JP4446364B2 - 床とその施工法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は建築物、例えば大型店舗等に施工される、防水性、耐久性に優れた床とその施工法に関し、詳しくは駐車場、その他の施設等としても安心して利用できる床とその施工法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、例えば、大型店舗においては駐車場のスペース確保、あるいは土地の有効利用のために建築物の屋上に駐車場を設置する場合がますます増えている。しかしながら屋上に駐車場を設置すると車両の走行により床面が傷みやすく、また季節的な環境変化の繰り返しにより、下地の伸縮や継ぎ目の動きにより防水層に亀裂が生じて漏水することが頻繁に生じていた。 また階段スロープ部分や雨天で床が濡れている場合に車両が走行したり、人が歩行する際にスリップした場合事故の危険性が大きく改良がもとめられていた。また、コンクリート下地に防水塗膜を塗工すると下地の水分を封じこめるため施工完了後に膨れ、剥離が生じて再施工するケースが多発していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような建築物の屋上の床等の防水目的に採用され、車両の走行、人の歩行等にも安全で、しかも季節的な環境変化にも問題がなく、施工後の膨れ、剥離等の不具合が発生しない床とその施工法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項に記載されている通りの工程、即ち、(1)コンクリート下地処理、(2)膨れ防止層 、(3)プライマー 、(4)防水層 (5)舗装層、更に必要によりトップコート層を経て仕上げられる床とその施工法に関する。
【0005】
次にこの各工程について説明する。(1)コンクリート下地処理はコンクリート表面の脆弱部分を除去して上層との密着性と強度を確保するために行うもので、処理手段はディスクサンダーにサンドペーパーを装着して表面を研掃したり、ショットブラストにより表面を研掃する方法があるが、ショットブラストによる方法は簡便に工事ができて作業性に優れ好ましい。 剥離とられた脆弱な表面及び埃等は直ちに吸引手段等により除去されてクリーンな下地表面を露出させる。
【0006】
(2)膨れ防止層は前記のように処理したコンクリート表面にエポキシ樹脂エマルジョンとセメントプレミックスを主成分とする下地調整材を金コテにより1.0〜1.2kg/m2程度塗布し、硬化させて形成させる。
【0007】
該エポキシ樹脂エマルジョンはいわゆる自己乳化型で代表される水系エポキシ樹脂及び硬化材をエマルジョン化した水系硬化剤を配合されて調製されたものである。
【0008】
該セメントプレックスはセメントに骨材、例えば珪石粉、炭酸カルシュウム、セピオライト、ゼオライト等を混合分散させたものからなり、重量配合比はセメント1に対してこれら骨材を0.1〜1が適合している。
【0009】
該エポキシ樹脂エマルジョンと該セメントプレミックスと配合され調製された下地調整剤は水分及びコンクリート成分と馴染みがあるためコンクリートの多孔質な表面に入り込みやすく、表面層の空隙部分を充填するとともに、セメントプレミックスが同一成分のコンクリートと密着するため接合強度を高める効果をもたらし、樹脂硬化により補強される。 硬化剤を含めた該エポキシ樹脂と該セメントプレミックスとの配合は固形分比で1対5〜10が適合する。
【0010】
(3)プライマー塗布は下地の膨れ防止層に樹脂液を浸透させて補強するとともに、上部に施工される層との密着性を確保するために行う。塗布する樹脂液としては自己乳化型で代表される水系エポキシ樹脂と水系ポリアミドを主成分とする常温硬化型樹脂が好ましい。塗布量は0.3kg/m2程度として採用される。該樹脂はコンクリートのミクロな空隙への浸透性に優れ、浸透後に硬化するため補強効果に優れる。また上部に施工される防水層との密着性にも優れている。
【0011】
(4)防水層は下層のプライマー層、上層となるトップコートとの密着性に優れるウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂が適合し、中でも前記の性能に加え可とう性に優れ、伸び率が500%以上の大きなウレタン樹脂が望ましい。
【0012】
該防水層の上に(5)舗装層を施工する。該舗装層は走行性、歩行性並びに防滑性等を確保するために中塗り、骨材散布、上塗りの工程を経て形成される。
該中塗り及び上塗りにはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂が適合し、好ましくは可とう性があり、伸び率が100%以上のウレタン樹脂の使用が望ましい。中塗りは1〜1.5kg/m2の塗布量で塗工する。中塗りの後、骨材散布を施す。これにより歩行、駐車の際の防滑性を確保し、併せて床の摩耗性を高める効果が得られる。
【0013】
骨材散布は珪砂、バラス等の粒径1〜3mmの骨材を2〜3kg/m2程度散布する。骨材散布に続き上塗りが施される。該上塗りは骨材を固定するとともに、摩耗性、耐久性を向上させるために実施するもので、前記のような樹脂を0.5kg/m2程度塗布する。
【0014】
なお、安価なタイプとして舗装層までとして仕上げられても良いが、更に性能向上のため必要により最上層として(6)トップコートが施工されてもよい。該トップコートとしての必要な特性は耐候性、可とう性、密着性に優れる成分、例えばアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂等が選定されて使用される。
