JP3956956B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用電源、ポータブル電源、非常用電源等に用いる燐酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池等の燃料電池に用いる燃料電池用セパレータの製造方法および燃料電池に関する。
水素と酸素との電気化学反応により得られるエネルギーを電力として取り出す所謂燃料電池は、自動車等種々の用途に使用されつつある。この燃料電池は、電解質膜、電極及びセパレータからなる基本構成単位(単セル)を直列に積層することにより実用的な電力を確保するのが一般的である。
これらの燃料電池に用いられるセパレータには、燃料電池の発電効率を高めるための導電性とセル内に導入された燃料および酸化剤ガスの漏洩を防止するためのガスシール性が求められており、セパレータの厚みバラツキが小さいことが必要とされる。
更に燃料電池用セパレータは、燃料電池の作動環境下での耐熱性、耐薬品性などの性能が必要とされる。特に、近年自動車等の用途では、燃料電池の小型化が要求され、それに伴いセパレータの薄肉化も必要とされている。更に経済的な面から高い生産性を有し低コストで製造することができる方法が求められている。
そこでガスシール性と薄肉化を実現すべく、焼成により炭素繊維となるアクリル繊維などの前駆体繊維とパルプとの抄紙シートに、炭素質粉末懸濁有機高分子物質溶液を含浸し、さらには塗工したのち、これらを複数枚貼り合わせて、加熱安定化処理、加熱焼成処理を施す方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、前記のセパレータ製造方法は工程中に焼成工程を含むため、この焼成工程で気散する有機物に起因する微小なピンホールが発生し、充分なるガスシール性を得ようとすれば肉厚なものとならざるを得ず、導電性も劣るものであった。また、セパレータ自体も脆く、自動車などの移動体への搭載、或いは持ち運び等に難があった。さらに、抄紙シートに、炭素質粉末懸濁有機高分子物質溶液を含浸し、塗工し、貼り合わせ、加熱安定化処理を行い、次いで加熱焼成処理を行うといった煩雑な工程を要する。
このような複雑な工程を解消する方法として、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂との混練物を成形したセパレータが提案されている(例えば特許文献2及び特許文献3参照)。
しかしこれらの提案では、熱硬化性樹脂を用いており、通常数分間の硬化時間を必要とし、成形サイクルが長く、生産性の面で不利であった。
しかもこれらの技術は、汎用フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いており、これらの熱硬化性樹脂を用いた場合には、反応時に発生する縮合水や副生成ガスが原因で、セパレータの内部や表面に気泡や空孔が発生し、反りや膨れ等の欠陥を有する燃料電池用セパレータとなり、同時に厚みバラツキが低下するため、燃料電池用セパレータとして使用するには問題を有する。
そこで、熱可塑性樹脂繊維で導電性繊維を結着固化したシート形状物を用いた燃料電池用セパレータの製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、当該文献に開示されている手法では薄肉で機械的特性の良好な燃料電池用セパレータが得られるが、ガスシール性を確保する必要性から燃料電池用セパレータ中における導電性繊維の含有量は55重量%が上限となる。かかる含有量においては導電性の指標である厚さ方向の電気抵抗値は500mΩ/cm程度のものであった。
しかしながら、当該技術が提案された時点と比べれば飛躍的に技術が進歩した近時においては、かかる燃料電池用セパレータが有する導電性は決して優れたものとはいえず、産業界においては例えば厚み方向の体積固有抵抗として数十mΩ・cm以下のものが要求される場合もあり、さらなる導電性の向上が必要である。
燃料電池用セパレータが有する厚み方向の体積固有抵抗を数十mΩ・cm以下とするためには、燃料電池用セパレータ中における炭素材料などの導電性材料の含有量を概ね70重量%以上にする必要がある。しかしながら、前記文献に開示されている熱可塑性樹脂繊維で導電性繊維を結着固化したシート形状物を用いる手法において、導電性繊維の含有量を70重量%以上にすると、当該文献にも記載されているとおり、燃料電池用セパレータにとって本質的な特性の一つであるガスシール性が著しく低下してしまう。
また前記手法の他に、熱可塑性樹脂を用いた生産性の点で有利な製造方法として、熱可塑性樹脂と導電剤とを含む組成物で形成されたシートを、スタンピング成形する燃料電池用セパレータの製造方法が提案されている(例えば参考文献5参照)。
この方法は、熱可塑性樹脂と導電剤とを加熱混練してシート状に押出す押出成形法、カレンダ加工法、ロールプレス法等を用いて、樹脂組成物の気孔率が20%以下になるまで加熱加圧し、1〜10mmの厚みのスタンパブルシートを作成し、このスタンパブルシートをスタンピング成形することにより燃料電池用セパレータを製造するものである。
