JP4450700B2 - 耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯及びその製造方法 - Google Patents

耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐食性とともにHV0.3で300以上の高強度が要求され、さらに外的環境での水素侵入で遅れ破壊が懸念されるメタルガスケットや自動車用各種ばね,スチールベルト,刃物材,燃料電池セパレーター素材,燃料電池システム周辺で用いられるばね材等に適した耐遅れ破壊性に優れたステンレス鋼板とその製造方法に関する。
従来、例えば非特許文献1に見られるように、HV0.3で300以上の高強度を発現する鉄鋼材料としては、SUS403系(13Cr−C)や加工硬化型のSUS301系(17Cr−7Ni)が使用されてきた。
SUS403系は焼入れ状態でほぼマルテンサイト単相組織となり、またSUS301系も冷間加工で加工誘起マルテンサイト相を生成させて、高強度を発現させることができるものである。いずれも簡単な処理で高強度が得られるので、各種機械構造部材の素材として多用されている。
村田康ら、「鉄と鋼」、78(1992)、p.346
ところが、SUS403系やSUS301系のステンレス鋼の場合、組織中にマルテンサイト相が存在するため、水素の拡散速度が大きく、水素起因の耐遅れ破壊が起きやすくなる。このため、安全性の観点からは、上記SUS403系やSUS301系のステンレス鋼は、外的環境での水素侵入で遅れ破壊が懸念される部材には適用し難い。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、耐遅れ破壊性を向上させるとともに表面硬度をHV0.3で300以上とした高強度ステンレス鋼帯を提供することを目的とする。
本発明の耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯は、その目的を達成するため、12.0〜30.0質量%のCrと10.0質量%以上のNiを含み、次の式(1)で定義されるMd(N)値が−220〜100の範囲になるように成分調整された組成を有し、表面から10μmの範囲の表層部が99体積%以上のオーステナイト相からなる組織を有し、且つ300HV0.3以上の表面硬度を有することを特徴とする。
Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−300N−26Cu−10Mo・・・(1)
また、本発明の耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯は、上記のような組成を有するステンレス鋼帯を溶体化処理した後、圧延率30%以上の冷間圧延を施し、その後に400〜650℃の温度域で時効窒化処理を施すことにより製造される。
時効窒化処理としては、窒化雰囲気中でのガス窒化法や、NaCN,KCN,NaCNO及びKCNOの1種または2種以上を基本成分とする塩浴中に鋼材を浸漬する塩浴窒化法を採用することができる。
本発明で提供されるステンレス鋼帯は、表面から10μmの範囲の表層部が99体積%以上のオーステナイト相からなる組織とされているので水素の拡散を防ぐに好適な状態となっており、水素起因による遅れ破壊が起こり難くなっている。しかも表面硬度がHV0.3で300以上に調整されており、高強度を呈する。
したがって、本発明により、耐食性とともにHV0.3で300以上の高強度が要求され、さらに外的環境での水素侵入で遅れ破壊が懸念されるメタルガスケットや自動車用各種ばね、スチールベルト、刃物材、燃料電池セパレーター素材、燃料電池システム周辺、水素ステーションで用いられるばね材等に好適に使用できる高強度ステンレス鋼板が提供される。
本発明者等は、水素脆性が懸念される過酷な使用環境に耐え得る高強度ステンレス鋼板を得る手段を種々検討した。その結果、準安定なオーステナイト相を有するステンレス鋼を所定の圧延率で冷間圧延して一旦加工誘起マルテンサイト変態させた後、400〜650℃の温度域で時効処理を兼ねた窒化処理を施すことにより、表面から10μmの範囲の表層部が99体積%以上のオーステナイト相からなる組織を有するとともに、300HV0.3以上の表面硬度を発現させることができたものである。
