しかしながら、接地を確保するために新たな部材を設けると、その分部品点数が増加して装置構成が複雑化するという問題がある。また、電子部品をシールドしても電子部品と接続される束線をシールドしなければ電波ノイズの発生を完全に防ぐことはできないが、束線のシールドをするためには、そのためのシール部材が必要である。しかし、このような部材を新たに設けることとすると、特に大判の記録媒体に対して画像記録を行う画像記録装置においては、装置が一層大型化、重量化するとともに、装置の組立工数が増加し、コストも上昇するという問題があった。
また、電子部品等から生じる電波ノイズのシールドを行う分、装置構成の簡易化、軽量化を図ろうとすると装置の強度が低下し、特に長大な装置の場合には装置の撓みや歪みを生じ易くなる。その結果、装置全体の密閉性も損なわれて電波ノイズのシールドを適切に行うことができないという問題もある。
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、装置の強度を保ったまま、軽量かつ簡易な構成により電波ノイズを遮断し長尺な記録媒体に対して電波ノイズの影響を受けない高精度の画像記録を行うことのできる画像記録装置を提供することを目的とするものである。
このような問題を解決するため、請求項1に記載されている画像記録装置は、記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドを搭載し駆動モータによって駆動するキャリッジを備え、前記記録媒体を一定方向に搬送するとともに、前記キャリッジを搬送方向に直交する方向に往復移動させながら画像記録を行う画像記録装置において、
金属で形成され内部に空間を有する一組の垂直枠体と金属で形成され内部に空間を有し前記各垂直枠体を連結する水平連結枠とからなる支持基台と、前記支持基台の幅方向の寸法よりも長い幅寸法を有し前記キャリッジを支持する支持部材と、前記記録媒体を搬送する搬送ユニットとを備え、前記搬送ユニットを前記垂直枠体の間に前記垂直枠体に対して着脱可能に取り付け、前記支持部材を前記各垂直枠体が前記支持部材の各端部よりも幅方向の中央部に位置するように前記垂直枠体に固定するとともに、装置各部を動作させる電子部品を備え、前記電子部品を前記垂直枠体の内部空間に収納し、前記各電子部品に接続する束線を前記水平連結枠の内部空間に収納したことを特徴としている。
このような構成を有する請求項1に記載の発明は、キャリッジの設置及び搬送ユニットの装着を簡易な構成で実現するとともに、垂直枠体と水平連結枠からなる支持基台に電子部品及び束線を収納し電子部品等から生じる電波ノイズをシールドするようになっている。
請求項2に記載されている発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、床面に対して平行に延在するとともに所定間隔を有するように少なくとも2本設けられ、前記各水平連結枠は、板状部材により連結されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項2に記載の発明は、水平連結枠を板状部材で連結することによって強度を増すようになっている。
請求項3に記載されている発明は、請求項1又は2に記載の画像記録装置において、前記支持部材を縦横比が異なる略直方体形状に形成し、前記支持部材の長手方向における周面のうち断面二次モーメントが大きい面を前記垂直枠体に固定するとともに、前記記録ヘッドの位置を検知するエンコーダをキャリッジに設け、前記エンコーダのリニアスケールを前記支持部材の前記垂直枠体に固定した面と対向する面に設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項3に記載の発明は、支持部材の断面二次モーメントの大きい面を垂直枠体に固定することによって支持部材の撓みを防止するとともに撓み難い面にリニアスケールを設けることによって正確に記録ヘッドの位置を検知することができるようになっている。
請求項4に記載されている発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記水平連結枠に基台側端子を設け、前記搬送ユニットの一端であって前記搬送ユニットを前記支持基台に取り付けた際に前記基台側端子と対向する位置にユニット側端子を設けるとともに、前記搬送ユニットは、前記支持基台に対して前記キャリッジの移動方向と直交する方向にスライド可能とされ、前記搬送ユニットを前記支持基台に取り付けることにより前記基台側端子と前記ユニット側端子とが電気的に接続可能であることを特徴としている。
このような構成を有する請求項4に記載の発明は、搬送ユニットをキャリッジ移動方向と直交する方向にスライドさせ装着することによって画像記録装置本体に対して容易に電気的な接続ができるようになっている。
請求項5に記載されている発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記支持部材の記録媒体搬送方向の上流側に、一端を前記垂直枠体に固定され床面に対して垂直方向に延在するとともに前記キャリッジよりも上方で記録媒体搬送方向の下流側に向かってほぼ直角に曲折しその先端部が前記キャリッジの記録媒体搬送方向における長さ寸法よりも長く記録媒体搬送方向の下流側に延在するL字支持部材を前記各垂直枠体にそれぞれ備えるとともに、前記支持部材とほぼ平行して延在し前記各L字支持部材の先端部を連結する連結部材と、前記連結部材の両端部と前記支持部材の両端部とを連結する連結側板とを設け、搬送方向下流側が開放されたカバー部材を前記連結部材、または、前記連結部材及び前記連結側板に取付けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項5に記載の発明は、L字支持部材と連結される連結部材、または、連結部材及び連結側板の双方にカバー部材を設けることによってキャリッジの移動範囲をカバー部材で囲むことができるようになっている。