【0015】
以上の工程の標準施工の所用日数は第1日目として(1)コンクリート下地の研掃、(2)下地調整層と(3)プライマー、第2日目として(4)防水層、第3日目として(5)舗装層、さらに必要により第4日目として(6)トップコートの施工を経て仕上げられる。
【0016】
実施例
(下地調整剤の調製)水系エポキシ樹脂(旭電化工業(株) アデカEMO0427W)100部(樹脂分40%)と水系ポリアミン(旭電化工業(株) EH−4215M)100部(樹脂分20%)に対してセメント100部に珪砂120部を混合・分散させたセメントプレミックス400部を配合し混合・撹拌して下地調整材を調製した。
【0017】
(プライマーの調製)水系エポキシ樹脂(旭電化工業(株) アデカEMO0427W)100部に硬化剤としてポリアミドアミン(旭電化工業(株) EH−047)100部を調合して粘度9000cp.s/25℃、可使時間90分/20℃のプライマーを得た。
【0018】
(防水層用樹脂の調製)
ポリエーテルポリオール(旭電化工業(株) CM224)20部に体質顔料50部並びに少量の添加剤を配合した主剤100部にNCO含量3.0%のウレタンプレポリマー(三洋化成工業(株) SEL)50部を配合調製して防水層用樹脂をえた。該防水用樹脂の硬化皮膜の伸び率は500%であつた。
【0019】
(舗装用樹脂の調製)
変性ポリオール(日本ポリウレタン工業(株) ニッポラン131)40部及び体質顔料50部を配合した主剤100部と変性フェノールイソシアネート25部とを混合・撹拌して舗装用樹脂を調製した。該舗装用樹脂の硬化皮膜の伸び率は100%であつた。
【0020】
トップコート用樹脂としては、たとえば顔料を分散させたアクリルポリオールを溶剤に溶解させた主剤と、無黄変タイプのイソシアネートとを溶剤に溶解させた硬化剤とを組み合わせた耐候性、可とう性等に優れるアクリルウレタン樹脂等をトップコート層として舗装層の表面に塗布して仕上げることができる。
【0021】
実施例1
1日目に打設後28日経過したコンクリート板(厚み200mm、含水率6.5%)の表面にショットブラストを施して表面の脆弱部分を除去し表面に付着している埃、ゴミ等を吸引除去した後、前記の下地調整材を金コテにより1.0kg/m2塗布した。2日目に前記のプライマーをローラーにて0.3kg/m2塗布して該下地調整材と馴染ませた。3日目に前記の防水層用樹脂をコテにより1.5kg/m2塗布した。4日目に前記の舗装層用樹脂としての中塗りとして1.0kg/m2、コテにより塗布したのち、4号珪砂を1kg/m2散布したのち、更に引き続き4号珪砂を1.5kg/m2散布した。さらに上塗りとして該舗装用樹脂を0.4kg/m2ローラーにより塗布して硬化させ舗装層を形成した。
【0022】
実施例2
実施例1で使用した該コンクリート板を2枚接触させて水平な面に置き、実施例1と同一の工程を経て実施例2の床の仕上げを行った。
【0023】
比較例1
実施例1における下地調整材の工程を省略して比較例1の床の仕上げを行った。
【0024】
比較例2
実施例2における防水層の工程を省略して比較例2の床の仕上げを行った。
【0025】
比較例3
実施例1において珪砂の散布を省略して比較例3の床の仕上げを行った。
【0026】
実施例及び比較例の床施工のサンプルについて下記の比較試験を実施したところ下記の表の結果であった。
【0027】
【表1】
試験法
膨れ:サンプルのコンクリート部分の半ばまで60℃の温水に1ヶ月浸し膨れの発生するまでの経過日を測定する。
伸び:サンプルより幅70ミリ、長さ200ミリ(中央部で接合)の試験片を切り出して、引っ張り速度2mm/分で引っ張りひび割れする迄の伸びを測定する。
防滑性:サンプル表面の滑り性 ASTM E303−83に規定するポータブルスキッドレジスタンステスターにより乾燥面及び濡れ面について測定する。
【0028】
【効果】
本発明になる床はコンクリート下地への浸透性の良好な下地調整材、上下層との密着性の優れるプライマー、可とう性に優れ伸び率の大きな防水層、可とう性と伸び率が大きく骨材を保持する舗装層から仕上げられているため、下地の動きへの追随性に優れる。このため季節による環境変化によつて割れが発生することがない。しかも骨材により防滑性が付与されているため車両や人のスリップ事故を防止でき駐車場の床等に安心して採用できる。 更に耐候性、可とう性のあるトップコート層が仕上げられた床にあっては、より長期間に耐用できる床に仕上げられる。
また、従来の塗り床では施工後に内部に封じ込まれた水分が膨れや剥離の原因となり再施工するなどの問題があつたが、本発明の床施工では下地のコンクリートに馴染みやすく密着し、水分の吸収性のあるセメントプレミックスと、補強性のある水系エポキシ樹脂とが配合された下地調整材が施工されているため下地と強固に接合されて膨れ、剥離等の問題が回避され、施工上の課題が解決された。
Claims (2)
- 研掃されたコンクリート下地に、エポキシ樹脂エマルジョンとセメントプレミックスを主成分とする下地調整材が塗布された膨れ防止層、水系エポキシ樹脂プライマー層、防水層、舗装層が順次施工され仕上げられていることを特徴とする床。
- コンクリート下地を研掃した後、順次、請求項1に記載の、膨れ防止層、水系エポキシ樹脂プライマー層、防水層、舗装層を経て施工することを特徴とする床の施工法。
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