しかし、この方法では、前記気孔率が20%以下のシートを形成するために、熱可塑性樹脂と導電剤に強い剪断力と圧力をかけることが必要であり、かかる条件下では導電剤が破砕されるため、得られるセパレータの導電性が低下するという問題がある。
導電性を高めるために、導電剤の含有量を例えば80重量%以上にすると、前記押出成形法やロールプレス法を利用してシートを円滑に形成することは困難であり、スタンピング成形の際の操作性などを考慮すれば肉厚のシートとせざるを得ず、セパレータを薄肉化することも困難になるという問題を生じる。
また、該シートをガス流路等の凹凸形状を有する金型を用いてスタンピング成形しても
、安定した金型転写性を確保することは困難で寸法精度の不良が発生しやすく、厚みバラツキも大きくなり、結果としてセパレータが有する厚み方向の体積固有抵抗も良好なレベルのものは得られない。
また、前記熱可塑性樹脂粉末と導電性粉粒体とを混合し、強い剪断力あるいは圧力を付加することなく混合物を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱してシート状にすることも可能ではあるが、この場合、得られるシートの気孔率は高くなり、シート形状を維持することが困難となるため、スタンパブル成形用のシートとしての実用には供し難い。
以上のとおり、従来厚みバラツキ、導電性、ガスシール性、薄肉性等の要求性能をすべて満足し、かつ生産性にも優れた燃料電池用セパレータは存在しないというのが実情であった。
特開平5−307967号公報 特公昭64−340号公報 特開平10−334927号公報 特開2000−133281号公報 特開2001−122677号公報
本発明は、導電性粉粒体を70重量%以上含有する場合であっても、従来になく薄肉化が可能で、特に厚みバラツキなどの寸法精度、導電性及びガスシール性に優れた燃料電池用セパレータを、工程上の煩雑さが少なく生産性よく製造することができる方法を提供することを目的とするものである。さらに前記セパレータを用いてなる燃料電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、燃料電池用セパレータ製造の生産性を高めるためには、成形時に硬化反応させるための時間が不要な熱可塑性樹脂を使用した導電性材料を含有する樹脂組成物からなるシート形状物を予め作成し、該シート形状物をプレス成形など公知の成形法により成形する手法が有利であると考え、鋭意検討を重ねたが、前記した従来の技術では、セパレータの導電性を高めることを目的として導電性材料の含有量を大きくしようとすると、ガスシール性が低下したり、あるいは厚みバラツキなどの寸法精度が低下するなどという問題を克服することはできなかった。
そこで、かかる従来技術の問題点の原因について検討したところ、前記特開2000−133281号公報に開示されている熱可塑性樹脂繊維で導電性繊維を結着固化したシート形状物を用いる手法において、導電性繊維の含有量を55重量%を越えて大きくしていくと、熱可塑性樹脂繊維と導電性繊維との間に空隙が生じ、かかる空隙部からガスが透過することによりガスシール性が低下するという事実を確認した。
また、前記特開2001−122677号公報号公報に開示されている熱可塑性樹脂と導電剤とを含む樹脂組成物で形成されたシートを用いる手法では、前記したように樹脂組成物の気孔率が20%以下になるまで加熱加圧してスタンパブルシートを作成することになるが、この場合熱可塑性樹脂と導電剤に強い剪断力と圧力をかけることが必要であり、かかる条件下では黒鉛などの導電剤が破砕されて粒子径が小さくなり所望の導電性が得られない。
さらに、該シートを金型を用いてスタンピング成形する際、ガス流路等の形状の寸法精度を向上させるためには、加熱軟化させたシートを加圧し圧縮する必要があるが、導電剤を高濃度で含有し流動性が極めて乏しい樹脂組成物に対して、大きな圧力を加えて金型の凹凸形状に充填させるため、安定した金型転写性を確保することは困難で寸法精度の不良が発生しやすく、厚みバラツキも大きくなり、結果としてセパレータが有する厚み方向の体積固有抵抗も良好なレベルのものは得られず、かかるセパレータを用いて作成した燃料電池の発電効率も高いものは得られないことを確認した。
前記したような検討結果をもとに研究を進めた結果、導電性材料としては、繊維状のものよりも非繊維状の導電性粉粒体の方が、含有量を高めた場合でも、ガスシール性の低下が少ないということを見出した。
また、前記シート形状物を作成する際に、熱可塑性樹脂と導電性粉粒体に強い剪断力と圧力をかけない方が導電性粉粒体の平均粒子径を維持しながらシート化することが可能であり、また該シート形状物を金型を用いて成形する際にも、流動性が乏しい樹脂組成物に対して、大きな圧力を加えて金型の凹凸形状に強引に充填させるのではなく、溶融又は軟化した樹脂組成物に対し、応力ができる限り小さくなるような条件で成形する方が、得られる成形品の寸法精度が向上し、厚みバラツキも低減化できると考えた。
かかる考えに基づき種々検討した結果、導電性粉粒体と熱可塑性樹脂繊維とを用いて不織布を作成する方法が有効であることが判明した。すなわち本方法によれば、気孔率の高い不織布が有する空隙に、導電性粉粒体をほとんど破砕されることなく、不織布全体に渡って均一に保持させることができるという事実を見出した。