請求項6に記載されている発明は、請求項5に記載の画像記録装置において、前記L字支持部材は、板金によってほぼL字型に曲成されたL字部材と、L字部材と連結される側板とで構成され、前記L字支持部材の先端部の高さを調節する調節機構を備えたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項6に記載の発明は、L字部材と側板とで構成されるL字支持部材の搬送方向下流側の高さを調節することによりL字支持部材によって支持されるカバー部材の傾きを調節することができるようになっている。
請求項7に記載されている発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記記録ヘッドの移動可能範囲内であって前記搬送ユニットが取り付けられる位置よりも外側一端に、前記記録ヘッドの吐出回復動作を行なう回復部を設け、他端に前記記録ヘッドの保湿を行なう保湿部を設けるとともに、前記回復部及び前記保湿部を被覆し開閉可能な蓋部を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項7に記載の発明は、回復部及び保湿部を設け回復部及び保湿部を開閉可能な蓋部で被覆することにより回復部及び保湿部に対するユーザーのアクセスを可能としつつ装置のシールドを行うことができるようになっている。
請求項8に記載されている発明は、請求項7に記載の画像記録装置において、前記蓋部を金属によって形成し、前記蓋部が閉じた際に前記蓋部の先端が接触可能な位置に磁石と板金によって構成されたマグネット吸着部材を取り付け、前記蓋部が閉じた際に前記マグネット吸着部材を介して前記蓋部の接地が行なわれることを特徴としている。
このような構成を有する請求項8に記載の発明は、蓋部と接触可能にマグネット吸着部材を設け、これにより蓋部の接地が行われるようになっている。
請求項9に記載されている発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記垂直枠体に前記搬送ユニットを位置決め固定する位置決め部材を設け、前記垂直枠体に固定支持された前記搬送ユニットの搬送面に対する前記キャリッジの傾きを調整する支持部材調整機構を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項9に記載の発明は、装置組立時には垂直枠体の位置決め部により搬送ユニットの位置決めを行い、位置決めされた搬送ユニットを基準としてキャリッジの位置を調整するようになっている。
請求項10に記載されている発明は、請求項9に記載の画像記録装置において、前記キャリッジの記録媒体対向面に対する前記搬送ユニットの搬送面の傾きを調整するユニット調整機構を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項10に記載の発明は、搬送ユニットの交換又は取外し時には垂直枠体の位置決め部材による位置決めを解除し、支持部材を基準として搬送ユニットの位置を調整するようになっている。
請求項11に記載されている発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記垂直枠体に、前記搬送ユニットを昇降させることにより前記記録ヘッドと前記搬送ユニットとの間の距離を調整する昇降機構を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項11に記載の発明は、昇降機構によって搬送ユニットを昇降させることにより記録ヘッドと搬送ユニットとの距離を適宜調整することができるようになっている。
請求項12に記載されている発明は、請求項7から11のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記回復部と前記保湿部の各々に前記キャリッジの位置を検出するセンサを設け、前記センサによって検出された前記キャリッジの位置に応じて前記キャリッジの停止位置を前記回復部と前記保湿部とでそれぞれ個別に調整する制御機構を設けたことを特徴としている。
このような構成を有する請求項12に記載の発明は、回復部と保湿部にそれぞれセンサを設けて、キャリッジの回復部における停止位置及び保湿部における停止位置をそれぞれ調整するようにようになっている。
請求項13に記載されている発明は、請求項12に記載の画像記録装置において、前記キャリッジの位置を検出するセンサによって前記キャリッジが前記回復部又は前記保湿部に位置すると検知されたときは、前記制御機構は前記キャリッジ駆動モータに供給する電流値を画像記録時よりも大きくするように制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項13に記載の発明は、キャリッジが回復部又は保湿部に位置するときはキャリッジ駆動モータに画像記録時よりも大きな電流値の電流を供給し円滑なキャリッジ動作を行うことができるようになっている。
請求項14に記載されている発明は、請求項12又は13に記載の画像記録装置において、前記キャリッジの位置を検出するセンサによって前記キャリッジが前記回復部又は前記保湿部に位置すると検知されたときは、前記制御機構は前記キャリッジの走査速度を画像記録時の走査速度よりも遅くするように制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項14に記載の発明は、キャリッジが回復部又は保湿部に位置するときは、制御機構はキャリッジの走査速度を遅くして十分な回復動作及び記録ヘッドの保護を行うことができるようになっている。
請求項15に記載されている発明は、請求項12から14のいずれか一項に記載の画像記録装置において、待機状態時の前記キャリッジの待機位置は保湿部であり、前記制御機構は、画像書き出し時には前記回復部に設けられた前記センサによって検知されたキャリッジの位置を基準として、画像書き出し時のタイミングの調整を行なうように制御することを特徴としている。
