規制手段を構成するストップ部材、24,61…リニアガイド、26…カム機構を構成するカムフォロア、32…運動体を構成する上下スライダー、37…運動体を構成するチャック、38…動作機構を構成するL字状リンク、39…動作機構を構成する棒状リンク、40…規制手段を構成する電磁ブレーキ機構、51…カム機構を構成する円筒カム、52…カム機構を構成するカム溝、53…カム機構を構成するカムフォロア。
Claims (4)
- 少なくとも伝達機構を介して駆動源の動力を運動体に出力し、該運動体を動作させることの可能な複合運動装置であって、
前記駆動源をダイレクトドライブモータにより構成するとともに、前記伝達機構を少なくともカム機構により構成し、
前記運動体が、
前記ダイレクトドライブモータの動力をほぼ直接的に用いることに基づく旋回方向への移動動作である第1の動作と、
該第1の動作とは異なり前記ダイレクトドライブモータの動力を前記伝達機構にて動作方向を変換することに基づく第2の動作とを行うよう構成し、
前記カム機構は、カム溝を有するカム体とそのカム溝に案内されるカムフォロアとを備えており、前記カム体を、前記ダイレクトドライブモータの動力を入力する側に設けるとともに、前記カムフォロアを、前記動力を出力する側に設け、前記カムフォロアの動作に基づいて前記運動体に第2の動作を行わしめる動作機構を設け、
前記運動体の動作が第1及び第2の動作間で切換えられるよう構成するとともに、当該切換に際し、前記運動体の動作速度がそれまでよりも低下するように前記ダイレクトドライブモータを制御するようにしたことを特徴とする複合運動装置。 - 前記第1の動作の動作量を規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の複合運動装置。
- 前記第2の動作は、前記旋回方向に交わる方向への移動動作であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合運動装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の複合運動装置を具備し、かつ、前記運動体は、ワークを把持するためのワーク把持手段を備えていることを特徴とする搬送装置。
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