JP4447640B2 - 組織癒着防止液及び組織癒着防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は組織癒着防止液及び組織癒着防止方法に係り、特に、トレハロースを含んでなり、手術の空気露出による乾燥,酸化を防止して、手術後の臓器を含む組織癒着等の合併症を防止可能な組織癒着防止液及び組織癒着防止方法に関する。
外科手術において、切開により臓器を含む組織が空気に露出するが、この際、これらの組織が乾燥,酸化され、その結果損傷を受ける事があることが認知されている。手術中の臓器を含む組織の乾燥,酸化は、組織の損傷につながり、手術後に組織の癒着,治癒の遅延等の問題が発生する原因と考えられているのである。
特に癒着は、しばしば臓器を含む組織の正常な運動を妨げることとなるため、外科手術後の合併症の中でも重大なものの一つと捉えられている。例えば、腱の手術における癒着は運動障害を来す可能性がある。また、腹腔内手術後の臓器癒着は、イレウスや疼痛、不妊などの合併症の原因となり、時には次回手術が非常に困難になるなどの問題を起こす可能性がある。
手術後の組織癒着,治癒の遅延を避けるための処置の例として、外科手術中に、露出した臓器に生理食塩液を定期的に潅流させる処置や、生理食塩液に浸漬したガーゼで臓器等の組織を被覆する処置が行われている。
しかし、生理食塩液を潅流する場合、臓器を、生理食塩液の液層で、酸化ストレスを受け得る露出環境から保護するよう、十分な被覆状態に保つことが困難であり、また、生理食塩液を浸漬させたガーゼで被覆する場合、ガーゼが手術操作の障害になるという問題があった。手術時に、臓器等全ての露出組織表面を空気が遮断できる状態に保つことは困難であった。
そこでこのような問題点を解決するため、キチンからなる癒着防止剤やヒアルロン酸を架橋して構成した癒着防止剤や治癒遅延防止のための薬剤等が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許第2948254号公報 特許第3420851号公報
しかし、上記従来の薬剤は、癒着防止機能を有する成分が高分子であって、主にフィルム形状にして目的部に載置するものや粘稠性の液体を目的部に塗布するものであるため、使い易さなどの操作性に欠けていた。癒着防止効果や治癒遅延防止効果を有する物質で、水溶性でかつ容易に目的部を被覆できるものは知られていない。
一方、近年、食品や化粧品など様々な分野で利用されている糖質の一つであるトレハロース(C122211)は、他の糖質に比べ、非常に高い水和力を有することが確認されている。また、トレハロースはHOのクラスター構造に似た構造を持つため、細胞表面に投与しておくと乾燥後もガラス状態(アモルファス)となって存在し、HOの代わりに細胞やタンパク質を安定化させ、これらの変性を抑止すると考えられている。
このような高機能を有するトレハロースには、未知の有効な用途があることが予想され、トレハロースの新規用途について、種々の研究が進められている。例えば、トレハロースを含有する経粘膜投与用薬剤(例えば、特許文献3),糖質カロリー源としてトレハロースを含有する栄養輸液剤(例えば、特許文献4,5),トレハロースを含む移植臓器用溶液(例えば、特許文献6),トレハロースを含み、角膜保護作用を有する眼内潅流・洗浄剤,点眼剤,眼軟膏剤(例えば、特許文献7),不飽和化合物の化学的変化を抑制するために用いられるトレハロースと不飽和化合物との会合物形成剤(例えば、特許文献8),トレハロースを含む脂質の分解抑制剤(例えば、特許文献9)が提案されている。
特開平6−256219号公報 特開平6−72883号公報 特開平6−319486号公報 特開平6−40801号公報 特開平9−235233号公報 特再表2002−24832号公報 国際公開第2004/076602号パンフレット
しかし、外科手術等の手術で切開されることにより空気に露出する創面及び臓器を含む組織に対し投与されるトレハロースを用いた保護液が適用されることにより創面及び組織の癒着及び治癒の遅延が防止されることは、未だに知られていない。
本発明の目的は、手術中の被覆状態が安定で使い易く、外科手術一般に適用可能な、組織癒着防止液及び組織癒着防止方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、トレハロースを用いた新規な組織癒着防止液及び組織癒着防止方法を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者らがトレハロースに着目して鋭意研究したところ、手術中に動物の臓器表面にトレハロース水溶液を噴霧すると手術後の癒着が防止されること、及び培養細胞を空気に露出させ、その上にトレハロース水溶液を噴霧した後に、乾燥状態にしてもトレハロースが細胞の生存率を延長することを見出した。
また、さらに、トレハロースとグリコシル−L−アスコルビン酸を配合した水溶液を噴霧後に、乾燥状態にした場合には、驚くべきことに、双方の機能を相乗的に発揮し、単独使用よりも強い保護作用を発揮することを見出した。
すなわちこの発明は、トレハロースの新たな作用の発見に基づくものであって、トレハロースを有効成分とする水溶液からなる組織癒着防止液を構成することにより、上記の課題を解決するものである。そして、組織癒着防止液が、グリコシル−L−アスコルビン酸を含むことにより、組織の保護機能がさらに向上されるものである。
トレハロース及びグリコシル−L−アスコルビン酸を各々単独で、あるいは混合して、手術中に空気に露出される創面,臓器を含む組織を損傷から保護するという用途は、未だ知られておらず、この発明をもって嚆矢とするものである。
すなわち、本発明の請求項1によれば、トレハロースを有効成分とする組織癒着防止液であることを特徴とする。
