JP4443794B2 - 加圧ピンの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイキャスト装置や射出成形機の金型内のキャビティに充填された溶湯を局所的に加圧する加圧ピンをシリンダで移動する加圧ピンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の加圧ピンの制御装置として出願人は特願2000−291891号で出願している。このものは、ロッドの先端に加圧ピンを具備したシリンダと増圧器との間を配管で接続し、増圧器の増圧ピストンの移動で増圧した作動油をシリンダのキャップ側室に供給して加圧ピンを前進し、加圧ピンで金型内のキャビティに充填された溶湯を局所的に加圧する。そして、増圧器に設けた位置検出センサで増圧ピストンの位置を検出することで、増圧ピストンの移動に伴い移動するシリンダのロッドに具備した加圧ピンの位置を確認でき、金型の近傍で高温の環境下に配置されるシリンダに位置検出センサを取り付けることなく加圧ピンの位置を確認できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかる従来の加圧ピンの制御装置では、金型の近傍に配置したシリンダとこのシリンダから離間して配置した増圧器との間の配管を容易にするようゴムホースで接続することがあり、増圧器の増圧ピストンの移動で増圧した作動油をシリンダのキャップ側室に供給して加圧ピンを前進する際、供給する作動油の圧力によりゴムホースが膨張し、増圧器は加圧ピンの前進分にゴムホースの膨張分を加えた容量の作動油を加圧室から吐出することになり、加圧ピンの移動距離と増圧ピストンの移動距離との間にゴムホースの膨張分に相当する誤差が生じ、加圧ピンの正確な位置を確認できなかった。
【0004】
本発明は、加圧ピンを移動するシリンダと増圧器との間を接続するゴムホースの膨張分に相当する誤差を相殺して増圧器の増圧ピストンの位置に応じて加圧ピンの正確な位置を確認し得る加圧ピンの制御装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
金型内のキャビティに充填された溶湯を局所的に加圧する加圧ピンをシリンダのロッドに具備し、シリンダは加圧ピンを金型内のキャビティに突き出す方向に前進するようキャップ側室へ作動油を供給可能に設け、シリンダ室への作動油の供給で増圧ピストンが移動して加圧室から増圧した作動油を吐出する増圧器を設け、この増圧器の加圧室と加圧ピンを具備するシリンダのキャップ側室とを作動油の圧力で膨張可能なゴムホースを介して接続し、増圧ピストンの位置を検出する位置検出センサを設けると共に、増圧器の加圧室からシリンダのキャップ側室に供給する作動油の圧力を検出する圧力検出センサを設け、位置検出センサで検出した増圧ピストンの位置の実際値と圧力検出センサで検出した作動油の圧力の実際値とを入力する制御部を備え、制御部は入力した増圧ピストンの位置の実際値に基づき加圧室から吐出した作動油の容量を算出すると共に、入力した作動油の圧力の実際値に基づゴムホースの膨張分の容積を、作動油の圧力に対するゴムホースの容積変化率の近似曲線に基づき算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−スの膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダのキャップ側室の断面積で除算して加圧ピンの位置を求める演算機能を有して成る。
【0006】
かかる本発明によると、増圧器はシリンダ室への作動油の供給で増圧ピストンが移動して加圧室から増圧した作動油を吐出し、この作動油はゴムホースを流れてシリンダのキャップ側室に供給され、シリンダはキャップ側室への作動油の供給でロッドに具備した加圧ピンを金型内のキャビティに突き出す方向に前進し、金型内のキャビティに充填された溶湯を局所的に加圧する。この際、ゴムホースが作動油の圧力で膨張するが、制御部は演算機能で位置検出センサから入力した増圧ピストンの位置の実際値に基づき加圧室から吐出した作動油の容量を算出すると共に、圧力検出センサから入力した作動油の圧力の実際値に基づゴムホースの膨張分の容積を、作動油の圧力に対するゴムホースの容積変化率の近似曲線に基づき算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−スの膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダのキャップ側室の断面積で除算して加圧ピンの位置を求める。