JP2002502085A - 多極イオンガイドを用いた質量分光測定法 - Google Patents

多極イオンガイドを用いた質量分光測定法

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JP2002502085A JP2000528994A JP2000528994A JP2002502085A JP 2002502085 A JP2002502085 A JP 2002502085A JP 2000528994 A JP2000528994 A JP 2000528994A JP 2000528994 A JP2000528994 A JP 2000528994A JP 2002502085 A JP2002502085 A JP 2002502085A
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ブラス、 エー, ジュニア. アンドリエン、
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アナリティカ オブ ブランフォード インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多極イオンガイドを用いた質量分光測定法 【解決手段】 1つ以上のセグメント(1、2、3、4)で構成され、高圧真空領域(72)中に位置する多極イオンガイド(6)を質量/電荷選択モードやイオンフラグメンテーションモードで操作する。個々の多極イオンガイドが、各多極イオンガイド同士間には電極が構成されていない線形アセンブリ中に取り付けられる。線形アセンブリ中に取り付けられた各多極イオンガイドの少なくとも1部は高背景圧力を持つ真空領域中に常駐している。少なくとも1つのイオンガイド(4)を、1つの真空段(72)から別の真空段(73)に連続的に延長するように構成することができる。RF電圧源、+/−DC電圧源及び永年周波数電圧源の個々の集合が、各多極イオンガイドのロッドに対する電位となり、これによって、イオン伝送、イオントラッピング、質量/電荷選択及びイオンフラグメンテーションなどの機能を各位オンガイド中で互いに独立に動作させることができる。多極イオンガイドの線形アセンブリの1部に沿ってより高い背景圧力が存在するために、1つの多極イオンガイドから隣接するイオンガイドにイオンを軸方向に加速することによって、三重四極の機能に類似した、イオンの衝突誘導解離(CID)によるフラグメンテーションが可能となる。代替例では、イオンは、3次元四極イオントラップ中でのイオンのフラグメンテーション動作に類似した共振周波数励起CIDを用いて1つ以上の多極イオンガイド中でフラグメント化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
(技術分野) 本発明は化学種の質量分光測定分析の分野に関する。より特定的には本発明は
、より高圧の真空領域での複数の多極イオンガイドアセンブリの構成と作業使用
に関する。
【0001】 (背景技術) 質量分光測定法(MS)は、固相、気相及び液層のサンプルに伴う一連の分析
上の問題をオンライン技法とオフライン技法の双方で解決する目的で用いられて
きた。オンライン気体クロマトグラフィ(GC)、液体クロマトグラフィ(LC
)、細管電気泳動(C)気体及び他の溶液サンプルの分離システムは、様々なイ
オン発生源タイプで構成されたオンライン質量分光計にインタフェースされてい
た。ほぼ大気圧で動作するイオン発生源タイプもあれば、真空状態でイオンを発
生するイオン発生源タイプもある。質量分光計は、最適な性能を引き出すために
は、真空状態で共に動作する分析器のタイプが異なれば必要とされる真空背景圧
力も異なる。本発明は、質量分光計中で構成される多極イオンガイドが1つ以上
装備される構成を取る。本発明は任意の数の極を有する多極イオンガイドに応用
可能であるとはいえ、以下に四極すなわち4つの極を持つイオンガイドアセンブ
リについて本発明を説明する。5つ以上の極で構成されるイオンガイドの性能と
比較してより高い質量/電荷分離分解能が四極イオンガイドによって達成するこ
とが可能である。四極イオンガイドは、単一又は三重の四極質量分析器中の主要
エレメントとして又は、経過時間、磁気セクター、フーリエ変換さらに3次元四
極イオントラップ質量分析器までも含むハイブリッド質量分析計の1部として構