このような構成を有する請求項15に記載の発明は、画像書き出し時のタイミングの調整を回復部に設けられたセンサを基準に判断するようになっている。
請求項1に記載された発明によれば、金属で形成された垂直枠体と水平連結枠に各種の電子部品及び束線を収納するので、新たなシールド部品を設置することなく、簡単な構成で、各種電子部品及び束線から発生する電波の漏出を遮断し、電波ノイズの発生を防止することができる。このため、装置全体を大型化、重量化することなく、電波ノイズの発生に伴う画像記録装置の誤動作を防止して、常に高精細な画像記録を実現することができるという効果を奏する。
また、簡易な構成によりキャリッジの設置及び搬送ユニットの装着を行うことができるので、大判の記録媒体に対して画像記録を行う画像記録装置においても装置が大型化、重量化することなく、また、部品点数も少なくてすむため組立工数が減少し、装置コストの削減を実現することもできるという効果を奏する。
請求項2に記載された発明によれば、電子部品や束線を収納した水平連結枠を板状部材で連結するので、電子部品や束線から発生する電波の漏出を遮断し、電波ノイズの発生に伴う装置の誤動作を防止しうるとともに、装置の軽量化を図りつつ装置の強度を保つことができる。このため、大判の記録媒体に対して画像記録を行う大型の画像記録装置であっても、装置の撓みや歪み等を防いで画像記録面を記録ヘッドに対して平行に保ち、着弾位置のばらつきの少ない高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項3に記載された発明によれば、支持部材の周面のうち断面二次モーメントの大きい面を垂直枠体に固定するので、支持部材が長尺な場合でも支持部材を撓みを防止して、簡単な構成で装置の強度を上げることができる。また、支持部材周面のうち撓みを生じ難い面にエンコーダのリニアスケールを設けることによってリニアスケールの平行性を確保することができ、正確に記録ヘッドの位置を検知することができる。これにより、エンコーダの読取り不良を防止できるとともに、画像記録面を記録ヘッドに対して平行に保ち、着弾位置のばらつきの少ない高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項4に記載された発明によれば、簡易な構造によって搬送ユニットを画像記録装置本体に電気的に接続させることができるとともに、電気接続を金属で形成され電気的にシールドされた支持基台に集中させることにより電波の漏出を遮断し、電波ノイズの発生を防止できるという効果を奏する。
請求項5に記載された発明によれば、L字支持部材と連結される連結部材及び連結側板にカバー部材を設けることによってキャリッジの移動範囲をカバー部材で囲むので、簡単な構成により装置の強度を上げることができ、装置の撓みや歪みを防止して、着弾位置のばらつきの少ない高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項6に記載された発明によれば、カバー部材が自重や蓋部等の重さによって傾き、搬送方向下流側の高さが下がった場合でもL字支持部材を調節することにより傾きを修正することができる。このため、カバー部材等が傾くことにより装置各部に歪みや隙間が生じこの隙間から電波が漏出し電波ノイズが発生することを防止することができ、電波ノイズの発生に伴う画像記録装置の誤動作を防止して、常に高精細な画像記録を実現することができるという効果を奏する。
請求項7に記載された発明によれば、回復部及び保湿部を開閉可能な蓋部で被覆しているので、保湿部や回復部を設けた場合でも適切に電波をシールドすることができ、電波ノイズの発生を防止しうる。このため、電波ノイズによる画像記録装置の誤動作を防止して、常に高精細な画像記録を実現することができるという効果を奏する。
請求項8に記載された発明によれば、回復部及び保湿部を被覆する蓋部の接地を部品点数を増やすことなく簡易な構成で行うことができるため、電波の漏出を遮断し電波ノイズの発生を防止して高精細な画像記録を実現することができるという効果を奏する。
請求項9に記載された発明によれば、装置組立時に簡易な構成で搬送ユニットと記録ヘッドとの平行を確保することができ、記録ヘッドからのインク着弾のばらつきを防いで高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項10に記載された発明によれば、搬送ユニット交換時等にも、簡易な構成で搬送ユニットと記録ヘッドとの平行を確保することができ、記録ヘッドからのインク着弾のばらつきを防いで高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項11に記載された発明によれば、昇降機構によって搬送ユニットを昇降させることにより記録ヘッドと搬送ユニットとの距離を適宜調整することができるので、簡易な構成で厚みの異なる記録媒体にも対応することができ、常に高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
請求項12に記載された発明によれば、回復部と保湿部にそれぞれセンサを設けて、キャリッジの回復部における停止位置及び保湿部における停止位置をそれぞれのセンサにより検知された結果に基づいて調整する。このため、長尺な装置の場合でもキャリッジの位置を正確に把握して適切な回復動作及び記録ヘッドの保湿を行うことができるという効果を奏する。
保湿部や回復部といった装置の端部近傍にキャリッジがある場合にはキャリッジは強いばね力を受けることとなるが、請求項13に記載された発明によれば、保湿部や回復部にキャリッジがある場合には画像記録時よりも電流値の大きい電流をキャリッジに供給するので、キャリッジが強いばね力を受ける場合でも円滑にキャリッジを駆動させることができるという効果を奏する。
