以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<撮像装置の全体構成>
図1は、本発明に係る電子機器の一例である撮像装置の一実施形態を示す構成図である。なお、ここでは、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子を用いた事例で示す。
ここで、一般的なIT方式のCCD固体撮像素子は、多数のフォトセル(受光部)が2次元マトリクス(行列)状に配され、各垂直列のフォトセルの間にそれぞれ複数の垂直転送CCD(Vレジスタ)が配列され、最後の行の垂直転送CCDに隣接して水平転送CCDが通常1ライン分設けられた構造となっている。以下具体的に説明する。
図示するように、本実施形態の撮像装置1は、IT方式のCCD固体撮像素子10と、このCCD固体撮像素子10を駆動する駆動装置としての駆動回路5とを備えている。
CCD固体撮像素子10は、画素となる複数の受光センサ(電荷生成部)11が2次元マトリクス(行列)状に配列され、また各受光センサ列に対応して図の上下方向に延在する複数のCCD構造の垂直転送レジスタ(第1電荷転送部の一例)13が形成された撮像部(受光部)10aを備えている。受光センサ11は、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。
撮像部10aにおいては、さらに垂直転送レジスタ13と各受光センサ11との間に読出ゲート部ROGが介在し、また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
また、本実施形態のCCD固体撮像素子10の特徴部分として、撮像部(受光部)10aの外側には、撮像部10aから垂直転送される信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積部10bを備え、この電荷蓄積部10bに接続するようにCCD構造の水平転送レジスタ(第2電荷転送部の一例)14が形成されている。つまり、図22に示した従来のCCD固体撮像素子30との対比では、撮像部10aと水平転送レジスタ14との間に電荷蓄積部10bを備えている点が大きく異なるのである。
電荷蓄積部10bは、撮像部10aと同様に、CCD構造の垂直転送レジスタ13を備え、この垂直転送レジスタ13が2段配置されて構成されているものである。ここで、撮像部10a側の垂直転送レジスタ13を有する領域をストレージゲート部STGといい、水平転送レジスタ14側の垂直転送レジスタ13を有する領域をホールドゲート部HLGという。
この電荷蓄積部10bの各垂直転送レジスタ13の最終段(つまりホールドゲート部HLG)に接続するように、図の左右方向に延在するCCD構造の水平転送レジスタ14が1ライン分形成されている。そして、水平転送レジスタ14の後段には電荷信号を電気信号(通常は電圧信号)に変換する電荷検出部(あるいは出力部)としての出力アンプ部16が接続され、さらに出力アンプ部16の後段には相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)回路17が接続されている。
なお、この例では、CCD固体撮像素子10が相関二重サンプリング回路17を有するように構成しているが、相関二重サンプリング回路17を、CCD固体撮像素子10の外部に設ける態様を採ることもある。
出力アンプ部16は、水平転送レジスタ14から順に注入される信号電荷を図示しないフローティングディフュージョンに蓄積し、この蓄積した信号電荷を信号電圧に変換して、たとえば図示しないソースフォロア構成のトランジスタ回路で構成された出力回路を介してCCD出力信号として相関二重サンプリング回路17に出力する。相関二重サンプリング回路17は、CCD出力信号に含まれるリセットノイズなどのノイズ成分を抑制して撮像信号Sout として出力端子tout から素子外部に出力する。
垂直転送レジスタ13の上(受光面側)には、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となるように、4種類の垂直転送電極12(それぞれに参照子_1,_2,_3,_4を付して示す)が、垂直方向に所定の順序で、受光センサ11の受光面に開口部(後述する図2、図3を参照)を形成するように配置されている。垂直転送電極12は、水平方向に延在するように、すなわち、受光センサ11の受光面側に開口部を形成するようにしつつ、水平方向に横切るように配線される。
4種類の垂直転送電極12は、1つの受光センサ11に2つの垂直転送電極12が対応するように形成され、かつ駆動回路5から供給される4種類の垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4で信号電荷を垂直方向に転送駆動するように構成されている。すなわち、2つの受光センサ11を1組にして(電荷蓄積部10b側の最終段も含めて)、4つの垂直転送電極12にそれぞれ垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4が駆動回路5から印加されるようになっている。
図示した例では、電荷蓄積部10b側において、垂直方向に4つの垂直転送レジスタ13の一組に対応して、組ごとに垂直転送電極12が設けられ、その中で、垂直方向の最上部に位置する受光センサ11は、垂直転送パルスΦV_1が印加される垂直転送電極12_1に対応している。さらに1段前(より電荷蓄積部10b側)の垂直転送電極12_2には垂直転送パルスΦV_2が印加され、さらに1段前(より電荷蓄積部10b側)の垂直転送電極12_3には垂直転送パルスΦV_3が印加され、最も電荷蓄積部10b側の垂直転送電極12_4には垂直転送パルスΦV_4が印加される。
垂直転送レジスタ13は、最終段の1組分の垂直転送電極12(ΦV_1〜ΦV_4が印加される転送電極)12_1〜12_4を介して、さらに電荷蓄積部10bの垂直転送レジスタ13に引き継がれる。この電荷蓄積部10bの上(撮像部10aの受光面側と同じ面側)には、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となるように、ストレージゲート電極21およびホールドゲート電極22といった2種類の転送電極が配置されている。ストレージゲート電極21およびホールドゲート電極22は、水平方向に延在するように、すなわち、水平方向に横切るように配線される。
撮像部10aの最終段の垂直転送レジスタ13上に形成された転送電極(ΦV_4が印加される転送電極)12_4の後段に形成されたストレージゲート電極21にはストレージゲートパルスΦVSTGが、ホールドゲート部HLGのホールドゲート電極22にはホールドゲートパルスΦVHLGが、それぞれ駆動回路5から供給される。
水平転送レジスタ14は、各垂直転送レジスタ13に対応して2つの水平転送電極15(それぞれに参照子_1,_2を付して示す)が対応するように形成され、駆動回路5から供給される2相の水平駆動パルスΦH_1,ΦH_2で信号電荷を水平方向に転送駆動するように構成されている。
このような構成の撮像装置1の動作概要を纏めると以下の通りである。すなわち、CCD固体撮像素子10の受光センサ11の各々に蓄積された信号電荷が、駆動回路5から発せられた読出パルスXSGが読出ゲート部ROGのゲート電極に印加されそのゲート電極下のポテンシャルが深くなることにより、当該読出ゲート部ROGを通して垂直転送レジスタ13に読み出される。
撮像部10aの垂直転送レジスタ13は4種類の垂直転送電極12に対応する4種類の垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4によって転送駆動され、電荷蓄積部10bのストレージゲート部STGがストレージゲートパルスΦVSTGで駆動され、ホールドゲート部HLGがホールドゲートパルスΦVHLGで駆動される。これにより、各受光センサ11から読み出された信号電荷は、1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送され水平転送レジスタ14に送られる。
ストレージゲート部STGとホールドゲート部HLGとでなる電荷蓄積部10bは、撮像部10aとは異なり、垂直画素ピッチと無関係にデザインできるため、ストレージゲート電極21およびホールドゲート電極22の電極幅を大きく取ることができ、各電極21,22の低抵抗化を図ることができる。この点は、電荷蓄積部10bから水平転送レジスタ14への垂直電荷転送を高速で行なう上で非常に有利である。
ここで、詳細は後述するが、本実施形態の垂直電荷転送(いわゆる垂直ラインシフト)は、通常の水平ブランキング期間の一部にて行なわれる垂直ラインシフトとは異なり、撮像部10aにおける垂直ラインシフトは水平有効期間の一部にて行ない、電荷蓄積部10bにおける垂直ラインシフトは水平ブランキング期間の一部にて行なうようにしている。
水平転送レジスタ14は、駆動回路5から発せられた2相の水平転送パルスΦH_1,ΦH_2に基づいて、複数本の垂直転送レジスタ13の各々から垂直転送された1ラインに相当する信号電荷を順次出力アンプ部16側に水平転送する。
出力アンプ部16は、水平転送レジスタ14から順に注入される信号電荷を信号電圧に変換してCCD出力信号として相関二重サンプリング回路17に供給する。相関二重サンプリング回路17は、そのCCD出力信号に含まれるノイズ成分を抑制して出力端子tout から外部に撮像信号Sout として出力する。