成されてきた。一般的に、質量/電荷選択モードで操作される四極イオンガイド
は、イオンの中性背景気体衝突を避ける又は最小化するような背景真空圧力中で
運転される。RF(無線周波数)だけのイオン伝送モードで四極を動作する場合
にはより広い範囲の背景圧力が用いられてきた。ある種の応用分野に対しては、
RFだけのイオン伝送モードで動作する四極イオンガイド中の圧力は、イオンの
機械的エネルギの衝突減衰又はイオンガイドをその全長にわたって横断するイオ
ンの衝突誘導された解離(CID)フラグメンテーションを促進するに十分高く
維持される。
【0002】 電子増倍管検出器又は光電子増倍管検出器を備えた市販の四極質量分析器は、
一般的には2x10-4トール範囲の背景圧力で分析的質量/電荷選択モードで操
作される。ある程度のイオンが質量から電荷に分離される高背景圧力I真空状態
で操作される多極イオンガイドの例がある。米国特許第5,401,962号と
第5,613,294号に、電子イオン化(EI)イオン発生源と、最大で1x
10-2トールの背景圧力で低質量/電荷範囲の気体分析器として操作可能なファ
ラデーカップ検出器とを持つ小型四極配列が記載されている。この短い四極配列
の性能は、イオンの平均自由経路が四極ロッド長より短くなるポイントまで背景
圧力が増すと低下し始める。米国特許第5,179,278号には、大気圧イオ
ン化(API)発生源から3次元四極イオントラップ中に伝送するように構成さ
れた四極イオンガイドが説明されている。特許第5,179,278号に説明さ
れている四極イオンガイドはトラップとして操作して、トラップされたイオンを
3次元四極イオントラップ中に放出する以前にこれを保持することが可能である
。イオンのトラップ動作中に、この四極イオンガイドのロッドすなわち極に印加
される電位を、イオントラップに放出されるイオン質量/電荷値の範囲を制限す
るように設定することが可能である。四極イオンガイドはまた、トラップされた
フラグメントイオンを3次元イオントラップ中の導入するに先立って、トラップ
されたイオンを共振周波数励起衝突誘導で解離フラグメンテーションさせて操作
させることが可能である。四極イオンガイドは、自身のトラップしたイオンを3
次元イオントラップに放出した後では、3次元イオントラップ質量分析期間中に
再補充される。多段の真空ポンプにわたって連続的に延長する四極イオンガイド
が、係属中の米国特許出願第08/694,542号に説明されている。この四
極イオンガイドの全長の1部が、イオンと中性気体の背景衝突を保証する1ミリ
トールを越える圧力を印加する真空領域中に位置している。係属中の米国特許出
願第08/694,542号には、複数の真空段から成る多極イオンガイドが経
過時間(TOF)質量分析器で構成されているハイブリッド質量分光計が説明さ
れている。上述のように、四極イオンガイドは、経過時間質量/電荷分析と連結
したイオン伝送モード、イオントラップモード、質量/電荷選択モードと組み合
わされて操作される。上記のハイブリッド四極経過時間装置及び方法は、MS/
MSn質量分析機能を提供するものである。先行技術に対する改良として、本発 明のある1つの実施形態は、ハイブリッドTOF質量分析器のより高い圧力の真
空領域で構成され操作される複数の四極イオンガイドを備え、これによって質量
分析器のMS/MSn性能と分析能力を改善している。
【0003】 高圧でRFだけモードで操作される多極イオンガイドは、大気圧発生源から質
量分析器へのイオン伝送中におけるイオン軒快適エネルギを減衰させる効果的な
手段として用いられてきた。API発生源から四極質量分析器へイオンを移送す
るように構成された、10-4トールを越える背景圧力でRFだけモードで操作さ
れる四極イオンガイドが、米国特許第4,963,836号に説明されている。
中性背景気体とイオンが衝突して、イオンガイド中のイオン伝送中にイオンの機
械的エネルギを減衰させる。これによって潜在的に、拡散する一次イオンビーム
エネルギが減少してイオン伝送効率が向上する。高い背景圧力で操作される多極
イオンガイドは、三重四極質量分析器とハイブリッド磁気セクター質量分析器と
TOF質量分析器におけるイオンのCIDフラグメンテーションのための衝突セ
ルとして広く用いられてきた。衝突セルとして構成され操作されるイオンガイド
は、すべてのロッドに可変のDCオフセット電位を印加した状態でRFだけモー
ドで運転される。米国特許第5,847,386号には、イオンガイド軸に沿っ
