JP4453713B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、モータ制御装置としては、複数のモータを、単一の制御部(マイクロコンピュータ等)で制御するモータ制御装置が知られている。この種のモータ制御装置では、例えば、モータの回転に応じてパルス信号を出力するエンコーダからの入力信号に基づき、モータに対する操作量を算出し、この操作量をモータ駆動回路に設定する処理(以下、「制御処理」と称する。)を繰返し、モータ毎に実行することにより、モータ制御を実現する。但し、単一の制御部では、複数モータの上記制御処理を夫々、並列に実行することができない。このため、従来のモータ制御装置では、繰返し、各モータの制御処理を、順に実行することで、仮想的に、各モータを並列制御している。
また、モータ制御に際しては、周期的に制御量を取得し、これに基づき周期的に操作量を更新しないと、異なる時間間隔で制御が行われることになるため、良好なモータ制御を実現することができない。このため、従来では、各モータに対し、制御周期を定め、各モータの制御処理を、この制御周期毎に実行して、モータ制御を実現するようにしている。
例えば、従来装置としては、制御対象のモータ毎にタイマを備え、これらのタイマにより、モータ毎に、予め設定した制御周期で割込み信号を制御部に入力し、制御部に、各モータの制御処理を実行させ、この動作によって、制御部に複数のモータを、夫々の制御周期で制御させるモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来装置としては、制御周期の最適値が最小のモータについての当該制御周期を、処理の実行周期Tsとし、タイマにより周期Tsで割込み信号を制御部に入力することで、モータ制御を実現するモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。具体的に、この種のモータ制御装置では、上記最適値が最小のモータについての制御周期が、処理実行周期Tsに定められ、他のモータの制御周期が、処理実行周期Tsの整数倍Mに定められる。そして、制御部では、割込み信号の入力を受けて、処理実行時刻の到来を検知し、割込み信号が入力される度、制御周期が到来したモータを検出して、制御周期が到来したモータについての上記制御処理を、モータ毎に、順に実行する。制御周期がM×Tsのモータについては、処理実行時刻の到来回数がMの整数倍となる度、上記制御処理を実行するといった具合である。
特開平7−302749号公報 特開2002−186288号公報
しかしながら、従来装置では、割込み信号が入力されると、まず、エンコーダ等から制御量を取得して、この取得値に基づき、モータに対する操作量を算出し、算出後に、当該算出の結果得られた操作量を、モータ駆動回路に設定して、操作量を更新していたため、割込み信号を一定周期で制御部に入力しても、操作量の演算時間の揺動により、安定して一定周期で操作量を設定(更新)することができないといった問題があった。
尚、このような問題は、複数モータを制御するモータ制御装置に限らず、単一モータを制御するモータ制御装置でも生じる。しかしながら、複数モータを制御するモータ制御装置であって、一度の割込み信号の入力に対し、複数モータの制御処理をシリアルに実行す
るモータ制御装置では、演算時間の遅延が累積されることから、優先順位の低いモータについての操作量の設定動作を、一定周期で安定して実行できないといった問題があった。
また、複数モータの制御処理をシリアルに実行するモータ制御装置では、優先順位の低いモータの制御処理の実行開始時刻が、先に実行される優先順位の高いモータについての制御処理の遅延を受けて安定しないため、操作量の設定動作だけでなく、制御量の取得動作についても、一定周期で精度よく実行することができないといった問題があった。そして、従来装置では、このような操作量の設定動作及び制御量の取得動作の実行時期の揺動が、モータの制御性能の劣化を招いていた。
尚、制御量の取得動作に係る問題は、モータ毎にタイマを設け、モータ毎に個別の割込み信号を発生させることによりある程度解決することができる。しかしながら、モータ毎にタイマを設けると、製造コストがアップすると共に、制御系が煩雑になるといった問題があった。また、演算時間の揺動を原因とした操作量の設定周期の揺動については、解決することができないといった問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、単一又は複数のモータを制御するモータ制御装置において、従来よりも、制御量の取得動作及び操作量の設定動作を精度よく一定周期で実行することができ、安定したモータ制御を実現可能な技術を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた第一の発明(請求項1)は、モータを制御するモータ制御装置であって、モータの回転量を検出する回転量検出手段と、設定された操作量に対応する操作をモータに加えて、モータを駆動するモータ駆動手段と、操作量の算出結果を記憶するための操作量記憶手段と、予め定められた周期で到来する処理実行時刻が到来する度、回転量検出手段から回転量についての検出値を取得する第一処理、取得した回転量検出手段の検出値に基づきモータに対する操作量を算出して当該操作量を操作量記憶手段に記憶させる第二処理、及び、操作量記憶手段が記憶する操作量を操作量記憶手段から読み出して当該操作量をモータ駆動手段に設定する第三処理を実行して、モータ駆動手段に操作量を設定する操作量設定手段と、を備えるものである。
具体的に、このモータ制御装置における操作量設定手段は、処理実行時刻が到来した時点で、第一処理及び第三処理の両者を実行し、第一処理及び第三処理の実行後に第二処理を実行することで、当該操作量の算出に先駆けて、所定回前に算出された操作量を、操作量記憶手段から読み出し、読み出した操作量を、モータ駆動手段に設定する
この他、第二の発明(請求項2)は、複数のモータを制御するモータ制御装置であって、複数のモータの夫々に対し、上記回転量検出手段及びモータ駆動手段を備えると共に、操作量の算出結果を記憶するための操作量記憶手段と、処理実行時刻が到来する度、制御周期が到来した各モータのモータ駆動手段に対し、操作量を設定する操作量設定手段と、を備えるものである。