熱可塑性樹脂繊維を用いた不織布であるがゆえに、極少量の熱可塑性樹脂繊維に対して高濃度の導電性粉粒体を均一に保持させることができ、また厚みを薄くしてもシート形状が崩れることがなく取扱い性に優れることから、近時ますます大きくなっている燃料電池用セパレータの薄肉化の要請に対しても十分に対応可能である。
さらには、導電性粉粒体を例えば70重量%以上と高濃度に含有する不織布を、ガス流路などの微細な凹凸形状を有する金型を用いて成形しても、短時間で無理なく、高い寸法精度と厚みバラツキが極めて小さいセパレータが得ることができ、得られたセパレータはガスシール性に優れ、厚み方向の体積固有抵抗が極めて小さく、かかるセパレータを用いて作成した燃料電池の発電効率も格段に優れたものであることを見出すに及んで、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、内部に均一に分布する導電性粉粒体と、直径0.1〜20μmを有する熱可塑性樹脂繊維とからなる不織布を、加熱軟化させて金型内で成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記の製造方法によって得られた燃料電池セパレータで、電解質膜の両面に電極が配置されている電解質膜電極接合体が挟持された積層構造を有することを特徴とする燃料電池を提供するものである。
本発明によれば、従来になく薄肉化が可能で、導電性、厚みバラツキ及びガスシール性に優れる燃料電池用セパレータを効率よく生産でき、かかるセパレータを用いて自動車搭載、持ち運びに耐えうる強度を有する小型の燃料電池を提供できるものである。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
まず、本発明で用いる導電性粉粒体としては、例えば、炭素材料、金属、金属化合物などの粉粒体等を挙げることができ、これらの導電性粉粒体の1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
該導電性粉粒体の大きさは、熱可塑性樹脂繊維に均一に分布することができる限り特に制限されないが、成形されたセパレータの導電性と機械的性質の点で平均粒子径が1〜800μmの範囲のものが好ましく、特に50〜600μmが好ましい。
また本発明に使用する導電性粉粒体は、熱可塑性樹脂繊維に保持させやすく、かつ均一に分布させやすい点から、その平均粒子径は後記熱可塑性樹脂繊維の直径に比べて十分大きく、かつ熱可塑性樹脂繊維の長さに比べ十分小さいことが好ましい。
また本発明に使用する導電性粉粒体は、熱可塑性樹脂繊維に均一に分布しやすい点から、その平均粒子径は後記熱可塑性樹脂繊維の有する直径の10倍以上であり、かつ熱可塑性樹脂繊維が有する長さの1/3以下であることが好ましい。
なお、本発明の導電性粉粒体は前記のように非繊維状であれば各種の形状のものが用いられるが、導電性粉粒体の不織布からの脱落を防止する目的から、アスペクト比は5以下であることが好ましい。
前記導電性粉粒体として使用可能な炭素材料としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。これらの炭素材料を単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの炭素材料の粉粒体の形状に特に制限はなく、板状、球状、無定形等の何れであってもよい。また、黒鉛を化学処理して得られる膨張黒鉛も使用できる。導電性を考慮すれば、より少量で高度の導電性を有するセパレータが得られるという点で、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛等が好ましい。
また、前記の金属、金属化合物としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、金、ステンレス、パラジウム、チタンなど、更には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のホウ化物などが挙げられる。これらの金属、金属化合物を単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの金属、金属化合物の粉粒体の形状に特に制限はなく、板状、球状、無定形等の何れであってもよい。更に、これらの金属、金属化合物が非導電性あるいは半導電性材料の粉粒体に表面処理されたものも使用可能である。
不織布中における前記導電性粉粒体の含有量は、目的とする燃料電池用セパレータに必要とされる導電性、機械的強度、ガスシール性能等によって適宜設定することができるが、特に70重量%以上が好ましく、さらには80重量%以上であることがより好ましい。かかる数値範囲であれば、後述する燃料電池用セパレータの厚み方向の体積固有抵抗を30mΩ・cm以下と優れたものとすることができ、得られる燃料電池の発電効率をより優れたものとすることができる。
また、本発明の目的を逸脱しない範囲内で前記導電性粉粒体に非導電性粉粒体あるいは半導電性粉粒体を混合して使用してもよい。非導電性粉粒体としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ハイドロタルサイト等を使用することができる。また半導電性粉粒体としては、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン等を使用することができる。