請求項14に記載された発明によれば、保湿部や回復部に記録ヘッドがあり画像記録時のような高速度の走査を行う必要のない場合には、キャリッジの走査速度を遅くして消費電力の低減を図ることができるという効果を奏する。
請求項15に記載された発明によれば、回復部にあるセンサを基準として記録ヘッドの書き出しを制御することで正確な書き出しタイミングを図り、高精細な画像記録を行うことができるという効果を奏する。
以下、図1から図9を参照しつつ、本発明に係る画像記録装置の一実施形態について説明する。
まず、図1に示すように、本実施形態において、画像記録装置1は、シリアルプリント方式による画像記録装置1であり、長尺に形成されたプリンタ本体2と、プリンタ本体2を下方から支持する支持基台3とを備えている。
支持基台3は、内部が中空の板状に形成された一対の垂直枠体4を備えている。垂直枠体4は、金属で形成されており、画像記録装置1の設置面に対してほぼ垂直に、互いの対向する面が平行となるように所定の間隔をもって配置されている。垂直枠体4の内部には、画像記録装置1の各部の駆動を可能とするための、例えば、画像処理を行う画像処理基板(図示せず)、各部の制御を行う制御機構を構成する制御基板(図示せず)、画像記録装置各部に電気を供給するDC電源部(図示せず)等の電子部品5が格納されている。なお、垂直枠体に格納される電子部品5はこれに限られず、画像記録装置1の各部の駆動に関わるその他の電子部品も含まれる。
各垂直枠体4は、垂直枠体4と直交する方向に延在する2本の水平連結枠6によって連結され固定されている。また、2本の水平連結枠6の間には板状部材としての連結板7が配置されており、水平連結枠6はそれぞれ連結板7に固定され連結されている。
図3等に示すように、水平連結枠6は金属で形成された中空の部材であり、水平連結枠6の内部には垂直枠体4の中に収納される各種の電子部品5と各部の端子等(図示せず)とを接続する様々なコード等の束である束線(図示せず)を通すための複数の束線収納部8が水平連結枠6の長手方向に沿って延在している。画像記録装置1の電子部品5は垂直枠体4の内部に集められており、これら電子部品5と接続される束線が水平連結枠6の束線収納部8を通って画像記録装置1の各部に設けられた端子と接続可能となっている。これにより画像記録装置1の電気経路はともに金属で形成された部材である垂直枠体4及び水平連結枠6の内部に密封され、電気的に外部からシールドされた状態となっている。
図2に示すように、垂直枠体4の互いに対向する面には、記録媒体Pを搬送する搬送ユニット9を支持するユニット支持部材10がそれぞれほぼ同じ高さに配設されている。一対の垂直枠体4の間には搬送ユニット9がユニット支持部材10によって両側から支持されつつ装着されるようになっている。
図3に示すように、搬送ユニット9は、ケース部材25を有しており、ケース部材25の両側面であって搬送ユニット9を垂直枠体4に装着した際にユニット支持部材10に対応する位置には、ユニット支持部材10に固定されるユニット固定部11が設けられている。ユニット支持部材10には搬送ユニット9の固定位置を決める位置決め部材として位置決めピン(図示せず)が設けられており、ユニット固定部11には位置決めピンを受ける係止孔(図示せず)が設けられている。この係止孔に位置決めピンが係合されることにより搬送ユニット9の位置決めが行われ、搬送ユニット9が支持基台3の所定の位置に固定されるようになっている。なお、位置決めピンは着脱可能となっており、ユニット支持部材10の一方には、例えば、ユニット調整機構としての位置合わせ孔(図示せず)が設けられている。位置合わせ孔は、例えば、長穴形状となっており、位置決めピンを外した上で、搬送ユニット9の位置及び角度を調整し、別途ねじ等の係止部材によりユニット固定部11の係止孔とユニット支持部材10の位置合わせ孔とを係合させることによっても搬送ユニット9を垂直枠体4に固定することができるようになっている。なお、各ユニット支持部材10に調整機構としての長孔形状の位置合わせ孔を設け、各ユニット固定部11に位置合わせ孔と係止される係止孔を設けてねじ等の係止部材によりユニット固定部11の位置合わせ孔とユニット支持部材10の係止孔とを係合させることによって搬送ユニット9を垂直枠体4に固定するようにしてもよい。
また、垂直枠体4の各ユニット支持部材10には搬送ユニット9と記録ヘッド31との間の間隔を調整するユニット昇降機構12がそれぞれ設けられており、ユニット固定部11が固定されたユニット支持部材10を昇降させるようになっている。
図2から図4に示すように、ユニット昇降機構12は、先端に操作ハンドル13が取付けられ外周に傘歯車15aが一体に連結された操作軸14と、傘歯車15aと噛み合う傘歯車15bを介してこの操作軸14と接続される第一回転軸16と、この第一回転軸と平行に配置された第二回転軸17とを備えている。また、第一回転軸16と第二回転軸17との間には、連結ベルト18が掛け渡されており、この連結ベルト18により、第一回転軸16の回転力が第二回転軸17に伝達され、両回転軸16,17が同様に回転動作するようになっている。第一回転軸16には軸方向に沿ってねじ溝が形成されており、両回転軸16,17のねじ溝に対応する位置にはガイド溝が形成された固定部材10a,10bがユニット支持部材10と一体的に形成されている。操作軸14を回転させることにより第一回転軸16が回転すると第一回転軸16のねじ溝とガイド溝とが噛合されることによって第一回転軸16及び第二回転軸17の回転は上下方向の動きに変換され、ユニット支持部材10に固定された搬送ユニット9を昇降させるようになっている。また、操作軸14の先端部には操作軸14の回転量を表示する表示部19が設けられている。ユーザーは表示部19に表示される数値を確認しながら各ユニット昇降機構12の操作ハンドル13を操作することによって各ユニット支持部材10を均等に昇降させることができ、各ユニット支持部材10の高さを均一化させ、搬送ユニット9が記録ヘッド31に対して平行を保つことができるようになっている。なお、ユニット支持部材10を昇降させるユニット昇降機構12はこれに限定されず、例えば、第一回転軸16及び第二回転軸17の途中に各回転軸16,17の回転運動を上下運動に変えるボールねじ機構を設け、各回転軸16,17が回転することによりユニット支持部材10の昇降を行うような構成としてもよい。また、第一回転軸16の動きを第二回転軸17に伝達する機構はベルトに限定されず他の機構であってもよい。
