JP3945362B2 - Dcモータを備えた印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DCモータを備えた印刷装置に関し、特に、複数のDCモータに対するPID制御を適切に行うことができる印刷装置及びDCモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DCモータの駆動制御は、DCモータに対応して設けられるエンコーダからの検出パルスによって、現在位置と現在速度を検出し、速度が現在位置の目標速度に一致するようにPID計算された駆動信号により行われる。PID計算された駆動信号に応じて、対応するモータドライバがDCモータに駆動電流を供給する。
【0003】
一般的なDCモータの駆動制御では、エンコーダの検出パルスのエッジのタイミングで、パルス周期の逆数により現在速度を求めて、PID計算される。このPID計算は、検出パルスのエッジのタイミングで発生するCPU割り込みにより、プログラムを実行することで求められる。その場合、制御対象のDCモータの予測される最大速度があらかじめわかっているので、CPU割り込みによって行われるPID計算時間が、検出パルスの最短エッジ周期より短くなるように設計することができる。
【0004】
一方、インクジェットプリンタなどの印刷装置は、印刷ヘッドであるキャリッジを駆動するキャリッジモータ(CRモータ)や、紙送りを行う紙送りモータ(LFモータ)など複数のモータを有し、それらのモータ速度を、あらかじめ設計した目標速度軌跡に一致するようにPID制御する。このような印刷装置については、以下の特許文献1乃至5に示される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−278980号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2001−78476号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2001−224193号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2001−232882号公報
【0009】
【特許文献5】
特開2001−253132号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の印刷装置においては、複数のDCモータがそれぞれ独立して且つ同時期に速度制御されるので、それぞれのエンコーダの検出パルスのエッジ間の時間が、極端に短くなることがある。このエッジ間時間の予測は、複数のDCモータが同時駆動される場合ほとんど不可能である。従って、従来のようにエンコーダの検出パルスのエッジのタイミングで、CPU割り込みをかけてPID計算を行うようにすると、エッジ間時間が短くなるため、そのエッジ間の時間内でPID計算が完了せず、次のPID計算タイミングが遅れてしまう。そうなると、エンコーダ検出パルスのエッジのタイミングでのPID計算では、適切な計算が行えないという課題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、DCモータを制御するためのPID計算が適切に行われる印刷装置を提供することにある。
【0012】
更に、本発明の別の目的は、PID計算が適切に行われるDCモータの制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、第1のモータ(例えばキャリッジモータ)と第2のモータ(例えば紙送りモータ)とを有する印刷装置において、第1のモータ及び第2のモータそれぞれに対応するエンコーダからの検出パルスによって、現在位置と現在速度を検出し、現在位置に対応する目標速度と現在速度との偏差についてPID計算して各モータの駆動信号を生成するモータ制御部を有し、前記PID計算が、前記エンコーダの検出パルスのエッジタイミングとは独立したPID割り込みタイミングで行われることを特徴とする。
【0014】
上記の発明の側面によれば、複数のモータがエンコーダからの検出パルスによりPID制御されるとき、そのPID計算のタイミングを検出パルスのエッジタイミングとは独立した割り込みタイミングで行うので、モータの速度制御がいかなる組合せになっても、次の割り込みタイミングまで適切にPID計算を完了することができる。
