JP4442203B2 - 電子線放射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、物体の改質や、殺菌、滅菌、イオン化等を行う電子線放射装置に関するものである。
電子線を用いて滅菌や殺菌を行う方法(例えば特許文献1)が提案されているが、従来これらの方法に用いる電子線放射装置としては、図9に示すような装置があった。
この装置は高真空室1と、この高真空室1中に保持された熱フィラメント2及び、高加速電圧発生部3と、高真空室1と電子を照射する被処理物体が存在し得る大気圧の空間部4とを隔離する板状の窓部5とからなる熱型の電子放射源で構成されている。ここで高真空室1は、熱フィラメント2が酸化等で断線、劣化するのを防止するためであり、高加速電圧発生部3での異常放電を抑え、正常動作を可能とする。熱フィラメント2は、電流が流されることで高温に発熱し、これによりフィラメント表面からの熱電子放射を行うものである。高加速電圧発生部3は電子eが窓部5を透過できるだけのエネルギを電界でもって電子に与えるためのもので、高電圧を発生させるとともに、電子eが走行する空間に高電位差を生じさせる。大気圧の空間部4は被処理物体を処理するための空間で、一般的な通常の環境(大気圧下)で処理可能とする。窓部5は高真空室1と大気圧の空間部4とを仕切り、高真空室1中を高真空に保持するとともに、熱フィラメント2で発生し高加速電圧発生部3で加速された高エネルギの電子eを大気圧の空間部4へ通過させ、空間部4に配置されている被処理物体に照射するようになっている。
特開2003−200363号公報(段落番号0030)
ところで、図9に示す装置は点状(若しくは線状)の電子放射源として熱フィラメント2を用いたものであり、そのため放射電子eも点状(若しくは線状)であり、広い面積の被処理物体に対する処理が一括で行えず、処理効率が低いという問題があった。また電子放射源を面状にする場合、電子放射源を複数配列するか、又は、電子放射源内部に電子eを走査するためのスキャン部6及びその制御部を設けることが必要で、構成が複雑となるとともに、装置が大型化し、しかも重量がかさみ、コストも高くなるという問題があった。更に被処理物体への電子eの照射方向は一方向のみであり、そのため被処理物体への照射が片側のみとなって、照射が不均一となる上に、処理効率が悪いという問題もあった。また被処理物体への照射を均一にしようとすれば、被処理物体の方向や位置などを変えることが必要となり、そのため装置が大掛かりになって維持コストがかかるという問題もあった。更にまた被処理物体を処理する空間部4が1箇所のみで、処理効率が悪く、また高加速電圧発生部3があるため、装置の高さ方向のサイズが大きく、薄型、コンパクト化が難しく、装置設計の自由度が低いという問題もあった。特に、スキャン部6を設けた場合は、電子eをスキャンできるだけの縦方向の距離が必要で、更に高さが必要になった。
上記の問題を解決するために、電子照射装置の両方向或いは被処理物の両方向から電子を照射しようとして、2つの電子照射装置を設置すると、更に非常に高さ方向のサイズが大きくなるので、実際上、実現するのは困難であった。特に高真空室1が必要なため、高価な真空排気装置を必要として、更に高真空状態を維持するための特別な構造、材料が必要であった。
このように従来装置では構造が複雑となるとともに、大型で重量がかさみ、コスト及び維持コストも高く、窓部5があるため、高電圧が必要であり、そのための高電圧発生装置や高加速電圧発生部などが必要で、構造が複雑となるとともに、大型で重量がかさみ、コストも高くなった。電子eが高エネルギで加速されることで、高エネルギの電子線が発生するとともに、それが物質と衝突することによってX線のような高エネルギの放射線が発生したり、被処理物体が放射化するという安全上の課題があった。
また、それらの防護対策のために、構造が複雑となるとともに、大型で重量がかさみ、更にコストが高くなるという課題もあった。更にまた、法律上の規制(原子力法や労働安全衛生法など)を受け、科学技術庁への届出や放射源取扱主任者の選任などが必要で、特殊な管理を要していた。更に照射電子エネルギが高いため、被処理物体の基材や包装材など、処理で変質させたくない部分にまで影響したり、或いは影響する可能性があり、そのため被処理物体が限定されるという課題があった。