このため、ゴムホースの膨張分に相当する誤差を相殺して加圧ピンの位置を求めることができるから、増圧器の増圧ピストンの位置に応じて加圧ピンの正確な位置を確認することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1はロッド2の先端に加圧ピン3を具備したシリンダで、内部にキャップ側室4とロッド2断面積に応じた容積分だけキャップ側室4より容積が小さいヘッド側室5とを区画形成し、キャップ側室4への作動油の供給で加圧ピン3を金型6、7内のキャビティ8に突き出す方向に前進してキャビティ8に充填された溶湯を局所的に加圧し、また、ヘッド側室5への作動油の供給で加圧ピン3を金型6、7内のキャビティ8から引き出す方向に後退し、ロッド2に具備した加圧ピン3を移動自在に設けている。そして、シリンダ1はキャビティ8に溶湯を充填した金型6、7の近傍で高温の環境下に配置している。
【0008】
9は片ロッドシリンダから成る増圧器で、内部にロッド10を軸方向へ突出した増圧ピストン11を軸方向へ移動自在に設け、増圧ピストン11の軸方向一方側にはシリンダ室12を区画形成し、ロッド10を突出した軸方向他方側には加圧室13を区画形成し、増圧ピストン11はシリンダ室12側の受圧面積より加圧室13側の受圧面積をロッド10断面積分だけ小さく形成し、シリンダ室12への作動油の供給で増圧ピストン11が移動し、シリンダ室12側と加圧室13側との受圧面積の比に応じて増圧した作動油を加圧室13から吐出自在に設けている。そして、増圧器9は金型6、7の近傍に配置したシリンダ1から離間して配置している。14は増圧器9に設けた位置検出センサで、軸方向移動する増圧ピストン11の位置を検出し、検出した増圧ピストン11の位置の実際値を位置検出信号として後述詳記する制御部Aに出力するよう設けている。
【0009】
15は作動油の圧力で膨張可能なゴムホースで、日本工業規格B8360(平成12年3月20日改正)に規定されている液圧用鋼線補強ゴムホースアセンブリ等に相当し、増圧器9の加圧室13とシリンダ1のキャップ側室4とを急速継手15A、15Bにより取り付け取り外し自在に接続している。16はゴムホース15より増圧器9の加圧室13側の流路に分岐接続した圧力検出センサで、増圧器9の加圧室13からシリンダ1のキャップ側室4に供給する作動油の圧力を検出し、検出した作動油の圧力の実際値を圧力検出信号として後述詳記する制御部Aに出力するよう設けている。17は増圧器9のシリンダ室12に接続する流路、18はシリンダ1のヘッド側室5に接続するゴムホース15と同等のゴムホースで、急速継手18A、18Bにより取り付け取り外し自在に設けている。19は電磁切換弁で、中立位置Xと第1位置Yと第2位置Zとを有し、中立位置Xでは流路17とゴムホース18とを低圧側としてのタンクTに切換連通し、第1位置Yでは流路17を作動油の油圧源Pに切換連通すると共にゴムホース18をタンクTに切換連通し、第2位置Zでは流路17をタンクTに切換連通すると共にゴムホース18を油圧源Pに切換連通する。20は流路17に配設した電流制御の流量調整弁で、電流値に応じて絞り開度を設定し、増圧器9のシリンダ室12に供給する作動油の流量を調整自在にして増圧ピストン11の移動速度を調整し、これに伴ってシリンダ1のロッド2の前進速度を調整する。21は流路17に流量調整弁20と並列に配設した逆止め弁で、増圧器9のシリンダ室12側へ向けての流れを阻止すると共にその逆方向への流れを許容するよう設けている。22は油圧源Pからの作動油を減圧制御する減圧弁で、二次側圧力を流路17における流量調整弁20の配設個所より上流側の電磁切換弁19側からパイロット流路23で導き、電磁切換弁19の第1位置Yへの切り換えにより減圧機能を生じると共に電磁切換弁19の第2位置Zへの切り換えにより減圧機能を生じないよう設けている。
【0010】
制御部Aは位置検出センサ14から出力する増圧ピストン11の位置の実際値と圧力検出センサ16から出力する作動油の圧力の実際値とを入力し、入力した増圧ピストン11の位置の実際値に基づき加圧室13から吐出した作動油の容量を算出すると共に、入力した作動油の圧力の実際値に基づきゴムホース15の膨張分の容積を算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−ス15の膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダ1のキャップ側室4の断面積で除算して加圧ピン3の位置を求める演算機能と、求めた加圧ピン3の位置を表示する表示機能を備えている。
