JP4441644B2 - イオンをフラグメント化する方法、イオンのストリームを質量分析する方法、および質量分析計 - Google Patents

イオンをフラグメント化する方法、イオンのストリームを質量分析する方法、および質量分析計 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国暫定特許出願第60/370,205号、2002年4月5日出願、「低圧イオン・トラップ内の共振励起によるイオンのフラグメンテーション(Fragmentation of Ions by Resonant Excitation in a Low Pressure Ion Trap)」からの優先権を請求する。
本発明は質量分析計に関するもので、特に比較的高い効率と識別とでイオンをフラグメント化することが可能な質量分析計に関するものである。
タンデム質量分析技術では、一般に質量分析計内で物理的な変化を受けたイオンを検出する。多くの場合、物理的変化は、選択された前駆イオンすなわち親イオンを解離すなわちフラグメント化して、得られたフラグメント・イオンすなわち子イオンのマス・スペクトルを記録することを含む。フラグメント・イオンのマス・スペクトル内の情報は前駆イオンすなわち親イオンの構造を解明するのに有用な助けであることが多い。例えば、質量分析/質量分析(MS/MSすなわちMS)スペクトルを得るのに用いられる一般的方法では、選択された前駆イオンすなわち親イオンを適当なm/z分析計で分離し、前駆イオンすなわち親イオンを中性ガスと活発に衝突させて解離を誘発し、最後にフラグメント・イオンすなわち子イオンを質量分析してマス・スペクトルを生成する。
別の段のMSを上述のMS/MS方式に追加してMS/MS/MSすなわちMSを作ることができる。この追加の段は解離経路を解明するのに非常に有用である。特に、MSスペクトル内に多くのフラグメント・イオン・ピークを含む場合か、またはほとんど構造情報を持たない一次フラグメント・イオンが圧倒的に多い場合に有用である。MSは一次フラグメント・イオンを分解して、しばしば注目の情報を作る追加のすなわち二次のフラグメント・イオンンを生成する。実際に、この方法をn回行うとMSスペクトルが得られる。
一般に、イオンは何らかの形の衝突セル内で不活性ガスと衝突してフラグメント化する、すなわち解離する。解離は、高い軸方向エネルギーでイオンをセル内に導入するかまたは外から励起を与えることにより誘発される。例えば、2000年6月8日付、ダグラス(Douglas)他の、WIPO発行のWO00/33350を参照していただきたい。
ダグラスはトリプル四重極質量分析計を開示している。中央の四重極はイオンをトラップするための比較的高圧の衝突セルを形成する。これにより、共振励起技術を用いて、選択されたイオンを分離してフラグメント化することができる。ダグラスの装置の問題は、衝突セル内で特定のイオンを分離してフラグメント化する能力が比較的低いことである。これを補償するため、ダグラスは第1の四重極を質量フィルタとして用いて、前駆イオンを選択するときの分解能を高くしている。これにより、MSスペクトルを比較的高い精度で記録することができる。しかしMS(またはより高次の)スペクトルを作るには、分解能が制限される衝突セル内で分離とフラグメンテーションとを行わなければならない。
概して言えば、本発明は比較的高い分解能でイオン・トラップ内のイオンをフラグメント化する方法と装置とを与える。これを行うには、トラップ内の不活性ガスすなわちバックグラウンド・ガスを従来の衝突セルより低い圧力に保持する。トラップ内の圧力は10−4トル以下の程度で、好ましくは10−5トル程度である。トラップされたイオンは、比較的低い励起振幅で比較的長い期間(好ましくは25ms超)共振的に励起される。これにより、比較的高い識別度でイオンを選択的に解離すなわちフラグメント化することができる。例えば、m/z=609で、少なくとも約1m/zの識別が得られる。
本発明の1つの形態では物質を分析する方法を与える。この方法は、(a)約9x10−5トルより低いバックグラウンド・ガス圧力を有するイオン・トラップを設け、(b)物質をイオン化してイオンのストリームを作り、(c)イオン・ストリームの少なくとも一部をトラップ内にトラップし、(d)選択されトラップされたイオンを共振的に励起して、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進し、(e)次に、トラップされたイオンを分析してマス・スペクトルを生成する。好ましくは、共振励起はイオンに交番ポテンシャルを約25msを超える励起期間与えて行うことを含む。
本発明の別の形態では、イオンをフラグメント化する方法を与える。この方法は、(a)イオンにRF交番ポテンシャルを与えることにより、10−5トル程度の圧力のバックグラウンド・ガスが存在する環境内に置かれたイオン・トラップ内にイオンをトラップし、(b)トラップされたイオンを振り分ける(straddle)少なくとも一組の極に補助交番励起信号を約25ミリ秒を超える期間与えることにより、選択されたm/z値のトラップされたイオンを共振的に励起して、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進することを含む。
本発明の別の形態では、イオンのストリームを質量分析してMSスペクトルを得る方法を与える。この方法は、(a)イオンのストリームに第1の質量濾過ステップを行って、第1の所望の範囲内の或る質量対電荷比を有する前駆イオンを選択し、(b)この前駆イオンにRF交番ポテンシャルを与えてイオンを直線イオン・トラップ内にトラップし、(c)10−5トル程度のバックグラウンド・ガス圧力の下で約25ミリ秒を超える励起期間、トラップされた前駆イオンに補助交番ポテンシャルを与えることによりイオンを共振的に励起してフラグメント・イオンを生成し、(d)トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成することを含む。
本発明の更に別の形態では、イオンのストリームを質量分析してMSスペクトルを得る方法を与える。この方法は、(a)イオンのストリームに第1の質量濾過ステップを行って、第1の所望の範囲内の或る質量対電荷比を有する前駆イオンを選択し、(b)この前駆イオンを衝突セル内でフラグメント化して第1世代のフラグメント・イオンを作り、(c)全ての解離されない前駆イオンと第1世代のフラグメント・イオンとにRF交番ポテンシャルを与えることによりイオンを直線イオン・トラップ内にトラップし、トラップされたイオンに第2の質量濾過ステップを行って、第2の所望の範囲内の或るm/z値を有するイオンを分離し、10−5トル程度のバックグラウンド・ガス圧力の下で約25ミリ秒を超える励起期間、第1世代のイオンの少なくとも一部に補助交番ポテンシャルを与えることによりイオンを共振的に励起して第2世代のフラグメント・イオンを生成し、(d)トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成する、ことを含む。
本発明の更に別の形態では質量分析計を与える。質量分析計はイオンを空間的にトラップするための直線イオン・トラップを含む。少なくとも一組の極は、トラップされたイオンの少なくとも一部を振り分ける。極はイオン・トラップの構造の一部を形成してもよいし、または外部の極として設けてもよい。トラップ内のバックグラウンド・ガスの圧力は約9x10−5トルより低い。イオンをトラップ内に導入するための手段を設ける。交流電圧源は少なくとも一組の極に共振励起信号を約25ミリ秒を超える期間与えて、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進する。トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成するための手段も設ける。
本発明の更に別の形態では、シーケンスに配列された第1、第2、第3の四重極ロッド・セットを含む四重極質量分析計を与える。第1の四重極ロッド・セットは選択されたイオンを分離するためのものである。第2の四重極ロッド・セットは、第1および第2のロッド・セット内よりかなり高いバックグラウンド・ガス圧力を有する衝突室内に置く。第3の四重極ロッド・セットは直線イオン・トラップとして形成して、トラップされたイオンの少なくとも一部を振り分ける少なくとも一組の極を含む。トラップは約9x10−5トルより低いバックグラウンド・ガス圧力を有する。少なくとも1組の極に共振励起信号を約25ミリ秒を超える期間与えるために交流電圧源を設け、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進する。この装置はトラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成するための手段を含む。
最も好ましい実施の形態では、約50ミリ秒(ms)から約2000msの期間共振励起信号を与える。共振励起信号または交番ポテンシャルの最大振幅は、好ましくは約1V(0−pk)に限定する。ただし、後で起こるイオン放出の程度などの種々の要因によりこの値は変わってよい。詳細は後で説明する。なお、記号(0−pk)は、イオン・トラップの極間に印加され、接地ポテンシャルを基準にした交番ポテンシャルのピーク振幅(大きさ)を表し、0は接地ポテンシャルを意味し、pkはピーク振幅を意味する。
本発明の別の広い形態では、イオンをトラップするのに用いられる電界に高次の補助電界を重ねることによりフラグメンテーション効率を高めてよい。補助電界(直線イオン・トラップ内のRF四重極電界を用いてイオンをトラップする場合の八重極電界など)は、トラップの半径方向周辺に近づく共振的に励起されたイオンの振動運動を減衰させる。これにより、イオンがトラップから半径方向に放出する確率が低くなり、衝突誘起解離の確率が、したがってフラグメンテーション効率が高くなる。