このように構成しているので、組織癒着防止液を適用することにより、手術時に空気に露出する創面,臓器を含む組織の乾燥が防止されると共に酸化ストレスが抑制されて脂質の過酸化及び脂質の分解が防止され、また手術時に創面,組織が空気中に露出しても、トレハロースがFe等の金属とキレートを形成してフリーラジカルの発生源となる金属イオンを失活させ、フリーラジカルの発生を抑制するため、手術後の組織の癒着,創面の治癒の遅延が防止される。
このとき、組織癒着防止液が、抗酸化物質,キレート剤,殺菌消毒剤,止血剤,消炎剤,潤滑性を有する多糖類,ムコ多糖類,多糖類の塩,ムコ多糖類の塩のうち少なくとも一つ以上を含むと好適である。
このように構成しているので、抗酸化物質を含む場合には、トレハロースの組織保護機能と、抗酸化物質のフリーラジカル消去能とが相乗的に発揮され、手術中の創面,臓器を含む組織の乾燥,酸化ストレスがさらに強く防止,抑制され、またフリーラジカルの発生が低減される。また、キレート剤を含む場合には、2価の鉄イオンをキレート剤で抱合して代謝することが可能となり、フリーラジカルの発生をさらに低減することが可能となる。
ひいては、手術後の組織の癒着や創面の治癒の遅延をさらに効果的に防止することが可能となる。
また、殺菌消毒剤,止血剤,消炎剤のうち少なくとも一つ以上を含む場合には、手術時や創傷治療時には殺菌消毒剤,止血剤,消炎剤等が使われ得るが、本発明では、組織癒着防止液が殺菌消毒剤,止血剤,消炎剤のうち少なくとも一つ以上を含むように構成しているので、別途、殺菌消毒剤,止血剤及び消炎剤等の薬剤を投与する必要がなく、便利である。
組織癒着防止液が潤滑性を有する多糖類,ムコ多糖類,多糖類の塩,ムコ多糖類の塩のうち少なくとも一つ以上を含む場合には、組織癒着防止液を手術時に創面,臓器を含む組織に適用すると、空気露出による乾燥,酸化ストレス,フリーラジカル発生だけでなく、手術中のマイクロインジュリー等の機械的な損傷も防止可能となる。
すなわち、外科手術中に臓器に手で触れることによりマイクロインジュリーが臓器表面に生じる事は良く知られている。本発明では、潤滑性のある生体適合性の高い高分子を配合するため、手術用手袋や手術器具の接触による損傷を減らし、臓器を含む組織の機械的な損傷の低減を図ることができる。
このとき、前記抗酸化物質は、アスコルビン酸誘導体であると好適である。
このように構成しているので、トレハロースの組織保護機能と、アスコルビン酸誘導体のフリーラジカル消去能とが相乗的に発揮され、手術中の創面,臓器を含む組織の乾燥,酸化ストレスがさらに強く防止,抑制され、またフリーラジカル発生が低減される。ひいては、手術後の組織の癒着や創面の治癒の遅延をさらに効果的に防止することが可能となる。
また、組織癒着防止液が増粘剤により粘度調整されてなると好適である。
このように構成しているので、組織癒着防止液を創面,臓器を含む組織表面に投与した場合に、創面,組織を被覆する皮膜の厚みを厚くすることができ、創面,組織をある程度の厚みで確実に被覆することができる。
さらに、電解質等張液,血漿増量剤,細胞外液補充液,維持液,水のうち少なくとも一つ以上により浸透圧が調整されてなると好適である。
このように構成されているので、本発明の組織癒着防止液を等張に調整可能であると共に、これらの成分による養分を、組織癒着防止液の適用組織に与えることが可能となる。
前記組織癒着防止液は、潅流液,スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,泡状エアゾール製剤,輸液製剤に注入される注射剤,輸液製剤のいずれかの剤型として提供されると好適である。
組織癒着防止液が潅流液として提供される場合には、外科手術等において本発明の潅流液で術中又は術後に潅流することにより、癒着を始めとする種々の組織の障害を抑制,防止可能となる。
また、前記組織癒着防止液がスプレー液である場合には、術中に組織癒着防止液を、広範,均一に目的部へ供給できると共に、障害を防ぎたい目的部を、ある程度の厚みを持たせて被覆することができる。高分子物質を主成分とする粘稠性の液体を塗布したり、フィルム形状のものを目的部に載置したりする従来例と対比し、確実に目的部を被覆できるので、確実に手術後の組織損傷及び組織の癒着を防止することが可能である。
さらに、前記組織癒着防止液が噴霧又は気化投与用の液剤である場合には、組織癒着防止液を霧状のミストの状態で目的部に噴霧可能であり、術中に広範,均一に、微細なミストの状態で目的部へ供給できると共に、障害を防ぎたい目的部を、ある程度の厚みを持たせて被覆することができる。高分子物質を主成分とする粘稠性の液体を塗布したり、フィルム形状のものを目的部に載置したりする従来例と対比し、確実に目的部を被覆できるので、確実に手術後の組織損傷及び組織の癒着を防止することが可能である。
前記組織癒着防止液が泡状エアゾール製剤である場合には、術中に組織癒着防止液を、広範,均一に目的部へ供給できると共に、障害を防ぎたい目的部を、ある程度の厚みを持たせて被覆することができる。高分子物質を主成分とする粘稠性の液体を塗布したり、フィルム形状のものを目的部に載置したりする従来例と対比し、確実に目的部を被覆できるので、確実に手術後の組織損傷及び組織の癒着を防止することが可能である。
前記組織癒着防止液が輸液製剤に注入される注射剤又は輸液製剤である場合、組織癒着防止液を、術前,術中,術後のうち少なくとも一つ以上の過程で、点滴等の方法により投与することが可能となり、点滴等の方法によって手術後の治癒の遅延を予防,防止することが可能となる。
また、上記に記載した各組織癒着防止液を、組織の局所に適用する組織癒着防止方法であることを特徴とする。
このように、組織癒着防止液を、組織の局所に適用するように構成しているので、適用される局所の癒着や治癒の遅延等を防止可能である。
本発明によれば、トレハロースを有効成分とする組織癒着防止液であることを特徴とする。