【0011】
すなわち、制御部Aの演算機能は、入力した増圧ピストン11の位置の実際値から図1に示す増圧ピストン11の原位置を減算して増圧ピストン11の図1右方向への移動距離を算出し、この移動距離に加圧室13の断面積を乗算して加圧室13から吐出した作動油の容量を算出する。また、制御部Aには、図2にグラフで示すように、作動油の圧力に対するゴムホース15の容積変化率を実験により求めてこの近似曲線を記憶させ、近似曲線により入力した作動油の圧力の実際値に対するゴムホース15の容積変化率を求める。そして、ゴムホース15の容積変化率[%]をy、作動油の圧力[MPa]をxとすると、近似曲線はy=0.00065(x三乗)−0.0328(x二乗)+0.7171xとなる。さらに事前に、加圧ピン3の前進端すなわち図1の右方端に移動した状態でのキャップ側室4の容積を、あらかじめ判明している加圧ピン3の最大移動距離×キャップ側室4の断面積で算出し、この時の加圧室13から吐出した作動油の容量を増圧ピストン11の図1右方向への移動距離×加圧室13の断面積で算出し、この吐出した作動油の容量−キャップ側室4の容積=加圧ピン3の前進端におけるゴムホース15の膨張分の容積となり、加圧ピン3の前進端での作動油の圧力を圧力検出センサ16から検出して作動油の圧力に対するゴムホース15の容積変化率を図2の近似曲線から求める。
【0012】
これにより、加圧ピン3の現在の位置=(加圧室13から吐出した作動油の現在の容量−ゴムホース15の現在の容積変化率÷ゴムホース15の加圧ピン3の前進端における容積変化率×加圧ピン3の前進端におけるゴムホース15の膨張分の容積)÷キャップ側室4の断面積で求められる。そして、前記「ゴムホース15の現在の容積変化率÷ゴムホース15の加圧ピン3の前進端における容積変化率×加圧ピン3の前進端におけるゴムホース15の膨張分の容積」でゴムホース15の現在の膨張分の容積を算出しているが、これは、ゴムホース15自体の容積が不明であっても算出できるようにするためである。よって、ゴムホース15自体の容積が判明している場合には、前記「ゴムホース15の現在の容積変化率÷ゴムホース15の加圧ピン3の前進端における容積変化率×加圧ピン3の前進端におけるゴムホース15の膨張分の容積」の式に置き換えて、「ゴムホース15の現在の容積変化率×ゴムホース15自体の容積」で算出することが可能である。
【0013】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1の状態は、電磁切換弁19が中立位置Xに位置し、流路17とゴムホース18をタンクTに切換連通し、シリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11は原位置で停止している。
【0014】
この状態で、電磁切換弁19を第1位置Yに切り換えると、油圧源Pからの作動油は減圧弁22で減圧制御され流路17を流れ、流量調整弁20で流量を調整されて増圧器9のシリンダ室12に供給される。増圧器9はシリンダ室12に供給される作動油の圧力に基づく作用力で増圧ピストン11を図1の右方向へ移動し、加圧室13の容積を減少して加圧室13から増圧した作動油を吐出し、位置検出センサ14は右方向へ移動する増圧ピストン11の位置の実際値を位置検出信号として制御部Aへ出力する。増圧器9から吐出する増圧した作動油はゴムホース15を流れてシリンダ1のキャップ側室4に供給され、圧力検出センサ16は増圧器9の加圧室13からシリンダ1のキャップ側室4に供給される作動油の圧力の実際値を圧力検出信号として制御部Aへ出力する。シリンダ1はキャップ側室4に供給される増圧した作動油の圧力に基づく作用力でロッド2を前進して加圧ピン3で金型6、7内のキャビティ8に充填された溶湯を局所的に加圧し、ロッド2の前進によりヘッド側室5の作動油はゴムホース18を流れてタンクTに排出される。制御部Aは入力した増圧ピストン11の位置の実際値に基づき加圧室13から吐出した作動油の容量を算出すると共に、入力した作動油の圧力の実際値に基づきゴムホース15の膨張分の容積を算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−ス15の膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダ1のキャップ側室4の断面積で除算して加圧ピン3の位置を求め、求めた加圧ピン3の位置を表示する。