てデ電場を発生させてイオンを衝突セル中を軸方向に移動させるように、又は、
個々のイオンガイドアセンブリの全長内でイオンを軸方向に前後に発振させるこ
とによって衝突セル内でのCIDフラグメンテーションを促進させるように構成
された多極イオンガイドの構成が説明されている。上記のように、軸方向の電場
を持つイオンガイドアセンブリは、共通のRF四極イオンガイドアセンブリのす
べてのロッドに印加された状態でRFだけモードで操作される。市販の質量分析
器に組み込まれ、また、参考文献に記載されている多極イオンガイド衝突セルは
、真空ポンプ段中に隔離された又は周囲エンクロージャ中に包含された個々のイ
オンガイドアセンブリとして構成されてきた。
【0004】 一般には低圧真空領域に位置するイオンガイド周囲エンクロージャは、より高
圧の衝突セル背景圧力が周囲の低真空圧チャンバに進入することをできるだけ防
ぐ。図20に先行技術として図示されるような市販の三重四極は一般的に、1つ
の真空ポンプ段中に3つの多極イオンガイドで構成される。衝突セル内の高圧は
、衝突セル多極イオンガイドを囲むエンクロージャ中に衝突気体を漏洩させるこ
とによって維持される。気体が、エンクロージャの入り口と三重四極センターラ
インに沿って構成されている出口アパーチュアとから衝突セル外に漏洩する。本
発明の1つの態様は、質量/電荷選択モードとCIDフラグメンテーション動作
モードで運転されるより高い真空圧力の共通領域に位置する複数の四極イオンガ
イドの構成である。本発明のさらなる態様は、各四極を質量/電荷選択モード及
び/又はイオンフラグメンテーションモードで操作してMS/MSn質量分析機 能を達成することが可能である、高圧の真空領域内での複数の四極イオンガイド
の構成である。
【0005】 API発生源にインタフェースされる従来型の三重の四極質量分析器は、質量
分析器の真空段領域中で十分な真空ポンプ速度を持つように構成し、これによっ
て、イオンが背景気体と衝突しないようにする真空レベルを維持するようにしな
ければならない。この低圧真空状態は、気体が衝突セルとイオン発生源からチャ
ンバ中に漏洩している間は維持しなければならない。衝突セルエンクロージャ中
の真空圧力は一般には、5〜8ミリトールに維持され、分析器の真空段は10-5 〜10-6トールという低圧範囲に維持される。図20は、大気圧イオン発生源に
インタフェースされた一般的な三重四極質量分析器150の多極イオンガイド構
成の略図である。個々の多極イオンガイドアセンブリ158、154、155、
及び156は3段式の真空ポンプシステム中の同じセンターラインに沿って構成
されている。オリフィスプレート164によって、大気圧領域160から第1の
真空段151への漏洩が可能となる。大気圧領域160で発生したイオンは、オ
リフィス161の真空側に形成された超音速の自由噴流拡張部を介して伝達され
て真空状態になる。真空中に導入されたイオンの1部は、スキマーのオリフィス
、多極イオンガイド158、電極161のオリフィス、多極イオンガイド154
、電極166のオリフィス、多極イオンガイド155、電極167のオリフィス
、多極イオンガイド156及び電極168のオリフィスを介して検出器165に
導入されて真空状態になる。真空段151、152及び153中の圧力は一般的
には、それぞれ1トール、5ミリトール及び<1x10-5トールに維持され、一
方衝突セル157内の圧力は5〜8ミリトールに維持される。三重の四極はMS
又は単一MS/MSシーケンス質量分析機能を実行するように構成されている。
MS/MS実験では、イオンはほぼ大気圧で始動され、複数の真空段中を移送さ
れて低圧真空領域にいたり、ここで、質量/電荷選択が、イオンがほとんど又は
全く中性衝突にいたらない状態で多極イオンガイド154中で発生する。次に、
質量/電荷選択されたイオンは、衝突セル多極イオンガイド155中の高圧領域
中に加速される。その結果生じるフラグメントイオンの集団は四極156中の低
圧領域に方向付けされ、ここで、質量/電荷分離が、イオン検出器165によっ
て検出される以前に、イオンがほとんど又は全く中性衝突に至らない状態で実行
される。類似の分析的イオンシーケンスが、先行技術によるハイブリッド四極の
、すなわち、第3の四極156を第4の真空ポンプ段に常駐するTOF質量分析
器で置き換えた四極のTOF質量分析器中で発生する。
【0006】 低圧真空段中に多極イオンガイド衝突セルを置くと、API MS/MS分析