【0015】
上記発明の側面の好ましい実施例では、割り込みタイミングの直前の検出パルスのエッジでの目標速度と現在速度の偏差について、PID計算を行う。つまり、割り込みタイミングが検出パルスのエッジタイミングと独立しているので、割り込みタイミングにおけるPID計算では、直前のエッジでの目標速度と現在速度を利用する。
【0016】
上記発明の側面の好ましい実施例では、前回の割り込みタイミングと今回の割り込みタイミングとの間で、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生している場合に、新たな微分成分の計算を行ってPID制御を行い、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生していない場合は、前回計算した微分成分を利用してPID制御を行うことを特徴とする。
【0017】
更に、上記の実施例において、割り込みタイミングの直前の2つのエッジ間における割り込み回数に応じて、微分成分を抑制してPID制御を行うことが好ましい。
【0018】
本発明は、複数のモータを、それらに対応するエンコーダからの検出パルスによって、現在位置と現在速度を検出し、目標速度と現在速度との偏差についてPID計算して各モータの駆動信号を生成するモータ制御装置にも適用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明は、複数のモータを有する印刷装置以外にも、複数のモータをPID制御する制御装置にも適用できるが、以下の実施の形態では、インクジェットを利用した印刷装置を例にして説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態におけるインクジェットプリンタの構成図である。インクジェットプリンタは、紙送りを行う紙送りモータ1と、それを駆動する紙送りモータドライバ2と、印刷ヘッド9が搭載されているキャリッジ3を駆動するキャリッジモータ4と、そのキャリッジモータドライバ5と、それらドライバ2,5に駆動信号を供給するDCユニット6とを有する。上記紙送りモータ1とキャリッジモータ4には、それぞれロータリーエンコーダ13とリニア式エンコーダ11とが設けられている。リニア式エンコーダ11には、図示しない光源からの光を透過する等間隔のスリットが設けられた符号板12が設けられる。更に、プリンタは、インクの目詰まりを防止するための吸い出しポンプ用モータ7とそのポンプモータドライバ8と、ヘッド9のインクノズルを駆動するヘッドドライバ10と、印刷用紙の終端位置を検出する紙検出センサ15とを有する。
【0022】
キャリッジモータ4に取り付けられたプーリ30により駆動されるタイミングベルト31にヘッド3が取り付けられ、ヘッド3が水平方向に移動する時に、エンコーダ11から検出パルスが生成され、DCユニット6に供給される。同様に、紙送りモータ1により搬送ローラ27が回転されて、印刷紙50がプラテン25上を搬送される。この紙送りモータ1が駆動される時も、エンコーダ13が検出パルスを生成し、DCユニット6に供給する。そして、DCユニット6は、これらモータ1,4を制御する制御装置であり、CPU16からの制御指令とエンコーダ11,13からの検出パルスとに基づいて制御する。以上が、プリンタのエンジンと呼ばれる部分の構成である。
【0023】
インクジェットプリンタは、更に、ホストコンピュータ18から印刷データを受信するインターフェース19と、受信した印刷データを二値化したり、ヘッド9のノズル位置に合わせて二値化データをインターレス処理したりする画像処理装置20と、それら画像処理や印刷エンジンへの制御を行うCPU16と、それに必要なプログラムメモリ21、ダイナミックメモリ22と、不揮発性メモリ23と、タイマーIC17などを有する。
【0024】
図2は、モータに対応して設けられるエンコーダからの検出パルスを示す図である。エンコーダは、光源と、一定の間隔で並べられたスリットや透過孔を有する符号板と、透過した光を受光して90°位相が異なる検出パルスENC-A,ENC-Bを出力する信号処理部とを有する。位相が異なる2つの検出パルスは、モータが一方の方向に回転する時は、一方の検出パルスの位相が進んだ状態になり、モータが反対方向に回転する時は、他方の検出パルスの位相が進んだ状態になる。
【0025】
