JP4444722B2 - フッ素含有シクロデキストリン誘導体、ポリロタキサンおよび感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このようなエキシマレーザーによる照射に適したレジストとして、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性であって酸の作用によりアルカリ易溶性となる酸解離性基含有樹脂と、放射線の照射により酸を発生する成分とによる化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」という。)が既に提案されている。
このF2レーザーリソグラフィーに求められているレジストとしては、高感度、高解像度、優れたエッチング耐性などに加えて、157nm光に対する高透過性、および高溶解コントラストなどの新しい性能が不可欠となる。157nm光に対して、良好な透明性を示し、優れたエッチング耐性を有するレジストとして、脂環式骨格を有するフッ素含有重合体が知られている(非特許文献1参照)。
M.K.Crawford,et al,Proc.SPIE,3999,357(2000) Harada Akira,et al,M.Nature,356,325−327(1992) Harada Akira,et al,M.Nature,364,516−518(1993)
以上の知見をもとに、新しい、157nmレジスト材料の開発を目的として、シクロデキストリンを基盤とした新しい含フッ素環状低分子重合体類の合成と、その光反応特性について検討した。
本発明に係る式(1)で表されるフッ素含有シクロデキストリン誘導体は、CDsとTBFAとのマイケル付加反応により得ることができる。一例としてβ−CDとt−ブチルトリフルオロメタクリレート(以下、TBFAと略称する)の反応を式(2)に表す。
β−CDとTBFAとのマイケル付加反応の最適条件について以下に述べる。
β−CDとTBFAとのマイケル付加反応は好ましくは溶媒下で行なうことができる。反応溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)、N,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略称する)、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略称する)、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略称する)などの非プロトン系極性溶媒、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
三口ナスフラスコにβ−CD 0.11g(0.10mmol水酸基当量 2.1mmol)を加え、種々溶媒を変えた4mLに溶解させた。それぞれの溶液に塩基としてCs2CO3 0.0011g(5mol%)、および相間移動触媒としてTBAB 0.023g(10mol%)を加え、40℃で6時間攪拌し、その後、TBFA 0.14g(0.70mmol)を加え、室温下48時間反応させた。反応終了後、反応溶液をテトラヒドロフラン(以下、THFと略称する)で希釈し、クエン酸水溶液に注ぎ、析出した固体をろ過により回収した。得られた固体を良溶媒としてTHF、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈精製を行ない白色固体を得た。構造確認は、IR、1H NMRスペクトルの測定により行なった。エーテル化率は1H NMRより、β−CDのアセタールのメチンプロトンの積分値を基準として、t−ブチル基のメチルプロトンの積分値から算出した。測定結果を表1に示す。
これら重合溶媒の中では、非プロトン系極性溶媒の極性が高く、溶媒和が大きく、かつ律速段階となる平衡反応を、より中間体側に傾きやすくするDMSOが特に好ましい。
上記溶媒効果を調べたときと同様の操作により、DMSO 4mLに溶解させたβ−CD 0.11g(0.10mmol、水酸基当量 2.1mmol)と、TBFA 0.14g(0.70mmol)とのマイケル付加反応を塩基としてCs2CO3 0.0011g(5mol%)、相間移動触媒としてTBAB 0.023g(10mol%)を用い、反応温度を変えて、それぞれ48時間反応を行なった。測定結果を図1に示す。
