JP4448751B2 - コンデンサマイクロホン - Google Patents

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Description

本発明はコンデンサマイクロホンに関し、さらに詳しく言えば、もっぱらスタジオで使用されるサイドエントリー型コンデンサマイクロホンを外来電磁波から防護する技術に関するものである。
コンデンサマイクロホンでは、そのマイクロホンユニットのインピーダンスがきわめて高いことから、電界効果トランジスタ(FET)や真空管などのインピーダンス変換器が用いられるが、外部から強い電磁波が加えられると、それがインピーダンス変換器によって検波され、可聴周波数帯域に雑音が発生することがある。
最近、携帯電話機が急速に普及しているが、携帯電話機の発信時にはきわめて強い電磁波が放射されるため、もっぱらスタジオで使用されるサイドエントリー型コンデンサマイクロホンにおいても電磁波対策が求められている。図3(a),(b)にサイドエントリー型コンデンサマイクロホンの正面側縦断面図および側面側縦断面図を示す。図4は図3(a)の分解図である。
これによると、サイドエントリー型コンデンサマイクロホンは、構造的に大別してヘッドケース部10と、上端側でヘッドケース部10を支持する胴部20と、胴部20の下端側に装着されるコネクタ部30とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
ヘッドケース部10は、例えば真鍮などの金属材からなる基部リング11を有し、その上部は金属製の網体(ガードネット)12により覆われている。通常、網体12の内面には通気性のシート材からなるウィンドスクリーン12aが添設される。
網体12にて囲まれた内部空間に、マイクロホンユニット13が支持ブラケット14aおよびゴム弾性を有するショックマウント材14bを介して基部リング11に支持された状態で配置される。サイドエントリー型であることから、マイクロホンユニット13の収音軸はほぼ水平方向とされる。
胴部20も例えば真鍮などの金属材により筒状に形成されており、その内部には回路基板21がステー22を介して取り付けられる。図示しないが、回路基板21にはインピーダンス変換器を含む音声出力回路や成極電圧発生回路などが実装されている。
コネクタ部30も例えば真鍮などの金属材により形成された円筒部32を一体に有するコネクタカバー31を備え、その円筒部32内には出力コネクタ33が配置されている。通常、出力コネクタ33には図示しない平衡シールドケーブルを介してファントム電源と接続される3ピンタイプの出力コネクタが用いられる。
マイクロホンユニット13と回路基板21,回路基板21と出力コネクタ33とをそれぞれ図示しない配線材にて接続したのち、ヘッドケース部10,胴部20およびコネクタ部30は、それぞれ図示しないビスによって一体的に連結される。
特開2003−92792号公報
ヘッドケース部10,胴部20およびコネクタ部30はともに金属材よりなるため、これらによりシールドケースが形成される。しかしながら、各部材間の電気的接続は機械的な点接触によるため、その点接触部分は高周波的にインピーダンスをもつことになる。
このため、携帯電話機などによる強い電磁波が高周波的にインピーダンスをもつ点接触部分(各部材間の結合部分)からマイクロホン内部に入り込み雑音が発生しやすい、という問題がある。
したがって、本発明の課題は、ヘッドケース部,胴部およびコネクタ部を連結してなる構成のサイドエントリー型コンデンサマイクロホンにおいて、外来電磁波による雑音発生を効果的に防止することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、金属製の基部リングを有し、上記基部リングの上部が金属製の網体によってカバーされ、その内部空間に支持部材を介してマイクロホンユニットが配置されるほぼ筒状に形成された金属製のヘッドケース部と、上端で上記ヘッドケース部の上記基部リングの部分を支持する金属製の胴部とを含むサイドエントリー型のコンデンサマイクロホンにおいて、上記ヘッドケース部の上記基部リング内に、インピーダンス変換器を含む音声出力回路が実装された回路基板がその回路実装面をケース内面側として上記基部リングの開口面を閉塞するように嵌着されており、上記基部リング内には、上記回路基板の回路実装面側の周縁に当接して上記回路基板を位置決めする段差部が形成されており、上記回路基板の回路実装面側の周縁には、上記回路基板のグランドパターンが上記段差部と電気的に接触するように形成されているとともに、上記回路基板の反回路実装面側の裏面全面にわたって銅箔よりなるベタパターンが形成されており、上記ベタパターンがスルーホール内配線を介して上記回路実装面側のグランドパターンに電気的に接続されていることを特徴としている。
本発明によれば、ヘッドケース部の下部開口が回路基板によって閉塞され、ヘッドケース部単体で静電シールドが完結しているため、仮にヘッドケース部と胴部との結合部分から電磁波が入り込んだとしても、インピーダンス変換器にて検波されることがない。これにより、外来電磁波による雑音発生を効果的に防止することができる。
そればかりでなく、ヘッドケース部の組立体の段階でマイクロホンとしての性能検査を行うことができるため、例えばマイクロホンユニットと回路の相性による品質のバラツキをより少なくすることができ、また、不良品についてもそのリペアを製造工程の早い段階で行うことができる。
また、回路基板のグランドパターンをヘッドケース部に電気的に接続するとともに、回路基板の反回路実装面側の裏面全面にわたって銅箔よりなるベタパターンを形成することにより、ヘッドケース部単体での静電シールドの完結性をより高めることができる。
次に、図1および図2により本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1(a),(b)は本発明によるサイドエントリー型コンデンサマイクロホンの一例を示す正面側縦断面図および側面側縦断面図で、図2(a),(b)は本発明の要部であるヘッドケース部の正面側縦断面図および側面側縦断面図である。なお、先の図3,図4で説明した従来例と変更を要しない構成要素には同じ参照符号を用いる。