【0015】
そして、加圧ピン3での加圧が完了し、電磁切換弁19を第2位置Zに切り換えると、油圧源Pからの作動油はゴムホース18を流れてシリンダ1のヘッド側室5に供給される。このとき、減圧弁22は流路17がタンクTに切換連通して低圧となり、パイロット流路23より高圧の二次側圧力が作用しないため減圧機能を生じない。シリンダ1はヘッド側室5に供給される作動油の圧力に基づく作用力でロッド2を金型6、7内のキャビティ8から引き出す方向に後退し、ロッド2の後退によりキャップ側室4の作動油はゴムホース15を流れて増圧器9の加圧室13に戻される。増圧器9は加圧室13に戻された作動油の圧力に基づく作用力で増圧ピストン11を図1の左方向へ移動し、シリンダ室12の容積を減少してシリンダ室12から作動油を吐出し、この吐出した作動油は流路17を流れ逆止め弁21を介してタンクTに排出される。そして、図1に示す原位置までシリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11とが復帰移動したことを位置検出センサ14からの位置検出信号により制御部Aで確認すると、電磁切換弁19を中立位置Xに切り換えてロッド2と増圧ピストン11とを停止する。
【0016】
かかる作動で、シリンダ1のロッド2に具備した加圧ピン3を金型6、7内のキャビティ8に突き出す方向に前進し、金型6、7内のキャビティ8に充填された溶湯を局所的に加圧する際、ゴムホース15が作動油の圧力で膨張するが、制御部Aは演算機能で位置検出センサ14から入力した増圧ピストン11の位置の実際値に基づき加圧室13から吐出した作動油の容量を算出すると共に、圧力検出センサ16から入力した作動油の圧力の実際値に基づゴムホース15の膨張分の容積を、作動油の圧力x[MPa]に対するゴムホースの容積変化率y[%]の近似曲線y=0.00065(x三乗)−0.0328(x二乗)+0.7171xに基づき算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−ス15の膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダ1のキャップ側室4の断面積で除算して加圧ピン3の位置を求めるため、ゴムホース15の膨張分に相当する誤差を相殺して加圧ピン3の位置を求めることができるから、増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて加圧ピン3の正確な位置を確認することができる。また、ゴムホース15の膨張分の容積を、ゴムホース15の現在の容積変化率÷ゴムホース15の加圧ピン3の前進端における容積変化率×加圧ピン3の前進端におけるゴムホース15の膨張分の容積で算出しているため、ゴムホース15自体の容積が不明であっても加圧ピン3の正確な位置を確認することができ、ゴムホース15を径や長さが異なる他のゴムホースに交換した場合でも、加圧ピン3の正確な位置を確認することができる。
【0017】
図3は本発明の第二実施形態を示し、第一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
流路17とゴムホース15より増圧器9の加圧室13側の流路との間を流路24で接続すると共に、ゴムホース15より増圧器9の加圧室13側の流路とゴムホース18との間を流路25で接続する。ゴムホース15より増圧器9の加圧室13側の流路における流路24接続個所と流路25接続個所との間に電磁操作の第1開閉弁26を配設し、通電により開くと共に非通電により閉じるように設けている。流路24に電磁操作の第2開閉弁27を配設し、通電により流路24を開くと共に非通電により流路24を閉じるように設けている。流路25に電磁操作の第3開閉弁28を配設し、通電により流路25を開くと共に非通電により流路25を閉じるように設けている。第1開閉弁26は電磁切換弁19の第1位置Yで開くと共に電磁切換弁19の第2位置Zで開いた状態から位置検出センサ14で検出する増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて閉じるよう開閉操作自在に設けている。第2開閉弁27は電磁切換弁19の第1位置Yで流路24を閉じると共に電磁切換弁19の第2位置Zで流路24を閉じた状態から位置検出センサ14で検出する増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて流路24を開くよう開閉操作自在に設けている。第3開閉弁28は電磁切換弁19の第1位置Yで流路25を閉じると共に電磁切換弁19の第2位置Zで流路25を閉じた状態から位置検出センサ14で検出する増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて流路25を開くよう開閉操作自在に設けている。