DCユニット6は、後述するとおり、この検出パルスをエンコーダから受信し、パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジをカウントすることで、現在位置を検出することができ、パルス周期T1〜T6を検出することにより、現在速度を検出することができる。そして、従来のDCユニットでは、検出パルスのエッジタイミングta1,tb1〜ta3,tb3で、それぞれの現在位置と現在速度を求めて、後述するPID計算をし、両モータの駆動信号を生成する。
【0026】
図3は、モータの速度制御を示す図であり、図4は、モータの速度制御におけるモータ電流とモータ速度に波形図である。図3の例は、キャリッジモータの速度制御を例にして示しているが、紙送りモータの速度制御も同様である。
【0027】
図3には、DCユニット6に設けられた速度制御部80が示される。この速度制御部80は、エンコーダ11からの検出パルスをカウントして現在位置を検出する位置カウンタ80aと、CPU16から与えられる目標位置と位置カウンタ80aの現在位置との偏差を求める減算器80bと、位置偏差からあらかじめ作成された制御テーブルを参照して目標速度を出力する目標速度演算部80cと、エンコーダ11からの検出パルスの周期から現在速度を求める速度演算部80dと、目標速度と現在速度との偏差を求める減算器80eと、速度偏差に比例して制御出力を求める比例成分演算部80fと、速度偏差を積分した値に比例した制御出力を求める積分成分演算部80gと、速度偏差を微分した値に比例した制御出力を求める微分成分演算部80hと、それらの出力を加算する加算器80iとを有する。
【0028】
比例成分は、現在の目標速度と実速度との偏差に比例する成分であり、リアルタイムの速度制御を可能にする。また、比例成分だけでは、オフセットが発生するので、過去の積分値に依存する積分成分によってそのオフセットが除去される。更に、微分成分は、速度偏差の微分値、つまり、1つ前の制御タイミングでの速度偏差と現在の速度偏差との差に係数をかけた制御値であり、よりなめらかな速度制御に必要である。これらのPID制御成分の演算は、それぞれマイクロコンピュータによる演算プログラムを実行することにより行われる。これらのPID制御成分は、加算器80iで加算されて、D/Aコンバータ80jでアナログ制御信号に変換され、モータドライバ5に供給される。ドライバ5は、このアナログ制御信号に基づいて、キャリッジモータ4の駆動電流を供給する。
【0029】
速度制御部80は、更に、加速制御のために、クロック同期で動作するタイマ80kと加速制御部80mとを有する。加速制御部80mは、モータの加速制御する期間で、タイマ80kからのタイマ割り込み信号に応答して、所定の付加電流を目標電流値に加算して、D/Aコンバータ80jに出力する。そこで、コンバートされたアナログ信号が、ドライバ5に供給され、同様にキャリッジモータ4の駆動電流が制御される。
【0030】
次に、図4を参照して、速度制御部80の制御動作を説明する。キャリッジモータ4が停止状態の時に、時刻t0でCPU16から起動指令信号が供給されると、加速制御部80mから初期電流値I0が、D/Aコンバータ80jに出力される。この初期電流値I0はCPU16から供給される。これにより、キャリッジモータ4は、初期電流値I0で駆動され、モータ速度が上昇し、加速制御が始まる。起動指令後、所定の時間毎にタイマ80kが出力するタイマ割り込み信号に応答して、加速制御部80mは、起動初期電流値I0に所定の加算電流値を加算して、新たな駆動電流値としてD/Aコンバータ80jに出力する。これにより、図4に示されるとおり、モータ電流がタイマー割り込みのたびに上昇する。つまり、モータ電流は階段状に上昇する。この加速制御中、PID制御成分は利用されない。
【0031】
加速制御部80mの駆動電流の加算処理は、加算電流値が所定の電流値Isになるまで行われ、時刻t1にて電流値Isになるとその加算処理が停止し、一定の電流値IsがD/Aコンバータに供給される。これに伴って、モータ速度は上昇する。
【0032】
