JP4441950B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法に関するものであり、更に詳しは、燐酸型燃料電池、又は固体高分子型燃料電池において有用なセパレータの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料を改質して得られた水素を主燃料として、この水素が酸素と反応した時の化学エネルギーを電力として取り出す発電方式で、例えば、図4、5に示すように、燐酸型燃料電池の平板型電池の基本構成は、負極7、12正極9、13が電解質板8を挟むように密着して構成されている。この際、セパレータ6、11は電池ユニットを積層して使用する場合、水素と酸素を分離するとともに集電板としても働く。また、リブ付セパレータの場合、ガスの流路としてセパレータに溝(凹部10)を、リブ付電極の場合、電極に溝(凹部14)を設けている。
【0003】
以上のような機能を有するセパレータに必要な特性は、導電性であるとともに非通気性(ガスシール性)である。又、セパレータは、電解質、電極と複数積層されて電池を構成しており、電池の小型化のためにはセパレータも薄肉化が要求されている。
【0004】
そこで、この導電性、ガスシール性を兼備し、かつ薄肉化された電池としては、例えば、特開平5−307967号公報には、アクリル繊維などの焼成により炭素繊維となる前駆体繊維とパルプとの抄紙シートに、炭素質粉末懸濁有機高分子物質溶液を含浸、さらには塗工したのち、これらを複数枚貼り合わせて、加熱安定化処理、加熱焼成処理を施す方法が提案されている。
【0005】
また、米国特許第5,252,410号公報および米国特許第5,527,363号公報には、膨張黒鉛シートをセパレータとして用い、これにガスの通路をエンボス加工で確保する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−307967号公報記載のセパレータは最終工程で焼成するため、この炭化工程での有機物に起因する微少なピンホールの発生によりガスシール性に劣るため充分なる非通気性を得ようとすれば肉厚なものとならざるを得ないものであった。また、セパレータ自体が脆いため、自動車などの移動体への搭載、或いは持ち運び等に難があった。
【0007】
また、米国特許第5,252,410号公報および米国特許第5,527,363号公報記載の膨張黒鉛シートをセパレータとして用いる技術は、導電性とガスシール性とを兼備し、更に薄肉軽量化を図ることができるが、膨張黒鉛シート自体が柔軟なため、取扱い時や使用時の傷や凹みが生じ易く、電極面における燃料ガスが不均一分散することとなり、H2過剰又は酸素過剰な状態となって、起電力の低下やセパレータの腐食といった課題が生じていた。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ガス遮断性に優れると共に、靱性を改善しながらも強度に優れ、使用時の傷や凹みを生ずることがなく、適度な堅さと可性付与による薄肉化可能な燃料電池用セパレータの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果導電性繊維を合成樹脂で結着固化させた導電層(A)上に、導電ガス遮断層(B)をした構造とした燃料電池用セパレータを、導電性繊維と合成樹脂繊維とからなる不織布もしくはペーパー(a)と、導電ガス遮断性シート(b)とを重ね合わせ、合成樹脂繊維の融点以上で加熱加圧して複合シートとする製造方法によって得ることにより、適度な堅度と靱性を兼備させることができると共に、ガス遮断性も優れたものとなることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、導電性繊維と合成樹脂繊維とからなる不織布もしくはペーパー(a)と、導電ガス遮断性シート(b)とを重ね合わせ、合成樹脂繊維の融点以上で加熱加圧して複合シートとすることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法を提供するものである。
【0012】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータは、導電性繊維を合成樹脂で結着固化させた導電層(A)上に、導電ガス遮断層(B)を配した構造を有するものである。その具体的構造は特に制限されるものではなく、(A)層及び(B)層のみからなる2層構造であってもよいが、ガス遮断性や、靱性と強度とのバランスといった本発明の効果に優れる点から、(B)層を(A)層で挟んだ構造が好ましい。このような3層型のセパレータとしては、具体的には、図1で示される平板型セパレータや図2で示されるリブ付セパレータが挙げられる。
【0013】
図2のリブ付セパレータにおけるリブ部はガス通路確保を目的とした溝構造形成のため配設されたものであるが、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータは適度な堅度を有するため、該溝部における型崩れが生じることがない。
【0014】
導電層(A)を形成する導電性繊維としては特に制限されるものではないが、ステンレスなどの各種金属繊維、アクリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石炭や石油ピッチ、もしくはナフタレン系ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、フェノール樹脂を原料とする炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相成長法炭素繊維などの各種炭素繊維、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセンなどの各種導電性高分子の繊維、無機または有機繊維に金属を蒸着またはメッキした繊維等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0015】