次に、本発明に使用する0.1〜20μmの直径を有する熱可塑性樹脂繊維について説明する。ここで使用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素樹脂、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエステル・ポリエステルエラストマー、ポリエステル・ポリエーテルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどの樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、各燃料電池の動作温度に対する耐熱性や耐久性により、適宜選択して単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、燐酸型燃料電池に用いる場合においては、耐食性、耐熱性の点から熱可塑性樹脂はポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましく、また固体高分子型燃料電池や燃料としてメタノールを用いる所謂直接メタノール型燃料電池に用いる場合においては、耐食性、機械的強度の点からポリフェニレンスルフィド樹脂やポリプロピレンが好ましい。後者の場合、ポリフェニレンスルフィド樹脂はその融点以上に加熱、加圧し賦型する時、樹脂溶融物の導電性粉粒体への親和性が大きく、該導電性粉粒体の均一分布を促し、セパレータの導電性や機械的強度を高めるため、特に好ましい。
本発明に使用する熱可塑性樹脂繊維は、直径が0.1〜20μmの比較的細い繊維であるため、導電性粉粒体を効率よく、均一に分布させることができる。熱可塑性樹脂繊維の直径は、不織布の生産性と高含有率で導電性粉粒体を保持させることができることから0.5〜10μmであることが特に好ましい。かかる熱可塑性樹脂繊維の直径は、走査型電子顕微鏡写真から容易に計測することができる。
また、本発明で使用する不織布は、前記0.1〜20μmの直径を有する熱可塑性樹脂繊維を必須のものとして使用してなるものであるが、さらに太い直径を有する熱可塑性樹脂繊維を併用することについてはなんら制限されるものではない。
かかる熱可塑性樹脂繊維の形状は、前記の導電性粉粒体を均一に分布させることができれば、特に制限はないが、該熱可塑性樹脂自体の弾性率、導電性粉粒体の大きさ及び導電性粉粒体を均一に分布した不織布の製造方法により適宜、選択することができる。かかる熱可塑性樹脂繊維の長さは、0.5mm以上の長さを有する繊維が、得られる不織布内の繊維の絡まりがより強固となり、不織布の形状を維持しやすく好ましい。
熱可塑性樹脂繊維は、繊維の絡み合いが強く導電性粉粒体を均一に分布させやすい点で、弾性率が低いものが好ましい。弾性率が特に低いものとしては、例えばポリオレフィン系樹脂や熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
弾性率が高い熱可塑性樹脂繊維を用いる場合は、繊維を曲がりやすくするため、繊維の直径が小さいものが好ましい。弾性率が高い熱可塑性樹脂繊維としては、例えば直径が5μm以下の各種熱可塑性樹脂繊維が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂繊維の直径は、該導電性粉粒体に比較して小さいほど導電性粉粒体の不織布内での分布がより均一となるので好ましい。
本発明で使用する不織布とは、繊維同士を化学的方法、機械的方法、又はそれらの組み合わせにより結合や絡み合わせを行った構造物をいうものである。
また「内部に均一に分布する導電性粉粒体と、直径0.1〜20μmを有する熱可塑性樹脂繊維とからなる不織布」とは、繊維の結合や絡み合わせにより形成された不織布の繊維の間に形成される空隙に導電性粉粒体が不織布全体に均一に保持されている構造を有する不織布を意味する。
本発明で使用する導電性粉粒体を保持した不織布は、湿式法や乾式法等の公知の不織布製造方法を用いて製造することができ、以下具体的な製造例について説明する。
(i)本発明で使用する不織布を湿式法で製造する場合には、例えば、熱可塑性樹脂繊維と導電性粉粒体を水中で混合、分散し、スラリーを調整する。このスラリーを調整する際に、熱可塑性樹脂繊維は水中で絡まり、この絡まりの内部に、導電性粉粒体が保持された状態となる。このときスラリーを安定化させるために、適宜界面活性剤、粘剤を添加しても良い。次に、このスラリーを金網上に押し流し、金網上に繊維および粉粒体を均一に集積する。さらに、この積層物から脱水ロール、加熱ドライヤーおよび/または吸引脱水等を用いて水分を除去することにより、熱可塑性樹脂繊維の絡み合い(ウエブ)の中に導電性粉粒体を保持した不織布を得ることができる。また、得られた不織布を使用した熱可塑樹脂繊維の融点以上の温度の加熱ローラで処理しても良い。この場合、粉粒体が熱可塑繊維に融着し、繊維ウエブ内への粉粒体保持強度を高めることができる点で好ましい。