本発明の1つの形態では、イオンをフラグメント化する方法を提供する。この方法は、(a)約9x10−5トルより低い圧力のバックグラウンド・ガスが存在する環境内に置かれまたは環境を形成するイオン・トラップ内にイオンをトラップし、(b)選択されトラップされたイオンに交番ポテンシャルを与えることによりイオンを共振的に励起して、トラップされたイオンの少なくとも一部の衝突誘起解離を促進し、(c)トラップの周辺の共振的に励起され選択されたイオンの振動運動を減衰させて、選択されたイオンがトラップから放出する確率を低くする。
好ましくは、追加の極を導入してトラッピング電界に高次の電界を重ねることにより減衰を与える。好ましい実施の形態では、トラップは直線イオン・トラップであり、トラッピング電界はRF四重極電界であり、高次の電界は、好ましくはトラップの中心縦軸付近のイオンが受ける全電圧の中の比較的少量だけ与える。
本発明の別の形態では直線イオン・トラップを与える。このトラップは、実質的に四重極のRFトラッピング電界を生成するための手段と、RFトラッピング電界に高次の多重極電界を重ねるための手段と、トラップ内に約9x10−5トルより低い圧力のバックグラウンド・ガスを与えるための手段と、トラップ内にイオンを導入するための手段と、共振励起信号を与えて、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進するための手段と、トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成するための手段とを含む。
図1は第1の実施の形態に係る質量分光装置10を示す。周知のように、装置10はイオン源12を含む。これは電子スプレイ、イオン・スプレイ、コロナ放電装置、または任意の他の周知のイオン源でよい。イオン源12からのイオンはアパーチャ・プレート16内のアパーチャ14を通って送られる。プレート16の反対側にカーテン・ガス室18があり、カーテン・ガスがガス源(図示しない)からこれに供給される。カーテン・ガスは、コーネル研究基金(Cornell Research Foundation Inc.)の米国特許第4,861,988号に記述されているように、アルゴンや窒素やその他の不活性ガスでよい。上記特許は適当なイオン・スプレイ装置も開示している。この特許の内容をここに援用する。
次に、イオンはオリフィス・プレート20内のオリフィス19を通って、差動ポンプで排気される真空室21に入る。次にイオンはスキマ・プレート24内のアパーチャ22を通って、差動ポンプで排気される第2の室26に入る。一般に差動ポンプで排気される室21内の圧力は1トルまたは2トル程度であり、差動ポンプで排気される第2の室26(質量分析計の第1室と見なされることが多い)は約7ミリトルまたは8ミリトルの圧力まで真空排気される。
室26内に、従来のRF専用の多重極イオン・ガイドQ0がある。その機能はイオンを冷却して収束させることであって、室26内にある比較的高いガス圧力により助けられる。室26は、大気圧のイオン源12と低圧真空室との間のインターフェースとしての役目もあり、次の処理の前にイオン・ストリームから多くのガスを除去する働きをする。
インターカッド(interquad)アパーチャIQ1は室26と第2の主真空室30とを分離する。第2の室30内に、ブルベーカ(Brubaker)レンズとして働くST(スタッビーズ(stubbies)の略で、軸長の短いロッドであることを示す)と書かれているRF専用のロッドがある。四重極ロッド・セットQ1は、約1トルから3x10−5トルに真空排気された真空室30内にある。第2の四重極ロッド・セットQ2は、34から衝突ガスを供給される衝突セル32内にある。衝突セル32は、トムソン(Thomson)とジョリフェ(Jolliffe)の米国特許第6,111,250号に教示されているように出口端に向かって軸方向電界を形成するよう設計する。上記特許の全内容をここに援用する。セル32は室30内にあり、両端にインターカッド・アパーチャIQ2,IQ3を含み、一般に約5x10−4トルから10−2トルの範囲の圧力に、より好ましくは約5x10−3トルから10−2トルの圧力に保たれる。Q2の後に、35で示す第3の四重極ロッド・セットQ3と、出口レンズ40とがある。Q3の向かい合うロッドの間隔は好ましくは約8.5mmであるが、他の間隔も考えられ、また実際に用いられる。好ましくはロッドの断面は円であり、完全な双曲プロフィールを有していない。Q3領域内の圧力は通常はQ1の圧力と同じで、1トルから3x10−5トルである。出口レンズ40から出るイオンを検出するための検出器76を設ける。
RF用電源37と、RF/DC用電源36と、RF/DCおよび補助AC用電源38とを設けて、四重極Q0、Q1、Q2、Q3に接続する。Q0はRF専用の多重極イオン・ガイドとして動作し、その機能は米国特許第4,963,736号に教示されているようにイオンを冷却して収束させることである。上記特許の内容をここに援用する。Q1は標準の分解RF/DC四重極である。RF電圧とDC電圧とは、注目の前駆イオンまたは或る範囲のイオンだけをQ2に送るように選択される。Q2はガス源34から衝突ガスを供給され、前駆イオンを解離すなわちフラグメント化して第1世代のフラグメント・イオンを作る。Q3は修正直線イオン・トラップとして動作し、イオンをトラップすることに加えて、選択されたイオンを分離してフラグメント化するのにも用いられる。これについては後で詳細に説明する。次に、軸方向放出技術を用いて、質量に依存してイオンをQ3からスキャンアウトする。
例示の実施の形態では、イオン源12からのイオンは真空室30に送られる。必要であれば、この技術で周知のように四重極ロッド・セットに印加されるRF+DC電圧を操作してQ1で前駆イオンm/z(または質量対電荷比の範囲)を選択してよい。前駆イオンを選択した後、Q1とQ2との間の適当な電圧降下によりイオンを加速してQ2内に送り、米国特許第5,248,875号に教示されているようにフラグメンテーションを誘発させる。上記特許の内容をここに援用する。フラグメンテーションの程度は、衝突セルQ2内の圧力とQ1とQ2との間のポテンシャル差とにより、部分的に制御することができる。例示の実施の形態では、Q1とIQ2との間には約10−12ボルトのDC電圧降下が存在する。
第1世代のフラグメント・イオンは解離されない前駆イオンと共に、その運動量と、Q2とQ3との間の周囲圧力勾配とにより、Q3内に運ばれる。出口レンズ40に阻止ポテンシャルがあって、イオンが脱出するのを防ぐ。適当な充填時間の後IQ3に阻止ポテンシャルを与えて、直線イオン・トラップとして機能するQ3内に前駆イオンと第1世代のフラグメント・イオンとをトラップする。
Q3内にトラップされると、前駆イオンと第1世代のフラグメント・イオンとは質量分離されて特定のm/z値またはm/z範囲を選択する。次に、選択されたイオンを後で詳細に説明するようにQ3の低圧環境内で共振的に励起して、第2世代のフラグメント・イオン(すなわち、フラグメントのフラグメント)を作ってもよいし、または選択された前駆イオンをフラグメント化してもよい。次に、イオンを直線イオン・トラップから質量選択的にスキャンアウトして、Q3内で解離されるのが第1世代のフラグメントか前駆イオンかに従って、MSまたはMSスペクトルを生成する。また、分離またはフラグメント化のサイクルを1回以上行ってMSスペクトル(n>3)を生成してよいことが認識される。
後で詳細に説明するように、Q3の低圧環境内でイオンを分離してフラグメント化する選択性すなわち分解能は多くの目的に対して十分高い。したがって、前駆イオンを分離するのに用いられるQ1は、望ましければ省略してよいことが理解される。なぜなら、分解能は同じ程度ではないが、この作用はQ3で行ってよいからである。同様に、Q2衝突セルを省略してもよい。なぜなら、イオンをフラグメント化するステップは、Q2内よりはるかに高い分解能で直線トラップQ3の領域内で完全に行うことができるからである。実際のところ、イオン源に適切に結合した直線イオン・トラップを用いてMS、MSまたはより高いスペクトルを生成することができる。
図2はQ3内で与えられる波形のタイミング図の詳細を示す。初期段50で、IQ3の阻止ポテンシャルを下げて、好ましくは約5−100msの範囲(好ましくは50ms)の間、トラップを満たす。
次は冷却段52で、前駆イオンと第1世代のイオンとをQ3内で約10−150msの期間、冷却または熱運動化する。冷却段はオプションであって、実際には省略してよい。
分離したい場合は、次は分離段54である。Q3内でのイオン分離は種々の方法で行うことができる。例えば、適当なRF信号とDC信号とをQ3の四重極に与えて、安定領域の端の選択されたイオンを、またはカットオフ値より低いイオンを分離する。このプロセスで、選択されたm/z範囲は変わりやすくなる。なぜなら、その関連するa,q値が通常のマシュー(Mathieu)安定図の外に出るからである。これは好ましい方法である。なぜなら、この方法を用いた分離の質量分解能は比較的高いことが分かっているからである。例示のシステムでは、RF信号の周波数を固定し、RF信号の振幅とDCオフセットとを操作して(参照番号64で概略を示すように)不必要なイオンを半径方向に放出する。例示のシステムでは、分離段の間は補助AC電圧成分は活動的でない。この段は約<5ms続き、0.1msと短くてよい。
または、分離は共振放出技術で行うことができる。とりわけ、ダグラス他のWIPO発行第WO 00/33350、2000年6月8日付、に開示されているように、この技術を用いて全ての他のイオンを半径方向に放出することができる。ダグラス出願の内容をここに援用する。ダグラス出願では、補助AC電圧を制御して、順次の正弦波で作られる、広い周波数範囲にわたるノッチ付き広帯域励起波形を生成する。各正弦波は比較的高い振幅を持ち、周波数の間隔は0.5kHzである。広帯域波形内のノッチは一般に2−10kHz幅で、その中心は注目のイオンに対応する永続周波数である。この技術に係る分離段は約4ms間続く。