具体的に、このモータ制御装置における操作量設定手段は、処理実行時刻が到来した時点で、入出力処理を実行すると共に、この入出力処理の実行後、制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、算出記録処理を実行する構成にされ、入出力処理として、制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、対応する回転量検出手段から回転量についての検出値を取得すると共に、制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、所定回前に算出された当該モータの操作量を、操作量記憶手段から読み出し、読み出した操作量を、このモータに対応するモータ駆動手段に設定する処理を実行する。また、各モータの算出記録処理として、対応する回転量検出手段から取得した検出値に基づき、このモータに対する操作量を算出し、算出した操作量を、操作量記憶手段に記憶させる処理を実行する。
尚、上記モータ制御装置は、複数のモータの内、少なくとも一部のモータの制御周期を、他のモータと、制御周期の到来時刻が重なるように、設定して、構成することができる(請求項3)。
上述したように、第一及び第二の発明では、従来装置とは異なり、処理実行時刻が到来する度、操作量の演算に先駆けて、前もって算出した操作量をモータ駆動手段に対し設定する。従って、これらの発明によれば、操作量の演算時間の揺動による影響を受けず、操作量の設定動作を、精度よく一定周期で実行することができ、従来よりも安定して、高精度にモータを制御することができる。
特に、複数モータを制御する従来のモータ制御装置では、処理実行時刻が到来する度、制御周期が到来した各モータの制御処理を、優先順位の高いモータから、順に実行していたため、優先順位の低いモータの制御処理の実行開始時刻が、先に実行される優先順位の高いモータについての制御処理の遅延を受けて安定せず、操作量の設定動作だけでなく、回転量の検出値の取得動作についても、一定周期で精度よく実行することができないといった問題があったが、第二の発明によれば、この問題も解決することができる。
即ち、第二の発明では、上述したように、制御周期が到来した各モータについての制御量の取得動作及び操作量の設定動作を、操作量の演算に優先して実行するので、複数モータを制御する場合であっても、演算時間の遅れが累積されて、それが制御量の取得動作及び操作量の設定動作に影響を与えるといったことがなく、従来装置と比較して、安定した周期で、制御量の取得動作及び操作量の設定動作を実行することができ、結果として、各モータを高精度に制御することができる。
ところで、上記モータ制御装置は、処理実行時刻が到来してから次の処理実行時刻が到来するまでの期間に、入出力処理及び算出記録処理の全てが終了するように、構成されるのが好ましいが、操作量の演算時間が延びて、算出記録処理が次の処理実行時刻までに終了しない場合も考えられる。従って、このような場合を想定してモータ制御装置を構成する場合には、具体的に、操作量設定手段を次のように構成するとよい。
即ち、操作量設定手段は、算出記録処理を、次の処理実行時刻の到来時までに終えることができなかった場合、次の処理実行時刻の到来時点で、この算出記録処理を中断すると共に、処理実行時刻の到来を契機として入出力処理を実行した後、中断した算出記録処理を再開する構成にされるとよい(請求項4)。算出記録処理が次の処理実行時刻までに終了しない事態も考えられるモータ制御装置において、このように、操作量設定手段を構成すれば、上記事態が発生した場合でも、優先的に入出力処理が実行されるため、適切に検出値(制御量)の取得動作及び操作量の設定動作を一定周期で実行することができ、安定したモータ制御を実現することができる。
この他、処理実行時刻の到来周期と同一時間間隔の制御周期を、モータに対して設定する場合には、処理実行時刻が到来する度、このモータについての算出記録処理を実行することになるが、このような設定を行って、モータ制御装置を構成する場合には、具体的に、操作量設定手段を、次のように構成するのがよい。
即ち、操作量設定手段は、処理実行時刻が到来すると、当該処理実行時刻の到来時点で中断された算出記録処理の内、制御周期が到来したモータについての操作量を算出する算出記録処理を、再開せずに破棄して、入出力処理の実行後、制御周期が到来した各モータについての算出記録処理を、新たに実行する構成にされるのがよい。
このようにすれば、必要のない算出記録処理を再開することによって、無駄な処理負荷が操作量設定手段に及ぶのを抑えることができる。
また、操作量設定手段は、制御周期の到来したモータの内、制御周期の短いモータから優先して、算出記録処理を実行する構成にされるのがよい(請求項5)。このように操作量設定手段を構成すれば、細やかな制御が必要なモータについての操作量の演算を、次の処理実行時刻の到来時までに、確実に終わらせることができて、当該モータについての制御を精度よく実行することができる。
また、操作量設定手段としての機能は、操作量設定手段としての機能をマイクロコンピュータに実現させるためのプログラムを、モータ制御装置が備える単一のマイクロコンピュータに、実行させることにより、実現することができる(請求項6)。単一のマイクロコンピュータにて操作量を演算する従来のモータ制御装置では、上述したように、操作量の演算時間の揺動から、精度よく一定周期で、回転量の検出値(制御量)の取得動作及び操作量の設定動作を実行することができないといった問題があったが、本発明を、このようなモータ制御装置に適用すれば、検出値の取得動作及び操作量の設定動作を一定周期で実行することができ、安定したモータ制御を実現することができる。
以下、本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された制御システム1の構成を表すブロック図である。本実施例の制御システム1は、複数のモータA,B,Cを、単一の制御部10にて制御するものであり、例えば、インクジェットプリンタにおける印字機構100の制御システムに用いられる。図2は、印字機構100の構成を表す概略断面図である。