また、図3に示すように、この搬送ユニット9には、記録媒体Pを平面状に支持して水平方向に搬送する環状の搬送ベルト20が、搬送ベルト20を回転動作させる駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動して回転する従動ローラ22と、搬送ベルト20に一定のテンションを付与するテンションローラ23とにより張設されている。また、搬送ベルト20を挟んで従動ローラ22に対向する位置には記録媒体Pの浮き上がりを防止する押えローラ24が搬送ベルト20の回転に従動して回転するように設けられている。駆動ローラ21には図示しない駆動モータが接続されており、駆動モータが回転駆動することによりテンションローラ23が適度なテンションを与えつつ従動ローラ22が回転する。これにより、記録媒体Pは従動ローラ22と押えローラ24とによって支持されつつ所定の搬送方向Yに搬送されるようになっている。ケース部材25には各ローラ21,22,23,24の回転軸を支持する軸受(図示せず)が設けられており、各ローラ21,22,23,24はそれぞれの軸受に回転自在に支持されている。
搬送ユニット9を垂直枠体4に装着された際に記録媒体Pに対向する面には、記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン56が設けられており、記録媒体Pは駆動ローラ21が回転することによってプラテン56に支持されつつ搬送ベルト20上を搬送方向Yに沿って搬送されるようになっている。
また、ケース部材25の水平連結枠6に対向する面には支持基台3と電気的に接続されるユニット側端子26が設けられており、水平連結枠6の一端であって搬送ユニット9が支持基台3に装着された際にユニット側端子26に対応する位置には基台側端子27が設けられている。搬送ユニット9の装着時に、ユニット側端子26が基台側端子27と接続されることにより、搬送ユニット9は、基台側端子27に接続されているコードを介して画像記録装置1のDC電源及び制御基板等と電気的に接続されるようになっている。
図1に示すように、支持基台3の上方には支持基台3よりも長尺に形成されたプリンタ本体2がその幅方向の中心部近傍に支持基台3が位置するように設置されている。プリンタ本体2はほぼ直方体形状に形成された長尺な支持部材28を備えており、支持部材28には、キャリッジ29を案内するガイドレール30が支持部材28の長手方向に沿って設けられている。キャリッジ29にはインクを吐出するインク吐出面(図示せず)を備える記録ヘッド31が搭載されており、図示しないモータによりガイドレール30に沿って記録媒体Pの搬送方向Yに直交する方向(以下「主走査方向X」という。)に往復移動するようになっている。
支持部材28は長手方向における周面のうち断面二次モーメントの大きい面を垂直枠体4に固定するようになっている。すなわち、立体の中心軸からの距離に比例した立体の変形量に照らして同じ曲げを生じるためのモーメントが大きい面が垂直枠体4に固定されるものである。支持部材28を垂直枠体4に対してこのように固定することにより、支持部材28は歪みを生じ難くなり、長尺なプリンタ本体2を支える上で剛性が増すようになっている。垂直枠体4の支持部材28が固定される位置には、例えば、支持部材28の位置及び角度を調整できる支持部材調整機構としての調整ねじ(図示せず)が設けられており、画像記録装置1の組立時においては搬送ユニット9の駆動ローラ21の軸線を基準として、これとキャリッジ29に搭載された記録ヘッド31のインク吐出面とが平行となるように調整ねじで調整されるようになっている。
また、図3に示すように、支持部材28の垂直枠体4に接する面の対称位置にはキャリッジ29の位置を検知するエンコーダを構成するリニアスケール32が固定されている。また、キャリッジ29の一端にはリニアスケール32を読み取ってエンコーダ信号を発生させる読取部33が配設されている。キャリッジ29の動きにしたがって、読取部33がリニアスケール32を読み取りエンコーダ信号を発生させることによりキャリッジ29の搬送位置が検知されるようになっている。
また、キャリッジ29に搭載される記録ヘッド31は、例えば本実施形態における画像記録装置1で使用される各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)。)に対応しており、各記録ヘッド31は、外形が略直方体状に形成されており、長手方向が互いに平行となるように並んで配置されている。記録ヘッド31の記録媒体Pに対向する面はインクを吐出するインク吐出面となっており、各記録ヘッド31はインク吐出面からそれぞれインクを吐出させるようになっている。なお、画像記録装置1で使用されるインクはこれに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の色を使用することもできる。この場合には、各色に対応した記録ヘッド31がキャリッジ29に搭載される。