他のイオン分離技術も考えられる。なぜなら、十分な分解能が得られるのであれば、どの手段を用いるかは重要ではないからである。共振励起技術による分離は多くの目的に使えることを認識すべきである。なぜなら、イオンは比較的低圧の環境内でトラップされるので、分解能が比較的高いからである。したがって、後で詳細に説明するように、同じm/z値を有するイオンの永続周波数の幅すなわち変動は比較的低いので、より高い識別が可能になる。
分離段54の次は、選択されたイオンをフラグメント化するフラグメンテーション段56である。この段56の間は、イオンをQ3内にトラップするのに用いられるRF電圧に重ねる補助AC電圧を、好ましくは一組の極対に、xまたはy方向に印加する。補助AC電圧(または、「共振励起信号」と呼ぶ)はQ3内に補助の、双極性の、交番電界を作る(イオンをトラップするのに用いるRF電界にこれを重ねる)。これにより、トラップされたイオンに交番ポテンシャルが与えられる。交番ポテンシャルの最大値はロッドのすぐ近くで起こる。
選択されたイオンに共振周波数の補助AC電圧を印加するとその振動の振幅が大きくなる。振幅が極対の半径より大きい場合は、イオンはQ3から半径方向に放出されるか、またはロッドにより中和される。または、活動的なイオンはバックグラウンド・ガス分子と衝突し、そのエネルギーは、イオンを解離してフラグメント・イオンを作るのに必要な十分な内部エネルギーに変換される。励起電圧とその印加時間とを適当に操作することにより、バックグラウンド・ガス圧力が好ましくは10−5トル程度のQ3の非常に低圧の環境内でも、適度の実際的なフラグメンテーション効率でCIDが起こるのに十分な回数のイオンとバックグラウンド・ガスとの衝突を起こすことが可能であることを本発明者は発見した。従来、質量分析で実際に用いるときにこの現象を起こすためにはこの圧力は低すぎると考えられていた。更に良いことに、フラグメンテーションの分解能が比較的高い(後で説明する実験データから分かるように約700である)ことを本発明者は発見した。これはこれまで文献に報告されている値の2−3倍である。
断面が完全には双曲面でないQ3内のロッド・セットを用いることも好ましい。例えば、好ましい実施の形態は断面が円のロッドを用いる。共振励起信号を与えるとイオンは半径方向に振動し、イオンはトラップの中心縦軸から移動して更に一層離れる。双曲面でないロッド・セットの場合は、かかるロッドは理想的でない四重極電界を作るので、共振励起信号がイオンに与える影響はトラップの中心の縦軸から離れるほど小さくなる。実際のところ、四重極電界が理想的でないと振動運動を減衰させて、所定の時間内に半径方向に放出されるイオンの数が少なくなるので、イオンがバックグラウンド・ガス分子と衝突して解離する機会が多くなる。
例示の実施の形態では、共振励起信号は正弦波で、その振幅はゼロからピークまで(0−pk)測定して最大約1ボルトの範囲であり、好ましくは約10mV(O−pk)から550mV(O−pk)の範囲である。後者の値は、一般に生体分子に見られる強く結合するボンドの大部分を解離するのに十分であることが分かった。実際には、約24−25mV(O−pk)のプリセット振幅を用いると広範囲のm/zにわたって良好に動作することが分かった。
共振励起信号の周波数faux(68)は、好ましくはフラグメンテーションのために選択されたイオンの基本共振周波数ωに等しくする。ωはm/z毎に特有で、
Figure 0004441644

でかなり精密に近似することができる。ただし、ΩはトラッピングRF信号の角周波数である。この近似は、RF専用の四重極においてqx,y≦0.4で有効である。例示の実施の形態では、Q3はxおよびy平面で約0.21のqで動作する。
共振励起信号は、約25ミリ秒(ms)を超える期間、好ましくは少なくとも約50msから最大2000msまでの範囲で与える。実際には、50msの期間与えると広範囲のm/z値にわたって良好に動作することが分かった。
フラグメンテーション効率(全てのフラグメント・イオンの和を最初の親イオンの数で割った値と定義する)は、後で説明する実験結果で示すように、或るイオンでは好ましい動作パラメータの下で約70−95%にも達することがある。
フラグメンテーションの後、好ましくはイオンを約10msから150msの間、追加の冷却段58に保ってイオンを熱運動化する。場合によっては、この段は省略してよい。
冷却段の次は質量スキャン段すなわち質量分析段60である。ここで、好ましくは米国特許第6,177,668号に一般に教示されている軸方向放出技術を用いて、イオンを質量に従ってQ3から軸方向にスキャンアウトする。上記特許の内容をここに援用する。簡単に述べると、米国特許第6,177,668号に開示されている技術では、イオンをロッド・セット(例えば、四重極ロッド・セット)の入口に導入して、出口部材に障壁電界を作ることによりイオンを遠端にトラップする。RF電界をロッドに(少なくとも障壁部材の近くに)与えると、ロッド・セットの出口端と障壁部材の近くの抽出領域内でRF電界は相互作用して縁電界を作る。抽出領域内のイオンは付勢されて、選択された質量対電荷比の少なくとも複数のイオンをロッド・セットから軸方向に障壁電界を通して質量選択的に放出される。次に、放出されたイオンを検出する。イオンを軸方向に放出するための種々の技術が知られている。すなわち、端レンズまたは障壁に与えられた補助AC電界をスキャンする方法、ロッド・セットに印加されたRF電圧をスキャンすると共に固定周波数の補助電圧を端障壁に印加する方法、補足AC電圧をロッド・セットだけでなくレンズに、またロッドのRFに印加する方法、などである。
例示の実施の形態は上の諸技術の組合せを用いる。より特定すると、出口レンズ40に与えるDC阻止ポテンシャル65を、完全に除くのではなく少し低くして、スキャニング期間にわたってランプさせる。同時に、Q3のRF電圧69とQ3の補助AC電圧70とをランプさせる。この段では、好ましくは補助AC電圧の周波数は軸放出に効果があることが知られている所定の周波数ωejecに設定する。(各直線イオン・トラップは、その正確な外形形状に基づいて最適な軸方向放出のための少し異なる周波数を有してよい。)出口障壁とRF電圧と補助AC電圧とを同時にランプさせると、軸方向に放出するイオンの効率が高まる。これについては、被譲渡人の同時継続出願の特許出願第10/159,766号、2002年5月30日出願、「多重極質量分析計における改善された軸方向放出分解能(Improved Axial Ejection Resolution in Multipole Mass Spectrometers)」に詳細に説明されている。この出願の内容をここに援用する。
上述の装置を用いたいくつかの実験データについて図3−8を参照して以下に説明する。図3の(a)−(d)は、標準の較正ペプチド(5μl/分、インフュージョン・モード)に関係する多数のマス・スペクトルをそれぞれ示す。図3(a)は高分解能MSスペクトルであって、Q1(低い分解能に設定)内で分解RF/DCを用いてm/z829.5のペプチドを分離し、イオンを低エネルギーでQ2衝突セル内に導入してフラグメンテーションを最小にした。衝突セルQ2内の中性ガス(窒素)圧力は約5−10ミリトルであった。上に述べたようにQ3内で好ましい軸方向放出スキャニング技術を用いてこのスペクトル(および図3の全ての他のスペクトル)を得た。図3(b)は、比較的高い導入エネルギーでQ2衝突セル内に導入したペプチドのMSスペクトルを示す。図3(c)は、Q3内で低質量カットオフ技術を用いてm/z=724.5の注目のピークより低いイオンをほとんど除去した、高質量イオンの分離を示す。図3(d)は、m/z=724.5のイオンの共振励起を示すMSスペクトルである。このスペクトルを作るため、共振励起信号の周波数を60.37kHzに、励起振幅を24mV(0−pk)に設定した。励起期間は100msであった。Q3内の中性ガス圧力は室壁で測定して2.7x10−5トルであった。(Q3四重極をセル内に置いていなかったので、Q3内の周囲圧力としてはこの圧力は恐らく2−3倍以内の精度であろう。)図3(b)に示すMSスペクトルに比べて図3(d)のMSスペクトルでは、m/z=706でのピークの強度は大きく、m/z=724.5の強度は小さいことに注意していただきたい。
図4の(a)−(f)は、励起周波数を変えたときのペプチドの第1および第2世代フラグメントの高分解能スペクトルを示す。図4(a)は第1世代イオンのMSスペクトルを示す(すなわち、イオンを共振的に励起しない場合)。Q2衝突セルで起こるフラグメンテーションによりm/z=724.5とm/z=725.5に2つの間隔の狭いフラグメント・アイソトープ102と104があることに注意していただきたい。図4(b)は、周波数60.370kHz(24mV(0−pk)、励起期間100ms)でイオンを共振的に励起したときのスペクトルを示す。m/z=724.5のイオンはほとんど完全に解離され、m/z706.5のピークがその最大の強度である。図4(c)、図4(d)、図4(e)に示すように、励起周波数が低くなるに従ってm/z724.5でのイオンの解離は小さくなる。励起周波数が60.310kHzに達すると、m/z=725.5のアイソトープ104ははっきり解離の兆候を示し、励起周波数が60.290kHzに達すると、図4(f)に示すように実質的に解離する。この装置により、ユーザはイオンを1m/z単位間隔で選択的にフラグメント化することができる。すなわち、この装置はm/z=725で少なくとも1m/z単位の識別を示す。かかる選択性があるので、フラグメント化されないアイソトープを用いて分光計を較正することができることが認識される。詳しく述べると、フラグメント化されないアイソトープのm/z値とフラグメンテーション・ステップの前のm/z値とを比較し、m/z値が変わっていれば、これを用いて測定器の質量ドリフトを識別して訂正することができる。また、フラグメント化されないアイソトープの強度を比較して、強度の変動を訂正するのに用いることができる。