本実施例の制御システム1を、印字機構100の制御システムに適用する場合には、単一の制御部10にて、インクジェットヘッド101を搭載したキャリッジ103を主走査方向に駆動するCRモータ105、給紙トレイ111から用紙Pを給紙する給紙ローラ113を駆動するACFモータ115、給紙される用紙Pをピンチローラ121と挟持して印字位置へと搬送する用紙搬送ローラ123及び用紙搬送ローラ123に連結された排紙ローラ127であって用紙搬送ローラ123側から搬送されてくる用紙Pをピンチローラ125と挟持して排紙する排紙ローラ127を駆動するLFモータ129を制御することになる。
具体的に、図2に示す印字機構100において印字を実現するには、給紙ローラ113を回転させて、給紙トレイ111上の用紙Pを用紙搬送ローラ123側へと搬送し、用紙Pが用紙搬送ローラ123に到達した場合には、給紙ローラ113を回転させながらも、用紙搬送ローラ123を回転させて、用紙Pを印字位置まで搬送する必要がある。また、印字を開始するに当たっては、インクジェットヘッド101のノズルを洗浄するため、インクを吐き出すフラッシング動作を行う必要があり、この際には、キャリッジ103をフラッシング位置まで移動させる必要がある。そして、この場合には、CRモータ105及びACFモータ115及びLFモータ129を、同時期に制御する必要がある。
図3は、横軸を時間、縦軸をモータ速度としたグラフを記したものであり、図3上段は、印字処理開始時のCRモータ105の動作を表すグラフ、中段は、ACFモータ115の動作を表すグラフ、下段は、LFモータ129の動作を表すグラフである。図3に示すように、CRモータ105、ACFモータ115及びLFモータ129は、特定の期間において同時制御される必要がある。本実施例の制御システム1は、このような複数モータを備える制御システムに適用され、単一の制御部10にて、これら複数モータを制御する
具体的に、本実施例の制御システム1は、モータA,B,Cを制御する制御部10を備えると共に、図1に示すように、制御対象のモータA,B,C毎に、エンコーダ21、エンコーダ信号処理回路23、及び、モータ駆動回路25を備える。また、この制御システム1は、制御部10に割込み信号Irを所定周期Tsで入力するタイマ27を備える。以下では、モータAのエンコーダ21及びエンコーダ信号処理回路23及びモータ駆動回路25を、特に、エンコーダ21a及びエンコーダ信号処理回路23a及びモータ駆動回路25aと記し、モータBのエンコーダ21及びエンコーダ信号処理回路23及びモータ駆動回路25を、エンコーダ21b及びエンコーダ信号処理回路23b及びモータ駆動回路25bと記し、モータCのエンコーダ21及びエンコーダ信号処理回路23及びモータ駆動回路25を、エンコーダ21c及びエンコーダ信号処理回路23c及びモータ駆動回路25cと記す。
この制御システム1が備えるモータA,B,Cのエンコーダ21は、周知のロータリーエンコーダ若しくはリニアエンコーダであり、対応するモータA,B,Cの回転に応じてパルス信号を出力する。パルス信号は、対応するモータA,B,Cのエンコーダ信号処理回路23に入力され、エンコーダ信号処理回路23は、このパルス信号に基づき、所定の時点(リセットされた時点)を基準としたモータA,B,Cの回転量(位置座標)X及びモータの回転速度Vを算出する。当該制御システム1を、上記印字機構100の制御システムに適用した場合、モータAの回転量は、キャリッジの位置座標を表し、モータB,Cの回転量は、用紙Pの搬送量を表すこととなる。
また、制御部10は、各モータA,B,Cのエンコーダ信号処理回路23で算出された回転量X及び回転速度Vを、制御量の情報としてエンコーダ信号処理回路23から取得し、この情報X,Vに基づき、モータをフィードバック制御する構成にされている。ここでは、フィードバック制御の具体的な態様についての説明を省略するが、制御部10は、周知の手法で、モータA,B,Cの回転量及び回転速度を、フィードバック制御する構成にすることができる。
この制御部10は、各種演算処理を行うCPU11、CPU11が実行するプログラムを記憶するROM13、及び、プログラム実行時に作業領域として使用されるRAM15を有し、CPU11にてROM13が記憶するプログラムを実行することにより、各モータA,B,Cに対する操作量を算出し、これを対応するモータA,B,Cのモータ駆動回路25に設定して、モータ制御を実現する。
具体的に、本実施例の制御システム1は、各モータA,B,CをPWM制御する構成にされており、制御部10は、操作量として、PWM値を、モータ駆動回路25に設定する。換言すると、本実施例では、モータ駆動回路25が、設定された操作量(PWM値)に対応したデューティー比で、モータA,B,Cをオン/オフすることにより、モータの回転量及び回転速度が、操作量に対応した量に調整され、モータ制御が実現される。
そして、このような制御により回転するモータA,B,Cの回転量X及び回転速度Vは、上述したように、対応するエンコーダ21及びエンコーダ信号処理回路23を通じて検出される。制御部10では、この検出値に基づき、新たな操作量が演算され、これがモータ駆動回路25に設定される。本実施例の制御システム1では、このような動作によって、各モータA,B,Cについてのモータ制御が実現される。
ここで、制御システム1にて実現されるモータ制御について、更に具体的に説明すると、本実施例では、タイマ27から制御部10に対し周期的に割込み信号Irを入力する。
そして、制御部10に、割込み信号Irが入力される度、制御周期の到来したモータを検出させて、制御周期の到来したモータ毎に、制御量(エンコーダ信号処理回路23にて算出された回転量X,回転速度V)の取得動作、及び、モータ駆動回路25に対する操作量の設定動作を、実行させる。
尚、本実施例では、このようにして複数のモータA,B,Cを制御するに先駆け、設計段階で、タイマ27から入力する割込み信号の入力周期Tsと、各モータA,B,Cの制御周期Ts1,Ts2,Ts3を定める。モータA,B,Cの制御周期Ts1,Ts2,Ts3の適値は、モータ特性や駆動用途、制御量の検出能力等に応じて変化するため、モータA,B,Cの制御周期Ts1,Ts2,Ts3として設定すべき値は、設計者が、設計段階で、試験や卓上計算等により求めることになる。但し、ここでは、モータA,B,Cの制御周期Ts1,Ts2,Ts3を、割込み信号の入力周期Tsの整数倍に定めるものとする。