このように構成しているので、組織癒着防止液を適用することにより、手術時に空気に露出する創面,臓器を含む組織の乾燥が防止されると共に酸化ストレスが抑制されて脂質の過酸化及び脂質の分解が防止され、また手術時に創面,臓器が空気中に露出しても、トレハロースがFe等の金属とキレートを形成してフリーラジカルの発生源となる金属イオンを失活させ、フリーラジカルの発生を抑制するため、手術後の組織の癒着,創面の治癒の遅延が防止される。
また、組織癒着防止液が、アスコルビン酸誘導体を含むので、トレハロースの組織保護機能と、アスコルビン酸誘導体のフリーラジカル消去能とが相乗的に発揮され、手術中の創面,臓器を含む組織の乾燥,酸化ストレス,フリーラジカルの発生がさらに強く防止,抑制される。ひいては、手術後の組織の癒着や創面の治癒の遅延をさらに効果的に防止することが可能となる。
本発明の実施例1における風乾による細胞生存率の変化を示すグラフである。 本発明の実施例1における各試薬の細胞に対する影響を示すグラフである。
本発明の組織癒着防止液は、トレハロースを有効成分とする組織癒着防止液である。手術時の創面,臓器を含む組織に、直接投与される。手術後の組織の癒着,創面の治癒の遅延を防止する癒着防止剤又は治療剤として使用されるものに関する。
本明細書において、「創」とは傷を、「組織」とは、皮膚,臓器,筋肉,神経,軟骨,骨等を含む生体の組織をいう。
本発明の組織癒着防止液は、各種動物に適用することができるが、特に、哺乳動物、特に人間に好適に使用することができる。
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、組織癒着防止液であって、手術後の組織の癒着,創面の治癒の遅延を防止する組織被覆剤又は癒着防止剤として、また手術後の組織,創面の治癒を促進する治療剤として用いられるものである。本実施形態の組織癒着防止液は、トレハロースを有効成分とする水溶液である。
本実施形態の組織癒着防止液は、手術中に露出される組織表面に投与されるが、特に手術部位や専門領域による制限は無く、腹部、胸部の開腹、開胸術のみならず脳神経外科手術、腱や靱帯に係る整形外科手術、肝臓の手術、婦人科手術等、広範に使用できる。
手術中に露出される組織としては、例えば、手術で切開されることにより生じる創や、切開されることにより露出する臓器のほか、筋肉,神経,軟骨,骨等がある。また、整形外科の骨切により露出する骨髄にも適用可能である。さらに、トレハロースがマウスの神経変性疾患の発症を抑制するとの報告があり、脳神経外科手術により露出する脳神経,末梢神経等にも適用可能である。
トレハロースは、2分子のグルコースが1,1結合した非還元性の二糖である。
トレハロースは、1832年に初めてライ麦から単離された公知の物質である。自然界では動植物、微生物にわたって広く遊離の状態で存在している。パン酵母やビール酵母等の酵母類にも多く含まれ、食物中にも散見される糖類である。また種々の生命体に関わる糖質であり、クマムシ、ワムシ等の昆虫類、イワヒバ等の植物が砂漠等の厳しい環境の中で生きつづけられるのは、トレハロースが生体内に存在するためであると言われている。
本実施形態では、含水結晶トレハロース,無水結晶トレハロース,トレハロース含有糖液等、また、α,α−トレハロース(狭義のトレハロース),α,β−トレハロース(ネオトレハロース),β,β−トレハロース(イソトレハロース)等、いずれのトレハロースを用いることもできるが、特にα,α−トレハロース(α−D−グルコピラノシルα−Dグリコピラノシド)の含水結晶トレハロース又は無水結晶トレハロースを用いると好適である。
また、上記トレハロースであれば、天然のもの、澱粉,マルトオリゴ糖,グルコース等から生成したもののいずれを用いてもよい。
また、トレハロースを有効成分とする組織癒着防止液を構成するために、トレハロースの代わりに、投与後に生体内でトレハロースを生成する誘導体を用いてもよい。
トレハロースを溶解させる溶媒としては、電解質等張液,血漿増量剤,維持液,水が用いられる。
電解質等張液とは、等張液である電解質製剤をいう。等張液とは、等張,つまり体液と同じ浸透圧である輸液をいう。電解質等張液としては、例えば、細胞外液補充液を用いることができる。
細胞外液補充液とは、出血,下痢,脱水等により細胞外液が喪失した際に細胞外液の補給・補正を行うための等張電解質液の輸液である。細胞外液補充液としては、例えば、生理食塩液(0.9%食塩液),酢酸リンゲル液,乳酸リンゲル液等を用いることができる。
血漿増量剤とは、代用血漿剤とも言われ、出血等でアルブミン等血漿内のタンパク質が失われた場合にその代用として用いられる輸液で、デキストラン,スターチ,リコンビナントアルブミン等の高分子成分を含むものである。血漿増量剤としては、デキストラン40製剤,デキストラン70製剤,ヒドロキシエチル澱粉(HES)製剤,修正ゼラチン製剤等を用いることができる。
維持液とは、経口摂取不能又は不十分な場合に水分・電解質の補給・維持を行うための輸液である。維持液としては、例えば、開始液,維持液,高濃度糖加維持液等を用いることができる。
水とは、トレハロースを溶解させる溶媒であって、純水、蒸留水などを用いるが、好適には滅菌蒸留水を用いることができる。
組織癒着防止液中のトレハロースの濃度は、10mM以上、望ましくは、50〜350mMの範囲とすると好適である。
10mMより少ないと、細胞保護効果が期待できない。また、350mMより多いと高張となる。
組織癒着防止液は、さらに、殺菌消毒剤,止血剤及び消炎剤を含む群のうち少なくとも一の薬剤が添加されていてもよい。
殺菌消毒剤としては、例えば、ポビドンヨード,過酸化一硫酸カリウム,塩化ジメチルジデシルアンモニウム等の公知の殺菌消毒剤、止血剤としては、例えばトロンビン,アルギン酸ナトリウム等の公知の止血剤、消炎剤としては、例えば非ステロイド性抗炎症剤等を用いる。
組織癒着防止液は、さらに、抗酸化物質が添加されていてもよい。
抗酸化物質としては、例えば、水溶性安定型ビタミンCを用いることができる。水溶性安定型ビタミンCには、プロビタミンC剤に分類されるアスコルビン酸誘導体,例えばグリコシル−L−アスコルビン酸(以下、AA-2Gと称する。),アスコルビン酸−2−リン酸(AA-2P)等がある。
