JP4077717B2 - 軒樋の接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軒樋の内側に内継手が設けられている軒樋の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軒樋の内側に内継手が設けられている軒樋の接続構造としては、例えば、図11に示すように、外面形状が軒樋aの内面形状にほぼ一致する形状に成形された薄肉の板状部材から構成された内継手bを接着剤cを介して軒樋aの内周面に沿って装着したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この場合、軒樋aを内継手bで接続するには、外周面に接着剤cが塗布された内継手bを、突き合わせられた軒樋aの間に跨がって、軒樋aの後耳部dに内継手bの係止凸部eを引っ掛けて、矢印sの方向に押し込むようにして嵌め込み、軒樋aの前耳部fと内継手bの係止凹部gを係合させて軒樋aの内周面に沿うように取付けて接続している。
【0004】
【特許文献1】
特開平3─28447号公報(第1図及び第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の軒樋の接続構造にあっては、図12(a)に示すように、軒先に取付けられた軒樋吊り具kに軒樋aを取付けるときに軒先と軒樋aとの間の狭い空間で後耳部dを軒樋吊り具kの後耳保持部iに取付けているが、内方に向けて開口部hが設けられた軒樋aの場合では、後耳部dを後耳保持部iに装着するときに、図12(b)に示すように、軒樋吊り具kの後耳保持部iの押さえバネjが開口部hに挿入され引っ掛かった状態で係止されることがある。そのため、軒樋吊り具kへの取付けが完了したものと勘違いしてそのまま使用され、使用中に、軒樋aが軒樋吊り具kから外れるということがある。
【0006】
そこで、後耳部が軒樋吊り具kの後耳保持部iに確実に係合される軒樋として、軒樋の後側壁の上端部に後方もしくは前方に向けて膨出した係止突起部が形成されたものが使用されている。この軒樋は後耳部に開口部hが設けられていない構造であるから軒樋吊り具kの後耳保持部iの押さえバネjに引っ掛かることがない。
【0007】
しかしながら、後耳部の係止突起部が後方に向いている軒樋の場合は、内継手の後側壁の上端を係止することができない。また、後耳部の係止突起部が前方に向いている軒樋の場合は、係止突起部の基部に当接して引っ掛けることができたとしても、軒樋を広げて内継手を嵌めるとき内継手の後側壁の上端が基部から離れて浮き上がり、軒樋の後側壁と内継手の後側壁の接着が不十分となることがある。
【0008】
その結果、接続された軒樋と内継手と間に隙間が生じることになるので、この隙間から軒樋内を流れる雨水が浸入して、突き合わせられた軒樋の継ぎ目から雨水が漏れて軒下に落下するという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて、軒樋の内側に内継手が設けられている軒樋の接続構造において、軒樋の後耳部が軒樋吊り具の後耳保持部にスムースに係合され、しかも、内継手の後側壁の上端が軒樋の後側壁から浮き上がるのを防止し、軒樋の突き合わせ部からの漏水の発生を防止できる軒樋の接続構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、前側壁の上端に内面側に開口した係合溝を備えた前耳部が形成され、後側壁の上端に後方に向けて膨出した中空状の係止突起部を備えた後耳部が形成された軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって、外面形状が軒樋の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、該継手本体部の上端に設けられた前耳係止部と後耳係止部とで構成された内継手が前記軒樋の内周面に沿うように装着された軒樋の接続構造において、前記軒樋の後耳部と内継手の後耳係止部のみが把持具を介して保持されており、該把持具は、軒樋の後耳部を嵌入する開口溝が設けられた把持部本体と、該把持部本体の下方に垂設された取手部とから形成され、前記把持部本体の開口溝に前記係止突起部を冠着して軒樋の後側壁と開口溝の溝縁との間に係合溝を形成し、該係合溝に内継手の後耳係止部が係合されていることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の軒樋の接続構造の実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。図1〜図8は本発明の実施の形態の第1実施例をあらわしている。
【0012】
図1は、本発明の軒樋の接続構造の第1実施例を示す側面図、図2は同じく軒樋の接続構造の分解側面図である。この軒樋の接続構造は、軒樋1同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋1の間に跨がって軒樋1の内周面に沿うように内継手2が設けられており、軒樋1の後耳部15と内継手2の後側壁23の上端に形成された後耳係止部25とが把持具3を介して保持されている。
【0013】
軒樋1は硬質塩化ビニル樹脂製の押出成形品で、図3に示すように、樋本体部10が、平坦な底壁11の前側部から前側壁12が立設され、かつ底壁11の後側部から後側壁13が立設された溝形断面に形成されている。尚、前側壁12は外側に向けて段部121が形成されるとともに若干膨出して形成され、前記後側壁13は底壁11に対して直角に形成されている。
【0014】
