JP3828842B2 - ダイカストマシンの射出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストマシンの射出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイカストマシンでは、射出プランジャにより金型のキャビティに溶湯を射出することにより鋳造を行う。鋳造品の品質は、溶湯の射出速度や射出圧力に大きな影響を受ける。このため、射出プランジャを駆動する射出シリンダの制御は、鋳造サイクルの間に溶湯の充填状況に応じて射出速度および射出圧力を制御して最適な射出動作を実現することが行われている。
たとえば、射出を開始したのちの所定区間では、射出スリーブ内の溶湯が空気を巻き込まないように射出速度を低速とする。次いで、溶湯の先端部がキャビティの入口に達したのちに、溶湯が冷えて固化する前に溶湯のキャビティ内への充填を完了させるために、射出速度を高速に切り換える。溶湯のキャビティ内への充填完了後は、射出圧力を急激に増加させ、キャビティ内の溶湯を加圧しながら凝固させる。
【0003】
図4は、射出装置の従来例を示す図である。
図4に示すダイカストマシン100において、金型110は、内部にキャビティ111を有し、このキャビティ111に連通するように射出スリーブ112が接続されている。この射出スリーブ112に嵌合挿入された射出プランジャ113が前進することにより、給湯口114からラドル115で供給された溶湯はキャビティ111内へ射出充填される。
射出プランジャ113は、射出シリンダ120によって駆動される。この射出シリンダ120は、ロッド125を介して射出プランジャ113に連結された射出用ピストン122が内蔵された射出用シリンダ121と、この射出用シリンダ121の後端部に連通し増圧ピストン124を内蔵する増圧用シリンダ123とを有する。
射出用シリンダ121および増圧用シリンダ123には、油圧回路130が接続されている。この油圧回路130は、油圧源131、アキュムレータ132、射出速度調整弁137、チェック弁136、増圧用チェック弁135等を有する。
油圧回路130は、射出用シリンダ121および増圧用シリンダ123をいわゆるメータイン方式で駆動する。
射出速度調整弁137は、ソレノイド138により駆動される電磁制御弁であり、エンコーダ39によって弁の開度が検出される。この射出速度調整弁137は、エンコーダ139の検出した弁の開度に基づいて制御回路140によって制御される。射出速度調整弁137の制御により射出速度が制御される。
増圧用チェック弁135は、モータにより弁の開度が調整可能になっており、増圧用チェック弁135を開くことにより、増圧が開始される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の射出装置の油圧回路130では、射出速度調整弁137に加えて増圧用チェック弁135を備えているため、回路構成が複雑となり、メインテナンス等の観点から不利である。
また、増圧時の圧力をリアルタイムに制御しようとすると、増圧用チェック弁135にサーボバルブ等のリアルタイムに弁開度を調整可能なバルブが必要となり、油圧回路130が非常に高価になる。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題に鑑みて成されたものであって、その目的は、射出速度および射出圧力のリアルタイム制御が可能で安価で簡素な構成の油圧回路を備えたダイカストマシンの射出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のダイカストマシンの射出装置は、射出プランジャを前進させて金型に形成されたキャビティに溶湯を射出、充填するダイカストマシンの射出装置であって、前記射出プランジャに連結された射出用ピストンと、前記射出用ピストンの背後に配置された増圧用ピストンとを内蔵するシリンダと、前記射出用ピストンを駆動する作動液を前記シリンダに供給する第1の流路と、前記増圧用ピストンを駆動する作動液を前記シリンダに供給する第2の流路と、前記第1および第2の流路に共通に作動液を供給する第3の流路と、前記第3の流路に所定圧力の作動液を供給する作動液供給手段と、前記第1の流路に設けられ、前記作動液の前記シリンダへ向かう流れのみを許容し、前記増圧用ピストンの駆動による前記シリンダからの作動液の流出を阻止するチェックバルブと、前記第2の流路に設けられ、前記増圧用ピストンの駆動時に開放される開閉バルブと、前記第3の流路に設けられ、制御信号に基づいて、弁開度を調整可能な制御バルブとを有し、前記制御バルブの開度に基づいて、前記射出用ピストンおよび前記増圧用ピストンを駆動制御する。
【0007】