器の費用と複雑さが増す。本発明の1つの態様は、CIDイオンフラグメンテー
ションを実行するために大気圧力からの気体漏洩によって形成された背景圧力を
用いるAPI発生源の高圧真空ポンプ段中の複数の四極イオンガイドから成る構
成である。質量/電荷選択及びCIDイオンフラグメンテーションは大気圧イオ
ン発生源質量分析器の第2の真空段中で実行され、これによって、別個の衝突セ
ルを自身の追加気体を含んだまま真空システムに装備する必要が解消される。複
数の四極を第2の真空段中に置く構成によって、API四極とハイブリッド質量
分析器に対するシステムの真空ポンプ速度要件とその関連経費が減少する。本発
明の別の態様は、市販の三重四極又はハイブリッド四極中で一般的に見受けられ
る四極アセンブリと比較してかなりサイズが減少した極寸法を持った複数の四極
イオンガイドから成る構成である。この極寸法と四極の長さが減少したことによ
って、各四極アセンブリ軸に沿ったイオン伝送時間が最小化される。これによっ
て、質量分析機能の範囲に対する質量分光計の分析速度が増す。この減少した四
極サイズによって、必要スペースと操作電力が減少し、このため、性能を劣化さ
せることなくシステムサイズが減少する。本発明の別の態様は、複数の真空段中
に連続的に延長してAPI MS計器の高圧領域中に置かれる複数四極のアセン
ブリとなる多極イオンガイドなら成る構成である。複数の真空ポンプ段イオンガ
イドが米国特許第5,652,427号に説明されている。以下に説明するよう
に、追加の四極イオンガイドを持った複数の真空段四極イオンガイドを構成する
ことによって、広い範囲の質量分析機能シーケンスにわたる動作が可能となる。
【0007】 質量/電荷選択、CIDイオンフラグメンテーション及びトラップ機能を達成
するためには、それぞれの四極イオンガイドアセンブリはそれぞれのRF、+/
−及び捕捉共振周波数の電圧源を必要とする。四極イオンガイドはセグメントで
構成されてきたが、この場合、単一のRF源がイオンガイドアセンブリ又はロッ
ドの集合のすべてのセグメントに印加される。一般的には、RFだけ出入り口セ
グメントは四極ロッド集合中に構成され、これによって、四極に出入りするイオ
ンに対する周縁フィールド効果を最小化する。RF電圧が、中心ロッドセグメン
トに供給される一次RFとの容量性カップリングによって入り口セクションと出
口セクションに印加される。オフセット電位、すなわち所与のセグメントのすべ
ての4つの極に印加される共通DC電圧は、四極イオンガイドアセンブリ内の1
つのイオンガイドセグメントから次のイオンガイドセグメントにイオンを加速す
るように各セグメントに対して個別に設定することができる。イオンガイドのセ
グメントに印加されるオフセット電位は、イオンガイド内のイオンをトラップす
るように設定することもできる。先行技術においては、複数のイオンガイドアセ
ンブリが質量分析器中に構成される場合には、電極は個々の多極イオンガイド同
士間に置かれる。図20に略図を示す先行技術による三重の四極の例を参照する
と、各四極イオンガイドは隣接するイオンガイドから電極によって分離されてい
る。電極は、1つのイオンガイドアセンブリから隣のイオンガイドアセンブリに
イオンが通過する際の周縁フィールド効果を最小化するように構成されている。
これらの電極によって別々のイオンガイド集合同士間の容量性カップリングが最
小化されて、RFフィールドのうなり周波数歪みを避けるようになっている。こ
れらの電極はまた、真空ポンプ段同士間又は衝突セルと真空段間にあって気体コ
ンダクタンスを最小化させるためのオリフィスを減少させるという追加的な目的
も果たしている。MS/MS実験をする場合、すなわち衝突セルを5〜8ミリト
ールという圧力に維持する場合、先行技術で1つの四極から別の四極に伝達され
るイオンは背景圧力勾配を通過しなければならない。多極イオンガイド同士間の
周縁フィールド領域で発生する衝突効果によって、散乱効果によるイオンの損失
が発生することがある。
【0008】 図20を参照すると、多極イオンガイド158は真空仕切/電極161によっ
て四極アセンブリ154から分離されている。四極154は、RFだけセグメン
ト又はセクション162及び168並びに分析セグメント163と共に図示され
ている。多極イオンガイド158は四極、六極又は八極として構成されることが
あり、また、四極154とは異なったRF電圧源を有することがある。RF周波
数、振幅、位相及び、イオンガイド158と四極154間の極の数の相違によっ