<垂直転送電極の配線構造>
図2は、図1に示したCCD固体撮像素子10の4種類の垂直転送電極12の配置構造の一例を示す図である。
図示するように、2次元マトリクスに配された受光センサ11の各垂直列の受光センサ11の間にそれぞれ複数の垂直転送レジスタ(V−CCD)13が配列され、各受光センサ11と垂直転送レジスタ13との間には読出ゲート部ROGが介在している。また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
垂直転送レジスタ13の受光面(紙面の前面)側には、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となるように、水平方向に延在した薄膜化した多結晶シリコン膜(Poly)などでなる4種類の垂直転送電極12が、受光センサ11の受光面にセンサ開口部118を形成するように配置されている。
特に、この例では、2層電極・4相駆動となるような配置構造にしており、垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が供給される1層目の垂直転送電極12_2,12_4の上に2層目として、垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給される垂直転送電極12_1,12_3を設けている。
各層の垂直転送電極12は、パターン形状が殆ど同じである。図示した例では、1層目の垂直転送電極(第2電極)12_2と垂直転送電極(第4電極)12_4とはパターン形状が殆ど同じ構造であり、また2層目の垂直転送電極(第1電極)12_1と垂直転送電極(第3電極)12_3とはパターン形状が殆ど同じ構造であり、さらに垂直転送電極12_1と垂直転送電極12_2とが2層構造となり、また垂直転送電極12_3と垂直転送電極12_4とが2層構造となるように形成されている。なお、1層目と2層目とはそのパターン形状が異なる。
これからも分かるように、4種類の垂直転送電極12は、10の撮像部10aのほぼ全面を覆っている。また、2層構造となっており、電極間のオーバーラップ容量が大きい。
<構造模式図と等価回路>
図3は、図1に示したCCD固体撮像素子10の垂直転送電極12と半導体基板SUB(第1の半導体基板)と出力アンプ部16の結合モデルを示す図である。ここで、図3(A)は、1つの受光センサ11部分の平面模式図であり、図3(B)は、出力アンプ部16に形成されるMOSトランジスタ部分の平面模式図である。また、図3(C)は、図3(A)および図3(B)におけるA−A’線断面模式図である。
撮像部10a側は、たとえばシリコンからなる半導体基板NSUBの表面にPWELL-#2a (第2の半導体基板の一例である)が製膜され、PWELL-#2a 上にて、たとえばPN接合のフォトダイオードからなる受光センサ11、読出ゲート部ROG、PWELL-#1が製膜された上部に形成された垂直転送レジスタ13(図ではVレジスタBCで示す)、およびチャネルストップ部CSがこの順に水平方向(図の左方向)に形成されており、下地の構造はIT−CCDのそれと同じである。
また、これらのさらに上層部には、図示しない層間絶縁膜を介して垂直転送レジスタ13用の垂直転送電極12(_1または_3)がセンサ開口部118を形成するように配線され、さらにその上には、受光センサ11上にセンサ開口部118を形成するように、図示しない層間絶縁膜を介して遮光膜119が形成されている。垂直転送電極12には、4種類の垂直転送パルスの何れか(図の例ではΦV_1またはΦV_3)が供給される。
CCD固体撮像素子10の略全体を覆うように形成された垂直転送電極12と遮光膜119は、受光センサ11上にてセンサ開口部118が形成されており、このセンサ開口部118を介して光が受光センサ11側に入射するようになっている。
一方、出力アンプ部16側は、撮像部10a側と同じシリコンなどからなる半導体基板NSUBの表面にPWELL-#2b (第2の半導体基板の一例である)が製膜され、このPWELL-#2b 上にトランジスタ120が形成され、さらにその上層部には、図示しない層間絶縁膜を介して電極121が配線されている。
図3(C)の断面模式図に示した半導体基板NSUBのVSUB端子130やPWELL-#2a の端子131およびPWELL-#2b の端子132には、通常DCバイアスVbiasが印加される。図ではVSUB端子130にDCバイアスVbiasを印加し、PWELL-#2a ,PWELL-#2b の端子131,132については接地GNDにしている。この点に着目して、端子131,132を PWELL接地端子131,132ともいう。
また、図3(C)の断面模式図において、撮像部10a側では、垂直転送電極12と遮光膜119との間には結合(カップリング)容量C1が形成され、また、垂直転送電極12と半導体基板NSUBとの間にも結合容量C2が形成される。また出力アンプ部16側では、トランジスタ120のゲートと半導体基板NSUBとの間に、バックゲート効果による結合容量C3が形成される。
各垂直転送電極12とCCD基板との間の等価容量CLは結合容量C1と結合容量C2との並列成分に略等しいと考えてよい。なお、垂直転送電極12に関連する容量としては、この結合容量C1,C2の他にも、他の垂直転送電極12との間に形成される電極間容量(後述する図4、図8のC64を参照)も存在する。
また、CCD固体撮像素子10内部に存在する接地抵抗として、遮光膜119と接地GND間に発生する遮光膜抵抗R1と、半導体基板NSUBの基板抵抗R2とが存在する。これらの合成成分であるトータルの接地抵抗Rは、遮光膜抵抗R1と基板抵抗R2の並列成分に略等しいと考えてよい。
遮光膜119と接地GNDとの関係においては、遮光膜抵抗R1は、遮光膜119の等価抵抗R10の他に、静電破壊防止などのために意図的に数100Ω〜数10kΩの保護抵抗素子R12が挿入されることもある。保護抵抗素子R12は端子133を利用して接続されるので、遮光膜119の等価抵抗R10は端子133よりも遮光膜119側となる。この場合の全体的な遮光膜抵抗R1は、遮光膜119の等価抵抗R10と保護抵抗素子R12の直列接続成分となり、保護抵抗素子R12の抵抗値は遮光膜119の等価抵抗R10の抵抗値よりも大きいので接地抵抗Rは基板抵抗R2側が優位となって規定されることになる。
ここで、図2だけでなく、図3からも分かるように、4種類の垂直転送電極12は、CCD固体撮像素子10の撮像部10aのほぼ全面を覆っている。このため。この垂直転送電極12に供給される垂直転送パルスΦVによって基板電圧が変動する。すなわち半導体基板NSUBにノイズNoise1がのる。それが、同基板上に形成される出力アンプ部16を構成するトランジスタ120へのバックゲート効果で、結合容量C3を介してトランジスタ120部にのり、その結果として出力信号にノイズが重畳され、縦筋ノイズとなることが分かった。
また、垂直転送電極12は、結合容量C1により遮光膜119と容量接合しているとともに、また結合容量C2により半導体基板NSUBとも容量接合している。ここでたとえば遮光膜119との関係においては、遮光膜119が遮光膜抵抗R1を介して接地GNDに接続されている。この接地GNDは、 PWELL接地端子132を介して出力アンプ部16のPWELL-#2b に接続されている。
このため、垂直転送電極12に供給される垂直転送パルスΦVに起因したノイズNoise2が結合容量C1、遮光膜119、遮光膜抵抗R1、および接地GNDを介して出力アンプ部16のPWELL-#2b を変動させ、これが出力アンプ部16を構成するトランジスタ120へのバックゲート効果で、トランジスタ120部にのり、その結果として出力信号にノイズが重畳され、縦筋ノイズとなることも分かった。
そこで、この半導体基板NSUBの変動や出力アンプ部16のPWELL-#2b の変動を如何に抑えるかがノイズ抑制のポイントとなる。
<ノイズ発生のメカニズム解析>
図4および図5は、従来の撮像装置3において、縦筋ノイズの発生メカニズムを回路理論の側面から示した図である。ここで、図4は、垂直ドライバの等価回路とCCD固体撮像素子30との関係を説明する図である。また、図5は、垂直転送パルスΦVのステップ応答を説明する図である。
図4において、CCD固体撮像素子30は、等価回路でCCD固体撮像素子60として表しており、駆動回路4で駆動されるようになっている。なお、等価回路で示されたCCD固体撮像素子60おいて、接地抵抗R61はCCD基板の等価抵抗を示し、図3で示した接地抵抗Rに相当するもので、遮光膜抵抗R1と基板抵抗R2の並列成分に略等しい。また、抵抗素子R62,R63は垂直転送電極32の電極抵抗を示す。
また、容量素子C62,C63は垂直転送電極12とCCD基板との間の等価容量を示し、図3で示した各垂直転送電極12とCCD基板との間の等価容量CLに相当するもので、結合容量C1と結合容量C2との並列成分に略等しい。また、容量素子C64は電極間の等価容量を示す。
等価回路で示されたCCD固体撮像素子60からも分かるように、CCD固体撮像素子60(CCD固体撮像素子30)は、垂直ドライバ40から見ると容量性負荷である。
なお、CCD固体撮像素子における電極等価容量は、画素数や使用するプロセスあるいはレイアウト形状に依存して大きく依存する。一般的には、等価容量CL(容量素子C62,C63)は、100〜1000pF程度であり、接地抵抗R61は、数10Ω程度である。また、抵抗素子R62,R63は、数10〜数100Ω程度である。