図5は、親イオン(m/z724.5でのペプチド・フラグメント)とそのフラグメント・イオン(m/z706.5での第2世代ペプチド・フラグメント)との強度を励起周波数(24mV(0−pk)、100ms励起)の関数として示す。親イオン強度の半値幅FWHMは77Hzである。これから、分解能は784(60360Hz/77Hz)である。フラグメントのFWHMは87Hzで、分解能は694である。したがって、724.5から706.5への解離のフラグメンテーション効率は73%である。図3(d)のスペクトルから分かるように、全てのフラグメント・イオンがm/z=706.5ではないことを考えると、全フラグメンテーション効率は更に高いであろう。
図6の(a)と(b)は、レセルピン(100pg/□1,5−10□l/分、インフュージョン・モード)のマス・スペクトルを示す。図6(a)は、Q1で分離され(低分解能に設定)、低エネルギーで衝突セルQ2内に導入され、次にQ3でイオンがトラップされたレセルピンの高分解能マス・スペクトルである。100msの間、励起を与えなかった。次に、前に述べた好ましい軸方向放出技術を用いてイオンをスキャンアウトした。図6(b)は、60.37kHz、21mV(0−pk)の共振励起信号を用いて100msの励起期間にわたってレセルピン・イオンを共振的に励起した後のMSスペクトルを示す。図6(a)ではm/z609.23ピークの積分強度は1.75e6cpsであり、図6(b)ではフラグメント・イオンの積分強度は1.63e6cpsである。これから、フラグメンテーション効率は93%である。図7は、605m/zから615m/zまでの領域内の図6のプロットの詳細を示す。図7から分かるように、m/z609.23のピークだけが解離に選択された。
以下の理論に制約されるわけではないが、共振励起は比較的低圧の環境で行うと比較的高い分解能のフラグメンテーションが達成されると考えられる。計算によると、この低圧でのイオンの永年周波数の幅すなわち変動は約100Hzである。励起期間は比較的長く、50−100msである。図9に示すように、分解能は周波数領域の2つの信号902と904との畳み込みから理解することができる。信号902は励起パルスを表す。100msで、励起パルスはフーリエ変換により決まる約10HzのFWHM幅を有する。信号904は、約100Hzの幅を有する永年周波数の変動を表す。分解能は、これらの2つの信号を畳み込んで、積信号の周波数をFWHM値で割って測定することができる。
フラグメンテーション効率は共振励起信号の振幅に或る程度依存する。例えば、図8はレセルピン・フラグメント(親イオンm/z=609.23から解離したもの)の強度を励起振幅の関数として示す。励起周波数は60.37kHzに設定し、q=0.2075で、Q3内の中性ガス圧力は室内で測定して約2.7x10−5トルである。強度のプロットは最大値に達した後、直線イオン・トラップQ3からのイオンの放出が増え始めると下降し始める。これは、フラグメンテーションと放出との間に「競合」が存在するからである。共振励起信号の振幅が高いほど、イオンは放出しやすい。
別の例として、図10は、2722m/zクラスタ・アジレント(AgilentTM)チューニング溶液のフラグメンテーション中の、フラグメントと、親イオンと、親イオン・アイソトープ・クラスタの強度を励起周波数の関数として示す。実験は図3−8を作ったときと同じ計器を用いて行った。励起は2722m/zについてq=0.207で行った。励起振幅は100mV(0−pk)であった。実験は、親クラスタ(2720−2730m/z)の約21%のフラグメンテーション(1500−2716m/z)を示した。約30%のイオンが直線イオン・トラップQ3から放出された。これは、親イオンとフラグメント・イオンとの組合せの強度を測定したプロット121で、ベースライン強度とピーク・フラグメンテーションの点との間の差120で測った値である。このデータでは、励起信号を200msの期間与え、直線イオン・トラップ内の圧力の測定値は2.3e−5トルであった。励起振幅を小さくすると(他の動作パラメータは変えない)、フラグメンテーションも放出も減少した。励起振幅を大きくして150mVにすると(他の動作パラメータは変えない)、図11に示すように、フラグメンテーションの程度は増えずに親イオンの放出が更に大きくなった。
図12Aは、アジレント(AgilentTM)チューニング溶液成分のフラグメンテーションを種々の励起期間にわたってプロットしたものである。このプロットは、図3−11のプロットを作るのに用いた計器と同じ構造の計器(同じ計器ではない)を用いて作った。励起周波数は59.780kHz、励起振幅は280mV、q=0.205であった。フラグメンテーション効率は約500msの励起期間まで急速に増加し(プロット908に示すように)、その後は、効率は余り増加していない。比較的平らなプロフィールのプロット906が示すように、放出はほぼ一定のように見える。このプロットのフラグメンテーション効率は図8に示すプロットの効率より高いように見える。これは恐らく、別の試験計器を用い、図8のプロットを得るのに用いた計器の場合と全く同じプロフィールを有してはいないロッド・セットを用いたためであろう。
図12Bは2722m/zイオンのフラグメンテーションを励起振幅の関数としてプロットしたものである。このデータでは、励起周波数は59.780kHz、100mVの間与え、q=0.205であった。振幅が大きいときプロット910で示す2722m/zクラスタとそのフラグメントの強度はかなり下がり、イオンの放出が増えることをこのデータは示す。しかしプロット912で示すフラグメンテーション効率は少し高くなるように見える。プロット910と912とを外挿すると、励起振幅を1ボルト(0−pk)まで高めると実際に大きなフラグメンテーション効率が得られるようである。
このように、フラグメンテーション効率は種々の要因に依存することが分かる。要因とは、用いるロッド・セットの正確な形すなわちプロフィール、q係数、フラグメント化されるイオンの種類、共振励起周波数の振幅などである。
特に、図8、図10−11、図12A−12Bに示すように、フラグメンテーション効率は共振励起信号の振幅に従って大幅に変動する。最適な振幅を予め知ることは必ずしもできないが、次に説明するように、低圧の直線イオン・トラップを改造して、任意の所定の励起振幅のフラグメンテーション効率を高め、励起を高くしても放出がフラグメンテーションより余り大きくならないようにすることができる。
図13Aと図13Bは、第2の実施の形態に係る質量分析計内の修正直線イオン・トラップQ3’の半径方向と軸方向の断面図をそれぞれ示す。Q3’だけを示す。なぜなら、第2の実施の形態の他の構造と動作の詳細は、上に述べた第1の実施の形態の質量分析計と同じだからである。第2の実施の形態では、Q3’の各四重極ロッド35’の断面は円で、長さは約203.2mm(8インチ)であり、金被覆セラミックで作られている。この四重極の駆動周波数は816kHzである。4個の追加電極122a−dで構成する「マニトバ(Manitoba)」型のリナック(linac)をQ3’の主四重極ロッド35’の間に導入する。種々の形の電極が可能であるが、好ましい電極はステム124を含むT型の断面を有する。例示の実施の形態では、Q3’の中心縦軸126に向かって延びる各ステム124の深さdは、図13Bに明確に示されているように4.1mmから0mmまで変化する。各電極122のステム124の最大深さの点は中心縦軸126から約8.5mmのところにある。
好ましくは、リナック電極は同じDCポテンシャル(例えば、0ボルト)に保持する。リナック電極122と四重極ロッド35’との間にDCポテンシャル差δを与えると、直線イオン・トラップの縦軸126に沿って一般に直線のポテンシャル勾配ができる。ポテンシャル勾配の特性に関する詳細な情報は、ロボタ(Lobota)他の「多重極イオン・ガイド内に軸方向電界を作るための新しいリナックII電極外形(Novel Linac II Electrode Geometry for Creating an Axial Field in a Multipole Ion Guide)」、Eur.J.Mass Spectrom.,6,531-536(2000)、を参照していただきたい。その全内容をここに援用する。リナック電極122を追加すると複雑なDC電界ができる。高次の項を無視すると、これは八重極電界で近似することができる。すなわち、
Figure 0004441644

ただし、ΔUは四重極の軸に沿うポテンシャル差、Rは四重極の電界半径(例示の実施の形態では4.17mm)、rとθとは円筒座標である。またリナック電極122はRFトラッピング電界に高次の多重極電界を与える。その重要性については後で説明する。
図14は、第2の実施の形態の質量分析計を用いて行った2722m/zチューニング溶液をフラグメント化した実験結果を示す。2722m/zチューニング溶液のフラグメンテーション効率は、リナック電極122と四重極ロッド35’との間にδ=160Vのポテンシャル差を与えたとき大きくなる。これらの実験では励起期間はやはり200msで、フラグメンテーションは100,125,170mVの励起振幅を用いて行った。黒い四角の線130は170mVの実験でのフラグメント・イオンと親イオンとを含む強度を示す。170mVのデータ130のピーク132(ピークは60.33kHzで起こる)で、フラグメントは最初の親イオンの約85%を示す。残りの親イオン(図示しない)は最初の親イオンの強度の約14%を示す。これは、励起プロセス中の親イオンの放出がほぼ0%であることを意味する。