て発生した様々なRF関連電場によって、イオンガイド158から四極154中
へのイオンの移送効率に負の影響を与えかねない周縁フィールドが発生する。多
極イオンガイド158の出口周縁フィールドと四極154の入り口周縁フィール
ドがイオンの軌道に対して及ぼす影響は、電極161とRFだけセグメント16
2によって減少する。電極166と167は周縁フィールド効果を減少させ、ま
た、真空仕切として動作する類似の機能を有する。衝突セル多極イオンガイドは
、4極、6極又は8極で構成され、また、隣接する四極イオンガイドのRFフィ
ールドとDCフィールドとは異なったRFフィールドを自身の入り口端と出口端
とに有することがある。図22にAPIハイブリッド四極TOF質量分析器を示
すが、同図ではまた、各イオンガイドアセンブリ同士間に電極が位置していると
ころが示されている。この先行技術における四極の配置は、衝突セル出口に至る
API三重四極の配置と類似しており、多くの場合同じである。イオン衝突散乱
、周縁フィールド効果及び電極とのイオンの衝突によって1つの多極イオンガイ
ドから隣の多極イオンガイドにイオンが伝達される毎にイオンの損失が発生する
。本発明の1つの態様は、電極仕切のない共通軸に沿った複数の四極アセンブリ
から成る構成である。本発明に従って構成された各四極アセンブリは個々に質量
選択とイオンのCIDフラグメンテーションを実行することができる。1つ以上
の負空真空段四極を、本発明に従って複数四極アセンブリ中に構成することがで
きる。1996年発行の第44回の質量分光測定と統合トピックに関するASM
S会議の議事録(Proceedings of the 44th ASM S Conference on Mass Spectroscopy an
d Allied Topics)でIjamesは、イオンがTOF質量分析
器中にパルス化されるRFだけイオン移送/トラップモードで操作される4つの
四極イオンガイドを線形に組み合わせることを提案している。この提案されたア
センブリ中にある四極の内の2つは2つの真空ポンプ段中に連続的に延長してい
る。その分厚い要約は、第1の四極から第4の四極に別々のRF電位を印加する
ことを教示してはいない。また、それは、その提案する複数四極アセンブリを本
発明の態様に含まれるようなものとして質量/電荷選択やCIDフラグメンテー
ション動作を実行することを教示してもいない。
【0009】 本発明における個々の多極イオンガイドアセンブリにRF電圧を供給する分離
したRF電圧源を共有の周波数と位相で操作して、RF周縁効果を最小化するこ
とができる。四極アセンブリのそれぞれに対して、質量/電荷選択動作及び/又
はイオンCIDフラグメンテーション動作の間にそれぞれ異なったRF振幅を印
加することができる。四極イオンガイドアセンブリ同士間の電極を解消すること
によってイオン伝送効果が向上し、また、四極イオンガイドアセンブリ同士間で
イオンを前後に移動させることができる。複数四極アセンブリの軸に沿ってイオ
ンを双方向に効率的に移送することによって、1つの計器で広い範囲の分析機能
を実行することができる。分析機能を等価的に配列させるには、2つ以上の先行
技術による質量分析器が必要である。本発明のある1つの態様では、RF四極が
各分析四極アセンブリ同士間に構成されており、これによって、RF振幅、+/
−DC電圧及び共振周波数電圧の四極間の差によるあらゆる周縁フィールドをも
最小化している。個別のRF源で構成されるRFだけセグメントもまた、分析四
極イオンガイドアセンブリ同士間でのRF周波数カップリング又は共振周波数カ
ップリングを最小化する働きをする。本発明の別の態様では、RFだけ四極が、
隣接する四極イオンガイドRF源に容量カップリングする各四極アセンブリのR
Fだけセグメントとして構成され得る。本発明のさらに別の態様では、個々の四
極アセンブリ同士間の接合が、四極アセンブリ同士間に圧力勾配がほとんど存在
しない高圧領域中に位置している。背景気体とのイオン衝突は、安定したイオン
軌道を四極センターラインまで減衰させる働きがあり、このセンターラインのと
ころでは、四極同士間の周縁フィールド効果が最小化される。背景気体によるこ
のイオン軌道の衝突減衰は、個々の四極イオンガイドアセンブリ同士間での前後
方向のイオン伝送を最大化する働きをする。
【0010】 三重四極、3次元イオンタラップ、ハイブリッド四極TOF、ハイブリッド磁