キャリッジモータ4の速度がオーバーシュートするのを防止するために、モータ速度がV1に達した時刻t2にて、加速制御部80mは、モータ電流を減少させるように制御する。しかし、モータ速度は更に上昇するが、速度Vcに達する時刻t3で、D/Aコンバータ80jが加速制御部80mの出力から、PID制御出力に切り換えて、速度のPID制御が始まる。PID制御により、モータ速度はオーバシュートすることなく、時刻t4以降は、目標速度Veに維持される。この速度Veの期間において、印刷動作が行われる。そして、目標位置に接近したことに伴い、時刻t5でモータ電流がマイナスに制御されて、モータ速度は減衰し、時刻t6にて目標位置に到達すると同時にモータ速度がゼロになって、キャリッジモータは停止する。
【0033】
PID制御のためのPID成分の演算処理は、従来においては、図2に示したエンコーダからの検出パルスの両エッジのタイミングで行われる。従って、モータ速度が速くなるとPID演算処理の周期が短くなり、モータ速度が遅くなるとPID演算処理の周期は長くなる。しかし、検出パルスのエッジのタイミングで演算処理がされるので、現在位置及び現在速度は正確に検出可能である。
【0034】
図5は、キャリッジモータと紙送りモータの同時駆動を示す図である。(1)(2)は、両モータの速度(縦軸)と時間(横軸)の関係が示される。(3)は、両モータが同時駆動している期間を示す。印刷制御では、紙送りモータにより用紙が所定の位置まで搬送され、一旦停止してからキャリッジモータによりヘッドを移動させながらインクノズルからインクを飛ばして所望の画像を印刷する。そして、ヘッドが1回水平方向に移動すると、そのパスでの印刷を終了し、紙送りモータにより用紙が再度搬送される。上記の動作が繰り返されることにより、印刷制御が行われる。
【0035】
その場合、図5に示されるとおり、紙送りモータが速度LFv1で駆動している途中の時刻t1からキャリッジモータの駆動が開始され、紙送りモータが停止する時刻t2から即座に印刷が開始される。また、キャリッジモータが速度CRv1での駆動中の印刷が終了すると、即座に紙送りモータの駆動が開始される。そして、紙送りモータの速度LFv2での駆動中の時刻t5からキャリッジモータの駆動が開始され、紙送りモータの駆動が終了する時刻t6から即座に印刷ができるように制御される。
【0036】
これらの一連のモータ制御では、印刷スループットを最大限に上げるために、両モータが同時駆動される期間t1-t2、t3-t4、t5-t6、t7-t8、t9-t10が存在する。しかも、これらの同時駆動期間での両モータの速度は、印刷対象画像によって無限の可能性があり、それらの組合せをあらかじめ予測することは困難である。
【0037】
図6は、キャリッジモータと紙送りモータとの同時駆動の問題点を示す図である。図6には、キャリッジモータのエンコーダからの検出パルスCRENC-A、CRENC-Bと、紙送りモータのエンコーダ検出パルスLFENC-A、LFENC-Bとが示される。図6の例では、キャリッジモータの速度のほうが、紙送りモータの速度よりも遅い例である。両モータのPID制御のためのPID演算処理を、エンコーダ検出パルスのエッジタイミングで行うと、両モータが同時に駆動している時は、両検出パルスのエッジタイミングは非同期となり、図中時刻t1,t2,t3,t4のように、PID演算処理タイミングであるエッジタイミングの間隔が非常に狭くなる場合がある。それぞれのタイミングでPID演算処理がCPUへの割り込み処理により行われると、PID演算処理が次のエッジタイミングまでに完了することができなくなり、次のタイミングエッジでのPID演算処理の開始が遅れることになる。その結果、適切なPID演算結果に基づくPID制御を行うことができない。
【0038】
図7は、本実施の形態におけるPID制御のタイミングチャートを示す図である。この例も、図6と同様にキャリッジモータの速度のほうが、紙送りモータの速度よりも遅い例である。本実施の形態では、エンコーダの検出パルスは、エッジをカウントして現在位置を検出し、エッジ間の周期を計測して現在速度を検出することに利用し、PID制御のためのPID演算処理のタイミングは、エンコーダ検出パルスのエッジタイミングではなく、それと非同期のPID割込クロックのタイミングにする。このPID割込クロックは、キャリッジモータ用と紙送りモータ用とにそれぞれ設けられ、それぞれのPID割込クロックの周期Tp1,Tp2は、非同期である。
【0039】
このように、PID演算処理のタイミングを、エンコーダ検出パルスのエッジタイミングとは非同期の周期Tpを有するPID割込クロックのタイミングにし、PID演算で使用する現在位置と現在速度とを、そのタイミングの直前のものを使うことにより、複数のモータが同時にそれぞれ独立した速度制御で駆動されても、それらモータに対するPID演算処理を適切な形で行うことができる。