図4(a)は、モータAの制御周期Ts1を、割込み信号入力周期Tsの1倍に設定し、モータBの制御周期を、割込み信号入力周期Tsの2倍に設定し、モータCの制御周期を、割込み信号入力周期Tsの4倍に設定した際のタイムチャートであり、制御部10で算出される、モータAに対する操作量U1の演算期間T_a、モータBに対する操作量U2の演算期間T_b、モータCに対する操作量U3の演算期間T_c、のパターンを、時間軸に沿って記したタイムチャートである。上記のように周期Ts,Ts1,Ts2,Ts3が設定された場合、本実施例の制御システム1では、制御部10が、割込み信号Irが入力される度、モータAに対する操作量を演算し、初回の割込みを0回目として、割込み回数CNTが2の倍数となる度、モータBに対する操作量を演算し、割込み回数CNTが4の倍数となる度、モータCに対する操作量を演算することになる。
但し、本実施例では、従来装置とは異なり、操作量の演算後に操作量を設定するのではなく、操作量を演算する前に、入出力処理(図5及び図6参照)を実行して、前もって算出したモータの操作量をモータ駆動回路25に設定する。図4(b)は、図4(a)に示す各モータの操作量の演算期間に、入出力処理の実行期間T_ioを組み込んだ実際の制御部10の動作態様を示したタイムチャートであり、各処理の実行期間T_io,T_a,T_b,T_cのパターンを記したタイムチャートである。
即ち、本実施例では、周期Tsでタイマ27から割込み信号Irが入力される度、制御部10が、CPU11にて、図5及び図6に示す入出力処理を、割込み処理(例外処理)として実行することにより、操作量の演算動作に優先した操作量の設定動作が実現される。図5及び図6は、制御部10が実行する入出力処理を表すフローチャートである。
以下では、図5及び図6を用いて、入出力処理の内容について説明するが、ここで説明する入出力処理は、モータAの制御周期Ts1、モータBの制御周期Ts2、モータCの制御周期Ts3が、次の関係Ts1≦Ts2≦Ts3を有しているものとし、制御部10は、制御周期の短いモータから後述するS110〜S160に対応する処理を優先的に実行する構成にされているものとする。
制御部10は、図5に示す入出力処理を開始すると、まず、制御周期がTs1=M1・TsのモータAについて、モータAの制御周期が到来したか否かを判断するため、割込み回数CNTを値M1で除算し、余りRを算出する(S110)。尚、制御部10は、割込み回数CNTの初期値をゼロとして、割込み信号Irが入力される度、S310で割込み回数CNTをカウントアップし、初回割込みを0回目とした割込み回数CNTをRAM15に記憶する構成にされているものとする。
制御部10は、S110における余りRの算出後、S120に移行し、余りRが値ゼロであるか否かを判断することにより、モータAの制御周期が到来したか否かを判断する。そして、余りRがゼロである場合には、制御周期が到来したと判断して(S120でYes)、S130に移行し、余りRがゼロではない場合には、制御周期が到来していないと判断して(S120でNo)、S160に移行する。
尚、制御周期がTs1=1・Tsである場合には、割込み回数CNTを1で除算して余りRを算出することになるので、当然のことながら、常に余りRがゼロになり、制御部10は、割込み信号が入力される度、常にS120でYesと判断して、S130に移行することになる。この場合、S120は、冗長なステップになるので、制御周期Ts1を可変にしない場合には、S120のステップを実行せず、S110の処理終了後、常にS130に移行するように、制御部10を構成してもよい。
S120でNoと判断してS160に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶するモータAの処理開始フラグFG_Aをゼロにリセットし(FG_A=0)、その後、S170に移行する。
一方、S120でYesと判断してS130に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶されたモータAに対する操作量U1を、RAM15から読み出し、これをモータAのモータ駆動回路25aに設定する。
尚、本実施例の制御システム1は、モータ制御に先立って、制御部10により初期化処理を実行し、モータAに対する操作量U1、モータBに対する操作量U2、モータCに対する操作量U3として、初期値ゼロを設定し、これをRAM15に記憶する構成にされている。
従って、制御部10は、初回のS130の実行時、モータ駆動回路25aに対して操作量ゼロを設定することになる。一方、本実施例において、RAM15が記憶する操作量U1は、モータ制御の実行過程で、逐次更新される。従って、2回目以降については、更新された操作量U1が、制御部10の動作により、モータ駆動回路25aに設定されることになる。
S130で、操作量としてゼロより大きい値がモータ駆動回路25aに設定された場合、モータ駆動回路25aは、操作量に対応するデューティー比でモータAをオン/オフして、モータAを駆動する。一方、操作量として値ゼロが設定された場合、モータ駆動回路25aは、実質的に、モータAを駆動することなく、操作量が更新されるまで待機する。
S130での処理を終えると、制御部10は、S140に移行し、モータAのエンコーダ信号処理回路23aから、エンコーダ信号処理回路23aが保持するモータAの回転量X及び回転速度Vを取得し、これをRAM15に記憶する。尚、エンコーダ信号処理回路23aにて算出されるモータAの回転量X及び回転速度Vを、以下では、回転量X1及び回転速度V1と表記する。
また、S140での処理を終えると、制御部10は、S150に移行し、モータAの処理開始フラグFG_Aを値1にセットする(FG_A=1)。その後、S170に移行する。
また、S170に移行すると、制御部10は、制御周期がTs2=M2・TsのモータBについて、S110の処理と同様の処理を実行する。即ち、制御部10は、モータBの制御周期が到来したか否かを判断するために、割込み回数CNTを値M2で除算し、余り
Rを算出する(S170)。そして、余りRの算出後には、S180に移行し、余りRが値ゼロであるか否かを判断することにより、モータBの制御周期が到来したか否かを判断する。