気セクター及びフーリエ変換(FTMS)の質量分析器は、MS/MS分析を実
行可能である。イオントラップ質量分析器及びFTMS質量分析器はMS/MS n 分析を実行することができるが、イオンCIDフラグメンテーションは比較的 低エネルギ共振周波数励起で実行される。三重四極とハイブリッド四極のTOF
質量分析器中でのCIDフラグメンテーションは、本書ではDC加速CIDフラ
グメンテーションと呼ばれる四極軸に沿ったイオン加速によって達成される。イ
オンは一般的には、数10eVを四極DC加速CIDフラグメンテーションで印
加することによって加速される。ハイブリッド又はタンデムの磁気セクター質量
分析器は、数百さらに数千eVでイオンが加速されて気相衝突する高エネルギD
C加速イオンフラグメンテーションを実行することができる。三重四極中での単
一質量範囲の質量/電荷選択は、RF及び+/−DCを図20の非衝突セル四極
アセンブリ154と156に印加することによって達成される。3次元イオント
ラップ中での1つ又は複数範囲の質量/電荷選択は、好ましくないイオンの共振
周波数噴出とカップリングしたRF電圧振幅スキャニングを用いて達成される。
三重四極は、API源から送出された連続イオンビームで動作する。イオントラ
ップは、連続イオンビーム中に提供されたイオンをバッチ式に分析しなければな
らない。3次元イオントラップ中のトラップされたイオンの空間電荷によって、
三重四極動作では遭遇しない性能の制限が課される。イオントラップ中での空間
電荷の影響は潜在的に、定量分析応用分野におけるその有用性を制限する。低真
空圧力で操作される四極イオンガイド中での質量/電荷選択分解能は部分的には
イオン遷移時間によって制限される。各質量分析器タイプは、解決すべき分析上
の問題によって利点となったり欠点となったりするそれぞれ異なった手段によっ
てイオンの質量/電荷選択及びCIDフラグメンテーションを実行する。
【0011】 四極質量分析器及び3次元イオントラップ質量分析器並びに最近のハイブリッ
ド四極TOF質量分析器は、大気圧イオン発生源、例えば電気噴霧(ES)発生
源や大気圧化学イオン化(APC)発生源とインタフェースする最も広く使用さ
れる質量分析器タイプとなっている。FTMS計器は非常に高い分解能と質量精
度を提供するが、その価格と操作上の複雑さのために、現在使用されている装置
の数は限られたものである。本発明のある1つの態様では、三重四極、3次元イ
オントラップ及びハイブリッド四極のTOF質量分析器の機能的能力を1つの計
器に合成している。本発明は、これに限られないが、共振周波数CIDイオンフ
ラグメンテーション、100eVさえ越えるエネルギの場合におけるDC加速C
IDフラグメンテーション、RF及び+/−質量/電荷選択、単一又は複数の質
量範囲のRF振幅及び共振周波数のイオン噴出質量/電荷選択、四極イオンガイ
ド中でのイオンのトラッピング及びTOF質量分析をその範囲に収めている。本
発明によって、先行技術によるいかなる質量分析器タイプによっても実行不可能
な質量分光計の分析機能が可能となる。例えば、MS/MSn(ここで、n>1 )は、本発明に従って構成されたハイブリッド四極TOF上で、各CIDステッ
プ毎にDC加速フラグメンテーションを用いることによってまたは共振周波数励
起とDC加速CIDイオンフラグメンテーションを組み合わせることによって実
行することができる。CIDイオンフラグメンテーションの質量/電荷選択によ
るイオンのトラッピングは、連続イオンビームを停止させることなく各個別の四
極アセンブリ中で実行可能である。これらの技法は本発明によれば、以下に述べ
るように、MS/MS実験の際にハイブリッド四極TOFのデューティサイクル
と感度を増加させる。
【0012】 本発明に従って構成されたハイブリッド四極TOFは、参考としてここに組み
込む米国特許第5,652,427号及び第5,689,111号並びに米国特
許出願第08/694,542号及び第60/021,184号に述べるような
あらゆる性能能力を含んでいる低コストのベンチ・トップ計器である。先行技術
によるAPI三重四極、3次元イオントラップ、TOF及びハイブリッド四極T
OFの質量分析器の性能の類似化及び改善は、本発明に従って構成されたハイブ
リッド四極TOF質量分析器によって達成可能である。本発明に従って構成され
た複数四極のイオンガイドのアセンブリは、あらゆる質量分析器タイプ及びハイ
ブリッドの計器並びに、気相、液層及び固相からイオンを発生させるほとんどの