これらのなかでも特に耐食性の点から炭素繊維が好ましく、なかでも導電性に優れる点からピッチ系炭素繊維が好ましい。
【0016】
このピッチ系炭素繊維のなかでも、絡み合いの均一性の観点から、繊維形状は開繊されている曲状の炭素繊維が好ましい。ここで曲状の炭素繊維とは一本の繊維のアスペクト比が50以上において直状炭素繊維に比べて比容積が大であるもの、詳細にはアスペクト比を500に換算して比容積が9cm3/g以上となるものを指し、例えば渦流法により製造されたピッチ系炭素繊維が適している。
【0017】
この様な曲状炭素繊維として繊維直径は小さい程導電性に有利であり、具体的には直径5μm〜20μmの範囲のものが好ましい。また、長さ等については制限されるものではないが、曲状炭素繊維の50重量%以上がアスペクト比が10以上であることが導電性能の点から好ましい。
【0018】
次に、導電層(A)において上記導電性繊維を結着させる合成樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン6,ナイロン66、ナイロン46,変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変成ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエタン、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミノビスマレイミド、トリアジン樹脂、架橋型ポリイミド、ポリエステル−ポリエステルエラストマー、ポリエステル−ポリエーテルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー等の各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、水ガラス、シリカゾル、アルミナゾルなどの無機高分子が挙げられ、個々の燃料電池の動作温度、電解質に対する耐熱性や耐久性により、これらのうちから適宜、選択される。
【0019】
例えば、燐酸型燃料電池用途においては、耐食性、耐熱性の点からポリフェニレンスルフィド樹脂が、固体高分子型燃料電池には、耐食性、機械的強度の点からポリプロピレンが好ましい。
【0020】
導電層(A)における導電性繊維と合成樹脂との割合は特に制限されるものではないが、導電性繊維が合成樹脂マトリックス中に均一に分布し、且つ導電性繊維同士の接触点を多くして、導電性繊維が高密度の図ることにより導電性能を高められる一方、ある程度の合成樹脂含有量を確保することにより、セパレータの堅度や、リブ部を有する場合の溝形状のエッジが型くずれを防止できる点から導電層(A)中の導電性繊維の含有量として20〜80重量%、なかでも35〜60重量%なる範囲が好ましい。
【0021】
次に、導電ガス遮断層(B)は、導電性と、燃料ガス(水素等)と酸化性ガス(酸素等)とを分離し非通気性(ガスシール性)を付与するために配設されるものであり、具体的には、ステンレス、ニッケル、チタニウム、モリブデン、銅などの単体や合金、金、白金などの貴金属等の箔や薄板の形状体、あるいは膨張黒鉛シート等から形成されていることが好ましい。これらは、耐食性を考慮して選択すればよいが、本発明においては特にコストとガス遮断性に優れ、更に燃料ガスに対する耐性に優れる点から膨張黒鉛シートが好ましい。
【0022】
導電層(A)と導電ガス遮断層(B)との厚さの比は、特に制限されるものではないが、ガス遮断性と、堅度及び靱性とのバランスの点から(A)/(B)=90/10 〜 20/80 であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータの厚さはガス遮断性の点からは、厚い方が有利であるが、一方、電池の小型化からは、薄肉のものが要求されている。本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータは優れたガス遮断硬化と強度特性を有するために従来のセパレータに比べ薄肉化することが可能となり、具体的には、0.02〜2.0mmが、特に0.05〜1.0mmの厚みとすることが好ましい。
【0024】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、導電性繊維と合成樹脂繊維とからなる不織布もしくはペーパー(a)と、導電ガス遮断性シート(b)とを重ね合わせて、合成樹脂繊維の融点以上で加熱加圧し、1体化して複合シートとする方法である
【0025】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、生産性に優れる点、特に導電層(A)中の導電性繊維の高密度化できるとともに、マトリックス中の分散性も良好となる。
【0026】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法において図1及び図2に示す如き3層型のものにするには、導電ガス遮断性シート(b)の両面にシート(a)等を重ねてから加熱加圧成形すればよい。ここで、導電ガス遮断性シート(b)とは、前記した導電ガス遮断層(B)を構成する原料シートであり、前記した通り、膨張黒鉛シートであることが好ましい。
【0027】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造法における導電性繊維は、前記した導電層(A)中の導電性繊維であり、また、合成樹脂繊維とは、導電層(A)の構成原料である前記合成樹脂から構成されるものである。また、導電性繊維と合成樹脂繊維とから構成される混合不織布もしくはペーパーを用いることにより、加熱加圧下において、樹脂繊維の溶融のみで均一なシート形状物にできる。