しかも熱フィラメント2を用いているので、高温に達するまでに時間が必要で、電子放射は瞬時に起こらず、パルス駆動が困難であった。更にまたあるエネルギ量の一定の電子を照射することができるのみであり、被処理物体の有無や位置、量、種類などに応じた最適なエネルギ量の電子eを照射できないので、無駄な消費電力が多い一方、処理による効果が低いという課題があった。
本発明は、上述の課題に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、処理効率が高く、処理を均一に確実にできるとともに、安全で低コスト、構造が簡単で小型・薄型・軽量、低消費電力化が図れる、簡便な電子線放射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、被処理物体が配置される空間部と、該空間部に電子を放射する電子放射面を有する冷電子放射源とを備え、前記冷電子放射源は、前記空間内に電子を放射する第一の冷電子放射素子と第二の冷電子放射素子とを互いの電子放射面を反対に向けて非電子放射面を合わせた形となるように配置した一対の冷電子放射素子からなり、前記空間部に前記第一、第二の冷電子放射素子から電子を放射させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、被処理物体に対して広い面積で電子を照射することができ、そのため処理効率が高く、処理を均一に確実にでき、また高電圧を要しないため安全性が高く、更に熱電子放射源を高真空室内に設ける必要がなく、そのため真空排気装置、電子を加速する高圧電源、スキャナを用いる必要もないため、構造が簡単で、小型・薄型・軽量に製作できるとともに、低消費電力で低コストな電子線放射装置を実現できる。
また、請求項の発明によれば、被処理物体を入れる又は入る空間部が2箇所となって、一度にそれぞれの空間部にある被処理物体を処理することができるため、処理効率が一層高くなる。
請求項の発明では、請求項の発明において、上記冷電子放射源の少なくとも一方の電子放射面に、電子を放射する別の冷電子放射源の電子放射面を対向配置したことを特徴とする。
請求項の発明によれば、被処理物体の両面方向から電子照射が行え、両面で均一な処理が可能で、処理効率を高めることができ、また別の冷電子放射源を設けるだけで良いので、安い製作コストで実現できる。
請求項の発明では、請求項の発明において、上記冷電子放射源を空間を介して複数並行配置したので、複数の被処理物体に一度に対処できるため、更に処理効率を高めることができる。
請求項の発明では、請求項1の発明において、前記空間部は複数の冷電子放射源で囲まれ、各冷電子放射源から空間部内に電子を放射することを特徴とする。
請求項の発明によれば、被処理物体への電子照射を多方向から行え、そのため被処理物体の位置や方向を変えたり、またそのための機構を設ける必要がなく、電子照射が均一に行え処理効率が高い電子放射装置を低コストで実現できる。
請求項の発明では、請求項の発明において、前記冷電子放射源を3次元的に配列して複数の筒状空間部を形成し、複数の空間部内の被処理物体に対して、各空間部を囲む各冷電子放射源の電子放射面から電子を放射するようにしたことを特徴とする。
請求項の発明によれば、請求項の発明と同様に各空間部内の被処理物体への電子照射を多方向から行え、そのため被処理物体の位置や方向を変えたり、またそのための機構を設ける必要がなく、更に多数の被処理物体に対して電子照射が均一に行え、一層処理効率が高くなった電子放射装置を低コストで実現できる。
請求項の発明では、請求項1乃至の何れか1項の発明において、前記冷電子放射源を構成する冷電子放射素子は電子源をマトリクス状に配置して構成されていることを特徴とする。
請求項の発明によれば、電子照射する電子放射源を選択的にオンオフすることができ、そのため電子エネルギや照射量を自由に可変することが可能となる。
請求項の発明では、請求項1乃至の何れか1項の発明において、前記空間部に放射する電子のエネルギを50[KeV]以下1[eV]以上とし、上記被処理物体の特性若しくは表面を改質する改質装置を構成することを特徴とする。
請求項の発明によれば、冷電子放射源で容易に得られるエネルギ領域であり、しかも原子力法の規制を受けることがなく、またX線の発生の心配もない改質装置を提供することができ、特に電子エネルギが小さいため、処理で変質させたくない被処理物体の基材、包装材の部分に影響することがなく、処理対象を限定しない。