本発明では、制御バルブに制御信号が入力されると、第1の流路を通じてシリンダに作動液が供給され、射出用ピストンが所望の速度で駆動される。その後、第2の流路の開閉バルブを開くことにより増圧用ピストンが駆動される。これと同時に、増圧用ピストンの駆動により、シリンダ内の増圧用ピストンと射出用ピストンとの間の作動液の圧力の上昇により、第1の流路からシリンダへの作動液の供給は遮断される。増圧用ピストンの駆動により射出用ピストンは押圧される。制御バルブの開度のリアルタイム制御により、射出速度制御および増圧時の圧力制御が行われる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る射出装置が適用されたダイカストマシンの構成を示す図である。
図1において、ダイカストマシン1の金型60は、内部にキャビティ61を有し、このキャビティ61に連通するように射出スリーブ62が接続されている。この射出スリーブ62に嵌合挿入された射出プランジャ63が前進することにより、射出スリーブ62に供給された溶湯は、キャビティ61内へ射出充填される。
【0009】
上記の射出プランジャ63を駆動する射出装置は、射出シリンダ2と、油圧回路20と、制御装置40とを有する。
射出シリンダ2は、射出用ピストン5を内蔵するシリンダ室3と、増圧用ピストン6を内蔵するシリンダ室4とを有している。これらのシリンダ室3,4は互いに連通しており、また、シリンダ室4はシリンダ室3よりも大径化されている。
【0010】
射出用ピストン5は、ピストンロッド5aによってプランジャ63に接続されている。
増圧用ピストン6は、射出用ピストン5の背後に配置され、射出用ピストン5よりも大径化されている。
【0011】
シリンダ室3には、射出用ピストン5と増圧用ピストン6との間の作動油の圧力を検出する圧力検出器48が設けられている。
【0012】
射出シリンダ2の先端部には、ピストンロッド5a(プランジャ63)の位置を検出するための位置検出器49が設けられている。
【0013】
油圧回路20は、第1,第2および第3の流路25,26,27と、チェックバルブ22と、サーボバルブ28と、開閉バルブ23と、油圧源30と、アキュムレータ31とを有する。なお、チェックバルブ22は本発明のチェックバルブの一実施態様であり、サーボバルブ28は本発明の制御バルブの一実施態様であり、開閉バルブ23は本発明の開閉バルブの一実施態様である。また、油圧源30およびアキュムレータ31は本発明の作動液供給手段を構成している。
【0014】
第1,第2および第3の流路25,26,27は、たとえば、配管、又はブロクに穴を加工したマニホールドで構成される。
第1の流路25は、シリンダ室3の射出用ピストン5のピストンロッド5aとは反対側に接続されており、射出用ピストン5を駆動するための作動油を供給する。
第2の流路26は、シリンダ室4の増圧用ピストン6の射出用ピストン5とは反対側に接続されており、増圧用ピストン6を駆動するための作動油を供給する。
第3の流路27は、一端が第1の流路25および第2の流路26に共通に接続されており、他端が油圧源30およびアキュムレータ31に接続されている。
【0015】
油圧源30は、第3の流路27に作動油を供給する。
アキュムレータ31は、第3の流路27に供給された作動油を所定の圧力に加圧する。
【0016】
サーボバルブ28は、第3の流路27の中途に設けられている。このサーボバルブ28は、バルブを開閉するアクチュエータ28aと、バルブの開度を検出する位置検出器28bを備えている。後述する制御装置40からの制御信号46sがアクチュエータ28aに入力されることにより、バルブの開度が調整される。バルブの開度の制御により、油圧源30側から第1および第2の流路25,26側に供給される作動油の流量が制御される。また、バルブの開度は、位置検出器28bにより検出され、制御装置40にフィードバックされる。
【0017】
チェックバルブ22は、第1の流路25の中途に設けられている。このチェックバルブ22は、サーボバルブ28側から第1の流路25を通じて射出シリンダ2に向けて供給される作動油の流れを許容し、射出シリンダ2側から第1の流路25に向かう作動油の流れを阻止する。
【0018】
開閉バルブ23は、第2の流路26の中途に設けられたパイロットチェックバルブである。この開閉バルブ23は、パイロット操作により第2の流路26を開閉し、開放されたときには、シリンダ室4への作動油の流入のみ許容する。
【0019】
制御装置40は、プロセッサ41、メモリ42、入力回路43、出力回路44、増幅器46、表示器45、データ入力装置47等を有する。
メモリ42、入力回路43および出力回路44は、プロセッサ41とバスによって接続されている。
メモリ42は、サーボバルブ28を駆動制御するプログラム等を記憶する。