例えば、制御周期Ts2=2・Tsである場合には、割込み回数CNTを2で除算して余りRを算出し、余りRがゼロであるか否かを判断することにより、割込み回数CNTが2の倍数であるか否かを判断する。そして、余りRがゼロである場合には、割込み回数CNTが2の倍数であり、モータBの制御周期が到来したと判断して(S180でYes)、S190に移行する。一方、余りRがゼロではない場合には、制御周期が到来していないと判断して(S180でNo)、S220に移行する。
また、S220に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶するモータBの処理開始フラグFG_Bをゼロにリセットし(FG_B=0)、その後、S230に移行する。一方、S190に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶されたモータBに対する操作量U2を、RAM15から読み出し、これをモータBのモータ駆動回路25bに設定する。
具体的に、制御部10は、初回のS190の実行時、モータ駆動回路25bに対して操作量ゼロを設定する。一方、RAM15が記憶する操作量U2については、モータ制御の実行過程で逐次更新されるので、2回目以降では、更新された操作量U2を、モータ駆動回路25bに設定する。
S190で、操作量としてゼロより大きい値がモータ駆動回路25bに設定された場合、モータ駆動回路25bは、操作量に対応するデューティー比でモータBをオン/オフして、モータBを駆動する。一方、操作量として値ゼロが設定された場合、モータ駆動回路25bは、実質的に、モータBを駆動することなく、操作量が更新されるまで待機する。
S190での処理を終えると、制御部10は、S200に移行し、モータBのエンコーダ信号処理回路23bから、エンコーダ信号処理回路23bが保持するモータBの回転量X及び回転速度Vを取得し、これをRAM15に書き込む。尚、エンコーダ信号処理回路23bにて算出されるモータBの回転量X及び回転速度Vを、以下では、回転量X2及び回転速度V2と表記する。
また、S200での処理を終えると、制御部10は、S210に移行し、モータBの処理開始フラグFG_Bを値1にセットする(FG_B=1)。その後、S230に移行する。
また、S230に移行すると、制御部10は、制御周期がTs3=M3・TsのモータCについて、S110の処理と同様の処理を実行する。即ち、制御部10は、モータCの制御周期が到来したか否かを判断するために、割込み回数CNTを値M3で除算し、余りRを算出する(S230)。そして、余りRの算出後には、S240に移行し、余りRが値ゼロであるか否かを判断することにより、モータCの制御周期が到来したか否かを判断する。
例えば、制御周期Ts3=4・Tsである場合には、割込み回数CNTを4で除算して余りRを算出し、余りRがゼロであるか否かを判断することにより、割込み回数CNTが4の倍数であるか否かを判断する。そして、余りRがゼロである場合には、割込み回数CNTが4の倍数であり、モータCの制御周期が到来したと判断して(S240でYes)、S250に移行する。一方、余りRがゼロではない場合には、制御周期が到来していないと判断して(S240でNo)、S280に移行する。
また、S280に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶するモータCの処理開始フラグFG_Cをゼロにリセットし(FG_C=0)、その後、S290に移行する。一方、S250に移行すると、制御部10は、RAM15に記憶されたモータCに対する操作量U3を、RAM15から読み出し、これをモータCのモータ駆動回路25cに設定する。
具体的に、制御部10は、初回のS250の実行時、モータ駆動回路25cに対して操作量ゼロを設定する。一方、RAM15が記憶する操作量U3については、モータ制御の実行過程で、更新されるので、2回目以降については、更新された操作量U3を、モータ駆動回路25cに設定する。
S250で、操作量としてゼロより大きい値がモータ駆動回路25cに設定された場合、モータ駆動回路25cは、操作量に対応するデューティー比でモータCをオン/オフして、モータCを駆動する。一方、操作量として値ゼロが設定された場合、モータ駆動回路25cは、実質的に、モータCを駆動することなく、操作量が更新されるまで待機する。
S250での処理を終えると、制御部10は、S260に移行し、モータCのエンコーダ信号処理回路23cから、エンコーダ信号処理回路23cが保持するモータCの回転量X及び回転速度Vを取得し、これをRAM15に書き込む。尚、エンコーダ信号処理回路23cにて算出されるモータCの回転量X及び回転速度Vを、以下では、回転量X3及び回転速度V3と表記する。
また、S260での処理を終えると、制御部10は、S270に移行し、モータCの処理開始フラグFG_Cを値1にセットする(FG_C=1)。その後、S290に移行する。
また、S290に移行すると、制御部10は、上述の処理にて、処理開始フラグFG_A,FG_B,FG_Cのいずれかがセットされた(値1に設定された)か否かを判断し、処理開始フラグFG_A,FG_B,FG_Cのいずれかがセットされた(値1に設定された)と判断すると(S290でYes)、S300に移行し、実行待ちキューに、操作量演算処理タスク(詳細後述。図7参照)を登録する。
尚、制御部10は、割込み信号を受けて例外処理(入出力処理等)を実行するとき以外は、基本的に、実行待ちキューに登録されたタスクを、登録順に実行する構成にされている。また、割込み信号を受けて例外処理を実行する場合には、実行中のタスクを一旦中断して、例外処理を優先的に実行した後、中断したタスクを再開する構成にされている。
S300での処理を終えると、制御部10は、S310に移行する。一方、S290で、処理開始フラグFG_A,FG_B,FG_Cが全てリセットされている(値0に設定されている)と判断すると(S290でNo)、S300の処理を実行することなく、S310に移行する。
また、S310に移行すると、制御部10は、割込み回数CNTを1加算した値に更新し(CNT←CNT+1)、その後、割込み回数CNTが値M1,M2,M3の最小公倍数であるか否かを判断する(S320)。
そして、制御部10は、割込み回数CNTが値M1,M2,M3の最小公倍数であると判断すると(S320でYes)、S330に移行し、割込み回数CNTを値ゼロに更新した後、当該入出処理を終了する。一方、割込み回数CNTが値M1,M2,M3の最小