170mVのデータ132の励起プロフィールはやや歪んでいて、100mVの励起振幅の下でとった図10に示す励起プロフィールより広い。これは恐らく、リナック電極122のステム長さが変わり、このために、直線イオン・トラップQ3’の縦軸126に沿う距離zの関数としてDC八重極コンテントの量が異なるからであろう。
第2の実施の形態は第1の実施の形態に比べてフラグメンテーション効率が高い。優れた結果が得られるのは、Q3’内にイオンをトラップするのに用いられる四重極電界とこれに重なる八重極電界との間の相互作用のためと考えられる。計算によると、中心縦軸126でのトラッピング電界内の八重極コンテントの量は、RF四重極電界の大きさに依存して、高いm/z(例えば、m/z=2722)で最大約2%(最大ステム深さの点で)である。したがって、中心縦軸126付近にあるイオンはトラッピング四重極RF電界の影響を多く受ける。中心縦軸から離れたところにあるイオンは八重極電界の影響を実質的により多く受ける。八重極電界では、所定のイオンの永年周波数は中心縦軸126からの変位に依存する。(四重極電界では、永年周波数はこの変位とは無関係である。)八重極コンテントが大きいほど、四重極トラッピング・ポテンシャルに比べてイオン運動の周波数への撹乱が大きい。したがって、共振励起信号を与えると、中心縦軸126の近くでは永年周波数でイオンを共振的に励起する。しかしイオンの半径方向の変位が大きくなり八重極電界がイオンの運動の周波数をシフトすると、イオンは共振から外れる。イオンは励起周波数による共振から外れて、共振励起信号で励起されことがなくなる。イオンの半径方向の変位が小さくなると、イオンは再び励起されるようになる。このように、八重極電界は振動運動の範囲を狭める。これにより、所定の時間フレーム内でのイオンの半径方向の放出が少なくなり、バックグラウンド・ガス分子との衝突によりイオンが解離する機会が大きくなる。またこれにより、他の方法に比べて大きな振幅の共振励起信号を用いることができる。
またロッド35’に印加されたDCオフセット電圧と同じポテンシャル±δにリナック電極122を設定して励起プロフィールを測定した。これにより、ポテンシャル差δは0Vになり、軸方向の勾配は実質的にゼロにまで下がり、リナック電極からのDC八重極の寄与は最小になる。この結果を、100mVと170mVの励起振幅について図15と図16にそれぞれ示す。これらの結果は、図10と図11に示すリナック電極のない結果と同じである。すなわち、親イオンの放出が増える。
修正直線トラップQ3’を用いることにより生じる問題の1つは、リナック電極を設けたときに質量分析四重極としてのその性能である。最初、リナック電極122による高次の電界が存在するために性能が劣化すると考えられた。しかし、電極122が四重極の動作中に変わらないポテンシャルにある場合は、かかる影響を最小にすることができると考えられた。位相が180度違うことを除いて各極のRFポテンシャルが同じであるときは、かかるポテンシャル輪郭が存在する。これを図17に示す。この場合、RF電界が変わってもリナック電極を通るポテンシャル輪郭(輪郭線140で表す)は変わらない。図17の場合は、これらは0V輪郭である。(このポテンシャルは四重極のフロート・ポテンシャルと共に変わり、フロート・ポテンシャルと一致する。)
リナック電極122から分析四重極への影響を最小にするにはリナック電極のDCポテンシャルを調整する必要があることが実験から分かった。これは、リナック電極122のステム124の幅が有限であるため、やはり或る高次の電界が分析電界に導入されるからであると考えられる。例えば図18は、Q3’で得られる質量分析スキャンにおけるm/z2010イオン・クラスタのための信号の全イオン電流を示す。図19は、図に示す各リナック・ポテンシャルでとったマス・スペクトルを示す。信号は5ボルト窓全体の全イオン電流の平均である。例えば、δ=−100Vでのマス・スペクトルは、実際はリナック上の約−97.5Vから−102.5Vまでの範囲をカバーするイオン信号の合計である。図18のスペクトルにわたって5ボルト窓をスキャンして最適なリナック・ポテンシャルを決定する。
図20は、Q3’上のRF/DCポテンシャル(質量に比例する)をスキャンしながらリナック電極のDCポテンシャルをランプさせることにより、これらの影響を最小にすることができることを示す。これらのプロットは、リナック電極を設けないときに得られたはずのスペクトルに最もよく似たスペクトルを与えるリナック・ポテンシャルを示す。図20のこのデータの集合では、Q3’DCオフセット・ポテンシャルδは−24Vであった。
または、或る場合には四重極ロッドのDCオフセット電圧を変えてリナックのDC電圧を一定に保っても、同じ効果が得られる。
リナック電極とロッド35’との間に或るポテンシャル差を与えるとQ3’内に軸方向勾配が生成され、これにより、イオンはトラップの一端に向かって移動する。望ましい空間プロフィールまたは励起プロフィールに従って、種々の形の電極を用いることができる。リナックのステム長さを変えたために図14に示す悪い形の励起プロフィールができる場合は、図21と図22に示すような、ステム長さが一定の電極150を用いて改善することができる。これにより、図23−26に示すように励起プロフィールの歪は小さくなる。これらの図に示す実験は、図11と図12のデータを生成したときと同じ試験計器を用いて行った。用いた補助電極150は、先細りの電極122(図13A、図13B)ではなく、2mmの一定のステム長さを有するものである。
図23(a)は、2722m/zのAgilentTMイオン・クラスタのマス・スペクトル(励起なし)を示す。2722m/zクラスタの詳細図を151aに示す。図23(b)は、59.86kHzで励起された2722m/zイオン・クラスタのマス・スペクトルを示す。2722m/zクラスタの詳細図を151bに示す。フラグメントが1000m/zまで延びているのが見られる。このスペクトルの低質量カットオフを計算すると615m/zである(2733m/z0.205/0.907)。これらの図では、補助電極150のポテンシャルはQ3’四重極に与えられるDCポテンシャルと同じである。この場合、補助電極150の影響は最小になる(最小DC八重極コンテント)。Q1四重極をオープン分解能で分解モードに設定して、2722m/zクラスタをQ3’直線イオン・トラップに送った。オープン分解能は約6Daから8Daの窓を送る。
図24は、360mVの振幅で励起したときの励起プロフィールを示す。黒丸の線152は、300m/zから2700m/zの範囲をカバーするイオン・フラグメントの積分強度を示す。白丸の線153は2701m/zから2800m/zの範囲の積分強度を示す(これは2722m/zクラスタの積分強度である)。黒三角の線154は全スペクトルの積分強度を示す。360mVの励起振幅で100ms間与えると、2722m/zクラスタの約1/3が解離されてフラグメント・イオンを形成する。同時に、全体(300m/zから2800m/z)イオン強度が一定であることから分かるように、トラップから放出されるイオンはほとんどない。図25に示すように、励起振幅を530mVに上げてもイオン・フラグメントの数は増えない。逆に、トラップ内のイオンの全数を減らすと、図に示すように放出されるイオンの数は増える。
補助電極150のポテンシャルを−40Vに変えると、Q3’四重極(−160V)と補助電極150との間に120VのDCポテンシャル差ができる。これにより、トラッピング・ポテンシャルに追加のDC八重極成分ができる。この場合は、2722m/zクラスタを励起すると高いフラグメンテーションを行うことができる。これを図26に示すが、フラグメンテーション効率は約80%である。図24と図25で八重極コンテントを最小化したときに比べてフラグメンテーション効率は約2.4倍に増加している。図26では、励起振幅を900mVに高めて、50ms間与えた。励起プロフィールの低周波側でイオンがいくらか放出される。八重極コンテントを追加しなければ、900mVの励起振幅により2722m/zクラスタが大量に放出されて、フラグメンテーションはあったとしても最小になったであろう。
図27のQ3’の断面図に明確に示されているように、2個の電極122と2個の電極150を用いることも考えられる。これに関連して、図28A,28Bに電極150の単独の側面図と端面図を、図29A、29Bに電極122の単独の側面図と端面図を示す。かかる実施の形態では、ロッド35’と電極150との間に或るポテンシャル差を与え、電極122とロッド35’との間を0ボルトのポテンシャル差に保つと、妥当な励起プロフィールができる。共振励起の後、ロッド35’と電極122との間のポテンシャル差を大きくして軸方向勾配を作り、イオンを出口レンズ40に向かって移動させる。これを図30−31に示す。1対のリナック電極122を追加すると(図27−29に示すように)、中心縦軸126に沿って軸勾配が作られ、これを用いて影(artifacts)が余りできないようにすることができる。軸方向電界の勾配は4個のリナック電極122があるときの勾配より小さいが、それでも影を減らす/除くのに十分である。これを図30のスペクトルで示す。また電極122,150のかかる混合対を用いると歪んだポテンシャルができる。これは単にDC八重極を実質的に四重極電界に追加することでは説明できない。