表面近傍を水素の拡散を防ぐに最適なオーステナイト相からなる組織として、水素脆性が抑えられ、耐遅れ破壊性を高めることができている。さらに、表面窒化により表面硬度も高められている。
以下、本発明の耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯に含まれる合金成分,含有量及び本発明の製造方法に規定される製造条件等を説明する。
C:0.20質量%以下
強力なオーステナイト形成元素であり、且つ強度の向上に有効な元素である。しかしながら、過剰の添加は、再結晶処理時に粗大なCr系炭化物が析出し、耐粒界腐食や疲労特性低下の原因になる。そこで、C含有量は0.20質量%以下にすることが好ましい。
Si:5.0質量%以下
通常、脱酸の目的で添加される合金成分である。本発明ではさらに固溶強化の目的をも持たせている。しかし、Si含有量が高くなると冷間加工時にマルテンサイト相の生成を著しく促進させることになる。また、5.0質量%を超える過剰量のSiが含まれると高温割れを誘発しやすくなり、製造上種々の問題も生じる。そこで、Si含有量は5.0質量%以下にすることが好ましい。
Mn:6.0質量%以下
オーステナイト形成元素である。さらにNの固溶度を高める作用も有している。ただし多量の添加は、窒素加圧溶解を行ってもブローホールの発生に起因した表面欠陥や光輝焼鈍時の着色発生をもたらす。そこで、Mn含有量は6.0質量%以下にすることが好ましい。
Ni:10.0質量%以上
Mnと同様にオーステナイト形成元素である。冷間圧延後の熱処理でマルテンサイトからオーステナイトへの逆変態を起こさせる際に、極力低温で逆変態させるためには10.0質量%以上のNiを含有させておく必要がある。
Cr:12.0〜30.0質量%
耐食性向上に有効な合金成分である。意図する耐食性を得るためには少なくとも12.0%のCrを必要とする。しかし、フェライト形成元素でもあるので、高くしすぎると高温で多量のδフェライトが生成してしまう。そこで、δフェライト相の生成を抑制するためにオーステナイト形成元素(C,N,Ni,Mn,Cu等)を添加しなければならなくなる。ただし、多量に含有されると、オーステナイト形成元素の添加による調整だけではδフェライト相の生成は抑制できなくなり、非磁性を確保できなくなる。このため、Cr含有量の上限は30.0質量%とする。
Mo:5.0質量%以下
耐食性向上に有効な合金成分であり、時効処理で炭窒化物を微細に分散させる作用も呈する。また、本発明での再結晶処理後の再結晶粒成長を抑制する。さらに、Moは時効処理した際に高強度化に寄与する析出物を形成させるので、Moの添加によってかなりの高温域で時効処理しても強度の低下を防ぐことができるようになる。ただし、過剰に添加されると、高温でδフェライトが形成されてしまう。したがって、Moを添加する場合には、5.0質量%以下とすることが好ましい。
Cu:4.0質量%以下
オーステナイト安定化元素である。また、Cuは再結晶処理の際に析出物を形成し時効硬化を促進させる。ただし、過剰の添加は熱間加工性を低下させ、割れ発生の原因にもなる。したがって、Cuを添加する場合には、4.0質量%以下にすることが好ましい。
N:0.30質量%以下
オーステナイト形成元素であり、高強度化にも有効な合金成分である。さらに遅れ破壊を抑制する作用も有している。素材のN濃度の下限を規定する必要はないが、窒化処理後の表層10μm以内のN下限量は0.04質量にする必要がある。しかし、Nの過剰添加は鋳造時にブローホールを発生させる原因となる。このため窒素加圧溶製等の工夫は必要であり、それを考慮しても上限は0.30質量%にすることが好ましい。
Ti:0.70質量%以下
析出硬化に有効な元素であり、時効処理による強度を上昇させる。しかし、0.70質量%を超えるほどに含有されると製鋼スラブに表面キズが生成しやすくなり、製造面で問題がある。したがって、添加する場合には、0.70質量%を上限とする。