請求項の発明では、請求項の発明において、前記空間部に放射する電子のエネルギ領域を紫外線のエネルギ領域としたことを特徴とする。
請求項の発明によれば、紫外線と同様に原子や分子の励起ができ、また原子や分子の励起、原子間結合の切断することができる。
請求項の発明では、請求項の発明において、前記空間部に放射する電子のエネルギを電離エネルギ領域としたことを特徴とする。
請求項の発明によれば、原子や分子の電離作用を生じさせることができ、物体の特性若しくは表面を改質することができる。
本発明は、被処理物体に対して広い面積で電子を照射することができ、そのため処理効率が高く、処理を均一に確実にでき、また高電圧を要しないため安全性が高く、更に熱電子放射源を高真空室内に設ける必要がなく、そのため真空排気装置、電子を加速する高圧電源、スキャナを用いる必要もないため、構造が簡単で、小型・薄型・軽量に製作できるとともに、低消費電力で低コストな電子線放射装置を実現できるという効果がある。
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
本実施形態は、図1のように、両面に開口部を設けた装置本体10と、上記開口部の開口周縁に嵌められたアルミニウム、タングステン、ステンレス等の金属材からなる窓枠部11と、この装置本体10内の中央部に、各窓枠部11に囲まれた窓部11aに両面の電子放射面を対向させた電子放射源12と、装置本体10外に配置され、冷電子放射源12の加速電極を兼ねた装置本体10との間に直流電圧を印加するための直流電源13A,13Bとで構成される。
冷電子放射源12は一対の冷電子放射素子12A、12Bの非電子放射面を背中合わせて接着することで冷電子放射素子12A,12Bを一体化したもので、各冷電子放射素子12A,12Bの電子放射面を装置本体10の窓枠部11に囲まれた窓部11aにそれぞれ対向配置している。
装置本体10の窓部11aに対向する装置本体10外の空間部14に位置する被処理物体に各電子放射素子12A,12Bの電子放射面から放射される電子eを照射するようになっている。勿論被処理物体に電子eを照射するための空間部として装置本体10内の空間を用いても良い。
ここで本実施形態の冷電子放射素子12A,12Bとしては、大気に開口した窓部11aを用いることを可能とすために、大気圧下で使用可能な平面状の電界放射型冷電子放射素子を用いている。勿論窓部11aに電子線が通過可能な材質の板材を嵌めることで、装置本体10を大気と遮断する場合には、低真空度で使用可能なMIM型、MIS型などの平面状の冷電子放射素子を用いても勿論良い。これらの冷電子放射素子の使用により電子エネルギの低電圧化が図れる。
ここで本実施形態において冷電子放射素子12A,12Bに用いる電界放射型冷電子放射素子について図2,図3を用いて簡単に説明する。
本実施形態における冷電子放射素子12A(又は12B)は、図2に示すように絶縁性基板20の一表面上に設けられた下部電極21と、強電界ドリフト層22上に形成された表面電極23との間に強電界ドリフト層22のドリフト部を挟み、表面電極23と下部電極21との間に電圧Vpsを印加することにより、強電界が作用して電子が面的に放射されるようになっている。ここで上記ドリフト部は、絶縁性基板20の上記一表面側に下部電極21を形成した後に絶縁性基板20の上記一表面側に強電界ドリフト層22の元となる半導体層であるノンドープの多結晶シリコン層をその上に堆積させ、当該多結晶シリコン層の一部にナノ結晶化プロセス及び後述の酸化プロセスを行うことにより形成されており、図3に示すように、少なくとも、下部電極21の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)24と、グレイン24の表面に形成された薄いシリコン酸化膜25と、グレイン24間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)26と、シリコン微結晶26の表面に形成され当該シリコン微結晶26の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリコン酸化膜27とから構成されると考えられる。ここに、各グレイン24は、下部電極21の厚み方向に延びている。つまり、絶縁性基板20の厚み方向に延びている。