図1に示すように、支持部材28の一端であってキャリッジ29の移動範囲内には記録ヘッド31のインク吐出面の回復動作を行う回復部34が回復部保持部35に保持されて設けられている。回復部34には記録ヘッド31のインク吐出面を覆う吸引キャップ36が、記録ヘッド31と対応する数だけ設けられている。吸引キャップ36の底面には、吸引キャップ36の内部から連通するインク連通管37が設けられている。このインク連通管37の中途には、吸引装置である吸引ポンプ(図示せず)が設けられており、インク連通管37の下端には、吸引したインクを受ける廃インクタンク(図示せず)が設けられている。回復部34は図示しない昇降機構により昇降自在となっており、記録ヘッド31に目詰まりを生じた場合等に吸引キャップ36を記録ヘッド31のインク吐出面に密着させて、インクを強制吸引させることによって記録ヘッド31の回復動作を行うようになっている。
回復部34の吸引キャップ36の近傍にはキャリッジ29の主走査方向Xにおける位置を検知するセンサ(図示せず)が設けられている。センサは例えば発光素子を備える発光部(図示せず)と受光素子を備える受光部(図示せず)とからなる光センサであり、センサの間をキャリッジ29が通過すると発光部から照射された光が遮られ受光部で受光できないことによりキャリッジ29の位置が検知されるようなっている。なお、センサとしては光センサに限られず、キャリッジ29の位置を検知し得るものであれば他の構成のものを適用することも可能である。
また、支持部材28の他端近傍には、非記録時における記録ヘッド31のインク吐出面の保湿を行う保湿部39が保湿部保持部40に保持されて設けられている。保湿部39には記録ヘッド31のインク吐出面を覆う保湿キャップ41が、記録ヘッド31と対応する数だけ設けられている。保湿キャップ41は保湿液が貯留された保湿タンク(図示せず)と連通されており、保湿タンクから保湿部材に対して随時保湿液が供給されるようになっている。保湿部39は図示しない昇降機構により昇降自在となっており、非画像記録時に記録ヘッド31が保湿部39に移動した際には保湿キャップ41によって記録ヘッド31のインク吐出面を覆うことにより、記録ヘッド31のインク吐出面を乾燥等から保護するようになっている。
保湿部39の保湿キャップ41の近傍にも回復部34と同様にキャリッジ29の主走査方向Xにおける位置を検知するセンサ(図示せず)が設けられている。センサとしては、例えば光センサが適用されるが、キャリッジ29の位置を検知し得るものであれば光センサに限定されず他の構成のものを適用することも可能である点は回復部34に設けられるセンサと同様である。
また、図5は本実施形態における画像記録装置1の上面図であり、図5に示すように、各垂直枠体4の支持部材28の固定されている面であって支持部材28よりも搬送方向Yの上流側には、一端が垂直枠体4に固定され床面に対して垂直方向に延在するとともに前記キャリッジ29よりも上方で搬送方向Yの下流側に向かってほぼ直角に曲折されたL字支持部材42がそれぞれ設けられている。L字支持部材42の先端部は前記キャリッジ29の記録媒体搬送方向Yにおける長さ寸法よりも長く形成されている。
図6に示すように、L字支持部材42は、板金によってほぼL字型に曲成されたL字部材43とL字部材43を固定支持する側板44とによって構成されている。L字部材43の曲折した箇所よりも先端部分には長手方向に沿って複数の係止孔45が設けられている。係止孔45は曲折部に近い方から先端部に向かうにしたがって下方向に位置をずらして設けられている。また、側板44の上部一端であってL字部材43の係止孔45に対応する位置には係止孔45に対応する数の長孔46が直線的に設けられている。L字支持部材42は搬送方向Yの下流側に撓みを生じる場合があるが、側板44の長孔46に係止されるL字部材42の係止孔45を変更することによって撓みを是正することが可能となっている。すなわち、例えば、L字支持部材42に全く撓みが生じていない場合には、図7(a)に示すように、L字部材43の係止孔45のうち最も曲折箇所に近い係止孔45と側板44の長孔46のうち最も先端部から遠い長孔46とをねじ(図示せず)により固定するようになっている。他方、L字支持部材42に大きく撓みが生じている場合には、図7(d)に示すように、L字部材43の係止孔のうち最も曲折箇所から遠い係止孔45と側板44の長孔46のうち最も先端部に近い長孔46とをねじ(図示せず)により固定するようになっている。
各L字支持部材42の先端部は、画像記録装置1の幅方向に延在し支持部材28とほぼ等しい長さ寸法を有する連結部材47によって連結されている。また、連結部材47の両端部と支持部材28の両端部とは連結側板48によって連結され固定されるようになっており、連結側板48はプリンタ本体2の両側壁を構成するようになっている。
また、連結部材47には連結側板48の周面に接してプリンタ本体2を覆うようにカバー部材(図示せず)が取付けている。カバー部材の搬送方向Y下流側は開口しており、プリンタ本体2は、カバー部材と連結側板48とによって、搬送方向Y下流側を除いて全体が被覆された状態となっている。
連結部材47の搬送方向Yの下流側の端部であって回復部保持部35及び保湿部保持部40の設けられている位置に対応する位置には、それぞれ一組のヒンジ部49が設けられており、一組のヒンジ部49にはそれぞれ開閉蓋50が回動自在に取り付けられている。
回復部34保持部及び保湿部保持部40の上であって各開閉蓋50を閉じた際に各開閉蓋50の下端が対向する位置には、マグネット吸着部材51が各開閉蓋50の下端に接するように取り付けられている。図8に示すように、マグネット吸着部材51は磁石52bを板金52で挟みケース53に収めたものであり、ケース53は、金属板54を介して画像記録装置1の回復部保持部35及び保湿部保持部40の各開閉蓋50に対向する面にねじ55により固定されている。マグネットとケース53との間には金属で形成されたばね性の部材(図示せず)が設けられており、磁石を開閉蓋50の方に向かって押圧しており、磁石の先端部が開閉蓋50に当接して固定するようになっている。マグネット吸着部材51を構成する各部品、開閉蓋50、回復部保持部35、及び保湿部保持部40は、いずれも金属あるいは導電性のある材料で形成されており、開閉蓋50はマグネット吸着部材51によって固定されることにより、画像記録装置1の回復部保持部35及び保湿部保持部40に接触し画像記録装置1に対して接地が行われるようになっている。これによって、開閉蓋50及び画像記録装置1の本体は面接触により接地されることとなり、ヒンジ部49を介した接地以上に安定した電気的導通が得られることになる。