B:0.015質量%以下
熱間加工温度域でのδフェライト相とオーステナイト相の変形抵抗の差異により生じる熱延鋼帯でのエッジクラックの発生防止に有効な合金成分である。しかし、過剰に添加すると、低融点硼化物が形成されやすくなり、却って熱間加工性が劣化する。したがって、添加する場合には、0.015質量%を上限とする。
O:0.02質量%以下
酸化物系の非金属介在物を形成して鋼の清浄度を低くし、プレス成形性や曲げ性に悪影響を与える。このため、O含有量は0.02質量%以下に規制することが好ましい。
Nb:0.50質量以下
Tiと同様に時効処理による強度を上昇させる作用を有している。しかしながら、過剰に含有させると、高温強度上昇による熱間加工性の低下をもたらす。したがって、添加する場合には、0.50質量%を上限とする。
Al:2.0質量%以下
製鋼時に脱酸を目的として添加される元素であり、TiやNbと同様に析出硬化にも有効に作用する。しかし2.0質量%を超えるほどに多量に含有させても、その効果は飽和するばかりでなく、溶接性の低下や表面欠陥の増加を招くなどの弊害をもたらすので、Al含有量は2.0質量%以下に規制することが好ましい。
その他、PやSの過剰な含有は熱間加工性を低下させることに繋がる。したがって、P含有量は0.050質量%以下に、S含有量は0.020質量%以下に規制することが好ましい。
逆にREM(希土類金属),Y,Ca及びMgは、熱間加工性の改善に有効な元素であり、耐酸化性の向上にも有効である、しかし添加量の増加によりこれらの効果は飽和するので、添加する場合には、REM(希土類金属),Yについてはそれぞれ0.20質量%を、Ca,Mgについてはそれぞれ0.10質量%を上限とする。
Md(N)値:−220〜100
Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−26Cu−300N−10Mo
本発明では、最終熱処理でその前工程の冷間圧延で加工誘起マルテンサイトを生成させ、その加工誘起マルテンサイトを介して、窒化処理を促進させている。その上で、窒化によるN固溶で加工誘起マルテンサイトからオーステナイトへの逆変態を利用して、表層のオーステナイト量を99体積%以上にすることを最大の特徴にしている。
そのためには、(1)冷間加工で加工誘起マルテンサイトが生成すること、及び(2)窒化処理を兼ねた熱処理中に表層10μmの範囲においては、熱処理中に加工誘起マルテンサイトが1体積%未満であり、室温間での冷却中にマルテンサイト変態を起こさないことが必須となる。
このため、本発明に使用される鋼素材は、溶体化処理後の冷間圧延で付与される歪みに対してマルテンサイト相が形成されやすいように、オーステナイトの加工に対する安定度が調整されたものでなくてはならない。そして、本発明では、その指標として次式で定義されるMd(N)値を採用した。
Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−26Cu−300N−10Mo
ここで、C,Si,Mn,・・・は、それぞれ当該鋼のそれぞれの成分の含有量(いずれも質量%で表わされる値)を意味する。
本発明では、Md(N)の値を−220〜100の範囲内に限定している。この要件は、本発明では、目的を達成する上で重要な役割を果たしている。このMd(N)値が−200よりも小さい鋼種では、圧延温度を低下させたり、圧延率を高くして過度の冷間圧延を施したりしても、オーステナイト相が冷間圧延に対して安定で、高強度化に寄与するマルテンサイト相が十分に得られない。一方、Md(N)値が100を超える鋼種では、表層10μmの領域でマルテンサイトが完全にオーステナイトに逆変態しなかったり、また窒化処理後の冷却中にマルテンサイト相が新たに生成したりし、耐遅れ破壊特性には不都合である。
表面から10μmの範囲の表層部のオーステナイト相:99体積%以上
オーステナイト相中の水素拡散速度はマルテンサイト中に比べて遅い。このためオーステナイト中への水素固溶量が多くなって、破壊に寄与する拡散性水素量が少なくなり、遅れ破壊が起き難くなる。