AA-2Gは、アスコルビン酸−2−グルコシドとも呼ばれ、天然にも存在する物質であって、生体においては、α−グルコシダーゼによってL−アスコルビン酸とD−グルコースに分解され、L−アスコルビン酸と同等の生理活性を発現する。AA-2Gは、高濃度でも細胞毒性が無く、コラーゲンの合成促進作用や細胞増殖、分化促進作用が顕著であることから、食品や化粧品のみならず、繊維芽細胞等の結合組織の培養にも繁用されている。
AA-2Gとしては、L−アスコルビン酸 におけるC−2位の位置に1又は複数のD−グルコースがグリコシド結合してなる、2−O−α−D−モノグルコピラノシル−L−アスコルビン酸を初めとする一連の2−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸を用いると好適である。またAA-2Gは、有機酸としてのグリコシル−L−アスコルビン酸に限定されるものではなく、水性媒体中でグリコシル−L−アスコルビン酸を遊離する、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアンモニウム塩などの生理学的に許容される無機塩及び有機塩のいずれであってもよい。
組織癒着防止液中のAA-2G濃度は、0.01mM以上、望ましくは、0.1〜200mMの範囲とすると好適である。0.01mMより少ないと、トレハロースの細胞保護効果との相乗効果が期待できない。
また、抗酸化物質として、ビタミンC,ビタミンE,セレン等のミネラル、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ),カタラーゼ,グルタチオンペルオキシターゼ等の体内抗酸化酵素、α−カロチン,β−カロチン,γ−カロチン,リコピン,キサントフィル等植物の脂溶性色素であるカロチノイド類とフラボノイド,カテキン,タンニン,アントシアニン,イソフラボン,ケルセチン等植物の花や葉・樹皮・茎等に含まれるポリフェノール類とを含む植物由来の抗酸化物質(SOD用物質)、フィコシアノピリン、フィコエリスロピリン等を用いることもできる。
組織癒着防止液は、さらに、キレート剤が添加されていてもよい。
キレート剤としては、DMPS(ジメルカプトプロパノールスルフォン酸),DMSA(ジメルカプトコハク酸),ALA(アルファリポ酸),EDTA(エチレンジアミン四酢酸),L−グルタミン酸二酢酸・四ナトリウム(GLDA・4Na),グルコン酸ナトリウム等を用いる。
キレート剤は、2価の鉄イオンを抱合して代謝させることが可能であるため、キレート剤を添加することにより、鉄イオンにより新たなフリーラジカルが発生することを防止することが可能となり、ひいては、手術後の臓器等の組織の癒着や創面の治癒の遅延を更に効果的に防止可能となる。
組織癒着防止液は、さらに、多糖類,ムコ多糖類及びそれらの塩のうち少なくとも一つであって、潤滑性を有するものが添加されていてもよい。
多糖類又はその塩としては、例えば、カルボキシル基を含む多糖類又はその水溶性の塩,又はイオン結合により架橋したカルボキシル基含有多糖類又はその水溶性の塩を用いることができる。カルボキシル基含有多糖類としては、カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチルキチン,カルボキシメチルキトサン,カルボキシメチルデンプン,アルギン酸,ペクチン,カルボキシメチルデキストラン等を用いることができる。
ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸(HA)のほか、ヘパリン,硫酸ヘパリン,硫酸コンドロイチン等が含まれる。
水溶性の塩としては、ナトリウム塩等、アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の形で用いることができる。
なお、多糖類,ムコ多糖類及びそれらの塩のうち、ヒアルロン酸を用いると好適である。特にヒアルロン酸等のムコ多糖類は、数百から数千倍の水をゲル化する力を有し、人体の体液に保水性、粘性、潤滑性を与えることで知られており、本実施形態の組織癒着防止液に添加することにより、組織癒着防止液で創面,臓器等の組織表面を被覆した際に、被覆層に潤滑性を与えることが可能となり、創面や組織への機械的な損傷を防止する効果を得ることができる。
本実施形態の組織癒着防止液は、上記した各物質を混合した後、浸透圧が200〜450 Osmに、pHが7〜8の範囲になるよう調整される。
浸透圧を200〜450 Osmとするのは、人体組織の浸透圧にあわせたものである。また、pHを7〜8とするのは、組織癒着防止液を投与する創面や臓器等の組織の細胞が酸性分解されることを防止するためである。
浸透圧の調節にはヒドロキシエチル澱粉,デキストラン澱粉等の膠質浸透圧剤が用いられる。浸透圧は手術中の乾燥による濃縮を考慮して低めに調整される。
また、本実施形態の組織癒着防止液は、使用時の温度が体温程度,即ち35℃〜38℃になるよう調整される。これにより、手術中に組織癒着防止液を投与する際、投与の目的部である創面や臓器等の組織を冷却することがなく、手術後の疼痛等の原因になる手術中の冷却を防ぐことが可能となる。
本実施形態の組織癒着防止液は、創の治癒が進捗する前であればいつでも投与することができるが、手術の最中、又は創を縫合する直前に投与することが好ましい。また、手術中連続的に投与することもできる。
また、本実施形態の組織癒着防止液は、手術で切開されて空気に露出している創面又は臓器等の組織表面に直接投与される。
投与は、液状の組織癒着防止液をガーゼ,不織布等の担体に含浸させて創面又は臓器等の組織表面を被覆する方法により行ってもよいが、創面又は臓器等の組織表面に直接注入する方法や、本実施形態の組織癒着防止液をスプレー液として構成し、スプレー器具を用いてスプレーする方法によると好適である。