【0018】
作動は、図3の状態で、電磁切換弁19を第1位置Yに切り換えると、第1開閉弁26は通電され開き、第2開閉弁27と第3開閉弁28は非通電のままで流路24、25を閉じている。油圧源Pからの作動油は、第一実施形態と同様に、流路17を流れて増圧器9のシリンダ室12に供給される。このとき、流路17を流れる作動油は第2開閉弁27で流路24を閉じているためゴムホース15側に流れることはない。増圧器9は、第一実施形態と同様に、増圧ピストン11を図3の右方向へ移動して加圧室13から増圧した作動油を吐出し、この作動油は開状態の第1開閉弁26よりゴムホース15を流れてシリンダ1のキャップ側室4に供給される。このとき、加圧室13から増圧した作動油は第3開閉弁28で流路25を閉じているためゴムホース18側に流れることはない。シリンダ1は、第一実施形態と同様に、ロッド2を前進して加圧ピン3でキャビティ8に充填された溶湯を局所的に加圧し、ヘッド側室5の作動油はゴムホース18を流れてタンクTに排出される。制御部Aは位置検出センサ14から入力した増圧ピストン11の位置の実際値に基づき加圧室13から吐出した作動油の容量を算出すると共に、圧力検出センサ16から入力した作動油の圧力の実際値に基づきゴムホース15の膨張分の容積を算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−ス15の膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダ1のキャップ側室4の断面積で除算して加圧ピン3の位置を求め、求めた加圧ピン3の位置を表示する。
【0019】
加圧ピン3での加圧が完了し、電磁切換弁19を第2位置Zに切り換えると、第1開閉弁26は開いた状態を、また第2開閉弁27と第3開閉弁28は流路24、25を閉じた状態をそれぞれ維持する。油圧源Pからの作動油はゴムホース18を流れてシリンダ1のヘッド側室5に供給され、シリンダ1はロッド2を後退し、ロッド2の後退によりキャップ側室4の作動油は開状態の第1開閉弁26より増圧器9の加圧室13に戻される。増圧器9は、第一実施形態と同様に、増圧ピストン11を図3の左方向へ移動してシリンダ室12から作動油を吐出し、この作動油は流路17を流れてタンクTに排出される。そして、増圧ピストン11が図3の左方向へ移動し、移動区間の途中に設定した位置に到達すると、位置検出センサ14からの位置検出信号に応じて第1開閉弁26を非通電操作して閉状態にすると共に、第2開閉弁27と第3開閉弁28を通電操作して流路24、25を開状態にする。油圧源Pからゴムホース18に流れる作動油の一部は第3開閉弁28が開状態の流路25を流れて増圧器9の加圧室13に供給され、この供給された作動油の圧力に基づく作用力で増圧ピストン11を図3の左方向へ引き続き移動する。また、シリンダ1のキャップ側室4からゴムホース15に流れた作動油は閉じた第1開閉弁26で増圧器9の加圧室13側への流れを阻止され、第2開閉弁27が開状態の第4流路24を流れて流路17よりタンクTに排出され、シリンダ1はロッド2を引き続き後退する。そして、図3に示す原位置までシリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11とが復帰移動すると、電磁切換弁19を中立位置Xに切り換えると共に、第2開閉弁27と第3開閉弁28を非通電操作し、ロッド2と増圧ピストン11とを停止する。
【0020】