【0028】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で使用する不織布は、導電性繊維と合成樹脂繊維とを用いて公知の方法によって得ることができる。例えば、ニードルパンチ法、レジンボンド法、スパンボンド法、サーマルボンド法、湿式法などが挙げられる。
【0029】
また、ペーパーとは、導電性繊維と合成樹脂繊維とを用いて、公知の方法によって得ることができる。例えば、バッチ式、長網式等による紙抄き、脱水、乾燥等の工程により製造することができる。
【0030】
ここで、不織布又はペーパーの厚みとしては、特に制限されるものではないが、0.02〜3.0mmの範囲であることが好ましい。
【0032】
また、リブ付セパレータとする場合は、シート形状物と、あらかじめガス流路に相当する溝を除去したシート形状物とを、重ね合わせて接着することにより得ることができる。
【0033】
次に、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法において不織布又はペーパーと樹脂シートとを加熱加圧成形して一体化する方法としては、バッチ式プレス成形、連続バッチ式プレス成形、ダブルベルトプレス等の連続プレス成形が挙げられる。この際の加熱加圧成形する条件としては、特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂を用いる場合は形状保持の点から樹脂の融点以上で加圧して賦形したのち、融点以下に充分冷却してから除圧するのが好ましい。
【0034】
この様にして得られるセパレータは、単一電池ユニットのみから構成される燃料電池に使用できるのは勿論であるが、以下に詳述する燃料電池として極めて有用である。
【0035】
即ち、上記燃料電池は、電解質を電極で挟持、更にその外側にセパレータを配設することにより構成される電池ユニットを内部に有する燃料電池において、前記セパレータとして、導電性繊維を合成樹脂で結着固化させた導電層(A)上に、導電ガス遮断層(B)を有することを特徴とする燃料電池である。
【0036】
ここで、燃料電池は、燃料を改質して得られた水素を主燃料として、この水素が酸素と反応した時の化学エネルギーを電力として取り出す発電方式を利用するものであり、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータを用いた燃料電池は、この発電を生ぜしめる電池ユニットを直列に複数重ねることにより形成されるものである。ここで、電池ユニットは、特に構成が特定されるものではないが、例えば、図2、図3で示される各構成要素を重ね合わせた構造が挙げられる。具体的には、図2、3に示すように、電池ユニットは、負極4,9、正極6,10が電解質板5を挟むように密着し、セパレータ3,8は電池を積層する場合、水素と酸素を分離するとともに集電板としても働く。また、リブ付セパレータの場合、ガスの流路としてセパレータに溝(凹部7)を、リブ付電極の場合、電極に溝(凹部11)が設けられた構造が挙げられる。
【0037】
又、電池ユニットの積層枚数は、用途や求められる電圧により異なり特に限定されないが50〜300枚であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータを用いた燃料電池は、具体的には、KOHを電解質、純水素を燃料とするアルカリ型燃料電池、HPOを電解質、粗製水素を燃料とするリン酸型燃料電池、フッ素樹脂系スルホン酸を電解質、粗製水素を燃料とする固体高分子型燃料電池等として使用できる。尚、各電池におけるアノード酸化反応及びカソード還元反応は以下の通りである。
【0039】
【表1】
Figure 0004441950
【0040】
以上、詳述した本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されるセパレータを用いた燃料電池は、衝撃に対して強くかつ小型化が可能であるため、例えば電気自動車用電源、ポータブル電源、非常用電源等の他、人工衛星、飛行機、宇宙船等各種の移動体用電源として使用できる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。尚、実施例中の通気性はJIS P8117(Gurley densometer)に準じ、100ccの空気の透過する時間(単位 秒)で表示する。
【0042】
[電気抵抗]
厚さ方向の電気抵抗値は、試片を2枚のフラットな銅板の間に挟み込み、5kg/m2の圧力下で該銅板間の抵抗値を測定した。得られた値を試片の面積で割り、(単位 Ω/cm2)で表記した。
【0043】
[衝撃試験]
JIS K5400−1990 8.3.1「塗料一般試験方法、耐衝撃性、落球式」に準拠し、300gの鋼球を、高さ30cmから落下させて欠損の有無を目視評価した。
【0044】
実施例1
曲状のメソフェーズピッチ系炭素繊維50重量部/ポリフェニレンスルフィド樹脂繊維50重量部、目付量100g/mの混合フェルトに、目付量120g/mの膨張黒鉛シートを重ね、更に上記混合フェルトを重ね合わせて305℃の加熱板に挟み込み、10kg/cmの圧力下で20分間加熱加圧し、複合シートを得た。当該シートは厚み0.3mm、通気性60秒以上、電気抵抗値0.5Ω/cmであった。また、溝のエッジはシャープで、爪で押しても型くずれしなかった。このセパレータを用いて衝撃性試験を行ったところ、外観変化は認められなかった。
【0045】
実施例2