入力回路43には、データ入力装置47、位置検出器49、圧力検出器48等が接続されており、入力回路43はデータ入力装置47から入力されたデータ、位置検出器49の検出したプランジャ63の位置情報49s、圧力検出器48の検出した圧力情報48s等をプロセッサ41に出力する。
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されたプログラムに基づいて、サーボバルブ28に対する指令を算出する等の演算を行う。具体的には、プロセッサ41は、位置検出器49の検出した位置情報49sに基づいて、射出速度制御を行い、圧力検出器48の圧力情報48sに基づいて、射出圧力制御を行う。
出力回路44には、増幅器46や表示器45が接続されており、この出力回路44はプロセッサ41等からのデータを増幅器46や表示器45に出力する。
増幅器46は、プロセッサ41により演算された制御指令を増幅し、サーボバルブ28のアクチュエータ28aに出力する。
【0020】
次に、上記構成のダイカストマシン1における射出制御の一例について図2を参照して説明する。
図2は、ダイカストマシン1の射出制御における射出圧力波形および射出速度波形の一例を示すグラフである。
図2に示すように、ダイカストマシン1の射出制御は、低速射出と高速射出からなる射出速度制御、および増圧制御の順で行われる。
【0021】
まず、ダイカストマシン1のスリーブ62内に所定量の溶湯を供給したのち、サーボバルブ28が制御装置40により制御され、射出速度Vが低速VL となるように射出用ピストン48が駆動される。
【0022】
制御装置40は、射出開始点Oから位置検出器49の検出するプランジャ63の位置情報を逐次監視し、プランジャ63が高速開始点Dに達したところで、射出速度Vが高速VH となるようにサーボバルブ28の開度を拡げる。サーボバルブ28の開度が拡がることにより、シリンダ室3に流入する作動油の流量が増加し、射出用ピストン5の前進速度が増加する。
高速開始点Dは、スリーブ62からキャビティ61に向けて射出された溶湯の先端部がキャビティ61のゲートに略到達する位置である。
射出速度Vを高速VH に切り換えることにより、射出圧力PはPL からPH に上昇する。
【0023】
射出速度Vを高速VH に切り換えたのち、溶湯がキャビティ61に充填されると、射出速度VはVdで示すように、急に減速する。制御装置40は、この減速が開始する減速開始点Lを、位置検出器49の検出するプランジャ63の位置情報から認識することができる。射出速度Vが減速すると、射出圧力PはPdで示すように上昇する。
また、減速する射出速度Vdの傾きは、サーボバルブ28の開度を調整することにより制御される。すなわち、サーボバルブ28の開度に基づいて、減速制御が行われる。
【0024】
射出速度Vが減速し、プランジャ63の位置が増圧開始位点Mに到達したところで、制御装置40は、サーボバルブ28を所定の開度までさらに開く。これと同時に開閉バルブ23を開放可能な状態にする。
サーボバルブ28を所定の開度まで開くと、第1の流路25および第2の流路26には大流量の作動油が急激に供給される。これにより、第2の流路26に設けられた開閉バルブ23は、サーボバルブ28の開度に応じて開き、作動油が開閉バルブ23を通じてシリンダ室4に供給される。
シリンダ室4に作動油が供給されると、増圧用ピストン6が前進する。増圧用ピストン6が前進すると、増圧用ピストン6と射出用ピストン5との間の作動油の圧力が上昇するため、チェックバルブ22は自閉する。すなわち、第1の流路25を通じてシリンダ室3に向かう作動油は遮断され、シリンダ室3の増圧用ピストン6と射出用ピストン5との間の空間は密閉される。
【0025】
これにより、射出用ピストン5が背後から前進方向に押圧され、射出圧力PはPtで示すように上昇し、最大射出圧力Pmax に達する。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、加圧された作動油が供給される第3の流路27に制御装置40からの制御信号46sに基づいて開度を調整可能なサーボバルブ28を設け、このサーボバルブ28の制御により、低速および高速の射出速度制御、減速開始点Lからの減速制御、増圧開始点Mからの増圧制御をリアルタイムに行うことが可能である。さらに、サーボバルブ28の開度の変更によって射出速度制御から増圧制御への切換も行うことが可能となる。
この結果、油圧回路20の構成を簡素化でき、装置のコストを大幅に削減することが可能となる。
また、サーボバルブ28の制御により、射出速度および射出圧力の双方をリアルタイムに所望の値に制御することができ、これまでにできなかった高度な射出制御が可能となる。
【0027】
第2の実施形態
図3は、本発明の他の実施形態に係る射出装置が適用されたダイカストマシンの構成を示す図である。なお、図3において、第1の実施形態と同一構成部分については同一の符号を使用している。