かかる作動で、第一実施形態と同様に、ゴムホース15の膨張分に相当する誤差を相殺して加圧ピン3の位置を求めることができるから、増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて加圧ピン3の正確な位置を確認することができる。また、ゴムホース15自体の容積が不明であっても加圧ピン3の正確な位置を確認することができるから、ゴムホース15を径や長さが異なる他のゴムホースに交換した場合でも、加圧ピン3の正確な位置を確認することができる。さらにまた、一実施形態の効果に加え、電磁切換弁19を第2位置Yにしてシリンダ1のロッド2を後退して増圧器9の増圧ピストン11を図3の左方向へ移動している移動区間の途中で、位置検出センサ14で検出する増圧ピストン11の位置に応じて第1開閉弁26を開状態から閉状態にすると共に第2開閉弁27と第3開閉弁28を閉状態から開状態にするため、シリンダ1のキャップ側室4から増圧器9の加圧室13に戻していた作動油を流路24を流してタンクTに排出できると共に、油圧源Pからゴムホース18へ流れる作動油の一部を流路25を流して増圧器9の加圧室13に供給でき、キャップ側室4から加圧室13に戻していた作動油の漏れ等に影響されることなく、シリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11とを図3に示す原位置へ確実に復帰移動することができる。
【0021】
図4は本発明の第三実施形態を示し、前記各実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
ゴムホース15より増圧器9の加圧室13側の流路における流路24接続個所には、第二実施形態の第1開閉弁26と第2開閉弁27に替えて電磁操作の2位置弁29を配設している。2位置弁29はシリンダ1のキャップ側室4と増圧器9の加圧室13とを連通すると共に流路24を閉じる非通電による第1位置Aと、シリンダ1のキャップ側室4と流路24とを連通すると共に増圧器9の加圧室13側を閉じる通電による第2位置Bとを有している。そして、2位置弁29は電磁切換弁19の第1位置Yで第1位置Aにあると共に電磁切換弁19の第2位置Zで第1位置Aの状態から位置検出センサ14で検出する増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて第2位置Bに切り換えるよう切換操作自在に設けている。
【0022】
作動は、図4の状態で、電磁切換弁19を第1位置Yに切り換えると、2位置弁29と第3開閉弁28は共に非通電のままで、2位置弁29は第1位置Aにあり、第3開閉弁28は流路25を閉じている。油圧源Pからの作動油は、第二実施形態と同様に、流路17を流れて増圧器9のシリンダ室12に供給され、このとき、流路17を流れる作動油は2位置弁29で流路24を閉じているためゴムホース15側に流れることはない。増圧器9は、第二実施形態と同様に、増圧ピストン11を図4の右方向へ移動して加圧室13から増圧した作動油を吐出し、この作動油は第1位置Aにある2位置弁29よりゴムホース15を流れてシリンダ1のキャップ側室4に供給される。シリンダ1は、第二実施形態と同様に、ロッド2を前進して加圧ピン3でキャビティ8に充填された溶湯を局所的に加圧し、ヘッド側室5の作動油はゴムホース18を流れてタンクTに排出され、制御部Aは、前記各実施形態と同様に、加圧ピン3の位置を求め、求めた加圧ピン3の位置を表示する。
【0023】
加圧ピン3での加圧が完了し、電磁切換弁19を第2位置Zに切り換えると、2位置弁29は第1位置Aの状態を、また第3開閉弁28は流路25を閉じた状態をそれぞれ維持する。油圧源Pからの作動油はゴムホース18を流れてシリンダ1のヘッド側室5に供給され、シリンダ1はロッド2を後退し、ロッド2の後退によりキャップ側室4の作動油は第1位置Aにある2位置弁29より増圧器9の加圧室13に戻される。増圧器9は、第二実施形態と同様に、増圧ピストン11を図4の左方向へ移動してシリンダ室12から作動油を吐出し、この作動油は流路17を流れてタンクTに排出される。そして、増圧ピストン11が図4の左方向へ移動し、移動区間の途中に設定した位置に到達すると、位置検出センサ14からの位置検出信号に応じて2位置弁29を通電操作して第2位置Bに切り換えると共に、第3開閉弁28を通電操作して流路25を開状態にする。油圧源Pからゴムホース18に流れる作動油の一部は第3開閉弁28が開状態の流路25を流れて増圧器9の加圧室13に供給され、この供給された作動油の圧力に基づく作用力で増圧ピストン11を図4の左方向へ引き続き移動する。また、シリンダ1のキャップ側室4からゴムホース15に流れた作動油は第2位置Bにある2位置弁29で増圧器9の加圧室13側への流れを阻止され、流路24を流れて流路17よりタンクTに排出され、シリンダ1はロッド2を引き続き後退する。そして、図4に示す原位置までシリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11とが復帰移動すると、電磁切換弁19を中立位置Xに切り換えると共に、第3開閉弁28と2位置弁29を非通電操作し、ロッド2と増圧ピストン11とを停止する。