(ii)次に本発明で使用する不織布を乾式法で製造する場合の一例を、以下に説明する。熱可塑性樹脂繊維を導電性粉粒体と共に、圧縮気体の作用によりノズルから気体中に噴出させることにより熱可塑性樹脂繊維が絡み合い、同時に導電性粉粒体が熱可塑性樹脂繊維の絡み合い(ウエブ)の中に保持された状態となる。より良好な繊維と粉粒体の絡まりを形成するために、ノズルから噴出する前に、熱可塑性樹脂繊維と導電性粉粒体を気流中で予備混合しても良い。この、熱可塑性樹脂繊維と導電性粉粒体の絡み合った混合物を、シート状に集積することにより導電性粉粒体を保持する不織布が得られる(所謂エアレイ方式)。次いで該シート状物を用いた熱可塑性樹脂繊維の融点以上に加熱した加圧ロールに通すことにより、導電性粉粒体を強固に繊維に保持することができる。
(iii)さらに、熱可塑性樹脂繊維を湿式法あるいは乾式法等の公知の方法で不織布を形成した後、該不織布に導電性粉粒体を付着させる方法も可能である。具体的には熱可塑性樹脂繊維の不織布を作製し、この不織布で導電性粉粒体を挟み込んだ後、ニードルパンチ結合法により、該導電性粉粒体を該繊維間に物理的に閉じ込めることにより、導電性粉粒体が保持された不織布を作製することができる。言うまでも無く、前述の如く、得られた不織布を用いた熱可塑性樹脂繊維の融点以上に加熱した加圧ロールに通すことにより、導電性粉粒体を強固に繊維に保持することができる。
上記の方法は、本発明で使用する不織布の製法の一例であり、上記の製法の限定されるものではない。湿式法、乾式法の如何を問わず、不織布を製造する際に繊維ウエブを形成する工程に、導電性粉粒体を同時に導入するか又は、繊維ウエブを形成した後に導電性粉粒体を不織布上に設置し、これをニードルパンチ等の物理的方法により、繊維ウエブ中に導電性粉粒体を埋設することにより、導電性粉粒体を保持する不織布を作製することができる。上記の何れの方法を用いても、本発明で用いる不織布を得ることができるが、不織布の生産性に優れ、本来燃料電池セパレータの性能上不必要な界面活性剤や粘剤を必要とせず、またニードルパンチ法に比べ原料として用いる導電性粉粒体の不織布中への収率が高い点から上記(ii)の方法が好ましい。
本発明で用いる不織布は、目的の燃料電池用セパレータの形状に合わせて、単独あるいは複数を重ね合わせて使用できるので、その厚さは、特に制限されるものではない。
セパレータの導電性能の面から考えると、不織布を製造する工程において、導電性粉粒体の大きさが小さくならないような厚さ、すなわち0.05〜3mmであることが好ましい。
また不織布の気孔率は、50%以上であることが好ましい。気孔率が50%以上であれば、導電性粉粒体を保持させた不織布に加熱ロール処理を行っても、不織布に保持された導電性粉粒体が加熱ロールに破砕されず、導電性粉粒体の粒子径がそのまま維持され、これによりセパレータの導電性が高く保たれる。
また導電性粉粒体を不織布に均一、かつ導電性粉粒体を高含有率で保持させるためには、気孔率は85%以下であることが好ましい。
ここで不織布の気孔率は、式(I)により算出することができる。
気孔率(%)=[1−(不織布中の導電性粉粒体及び熱可塑性樹脂繊維の体積)/(不織布の見かけ上の体積)]×100 (I)
前記で得られた導電性粉粒体が均一に分布した不織布の一枚又は複数枚積層したものを、加熱し軟化させ、金型内で加圧し、成形することにより、目的とする燃料電池用セパレータを得ることができる。
かかる成形の方法としては、従来から実施されているプレス成形、スタンパブル成形等が挙げられる。
具体的には、例えば(1)一枚又は複数枚積層した不織布を予め加熱、加圧して、熱可塑性樹脂繊維を溶融又は軟化させ、次いで金型を用いて目的とする少なくとも片面にガス流路を有するセパレータ形状に賦形する方法、(2)高温に熱した金型を用いて、一枚又は複数枚積層した不織布を加熱して熱可塑性樹脂繊維を溶融又は軟化させ、加圧し賦形する方法が挙げられる。
前記(2)の方法では、金型から成形物を離型させるためには、金型を離型可能な温度になるまで冷却する必要がありそのための時間を要するが、前記(1)の方法は、金型を常温から熱可塑性樹脂繊維が軟化する温度より低い適当な温度に設定することにより、予め溶融又は軟化された熱可塑性樹脂繊維を、金型内で賦形しながら冷却することができる点で有利である。
また、従来の導電性材料と熱硬化性樹脂との混練物を用いて燃料電池用セパレータを成形する方法と比べた場合、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂は高温に保持された金型で成形物を離型可能な状態にまで硬化反応させるために、通常数分間保持する必要がありこの工程が成形サイクル短縮の限界の支配的な要因となっている。本発明によれば、前記の特に(1)の方法により金型工程が短時間で済むため、成形サイクルを大幅に短縮し生産性を高めることができる。
通常、燃料電池は、電解質膜電極接合体を燃料電池用セパレータで狭持した、いわゆる単セルを複数直列に組み立てて、燃料電池スタックが作製される。この場合、セパレータの厚さ方向に電気が流れるので、セパレータの厚さ方向の導電性が問題になる。
通常、燃料電池用セパレータは、厚み方向の体積固有抵抗が30mΩ・cm以下であることが好ましいとされ、セパレータの厚み方向の体積固有抵抗が30mΩ・cm以下であれば、燃料電池の発電効率が高くなる。