垂直転送電極32に垂直転送パルスΦVを供給する垂直ドライバ40は駆動回路4に設けられる。垂直ドライバ40は、たとえば垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4を発生させ、CCD固体撮像素子60は、たとえばこれらの垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4が印加される垂直転送電極32_1〜32_4を含む。図4では、モデル化の容易のため、垂直ドライバ40は1つの垂直転送パルスΦV(出力電圧Vout )のみを生成するが、CCD固体撮像素子60は、複数のドライバによって駆動される(たとえば、他の垂直ドライバや水平ドライバであるドライバ70)。
垂直ドライバ40は、端子403から入力された制御信号Dinを論理反転するインバータ41と、端子403から入力された制御信号Dinのレベルに応じた制御信号Vg1を出力するレベルシフト回路(L/S)42と、端子403から入力された制御信号Dinをインバータ41で論理反転した制御信号NDinのレベルに応じた制御信号Vg2を出力するレベルシフト回路43とを備える。
また、垂直ドライバ40は、レベルシフト回路42,43の後段に、一定の電圧V1,V2(電圧値V)を端子401,402から入力し、出力電圧Vout として出力端子404からCCD固体撮像素子60に対して出力するスイッチ48,49を備える。
垂直ドライバ40は、それぞれ端子401,402に与えられる一定電圧V1,V2のいずれかを出力端子404から出力電圧Vout として、CCD固体撮像素子60に供給する。たとえば、電圧V1はハイレベル、電圧V2はローレベルに設定される。
垂直ドライバ40では、端子403から制御信号Dinが入力され、そのレベルに応じて、レベルシフト回路(L/S)42,43から、スイッチ48,49をオンするための制御信号Vg1,Vg2が出力される。そして、スイッチ48がオンするときは、定常時の出力電圧Vout は電圧V1となり、スイッチ49がオンするときは、定常時の出力電圧Vout は電圧V2となる。
等価回路で示されたCCD固体撮像素子60は、垂直ドライバ40の出力電圧Vout によって、電極601を介して駆動される。このため、その際の駆動信号が、電極601とCCD基板との間の等価容量である容量素子C62を介して接地抵抗R61に印加され、これによって、出力電圧Vout に応じたノイズ成分が現われるようになるのである。
加えて、等価回路で示されたCCD固体撮像素子60は、他の垂直ドライバや水平ドライバ(以下ドライバ70という)によっても電極602を介して駆動される。このため、他方の電極602に対する駆動電圧の過渡的な変動が、一方の電極601に対する駆動電圧に干渉することで、たとえばクロストークノイズなどの画質劣化が生ずる。
すなわち、他方の電極602への駆動信号が、電極602とCCD基板との間の等価容量である容量素子C63を介して遮光膜抵抗R1と基板抵抗R2の並列成分に略等しいCCD基板の等価抵抗を示す接地抵抗R61に印加される。また、他方の電極602への駆動信号が、電極間の等価容量である容量素子C64を介して電極601に現われ、それが、電極601とCCD基板との間の等価容量である容量素子C63を介して接地抵抗R61に印加される。
ここで、図4(B)に示すように、それぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVでCCD固体撮像素子を駆動すると、その出力電圧Vout の位相差に応じたVSUB変動が現われ、画像にノイズ成分が現われるようになるのである。なお、図4(C)については後で説明する。
図5を用いて、垂直転送電極12に付く接地抵抗R61の影響について、さらに詳細に説明する。図5(A1)は、接地抵抗R61がない(つまり接地抵抗R61の抵抗値がゼロ)場合における出力電圧Vout のステップ応答を求めるための等価回路図であり、図5(A2)は、その応答波形を示す図である。また図5(B1)は、接地抵抗R61がある(つまり接地抵抗R61の抵抗値≠ゼロ)場合における出力電圧Vout のステップ応答を求めるための等価回路図であり、図5(B2)は、その応答波形を示す図である。なお、図5(A2)および図5(B2)の各応答波形は、シミュレーションによるものである。
図5(A1)および図5(B1)において、抵抗素子R44は垂直ドライバ40の出力抵抗(出力インピーダンスRo)と垂直転送電極12の配線抵抗を示す抵抗素子R62との合成成分(Ro+R62)であり、本例の場合、垂直ドライバ40の出力抵抗は、主にスイッチ48,49の等価抵抗(等価インピーダンス)である。
ここで、図4や図5(A1)、図5(B1)に示した等価回路図において、出力電圧Vout のステップ応答(たとえば電圧振幅Vの垂直転送パルスΦVを供給したとき)を求めると、以下の式(1)のようになる。
特に、時刻t=0のときは、式(1)にt=0を代入し、式(2)の通り、t=0における出力電圧Vout の値を得る。
ここで、図5(A2)には、接地抵抗がない場合つまりR61=0の場合の出力電圧Vout の応答波形を示し、図5(B2)には、接地抵抗があるつまり場合R61≠0の場合の出力電圧Vout の応答波形を示している。各図において、線分L1は垂直転送電極12に供給される矩形状の垂直転送パルスΦV(=V1)の応答波形を示し、線分L2は抵抗素子Roの抵抗値が小さい場合の応答波形を示し、線分L3抵抗素子Roの抵抗値が大きい場合の応答波形を示す。
図5(A2)、図5(B2)から分かるように、CCD基板の等価抵抗R61が“0”でない場合(通常0ではない)には、立上り部分の時刻t=0において、出力電圧Vout が急峻に立ち上がることが分かる。なお、立下り部分の時刻t=1においては、出力電圧Vout が急峻に立ち下がる。
また、CCD固体撮像素子60では、電極601には式(1)で示す電圧が発生すると同時に、他方の電極602には、上記した出力電圧Vout の応答とは異なる応答をする駆動電圧が印加される。そして、電極601〜電極602間の結合容量である容量素子C64とドライバ70の出力インピーダンスは微分回路を形成して、出力電圧Vout が電極602に影響を及ぼす(干渉する)。この影響は、特にt=0において出力電圧Vout が急峻に立ち上がる場合に顕著となる。
加えて、CCD基板の等価抵抗R61が“0”でない場合(通常“0”ではない)には、端子603に観測される電圧V603(t)は、式(3)のようになり、同様にt=0において、容量素子C63を介して電極602に影響を及ぼす(干渉する)。
このように、1つの電極に対する駆動電圧の過渡的な変動が、他の電極に対する駆動電圧に干渉することで、たとえばクロストークノイズなどの画質劣化が生ずる。したがって、従来は、この画質劣化を防止するために、垂直駆動(垂直転送)を水平有効走査期間でない水平ブランキング期間に行なうことにしており、CCD固体撮像素子における転送速度向上の妨げとなっている。
このようなノイズに対する解決手法の一例として、本願出願人は、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて、一般的な急峻なトランジェント特性を持つ垂直転送パルスΦVに代えて、より緩やかなトランジェント特性を持つ垂直転送パルスΦVを使用して撮像部10aの垂直転送レジスタ13を転送駆動する仕組み(トランジェントスピードを遅くする駆動方法ともいう)を提案している。しかしながら、このトランジェントスピードを遅くする駆動方法だけでは不足であり、改善されないノイズが残ることが分かった。
たとえば、先にも説明したように、接地抵抗がある(R61≠0)場合、その出力電圧Vout の応答波形は図5(B2)に示すように、接地抵抗R61の影響によって、立上り部分のt=0については出力電圧Vout が急峻に立ち上がるし、立下り部分のt=1については出力電圧Vout が急峻に立ち下がる。このことは、式(3)において、t=0としたとき、V603(0)=V・(R61/(Ro+R61))となり、また式の導出過程を割愛するが、t=1としたときはV603(1)=V(1−(R61/(Ro+R61)))となることからも明らかである。したがって、このような急峻な立上り部分や立下り部分によってノイズが画像に現われてしまう。
そこで、本実施形態では、さらにノイズ抑制効果を高めることのできる仕組みを採用することにした。以下、この点について詳細に説明する。
<ノイズ抑制手法;第1実施形態>
図6および図7は、ノイズ抑制手法の第1実施形態を説明する図である。ここで、図6は、図1に示したCCD固体撮像素子10を駆動するための第1実施形態で採用する駆動タイミングを示したタイミングチャートである。また、図7は、比較例の駆動タイミングを示したタイミングチャートである。
この第1実施形態のノイズ抑制手法は、垂直転送レジスタ13を垂直転送駆動するための垂直転送電極1に供給する4種類の垂直転送パルスΦVのタイミングの観点からなされたものである点に特徴を有する。