この実施形態におけるサイドエントリー型コンデンサマイクロホンも、先に説明した従来例と同じく、ヘッドケース部10と、上端でヘッドケース部10を支持する胴部20と、胴部20の下端に装着されるコネクタ部30とを備えている。
ヘッドケース部10は、例えば真鍮などの金属材からなる基部リング11を有し、その上部は金属製の網体(ガードネット)12により覆われている。網体12には電磁波が通らない網目を有するものが採用される。網体12の内面には通気性のシート材からなるウィンドスクリーン12aが添設されることが好ましい。
網体12にて囲まれた内部空間に、マイクロホンユニット13が支持ブラケット14aおよびゴム弾性を有するショックマウント材14bを介して基部リング11に支持された状態で配置される。サイドエントリー型であることから、マイクロホンユニット13の収音軸はほぼ水平方向とされる。
この例において、マイクロホンユニット13には単一指向性ユニットが用いられているが、例えば可変指向性ユニットであってもよい。また、支持ブラケット14aおよびショックマウント材14bは、外来の機械的振動を吸収してマイクロホンユニット13を確実に支持し得るものであれば、その構成は任意であってよい。
本発明によると、ヘッドケース部10の下部開口が、マイクロホンユニット13のための回路基板21によって閉塞される。ここでも図示しないが、回路基板21にはインピーダンス変換器を含む音声出力回路や成極電圧発生回路などが実装されている。
ここで、回路基板21の回路実装面を21a,その反対の裏面を21bとすると、回路基板21は回路実装面21aをヘッドケース部10の内面側として基部リング11内に嵌着される。基部リング11の内周面には回路基板21を位置決めするため、その周縁と係合する段差部11aが形成されている。
図示しないが、回路実装面21a側の周縁には回路基板21のグランドパターンの一部分が引き出されており、回路基板21を基部リング11内に嵌着するに伴って、そのグランドパターンが段差部11aのところで基部リング11と電気的に接触する。
このように、回路基板21にてヘッドケース部10の下部開口を閉塞することにより、ヘッドケース部単体での静電シールドが完結されるが、その静電シールドの完結性をより高めるには、回路基板21の裏面21bの全面にわたって銅箔のベタパターンを形成し、そのベタパターンをスルーホール内配線を介して回路実装面21a側の上記グランドパターンと接続することが好ましい。
胴部20は例えば真鍮などの金属材により筒状に形成されるが、本発明では回路基板21をヘッドケース部10側に移したことにより、胴部20内は空洞のままとされる。コネクタ部30については、先に説明した従来例と同じ構成であってよいが、胴部20には何も収納されないため、胴部20とコネクタ部30とを一体としてもよい。
なお、この例において、支持ブラケット14a,回路基板21および胴部20はヘッドケース部10の基部リング11に対して共通のネジにより共締めされる。すなわち、図1(a)に示すように、基部リング11の内フランジ11に雌ネジ孔S1が形成され、この雌ネジ孔S1に対して、支持ブラケット14aの脚部,回路基板21の周縁および胴部20の内フランジ20aの各々にネジ挿通孔S2〜S4が同軸的に穿設されており、胴部20側から図示しない雄ネジを雌ネジ孔S1に螺着することにより共締めがなされる。
この例の場合においても、ヘッドケース部10と胴部20との結合部分,胴部20とコネクタ部30との結合部分で高周波的にインピーダンスをもつため、これらの結合部分から携帯電話機などによる強い電磁波がマイクロホン内部に入り込むことがあるが、たとえ電磁波がマイクロホン内部に入り込んだとしても、ヘッドケース部10が回路基板21によりシールドされているため、その電磁波がインピーダンス変換器にて検波されることがなく、したがって電磁波による雑音発生が防止される。
また、ヘッドケース部10の組立体の段階でマイクロホンとしての性能検査を行うことができるため、例えばマイクロホンユニット13と回路基板21に実装されている部品との相性による品質のバラツキをより少なくすることができ、また、不良品についてもそのリペアを製造工程の早い段階で行うことができる。
(a)本発明によるサイドエントリー型コンデンサマイクロホンの一例を示す正面側縦断面図,(b)その側面側縦断面図。 (a)本発明の要部であるヘッドケース部を示す正面側縦断面図,(b)その側面側縦断面図。 (a)従来のサイドエントリー型コンデンサマイクロホンを示す正面側縦断面図,(b)その側面側縦断面図。 図3(a)の分解図。
10 ヘッドケース部
11 基部リング
12 金属製の網体
13 マイクロホンユニット
20 胴部
21 回路基板
21a 回路実装面
21b 裏面(反回路実装面)
30 コネクタ部
33 出力コネクタ

Claims (1)

  1. 金属製の基部リングを有し、上記基部リングの上部が金属製の網体によってカバーされ、その内部空間に支持部材を介してマイクロホンユニットが配置されるほぼ筒状に形成された金属製のヘッドケース部と、上端で上記ヘッドケース部の上記基部リングの部分を支持する金属製の胴部とを含むサイドエントリー型のコンデンサマイクロホンにおいて、
    記ヘッドケース部の上記基部リング内に、インピーダンス変換器を含む音声出力回路が実装された回路基板がその回路実装面をケース内面側として上記基部リングの開口面を閉塞するように嵌着されており、
    上記基部リング内には、上記回路基板の回路実装面側の周縁に当接して上記回路基板を位置決めする段差部が形成されており、上記回路基板の回路実装面側の周縁には、上記回路基板のグランドパターンが上記段差部と電気的に接触するように形成されているとともに、上記回路基板の反回路実装面側の裏面全面にわたって銅箔よりなるベタパターンが形成されており、上記ベタパターンがスルーホール内配線を介して上記回路実装面側のグランドパターンに電気的に接続されていることを特徴とするコンデンサマイクロホン。
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