このように、組織癒着防止液をスプレー液として構成し、目的部にスプレー可能に構成しているので、創面の組織癒着防止液として機能する溶液を、広範,均一に目的部へ供給できると共に、損傷を防ぎたい目的部を、ある程度の厚みを持たせて被覆することができる。
スプレー器具としては、空気や炭酸ガスで液滴を運ぶ二流体ノズルのスプレー,溶液に圧力をかけて微粒子にする一流体ノズルのスプレーのいずれも用いることができる。
一流体ノズルは、液滴の供給に気体を利用しない。従って、一流体ノズルを用いると、創面や臓器等の組織の乾燥,酸化や気化熱による温度低下等が防止され、創面や組織の損傷を防止する観点から望ましい。
一流体ノズルとして、液に旋回流を与えて円錐状に噴出させるホローコーンノズルやフルコーンノズル,噴出円錐角が変えられるノズル,液滴が平面状に噴出するフラットノズル,液滴が前方に直進するソリッドノズル,液滴が微粒になる微粒スプレー等、各種ノズルが適用可能である。
一方、創面及び臓器等の組織の手術中における機械的損傷防止効果を高めるために、組織癒着防止液中の多糖類,ムコ多糖類又はそれらの塩の量を多くした場合には、組織癒着防止液の粘度が高くなるので、二流体ノズルを使用するとよい。
組織癒着防止液を創面又は臓器等の組織表面に直接注入する場合には、ある程度の粘度が必要であるため、ムコ多糖類やヘテロ多糖類等のガム類,ポリビニルアルコールやポリアクリル酸等の合成有機高分子化合物,セルロース誘導体,スターチ誘導体等の増粘剤を用いて粘度を調整する。
また、本実施形態の組織癒着防止液を、噴霧又は気化投与用の噴霧・スプレー用液剤として構成し、この噴霧・スプレー用液剤を、ネブライザー,加湿器等を用いて霧化させたミストを噴霧する方法で投与すると好適である。
このように、組織癒着防止液を噴霧又は気化投与用の噴霧・スプレー用液剤とし、霧化された霧状ミストの状態で目的部に噴霧可能に構成しているので、組織癒着防止液として機能する溶液を、広範,均一に目的部へ供給できると共に、損傷を防ぎたい目的部を、ある程度の厚みを持たせて被覆することができる。
ネブライザー又は加湿器としては、超音波振動子で加振して霧化させる超音波式のもの、滴下した液滴を気体で運ぶ滴下式のもの、液体に圧力をかけて微粒子にして噴霧するジェット式のもののいずれを用いてもよい。
例えば、ヒーター,超音波振動子,送風用ファン,噴霧口を備え、ヒーターで所定温度に加温した噴霧・スプレー用液剤を超音波振動子で加振して霧化させ、霧化してできたミストを送風用ファンで噴霧口から噴霧させるものを用いることができる。また、組織癒着防止液を、水と、組織癒着防止液の濃縮液の2つの液から構成し、ヒーターを備えた水タンクと超音波振動子を備えた濃縮液タンクを備えた2相式の加湿器を用いてもよい。2相式の加湿器を用いた場合、ヒーターで加熱して発生させた蒸気と、超音波振動子で霧化した濃縮液ミストとを通路で合流させ、合流してできた組織癒着防止液のミストを噴霧口から噴霧させる。
また、本実施形態の組織癒着防止液を泡状エアゾール製剤として構成し、この泡状エアゾール製剤を、ヒーター,加圧装置,ノズルを備えたエアゾール装置を用いて泡状にして投与してもよい。泡状エアゾール製剤は、既に説明した組織癒着防止液に公知の界面活性剤を添加してなる。
なお、近年普及している内視鏡手術でも、手術中の組織,臓器等の組織の乾燥,酸化に由来する合併症問題は発生しているが、本実施形態の組織癒着防止液及び組織癒着防止方法を適用することにより、内視鏡手術後の合併症を防止可能である。
すなわち、一流体スプレーノズルを延長チューブの先に固定したスプレー器具を用い、内視鏡手術の最中又は内視鏡手術の終了時に、本実施形態の組織癒着防止液からなるスプレー液を、手術に係る臓器等の組織にスプレーすることが可能である。なお、一流体スプレーノズルの延長チューブと内視鏡のケーブルとが互いに固定されていると、内視鏡手術時に体内に挿入される部材が一体化されるためスプレー器具を操作し易くなり好適である。
さらに、本実施形態の組織癒着防止液を、潅流液,輸液製剤,輸液製剤に注入される注射剤等として構成してもよい。
潅流液は、生理食塩水,リンゲル液等公知の輸液に、トレハロース及びAA-2Gを溶解させた水溶液として構成され、輸液バッグに収納されて提供される。潅流液は、術中又は術後に術野に置換潅流して用いられる。
輸液製剤は、トレハロースが、塩化ナトリウム,グリセリン等の公知の等張化剤、リン酸塩,酢酸塩等の公知の緩衝液等と共に、生理食塩水,リンゲル液等の公知の溶剤に溶解されて調整され、輸液バッグに収納されて提供される。輸液製剤は、術前,術中,術後のうち少なくとも一つ以上の過程で、点滴等の手段で用いられる。
輸液製剤に注入される注射剤は、トレハロース及びAA-2Gが、塩化ナトリウム,グリセリン等の公知の等張化剤、リン酸塩,酢酸塩等の公知の緩衝液等と共に、注射用水,生理食塩水,リンゲル液等の公知の溶剤に溶解されて調整される。
この注射剤は、ブドウ糖注射液,キシリトール注射液,生理食塩水,デキストラン40注射液,アミノ酸注射液,リンゲル液等公知の輸液と混和した混合物として使用される。
注射剤は、術前,術中,術後のうち少なくとも一つ以上の過程で、輸液製剤に注入されて点滴等の手段で用いられる。
外科手術中には、臓器等の組織や創面が空気中の酸素に触れると、乾燥,酸化ストレス発生,フリーラジカル発生が起こり、膜リン脂質障害,蛋白の障害,DNAの障害等の酸化的障害が起こることが明らかになっている。
本実施形態では、手術中に、臓器等の組織や創面に本実施形態の組織癒着防止液を直接投与することにより、トレハロースが、組織や創面の乾燥を防止すると共に、手術中の酸化ストレスによる酸化的障害を防止する。また、トレハロースは、Fe等の金属とキレートを形成してフリーラジカルの発生源となる金属イオンを失活させ、フリーラジカルの発生を抑制する。このように、乾燥防止,酸化ストレスによる酸化的障害の防止,フリーラジカル発生抑制をする結果、術後に酸化的障害に起因して癒着や治癒の遅延が起こることを防止することが可能となる。さらに、本実施形態の組織癒着防止液は、ラジカル補足により酸化防止可能な抗酸化物質であるAA-2Gを含むため、作用機序の異なるトレハロースとAA-2Gとの組み合わせにより、さらに効果的に創面及び露出組織を保護可能となるという相乗的な効果を備えている。