また、前記前側壁12の上端には前耳部14が形成されており、この前耳部14は内面側に開口した係合溝141が形成されている。この係合溝141の開口部上縁には係止爪142が下向きに形成されている。更に、後側壁13の上端には後耳部15が形成されており、この後耳部15は、後方に向けて膨出した中空状の係止突起部151が形成され、係止突起部151の下側縁に下向きに突出した突起152が形成されている。尚、前記前耳部14の係合溝141及び後耳部15の係止突起部151は、後述の図8に示すように、軒樋1を軒樋吊り具5に取付ける際の取付用溝と突起となる。
【0015】
内継手2は、上記軒樋1と同様に硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、図4に示すように、その外面形状が樋本体部10の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部20と、この継手本体部20の上端に設けられた前耳係止部24と後耳係止部25とで構成されている。
【0016】
継手本体部20は溝形状のものであり、平坦な底壁21と、この底壁21の両側部から立設された前側壁22および後側壁23とで構成されている。前側壁22は底壁21から外側に向けて若干傾斜して形成され、途中部で段部221が前方に若干膨出して形成されている。後側壁23は底壁21に対してほぼ直角に形成されている。
【0017】
前耳係止部24は継手本体部20の前側壁22の上端部から外側方に断面逆J字状に湾曲した係止片241を設けることにより係合溝242が形成されたものである。後耳係止部25は後側壁23の壁厚と同じ寸法の上端面がそのまま適用されているが肉厚もしくは肉薄であってもよい。なお、26は立ち上がり片であり、冬季の積雪荷重によって軒樋1の前耳部14と内継手2の前耳係止部24との係合が外れるの防止するものである。
【0018】
把持具3は、内継手2と同様に硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、軒樋1の後耳部15に冠着して取付けられるもので、図5〜図7に示すように、後耳部15の係止突起部151を嵌入する開口溝30が設けられた把持部本体31と、把持部本体30の下方に垂設された取手部32とから形成されている。
【0019】
把持部本体31の開口溝30は前方に開口されたもので、上側片33と、この上側片33の後端から屈曲して垂下する垂下片34と、垂下片34の下端から前方に屈曲した下側片35とから形成されている。下側片35の前端から垂下して取手部32が設けられている。
【0020】
上側片33は下側片35よりもはみ出した長さに設定されており、はみ出した部分の先端部に係止爪36が設けられている。この係止爪36は中央部が切り欠き欠かれて両端部に形成されており、この両端の係止爪36、36の上側に舌片37、37がそれそれ上方に突出して設けられている。
【0021】
また、垂下片34の途中部から取手部32の上端部において中央部に開口した切欠部39を形成し、切欠部39の上端縁から垂下するバネ係止片34aが設けられている。このバネ係止片34aは切欠部39の上端縁を支点にして前後に弾性的に撓むようになっており、バネ係止片34aの下端部に係止突起35aが上向きに突出して形成されている。
【0022】
このような把持具3を用いて内継手2で軒樋1を接続するには、先ず最初に図8に示すように、軒先の壁面6に取付けられた軒樋吊り具5の後耳保持部52に軒樋1の後耳部15を装着して軒樋1を時計方向に回転させ、軒樋吊り具5の前耳保持部51に軒樋1の前耳部14を係止し、軒樋1、1同士の長手方向端部を互いに突き合わせた状態で取付け配設する。
【0023】
続いて、把持具3の舌片37、37を挟むようにして摘んで、突き合わせられた軒樋1、1の接続端部における軒樋1の後耳部15と軒先との間に把持具3の取手部32を上方から差し込み、取手部32を軒樋1の後側壁13に押し付けることにより、図9(a)に示すように、把持部本体31の開口溝30に後耳部15の係止突起部151を嵌入する。このとき、把持具3のバネ係止片34aは後耳部15の突起152がバネ係止片34aの係止突起35aを押圧して後方に弾性変形することになるが、弾性変形の途中において突起152と係止突起35aとが擦れあって、バネ係止片34aはもとの位置に戻り、突起152と係止突起35aとが互いに係合することになる。また、把持具3の上側片33の係止爪36と後耳部15の内面との間に係合溝40を形成した状態で、把持具3が軒樋1の後耳部15に外れないように取付けられている。
【0024】
次に、図9(b)に示すように、内継手2の外周面に必要に応じて接着剤2aを塗布して、内継手3の後側壁23の上端に形成された後耳係止部25を係止爪36と後耳部15の内面との間の係合溝40に引っ掛けて、後耳係止部25を中心として内継手2を時計回りと反対方向に回転させ、軒樋1の内方に押し込むようにして嵌め込み、図9(c)に示すように把持具3の係止爪36に内継手2の後側壁23の上端(後耳係止部25)を係止させる。このとき、図1に示すように、内継手2の前耳係止部24を軒樋1の前耳部14の係合溝141に嵌合して係止する。
【0025】
図10には、本発明の軒樋の接続構造の実施の形態の第2実施例をあらわしている。
【0026】
図10において、本実施例で使用される把持具3aは、第1実施例で用いられた把持具3を縦方向中央で切断した構造に成形されたもので、隣接する軒樋1、1同士の当接端面にそれぞれ把持具3a、3aを取付けた以外は、基本的に上記第1実施例と同じである。前記第1実施例と軒樋の接続構造と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
この第2実施例の把持具3aの場合、図10に示すように、先ず初めに隣接する軒樋1、1同士の当接端面にそれぞれ把持具3a、3aを取付け、軒樋1、1の後耳部15、15の内側に係合溝40、40を形成してから、この軒樋1、1を軒先の壁面6に取付けられた軒樋吊り具5に軒樋1、1同士の長手方向端部を互いに突き合わせた状態で取付け配設すればよい。