この限界値として表面から10μmの範囲の表層部のオーステナイト量を99体積%以上と規定した。
表面硬度:HV0.3で300以上
耐遅れ破壊性には直接関与するものではないが、水素環境でばね材等として十分な機械的特性を発揮させるためには表面硬度はHV0.3で300以上必要である。
冷間圧延:30%以上の圧延率
耐遅れ破壊性を改善する手段として着目していることは、表層10μm内に生成させた加工誘起マルテンサイトを利用して窒化処理を促進させるとともに、逆変態させてオーステナイト量を99体積%以上にすることである。
その両現象を促進させるには冷間圧延時の圧延率を30%以上にする必要がある。
時効窒化処理:400〜650℃
冷間加工を受けて加工誘起マルテンサイトが生成された鋼板は、その後の加熱処理によって加工誘起マルテンサイトがオーステナイト相に逆変態される。この加熱処理により鋼材の強度も改善されるので、この加熱処理を時効処理と称することとする。また本発明では、時効処理と併せて窒化処理を同時に施しているので、時効窒化処理と定義する。
逆変態と窒化を兼ねた時効窒化処理を400〜650℃の温度域で施す。加熱温度が400℃を下回ると逆変態が十分に進行せず、逆に650℃を超える加熱温度では強度低下をもたらす。
窒化のための処理としては、冷間圧延を受けて表層部に加工誘起マルテンサイトが生成された鋼板については、一般的な鋼材の窒化処理法である「ガス窒化法」,「ガス軟窒化法」の他、「ガス浸硫窒化法」,「プラズマ窒化法」,「塩浴窒化法」を適用することが可能である。また、「イオン窒化法」,「塩浴浸炭窒化法」,「塩浴浸硫窒化法」を適用することもできる。
ガス窒化法では、アンモニアガスを主体とした成分のガスが使用できる。例えば、アンモニアガス単体や、アンモニアガスにRXガス(吸熱型変成ガス;CO+H2+N2),NXガス(ブタン等を完全燃焼させた変成ガス;窒素が主成分),プロパン,ブタン,(CO2+CO)混合ガス等を加えたものが挙げられる。塩浴窒化法では、NaCN,KCN,NaCNO及びKCNOの1種または2種以上を基本成分とし、これにNa2CO3及びK2CO3の1種または2種を添加した溶融塩を使用できる。
表1に示す組成をもつステンレス鋼を真空溶解炉で溶製し、鍛造,熱延,中間焼鈍及び冷延を施した後、1050℃で1分間保持の溶体化処理とその後の水冷を施し、その後、種々の圧延率で板厚0.5mmまで冷間圧延した。
この冷間圧延材に、表2に示す時効窒化処理を施した。なお、ガス窒化はアンモニアガス50%+NXガス50%の窒化雰囲気中で、塩浴窒化はNaCN40質量%+Na2CO340質量%を主成分とし残部が(NaK)4Fe(CN)O6である塩浴液中で実施した。
表1中、A〜F鋼は本発明鋼、G〜I鋼は比較鋼である。
Figure 0004450700
各供試材について、最終熱処理材の表面硬度及び表層10μm内のオーステナイト量を測定した。表面硬度は荷重300gのビッカースで測定した。またオーステナイト量は表層10μmの相定量が可能な薄膜X線回折法を用いた。
その結果を併せて表2に示す。
水素脆化感受性試験には、カソード電解による電気化学試験を用いた。本試験はJIS G0576に準じて行った。供試材を0.5mmt×15mmW×75mmLにせん断後、両端にφ8mmの穴を開け、曲げ部となる表面及び端面を#600まで研磨した。その後、アムスラーを用いて半径8mmのポンチで試験片の両脚が平行になるように突き曲げを行った。カソード電解は3.5%NaClに硫酸でpH1.0に調整した試験液を用い、負荷電流を1mA,温度を20℃の条件で実施した。曲げ部のみを試験液に浸漬し、曲げ試験片に割れ発生が認められた時点までの時間を終了とした。なお、カソード電解反応で2H++2e-→H2の反応がおこり、内部に水素が貯蔵されて予め加えられている内部応力との関係で脆性的に破壊する現象を観察できる。
破断時間は最初の12hまでは1時間毎に、12h以上は12時間おきに割れの有無を確認し、100hまで浸漬してクラック発生がなければ合格とした。