公倍数ではないと判断すると(S320でNo)、S330の処理を実行することなく、当該入出力処理を終了する。具体的に、M1=1,M2=2,M3=4である場合には、割込み回数CNTが4の倍数となる度、割込み回数CNTを値ゼロに更新することになる。
以上に、入出力処理の手順を説明したが、制御部10は、上記入出力処理を、割込み信号Irがタイマ27から入力される度、他のタスクに優先して実行する。従って、本実施例の制御システム1においては、図4(b)に示すように、周期Ts毎に、制御量の取得動作及び操作量の設定動作が遅延なく実行されることになる。
この他、本実施例の制御システム1では、制御周期の到来したモータが存在する場合、上述したように、入出力処理にて、操作量演算処理タスクを、実行待ちキューに登録するので、この入出力処理の実行後には、制御部10にて、操作量演算処理タスクが実行されることになる。図7は、制御部10のCPU11により実行される操作量演算処理タスクの処理手順を表すフローチャートである。
操作量演算処理タスクを開始すると、制御部10は、まず、入出力処理にて設定された処理開始フラグFG_Aの値を、ローカルフラグFL_Aに設定すると共に、処理開始フラグFG_Bの値を、ローカルフラグFL_Bに設定し、更に、処理開始フラグFG_Cの値を、ローカルフラグFL_Cに設定する(S410)。
その後、S420に移行して、フラグFL_Aが値1に設定されているか否かを判断し、フラグFL_Aが値1に設定されていると判断すると(S420でYes)、モータAの制御周期が到来しているとして、S430に移行し、入出力処理にてエンコーダ信号処理回路23aから読み出されたモータAの回転量X1及び回転速度V1の情報に基づき、目標回転量及び目標回転速度に対応したモータAに対する操作量U1を算出する。そして、算出した操作量U1を、RAM15に記録する(S435)。その後、S440に移行する。
一方、S420で、フラグFL_Aが値ゼロに設定されていると判断すると(S420でNo)、制御部10は、S430,S435の処理を実行することなく、S440に移行する。
また、S440に移行すると、制御部10は、フラグFL_Bが値1に設定されているか否かを判断し、フラグFL_Bが値1に設定されていると判断すると(S440でYes)、モータBの制御周期が到来しているとして、S450に移行し、上記入出力処理でエンコーダ信号処理回路23bから読み出されたモータBの回転量X2及び回転速度V2の情報に基づき、目標回転量及び目標回転速度に対応したモータBに対する操作量U2を算出する。そして、算出した操作量U2を、RAM15に記録する(S455)。その後、S460に移行する。
一方、S440で、フラグFL_Bが値ゼロに設定されていると判断すると(S440でNo)、制御部10は、S450,S455の処理を実行することなく、S460に移行する。
また、S460に移行すると、制御部10は、フラグFL_Cが値1に設定されているか否かを判断し、フラグFL_Cが値1に設定されていると判断すると(S460でYes)、モータCの制御周期が到来しているとして、S470に移行し、上記入出力処理でエンコーダ信号処理回路23cから読み出されたモータCの回転量X3及び回転速度V3の情報に基づき、目標回転量及び目標回転速度に対応したモータCに対する操作量U3を
算出する。そして、算出した操作量U3を、RAM15に記録する(S475)。その後、当該操作量演算処理タスクを終了する。
一方、S460で、フラグFL_Cが値ゼロに設定されていると判断すると(S460でNo)、制御部10は、S470,S475の処理を実行することなく、当該操作量演算処理タスクを終了する。
以上、本実施例の制御システム1の構成及び動作について説明したが、本実施例の制御システム1では、上述したように、割込み信号Irが制御部10に入力されて、入出力処理が制御部10にて実行されたときに、操作量演算処理タスクが、実行待ちキューに登録され、この入出力処理の実行後に、実行される。
具体的に、モータAの制御周期がTs1=1・Tsに設定され、モータBの制御周期がTs2=2・Tsに設定され、モータCの制御周期がTs3=4・Tsに設定されている場合、制御部10は、図4(b)に示すパターンで、入出力処理及び操作量演算処理タスクを実行する。尚、操作量演算処理タスクの実行期間は、図4(b)において、操作量の演算期間T_a,T_b,T_cのひとまとまりに対応する。
このように、本実施例では、制御周期の到来時に、次の制御周期の到来時に設定すべき操作量を予め算出して、RAM15に記録し、割込み信号Irが入力されたとき、優先的に入出力処理を実行して、制御量を取得すると共に、RAM15に記録しておいた操作量をモータ駆動回路25に設定する。従って、この制御システム1によれば、操作量の演算時間の揺動が、制御量の取得動作及び操作量の設定動作の実行時期に影響を与えることがなく、安定的に、一定周期で、制御量の取得動作及び操作量の設定動作を実行することができる。よって、本実施例によれば、各モータA,B,Cを、単一の制御部10にて精度よく制御することができる。
即ち、従来技術では、制御入力/出力が一定周期で実行されることを前提とした理論に基づいて、制御系を設計しているにもかかわらず、実際には、制御入力/出力が一定周期で行われないため、制御対象を精度よく制御することができないといった問題があったが、本実施例によれば、制御入力/出力を一定周期で実行することができるので、理論と実際の環境とを適合させることができ、制御対象を精度よく制御することができる。
この点について、図8を用いて具体的に説明する。図8(a)は、本実施例の制御システム1における入出力処理の実行期間T_io、操作量U1の演算期間T_a、操作量U2の演算期間T_bの例を、横軸を時間軸として記したものである。一方、図8(b)は、従来の制御システムにおいて、制御部が算出するモータAに対する操作量U1の演算期間T_a、モータBに対する操作量U2の演算期間T_b、及び、制御量の取得期間T_i及び操作量の設定期間T_oの例を、横軸を時間軸として記したものである。