厚み方向の体積固有抵抗は、金メッキした電極板間に面積s、板厚tのセパレータを一定の圧力を印加して挟み、電量を流した上、その抵抗cを測定し、式(II)により体積固有抵抗を算出するものである。
厚み方向の体積固有抵抗=c×s/t (II)
燃料電池用セパレータは厚みバラツキが、極力小さい方が好ましい。厚みバラツキが小さい方が、前記燃料電池スタックを組み立てる際に、セパレータ間の密着性が良好となり、燃料電池の内部抵抗が小さくなるため、燃料電池の発電効率が高くなる。逆に、厚みバラツキが大きいと、燃料電池の発電効率が低くなる。
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によれば、導電性粉粒体を熱可塑性樹脂マトリックスに高密度に均一に分布させることができ、その結果、厚みバラツキ、高度な導電性及びガスシール性を有する燃料電池用セパレータを、高い生産効率で得ることができる。
燃料電池用セパレータを製造する際、原料として使用した導電性粉粒体の平均粒子径が最終的に得られる燃料電池用セパレータにおいて、できる限り保持されている方が、燃料電池用セパレータの導電性の観点から好ましい。かかる観点から、最終的に得られる燃料電池用セパレータに含有される導電性粉粒体の平均粒子径が不織布成形前の平均粒子径の60%以上であるのが好ましく、70%以上であることがより好ましく、さらに80%以上であることが特に好ましい。
本発明によれば、製造工程において原料として使用した導電性粉粒体が破砕されることが少なく、その粒子径が保持されやすい。
導電性粉粒体の平均粒子径は、レーザー光回折法により測定することができる。
このレーザー光回折法は、粒子の回折光の強度分布が粒子径の関数であることを利用するものであり、具体的には粉体を分散させた懸濁液をレーザー光路中に流し、次々に通過する粒子の回折光をレンズで平面波とし、その半径方向の強度分布を回転スリットでフォトディテクターに投影して検出するものである。
また得られる燃料電池用セパレータの厚さは、薄肉で小型の燃料電池が得られる点で、0.1〜6mmの範囲が好ましく、特に0.1mm〜3mmの範囲が好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータのガス透過率は10−3cm/sec・cm・atm以下なる範囲が好ましい。
前記で得られる燃料電池用セパレータは、燃料電池の基本構成単位、即ち単セルのみから構成される燃料電池に使用できるのは勿論であるが、かかる単セルを複数積層した燃料電池スタックにも使用することができる。
燃料電池は、化石燃料を改質して得られた水素を主燃料として、この水素と酸素との電気化学反応により生成するエネルギーを電力として取り出す発電装置である。通常この発電を生ぜしめる単セルを直列に複数重ねたスタック構造とし、スタックの両端に設けた集電板で集電することにより形成されるものである。
本発明で得られる燃料電池用セパレータの形状は、特に制限はなく、例えば図1に示すような、ガス又は液体の流路2を片面又は両面に有する形状のものが挙げられ、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、かかる構造を有する、いわゆるリブ付き形状を有する燃料電池用セパレータの製造に特に好ましい。
また固体高分子型燃料電池セルの構造の一例を図2に示す。燃料電池の基本構成単位である単セル3は、固体高分子電解質膜4、燃料極5、酸化剤極6からなる電解質膜電極接合体7の両面をセパレータ1で挟んだ構造を持つ。セパレータの表面に形成されたガス又は液体の流路2は燃料や酸化剤を電極に安定的に供給するのに好適である。また、酸化剤極6側に設置したセパレータの酸化剤極6の反対面に冷媒として、水を導入することにより燃料電池から熱を取り出すことができる。このように構成された単セル3を複数、直列に積層した燃料電池スタックの一例を図3に示す。
Figure 0003956956
本発明の燃料電池は、衝撃に対して強くかつ小型化が可能であるため、例えば電気自動車用電源、ポータブル電源、非常用電源等の他、人工衛星、飛行機、宇宙船等各種の移動体用電源として使用できる。
Figure 0003956956

実施例中のガスシール性評価、厚み方向の体積固有抵抗の評価、曲げ試験には、250mm×250mm×2mmの平板状成形品を用いた。厚みバラツキ、成形前後の黒鉛粒子径の測定と燃料電池単セルの発電特性評価には、250mm×250mm×2mmのリブ付成形品(図4)を用いた。
[ガスシール性評価]
後記実施例で得られた平板状成形品から直径60mm、厚み2mmの試験片を切り出し、JIS K-7126のプラスチックフィルム及びシートの気体透過試験方法に準拠して平板状成形品のガスシール性を評価した。なお。試験ガスは水素を用いた。
[厚み方向の体積固有抵抗の評価]
後記実施例で得られた平板状成形品から50mm角、厚み2mmの試験片を切り出し、前記した厚み方向の体積固有抵抗の測定方法で平板状成形品の厚み方向の体積固有抵抗を測定した。
[曲げ試験]
後記実施例で得られた平板状成形品から幅25mm、長さ70mm、厚み2mmの試験片を切り出し、JIS K-6911に準拠して平板状成形品の曲げ強さを測定した。
