JP4452394B2 - 軒樋の接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軒樋の内側に樋継手が設けられている軒樋の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軒樋の内側に樋継手が設けられている軒樋の接続構造としては、例えば、特開平2─161056号公報及び特開平3─28447号公報に記載さているようなものが知られている。
【0003】
この従来の軒樋の接続構造は、図10に示すように、外面形状が軒樋aの内面形状にほぼ一致する形状に成形された薄肉の板状部材から構成された樋継手bを接着剤cを介して軒樋aの内周面に沿って装着したものである。
【0004】
この場合、軒樋aを樋継手bで接続するには、外周面に接着剤cが塗布された樋継手bを、突き合わせられた軒樋aの間に跨がって、軒樋aの後耳部dに樋継手bの係止凸部eを引っ掛けて、矢印sの方向に押し込むようにして嵌め込み、軒樋aの前耳部fと樋継手bの係止凹部gを係合させて軒樋aの内周面に沿うように取付けて接続している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の軒樋の接続構造にあっては、軒先に取付けられた樋同士を接続するときに、軒先と軒樋aとの間の狭い作業空間で樋継手bを取付けることになるので、樋継手bを軒樋a内に傾けた状態で挿入してから、樋継手bを軒樋aの内方に押し込むようにしている。このときに、樋継手bのコーナー部hが軒樋aの内周面と擦れて、樋継手bの外周面に塗布されていたコーナー部h付近の接着剤cが剥がれることになる。
【0006】
その結果、接続された軒樋aと樋継手bと間のコーナー部iに隙間が生じることになるので、この隙間から軒樋a内を流れる雨水が浸入して、突き合わせられた軒樋aの継ぎ目から雨水が漏れて軒下に落下するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて、軒樋の内側に樋継手が設けられている軒樋の接続構造において、軒樋の突き合わせ部からの漏水の発生を防止できる軒樋の接続構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係わる軒樋の接続構造(以下、「請求項1の軒樋の接続構造」と記す)は、軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって軒樋の内周面に沿うように樋継手が装着された軒樋の接続構造において、樋継手が、溝形状に屈曲した板状の内継手と、該内継手が嵌まり込む形状の凹部が形成された継手カバーと、該継手カバーの凹部内に塗布された接着剤とで構成され、前記内継手の外面を軒樋の内周面に沿わせると共に、前記継手カバーの凹部に内継手を嵌め込んだ状態で軒樋の内周面に沿って装着されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係わる軒樋の接続構造(以下、「請求項2の軒樋の接続構造」と記す)は、請求項1記載の軒樋の接続構造において、 板状の内継手と継手カバーの凹部が前側部から後側部にかけて幅狭に形成されている。
【0010】
【作用】
樋継手が、溝形状に屈曲した板状の内継手と、該内継手が嵌まり込む形状の凹部が形成された継手カバーと、該継手カバーの凹部内に塗布された接着剤とで構成されているので、内継手の外面を軒樋の内周面に沿わて取付けてから、前記継手カバーの凹部に接着剤を塗布して、この凹部に前記内継手が嵌まり込むようにして軒樋の内周面に沿わて取付けると、継手カバーの凹部内の接着剤が流動して内継手の内周面と両側端部を被覆し、接続された軒樋と内継手と間の隙間に浸入して止水する。
これにより、突き合わされた軒樋の継ぎ目からの漏水が防止できる。
【0011】
【実施例】
次に、本発明の一実施例を、図1〜図6に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例を示す一部切り欠き側断面図である。この軒樋の接続構造は、軒樋1同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋1の間に跨がって軒樋1の内周面に沿うように樋継手2が設けらている。
【0013】