尚グレイン24、シリコン微結晶26、各シリコン酸化膜25,27以外の領域がアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンからなるアモルファス領域28となっているが、ナノ結晶化プロセスの条件によってはアモルファス領域28が孔となる。このような電界放射型冷電子放射素子から電子を放射させるには、図2に示すように表面電極23に対向配置されたアノード電極29を設け、表面電極23が下部電極21に対して高電位側となるように表面電極23と下部電極21との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、アノード電極29が表面電極23に対して高電位側となるようにコレクタ電極29と表面電極23との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極21から注入された電子が強電界ドリフト層22をドリフトし表面電極23を通して放射される。
ここで本実施形態では、上記電界放射型冷電子放射素子からなる各冷電子放射素子12A,12Bの電子放射面に対向するコレクタ電極29として窓枠部11を用い、上記直流電圧Vcを印加する電源が直流電源13A,13Bである。尚窓枠部11の代わりに装置本体10の開口部にグリッド状(ライン状)、メッシュ状(孔形状は円形、楕円、矩形等、また配列も縦横整列配置、千鳥配列等、特に形態を問わない)の金属製材を配置してアノード電極とし、このアノード電極を配置した開口部を窓部11aとしても良い。
さて本実施形態装置から放射する電子(電子線)の照射によって改質処理を行う対象となる被処理物体は、固体、液体、気体などの非生物や、生物からなり、非生物の特性や表面状態を変える改質としては、硬化、重合、分解、架橋、酸化などの各種化学反応、励起、電離、イオン化、表面張力、表面エネルギ、濡れ性、密着性、吸収率、屈折率、結晶構造変化、欠陥発生などの物理変化、更に細菌やウイルス、黴(花粉を含む)等に対してはDNAの損傷などによって滅菌・殺菌・除菌を行い、また昆虫類では殺虫、発芽や、老化、成熟の抑制などの生物的作用を含み、それぞれの処理に対応した所定のエネルギが与えられた電子線を被処理物に照射するようになっている。
ここで被処理物体に照射する電子(電子源)のエネルギは、被処理物体を放射化しないために10[MeV]未満とする必要があるが、原子力法などの法的規制を受けずにすむという点からは1[MeV]未満とすることが望ましい。また300[KeV]以下であればX線などの放射線に対する防護処置が簡易にできるので望ましい。また300[KeV]以下であれば、労働安全衛生法等の法律による規制が特になく、また国際的にも5[KeV]以下であれば規制がないので極めて望ましい。
一方、原子や分子の励起に必要なエネルギは4[eV]であり、また、原子間の結合エネルギは4〜8[eV],電離エネルギは20〜100[eV]であるので、最低それらのエネルギを持った電子であれば、原子や分子の励起、原子間結合の切断、原子や分子の電離作用を生じさせることが可能であり、物体の特性若しくは表面を改質することが可能となる。また紫外線のエネルギ領域が4〜12eVは、丁度励起エネルギや結合エネルギの領域と同じ領域にあるので、この紫外線の領域のエネルギを持った電子を照射すれば紫外線と同様に効果が期待できる。
ここで上述した構造の電界放射型冷電子放射素子からなる冷電子放射素子12A,12Bにより構成された冷電子放射源12は、印加電圧に比例して放射電子のエネルギが高くなり、例えば印加電圧が10〜20Vでの放射電子のエネルギは例えば1〜十数[eV]と熱電子に比べて非常に高く(熱電子の放射エネルギは0.1[eV]程度かそれ以下であり、上記の改質作用を期待することはできない)、加速電極にエネルギの加速がなくても1〜十数[eV]のエネルギ領域の電子放射ができる。
そして本実施形態のように窓枠部11からなるアノード電極を用いて加速すれば、1eV〜50[Kev]のエネルギ領域の電子放射が容易にできる。従って上記の紫外線のエネルギ領域や電離エネルギの領域に対応して4[eV]以上のエネルギで電子放射を行えて改質の効果が得られる。
尚電離エネルギ領域以下のエネルギを持つ電子線を物体に照射した場合、物体への電子付着が期待できるので、マイナスイオンの生成が可能となる。また電離エネルギ領域以上のエネルギを持つ電子線を照射した場合、エネルギに比例して発生する2次電子による電子の増倍効果とそれによる作用が期待できるので、処理効率を上げる意味では好ましい。