[厚みバラツキ]
ここでいう厚みバラツキとは、後記実施例で得られたリブ付成形品1枚中に最大厚さと最小厚さとの差を意味し、下式(III)により算出した。
厚みバラツキ=最大厚さ−最小厚さ (III)
測定は図4(a)のとおり所定の方法で選んだ長さ方向の64ヶ所(●印)で、リブ付成形品に一定の力で押さえることができるリニアゲージを用いて測定した。用いたリニアゲージの測定子形状、測定子直径、測定圧力はそれぞれ、円柱状、直径5mm、圧力8ニュートンとした。
またこの場合の厚さとは、平坦部では片面の平坦部からもう一方の面の平坦部までの厚さをいい、リブ部溝部では、図4(a)における矢印部分の断面図である図4(b)において、リブ部の頂点8からリブ部の頂点9までの厚さをいうものである。
[成形前後の黒鉛粒子径の測定]
成形前の黒鉛粉末を試料として、レーザー光回折法によって平均粒子径を測定した。また後記実施例で得られたリブ付成形品を約500℃で焼き、樹脂分を除いたものを試料として用い、前記と同様にレーザー光回折法により黒鉛の平均粒子径を測定した。
[単セルの発電特性評価]
後記実施例で得られた2枚のリブ付成形品の間に膜電極接合体を設置し5kg/cm2で締結し、発電特性評価用の燃料電池単セルを得た。このセルに加湿した水素、空気を供給し、セル温度80℃、電流密度が100mA/cmのときの電圧を測定した。
実施例1
導電性粉粒体として人造黒鉛(無定形、平均粒子径は88μm)を80重量部、熱可塑性樹脂繊維としてポリフェニレンスルフィド樹脂短繊維(直径1μm、長さ1mm)20重量部をエアミキサーにて繊維を解繊すると共に混合し、該混合物を円形断面の噴出口を有するノズルに供給すると共に、ノズルの手前に設置した圧縮気体導入口から圧縮空気を噴出し、該ノズルの前方に設置の邪魔板に衝突させることで該繊維を解繊すると共に導電性粉粒体を分散させ、これらの熱可塑性樹脂繊維と導電性粉粒体を集積して導電性粉粒体を含有するウエブを形成した。該ウエブを該樹脂の溶融温度(280℃)以上である300℃に加熱した加圧ロールに通して厚み(0.25mm)の不織布を得た(気孔率;75%)。
この不織布をセパレータ形状に合わせた所定の寸法(250mm×250mm)に30枚裁断した後、積み重ねた30枚の裁断物を加熱炉中で300℃に加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂を溶融させ、直ちにプレス成形機に装着された150℃に加熱した金型に供給し、60MPaで加圧することにより賦型し冷却固化させ、図4に示す形状を有する幅25cm、厚み2mm、長さ25cmのリブ付成形品を得た。成形サイクルは30秒であった。同様に、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmの平板状成形品も成形した。該成形品の水素気体透過度は3.0*10−5cm/sec・cm・atmであり、体積固有抵抗は5mΩ・cmであり、曲げ強さは50MPaであった。前述した80℃で電流密度が100mA/cmのときの単セルの発電電圧は、783mVであった。
実施例2
導電性粉粒体として人造黒鉛(無定形、平均粒子径は88μm)を70重量部、熱可塑性樹脂繊維としてポリフェニレンスルフィド樹脂短繊維(直径1μm、長さ1mm)30重量部を使用した以外は実施例1と同様の方法と条件で不織布を得た。
この不織布をセパレータ形状に合わせた所定の寸法(250mm×250mm)に30枚裁断した後、積み重ねた30枚の裁断物を加熱炉中で300℃に加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂を溶融させ、直ちにプレス成形機に装着された150℃に加熱した金型に供給し、60MPaで加圧することにより賦型し冷却固化させ、図4に示す形状を有する幅25cm、厚み2mm、長さ25cmのリブ付成形品を得た。成形サイクルは30秒であった。
同様に、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmの平板状成形品も成形した。該成形品の水素気体透過度は1.5*10−6cm/sec・cm・atmであり、体積固有抵抗は15mΩ・cmであり、曲げ強さは56MPaであった。前述した80℃で電流密度が100mA/cmのときの単セルの発電電圧は、720mVであった。
実施例3
実施例1と同様に、導電性粉粒体として人造黒鉛(無定形、平均粒子径は88μm)を80重量部、熱可塑性樹脂繊維としてポリオレフィン樹脂短繊維(直径1μm、長さ1mm)20重量部を使用した以外は実施例1と同様の方法と条件でウエブを形成し、該ウエブを、190℃の加熱した加圧ロールに通して所定厚みの不織布を得た(厚み0.25mm、気孔率;75%)。
この不織布をセパレータ形状に合わせた所定の寸法(250mm×250mm)に30枚裁断した後、積み重ねた裁断物を加熱炉中で190℃に加熱し、ポリオレフィン樹脂短繊維を充分に溶融させ、直ちに100℃に加熱した型に供給した。次いで、プレス成形機にて60MPaで加圧することにより賦型し冷却固化させ、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmの成形品を得た。成形サイクルは30秒であった。同様に、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmの平板状成形品も成形した。該成形品らのガス透過率は3.0*10−5cm/sec・cm・atmであり、体積固有抵抗は7mΩ・cmであり、曲げ強さは40MPaであった。前述した80℃で電流密度が100mA/cmのときの単セルの発電電圧は、780mVであった。