【0040】
本実施の形態のPID制御では、第1に、PID割込クロックのタイミングで、両モータのPID演算処理を行う。その場合、キャリッジモータのPID演算は、キャリッジモータ用のPID割込クロックのタイミングで行い、紙送りモータ用のPID演算は、紙送りモータ用のPID割込クロックのタイミングで行う。第2に、検出パルスのエッジタイミングとPID割込クロックのタイミングとが非同期であるので、現在位置と現在速度とは、PID割込タイミングの直前の検出パルスエッジでの現在位置と現在速度とを利用する。また、現在の平均速度は、直前の検出パルスエッジでの周期とそれより1つ前の検出パルスエッジでの周期とを少なくとも利用して求める。
【0041】
図7の例では、時刻t2の割込タイミングでは、キャリッジモータについては、直前の検出パルスのエッジでの周期Ta1と、それより1つ前の検出パルスエッジでの周期Tb1とが、現在の平均速度の計算に利用される。つまり、両周期Ta1、Tb1の逆数の和を2で除した値が平均速度になる。同様に時刻t3では、周期Tb2とTa2とが現在の平均速度の計算に利用される。更に、時刻t4では、直前のエッジの周期Ta3とその1つ前のエッジの周期Tb3とが平均速度の計算に用いられる。このように、PID割込クロックがエンコーダパルスエッジと非同期であるので、全てのエッジでの周期が速度計算に用いられるとは限らない。紙送りモータの場合もキャリッジモータと同様である。
【0042】
第3に、モータ速度が低速領域では、検出パルスのエッジの間に複数回のPID割込クロックが発生する場合がある。その場合は、前回のPID割込クロックから今回のPID割込クロックまでの間に検出パルスエッジが発生していない場合は、PID演算処理のうち、微分成分の計算は行わずに、前回PID割込クロックタイミングで求めた微分成分値をそのまま使用する。
【0043】
第4に、モータ速度が極めて遅くなった時は、上記のとおり検出パルスのエッジ間に複数回のPID割込クロックが発生する。その場合、前回のPID演算時の速度偏差と今回のPID演算時の速度偏差の差は、隣接するPID演算時の差ではなく、複数回のPID割込タイミングを挟んだ速度偏差の差になる。そこで、エッジ間のPID割込クロックの回数に応じて、微分成分を抑制するように微分成分の演算を行う。
【0044】
図8は、本実施の形態におけるPID演算処理での微分成分の演算処理を示すフローチャート図である。また、図9は、モータ速度が低速時のタイミングチャート図であり、図10は、モータ速度が高速時のタイミングチャート図である。図9,図10には、単一のモータに対する2相のエンコーダ検出パルスとPID割込クロックとのタイミング関係が示される。
【0045】
PID割込クロックが発生すると、DCユニット16内の速度制御部80でPID演算処理が行われる。このPID演算処理は、図示しないCPU割込処理によりプログラムを実行することにより行われる。PID演算のうち、微分成分の演算処理では、前回の割込からエンコーダの検出パルスに変化があったか否か、つまり、検出パルスのエッジが発生したかいなかがチェックされる(S1)。例えば、図9の低速時では、時刻t2の割込タイミングでは前回の割込タイミングt1後にエンコーダ検出パルスLFENC-Aの立ち上がりエッジが発生しているのに対して、時刻t3の割込タイミングでは前回割込タイミングt2後にエンコーダ検出パルスのエッジは発生していない。また、図10の高速時では、全ての割込タイミングにおいて、直前に検出パルスのエッジが発生している。
【0046】
前回割込から今回割込までの間にエンコーダの検出パルスに変化があれば、新たな微分成分の演算が行われ、変化がなければ、前回の微分成分値が出力Doutとなる(S9)。検出パルスに変化がない場合は、演算結果に変更はないからである。従って、図9の低速時において、時刻t3、時刻t5、時刻t7、時刻t10の割込タイミングでは、検出パルスのエッジが発生していないので、前回の割込タイミングで求められた微分成分Doutがそのまま利用される。
【0047】