本実施形態のCCD固体撮像素子10では、受光センサ11において受光され光電変換して受光量に応じた信号電荷が蓄積される。この受光センサ11の信号電荷は、垂直ブランキング期間に受光センサ11から垂直転送レジスタ13へ読み出され、以後、1水平ラインごとに信号電荷が電荷蓄積部10bや水平転送レジスタ14側に垂直転送される、すなわちいわゆる垂直ラインシフトが行なわれて、水平転送レジスタ14に転送される。そして、水平転送レジスタ14に転送された信号電荷は水平有効転送期間に水平方向に転送され出力アンプ部16並びに相関二重サンプリング回路17を通じて外部に出力される。
<低速トランジェント駆動>
ここで、第1実施形態の駆動手法における垂直ラインシフト動作は、垂直転送電極12_1〜12_4に4種類の垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4を印加する撮像部10aから電荷蓄積部10bへの第1段階の垂直電荷転送(垂直ラインシフト)と、ストレージゲート部STGへのストレージゲートパルスΦVSTGの印加およびホールドゲート部HLGへのホールドゲートパルスΦVHLGの印加による電荷蓄積部10bから水平転送レジスタ14への第2段階の垂直電荷転送(垂直ラインシフト)の2段構えで行なう点に特徴を有している。
特に、図6(A)に示すように、第1段階の垂直ラインシフトを水平有効走査期間Hs中にトランジェントスピードを遅くした垂直転送パルスΦVを用いて低速で行なう低速トランジェント駆動にしつつ、第2段階の垂直ラインシフトを水平ブランキング期間Hb中に急峻なトランジェント特性を持つ転送パルス(ストレージゲートパルスΦVSTG、ホールドゲートパルスΦVHLG)を用いて高速で行なう高速トランジェント駆動にしている。こうすることで、有効画像中に現われるノイズを低減しつつ、水平ブランキング期間Hbを短縮することで高速読出しを実現するようにしている。
このような2段構えの垂直電荷転送を実現するための仕組みとして、上述したように撮像部10aの垂直転送レジスタ13の最終段の垂直転送電極12_4を有する転送部と水平転送レジスタ14との間に、ストレージゲート部STGとホールドゲート部HLGとを有する電荷蓄積部10bを設けているのである。
水平有効走査期間Hs中に垂直ラインシフト駆動を行なうと、CCD転送部内での垂直駆動パルスΦV_1〜ΦV_4、すなわちそのクロック波形の立上りTrおよび立下りTf、いわゆるトランジェントによるクロストークノイズの影響が問題となる。このため、この第1実施形態では、図6(A)に示すように、垂直ラインシフトの垂直駆動パルスφV_1〜φV_4における立上りTrおよび立下りTfの傾きΔV/ΔT(ΔVはパルス電圧、ΔTは時間である)を小さくし、すなわちトランジェントスピードを遅くするようになす。ここで、トランジェントスピードΔV/ΔTは、垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4を印加したときに発生するクロストークノイズを相関二重サンプリング回路17で除去できる程度に低速とする。
垂直駆動パルスΦV_1〜ΦV_4のトランジェントスピードを遅くして実験を行なったところ、トランジェントスピードΔV/ΔTが、50mV/1nsec以下(ただし“0”を含まず)ならば、垂直ラインシフト時に発生するクロストークノイズが相関二重サンプリング回路17で除去され、水平有効走査期間Hs中に垂直ラインシフトを行なっても固体撮像素子のCCD出力への画像ノイズ(縦筋)の影響を低減できることが確認された。すなわち、トランジェントスピードΔV/ΔTが50mv/1nsec以下(“0”を含まず)の垂直駆動パルスによるクロストークノイズは高い周波数成分がなく、相関二重サンプリング回路17で十分除去される。
因みに、従来の垂直ラインシフトの垂直転送パルスのトランジェントスピードΔV/ΔTは、約1V/1nsec程度あり、このような垂直転送パルスによるクロストークノイズは高い周波数成分がありCDS回路では除去できない。
図6(A)では、水平有効走査期間Hs中の垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4のクロック波形のトランジェント期間をランプ波形で示しているが、垂直駆動パルスΦV_1〜ΦV_4の立上りTrおよび立下りTfの遷移特性、すなわちこの立上りおよび立下りTfの大局的な傾きが従来よりもゆっくりとしている(傾きをなだらかにする)ものであればよく、ランプ波形に限らず、指数関数状に遷移するような特性であってもよいし、階段状に遷移する特性であってもよい。階段状に遷移させる場合には、階段の変化を極力小さくする、すなわちステップ数を多くするのがよい。
なお、この第1実施形態では、水平有効走査期間Hs中での垂直ラインシフトで転送電極に印加される垂直駆動パルスのトランジェントスピードを遅くしているが、図6(B)に示すように、垂直ブランキング期間Vb中に転送電極へ印加する垂直転送パルスΦVのトランジェントスピードは速くし、高速転送を可能にする。たとえば、高速動作を必要とするカムコーダの電子手振れ補正動作、あるいは放送業務用のフレームインターライン転送(FIT)方式のCCD固体撮像素子などのときは、垂直ブランキング期間Vb中に高速駆動を行なう必要がある。このような場合の垂直ブランキング期間中での高速駆動は、通常のCMOSドライバにより、垂直転送電極12_1〜12_4にトランジェントスピードの速い垂直駆動パルスΦV_1〜ΦV_4を印加することによって行なわれる。
垂直ブランキング期間Vbでの高速動作と、水平ブランキング期間Hbでの低速動作とを両立させるため、2スピードの切り替え機能を備えたドライバを用いることができる。
このような撮像部10aに対しての低速トランジェント駆動を用いた電荷蓄積部10bへの電荷転送駆動手法によれば、水平有効走査期間Hsに垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4に傾きおよび変化、すなわち、トランジェントスピードΔV/ΔTを遅くして垂直ラインシフトを行なうので、垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4を印加して発生したクロストークノイズを後段の相関二重サンプリング回路17で除去することができる。これによって、画像ノイズ(縦筋)を抑制することができる。
また、電荷蓄積部10bに対しての高速トランジェント駆動を用いたストレージゲートパルスΦVSTGおよびホールドゲートパルスΦVHLDによる水平転送レジスタ14への電荷転送駆動手法と併用することで、電荷蓄積部10bから水平転送レジスタ14へは信号電荷を高速で転送できるので、水平ブランキング期間Hbを短縮することができる。この結果、高速フレームレートを図ることができる。
また、ストレージゲート部STGとホールドゲート部HLGは、垂直画素ピッチと無関係にデザインできるため、ストレージゲート電極21およびホールドゲート電極22の電極幅を大きく取ることができる。このため電極21、22の低抵抗化を図ることができ、ストレージゲート部STGから水平転送レジスタ14への信号電荷の転送を高速化することが容易となる。また裏打ち配線などもしやすくなり、より電極21、22の低抵抗化を図り、転送の高速化を図ることができる。さらに、短い水平ブランキング期間Hbで水平転送レジスタ14への信号電荷の転送可能となる。その結果、さらなる高フレーム化が実現できる。
このように、トランジェントスピードを遅くする駆動方法を採用して、垂直ラインシフト駆動として低速と高速2つの駆動を備えることで、水平有効期間Hs中に第1段階の垂直ラインシフトを行なっても垂直転送パルスΦVは低速トランジェントであるため画像ノイズ(縦筋)がでなくなり、水平ブランキング期間Hb中に第2段階の垂直ラインシフトを高速トランジェントの垂直転送パルスΦVで行なうので、水平ブランキング期間Hbを大幅に縮めることができ、高フレームレート化を実現することができる。したがって、カムコーダの電子手振れ動作および放送業務用FITなどの高速動作を必要とするときにもこの駆動方法を適用することができる。
<コンプリメンタリ駆動>
加えて、この第1実施形態の駆動手法では、図6に示すように、何れか複数の垂直転送電極12を組にして、それぞれに逆相の垂直転送パルスΦVを供給する、つまり、垂直転送パルスΦVをコンプリメンタリに動かすようにしている点に大きな特徴を有するのである。通常であれば、図7に示すように、それぞれ位相の異なる4種類の駆動パルスを供給しているのと大きく異なるのである。
たとえば、CCD固体撮像素子10の撮像部10aの垂直転送電極12の配置構造が2層の場合に、垂直転送電極12が交互に同じ構造をしていて、同構造の電極の駆動パルスをコンプリメンタリに動かすことで、垂直転送電極12とPWELL-#2b や半導体基板SUB間の結合容量で生じる電位変動を相殺する効果を出すことができる。
また、コンプリメンタリ駆動(逆相駆動)にすることによって、垂直転送パルスΦV用の期間を半減することができ、その結果としてトランジェント時間を2倍にできるため、よりトランジェントスピードを下げてクロストークノイズを減らすこともできる。
また、クロストークノイズを減らすことができるので、出力アンプ部16などに高ゲインアンプを使用してもノイズの問題から解消され、高感度・高速化を図ることができる。
<コンプリメンタリ駆動の主要な効果>
図8および図9は、コンプリメンタリ駆動を行なうことによる主要な効果を説明する図である。ここで、図8は、垂直ドライバの等価回路とCCD固体撮像素子30との関係を説明する図である。また、図9は、垂直ドライバ50によってトランジェントスピードを低速にできる原理を説明する図である。