図1に示すように、反応温度室温20℃の場合、エーテル化率38%のβ−CD誘導体が収率88重量%で得られた。また、反応温度の上昇とともに、収率、エーテル化率とも減少する傾向がみられた。
これは、反応温度が高くなるにつれ、塩基により反応溶媒であるDMSOが分解し、反応系に影響をおよぼしたためであると考えられる。このため、β−CDとTBFAとのマイケル付加反応における反応温度は15〜30℃が好ましい。
上記溶媒効果を調べたときと同様の操作により、DMSO 4mLに溶解させたβ−CD 0.11g(0.10mmol、水酸基当量 2.1mmol)と、TBFA 0.14g(0.70mmol)とのマイケル付加反応を、塩基としてCs2CO3 0.0011g(5mol%)、相間移動触媒としてTBAB 0.023g(10mol%)を用い、反応時間を変えて、それぞれ室温で反応を行なった。測定結果を図2に示す。
図2に示すように、反応時間を長くすることにより、収率、エーテル化率ともに増加する傾向を示した。反応時間12時間で行なった場合、エーテル化率38%のβ−CD誘導体が収率88重量%で得られた。また、反応時間12時間以降では、それ以上反応時間を延ばしても、収率、エーテル化率にほとんど変化は見られなかった。これは、原料となるTBFAがβ−CDの水酸基にすべて反応したためであると考えられる。このため、β−CDとTBFAとのマイケル付加反応における反応時間は少なくとも12時間以上であることが好ましい。
例えば、α−CDを基盤とする含フッ素ポリロタキサンは、次の方法で得ることができる。
(1)α−CDを蒸留水20mLに溶解させ、末端に活性基として3−アミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(以下、PEGと略称する)を加え、その後、超音波を用いて攪拌し、室温で放置することによりPEGを軸としたα−CD−PEGポリ擬似ロタキサンを得る。
(2)α−CDがPEG鎖から抜け出さないための末端キャップとなる化合物を、PEGの活性末端と反応させる。例えば、α−CD−PEGポリ擬似ロタキサンと2,4−ジニトロフルオロベンゼンとの置換反応を行ない、末端キャップを形成してα−CD−PEGポリロタキサンが完成する。
(3)α−CD−PEGポリロタキサンに対して、TBFAをマイケル付加反応させることにより、側鎖にt−ブチルエステル残基を有する含フッ素ポリロタキサン(α−CD−PEG−1)が得られる。
感放射線性樹脂組成物は、酸解離性基含有重合体と、露光により発生した酸の作用によって酸解離性基を解離させる感放射線性酸発生剤などとを配合して、全固形分濃度が、通常、3〜50重量%、好ましくは5〜25重量%となるように、溶剤に溶解して得られる。
母核としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む)、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩などのオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物、オキシムスルホネート化合物、ヒドラジンスルホネート化合物などが挙げられる。
また、発生する酸としては、アルキルあるいはフッ化アルキルスルホン酸、アルキルあるいはフッ化アルキルカルボン酸、アルキルあるいはフッ化アルキルスルホニルイミド酸などが挙げられる。
上記酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸発生剤の使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、酸解離性基含有重合体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜7重量部である。この場合、酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、一方10重量部をこえると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
感放射線性樹脂組成物は特に化学増幅型レジストとして有用である。
(1)赤外分光測定装置(IR):日本分光株式会社 FT/IR−420
(2)核磁気共鳴測定装置(1H NMR):日本電子株式会社 JNM−FX200、500型(500MHz)
(3)核磁気共鳴測定装置(1H NMR):日本電子株式会社JNM−FX200、600型(600MHz)