溝付きの平板金型に、曲状のメソフェーズピッチ系炭素繊維65重量部/ポリフェニレンスルフィド樹脂繊維35重量部からなり目付量200g/mの混合フェルト、目付量100g/mのポリフェニレンスルフィド樹脂フィルム、目付量300g/mの膨張黒鉛シートの順に重ね、上面フラット金型を用いて305℃の加熱板に挟み込み、20kg/cmの圧力下で20分間加熱加圧し、溝付き複合シートを得た。該シートの厚さは0.7mm,通気性60秒以上、電気抵抗値0.6Ω/cmであった。また、溝のエッジはシャープで、爪で押しても型くずれしなかった。このセパレータを用いて衝撃性試験を行ったところ、外観変化は認められなかった。
【0046】
実施例3
上下共溝付きの平板金型を用い、曲状のメソフェーズピッチ系炭素繊維50重量部/ポリフェニレンスルフィド樹脂繊維50重量部、目付量200g/mの混合フェルト、目付量300g/mの膨張黒鉛シート、更に上記混合フェルトの順に重ね合わせて、310℃の加熱板に挟み込み、30kg/cmの圧力下で20分間加熱加圧し、溝付き複合シートを得た。該シートの厚さは0.7mm,通気性60秒以上、電気抵抗値0.7Ω/cmであった。また、両面の溝のエッジはシャープで、爪で押しても型くずれしなかった。このセパレータを用いて衝撃性試験を行ったところ、外観変化は認められなかった。
【0047】
参考例
上下共溝付きの平板金型を用い、曲状のメソフェーズピッチ系炭素繊維単独で目付量100g/mのペーパー、目付量100g/mのポリプロピレンフィルム、目付量300g/mの膨張黒鉛シート、更に上記炭素繊維ペーパー、上記ポリプロピレンフィルムの順に重ね合わせて、200℃の加熱板に挟み込み、15kg/cmの圧力下で10分間加熱加圧し、溝付き複合シートを得た。該シートの厚さは0.7mm,通気性60秒以上、電気抵抗値0.8Ω/cmであった。また、両面の溝のエッジはシャープで、爪で押しても型くずれしなかった。このセパレータを用いて衝撃性試験を行ったところ、外観変化は認められなかった。
【0048】
比較例1
アクリル繊維とパルプとの抄紙シートに、炭素質粉末及び粉末フェノール樹脂を懸濁させたフェノールメタノール溶液を含浸、積層し、予備焼成、含浸を繰り返したのち、200℃で熱焼成処理を施してセパレータ(比重1.3、厚さ2mm)を製造した。
【0049】
このセパレータを用いて衝撃性試験を行ったところ、欠損が生じた。
【0050】
比較例2溝付きの平板金型に、目付量600g/mの膨張黒鉛シートを重ね、上面フラット金型を用いて200℃の加熱板に挟み込み、15kg/cmの圧力下で20分間加熱加圧し、溝付きシートを得た。該シートの厚さは0.6mm,通気性60秒以上、電気抵抗値0.6Ω/cmであった。また、溝のエッジは丸みを帯び、爪で押すと、爪の型が残った。
【0051】
【発明の効果】
本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータは、ガス遮断性に優れると共に、靱性を改善しながらも強度に優れ、使用時の傷や凹みを生ずることがなく、適度な堅さと可性付与による薄肉化可能であり、該セパレータを使用することにより外的衝撃につよく小型化でき、自動車などの移動体への搭載な燃料電池を提供できる。
また、本発明の燃料電池セパレータの製造方法によれば、製造工程数が少ないため、コストダウンが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータの一例を示す断面図(平板型セパレータ)
【図2】本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータの一例を示す断面図(リブ付セパレータ)
【図3】本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータの製造方法の一例(実施例3)を示す構成図(リブ付セパレータの製造方法)
【図4】平板型燃料電池の基本構成(A)リブ付セパレータ型
【図5】平板型燃料電池の基本構成(B)リブ付電極型
【符号の説明】
1、本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータの層A
2、本発明の燃料電池セパレータの製造方法で製造されるセパレータの導電性連続シートB
3、溝付金型
4、炭素繊維/樹脂繊維の混合フェルト
5、膨張黒鉛シート
6、リブ付セパレータ
7、平板電極(負極)
8、電解質板
9、平板電極(正極)
10、凹部(O通路)
11、平板型セパレータ
12、リブ付電極(負極)
13、リブ付電極(正極)
14、凹部(H通路)

Claims (4)

  1. 導電性繊維と合成樹脂繊維とからなる不織布もしくはペーパー(a)と、導電ガス遮断性シート(b)とを重ね合わせ、合成樹脂繊維の融点以上で加熱加圧して複合シートとすることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 導電ガス遮断性シート(b)の両表面に、導電性繊維と合成樹脂繊維とからなる不織布もしくはペーパー(a)を重ね合わせて、合成樹脂繊維の融点以上で加熱加圧して複合シートとする請求項記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  3. 前記合成樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項又は記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  4. 導電ガス遮断性シート(b)が、膨張黒鉛シートである請求項の何れか1つに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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