図8において、CCD固体撮像素子10は、図4と同様に等価回路でCCD固体撮像素子60として表しており、垂直転送電極12に垂直転送パルスΦVとストレージゲートパルスΦVSTGおよびホールドゲートパルスΦVHLGを供給する本実施形態特有の垂直ドライバ50を備えた駆動回路5で駆動されるようになっている。
垂直ドライバ50は、たとえば垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4を発生させ、CCD固体撮像素子60は、たとえばこれらの垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4が印加される垂直転送電極12_1〜12_4を含む。図8では、モデル化の容易のため、垂直ドライバ50は1つの垂直転送パルスΦV(出力電圧Vout )のみを生成するが、CCD固体撮像素子60は、複数のドライバによって駆動される(たとえば、他の垂直ドライバや水平ドライバであるドライバ70)。
たとえば、図6に示したようにコンプリメンタリ駆動を考えた場合、端子601に垂直転送パルスΦV_1を供給する場合には端子602に垂直転送パルスΦV_1とは逆相の垂直転送パルスΦV_3を供給するし、端子601に垂直転送パルスΦV_2を供給する場合には端子602に垂直転送パルスΦV_2とは逆相の垂直転送パルスΦV_4を供給する。
垂直ドライバ50は、端子503から入力された制御信号Dinを論理反転するインバータ51と、端子503から入力された制御信号Dinのレベルに応じた制御信号Vg1を出力するレベルシフト回路(L/S)52と、端子503から入力された制御信号Dinをインバータ51で論理反転した制御信号NDinのレベルに応じた制御信号Vg2を出力するレベルシフト回路53とを備える。
また、垂直ドライバ50は、レベルシフト回路52,53の後段に、電圧出力部54とインピーダンス制御部55とを備える。電圧出力部54は、一定の電圧V1,V2(電圧値V)を端子501,502から入力し、出力電圧Vout として出力端子504からCCD固体撮像素子60に対して出力する。たとえば、電圧V1はハイレベル、電圧V2はローレベルに設定される。
インピーダンス制御部55は、出力端子504から見た出力インピーダンスを、容量性負荷となるCCD固体撮像素子60の伝達特性に応じて制御する。図8において、インピーダンス制御部55は、多段接続された複数のディレイライン(遅延素子)56(それぞれに参照子_1,_2,…,_mを付して示す)、多段接続された複数のディレイライン(遅延素子)57(それぞれに参照子_1,_2,…,_mを付して示す)、各ディレイライン56,57に対応して設けられたスイッチ58,59(それぞれに参照子_1,_2,…,_mを付して示す)を含む。ここで、後述するように、各スイッチ58,59は、インピーダンス成分がCCD固体撮像素子60の伝達特性に応じてそのオン/オフが適切に設定される。
垂直ドライバ50は、出力電圧Vout によってCCD固体撮像素子60の一方の電極601を駆動するが、他の垂直ドライバや水平ドライバであるドライバ70はCCD固体撮像素子60の他方の電極602を駆動する。
ここで、ディレイライン56およびスイッチ58は出力電圧Vout として端子501から電圧V1を出力するときの出力インピーダンスを制御し、ディレイライン57およびスイッチ59は出力電圧Vout として端子502から電圧V2を出力するときの出力インピーダンスを制御する。
たとえば、ディレイライン56およびスイッチ58の構成は以下のようになっている。すなわち、各スイッチ58の一端は、端子501(電圧V1)に共通に接続され、他端は、出力端子504に共通に接続されている。また、各スイッチ58は、各ディレイライン56の前後に配列され、レベルシフト回路52からの制御信号Vg1がディレイライン56を伝達するにつれて、スイッチ58_1からスイッチ58_mに向けて、遅延を伴って順にオンしていく。
各スイッチ58は、インピーダンス成分を有している。したがって、制御信号Vg1がディレイライン56を伝達し各スイッチ58が順にオンするにつれて、スイッチ58によって形成される並列インピーダンスの値は、徐々に低下していく。すなわち、端子504から見た垂直ドライバ50の出力インピーダンスは、徐々に低下していく。
同様に、各スイッチ59の一端は、端子502(電圧V2)に共通に接続され、他端は、出力端子504に共通に接続されている。また、各スイッチ59は、各ディレイライン57の前後に配列され、レベルシフト回路53からの制御信号Vg2がディレイライン57を伝達するにつれて、スイッチ59_1からスイッチ59_mに向けて、遅延を伴って順にオンしていく。
各スイッチ59は、インピーダンス成分を有している。したがって、制御信号Vg2がディレイライン57を伝達し各スイッチ59が順にオンするにつれて、スイッチ59によって形成される並列インピーダンスの値は、徐々に低下していく。すなわち、端子504から見た垂直ドライバ50の出力インピーダンスは、徐々に低下していく。
このように、垂直ドライバ50では、端子503から制御信号Dinが入力され、そのレベルに応じて、レベルシフト回路52,53の何れかから、スイッチ58,59をオンするための制御信号Vg1,Vg2がディレイライン56,57に与えられる。すなわち、インバータ51によって、レベルシフト回路52,53の一方の入力がハイレベルとなり、その一方のレベルシフト回路の出力信号が対応する一方のディレイライン上を伝達して対応する一方の各スイッチを順にオンしていくことになる。
このようにしてインピーダンス制御部55にて垂直ドライバ50の出力インピーダンスを制御すれば、出力電圧Vout のトランジェントスピードΔV/ΔTを低速にできる。
たとえば、図9(A)は、図5(A1),図5(B1)に対応するもので出力電圧Vout のステップ応答を求めるための等価回路を示し、図9(B)は、その応答波形を示すもので図5(A2),図5(B2)に対応するものである。なお、図9(B)は、等価回路において容量素子C62が含まれていないものとして示している。
図9(A)において、インピーダンス素子Z58は垂直ドライバ50の出力端子から見た出力インピーダンスZoと垂直転送電極12の配線抵抗を示す抵抗素子R62との合成成分(Zo+R62)であり、本例の場合、垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoは、主にスイッチ58,59の等価インピーダンスである。ここで、垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoの値は、Zo(t)= rs0・exp(-αt) ( rs0:初期値=Zo(0) 、α:定数)に従って、時間とともに変化するものとする。
ここで、図9(A)に示した等価回路図において、出力電圧Vout のステップ応答(たとえば電圧振幅Vの垂直転送パルスΦVを供給したとき)を求めると、式(4−1)のようになる。垂直転送電極12の配線抵抗を示す抵抗素子R62を無視すれば式(4−2)のようになり、さらに容量素子C62が含まれていないものとすれば式(4−3)のようになる。
特に、時刻t=0のときは、式(4−2),式(4−2)にt=0を代入し、式(5)の通り、t=0における出力電圧Vout の値を得る。
ここで、式(5)を、t=0のときの従来の出力電圧Vout(0)=V・(R61/(R61+ Ro)(式(2)参照)と比較すると、垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoの初期値 rs0を調整することで、出力電圧Vout のt=0における値を従来よりも低減させることができる。たとえば、 rs0=8・Roとすると、出力電圧Vout のt=0における値を約1/8にすることができる。また、インピーダンス素子Z58の値が大きいので、出力電圧Vout の過渡特性を滑らかにする、すなわち、出力電圧Vout のトランジェントスピードを低速にすることもできる。
ただし、このままでは、トランジェントスピードが過度に低下してしまい、出力電圧Vout が、垂直転送パルスΦVのアクティブ期間内に定常レベル(=V)に達せず、垂直転送電極12を十分に駆動できないことが懸念される。
これを避けるには、時間の経過とともに、垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoを低下させるとよく、たとえば指数関数状に低下させると、図9(B)に示すように、出力電圧Vout の過渡応答特性(容量素子C62は含まれていないものとする)を滑らかにする、すなわち、出力電圧Vout のトランジェントスピードを低速にすることができる。
なお、図9に示した等価回路では、垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoを指数関数で表現したが、t=0の時点に限れば、初期値 rs0の値が出力電圧Vout のトランジェントスピードを低速にする上で重要になり、必ずしも垂直ドライバ50の出力インピーダンスを指数関数表現にしなくてもよい。ただし、通常、容量性負荷としてのCCD固体撮像素子60内の時間軸で表現した伝達特性は、exp因子を持つため、それに合わせて垂直ドライバ50の出力インピーダンスに時間軸に対してexp因子を持たせれば、出力電圧Vout のトランジェント特性(過渡特性)が滑らかになり、より好ましい。