図30で、2722m/zクラスタの励起は、59.420kHzで100ms間、1000mV(0−pk)の励起振幅で行った。リナック電極122を用いなかった図23の場合と同様に影はない。励起プロセス中、リナック電極122は160Vのポテンシャルに設定した(Q3ロッド・セットのDCオフセット・ポテンシャルと同じ)。他方の電極150は0ボルトのポテンシャル、すなわち、δ=160Vに設定した。励起が終わった後0Vのポテンシャルをリナック電極に与えて、四重極の中心縦軸126に沿う勾配を作った。勾配により影が除去され、検出されたイオンの総数が更に増えた(図24−26の縦軸の目盛と図31の縦軸の目盛とを比較すること)。図31はフラグメンテーション・プロフィールを励起周波数の関数としてプロットしたもので、100msの期間中、励起振幅を1000mVに設定した。収集されたフラグメント・イオンの量は、2722m/zクラスタの約75%のフラグメンテーション効率に対応する。このデータは、2個の補助電極150があるだけでもポテンシャルの歪が十分あって、高次の電界を用いることによるフラグメンテーション効率の向上に導くことを示す。
説明の目的で、例示の実施の形態について或る程度詳細に述べたが、理解されるように、種々の変形を行っても本発明の原理を実現することができる。例えば、共振励起信号の周波数はフラグメンテーションのために選択されたイオンの基本共振周波数ωに等しいと述べた。別の実施の形態では、励起期間中、ほぼωまたはその付近の範囲の周波数にわたって励起周波数をステップ状にまたは他の方法で変えてもよい。これにより、必要であれば近接して存在する全てのイオンのアイソトープを解離することができる。周波数は、図4で20Hz毎に高めた例のように離散的に、または励起期間にわたって連続的に、変えてよい。範囲は、例えばωの±0.5%に、または他の所定のパーセンテージに、プリセットしてよい。または、範囲はユーザが設定するパラメータでよい。図8に例を示すように、振幅電圧は励起期間にわたって或る点まで高くして、すなわち変えてよい。
また認識されるように、好ましい実施の形態では励起周波数はフラグメンテーションのために選択されたイオンの基本共振周波数ωに設定するが、別の実施の形態では基本共振周波数の高調波を用いて、選択されたイオンを共振的に励起してよい。この場合、励起信号は振幅を大きくしまたは励起期間を長くする必要があってよい。
例示の実施の形態では、補助AC励起信号はトラップを構成する極対の1つに与えると説明した。理解されるように、励起信号を両方の極対に与えることにより、トラップされたイオンに補助の振動する四重極ポテンシャルを与えてよい。また理解されるように、励起信号は直線イオン・トラップのロッド自体に与える必要はない。例えば、追加のロッドまたは他の種類の構造を用いて、トラップされたイオンに交番二重極、四重極または高次のポテンシャル電界を与えて、選択されたイオンを共振的に励起してよい。
また認識されるように、実際的なフラグメンテーション効率(一般に信号対雑音比の3倍のレベルと考えられる)に達するように極対に与えられる共振励起信号の最大振幅は、多数の要因に従ってかなり変わってよい。かかる要因は、極の間の距離、極とトラップの中心縦軸との間の距離、極の形やプロフィール、分子結合の強度、バックグラウンド・ガス分子の衝突断面などを含む。
また例示の実施の形態では、低圧フラグメンテーションを直線(2−D)トラップの制約内で行うと開示したが、理論的には、フラグメンテーションを四重極(3−D)イオン・トラップ内で行うことができないという理由はない。しかし実際には、10−5トル程度の周囲圧で動作することのできる四重極(3−D)を構築することは困難である。その理由は、かかるトラップの容積は一般に比較的小さいが、RF/DC電界がトラッピング機能を行う前にトラップ内に導入されるイオンの速度を落とすのに十分の不活性ガスを中に含まなければならないからである。3−Dトラップでは、イオンは一般にリング要素を通して導入される。リング要素に与えられるRFはイオンが乗り越えなければならない障壁電界になる。したがって、この障壁を乗り越えるためにイオンは活動的でなければならない。活動的なイオンを冷却するには、3−D内は高圧が必要である。圧力が低すぎると、減衰してトラップ内に保持されるイオンが少なすぎる。圧力が高すぎると、衝突による散乱のために、導入されたイオンが失われる。したがって、かかるトラップは一般に10−3トル程度の周囲圧で動作するが、得られる分離とフラグメンテーション分解能とはこのために制限される。
他方で、Q3などの2−D直線イオン・トラップは細長いので、イオンが衝突するバックグラウンド・ガスが少量でも、トラップする前に必要な減衰効果を得るのに必要な十分な軸方向距離を持つ。詳しく述べると、イオンは2−Dトラップのロッドの長さに沿って導入される。導入中には障壁はない。すなわち、入口障壁要素のDCは小さいので、イオンは余り活動的である必要はない。しかしイオンはいくらかのエネルギーを有するので、衝突による冷却のために軸方向距離が必要である。充填期間中、長さに沿って進んで出口障壁要素によって反射されるイオンはかなりのエネルギーを失う。かかるイオンを反射し、入口から出るのを防ぐには、入口障壁要素のDCは小さくて十分である。トッラプが終わると熱運動するイオンに共振励起を与えて、上に説明したように解離または放出を行う。
また理解されるように、イオンが低圧環境内でフラグメント化された後の質量スキャニング段では種々の機構を用いることができる。例えば、Q3などの低圧フラグメンテーション・トラップの後に別の質量分解四重極を設けてよい。同様に、Q3の後に別の2−Dまたは3−D直線トラップを設けてよい。または、低圧フラグメンテーション・トラップと飛行時間(TOF)装置とを結合してマス・スペクトルを得てよい。
リナック電極122と別の種類の補助電極150とを用いてDC八重極電界を作り、その中心縦軸からトラップの(半径方向)周辺に向かって移動する共振的に励起されたイオンの振動運動を減衰させることについて説明した。認識されるように、八重極電界の代わりに交番電界を用いてよく、また高次の電界(必ずしも八重極でなくてよい)を用いて(適当な数の電極を用いてよい)、トラップの半径方向周辺の四重極電界の影響を減らすことができる。また理解されるように、共振的に励起されたイオンの半径方向の振動運動を減衰させるために追加の電極を設ける場合は、トラップのロッドの断面は円でも双曲面でも悪い影響を与えない。
また、改善されたフラグメンテーションのための高い(四重極以外の)電界を作り、他方で質量分析のために四重極電界に切替える機能を保持するために、他の種類のロッド・プロフィールを用いてよい。例えば、四重極配置Q3’内の各「固体表面」ロッド35’の代わりに、図32に示すように多数の平行ワイヤ160を配置して円柱の外形162を形成してよい。各ワイヤは円柱の形を形成し、個別の電源から電圧v,v,...,vが供給される。ただし、簡単のために、ポテンシャルv1,v2,v3,v7,v8を持つ8本のワイヤ160だけを図32に示す。個別の円柱内の全てのワイヤ160に印加される電圧が同じ値のとき、円柱162は固体ロッドと同様に機能する。全ての円柱162をこのように調整して適当な極性を与えると、組立体全体は標準の四重極と同様に動作する。すなわち、電圧を選択して組立体の中央の電界が実質的に四重極電界になるようにすることができる。円柱162内の各ワイヤの電圧が異なるように調整することにより、高い多重極(四重極以外)電界を形成することができる。
更に別の形態は、図33と図34に示すように、四重極ロッドとリナック電極の代わりにワイヤ170または172の直線配列を用いることを含む。かかる実施の形態は、図32で説明したものと同様に動作してよい。適当な電圧の組合せを選択することにより、四重極や高次の電界を得ることができる。
同様に、八重極や高次の電界を生成する更に別の形態は、四重極ロッド・セットの1つの極セットのロッド直径を他の極セットの他の直径に対して大きくすることである。更に別の形態では、向かい合うロッドを内側または外側に曲げて高次の電界を作ってよい。P.H.ドーソン(Dawson)の「エレクトロニクスおよび電子物理学の進歩(Advance in Electronics and Electron Physics)」、(Vol.53,153−208,1980)を参照していただきたい。その内容をここに援用する。
また認識すべきであるが、直線イオン・トラップの周辺で共振的に励起されるイオンの振動運動を減衰させるために追加の電極を導入する技術は、ペニング(Penning)トラップなどの他の種類のトラップに適用することができる。追加の電極190を含むように修正ペニング・トラップ180,182の例を図35A,35B,36A,36Bに示す。従来のペニング・トラップは、箱(図35)または円柱(図36)の形に形成された少なくとも6個の平面または曲面電極184−189を含む。イオン・サイクロトロン共振質量分析(ICR−MS)またはフーリエ変換イオン・サイクロトロン共振質量分析(FTMS)装置に用いるとき、ペニング・トラップは高真空(≦10−9ミリバール)の下でトラップの縦軸に沿う方向(すなわち、z方向)の磁界内に置かれる。
この磁界と、平面電極185−187に印加される適当な電圧とにより、イオンは磁界線に垂直な平面(x−y)内で振動する。イオンの質量対電荷比と磁界の強度に特有の周波数とで、イオンは循環的に振動する。磁界線に垂直の平面電極184,189は静電界を形成してイオンを軸方向にトラップする。短いパルスの衝突ガスをペニング・トラップ内に導入してイオンをフラグメント化する。短いガスのバーストを用いて、フラグメンテーションの前にトラップを真空圧の近くまで再び真空排気するのに必要な時間を最小にし、またフラグメンテーション中に振動を保持する。フラグメンテーションを制御するための、この技術で周知の多くの方法がある。この中には、(a)持続的な非共振放射(SORI)、すなわち、励起周波数とイオン・サイクロトロン周波数との差により、選択されたm/z比のイオンを交互に励起したり励起を解除したりする方法、(b)極低エネルギーCID(VLE)、すなわち、位相が180度変わる共振励起によりイオンの励起と非励起を交互に行う方法、そして、衝突活動化のための多重励起(MECA)、すなわち、イオンを共振的に励起した後、衝突により緩和する方法、などがある。