図8(b)に示すように、従来システムでは、割込み信号が入力されると、制御部が、まず、モータAの制御量を取得して(期間T_i)、その後、モータAの操作量を算出し(期間T_a)、ここで算出した操作量をモータ駆動回路25aに設定し(期間T_o)、更に、制御周期の到来したモータが複数ある場合には、次のモータBの制御量を取得し(期間T_i)、その後、モータBの操作量を算出し(期間T_b)、その後、算出した操作量をモータ駆動回路25bに設定する(期間T_o)。
従って、従来システムでは、例えば、モータAについての操作量U1の演算が通常(図8(b)上段)よりも遅れると(図8(b)下段)、操作量U1の設定動作が遅れるばかりでなく、後続のモータBについての制御量の取得動作及び操作量U2の設定動作までも
が遅れ、各モータについての制御量の取得動作及び操作量の設定動作を一定周期Tsで、正確に実行することができない。特に、制御周期が到来したモータが、多数ある場合には、優先順位の低いモータについての制御量の取得動作及び操作量の設定動作の実行時期が、優先順位の高いモータについての操作量演算動作の延長によって、累積的に大きく変化する。従って、優先順位の低いモータについての制御性能は、従来システムの場合、大きく劣化する。
一方、本実施例の制御システム1では、図8(a)に示すように、割込み信号が入力される度、制御量の取得動作及び操作量の設定動作(T_io)を、操作量の演算動作(T_a,T_b)に優先して実行するので、この制御システム1によれば、操作量の演算時間が通常(図8(a)上段)より延びても(図8(a)下段)、制御量の取得動作及び操作量の設定動作の実行周期を、一定に保つことができる。また、制御周期の到来したモータが複数ある場合でも、全モータの操作量の演算動作に先駆けて、入出力処理(T_io)を実行するので、他のモータの演算時間の延長により、各モータの制御量の取得動作及び操作量の設定動作の実行周期が揺動することがない。
従って、本実施例の制御システム1によれば、従来よりも精度よく、各モータの制御量の取得動作及び操作量の設定動作を、周期的に実行することができ、結果として、各モータを高精度に制御することができるのである。
また、本実施例では、操作量U1,U2,U3の算出に、通常より時間がかかり、次の割込み信号の入力時刻までに、操作量演算処理タスクが終了しない場合、実行中の操作量演算処理タスクを中断して、入出力処理を優先的に実行するようにした。従って、本実施例の制御システム1によれば、このような場合でも、操作量の演算時間の延びが、制御量の取得動作及び操作量の設定動作の実行時期に影響を与えることがなく、安定的に、一定周期で、制御量の取得動作及び操作量の設定動作を実行することができる。
図9は、次の割込み信号の入力時刻までに、操作量演算処理タスクが終了しない場合の例を、横軸を時間軸とし、時間軸に沿って各処理の実行期間T_io,T_a,T_b,T_cを示して、記したものである。
本実施例では、このような場合でも、図9下段に示すように、入出力処理を優先して実行することにより、制御量の取得動作及び操作量の設定動作を、時間Tsで周期的に実行する。また、本実施例では、操作量を時間Ts内に算出することができない場合でも、入出力処理の終了後、図9下段に示すように、操作量演算処理タスクを中断地点から再開する。
尚、図9に示す例では、モータCに対する操作量U3の演算が開始された後、割込み信号が入力されるので、制御部10は、この割込み信号の入力を契機として、操作量演算処理タスクを中断し、入出力処理を実行し終了した後、演算途中の操作量U3の中断した演算ステップから処理を再開して、操作量U3を算出する。また、中断した操作量演算処理タスクが終了すると、制御部10は、上記実行待ちキューに登録された他の操作量演算処理タスク(T_a)を新たに実行することになる。
従って、本実施例の制御システム1によれば、操作量の演算が長引いた場合でも、適切に、各モータの操作量U1,U2,U3を算出することができ、結果として、各モータA,B,Cを高精度に制御することができる。即ち、本実施例の制御システム1は、単一の制御部10(CPU11)で複数のモータを制御するシステムに好適なシステムであるといえる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明のモータ駆動手段は、本実施例において、制御対象のモータA,B,Cの夫々に設けられたモータ駆動回路25に相当し、回転量検出手段は、制御対象のモータA,B,Cの夫々に設けられたエンコーダ21及びエンコーダ信号処理回路23に相当する。また、操作量設定手段は、本実施例において、タイマ27及び制御部10が実行する入出力処理及び操作量演算処理タスクにより実現されている。この他、本発明の処理実行時刻は、割込み信号Irの入力時刻に対応し、操作量記憶手段は、RAM15に対応する。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、合計3個のモータを制御する制御システム1を例に挙げて説明したが、本発明は、モータが1個又は2個又は4個以上の制御システムにも適用することができる。また、上記実施例では、割込み回数CNTが、値M1,M2,M3の最小公倍数となる度に、S330にて、割込み回数CNTをゼロにリセットするようにしたが、上記実施例の制御システム1は、S330の処理を実行しない構成にされても、当然のことながら、構わない。
その他、上記実施例では、操作量演算処理タスクにおいて、制御周期の短いモータAについての操作量の演算を優先的に実行するようにしたが、上記操作量演算処理タスクは、制御周期の長いモータCについての操作量の演算を優先的に実行する構成にされても構わない。但し、この場合には、割込み信号Irの入力の度、操作量を算出すべきモータAについての当該操作量U1の演算処理が、操作量演算処理タスクにおいて後回しにされるので、操作量U1の算出が、次の割込み信号Irの入力時刻までに終わらない場合が考えられる。
従って、制御部10は、割込み信号Irの入力時刻までに操作量U1の演算処理を終えることができなかった場合、割込み信号の入力時点で、その操作量U1の演算処理を終了し、入出力処理の実行後においても、上記操作量U1の演算処理を再開せずに、新たな操作量演算処理タスクを実行して、上記モータAについての操作量U1を算出する構成されるとよい。割込み信号の入力の度、操作量を算出すべきモータについては、その操作量の演算処理が割込み信号の入力時刻までに終了することができなかった場合でも、この演算処理を再開する必要がない。従って、このように、制御システム1を構成すれば、算出に間に合わなかった操作量U1についての演算を、入出力処理の実行後に再開せずに済み、無駄な処理負荷が制御部10に及ぶのを防止することができる。