次に、直前の2つのエンコーダ検出パルスのエッジ間の割込回数に1加えた回数が、割込回数値として求められる(S3)。図10の高速時には、PID割込タイミングt1〜t5の直前の2つのパルスエッジ間には割込クロックは発生していないので、エッジ間の割込回数はゼロである。従って、その場合は、工程S3で求められる割込回数値は1となる。一方、図9の低速時には、時刻t4の割込タイミングでは、直前の2つのエッジ間に時刻t2,t3と2回の割込が発生している。従って、この場合は、工程S3での割込回数値は2+1=3回となる。時刻t6、t8では、割込回数値は3回、時刻t11では、割込回数値は4回になる。この割込回数値は、モータ速度がより低速になるとそれに応じて増加する係数である。
【0048】
そして、工程S5に示される数式によって、微分成分値が求められる。この演算式によれば、今回割込時での目標周期RefPRIODと現在の平均速度AvePRIODのそれぞれの逆数の差(1/RefPRIOD−1/AvePRIOD)が、割込時の速度偏差として求められ、前回割込時の目標周期tmpRefPRIODと平均速度tmpAvePRIODのそれぞれの逆数の差(1/tmpRefPRIOD−1/tmpAvePRIOD)が、前回割込時の速度偏差として求められ、両偏差の差分に係数Kdを乗算し、更にそれを工程S3で求めた割込回数で除した値が、微分成分値Doutとして求められる。係数Kdには、エンコーダが符号板のスリット距離が含められている。
【0049】
目標周期RefPRIODの逆数1/RefPRIODは、割込タイミングの直前の検出パルスエッジで目標速度演算部80cにて求められ、平均周期AvePRIODの逆数1/AvePRIODは、割込タイミングの直前の2つの検出パルスエッジでの周期の平均値として、速度演算部80dにて求められる。これらの演算は、検出パルスエッジのタイミングで行うことができる。
【0050】
今回のPID演算処理での速度偏差と、前回PID演算処理での速度偏差との差分に一定の係数Kpを乗算し、更に、割込回数値で除すところが本実施の形態の第4の特徴点である。つまり、検出パルスと非同期のPID割込タイミングを利用したことに伴い、低速駆動時に検出パルスエッジ毎にPID演算処理できないので、上記割込回数値を利用して、微分成分Doutの値を、割込回数値に応じて抑制するようにして、速度制御のなめらかさを維持できるようにする。
【0051】
図10の高速制御時は、この割込回数値は殆ど1であり、従来の微分成分計算と同じになるが、図9の低速制御時では、速度に応じてこの割込回数値が増加し、その分だけ微分成分値が抑制される。割込回数値が増加すると、PID制御の微分成分が複数回にわたって同じ値に制御される。しかし、複数の割込タイミングを経ることで、速度偏差の微分値は減少することが予想される。従って、直前のエッジ間の割込回数が増加すると、PID制御の微分成分を小さくするようにすることで、より適切な速度制御を提供することができる。
【0052】
そして、工程S7では、今回の割込処理で求めた目標周期RefPRIODと平均速度AvePRIODとが、次回の割込処理のための前回目標周期tmpRefPRIODと前回平均速度tmpAvePRIODとに置き換えられる。
【0053】
微分成分の演算以外の、比例成分の演算や積分成分の演算でも、PID割込タイミングの直前の検出パルスエッジでの速度偏差を利用する。それ以外の点は、従来の比例成分及び積分成分の演算と同じである。比例成分については、図9の時刻t2,t3では検出パルスエッジの発生がないので、同じ演算結果になる。また、積分成分については、図9の時刻t2とt3とでは、累積されることにより異なる値になる。
【0054】
以上の実施の形態例では、インクジェットプリンタのキャリッジモータと紙送りモータとを例にして、複数のDCモータのPID速度制御方法を説明した。しかし、本実施の形態のモータのPID速度制御は、それ以外の複数のDCモータ若しくはそれ以外の複数のモータを制御する場合にも適用することができる。その場合も、複数のモータに対応するエンコーダの検出パルスエッジとは非同期のPID割込タイミングでPID演算処理が行われる。
【0055】
以上、本発明の保護範囲は、上記の実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるインクジェットプリンタの構成図である。
【図2】モータに対応して設けられるエンコーダからの検出パルスを示す図である。
【図3】モータの速度制御を示す図である。
【図4】モータの速度制御におけるモータ電流とモータ速度に波形図である。
【図5】キャリッジモータと紙送りモータの同時駆動を示す図である。