【0024】
かかる作動で、前記各実施形態と同様に、増圧器9の増圧ピストン11の位置に応じて加圧ピン3の正確な位置を確認することができ、また、ゴムホース15を径や長さが異なる他のゴムホースに交換した場合でも、加圧ピン3の正確な位置を確認することができる。また、電磁切換弁19を第2位置Yにしてシリンダ1のロッド2を後退して増圧器9の増圧ピストン11を図4の左方向へ移動している移動区間の途中で、位置検出センサ14で検出する増圧ピストン11の位置に応じて2位置弁29を第1位置Aから第2位置Bに切り換えると共に第3開閉弁28を閉状態から開状態にするため、第二実施形態と同様に、シリンダ1のロッド2と増圧器9の増圧ピストン11とを図4に示す原位置へ確実に復帰移動することができる。さらにまた、2位置弁29で、第二実施形態の第1開閉弁26と第2開閉弁27と同等の機能を得ているため、第二実施形態に比し、弁の個数を低減できて構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
【発明の効果】
このように請求項1にかかる発明では、制御部は演算機能で位置検出センサから入力した増圧ピストンの位置の実際値に基づき加圧室から吐出した作動油の容量を算出すると共に、圧力検出センサから入力した作動油の圧力の実際値に基づゴムホースの膨張分の容積を、作動油の圧力に対するゴムホースの容積変化率の近似曲線に基づき算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−スの膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダのキャップ側室の断面積で除算して加圧ピンの位置を求めるため、ゴムホースの膨張分に相当する誤差を相殺して加圧ピンの位置を求めることができ、増圧器の増圧ピストンの位置に応じて加圧ピンの正確な位置を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態を示し、加圧ピンの制御装置の油圧回路図である。
【図2】本発明の第一実施形態における作動油の圧力xとゴムホースの容積変化率yとの関係を近似曲線で示す説明図である。
【図3】本発明の第二実施形態を示した図1に相当する図である。
【図4】本発明の第三実施形態を示した図1に相当する図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ロッド
3 加圧ピン
4 キャップ側室
6、7 金型
8 キャビティ
9 増圧器
11 増圧ピストン
12 シリンダ室
13 加圧室
14 位置検出センサ
16 圧力検出センサ
A 制御部

Claims (1)

  1. 金型内のキャビティに充填された溶湯を局所的に加圧する加圧ピンをシリンダのロッドに具備し、シリンダは加圧ピンを金型内のキャビティに突き出す方向に前進するようキャップ側室へ作動油を供給可能に設け、シリンダ室への作動油の供給で増圧ピストンが移動して加圧室から増圧した作動油を吐出する増圧器を設け、この増圧器の加圧室と加圧ピンを具備するシリンダのキャップ側室とを作動油の圧力で膨張可能なゴムホースを介して接続し、増圧ピストンの位置を検出する位置検出センサを設けると共に、増圧器の加圧室からシリンダのキャップ側室に供給する作動油の圧力を検出する圧力検出センサを設け、位置検出センサで検出した増圧ピストンの位置の実際値と圧力検出センサで検出した作動油の圧力の実際値とを入力する制御部を備え、制御部は入力した増圧ピストンの位置の実際値に基づき加圧室から吐出した作動油の容量を算出すると共に、入力した作動油の圧力の実際値に基づゴムホースの膨張分の容積を、作動油の圧力に対するゴムホースの容積変化率の近似曲線に基づき算出し、吐出した作動油の容量からゴムホ−スの膨張分の容積を減算し、この減算値をシリンダのキャップ側室の断面積で除算して加圧ピンの位置を求める演算機能を有したことを特徴とする加圧ピンの制御装置。
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