以下、本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明をこれに限定するものではない。
(実施例1)
細胞としては、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)を使用した。
HepG2細胞,AA-2G,トレハロース,DMEM培地,FCS,ニュートラルレッド以外の試薬類は、いずれも試薬特級品を使用した。
また、HepG2細胞を作用させる試料溶液として、PBS(+)溶液,2.5mMAA-2G溶液,132mMトレハロース溶液,2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液の4種の試料溶液を調製した。
試薬アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G,(株)林原生物化学研究所)を蒸留水に溶解し、2.5mMAA-2G溶液を得た。また、粉末状の高純度含水結晶トレハロース(試薬トレハロース,(株)林原生物化学研究所)を蒸留水に溶解し、132mMトレハロース溶液を得た。試薬アスコルビン酸2−グルコシド及び粉末状の高純度含水結晶トレハロースを蒸留水に溶解し、2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液を得た。その後、これら4種の試料溶液のpH及び浸透圧を調整した。2.5mMAA-2G溶液,132mMトレハロース溶液,2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液の浸透圧の調整は、PBS(+)の塩化ナトリウムで、等張となるよう調整することによって行った。
調整後の各試料のpH、浸透圧は次の通りである。すなわち、PBS(+)溶液はpH7.2、浸透圧279mOsm、2.5mMのAA-2G溶液はpH6.8、浸透圧265mOsm、132mMトレハロース溶液はpH7.2、浸透圧283mOsm、2.5mMのAA-2G+132mMトレハロース混合液はpH7.0、浸透圧282mOsmであった。
ついで、HepG2細胞を12穴プレート4枚に各々4×104cells/well播種し、10%FCS(Gibco)含DMEM培地(日水製薬(株))で4日間培養した。その後、10%FCS含DMEM培地を、それぞれ、PBS(+),2.5mMAA-2G溶液,132mMトレハロース溶液,2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液の4種の試料溶液に交換し、37℃で1時間作用させた。
4種の試料溶液を作用させた細胞それぞれについて、2枚のコントロールプレート,2枚のテストプレートを用意した。各々、2枚のテストプレートのうち1枚は5分の風乾、残りの1枚は3分の風乾を行った。2枚のコントロールプレートには何も行わなかった。
その後、各プレートの細胞を無血清DMEM培地に交換し、37℃で1時間培養した。0.02%ニュートラルレッド(和光純薬工業(株),以下、NRと称する。)溶液に交換し、37℃で40分間作用させた。NR液を除去し、PBS(+)を添加して37℃で40分間静置した後、PBS(+)を除去し、5分間風乾した。NR抽出液を添加し、37℃で10分間静置後、各サンプルを96穴プレートに分注し、570nmにおける吸光度を測定した。
風乾を行わなかったコントロールプレートの吸光度を細胞生存率100%とし、3分の風乾を行ったテストプレートの細胞生存率を算出したところ、図1の風乾による細胞生存率の変化を示すグラフの通りであった。
すなわち、3分の風乾を行ったテストプレートの細胞生存率は、それぞれ、PBS(+)溶液では60.4%,2.5mMAA-2G溶液では61.8%,132mMトレハロース溶液では70.7%,2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液では72.3%であった。
また、PBS(+)溶液のものについて、5分の風乾を行ったテストプレートの細胞生存率は、54.9%であった。
以上より、各試料溶液について、コントロールプレートの細胞生存率を100%とし、細胞保護作用を算出したところ、2.5mMAA-2G溶液では、細胞保護作用は見られなかったが、132mMトレハロース溶液、2.5mMAA-2G+132mMトレハロース溶液では3分間の風乾で細胞保護作用が示された。
従って、これら試薬の風乾による細胞保護作用は、3分間程度の軽い乾燥に有効であると思われる。
また、風乾を行わなかった各試料溶液のコントロールプレートについて、細胞生存率を算出したところ、図2の各試薬の細胞に対する影響を示すグラフの通りであった。
すなわち、PBS(+)のコントロールプレートの細胞生存率100%としたときの、2.5mMAA-2G溶液,132mMトレハロース溶液,2.5mMAA-2G+132mMトレハロース混合液の細胞生存率を算出し、これを各々の試薬を作用させたときの細胞生存率として調べたところ、AA-2G溶液で101.6%、トレハロース溶液で97.6%、AA-2G+トレハロース混合液で89.6%であった。
また、コントロールプレートのPBS(+)の細胞生存率を100%とし、2.5mMAA-2G溶液、132mMトレハロース溶液、2.5mMAA-2G+132mMトレハロース溶液の細胞に対する影響を調べたところ、各々の細胞生存率は、101.5%、97.7%、89.7%を示し、pH,浸透圧を調整したことにより細胞に対する影響が緩和されていることが分かった。
細胞の乾燥,酸化から保護する作用機序は、生体組織を乾燥,酸化から保護する作用機序と変わりがないことが知られていることから、以上の本実施例1により、トレハロースと抗酸化物質とを有効成分として含む水溶液が、組織癒着防止液として作用することが確認された。