カソード試験での割れ発生確認時間も併せて表2に示す。
Figure 0004450700
表2に示すように、本発明例では水素脆化感受性試験であるカソード電解による電気化学試験では60h以上の浸漬でも割れ発生は認められなかった。
これに対して、比較例の試験No.9は冷延率が30%に満たなかったため、試験No.10は熱処理温度が370℃と低かったために、その後の熱処理や窒化処理でオーステナイトへの逆変態が十分ではなく耐遅れ破壊性に劣っていた。また、比較例の試験No.11は熱処理温度が高すぎたために表面硬度が目標に達していなかった。
さらに、比較例の試験No.12〜14は本発明の範囲から外れた成分組成を有する鋼についての結果である。H鋼やI鋼はMd(N)値が所定の範囲よりも高いために熱処理後の冷却中にマルテンサイト変態が起こり、J鋼はCr量が多すぎたためにδフェライトが非常に多くなって、カソード試験での耐遅れ破壊性が低下していた。
なお、割れ破面はいずれも粒界破壊であり、カソード反応で生成した水素が貯蔵されたことによる遅れ破壊であった。

Claims (6)

  1. 12.0〜30.0質量%のCrと10.0〜13.76質量%のNi、C:0.20質量%以下、Si:5.0質量%以下、Mn:6.0質量%以下、Mo:5.0質量%以下、Cu:4.0質量%以下、N:0.30質量%以下、P:0.050質量%以に、S:0.020質量%以下を含み残部Fおよび不可避的不純物からなり、次の式(1)で定義されるMd(N)値が−220〜100の範囲になるように成分調整された組成を有し、表面から10μmの範囲の表層部が99体積%以上のオーステナイト相からなる組織を有し、且つ300HV0.3以上の表面硬度を有することを特徴とする耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯。
    Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−300N−26Cu−10Mo・・・(1)
  2. さらにTi:0.70質量%以下、B:0.015質量%以下、Nb:0.50質量以下、Al:2.0質量%以下、Ca:0.10質量%以下の一種以上を含有する、請求項1に記載の表面窒化高強度ステンレス鋼帯。
  3. 12.0〜30.0質量%のCrと10.0〜13.76質量%のNi、C:0.20質量%以下、Si:5.0質量%以下、Mn:6.0質量%以下、Mo:5.0質量%以下、Cu:4.0質量%以下、N:0.30質量%以下、P:0.050質量%以に、S:0.020質量%以下を含み残部Fおよび不可避的不純物からなり、次の式(1)で定義されるMd(N)値が−220〜100の範囲になるように成分調整された組成を有するステンレス鋼帯を溶体化処理した後、圧延率30%以上の冷間圧延を施し、その後に400〜650℃の温度域で時効窒化処理を施すことを特徴とする耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯の製造方法。
    Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−300N−26Cu−10Mo ・・・(1)
  4. 鋼帯がさらにTi:0.70質量%以下、B:0.015質量%以下、Nb:0.50質量以下、Al:2.0質量%以下、Ca:0.10質量%以下の一種以上を含有する組成を有する、請求項3に記載の表面窒化高強度ステンレス鋼帯の製造方法。
  5. 時効窒化処理を、窒化雰囲気中でのガス窒化法によって行う請求項3または4に記載の耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯の製造方法。
  6. 時効窒化処理を、NaCN,KCN,NaCNO及びKCNOの1種または2種以上を基本成分とする塩浴中に鋼材を浸漬する塩浴窒化法によって行う請求項3または4に記載の耐遅れ破壊性に優れる表面窒化高強度ステンレス鋼帯の製造方法。
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