軒樋1は押出成形品で、図3に示すように、本体部10が、平坦な底壁11の前側部から前側壁12が立設され、かつ底壁11の後側部から後側壁13が立設された溝形断面に形成されている。尚、前側壁12は外側に向けて段部121が形成されるとともに若干膨出して形成され、前記後側壁13は底壁に対して直角に形成されている。
【0014】
また、前記前側壁12の上端には前耳14が形成されており、この前耳14は内面側に溝141が形成されている。更に、後側壁13の上端には後耳15が形成されており、この後耳15は、内方に向けて突出された係止突起151が形成されている。
尚、前記前耳14の溝141及び後耳15の係止突起151は、軒樋1を樋支持具(図示省略)に取り付ける際の取付用溝と突起となる。
【0015】
樋継手2は、板状の内継手3と継手カバー4とからなり、この内継手3が接着剤5を介して継手カバー4で被覆されている。
【0016】
内継手3は、図4に示すように、平坦な底壁31の前側部から前側壁32が立設され、かつ底壁31の後側部から後側壁33が立設され、板状体が屈曲された溝形断面に形成されている。そして、内継手3の外面形状は、前記軒樋1の内面形状と一致する形状に形成されている。
【0017】
継手カバー4は、図5〜図6に示すように、平坦な底壁41の前側部から前側壁42が立設され、かつ底壁41の後側部から後側壁43が立設された溝形断面に形成されている。そして、継手カバー4の外面形状は、前記軒樋1の内面形状と一致する形状に形成されるとともに、外周面の中央部に内継手3が嵌まり込む形状で帯状の凹部44が形成されている。
【0018】
また、前記継手カバー4の上端には、凹部44が形成された部分を除いて後向きに断面U字状に湾曲して係止耳45が設けられており、下係止片451と上係止片452とが所定間隔を介して対抗して形成され、上係止片452の先端部に上向きに屈曲して係止突起453が設けられている。
【0019】
このような樋継手2で軒樋1を接続するには、先ず、内継手3の外周面に必要に応じて接着剤を塗布して、内継手3の後側壁33の上端部を軒樋1の耳部15の根本部に引っ掛けて、軒樋1の内方に押し込むようにして嵌め込み、軒樋1の前耳部14の付け根の下側に内継手3の前側壁32の上端を係止させる。このとき、内継手3の後壁側のコーナー部34が軒樋1の内周面と擦れることになるから、コーナー部34付近の接着剤が剥がれて接続されることになる。
【0020】
次に、継手カバー4の外周面に形成されている凹部44内に接着剤5を塗布してから、継手カバー4の後側壁43の上端部を軒樋1の耳部15の根本部に引っ掛けて、軒樋1の内方に押し込むようにして嵌め込み、軒樋1の前耳部14に継手カバー4の係止突起453を係合させる。このとき、継手カバー4の底壁41の後側部のコーナー部46が軒樋1の内周面と擦れても、凹部44のコーナー部47が内継手3の内周面と擦れることがないから、凹部44内に塗布されている接着剤は凹部44のコーナー部47においても剥がれることがなく、そのまま、接着剤5が内継手3の内周面と両側端面を被覆することになる。
【0021】
これにより、継手カバー4の凹部44内に塗布され充填された接着剤5により、内継手3のコーナー部34付近まで接着剤5が流動し、接続された軒樋1と内継手3と間のコーナー部34に生じた隙間に浸入して止水することになるので、雨水が樋に流れたときの漏水が防止される。
【0022】
なお、樋継手4の凹部44の深さが板状の内継手3の板の厚みよりも僅か大きめに形成されるとともに、凹部44の幅が内継手3の幅よりも大きめに形成されていると、凹部44内の接着剤5が流動して内継手3の両側端面の被覆が容易となるので好ましい。
【0023】
図7〜図8には、本発明軒樋の接続構造に使用される樋継手の他の実施例を示す。
【0024】
図7において、内継手3aは平坦な底壁31aが前側部から後側部にかけて徐々に幅狭になるように形成されており、この底壁31aの前側部から前側壁32aが立設され、かつ底壁31aの後側部から後側壁33aが立設され、後側壁33aが前側壁32aよりも幅が狭く形成されている。そして、内継手3aの外面形状は、前記軒樋1の内面形状と一致する形状に形成されている。
【0025】
また、継手カバー4aは、図8に示すように、平坦な底壁41aの前側部から前側壁42aが立設され、かつ底壁41aの後側部から後側壁43aが立設された溝形断面に形成されている。そして、継手カバー4aの外面形状は、前記軒樋1の内面形状と一致する形状に形成されるとともに、外周面の中央部に前記内継手3aが嵌まり込む形状で前側部から後側部にかけて徐々に幅狭とされた凹部44aが形成されている。