【0027】
以上、本発明実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこの実施例の限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明軒樋の接続構造では、前側壁の上端に内面側に開口した係合溝を備えた前耳部が形成され、後側壁の上端に後方に向けて膨出した中空状の係止突起部を備えた後耳部が形成された軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって、外面形状が軒樋の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、該継手本体部の上端に設けられた前耳係止部と後耳係止部とで構成された内継手が前記軒樋の内周面に沿うように装着された軒樋の接続構造において、前記軒樋の後耳部と内継手の後耳係止部のみが把持具を介して保持されており、該把持具は、軒樋の後耳部を嵌入する開口溝が設けられた把持部本体と、該把持部本体の下方に垂設された取手部とから形成され、前記把持部本体の開口溝に前記係止突起部を冠着して軒樋の後側壁と開口溝の溝縁との間に係合溝を形成し、該係合溝に内継手の後耳係止部が係合されているので、軒樋の後耳部を軒樋吊り具の後耳保持部にスムースに係合し、しかも、内継手の後側壁の上端が軒樋の後側壁から浮き上がるのを防止し、軒樋の突き合わせ部からの漏水の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軒樋の接続構造の第1実施例を示す側面図である。
【図2】同じく軒樋の接続構造の分解側面図である。
【図3】本発明の軒樋の接続構造に使用される軒樋の側面図である。
【図4】本発明の軒樋の接続構造に使用される内継手の斜視図である。
【図5】本発明の軒樋の接続構造に使用される把持具の斜視図である。
【図6】同上の同上把持具の正面図である。
【図7】図6におけるA−A線矢視の断面図である。
【図8】軒樋を軒樋吊り具に取付けた状態を示す説明図である。
【図9】図1の接続構造における把持具と内継手の軒樋への取付工程を示す説明図である。
【図10】本発明の軒樋の接続構造の第2実施例を説明する要部切欠き斜視図である。
【図11】従来の軒樋の接続構造における、内継手を軒樋に取り付ける状態を説明する説明図である。
【図12】同上従来の接続構造において、軒樋を軒樋吊り具に取付ける状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
1、1a 軒樋
13 後側壁
15、15a 後耳部
2 内継手
23 後側壁
3、3a、4 把持具
30、30a 開口溝
40、40a 係合溝
5 軒樋吊り具
6 軒先の壁面
Claims (1)
- 前側壁の上端に内面側に開口した係合溝を備えた前耳部が形成され、後側壁の上端に後方に向けて膨出した中空状の係止突起部を備えた後耳部が形成された軒樋同士が長手方向端部を互いに突き合わせた状態で配設され、突き合わせられた軒樋の間に跨がって、外面形状が軒樋の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、該継手本体部の上端に設けられた前耳係止部と後耳係止部とで構成された内継手が前記軒樋の内周面に沿うように装着された軒樋の接続構造において、
前記軒樋の後耳部と内継手の後耳係止部のみが把持具を介して保持されており、該把持具は、軒樋の後耳部を嵌入する開口溝が設けられた把持部本体と、該把持部本体の下方に垂設された取手部とから形成され、前記把持部本体の開口溝に前記係止突起部を冠着して軒樋の後側壁と開口溝の溝縁との間に係合溝を形成し、該係合溝に内継手の後耳係止部が係合されていることを特徴とする軒樋の接続構造。
Priority Applications (1)
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JP2002342985A JP4077717B2 (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 軒樋の接続構造 |
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JP2002342985A JP4077717B2 (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 軒樋の接続構造 |
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JP2004176377A JP2004176377A (ja) | 2004-06-24 |
JP4077717B2 true JP4077717B2 (ja) | 2008-04-23 |
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JP2002342985A Expired - Lifetime JP4077717B2 (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 軒樋の接続構造 |
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-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342985A patent/JP4077717B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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