このように、CCD固体撮像素子60の時間軸で表現した伝達特性がexp因子を持つことに合わせて、スイッチ58,59のインピーダンスを、スイッチ58_1,58_2,…,58_mと指数関数的に小さくなるように割り付ければ理想的である。
なお、CCD固体撮像素子における電極等価容量は、画素数や使用するプロセスやレイアウト形状(纏めてデバイス特性ともいう)に依存して大きく依存するため、ある特定のCCD固体撮像素子に対して最適化された従来の垂直ドライバによる駆動電圧の過渡特性が他のCCD固体撮像素子に対して必ずしも最適化されたものにはならない。したがって、CCD固体撮像素子に応じて駆動電圧の過渡特性を簡便に制御できる方法が望まれる。
このためには、各スイッチ58,59におけるインピーダンスの値は、容量性負荷となるCCD固体撮像素子60の伝達特性に合わせて適切に設定することが望ましい。特に、図9(B)で示したように、出力電圧Vout (t=0)における電圧が低い、すなわち、インピーダンスの初期値 rs0が大きいほど、トランジェントスピードを低速にする上で好ましいので、垂直ドライバ50では、t=0において出力インピーダンスとなるスイッチ58_1,59_1のインピーダンスを最も高く設定する。このスイッチ58_1,59_1のインピーダンスを適切に設定するだけで、t=0における出力電圧Vout の値が十分に小さくなり、従来と比較して有利な効果が得られる。
ただし、このように、立上り時(t=0)および立下り時(t=1)の垂直ドライバ50の出力インピーダンスZoを大きくし、また出力インピーダンスZoを時間の経過とともに低下させるようにすることで、トランジェントスピードの遅い低速の駆動パルスで垂直転送電極12を駆動しても、依然として、出力電圧Vout(0)=V・(R61/(R61+rs0) もしくは出力電圧Vout(1)=V(1−(R61/(R61+rs0))が残っているので、その電圧変化によってクロストークノイズの縦筋が画像に現われてしまうし、トランジェント期間の電圧変化も画像に現われてしまう。
たとえば、図8にて説明したように、等価回路で示されたCCD固体撮像素子60は、垂直ドライバ50で一方の電極601を駆動するとき、他のドライバ70によって他方の電極602を駆動する。このため、他方の電極602に対する駆動電圧の過渡的な変動が、一方の電極601に対する駆動電圧に干渉する。
ここで、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて提案しているトランジェントスピードを遅くする駆動方法では、図7や図8(B)に示すように、たとえば4種類のそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVでCCD固体撮像素子を駆動するようにしているので、たとえトランジェントスピードを低速にした垂直転送パルスΦVで駆動したとしても、その位相差に応じたノイズ成分が現われ、クロストークノイズが依然として残ってしまう。
これに対して、図6や図8(C)に示すように、何れか2つの垂直転送電極12を組にして、それぞれに逆相の垂直転送パルスΦVa,ΦVbを供給して垂直転送パルスΦVをコンプリメンタリ駆動すれば、一方の電極601を駆動する垂直転送パルスΦVaによる電位変動と他方の電極602を駆動する垂直転送パルスΦVbによる電位変動とが互いに逆極性となり相殺し合うようになるので、結果的に、垂直転送電極12とPWELL-#2b や半導体基板SUB間の結合容量で生じる電位変動をほぼゼロにすることができる。
なお、逆極性で駆動することで電位変動を相殺し合うようにするには、電極構造の対象性も問題となる。この点では、図2に示したように、2層電極・4相駆動の例では、逆相駆動の対象となる垂直転送電極12は、垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給される2層目の垂直転送電極12_1,12_3もしくは垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が供給される1層目の垂直転送電極12_2,12_4であり、これらはともに2層目もしくは1層目の電極で、パターン形状も殆ど同じために、容量のバランスがとれコンプリ駆動によるノイズキャンセル効果が得易い。
ただし、電極構造のバランスの悪い組合せの場合でも、垂直ドライバ50側の駆動能力を合せる、現実的には電圧振幅を調整することで、クロストークノイズが最小になる条件にすることもできる。
<コンプリメンタリ駆動の付加的な効果>
図10は、コンプリメンタリ駆動を行なうことによる付加的な効果を説明する図である。第1実施形態のようにコンプリメンタリ駆動を行なうと、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて提案しているトランジェントスピードを遅くする駆動方法よりもさらにトランジェントスピードを遅くした垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4でゆっくりと第1段階の垂直ラインシフトを行なうことができるので、垂直転送電極12_1〜12_4としては、膜厚をさらに薄くして形成することができる。
このため、図10に示すように、受光センサ11、読出ゲート部ROG、および埋込チャネル領域24とゲート絶縁膜25上の垂直転送電極12からなる垂直転送レジスタ13を有するCCD固体撮像素子10において、垂直転送電極12の膜厚d0を従来の膜厚d2あるいは特願2004−076598号や特願2005−162034号による膜厚d1より薄くすることにより、センサ開口部118の周囲の段差が非常に低くなり、斜め入射光(実線)L0の蹴られを非常に少なくすることができる。
したがって、センサ開口部118が実質的に広がり、斜め入射光の集光効率が向上し、高感度化を図ることができる。また、斜め入射光の蹴られが発生し難いので、シェーディングの発生を低減することができる。なお、斜め入射光(1点鎖線)L1は特願2004−076598号や特願2005−162034号による膜厚d1のときの蹴られ状態を示し、斜め入射光(2点鎖線)L2は従来の斜め入射光の蹴られ状態を示す。
<他の駆動タイミング例>
図11〜図18は、他の駆動タイミングを説明する図である。上記例では4種類の垂直転送パルスΦVについて説明したが、垂直転送パルスΦVは、4種類に限るものではない。たとえば、図11に示すように、8種類の垂直転送パルスΦVを用いて逐次駆動を行なう従来の8相逐次駆動方式に対して、図12に示すように、8種類のうちの所定の2種類の駆動信号を逆相にして駆動するようにすることもできる。本例の場合、垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3、垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4、垂直転送パルスΦV_3,ΦV_5、垂直転送パルスΦV_4,ΦV_6、垂直転送パルスΦV_5,ΦV_7、垂直転送パルスΦV_6,ΦV_8、垂直転送パルスΦV_7,ΦV_1、垂直転送パルスΦV_8,ΦV_2の順に、各2つを逆相駆動にしている。
また、従来の8相駆動をベースにVGAモードの動画撮像駆動にする場合でも、図13に示すように、垂直転送パルスΦV_1,ΦV_4、垂直転送パルスΦV_2,ΦV_5、垂直転送パルスΦV_3,ΦV_6、垂直転送パルスΦV_4,ΦV_7、垂直転送パルスΦV_5,ΦV_8、垂直転送パルスΦV_6,ΦV_1、垂直転送パルスΦV_7,ΦV_2、垂直転送パルスΦV_8,ΦV_3の順に、各2つを逆相駆動にすることで対処できる。
<擬似コンプリメンタリ駆動>
また、前述の例は、2種類の駆動信号を組にして、それらを逆相で駆動するようにしていたが、図14や図15に示すように、一方の駆動信号に対して、他の複数の駆動信号を組み合わせて、全体として、実質的に逆相で駆動する態様を採ることもできる。すなわち、3つ以上の駆動信号で組を構成するようにし、この3つ以上の駆動信号を、全体として逆相で駆動する効果を出すようにする。特に、トランジェントスピードを遅くして駆動する手法と組み合わせるとよい。図14に示した事例では、逐次駆動のトランジェントをさらに遅くしたものと等価である。
また、図14や図15に示した例では、一方の駆動信号に対して、他の複数の駆動信号を組み合わせて、全体として、逆相の状態が繋がるようにしていたが、図16に示すように、一部に不連続な部分があってもかまわない。図16に示した事例では、4相擬似逆相(コンプリ)駆動になり、特にメガピクセルのCCD固体撮像素子を動画駆動する際に好適である。
また、図17に示すように、10種類の垂直転送パルスΦVを用いて逐次駆動を行なう従来の5フィールド10相逐次駆動方式に対して、図18に示すように、10種類のうちの所定の2種類の駆動信号を逆相にして駆動するようにすることもできる。
また、図4(C)に示すように、従来のように略方形波状の駆動信号を垂直転送電極12に供給する場合においても、第1実施形態の逆相駆動を適用すればVSUB変動を抑制することができるので、画像ノイズ成分を抑制することができる。ただし、位相の微妙なズレにより、スパイク状の電圧変動が残り、これが画像ノイズとなって残ってしまう可能性がある。
<ノイズ抑制手法;第2実施形態>