【0026】
このような内継手3aと継手カバー4aを用いて軒樋1を接続する場合、軒樋1の内側に装着されている内継手3aの底壁31aよりも、継手カバー4aにおける凹部44aのコーナー部47aが底壁31aの前側部において幅が狭くされているので、継手カバー4aの底壁41aの後側部のコーナー部46aが内継手3aの底癖31aの内周面と擦れても、凹部44aに塗布されている接着剤は凹部44aのコーナー部47aにおいても剥がれることがない。更に、継手カバー4aを軒樋の内方に押し付け、継手カバー4aのコーナー部46aを内継手3aのコーナー部34aに接近させると、コーナー部46aが内継手3aの底壁31aの内周面から外れて、軒樋1の内周面と接することになる。
【0027】
これにより、継手カバー4aの凹部44a内に塗布され充填された接着剤5により、内継手3aのコーナー部34aでは接着剤5が流動し、接続された軒樋1と内継手3と間のコーナー部34aに生じた隙間に浸入して止水することになるので、雨水が樋に流れたときの漏水が防止される。
【0028】
以上、本発明実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこの実施例の限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0029】
例えば、内継手3の外周面に接着剤を塗布して、軒樋1の内側に装着したが、接着剤を塗布しなくてもよい。
また、継手カバー4は、図9に示すように、凹部44が形成されている部分を中央から左右に分断するように切断されたものであってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明軒樋の接続構造では、軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって軒樋の内周面に沿うように樋継手が装着された軒樋の接続構造において、樋継手が、溝形状に屈曲した板状の内継手と、該内継手が嵌まり込む形状の凹部が形成された継手カバーと、該継手カバーの凹部内に塗布された接着剤とで構成され、前記内継手の外面を軒樋の内周面に沿わせると共に、前記継手カバーの凹部に内継手を嵌め込んだ状態で軒樋の内周面に沿って装着されているので、軒樋の底壁のコーナー部における隙間が接着剤で被覆されることになるから、軒樋の突き合わせ部からの漏水の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軒樋の接続構造の実施例を示す一部切り欠き側断面図である。
【図2】図1におけるA−A線矢視の正断面図である。
【図3】本発明の軒樋の接続構造に使用される軒樋の側面図である。
【図4】本発明の軒樋の接続構造に使用される内継手の斜視図である。
【図5】本発明の軒樋の接続構造に使用される継手カバーの一部切り欠き側断面図である。
【図6】同上の継手カバーの斜視図である。
【図7】本発明の軒樋の接続構造の他の実施例に使用される内継手の斜視図である。
【図8】本発明の軒樋の接続構造の他の実施例に使用される継手カバーの斜視図である。
【図9】本発明の軒樋の接続構造に使用される継手カバーの変形例を示す斜視図である。
【図10】従来の軒樋の接続構造における、樋継手を軒樋に取り付ける状態を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 軒樋
2、2a 樋継手
3、3a 内継手
4、4a 継手カバー
44、44a 凹部
5 接着剤
Claims (2)
- 軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって軒樋の内周面に沿うように樋継手が装着された軒樋の接続構造において、樋継手が、溝形状に屈曲した板状の内継手と、該内継手が嵌まり込む形状の凹部が形成された継手カバーと、該継手カバーの凹部内に塗布された接着剤とで構成され、前記内継手の外面を軒樋の内周面に沿わせると共に、前記継手カバーの凹部に内継手を嵌め込んだ状態で軒樋の内周面に沿って装着されていることを特徴とする軒樋の接続構造。
- 板状の内継手と継手カバーの凹部が前側部から後側部にかけて幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1記載の軒樋の接続構造。
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