【図6】キャリッジモータと紙送りモータとの同時駆動の問題点を示す図である。
【図7】本実施の形態におけるPID制御のタイミングチャートを示す図である。
【図8】本実施の形態におけるPID演算処理での微分成分の演算処理を示すフローチャート図である。
【図9】モータ速度が低速時のタイミングチャート図である。
【図10】モータ速度が高速時のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
1 紙送りモータ、4 キャリッジモータ、11 エンコーダ、13 エンコーダ、6 DCユニット(モータ制御装置)
Claims (9)
- 第1のモータと第2のモータとを有する印刷装置において、
前記第1のモータ及び第2のモータそれぞれに対応するエンコーダからの検出パルスによって、現在位置と現在速度を検出し、前記現在位置に対応する目標速度と現在速度との偏差についてPID計算して各モータの駆動信号を生成するモータ制御部を有し、
前記PID計算が、前記エンコーダの検出パルスのエッジタイミングとは独立したPID割り込みタイミングで行われることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1において、
前記第1のモータは、印刷ヘッドを駆動するキャリッジモータであり、前記第2のモータは、印刷用紙を搬送する紙送りモータであることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1または2において、
前記モータ制御部は、前記PID割り込みタイミングの直前の検出パルスのエッジでの目標速度と現在速度の偏差について、前記PID計算を行うことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1または2において、
前回のPID割り込みタイミングと今回のPID割り込みタイミングとの間で、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生している場合に、新たな微分成分の計算を行ってPID制御を行い、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生していない場合は、前回計算した微分成分を利用してPID制御を行うことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1または2において、
今回のPID割り込みタイミングの直前の2つの検出パルスエッジ間における割り込み回数が増加すると、微分成分を小さくするように抑制してPID制御を行うことを特徴とする印刷装置。 - 第1のモータと第2のモータの速度を制御するモータ制御装置において、
前記第1のモータ及び第2のモータそれぞれに対応するエンコーダからの検出パルスによって、現在位置と現在速度を検出し、前記現在位置に対応する目標速度と現在速度との偏差についてPID計算して各モータの駆動信号を生成し、
更に、前記PID計算が、前記エンコーダの検出パルスのエッジタイミングとは独立したPID割り込みタイミングで行われることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項6において、
前記モータ制御部は、前記PID割り込みタイミングの直前の検出パルスのエッジでの目標速度と現在速度の偏差について、前記PID計算を行うことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項6において、
前回のPID割り込みタイミングと今回のPID割り込みタイミングとの間で、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生している場合に、新たな微分成分の計算を行ってPID制御を行い、対応するエンコーダの検出パルスのエッジが発生していない場合は、前回計算した微分成分を利用してPID制御を行うことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項6において、
今回のPID割り込みタイミングの直前の2つの検出パルスエッジ間における割り込み回数が増加すると、微分成分を小さくするように抑制してPID制御を行うことを特徴とするモータ制御装置。
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