これらの各技術ではフラグメンテーション効率が比較的低い。励起エネルギーを高くするとトラップからイオンの望ましくない放出が起こる。実際のところ、これらの各技術はイオンに与える運動エネルギーを減らして、ペニング・トラップからイオンの望ましくない放出が起こるのを防ごうとする。例えば、SORI技術は非共振励起信号を用いて、選択されたm/z値のイオンに与える運動エネルギーを制限する。修正ペニング・トラップ180,182では、追加の各電極190のポテンシャルを2個の隣接する平面電極のポテンシャルの中間に保持する。衝突ガスをトラップ内に導入した後、共振励起信号を与える。同時に、適当な電圧を追加の電極190に印加する。共振的に励起されたイオンの軌道がトラップの半径方向周辺に近づくと、電極190はイオンの循環的な振動運動を減衰させる。これにより高い振幅の励起信号を用いることが可能になり、全電力入力が増え、フラグメンテーション効率が高くなる。
最後に、好ましい実施の形態を参照してここに説明したバックグラウンド・ガス圧力や励起振幅や励起期間は単なる例であって、フラグメンテーションの選択性すなわち分解能で測定される性能を余り低下させることなく、開示された範囲外で変えてよいことを理解すべきである。ここに開示されたどの実施の形態も動作範囲も本発明の実施に対する絶対的な限界を示すものではなく、本発明者はかかる動作パラメータを従来許容されているものと同様に広くクレームするものである。当業者が認識するように、本発明の精神から逸れることなく、ここに開示された実施の形態に多くの他の修正や変更を行うことができる。
本発明の上記またはその他の形態は特定の実施の形態の説明と添付の図面から明らかになる。図面は本発明の原理の単なる例を示すものであって制限するものではない。
第1の実施の形態に係る質量分析計のシステム・ブロック図である。 選択されたイオンを導入し、トラップし、分離し、フラグメント化し、放出するための、第1の実施の形態の第3の四重極ロッド・セットに与えられる電気信号を略図で示すタイミング図である。 第1の実施の形態に従って構築された第1の試験計器を用いて較正ペプチドから得た一連のMS,MS,MSを示す。 第1の試験計器を用いた、ペプチド・フラグメントに対する共振励起周波数のアイソトープ・パターンを図示する一連のマス・スペクトルを示す。 第1の試験計器を用いた、ペプチドの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を共振励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 第1の試験計器を用いてレセルピン・イオンから得られた一連のMSとMSのスペクトルを示す。 図6に示すプロットの一部分の詳細図である。 第1の試験計器を用いた、レセルピン・イオンの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を共振励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 周波数領域でフラグメンテーションの分解能を測定する方法を示す図である。 第1の試験計器を用いた、AgilentTMチューニング溶液からの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を異なる共振励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 第1の試験計器を用いた、AgilentTMチューニング溶液からの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を異なる共振励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 第1の実施の形態に従って構築された第2の試験計器を用いて、AgilentTMチューニング溶液からの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を種々の期間にわたってプロットしたグラフである。 第1の実施の形態に従って構築された第2の試験計器を用いて、AgilentTMチューニング溶液からの親イオンとフラグメント・イオンとの強度を種々の振幅にわたってプロットしたグラフである。 第2の実施の形態に係るトリプル四重極質量分析計内で、四重極ロッド・セットに加えて一連のリナック(電極)を用いる、直線イオン・トラップの半径方向断面図である。 図12Aに示す直線イオン・トラップの軸方向断面図である。 第2の試験計器を用いた、AgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起周波数と振幅との関数として示すグラフである。 リナックを四重極ロッドと同じポテンシャルに保持するという動作条件の下で、第2の実施の形態を用いてAgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起周波数の関数として示すグラフである。 リナックを四重極ロッドと同じポテンシャルに保持するという動作条件の下で、第2の実施の形態を用いてAgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起振幅の関数として示すグラフである。 第2の実施の形態の直線イオン・トラップ内のポテンシャル輪郭を示す電界図である。 AgilentTMチューニング溶液成分の質量分析中の信号強度をリナック・ポテンシャルの関数として示すグラフである。 第2の実施の形態で得られた種々のマス・スペクトルをリナック・ポテンシャルの関数として示す一連のグラフである。 非トラッピング・モードで直線トラップを質量分解の四重極として用いるとき、リナックにより導入される任意の歪効果を減らすのに最適のリナック・ポテンシャルを示す一連のグラフである。 第2の実施の形態に用いられる別の形の電極の立面図である。 第2の実施の形態に用いられる別の形の電極の端面図である。 第3の四重極/直線イオン・トラップが図21と図22に示す補助電極を用いて高次の電界を作る第3の実施の形態に係る、トリプル四重極質量分析計を用いたAgilentTMチューニング溶液成分のMSおよびMSスペクトルを示す。 励起振幅を360mV(0−pk)に設定しまた補助電極を四重極ロッドと同じポテンシャルに保持する動作条件の下の第3の実施の形態を用いて、AgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 励起振幅を530mV(0−pk)に設定しまた補助電極を四重極ロッドと同じポテンシャルに保持する動作条件の下の第3の実施の形態を用いて、AgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 励起振幅を900mV(0−pk)に設定しまた補助電極と四重極ロッドとの間に120Vのポテンシャル差が存在する動作条件の下の第3の実施の形態を用いて、AgilentTMチューニング溶液成分のフラグメンテーションを励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 第4の実施の形態に係るトリプル四重極質量分析計内の直線イオン・トラップの半径方向断面図である。 第4の実施の形態に用いられる補助電極の立面図である。 第4の実施の形態に用いられる補助電極の端面図である。 第4の実施の形態に用いられる補助電極の立面図である。 第4の実施の形態に用いられる補助電極の端面図である。 第4の実施の形態を用いるAgilentTMチューニング溶液のMSおよびMSスペクトルを示す。 第4の実施の形態を用いるAgilentTMチューニング溶液のフラグメンテーションを励起周波数の関数としてプロットしたグラフである。 任意の上記実施の形態に用いられる代替的ロッド構造の断面図である。 任意の上記実施の形態に用いられる代替的ロッド構造の断面図である。 任意の上記実施の形態に用いられる代替的ロッド構造の断面図である。 追加の電極を含むよう修正ペニング・トラップの一例の透視図である。 追加の電極を含むよう修正ペニング・トラップの一例の断面図である。 修正ペニング・トラップの別の例の透視図である。 修正ペニング・トラップの別の例の断面図である。

Claims (36)

  1. イオンをフラグメント化する方法であって、
    9x10−5トルより低い圧力の中性バックグラウンド・ガスが存在する環境内に置かれまたは環境を形成するイオン・トラップ内にイオンをトラップし、
    選択されトラップされたイオンに交番ポテンシャルを与えることによりイオンを共振的に励起して、前記トラップされたイオンの少なくとも一部分の衝突誘起解離を促進し、
    前記トラップの周辺に近づく前記共振的に励起され選択されたイオンの振動運動を減衰させて、前記選択されたイオンが前記トラップから放出される確率を低くする、
    イオンをフラグメント化する方法。
  2. 前記圧力は1x10−5トルから9x10−5トルの範囲内にある、請求項1記載のイオンをフラグメント化する方法。
  3. 前記励起期間は25msから2000msの範囲内にある、請求項1記載のイオンをフラグメント化する方法。
  4. 前記励起期間は50msから550msの範囲内にある、請求項3記載のイオンをフラグメント化する方法。
  5. 前記選択されトラップされたイオンに最大1ボルト(0−pk)の交番ポテンシャルを与える、請求項1記載のイオンをフラグメント化する方法。
  6. 前記選択されトラップされたイオンに最大550mV(0−pk)の交番ポテンシャルを与える、請求項5記載のイオンをフラグメント化する方法。
  7. 前記交番ポテンシャルは、トラッピング電界に対して選択されたイオンの基本共振周波数に実質的に等しい周波数成分を有する、請求項1記載のイオンをフラグメント化する方法。
  8. イオンをフラグメント化する方法であって、