上述した第1の実施形態では、射出用ピストン5および増圧用ピストン6をいわゆるメータイン方式で駆動する油圧回路20について説明した。このため、上述した第1の実施形態の油圧回路20におけるサーボバルブ28は、比較的大流量の制御ができるものが必要である。また、サーボバルブ28の容量が限られると、高速射出に対応するのが困難になる可能性もある。
本実施形態では、第1の実施形態のサーボバルブ28の容量を小さくできるととともに、超高速射出に対応可能な構成について説明する。
【0028】
図3において、第1の実施形態と異なる構成は、サーボバルブ28の上流側の第3の流路27と第2の流路26との間にバイパス回路70が追加された点と、射出用ピストン5の駆動(前進)によりシリンダ室3から排出される作動液をシリンダ室3の増圧用ピストン6側(第1の流路25の供給口側)に還流可能なランアラウンド回路80とが追加された点である。
【0029】
バイパス回路70は、第3の流路27と第2の流路26との間を直接接続する流路71と、この流路71に設けられた電磁制御弁72とを有する。
電磁制御弁72は、制御装置40の出力回路44と接続されており、出力回路44からの制御信号に応じて弁が開閉される。
このバイパス回路70は、電磁制御弁72の弁が開くことにより、サーボバルブ28を介さずに、第3の流路27に供給される作動液の一部を第2の流路26に直接供給する。
【0030】
ランアラウンド回路80は、シリンダ室3のピストンロッド5a側と増圧用ピストン6側とを接続する流路81と、流路81に設けられた電磁制御弁82と、流路81から分岐した流路84に接続されたパイロットチェックバルブ83とを有する。
【0031】
電磁制御弁82は、制御装置40の出力回路44と接続されており、出力回路44からの制御信号に応じて弁が開閉される。
パイロットチェックバルブ83は、パイロット操作により開閉し、パイロットチェックバルブ83が開放されているときには、流路81に供給される作動油を外部に排出する。
【0032】
次に、上記構成のダイカストマシンの射出制御の一例について説明する。
図2において説明したのと同様に、まず、射出用ピストン48を低速VL で駆動する。このとき、ランアラウンド回路80の電磁制御弁82は閉じられており、パイロットチェックバルブ83は開放されている。このため、射出用ピストン48の前進によりシリンダ室3から流路81に排出される作動油は、流路84およびパイロットチェックバルブ83を通じて外部に排出される。
【0033】
プランジャ63が高速開始点Dに達したところで、射出速度Vが高速VH となるようにサーボバルブ28を制御する。また、プランジャ63が高速開始点Dに達したところで、制御装置40からランアラウンド回路80の電磁制御弁82に制御信号を出力し、電磁制御弁82を開く。なお、ランアラウンド回路80のパイロットチェックバルブ83は、閉じた状態にある。
【0034】
プランジャ63が高速開始点Dから高速VH で駆動されると、シリンダ室3のピストンロッド5a側から作動油が流路81を通じて射出用ピストン5側に還流する。これにより、シリンダ室3の射出用ピストン5側には、流路81を通じて還流した作動油とサーボバルブ28およびチェックバルブ22を通じて供給される作動油とが合流する。このシリンダ室3の射出用ピストン5側に流路81を通じて還流する作動油の流量は、射出用ピストン5の断面積をSA ,ピストンロッド5aの断面積をSB 、射出用ピストン5の移動量をLとすると、(SA −SB)×Lである。
【0035】
シリンダ室3の射出用ピストン5側に流路81を通じて作動油を還流することで、サーボバルブ28の容量を小さくできる。また、サーボバルブ28の制御流量を少なくすることができるので、射出用ピストン5を非常に高速に駆動することが可能となる。
【0036】
射出速度Vを高速VH に切り換えたのち、プランジャ63が減速開始点Lに達したところで、ランアラウンド回路80の電磁制御弁82を閉じて、作動油の還流を停止させる。同時に、パイロットチェックバルブ83を開き、流路81に供給される作動油を流路84およびパイロットチェックバルブ83を通じて外部に排出する。
【0037】
プランジャ63が減速開始点Lに達した後、減速する射出速度Vdの傾きは、サーボバルブ28の開度の調整により任意に制御可能である。
【0038】
射出速度Vが減速し、プランジャ63の位置が増圧開始位点Mに到達したところで、制御装置40は、サーボバルブ28を所定の開度までさらに開く。これと同時に開閉バルブ23を開放可能な状態にする。
サーボバルブ28を所定の開度まで開くと、上述した第1の実施形態と同様に、第2の流路26には大流量の作動油が急激に供給され、シリンダ室4に作動油が供給される。これにより、増圧用ピストン6が前進する。