(実施例2)
本実施例では、ウサギを用い、腹腔手術時に腸管表面を乾燥させる腹腔内癒着モデルを作成し、そのときのトレハロースによる腸管癒着防止効果を検討した。
トレハロースとしては、粉末状トレハロース(試薬トレハロース,(株)林原生物化学研究所)+NaClを滅菌蒸留水250mlに2%溶液として溶解し、フィルター(Millex;Millpore Co.,Bedford)により濾過滅菌後、滅菌容器に注入して室温で保存した。
供試動物としては、14週齢、体重2.85〜3.2kg、雌のニュージーランドホワイト(Std:NZW,日本エスエルシー株式会社,静岡)、5羽を用いた。ウサギは東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターの動物実験室内(室温24±1℃、湿度30〜70%)で飼育した。また購入後1週間馴致したが、その間に血液検査(全血球計算,BUN,Cre,ALT,ALP)および全身のX線検査を行って健康に異常がないことを確認した。本実施例の実験は東京大学動物実験実施マニュアルに従って実施した。
本実施例の実験は、次の方法で行った。
麻酔はまず麻酔前投薬としてケタミン(ケタラール50;三共ライフティック(株),東京)5mg/kg、メデトミジン(ドミトール;明治製薬(株),東京)0.1mg/kgを筋肉内投与し、気管内挿管後イソフルラン(イソフル;大日本製薬(株),大阪)にて維持した。術前に抗生物質としてエンロフロキサシン(バイトリル;バイエルメディカル(株),東京)10mg/kgを皮下投与し、術中はラクトリンゲル液(フソー;扶桑薬品工業(株)、大阪)を10ml/kg/hrで静脈内投与した。術後は鎮痛薬としてブプレノルフィン(レペタン;大塚製薬(株),東京)20μg/kgを単回皮下投与した。麻酔中はECG、ETCOおよびSpOをモニタリングし、正常範囲となるように維持した。
5羽のウサギのうち、任意の3羽を対照群とし、残余の2羽をトレハロース群とした。そして、5羽のウサギには術部の消毒処置後、腹部正中切開を実施し、腸管をできる限り体外へ露出させガーゼにて漿液を拭き取った。対照群(3羽)ではそのまま乾燥させ、トレハロース群(2羽)では数回トレハロースを腸管全体に噴霧した。この間、定法に基づき卵巣子宮全摘出術を実施した。両群ともに開腹時間は30〜60分であった。卵巣子宮全摘出部および腹壁閉鎖には3-0モノフィラメントナイロン糸(ベアー手術用縫合糸;ベアーメディック(株),千葉)を使用し、皮下組織は4-0モノフィラメントポリグリコネート糸(MAXON;Syneture Co.,Ltd., Connecticut)、皮膚はステイプラー(Manipler AZ-35W; マニー(株),栃木)にて縫合した。
術後は健康状態や術創を観察し、2週間後にペントバルビタールの過量投与による安楽殺を行った。腹腔内の癒着状態を肉眼的に確認、記録するとともに、癒着部位の組織を病理組織学的検査材料として摘出し、ホルマリン固定した。
各例の2週間後の臨床所見および開腹後の癒着状態の肉眼所見を表1に示す。
Figure 0004447640
術後2週間、全例で臨床上の異常は認められなかった。しかし、対照群の1例で術創皮下に中程度の漿液の貯留が認められた。同貯留液の細菌培養結果は陰性であった。また、トレハロース群の1例で皮膚縫合部が一部除去され、潰瘍状を呈していた。
癒着に関しては、両群の全例で卵巣子宮全摘出時の子宮膣断端縫合部で周囲組織との明らかな癒着が認められた。腸管の癒着に関しては、対照群の3羽全例で軽〜中程度の癒着が複数ヵ所(3ヵ所以上)確認された。トレハロース群では1羽で2ヵ所の軽度の癒着が疑われたが、これは正常な腸管の癒着である可能性も考えられた。残りの1羽では肉眼的に明らかな癒着部位は確認できなかった。
本実施例より、乾燥に伴う腹腔内臓器の癒着防止にトレハロースの噴霧が有効であることが分かった。トレハロースは高い水和力を持ち、アモルファス状になったトレハロースが腸管の漿膜面を被覆し細胞を安定化させることで癒着を防止すると考えられる。
(実施例3)
本実施例では、ウサギを用い、腹腔手術時に腸管表面を乾燥させる腹腔内癒着モデルを作成し、そのときのトレハロースによる腸管癒着防止効果を検討した。
トレハロースとしては、粉末状トレハロース(試薬トレハロース,(株)林原生物化学研究所)を滅菌蒸留水250mlに7%溶液として溶解し、フィルター(Millex;MillporeCo.,Bedford)により濾過滅菌後、滅菌容器に注入して室温で保存した。
供試動物としては、14週齢、体重2.6〜3.2kg、雌のニュージーランドホワイト(Std:NZW,日本エスエルシー株式会社,静岡)、20羽を用いた。ウサギは東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターの動物実験室内(室温24±l℃、湿度30〜70%)で飼育した。また購入後1週間馴致したが、その間に血液検査(全血球計算,BUN,Cre,ALT,ALP)および全身のX線検査を行って健康に異常がないことを確認した。本実施例の実験は東京大学動物実験実施マニュアルに従って実施した。
本実施例の実験は、次の方法で行った。
麻酔はまず麻酔前投薬としてケタミン(ケタラール50;三共ライフティック(株),東京)5mg/kg、メデトミジン(ドミトール;明治製薬(株),東京)0.1mg/kgを筋肉内投与し、気管内挿管後イソフルラン(イソフル;大日本製薬(株),大阪)にて維持する。術前に抗生物質としてエンロフロキサシン(バイトリル;バイエルメディカル(株),東京)10mg/kgを皮下投与し、術中はラクトリンゲル液(フソー;扶桑薬品工業(株)、大阪)を10ml/kg/hrで静脈内投与した。術後は鎮痛薬としてブプレノルフィン(レペタン;大塚製薬(株),東京)20μg/kgを単回皮下投与した。麻酔中はECG、ETCO2およびSpO2をモニタリングし、正常範囲となるように維持した。