また、画像記録装置1には、図示しない制御機構が設けられており、制御機構には支持部材28に設けられたエンコーダや保湿部39及び回復部34に設けられたセンサから送られる記録ヘッド31の位置情報が送られるようになっている。制御機構はエンコーダ及びセンサから送られた情報によってキャリッジ29に搭載された記録ヘッド31の位置を把握し、これに応じて保湿部39及び回復部34の動作を制御するようになっている。また、回復部34に位置するセンサからの情報に基づいて画像記録を開始するタイミングを判断するようになっている。
また、制御機構はキャリッジ29を駆動させるモータを制御してキャリッジ29を適宜往復移動させるとともに、記録媒体Pの搬送や記録ヘッド31からのインクの吐出等、画像記録装置1各部を制御して、所定の画像情報に基づいた画像記録を行わせるようになっている。また、記録ヘッド31の位置により、キャリッジ29のモータに供給する電流の電流値を制御し、記録ヘッド31がキャリッジ29の移動範囲の端部である保湿部39又は回復部34に位置する場合には、その分ばねによる強い応力が加えられることから、制御機構は、キャリッジ29が円滑に移動できるように画像記録時よりも大きな電流値の電流をキャリッジ29のモータに供給するようになっている。また、記録ヘッド31が保湿部39又は回復部34に位置する画像記録時と異なり規則的かつ効率的な移動が要求されないことから、制御機構はキャリッジ29の走査速度を画像記録時よりも遅くするするように制御し、消費電力の低減等を図るようになっている。
次に、本実施形態における画像記録装置1の作用について説明する。
画像記録装置1の組立時においては、搬送ユニット9を一対の垂直枠体4の間に挿入し搬送ユニット9のユニット固定部11に設けられた係止孔に垂直枠体4のユニット支持部材10の位置決めピンを係合させることによって搬送ユニット9が垂直枠体4の所定位置に位置決めされて固定される。この際、搬送ユニット9のユニット側端子が支持基台3の基台側端子と接続されることによって搬送ユニット9は支持基台3に電気的に接続される。また、垂直枠体4の内部に収納された各種電子部品5と接続される種々の束線が水平連結枠6の束線収納部8に収納され、これによって、画像記録装置1は電気的にシールドされ、電波ノイズの発生が防止される。次に、支持基台3の上にキャリッジ29を支持する支持部材28を支持部材28の長手方向の中央部近傍に支持基台3が位置するように配置する。支持部材28は調整ねじによって搬送ユニット9の駆動ローラ21の軸線とキャリッジ29に搭載された記録ヘッド31のインク吐出面とがほぼ平行となるように位置及び角度が調整され、垂直枠体4に係合され固定される。
また、記録媒体Pの厚みに併せて、記録ヘッド31と搬送ユニット9との距離がユニット昇降機構12によって調整される。すなわち、ユーザーは表示部19で搬送ユニット9の左右の高さを確認しながら操作ハンドルを回転させて、記録ヘッド31と搬送ユニット9との距離を所望の距離に調節することができる。
次に、各垂直枠体4にL字支持部材42が取り付けられ、各L字支持部材42の先端部は、連結部材47によって連結固定される。また、連結部材47の両端部と支持部材28の両端部とが連結側板48によって連結される。さらに、連結部材47と連結側板48に、カバー部材が取り付けられることにより、連結側板48とカバー部材とによりプリンタ本体2の側面及び背面が被覆される。また、連結部材47には連結部材47の搬送方向Y下流側の上端部に設けられたヒンジ部を介して開閉蓋50が回動自在に取り付けられる。なお、L字支持部材42はカバー部材や開閉蓋50の重み等により搬送方向Y下流側に撓みを生じる場合がある。このため、図7に示すように、例えば、側板44及びL字部材43にはL字支持部材42の撓み量に応じて調整可能なようにそれぞれ4つの孔が設けられている。L字支持部材42に全く撓みが生じていない場合には、図7(a)に示すように、L字部材43の係止孔45のうち最も曲折箇所に近い係止孔45と側板の長孔46のうち最も先端部から遠い長孔46とをねじにより固定する。また、L字支持部材42が搬送方向Y下流側に撓みを生じている場合には、撓みの程度によって側板の長孔46に係止されるL字部材43の係止孔45を変更することにより撓みを是正する。すなわち、例えば、撓み量がレベル3である場合には、図7(b)に示すように、L字部材43の係止孔45のうち曲折箇所から2つ目の係止孔45と側板44の長孔46のうち先端部から3つ目の長孔46とをねじにより固定する。撓み量がレベル6である場合には、図7(c)に示すように、L字部材43の係止孔45のうち曲折箇所から3つ目の係止孔45と側板44の長孔46のうち先端部から2つ目の長孔46とをねじにより固定する。また、撓み量がレベル9である場合には、図7(d)に示すように、L字部材43の係止孔45のうち最も曲折箇所から遠い係止孔45と側板44の長孔46のうち最も先端部に近い長孔46とをねじにより固定する。
各開閉蓋50はそれぞれその先端が回復部保持部39及び保湿部保持部40に設けられたマグネット吸着部材51によって係止されることにより接地される。これにより、プリンタ本体2は電気的にシールドされ、画像記録動作を行うに適した状態となる。