    イオンに実質的に四重極RFポテンシャルを与えることにより、9x10−5トルより低いバックグラウンド・ガス圧力が存在する環境内に置かれた直線イオン・トラップ内にイオンをトラップし、
    前記トラップされたイオンを振り分ける少なくとも一組の極に補助交番励起信号を25ミリ秒を超える期間にわたり与えることにより、選択されたm/z値のトラップされたイオンを共振的に励起して、前記選択されたイオンの衝突誘起解離を促進し、
    前記トラップの半径方向周辺に近づく前記共振的に励起され選択されたイオンの振動運動を減衰させて、前記選択されたイオンが前記トラップから放出される確率を低くする、
    イオンをフラグメント化する方法。
  9. 前記減衰させることは前記四重極RFポテンシャルを作るのに用いられる電極間に追加の電極を導入することにより行う、請求項8記載のイオンをフラグメント化する方法。
  10. 前記直線イオン・トラップは実質的に四重極のRF電界を生成する一連の極で構成し、前記追加の電極と前記一連の極との間にDC電圧ポテンシャルが存在する、請求項9記載のイオンをフラグメント化する方法。
  11. 前記DC電圧ポテンシャルは前記選択されたイオンのm/z値に従って変わる、請求項10記載のイオンをフラグメント化する方法。
  12. 前記選択されトラップされたイオンに最大1ボルト(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項9記載のイオンをフラグメント化する方法。
  13. 前記選択されトラップされたイオンに最大550mV(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項12記載のイオンをフラグメント化する方法。
  14. 前記励起信号は前記四重極電界またはその高調波に対して選択されたイオンの基本励起周波数に実質的に等しい周波数を有する、請求項9記載のイオンをフラグメント化する方法。
  15. 前記フラグメント化されたイオンを質量分析してマス・スペクトルを得ることを含む、請求項9記載のイオンをフラグメント化する方法。
  16. イオンのストリームを質量分析する方法であって、
    (a)イオンのストリームに第1の質量濾過ステップを行って、第1の所望の範囲内の或る質量対電荷比を有する前駆イオンを選択し、
    (b)実質的に四重極のRFトラッピング電界に高次の多重極電界を重ねた直線イオン・トラップ内に前記前駆イオンをトラップし、
    (c)10−5トルより低いバックグラウンド・ガス圧力の下で25ミリ秒を超える励起期間、選択されトラップされた前駆イオンに補助交番ポテンシャルを与えることにより四重極電界内の前記選択されたイオンを共振的に励起してフラグメント・イオンを生成し、
    (d)前記トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成する、
    イオンのストリームを質量分析する方法。
  17. 前記高次の電界は前記直線イオン・トラップの中心縦軸付近の全ポテンシャルに対して小さな量である、請求項16記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  18. 前記選択されトラップされたイオンに最大1V(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項17記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  19. 前記選択されトラップされたイオンに最大550mV(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項18記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  20. ステップ(d)の前に、
    前記トラップされたイオンに第2の質量濾過ステップを行って、第2の望ましい範囲内のm/z値を有するイオンを分離し、
    ステップ(c)を繰り返す、
    ことを含む、請求項17記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  21. イオンのストリームを質量分析する方法であって、
    (a)イオンのストリームに第1の質量濾過ステップを行って、第1の所望の範囲内の或る質量対電荷比を有する前駆イオンを選択し、
    (b)前記前駆イオンを衝突セル内でフラグメント化して第1世代のフラグメント・イオンを作り、
    (c)全ての解離されない前駆イオンと前記第1世代のフラグメント・イオンとを直線イオン・トラップ内にトラップし、前記直線イオン・トラップ内では実質的に四重極のRF交番電界に高次の多重極電界を重ねることによりイオンをトラップし、
    (1)前記トラップされたイオンに第2の質量濾過ステップを行って、第2の所望の 範囲内の或るm/z値を有するイオンを分離し、
    (2)9x10−5トルより低いバックグラウンド・ガス圧力の下で25ミリ秒を超える励起期間、選択された第1世代のイオンに補助交番ポテンシャルを与えることにより四重極電界内の前記選択されたイオンを共振的に励起して第2世代のフラグメント・イオンを生成し、
    (d)前記トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成する、
    イオンのストリームを質量分析する方法。
  22. 前記高次の電界は前記直線イオン・トラップの中心縦軸付近の全ポテンシャルに対して小さな量である、請求項21記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  23. 前記選択されトラップされたイオンに最大1V(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項22記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  24. 前記励起期間は50msから2000msの範囲内にある、請求項23記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  25. 前記選択されトラップされたイオンに最大550mV(0−pk)の補助交番ポテンシャルを与える、請求項24記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  26. 前記励起期間は50msから550msの範囲内にある、請求項25記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  27. ステップ(c)(1)と(c)(2)とを繰り返して次の世代のフラグメント・イオンを生成する、請求項21記載のイオンのストリームを質量分析する方法。
  28. 質量分析計であって、
    実質的に四重極のRFトラッピング電界を生成するための四重極ロッド・セットと、前記トラッピング電界に高次の多重極電界を重ねるための一組の追加の電極とを有する直線イオン・トラップと、
    前記トラップ内に9x10−5トルより低い圧力のバックグラウンド・ガスを与えるための手段と、
    イオンを前記トラップ内に導入するための手段と、
    共振励起信号を与えて、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進するための共振励起信号供給手段と、
    前記トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成するための手段と、
    を備える質量分析計。
  29. 前記四重極ロッド・セットのロッドと前記追加の電極との間にあるDC電圧ポテンシャルが存在する、請求項28記載の質量分析計。
  30. 前記四重極ロッド・セットのロッドと前記追加の電極との間にある前記DC電圧ポテンシャルを、選択された共振的に励起されたイオンのm/z値に従ってDC電圧ポテンシャル電源によって変化させる、請求項29記載の質量分析計。
  31. 前記共振励起信号供給手段は、前記選択されトラップされたイオンに、1V(0−pk)を超えない前記励起信号からの交番ポテンシャルを25msを超える期間にわたり与える、請求項28記載の質量分析計。
  32. 前記共振励起信号供給手段は、前記選択されトラップされたイオンに、550mV(0−pk)の最大振幅を有する交番ポテンシャルを550msより少ない期間にわたり与える、請求項31記載の質量分析計。
  33. 前記四重極ロッド・セットのロッドの間に4個の追加の電極を挿入して八重極電界を近似する、請求項28記載の質量分析計。
  34. 前記追加の電極はテーパ付きまたはテーパなしのステム部を有するT型電極である、請求項29記載の質量分析計。
  35. 質量分析計であって、
    実質的に四重極のRFトラッピング電界を生成するための手段と、前記トラッピング電界に高次の多重極電界を重ねるための手段とを含む直線イオン・トラップと、
    前記トラップ内に9x10−5トルより低い圧力のバックグラウンド・ガスを与えるための手段と、
    イオンを前記トラップ内に導入するための手段と、
    共振励起信号を与えて、選択されたイオンの衝突誘起解離を促進するための共振励起信号供給手段と、
    前記トラップされたイオンを質量分析してマス・スペクトルを生成するための手段と、
    を備える質量分析計。
  36. 前記共振励起信号供給手段は、前記トラップ内にトラップされ選択されたイオンに、1V(0−pk)を超えない前記励起信号からの交番ポテンシャルを25msを超える期間にわたり与える、請求項35記載の質量分析計。
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