増圧用ピストン6が前進すると、増圧用ピストン6と射出用ピストン5との間の作動油の圧力が上昇するため、チェックバルブ22は自閉する。
【0039】
これにより、射出用ピストン5が背後から前進方向に押圧され、射出圧力PはPtで示すように上昇し、最大射出圧力Pmax に達する。
【0040】
ここで、増圧制御を開始後の射出圧力Ptの傾き(立ち上がり)がサーボバルブ28を通じてシリンダ室4に供給される作動油では足りない場合には、制御装置40から電磁制御弁72に制御信号を出力し、電磁制御弁72を開く。
すなわち、プランジャ63の位置が増圧開始位点Mに到達したところで、サーボバルブ28を所定の開度まで開くとともに、電磁制御弁72を開く。
電磁制御弁72を開くと、サーボバルブ28の上流において第3の流路27に供給される作動油の一部が流路71、電磁制御弁72を通じて第2の流路26に直接供給される。
このため、サーボバルブ28を通過する流量では足りない流量をバイパス回路70によって補うことができる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果に加えて、サーボバルブ28の小容量化および射出速度の高速化が実現できる。
【0042】
本発明は上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、本発明の制御バルブとしてサーボバルブ28を用いた場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、比例電磁弁、ディジタル弁、メカニカル制御弁等のリアルタイムに弁開度を制御可能な制御バルブであれば本発明を適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、射出速度および射出圧力のリアルタイム制御が可能で安価で簡素な構成の油圧回路を備えたダイカストマシンの射出装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る射出装置が適用されたダイカストマシンの構成を示す図である。
【図2】ダイカストマシンの射出制御における射出圧力波形および射出速度波形の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の他の実施形態に係る射出装置が適用されたダイカストマシンの構成を示す図である。
【図4】射出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…ダイカストマシン
2…射出シリンダ
3,4…シリンダ室
5…射出用ピストン
6…増圧用ピストン
20…油圧回路
22…チェックバルブ
23…開閉バルブ
25…第1の流路
26…第2の流路
27…第3の流路
28…サーボバルブ
30…油圧源
31…アキュムレータ
40…制御装置
60…金型
61…キャビティ
62…スリーブ
63…プランジャ
70…バイパス回路
80…ランアラウンド回路

Claims (3)

  1. 射出プランジャを前進させて金型に形成されたキャビティに溶湯を射出、充填するダイカストマシンの射出装置であって、
    前記射出プランジャに連結された射出用ピストンと、前記射出用ピストンの背後に配置された増圧用ピストンとを内蔵するシリンダと、
    前記射出用ピストンを駆動する作動液を前記シリンダに供給する第1の流路と、
    前記増圧用ピストンを駆動する作動液を前記シリンダに供給する第2の流路と、
    前記第1および第2の流路に共通に作動液を供給する第3の流路と、
    前記第3の流路に所定圧力の作動液を供給する作動液供給手段と、
    前記第1の流路に設けられ、前記作動液の前記シリンダへ向かう流れのみを許容し、前記増圧用ピストンの駆動による前記シリンダからの作動液の流出を阻止するチェックバルブと、
    前記第2の流路に設けられ、前記増圧用ピストンの駆動時に開放される開閉バルブと、
    前記第3の流路に設けられ、制御信号に基づいて、弁開度を調整可能な制御バルブとを有し、
    前記制御バルブの開度に基づいて、前記射出用ピストンおよび前記増圧用ピストンを駆動制御する
    ダイカストマシンの射出装置。
  2. 前記射出用ピストンの駆動により前記シリンダから排出される作動液を前記第1の流路の供給口側に還流可能なランアラウンド回路をさらに有する
    請求項1に記載のダイカストマシンの射出装置。
  3. 前記作動液供給手段から前記第3の流路に供給される作動液の一部を前記制御バルブを介さずに前記第2の流路に直接供給可能なバイパス回路をさらに有する
    請求項2に記載のダイカストマシンの射出装置。
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