なお、搬送ユニット9の交換又は取り外し時には、画像記録装置1の組立時と異なり、支持部材28には各種の部材が連結、固定されていることから、搬送ユニット9の駆動ローラ21の軸線とキャリッジ29に搭載された記録ヘッド31のインク吐出面とを平行にするためには、支持部材28は固定したまま、搬送ユニット9を固定している位置決めピンのうち一方の垂直枠体4の位置決めピンを取り外し、一旦搬送ユニット9を可動状態とした上で、駆動ローラ21の軸線が記録ヘッド31のインク吐出面と平行となるように搬送ユニット9の位置及び角度を調整し、ねじ等によりユニット固定部11の係止孔とユニット支持部材10の位置合わせ孔とを係合し固定する。
次に、画像記録動作を開始する場合には、まず、保湿部39及び回復部34に設けられたセンサにより記録ヘッド31の位置が検出され、この情報が制御機構に送られる。記録ヘッド31が保湿部39に位置する場合には制御機構は保湿部39を下降させて記録ヘッド31のインク吐出面を保湿キャップ41から離間させるとともに、キャリッジ29を駆動させて記録ヘッド31を回復部34に移動させ、強制吸引を行うことにより、記録ヘッド31のインク吐出面の状態を画像記録に適した状態に回復させる。次に、記録ヘッド31が回復部34に位置することが回復部34のセンサによって検知され、この情報が制御機構に送られる。制御機構は送られた情報から記録ヘッド31の位置を把握し、記録媒体Pの搬送を開始するとともに、キャリッジ29を移動させながら記録ヘッド31から所要のインクを吐出させて画像記録動作を行う。なお、エンコーダやセンサから制御機構に対して記録ヘッド31が保湿部39又は回復部34に位置するとの情報が送られた場合には、制御機構は、キャリッジ29がその移動範囲の端部に位置してばねによる強い応力を受けている場合でも、円滑に移動が行えるように画像記録時よりも大きな電流値の電流をキャリッジ29のモータに供給する。また、記録ヘッド31が保湿部39又は回復部34に位置する画像記録時と異なり規則的かつ効率的な移動が要求されないことから、制御機構はキャリッジ29の走査速度を画像記録時よりも遅くするように制御し、消費電力の低減等を図ることができるようになっている。
本実施形態によれば、電子部品5及び束線が金属で形成された垂直枠体4及び水平連結枠6の内部に収納されるため、支持基台3は部品点数を増やすことなく簡易な構成によって電気的にシールドされる。このため、電波の漏出を防いで電波ノイズの発生を防止することができる。また、プリンタ本体2についても、金属等で形成されたカバー部材、連結側板48、開閉蓋50等により囲まれ、さらに開閉蓋50をマグネット吸着部材51によって接地させているので、電波の漏出がなく電波ノイズの発生を防ぐことができる。
また、水平連結枠6を連結し、支持部材28を歪みや撓みの生じ難いように固定するので、装置の軽量化を図りつつも装置の強度を保つことができる。このため、幅方向に長尺な画像記録装置1であっても、装置の撓みや歪み等を防いで画像記録面を記録ヘッドに対して平行に保ち、着弾位置のばらつきの少ない高精細な画像記録を行うことができる。
また、支持部材28に取り付けたエンコーダの他にも、回復部34及び保湿部39にそれぞれセンサを設けるので、回復部34及び保湿部39が長尺な装置の端部にある場合でも正確にキャリッジの位置を把握することができる。
なお、本発明による画像記録装置1においては、水平連結枠6を2本も受けるものとしたが、水平連結枠6の数はこれに限定されず、画像記録装置1の大きさや重量に応じて、さらに多くの水平連結枠を設けるようにしてもよい。
また、本発明による画像記録装置1で使用する記録ヘッド31は、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、例えば、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等のうち、いずれの吐出方式を用いても構わない。
また、記録媒体Pとしては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の種々の材質からなる記録媒体Pが適用可能である。また、記録媒体Pの形態としては、カットシート状、板状の形態の他、ロール状等の各種形態が適用可能である。
また、本実施形態では、光を照射することなく硬化するインクを使用するものとしたが、インクは必ずしもこれには限定されず、例えば、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型インクを用いて画像記録を行うものとしてもよい。紫外線硬化型インクは、重合性モノマーや光重合開始剤等として、ラジカル重合化合物を含むラジカル重合系インクと、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別され、その両系のインクが本第一の実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。紫外線硬化型インクを用いる場合には、記録ヘッド31よりも記録媒体P搬送方向Yの下流側に紫外線光源を備える紫外線照射装置を設ける必要があり、この紫外線光源としては、例えば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、半導体レーザー、冷陰極管、エキシマーランプ、又はLED(Light Emitting Diode)等を適用することが可能である。また、例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波といった紫外線以外の光を照射することにより硬化するインクを適用してもよい。この場合、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用される。また、紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを用いる場合は、紫外線光源に代えて、その光を照射する光源を適用する。
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。