(4)核磁気共鳴測定装置(13C NMR):日本電子株式会社 JNM−α500型(125MHz)
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC):東ソー株式会社ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)HLC−8220型、(カラム:TSK GEL SUPER AW3000×1+2500×3 標準:ポリスチレン 溶媒:DMF(20mM 無水LiBr、20mM H3PO4 含有)
(6)熱重量減少測定装置(TG/DTA):セイコーインスツルメンツ株式会社 Seiko Instruments EXTAR6000/TG/DTA6200(測定条件:窒素気流下、昇温速度:10℃/min、開放型アルミニウムパン)
(7)示差走査熱量計(DSC):セイコーインスツルメンツ株式会社 Seiko Instruments EXTAR6000/DSC6200(測定条件:窒素気流下、昇温速度:10℃/min、開放型アルミニウムパン)
(8)光照射装置:HOYA−SCHOTT株式会社 UV LIGHT SOURCE EX250 光源:250W超高圧水銀ランプ
(9)真空紫外スペクトル測定装置:日本分光株式会社 VU−201
フッ素含有β−CD誘導体の合成
β−CDとTBFAとのマイケル付加反応により、側鎖にt−ブチルエステル残基を有するフッ素含有β−CD(以下、β−CD−1と略称する;理論エーテル化率33%)を以下の方法で合成した。
三口ナスフラスコにβ−CD 0.11g(0.10mmol水酸基当量2.1mmol)を加え、DMSO 4mLに溶解させた。この溶液に塩基としてCs2CO3 0.0011g(5mol%)、および相間移動触媒としてTBAB0.023g(10mol%)を加え、40℃で6時間攪拌し、その後、TBFA 0.14g(0.70mmol)を加え、室温で12時間反応させた。反応終了後、反応溶液をテトラヒドロフラン(以下、THFと略称する)で希釈し、クエン酸水溶液に注ぎ、析出した固体をろ過により回収した。得られた固体を良溶媒としてTHF、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈精製を行ない、白色固体を収率88%で得た。構造確認は、IR、1H NMRスペクトルの測定により行なった。エーテル化率は1H NMRより、β−CDのアセタールのメチンプロトンの積分値を基準として、t−ブチル基のメチルプロトンの積分値から算出した。測定結果を表2、図3および図4に示す。
図4に示す1H NMRから、1.4〜1.6ppm付近にt−ブチル基に起因するシグナルを確認した。
さらに、β−CDのアセタールのメチンプロトンに起因する4.8〜5.0ppm付近のシグナルを基準にして、t−ブチル基のメチルプロトンに起因するシグナルの積分比から算出したエーテル化率は38%であった。これより、目的とするフッ素含有β−CD誘導体が得られたことが明らかとなった。得られた誘導体のエーテル化率が理論量(33%)より高い値となったのは、収率が若干低かったことからエーテル化率の低い生成物が再沈精製中に貧溶媒である蒸留水に溶解し、回収できなかったためであると考えられる。
(1)熱的性質
試料約5mgを開放型アルミニウムパンに量り取り、窒素気流下、10℃/minの昇温速度でTG測定した。測定結果を図5に示す。
図5に示すように、TG曲線より、166℃付近にt−ブチルエステル残基に起因する約15%の重量減少が認められた。
また、第二段階の分解はβ−CDのアセタール部位の分解に起因するものであると考えられる。さらに、DSC測定を行なった結果、t−ブチルエステル残基の分解温度より低温側にTgは観測されなかった。このことから、β−CD−1のTgは130℃以上に存在すると考えられる。
(2)溶解性
β−CD−1を2mgサンプル瓶に量り取り、種々の溶媒を2mL加えてそれぞれ溶解性試験を行なった。また、室温で溶解しないサンプルは加熱することで、溶解性試験を行なった。結果を表3に示す。
キャスト溶媒に乳酸エチルを用い、β−CD−1のサンプル濃度が7.5重量%になるように調整した。この溶液を0.2μmのシリンジフィルターでろ過した後、スピンコーターを用いてフッ化マグネシウム基板に成膜した。膜厚を150nmとし、100℃で90秒間焼成した後、その塗布板を、日本分光株式会社製真空紫外分光光度計VU−201を用いて、真空条件下、130〜300nmの範囲で透過率の測定を行なった。真空紫外スペクトル測定結果を図6に示す。