イオン発生源タイプとインタフェースさせることができる。
【0013】 (発明の開示) 本発明は下に述べるように多くの実施形態を含む。各実施形態は、イオンと中
性の背景ガスとの多数の衝突が発生する、より高圧の背景真空領域に配置されそ
こで動作する1つ以上の多極イオンガイドを含む。本発明はいかなる個数の極を
有する多極イオンガイドにも適用可能であるが、本説明では主として四極イオン
ガイドについて述べる。本発明の1つの実施形態において四極イオンガイドは、
イオンガイドの長さにわたって横断するイオンの衝突減衰を引き起こすのに十分
高く保たれた背景圧力を有する真空領域内に構成される。より高圧の真空領域中
に置かれた四極イオンガイドは、トラッピングモード、単一経路イオン伝送モー
ド、単一又は複数の質量/電荷選択モード、及び/又は連続的な一次イオンビー
ムの停止を伴う又は伴わない共振周波数CIDイオンフラグメンテーションモー
ドで動作可能である。本発明の1つの実施形態においては、高圧四極イオンガイ
ドを動作させて、イオン四極容積内で横断する又はトラップされた放出された不
要なイオンによって、単一又は複数の質量/電荷範囲の選択を行う。不要イオン
の放出は、共鳴又は永年周波数の波形を、無線周波数RF振幅の傾斜又は段付け
を伴って又は伴わないで選定された時間間隔にわたってイオン四極ロッドに適用
することによって行われる。本発明のさらに別の実施形態においてイオンの+/
−DC電位は、質量/電荷選択のあいだ四極イオンガイドの極に印加される。R
F振幅を傾斜又は段付けし、共振周波数励起波形を適用して不要な質量/電荷値
を放出するあいだ、その+/−DC電位が四極ロッド又は極に印加される。本発
明の別の実施形態においては、より高圧の領域に配置されかつ質量/電荷選択及
び/又はイオンCIDフラグメンテーションモードで動作する1つ以上の四極イ
オンガイドが、セグメント化又はセクション化された多極イオンガイドとして構
成される。分割イオンガイドは、通常のRF電圧源からのRF電圧が全てのセグ
メントに印加される2つ以上のセクションを含んでもよい。本発明の1つの実施
形態において、セグメント化された四極の少なくとも1つが、他の1つ以上のセ
グメントが質量/電荷選択モード及び/又はCIDイオンフラグメンテーション
モードで動作するあいだは、RFだけのモードで動作する。個々のDCオフセッ
ト電圧を各セグメントに個別に印加して、セグメント化された四極アセンブリ内
でのイオンのトラッピング又は1つのセグメントから隣接するセグメントへのイ
オンの移動を可能にする。
【0014】 本発明の別の実施形態において、セグメント化されたイオンガイドは、少なく
とも1つのセグメントが連続的に複数の真空段に拡張するように構成される。複
数真空段の多極イオンガイドの部分は、イオンがセグメント化されたイオンガイ
ドの長さにわたって横断するときに多数のイオンの中性の衝突を引き起こすのに
十分高くイオンガイド容積内の圧力が維持されている真空領域内に配置される。
RF電圧は、通常のRF電圧源から複数の真空段多極イオンガイドの全てのセグ
メント又はセクションに印加される。セグメント化された複数真空段多極イオン
ガイドの少なくとも1つのセクションは、トラッピングモード、単一経路イオン
伝送モード、単一又は複数の質量/電荷選択モード、及び/又は連続的な一次イ
オンビームの停止を伴う又は伴わない共振周波数CIDイオンフラグメンテーシ
ョンモードで動作する。本発明の1つの実施形態において、複数の真空ポンプ段
イオンガイドの1つ以上のセグメントは、1つ又はそれ以上のセグメントが質量
/電荷選択モード又はCIDイオンフラグメンテーションモードで動作するあい
だ、RFだけのモードで動作する。複数真空段セグメントイオンガイドの1つ以
上のセグメント内の質量/電荷選択は、RF及び+/−DC電位をイオンガイド
の極に印加することによって行われる。あるいは質量/電荷選択モードにおける
不要イオンの放出は、RF振幅の段付けを伴う又は伴わない共振周波数の波形を
適用することによって行うことができる。不要なイオン質量/電荷値を放出する
のに要する周波数成分の範囲は、イオン質量/電荷選択作業のあいだのRFの振
幅の変動を伴って又は伴わないで+/−DC電圧をロッドに加えることによって
縮小できる。本発明の1つの実施形態において、個々のオフセット電位を複数真
空段多極イオンガイドの異なるセグメントに印加することができる。オフセット