更に本実施形態の構造では、装置本体10の両面の窓部11aから電子e を放射することができるので、両側の空間部14に位置する被処理物体を同時に処理できるため、処理効率が良く、また面状に電子を照射するため均一な処理が行える。また窓部11aには閉塞する板部材が存在しないので、電子eがその板部材で散乱を受けてロスすることもなく、そのため消費電力を低減でき、また窓部がロスによって加熱されることもないので、窓部の冷却手段が不要となるため、構造も簡単となり、製造コストも安価にできる。更に電解放射型の冷電子放射源を用いているので、電子放射を瞬時に起こすことができ、パルス駆動も容易に行え、そのため、必要なときのみ電子照射が行えて消費電力を抑えるとともに安全性も高めることができる。また更に本実施形態では、装置本体10の両面の窓部11aから電子e を放射することができるので、両側の空間部14に位置する被処理物体を同時に処理できるため、処理効率が良い。
以上のように構成した本実施形態の電子放射装置を改質装置として用いれば、一次作用としての改質作用と、有害物質の除去や、脱臭、埃やたばこの煙の除去などの2次作用が得られ、これら作用の効果を利用すれば、空気清浄器、エアコン、加湿器、除湿器、衣類乾燥機、食器乾燥機、手洗い乾燥機、ファンヒータ、クリーナ、冷蔵庫、保管庫、食器棚、下駄箱、トイレ、浄水器、洗濯機、冷凍庫、製氷器、殺虫器等、様々な用途に用いることができる。
ところで、本実施形態のように窓枠部11を設ける場合、図4に示すように冷電子放射源12と絶縁層30を介して一体化して設けることで、装置本体10の薄型化、軽量化、コンパクト化を図るようにしても良く、この場合冷電子放射源12と一体に窓枠部11を形成するため、製造が容易で低コスト化も図れる。
更に図3に示す構造の電子源をマトリクス状に配置することで、全体として面状の電子放射面を持つ冷電子放射素子を冷電子放射素子12A,12Bに用いても良い。この場合、所望の位置での電子放射のオン・オフが自由にできるとともに所望の位置の放射電子のエネルギや照射量を自由に可変できる。図5はこのマトリクス状に電子放射源を配置した構成の冷電子放射素子(冷電子放射源)の上面図であり、下部電極と表面電極との交点位置とがそれぞれの電子放射源が形成されている位置となる。
また被処理物体の有無、量、状態、位置、姿勢、種類などを検知できるセンサを設け、このセンサの検知方法により、電子放射のオンオフの切り替え、エネルギや照射量、照射時間、照射方向等を制御するようにしても良い。特に上記のマトリクス状に電子放射源を配置形成した冷電子放射素子と組み合わせれば、所定位置での電子放射のオンオフ、照射量の制御が効果的に行える。
(実施形態2)
上記実施形態1では、電子放射面を互いに反対方向に向けた一対の冷電子放射素子12A,12Bからなる一つの電子放射源12を用いた構成であるが、本実施形態は図6に概略的に示すように中央に実施形態1と同様な構造の電子放射源12を配置し、この電子放射源12の両面の電子放射面に一定間隔を空けてそれぞれ対向するように上述した電界放射型の一つの冷電子放射素子からなる別の冷電子放射源12a,12bをそれぞれ並行配置し、冷電子放射源12の冷電子放射素子12Aと冷電子放射源12aとの間の空間及び冷電子放射源12の冷電子放射素子12Bと冷電子放射源12bの間の空間部14a,14bをそれぞれ被処理物体が入る空間部としたものある。
而して本実施形態では、空間部14a或いは14bに入った或いは入れた被処理物体の両面には冷電子放射源12aと冷電子放射素子12Aとから或いは冷電子放射源12bと冷電子放射素子12Bとから放射される電子e が照射されることになり、被処理物体の両面を処理する場合、被処理物体の照射面を反転させる必要がなく、実施形態1に比して処理効率が向上する。
尚本実施形態ではアノード電極となる窓枠部を設けておらず、特に電子を加速する構成とはなっていないが、空間部14a、14bにアノード電極を設けても良い。尚電子放射のエネルギ領域も実施形態1に準ずるものとする。
(実施形態3)