図6に示すように、β−CD−1の157nm光に対する透過率は43%と比較的よい値であった。さらに193nm光に対する透過率は93%と非常に高い値であることが判明した。
フッ素含有α−CD誘導体の合成
α−CDとTBFAとのマイケル付加反応による側鎖にt−ブチルエステル残基を有する含フッ素α−CD誘導体(以下、α−CD−1と略称する;理論エーテル化率33%)を以下の方法で合成した。
三口ナスフラスコにα−CD 0.97g(0.10mmol、水酸基当量0.6mmol)を加え、DMSO 4mLに溶解させた。この溶液に塩基としてCs2CO3 0.0098g(5mol%)、および相間移動触媒としてTBAB0.019g(10mol%)を加え、40℃で6時間塩形成を行なった。その後、TBFA0.12g(0.6mmol)を加え、室温で12時間反応させた。
反応終了後、反応溶液をTHFで希釈し、クエン酸水溶液に注ぎ、析出した固体をろ過により回収した。得られた固体は良溶媒としてTHF、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈精製を行ない、白色固体を収率84%で得た。構造確認は、IR、1H NMRスペクトルの測定により行なった。エーテル化率は1H NMRより、α−CDのアセ夕ールのメチンプロトンの積分値を基準として、t−ブチル基のメチルプロトンの積分値から算出した。結果を表4に示す。
ポリロタキサンの合成
側鎖にt−ブチルエステル残基を有する含フッ素ポリロタキサン(以下、α−CD−PEG−1と略称する;理論エーテル化率33%)を以下の三段階法で合成した。
(1)PEGを軸としたα−CD−PEGポリ擬似ロタキサンの合成
α−CD2.9g(3.0mmol)を蒸留水20mLに溶解させ、末端に3−アミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(Mn=2.0×103、Mw/Mn=2.5)0.80gを加え、その後、超音波を用いて30分攪拌し、室温で24時間反応させた。
析出した固体をろ過により回収し、蒸留水で洗浄した後、乾燥させ、白色固体を収率90%で得た。得られた固体の構造確認はIR、1H NMRスペクトルの測定により行なった。結果を表5に示す。
得られたポリ擬似ロタキサンはPEG2〜3ユニットに1つのα−CDを取り込んでおり、PEG一本鎖に11個のα−CDを有していると考えられる。
100mL三口ナスフラスコにα−CD−PEGポリ疑似ロタキサン(2.0g:0.16mmol)を秤量してDMF 10mLを加える。次に、DMF 5.0mLに溶解させた2,4ジニトロフルオロベンゼン2.8g(15.1mmol)を、徐々に加え、さらにDMF 20mLを24時間反応させた。その後、大量のエーテルを加え、析出した固体をろ過により回収した。回収した固体をエーテル、DMFで洗浄し乾燥させ、良溶媒としてDMSO、貧溶媒として蒸留水を用い再沈精製を行ない、ろ過により回収して乾燥させ、黄色固体を収率16%で得た。構造確認はIR、1H NMR、13C NMRスペクトルの測定により行なった。結果を表6に示す。
得られたポリロタキサンはPEG2〜3ユニットに1つのα−CDを取り込んでおり、PEG一本鎖に10個のα−CDを有していると考えられる。
三つ口フラスコにα−CD−PEGポリロタキサン g( mmmol、水酸基当量 mmmol)を加え、 、 mLに溶解させた。この溶液に塩基としてCs2CO3 g(5mol%)と相間移動触媒としてTBAB g(10mol%)を加えた。その後、TBFA 0.14g( mmmol)を加え、室温で12時間反応させた。反応終了後、反応溶液をTHFで希釈し、クエン酸水溶液に注ぎ、析出した固体をろ過により回収した。得られた固体は良溶媒としてTHF、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈精製を行ない、黄色固体を収率17%で得た。構造確認はIRおよび1H NMRスペクトルの測定により行なった。エーテル化率は1H NMRスペクトルより、α−CDのアセタールのメチンプロトンの積分値を基準にして、t−ブチル基のメチルプロトンの積分比から算出した。結果を表7に示す。
感放射線性樹脂組成物の調製
実施例1で得られたβ−CD−1を酸解離性基含有樹脂として感放射線性樹脂組成物を調製した。酸発生剤はブレンステッド酸発生型光酸発生剤である5,6−ノルボニルイミジルトリフルオロホスホネート(以下、NDI−105と略称する)を用いた。β−CD−1に対してNDI−105を10重量%添加したTHF溶液として感放射線性樹脂組成物を調整した。