図19は、ノイズ抑制手法の第2実施形態を説明する図である。この第2実施形態のノイズ抑制手法は、CCD固体撮像素子内でPWELL-#2b や半導体基板SUBにのったクロストークによるノイズ(カップリングノイズ)を、アクティブな方法で抑制する点に特徴を有する。
なお、ここでは、垂直ドライバとして従来の垂直ドライバ40を用い、また従来のように急峻なトランジェント特性を持つそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用するものとする。
たとえば、図3(C)の断面模式図に示したように、通常は、半導体基板NSUBのVSUB端子130にはDCバイアスVbiasが印加されるし、出力アンプ部16側のPWELL-#2a の PWELL接地端子132は接地GNDにされるが、これらの端子を利用して、カップリングノイズを相殺するようなノイズ補正信号を外部から供給するようにする。
たとえば、図19に示すように、第2実施形態の撮像装置1は、従来と同様の構造のCCD固体撮像素子30および垂直ドライバ40を備えるとともに、第2実施形態特有の構成として、ノイズ補正信号供給回路200を備えている。
ノイズ補正信号供給回路200は、VSUB端子130用と PWELL接地端子132用のそれぞれについて、垂直ドライバ40から供給される垂直転送パルスΦVを逆極性にする極性反転回路(反転アンプ)210と、極性反転回路210から出力された信号を波形整形する波形整形回路220とを有し、垂直ドライバ40の出力端子からPWELL-#2b や半導体基板SUBに乗るノイズと逆位相の波形をVSUB端子130や PWELL接地端子132に供給する。
波形整形回路220としては、極性反転回路210からの出力信号を使うことで、PWELL-#2b や半導体基板SUBに乗るノイズNoise1,Noise2と逆位相の波形をノイズ補正信号CompN1,CompN2として生成するものとする。たとえば、カップリングノイズ成分が主に微分特性を持つものである点を考慮して、CR微分回路を構成するように、容量素子222と抵抗素子224の直列回路を、極性反転回路210の出力側が容量素子222となり接地GND側が抵抗素子224となるように設けている。容量素子222と抵抗素子224の接続点をそれぞれVSUB端子130や PWELL接地端子132に接続する。なお、VSUB端子130については、DCバイアスVbiasを印加するので、抵抗素子224はDCバイアスVbiasを介して接地GNDに接続する。
このような第2実施形態の仕組みによれば、垂直ドライバ40の出力端子から供給される垂直転送パルスΦVを極性反転回路210で逆極性に変換してから波形整形回路220でPWELL-#2b や半導体基板SUBに乗るノイズNoise1,Noise2と逆位相の波形に整形したノイズ補正信号CompN1,CompN2をVSUB端子130や PWELL接地端子132に供給する。これにより、CCD固体撮像素子内でPWELL-#2b や半導体基板SUBにのったクロストークによるカップリングノイズNoise1,Noise2を、それとは逆特性のノイズ補正信号CompN1,CompN2で相殺することができ、縦筋ノイズを抑制することができる。
なお、CCD固体撮像素子内でPWELL-#2b や半導体基板SUBにのるカップリングノイズNoise1,Noise2は、デバイス特性や垂直転送パルスΦVのトランジェント特性に依存するため、ある特定のCCD固体撮像素子に対して最適化された極性反転回路210のアンプゲインや波形整形回路220のCR時定数が他のCCD固体撮像素子に対して必ずしも最適化されたものにはならない。したがって、CCD固体撮像素子や垂直転送パルスΦVのトランジェント特性に応じて、アンプゲインやCR時定数を調整することで、実情に即した最適なノイズ補正信号CompN1,CompN1を生成するようにする。
なお、この例では、反転アンプとCR微分回路の組合せでノイズ補正信号CompN1,CompN1を生成していが、これは一例を示したに過ぎず、その他の回路構成でもよい。何れにしても、実情のカップリングノイズNoise1,Noise2の特性に合わせて、それとは逆極性の波形を生成すればよいのである。
なお、ここでは、垂直ドライバとして従来の垂直ドライバ40を用い、また従来のように急峻なトランジェント特性を持つそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用するもので説明したが、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて提案したような低速トランジェントでかつそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用する場合や、低速トランジェントでかつ逆相駆動する第1実施形態のノイズ抑制手法と組み合わせることもできる。
<ノイズ抑制手法;第3実施形態>
図20は、ノイズ抑制手法の第3実施形態を説明する図である。この第3実施形態のノイズ抑制手法は、垂直ドライバとCCD固体撮像素子の電極端子との間にローパスフィルタなどのノイズ抑制回路を挿入する点に特徴を有する。従来の駆動手法では、垂直ドライバから出力される駆動信号を、できるだけそのままの波形状態を保つようにして垂直転送電極に伝達することが重要であると考えられていたのと大きく異なるのである。
垂直ドライバ40から出力される垂直転送パルスΦVをノイズ抑制回路を介して垂直転送電極に供給すれば、垂直ドライバの出力に予期せぬスパイクノイズが発生した場合でも、そのスパイクノイズに起因したクロストークノイズを軽減することができる。
なお、ここでも、垂直ドライバとして従来の垂直ドライバ40を用い、また従来のように急峻なトランジェント特性を持つそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用するものとする。ただし、この第3実施形態の仕組みは、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて提案したような低速トランジェントでかつそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用する場合や、低速トランジェントでかつ逆相駆動する第1実施形態のノイズ抑制手法や、CCD固体撮像素子内で発生するノイズと逆特性のノイズ補正信号を供給する第2実施形態のノイズ抑制手法と組み合わせることもできる。
ここで、ノイズ抑制回路は、それ自身のみでノイズ抑制効果をもたらす構成であってもよいし、垂直ドライバ40やCCD固体撮像素子80が持つ素子機能要素との組合せによってノイズ抑制効果をもたらす構成であってもよい。
たとえば、図20(A)は、従来の垂直ドライバとCCD固体撮像素子との接続関係を示す等価回路である。図20(A)において、CCD固体撮像素子30は、等価回路でCCD固体撮像素子80として表しており、垂直ドライバ40で駆動されるようになっている。なお、等価回路で示されたCCD固体撮像素子80は、図4や図8における一方の電極601についてのみ示したものと等価である。容量素子C82は、100〜1000pF程度であり、接地抵抗R81は数10Ω程度であり、垂直転送電極12の配線抵抗R82は数10〜数100Ω程度である。
これに対して、図20(B)に示す第1例のノイズ抑制回路310では、垂直ドライバ40と垂直転送電極12との間の信号線と接地GNDとの間に容量素子316を設けて、C型構成としている。容量素子316は、垂直ドライバ40の出力抵抗Ro(あるいは出力インピーダンスZo)とでRCローパスフィルタ回路を構成する。これにより、垂直ドライバ40の出力に予期せぬスパイクノイズが発生した場合でも、そのスパイクノイズに起因したクロストークノイズを軽減することができる。
なお、この第1例では、垂直ドライバ40の出力抵抗Roと容量素子316とでローパスフィルタ回路を構成するが、出力抵抗Roの値は一般的には小さく、十分なフィルタ効果を得るには容量素子316の容量を、後述する第2例や第3例よりも、大きくする必要がある。
図20(C)に示す第2例のノイズ抑制回路320では、垂直ドライバ40と垂直転送電極12との間の信号線に出力抵抗Ro(あるいは出力インピーダンスZo)よりも抵抗値が大きな抵抗素子322を挿入し、抵抗素子322と垂直転送電極12との間の信号線と接地GNDとの間に容量素子326を設けて、RC型構成としている。
容量素子326は、垂直ドライバ40の出力抵抗Ro(あるいは出力インピーダンスZo)と抵抗素子322との直列抵抗とでRCローパスフィルタ回路を構成する。ただし、抵抗素子322は出力抵抗Ro(あるいは出力インピーダンスZo)よりも抵抗値が大きいので、事実上、抵抗素子322と容量素子326とでRCローパスフィルタ回路を構成する。これにより、垂直ドライバ40の出力に予期せぬスパイクノイズが発生した場合でも、そのスパイクノイズに起因したクロストークノイズを軽減することができる。
この第2例では、出力抵抗Ro(あるいは出力インピーダンスZo)よりも抵抗値が大きな抵抗素子322と容量素子316とでRCローパスフィルタ回路を構成するので、容量素子316の容量を第1例よりも小さくしても、十分なフィルタ効果を得ることができる。ただし、抵抗素子322を挿入したことで、接地抵抗R81および配線抵抗R82との間で電圧降下が生じるため、端子801に供給される垂直転送パルスΦVの電圧振幅が低下し、駆動能力が低下する可能性がある。