比較例1
ピッチ系炭素繊維80重量部とポリフェニレンスルフィド樹脂繊維20重量部からなる混合フェルトを、300℃に加熱した加圧ロールに通して不織布(厚み6.5mm、気孔率;60%)を得た。この不織布を用いて実施例1と同様な成形操作を行い、リブ付成形品と平板状成形品を得た。該成形品らのガス透過率は5.0*10−3cm/sec・cm・atmであり、体積固有抵抗は60mΩ・cmであり、曲げ強さは80MPaであった。
前記実施例で記述した80℃で電流密度が100mA/cmの条件で単セルの発電特性を評価し始めたところ、組み立てた単セルからガス漏れが発生し、発電特性の評価ができなかった。本方法で作製したリブ付き成形品はガスシール性が乏しいため燃料電池短セルからガス漏れが発生したものと考えられる。
比較例2
実施例1で用いた人造黒鉛と同様の人造黒鉛80重量部とポリフェニレンスルフィド樹脂20重量部と、ミキサーを用い10分間乾式混合した。この混合物を、成形圧力20MPa、320℃の条件でロールプレス成形し厚み4mmのスタンパブルシート(気孔率;15%)を得た。得られたスタンパブルシートを所定サイズ(200mm×200mm)に裁断し、加熱炉中320℃で10分間に加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂を溶融させ、直ちにプレス成形機に装着された200℃に加熱した金型に供給し、100MPaで加圧することにより賦型し冷却固化させ、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmのリブ付成形品を得た。成形サイクルは30秒であった。同様に、幅25cm、厚み2mm、長さ25cmの平板状成形品も成形した。該成形品らのガス透過率は8.0*10−7cm/sec・cm・atmであり、体積固有抵抗は110mΩ・cmであり、曲げ強さは50MPaであった。
発電特性評価用に燃料電池短セルの組み立てを試みたが、2枚のリブ付き成形品の間に膜電極接合体を設置し、次いでこの2枚の成形品を締結する際に、リブ付き成形品に割れが発生し、燃料電池を組み立てることができず、発電特性の評価ができなかった。本方法で作製したリブ付き成形品は厚み精度が悪く、リブ付き成形品を締結する際に偏加重が加わり割れが発生したものと考えられる。
Figure 0003956956
*1;気体透過度の単位はcm/sec・cm・atmである。
*2;厚み方向体積固有抵抗の単位はmΩ・cmである。
Figure 0003956956
*1;気体透過度の単位はcm/sec・cm・atmである。
*2;厚み方向体積固有抵抗の単位はmΩ・cmである。
本発明の一実施形態に係わる、燃料電池用セパレータを示す部分斜視図である。 本発明の一実施形態に係わる、燃料電池セル構造を示す部分斜視図である。 本発明の一実施形態に係わる、燃料電池スタック構造を示す部分斜視図である。 本発明の一実施例態に係わる、厚み測定点を記入した燃料電池用セパレータの形状(a)とその断面図(b)である。
符号の説明
1 セパレータ
2 ガス又は液体の流路
3 単セル
4 固体高分子電解質膜
5 燃料極
6 酸化剤極
7 電解質膜電極接合体
8 燃料電池スタック
9 リブ部の頂点
10 リブ部の頂点

Claims (6)

  1. 内部に均一に分布する導電性粉粒体と、直径0.1〜20μmを有する熱可塑性樹脂繊維とからなる不織布を、加熱軟化させて金型内で成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 前記不織布が導電性粉粒体を70重量%以上含有するものであり、かつ前記燃料電池用セパレータが30mΩ・cm以下の厚み方向の体積固有抵抗を有する請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  3. 前記導電性粉粒体が有する平均粒子径が、前記熱可塑性樹脂繊維が有する直径の10倍以上であり、かつ前記熱可塑性樹脂繊維が有する長さの1/3以下である、請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  4. 前記不織布の気孔率が、50%以上である請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリアリーレンスルフィド樹脂繊維である請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. 請求項1に記載の製造方法によって得られた燃料電池セパレータで、電解質膜の両面に電極が配置されている電解質膜電極接合体が挟持された積層構造を有することを特徴とする燃料電池。



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