得られた感放射線性樹脂組成物を以下の方法で評価した。
(1)光脱保護反応と加熱温度効果
得られた感放射線性樹脂組成物溶液をKBr板に塗布し、減圧乾燥させることによりフィルムを作製した。このフィルムに光源として250W超高圧水銀灯[照度:8mW/cm2 (254nm)]を用い、光照射を5分間行ない、種々の温度を変えて、2時間加熱を行なった。脱保護反応の転化率は、光照射直後のt−ブチル基に起因するピークの面積を基準とし、それぞれの加熱時間における面積減少率から算出した。結果を図7に示す。図7はIRスペクトル測定結果を示す図である。
その結果、IRスペクトルにおいて、加熱時間の経過とともに1371cm-1 にt−ブチル基に起因する吸収の減衰を確認し、それに伴い、2400cm-1 〜3700cm-1 付近にカルボキシル基に起因する幅広の吸収を新たに確認した。また、加熱時間の増加とともにt−ブチルエステル残基のカルボニルに起因する1742cm-1 の吸収が低波長側にシフトしたことからも脱保護反応によりカルボン酸が生成したことが明らかとなった。
また、IRスペクトルより、β−CDのα−D−グルコースユニットに起因する各特性吸収とC−O−C伸縮振動に起因する吸収の減少を確認した。結果を図8に示す。図8はIRスペクトル測定結果を示す図である。
また、加熱前後のフィルムについて1H NMRを測定した結果、β−CDのアセタールのプロトンに起因するシグナルの減少が観測された。結果を図9に示す。図9は1H NMRスペクトル測定結果を示す図である。
このことから、光酸発生剤を添加したフィルムでは、光照射後、加熱することにより拡散した酸の影響により、β−CDのアセタール部位の分解が起きていると考えられる。
さらに、光照射したフィルムについて、t−ブチル基の脱保護反応における加熱温度効果を検討した結果、加熱温度120℃では1時間後の転化率は95%に達した。結果を図10(a)に示す。
それに対して、光照射を行なっていないフィルムや、光酸発生剤を添加していないフィルムを120℃で加熱しても、脱保護反応はまったく進行しなかった。結果を図10(b)および(c)に示す。
このことから、光照射により発生した光酸発生剤の酸が、加熱によりフィルム中に拡散することで、加熱温度120℃でもt−ブチル基の脱保護反応が定量的に進行したことが明らかとなった。
β−CD−1に光酸発生剤であるNDI−105を10重量%添加したシクロヘキサノン溶液をガラスプレ−ト上に塗布し、フィルムを作製した。このフィルムに光源として250−W超高圧水銀灯[照度:8mW/cm2 (254nm)]を用い、光照射を5分間行ない、その後、120℃で1時間加熱した。また、脱保護反応前後の塩基性水溶液への溶解性試験を行なった。結果を表8に示す。
β−CD−1に一般的なブレンスデッド酸型光酸発生剤であるトリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタン(TPSN)を5重量%添加した乳酸エチル溶液を調整した。この溶液をシリコンウェハートにスピンコートし、膜厚150nmのフィルムを作製した。このフィルムを110℃でベークし、ArF露光機で露光した後、100℃でベークして2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像した。結果を図11に示す。
その結果、パターニングが可能であることが判明した。
Claims (3)
- 下記式(1)で表されるフッ素含有シクロデキストリン誘導体。
- 環状化合物と、この環状化合物の空洞を貫通する直鎖状高分子体とからなるポリロタキサンにおいて、前記環状化合物が請求項1記載のフッ素含有シクロデキストリン誘導体であることを特徴とするポリロタキサン。
- アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性であって酸の作用によりアルカリ易溶性となる酸解離性基含有樹脂および感放射線性酸発生剤を含む感放射線性樹脂組成物であって、前記酸解離性基含有樹脂が請求項1記載のフッ素含有シクロデキストリン誘導体または請求項2記載のポリロタキサンであることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
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