図20(D)に示す第3例のノイズ抑制回路330では、垂直ドライバ40と垂直転送電極12との間の信号線に等価抵抗が十分に小さなインダクタンス(コイル;誘導素子)334を挿入してL型構成とし、このインダクタンス334を介して垂直ドライバ40から出力される垂直転送パルスΦVを垂直転送電極12に供給するようにしている。
インダクタンス334は、CCD固体撮像素子80内の容量素子C82とでLCローパスフィルタ回路を構成する。なお、詳しくは、CCD固体撮像素子80内の接地抵抗R81と配線抵抗R82も介在するのでRLCローパスフィルタ回路を構成することになる。
したがって、垂直ドライバ40の出力に予期せぬスパイクノイズが発生した場合でも、そのスパイクノイズに起因したクロストークノイズを軽減することができる。また、インダクタンス334を挿入しても、その等価抵抗が十分に小さいので、抵抗素子322を挿入した第2例とは異なり、駆動能力の低下は生じない。
図20(E)に示す第4例のノイズ抑制回路340では、垂直ドライバ40と垂直転送電極12との間の信号線に等価抵抗が十分に小さなインダクタンス(コイル;誘導素子)344を挿入し、このインダクタンス344を介して垂直ドライバ40から出力される垂直転送パルスΦVを垂直転送電極12に供給するとともに、インダクタンス344と垂直転送電極12との間の信号線と接地GNDとの間に容量素子346を設けて、LC型構成としている。
インダクタンス344は、容量素子346とでLCローパスフィルタ回路を構成する。したがって、垂直ドライバ40の出力に予期せぬスパイクノイズが発生した場合でも、そのスパイクノイズに起因したクロストークノイズを軽減することができる。また、インダクタンス344を挿入しても、その等価抵抗が十分に小さいので、抵抗素子322を挿入した第2例とは異なり、駆動能力の低下は生じない。
なお、この第4例は、第3例の構成に加えて容量素子346を設けた構成であるので、CCD固体撮像素子80内の容量素子C82(さらに詳しくは接地抵抗81と配線抵抗R82)とでローパスフィルタ回路も構成される。したがって、第3例の構成におけるフィルタ効果に加えて、容量素子346を設けたことによるフィルタ効果が重畳されることになる。
ただし、容量素子346は直接にインダクタンス344に関与するのに対して、CCD固体撮像素子80内の容量素子C82は接地抵抗81と配線抵抗R82を介してインダクタンス344に関与しダンピング作用をもたらす。よって、両者の容量値が同程度であれば、容量素子346の方がフィルタ効果が高いと考えてよい。
上述の第1例〜第4例のノイズ抑制回路310〜340を比較した場合、第4例の構成が駆動能力の低下がなくフィルタ効果が最も高いので、実際のアプリケーションとして最適な構成であるといえ、その次に好適なのが駆動能力の低下がない第3例の構成である。
<ノイズ抑制手法;第4実施形態>
図21は、ノイズ抑制手法の第4実施形態を説明する図である。この第4実施形態のノイズ抑制手法は、基板(SUB)接地抵抗の影響によって垂直転送パルスΦVの立上り時や立下り時に出力電圧Vout が急激に変化する現象(図5を参照)を、基板接地抵抗を抵抗性から等価的に容量性にすることで改善する点に特徴を有する。
なお、ここでも、垂直ドライバとして従来の垂直ドライバ40を用い、また従来のように急峻なトランジェント特性を持つそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用するものとする。ただし、この第4実施形態の仕組みは、特願2004−076598号や特願2005−162034号にて提案したような低速トランジェントでかつそれぞれ位相の異なる垂直転送パルスΦVを使用する場合や、前述の第1〜第3実施形態のノイズ抑制手法と組み合わせることもできる。
図3や図5にても説明したように、接地抵抗としては、遮光膜119と接地GND間に発生する遮光膜抵抗R1(およびと、半導体基板NSUBの基板抵抗R2とが存在し、その合成成分であるトータルの接地抵抗Rは、遮光膜抵抗R1と基板抵抗R2の並列成分に略等しいと考えてよい。
したがって、接地抵抗を抵抗性から等価的に容量性にするに当たっては、遮光膜抵抗R1を抵抗性から等価的に容量性にする第1例の手法と、基板抵抗R2を抵抗性から等価的に容量性にする第2例の手法と、その両者を併用する第3例の手法とが考えられる。図21は、この3つの手法の内、遮光膜抵抗R1を抵抗性から等価的に容量性にする第1例の手法を示したものである。
ここで、第1例の手法は、垂直転送電極12に供給される垂直転送パルスΦVに起因したノイズNoise2が結合容量C1、遮光膜119、遮光膜抵抗R1、および接地GNDを介して出力アンプ部16のPWELL-#2b を変動させ、これが出力アンプ部16を構成するトランジスタ120へのバックゲート効果で、トランジスタ120部にのり、その結果として出力信号にノイズが重畳され縦筋ノイズとなることを低減するものである。
また、第2例の手法は、半導体基板NSUBにノイズNoise1がのり、それが同基板上に形成される出力アンプ部16を構成するトランジスタ120へのバックゲート効果で、結合容量C3を介してトランジスタ120部にのり、その結果として出力信号にノイズが重畳され縦筋ノイズとなることを低減するものである。
ここで、基板接地抵抗を抵抗性から等価的に容量性にするには、その基板接地抵抗に容量素子を並列接続して接地容量型のフィルタ構成にすればよい。たとえば、遮光膜抵抗R1は、基本的には遮光膜119の等価抵抗R10と考えてよいので、端子133を利用して等価抵抗R10に容量素子を並列接続するということは事実上困難である。一方、図3にて説明したように、遮光膜119と接地GNDとの関係においては、一般的に、静電破壊防止などのために意図的に数100Ω〜数10kΩの保護抵抗素子R12が端子133を利用して遮光膜119との間に挿入される。したがって、図21(A)に示すように、端子133を利用して保護抵抗素子R12に容量素子412を並列接続すれば、遮光膜抵抗R1の一部である保護抵抗素子R12を抵抗性から等価的に容量性にすることができる。
こうすることで、配線抵抗(ここでは遮光膜抵抗R1の一部である保護抵抗素子R12)に起因して、垂直転送パルスΦVの立上り時や立下り時に出力電圧Vout が急激に変化する現象(図5を参照)を、この保護抵抗素子R12に意図的に容量素子412を並列接続することで、垂直転送パルスΦVの立上り時や立下り時の信号電流を容量素子412側に流すことができ、その結果として、急峻な電位変動を抑えることができる。
一方、端子133以外をも利用する形態ではあるが、遮光膜119はCCD固体撮像素子10の略全体を覆うように形成されているので、その全体中の多数の箇所から、多数の容量素子412を接地GNDとの間に設けるようにすれば、図21(A)に示すように、その等価回路は、遮光膜119についての結合容量C1と接地との間に容量素子412が配された状態となる。これにより、遮光膜抵抗R1全体を抵抗性から等価的に容量性にすることができる。
こうすることで、配線抵抗(ここでは遮光膜抵抗R1の全体)に起因して、垂直転送パルスΦVの立上り時や立下り時に出力電圧Vout が急激に変化する現象(図5を参照)を、この遮光膜抵抗R1の全体に意図的に容量素子412を並列接続することで、垂直転送パルスΦVの立上り時や立下り時の信号電流を容量素子412側に流すことができ、その結果として、急峻な電位変動を抑えることができる。
なお、図21では、遮光膜抵抗R1を抵抗性から等価的に容量性にする第1例の手法を示したが、たとえば、半導体基板NSUBと接地GNDとの間に容量素子を多数に分けて並列配置すれば、基板抵抗R2を抵抗性から等価的に容量性にする仕組みを講じることができる。
1…撮像装置、10…CCD固体撮像素子、10b…電荷蓄積部、10a…撮像部、11…受光センサ、118…センサ開口部、119…遮光膜、12…垂直転送電極、120…トランジスタ、121…電極、13…垂直転送レジスタ、130…VSUB端子、131… PWELL接地端子、132… PWELL接地端子、14…水平転送レジスタ、16…出力アンプ部、17…相関二重サンプリング回路、200…ノイズ補正信号供給回路、21…ストレージゲート電極、210…極性反転回路、22…ホールドゲート電極、220…波形整形回路、222…容量素子、224…抵抗素子、23…読出ゲート部、24…埋込チャネル領域、25…ゲート絶縁膜、3…撮像装置、30…CCD固体撮像素子、30a…撮像部、31…受光センサ、310…ノイズ抑制回路、316…容量素子、32…垂直転送電極、322…抵抗素子、33…垂直転送レジスタ、334…インダクタンス、34…水平転送レジスタ、344…インダクタンス、35…水平転送電極、36…出力部、4…駆動回路、40…垂直ドライバ、412…容量素子、5…駆動回路、50…垂直ドライバ、51…インバータ、52…レベルシフト回路、53…レベルシフト回路、54…電圧出力部、55…インピーダンス制御部、56…ディレイライン、57…ディレイライン、58…スイッチ、59…スイッチ、60…CCD固体撮像素子、80…CCD固体撮像素子、C1…結合容量、C2…結合容量、C3…結合容量、Ro…抵抗素子、R1…遮光膜抵抗、R10…遮光膜の等価抵抗、R12…保護抵抗素子、R2…基板抵抗、R61…接地抵抗、R81…接地抵抗、STG…ストレージゲート部、Zo…出力インピーダンス、Z58…インピーダンス素子、ROG…読出ゲート部