20羽のウサギには術後の消毒処置後、腹部正中切開を実施し、腸管をできる限り体外へ露出させガーゼにて漿液を拭き取り、定法に基づき卵巣子宮全摘出手術を実施した。4箇所の卵巣動静脈は4-0モノフィラメントポリグリコネート糸(MAXON; Syneture Co.,LTD.,Connecticut)にて結紮してから切断した。また、子宮膣断端部を5-0モノフィラメントポリグリコネート糸(MAXON; Syneture Co.,LTD.,Connecticut)で縫合し、腹壁閉鎖は3-0モノフィラメントポリグリコネート糸(MAXON; Syneture Co.,LTD.,Connecticut)で、皮下組織は4-0モノフィラメントポリグリコネート糸(MAXON; Syneture Co.,LTD.,Connecticut)で縫合、皮膚はステイプラー(Manipler AZ-35W)にて縫合した。
20羽のウサギのうち任意の10羽を対照群とし、残余の10羽をトレハロース群とした。
そして、対照群(10羽)はそのまま乾燥させた。開腹時間は60分であった。
トレハロース群は腹腔内全体にトレハロース液を術中15分ごと(0分、15分、30分、45分、60分)に噴霧した。開腹時間は60分であった。
術後は健康状態や術創を観察し、2週間後にベントパルビタールの過量投与による安楽殺を行った。腹腔内の癒着状態を肉眼的に確認、記録するとともに、癒着部位の組織を病理組織学的検査材料として摘出し、ホルマリン固定した。
各例の2週間後の臨床所見および開腹後の癒着状態の肉眼所見を表2に示す。
Figure 0004447640
術後2週間、全例で臨床上の異常は認められなかった。
癒着に関しては、卵巣子宮全摘出時の手術部位である子宮膣断端縫合部および血管結紮部で周囲の臓器組織との明らかな癒着が対照群全例に認められた。
乾燥させた腸管表面の腹腔内臓器間の癒着については、対照群において臓器間に重度および軽度の癒着が10例中6例確認され、トレハロース群では10例中2例確認された。臓器間の癒着スコアーは対照群+16に対しトレハロース群は+3であり、その阻止率は81%であった。( Wilcoxonの順位和検定: 有意差ありp<0.05 )
本実施例より、乾燥に伴う腹腔内臓器間の癒着に対し、トレハロースは明らかに癒着を防止・軽減させることができ、有効であることが分かった。トレハロースは高い水和力を持ち、臓器の漿膜面を被覆し細胞を安定化させることで癒着を防止すると考えられ、溶液噴霧により臓器の漿膜面への拡散・浸透は容易であり、トレハロースで臓器全体をおおうことが可能であった。

Claims (10)

  1. トレハロースを有効成分とする組織癒着防止液。
  2. 抗酸化物質,キレート剤,殺菌消毒剤,止血剤,消炎剤,潤滑性を有する多糖類,ムコ多糖類,多糖類の塩,ムコ多糖類の塩のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1記載の組織癒着防止液。
  3. 前記抗酸化物質は、アスコルビン酸誘導体であることを特徴とする請求項2記載の組織癒着防止液。
  4. 増粘剤により粘度調整されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液。
  5. 電解質等張液,血漿増量剤,細胞外液補充液,維持液,水のうち少なくとも一つ以上により浸透圧が調整されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液。
  6. 増粘剤により粘度調整され、電解質等張液,血漿増量剤,細胞外液補充液,維持液,水のうち少なくとも一つ以上により浸透圧が調整されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液。
  7. 請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液であって、前記組織癒着防止液の剤型は、潅流液,スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,泡状エアゾール製剤,輸液製剤に注入される注射剤,及び輸液製剤のいずれかの剤型である組織癒着防止液。
  8. 請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液であって、前記組織癒着防止液は、増粘剤により粘度調整され、前記組織癒着防止液の剤型は、潅流液,スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,泡状エアゾール製剤,輸液製剤に注入される注射剤,及び輸液製剤のいずれかの剤型である組織癒着防止液。
  9. 請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液であって、前記組織癒着防止液は、電解質等張液,血漿増量剤,細胞外液補充液,維持液,水のうち少なくとも一つ以上により浸透圧が調整され、前記組織癒着防止液の剤型は、潅流液,スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,泡状エアゾール製剤,輸液製剤に注入される注射剤,及び輸液製剤のいずれかの剤型である組織癒着防止液。
  10. 請求項1乃至3いずれか一つに記載の組織癒着防止液であって、前記組織癒着防止液は、増粘剤により粘度調整され、電解質等張液,血漿増量剤,細胞外液補充液,維持液,水のうち少なくとも一つ以上により浸透圧が調整され、前記組織癒着防止液の剤型は、潅流液,スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,泡状エアゾール製剤,輸液製剤に注入される注射剤,及び輸液製剤のいずれかの剤型である組織癒着防止液。
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