本実施形態は、図7に概略的に示すように冷電子放射源12と同様な構造の冷電子放射源12’を実施形態2の冷電子放射源12a,12bに代えて配置したもので、外側に位置する各冷電子放射源12’の外側の冷電子放射素子12A又は12Bからの電子放射によっても外側の空間部14に位置する被処理物体の処理が行えるため、一度で処理できる被処理物体の数を多くすることができ、処理効率を一層向上させることができる。
尚本実施形態ではアノード電極となる窓枠部を設けておらず、特に電子を加速する構成とはなっていない。尚電子放射のエネルギ領域も実施形態1に準ずるものとする。
(実施形態4)
本実施形態は図8に概略的に示すように底面若しくは天井面が開口し4方が冷電子放射源で囲繞された有底筒状の空間部14を4つずつ上下に設けて3次元構造の電子放射装置からなる。ここで隣接する空間部14を仕切る位置に設ける冷電子放射源として上述の2つの冷電子放射素子12A,12Bを背中合わせに接着した冷電子放射源12を用い、また外側配置する冷電子放射源して一つの冷電子放射素子からなる冷電子放射源12aを用いている。
而して本実施形態では各有底筒状の各空間部14に入った或いは入れた被処理物体は底面若しくは天井面と、四方とに配置された電子放射源12,12’から放射される電子により照射されることになり、多数の被処理物体を一度に処理することができるため処理効率を高めることができる。またそれぞれの被処理物体の電子照射を同じ条件で行えるため処理が均一となり、また個々の被処理物体の処理面への電子照射も均一であるため個々の被処理物体の処理も均一となる。
尚本実施形態ではアノード電極となる窓枠部を設けておらず、特に電子を加速する構成とはなっていない。また電子放射のエネルギ領域も実施形態1に準ずるものとする。
実施形態1の断面図である。 同上に用いる冷電子放射源に用いる冷電子放射素子の構成説明図である。 同上に用いる冷電子放射源に用いる冷電子放射素子の要部拡大断面図である。 同上に用いることができる別の冷電子放射源の概略構成図である。 同上に用いることができる他の冷電子放射素子の上面図である。 実施形態2の概略構成を示す断面図である。 実施形態3の概略構成を示す断面図である。 実施形態4の概略構成を示す斜視図である。 従来例の断面図である。
符号の説明
10 装置本体
11 窓枠部
11a 窓部
12 冷電子放射源
12A,12B 冷電子放射素子
13A,13B 直流電源
14 空間部

Claims (9)

  1. 被処理物体が配置される空間部と、該空間部に電子を放射する電子放射面を有する冷電子放射源とを備え、前記冷電子放射源は、前記空間内に電子を放射する第一の冷電子放射素子と第二の冷電子放射素子とを互いの電子放射面を反対に向けて非電子放射面を合わせた形となるように配置した一対の冷電子放射素子からなり、前記空間部に前記第一、第二の冷電子放射素子から電子を放射させることを特徴とする電子線放射装置。
  2. 上記冷電子放射源の少なくとも一方の電子放射面に、電子を放射する別の冷電子放射源の電子放射面を対向配置したことを特徴とする請求項記載の電子線放射装置。
  3. 上記冷電子放射源を空間を介して複数並行配置したことを特徴とする請求項2記載の電子線放射装置。
  4. 前記空間部は複数の冷電子放射源で囲まれ、各冷電子放射源から空間部内に電子を放射することを特徴とする請求項記載の電子線放射装置。
  5. 前記冷電子放射源を3次元的に配列して複数の筒状空間部を形成し、複数の空間部内の被処理物体に対して、各空間部を囲む各冷電子放射源の電子放射面から電子を放射するようにしたことを特徴とする請求項記載の電子線放射装置。
  6. 前記冷電子放射源を構成する冷電子放射素子は電子源をマトリクス状に配置して構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子線放射装置。
  7. 前記空間部に放射する電子のエネルギを50[KeV]以下1[eV]以上とし、上記被処理物体の特性若しくは表面を改質する改質装置を構成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子線放射装置。
  8. 前記空間部に放射する電子のエネルギ領域を紫外線のエネルギ領域としたことを特徴とする請求項記載の電子線放射装置。
  9. 前記空間部に放射する電子のエネルギを電離エネルギ領域としたことを特徴とする請求項記載の電子線放射装置
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