制御システム1の構成を表すブロック図である。 印字機構100の構成を表す概略断面図である。 印字機構100を駆動するモータ105,115,129の動作例を示した説明図である。 制御量の取得及び操作量の設定期間(T_io)並びに各モータA,B,Cに対する操作量の演算期間(T_a,T_b,T_c)を表したタイムチャートである。 制御部10が実行する入出力処理を表すフローチャートである。 制御部10が実行する入出力処理を表すフローチャートである。 操作量演算処理タスクの処理手順を表すフローチャートである。 操作量の演算時間の揺動と、制御量の取得時期及び操作量の設定時期と、の関係を表す説明図である。 割込み信号の入力時刻までに、操作量演算処理タスクが終了しない場合の後処理の例を示した説明図である。
符号の説明
1…制御システム、10…制御部、11…CPU、13…ROM、15…RAM、21…エンコーダ、23…エンコーダ信号処理回路、25…モータ駆動回路、27…タイマ、100…印字機構、103…キャリッジ、105…CRモータ、113…給紙ローラ、115…ACFモータ、123…用紙搬送ローラ、127…排紙ローラ、129…LFモータ

Claims (6)

  1. モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記モータの回転量を検出する回転量検出手段と、
    設定された操作量に対応する操作を前記モータに加えて、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    操作量の算出結果を記憶するための操作量記憶手段と、
    予め定められた周期で到来する処理実行時刻が到来する度、前記回転量検出手段から前記回転量についての検出値を取得する第一処理、前記取得した前記回転量検出手段の検出値に基づき、前記モータに対する操作量を算出して、前記算出した操作量を、前記操作量記憶手段に記憶させる第二処理、及び、前記操作量記憶手段が記憶する操作量を前記操作量記憶手段から読み出し、前記読み出した操作量を、前記モータ駆動手段に設定する第三処理を実行して、前記モータ駆動手段に前記操作量を設定する操作量設定手段と、
    を備え
    前記操作量設定手段は、前記処理実行時刻が到来した時点で前記第一処理及び前記第三処理の両者を実行し、前記第一処理及び第三処理の実行後に前記第二処理を実行することで、当該操作量の算出に先駆けて、所定回前に算出された操作量を、前記操作量記憶手段から読み出し、前記読み出した操作量を、前記モータ駆動手段に設定することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 複数のモータを制御するモータ制御装置であって、
    前記複数のモータの夫々に対し、
    モータの回転量を検出する回転量検出手段と、
    設定された操作量に対応する操作をモータに加えて、モータを駆動するモータ駆動手段と、
    を備えると共に、
    操作量の算出結果を記憶するための操作量記憶手段と、
    予め定められた周期で到来する処理実行時刻が到来する度、前記複数のモータの内、制御周期が到来した各モータの前記モータ駆動手段に対して、操作量を設定する操作量設定手段と、
    を備え、
    前記操作量設定手段は、
    前記処理実行時刻が到来した時点で
    前記制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、対応する前記回転量検出手段から前記回転量についての検出値を取得すると共に、前記制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、所定回前に算出された当該モータの操作量を、前記操作量記憶手段から読み出し、前記読み出した操作量を、このモータに対応する前記モータ駆動手段に設定する入出力処理
    を実行し、この入出力処理の実行後、前記制御周期が到来したモータについて、モータ毎に、
    対応する前記回転量検出手段から取得した前記検出値に基づき、このモータに対する操作量を算出し、前記算出した操作量を、前記操作量記憶手段に記憶させる算出記録処理
    を実行する構成にされていることを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記複数のモータの内、少なくとも一部のモータの制御周期は、他のモータと制御周期の到来時刻が重なるように、設定されていることを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
  4. 前記操作量設定手段は、前記算出記録処理を、次の前記処理実行時刻の到来時までに終えることができなかった場合、前記次の処理実行時刻の到来時点で、この算出記録処理を中断すると共に、前記処理実行時刻の到来を契機として前記入出力処理を実行した後、前記中断された前記算出記録処理を再開する構成にされていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のモータ制御装置。
  5. 前記操作量設定手段は、制御周期の到来したモータの内、制御周期の短いモータから優
    先して、前記算出記録処理を実行する構成にされていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のモータ制御装置。
  6. マイクロコンピュータと、
    前記操作量設定手段としての機能を、前記マイクロコンピュータに実現させるためのプログラムと、
    を備え、
    前記操作量設定手段としての機能は、当該モータ制御装置が備える単一の前記マイクロコンピュータが、前記プログラムを実行することにより、実現されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置。
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