電位を個々のイオンガイドセグメント上に設定して、セグメント化されたイオン
ガイド極を囲むことで定められる容積内にイオンをトラップすることが可能とな
る、又は1つのセグメントから次のセグメントへイオンを移動させることが可能
となる。複数真空段イオンガイドの1つ以上のセグメントに沿った真空圧は、そ
のセグメントの軸方向の長さに沿って変化する。
【0015】 本発明は複数タイプのイオン発生源とともに構成されるが、ここで説明される
本発明の実施形態は、電気噴霧、APCI、誘導連結プラズマ(ICP)、及び
大気圧MALDIを非限定的に含む大気圧イオン発生源にインタフェースされた
質量分析器を含む。述べられている実施形態において、より高圧の真空領域内に
構成された複数のイオンガイド内の背景気体の一次発生源は、大気圧イオン発生
源それ自身である。この構成によって、追加的な衝突気体をより低圧の真空領域
に配置された分離衝突セルに加える必要性から免れることができる。API質量
分析器内の分離衝突セルが不要となることによって、真空ポンプ速度の要求、シ
ステムのサイズ及び複雑さが低減される。サイズ及び複雑さが低減することによ
って、性能又は分析能力が低下することなしに質量分析器のコストが削減される
。以下の説明から明らかとなるように、本発明によって構成され動作する質量分
析器は先行技術に優る性能及び分析範囲を持つ。
【0016】 本発明の別の実施形態において、個々の複数イオンガイドアセンブリが、2つ
のイオンガイドの接合部がより高圧の真空領域にある通常のセンターラインに沿
って構成される。軸方向に隣り合う2つの複数イオンガイド間の接合部の両側の
背景気体とのイオン衝突は、周縁フィールドが最小になるセンターライン方向へ
の安定したイオン放射軌道を減衰する働きをする。複数のイオンガイド間の順方
向及び逆方向のイオン伝送効率は、2つのイオンガイド間の接合部における周縁
フィールド効果を最小化することによって最大化される。本発明の別の態様にお
いては、通常の四極軸に沿って構成される2つの隣接四極イオンガイド間の接合
部内に電極は構成されない。本発明によって構成される2つの隣接四極アセンブ
リは同じ反径方向横断面極寸法を有し、極のエレメントは2つの四極イオンガイ
ド間の接合部において軸方向に整列する。各四極アセンブリは、RF、共振周波
数、+/−DC及びDCオフセット電圧源の独自のセットを持つ。本発明の別の
態様において、通常のRF周波数及び位相は、隣接する軸方向整列四極イオンガ
イドの軸方向整列極上で維持される。隣接四極イオンガイドに適用されるRF振
幅、共振周波数、+/−DC振幅及びDCオフセット電位は、各四極イオンガイ
ドアセンブリについて独自に調整可能である。相対的なDCオフセット電位によ
って、安定起動のイオンは、周縁フィールド効果が最小であることによる高伝送
効率で2つの四極同士間を前後に移動することができる。本発明の別の態様にお
いて、少なくとも1つのセグメント化された四極イオンガイドアセンブリが、2
つの四極イオンガイドアセンブリ間の接合部がより高い背景圧力の領域内に位置
する別の四極イオンガイドと軸方向に並んで構成される。隣接する四極イオンガ
イド間の接合部は付加的電極とともに構成してもよいししなくてもよい。本発明
の別の態様において、連続的に複数の真空ポンプ段に延長する少なくとも1つの
四極イオンガイドが、別の四極イオンガイドアセンブリの隣に軸方向に並んで構
成される。本発明のさらに別の態様では、上述の軸方向整列四極の組合せにおけ
る少なくとも1つの四極の少なくとも1つのセクションが質量/電荷選択モード
及び/又はCIDイオンフラグメンテーションモードで動作する。1つの四極ア
センブリを横断する質量/電荷選択イオンは、CIDイオンフラグメンテーショ
ンを引き起こすに十分なオフセット電圧振幅差を経て、1つの四極から隣接する
四極へ加速される。2つの隣接したイオンガイド間の接合部の領域内に存在する
背景気体は、1つの四極イオンガイドから次のそれへと軸方向に加速されるイオ
ンに対する衝突気体として働く。十分なオフセット電圧振幅差が印加された順方
向又は逆方向のイオンの加速は、衝突誘導解離を通じてイオンをフラグメントす
るために用いられる。
【0017】 複数四極の軸方向に整列したアセンブリ内に構成された各四極イオンガイドの
少なくとも1つのセクションは、トラッピング又は単一経路伝送モード、単一又
は複数質量/電荷選択モード、及び共振周波数CIDイオンフラグメンテーショ
ンモードで動作する。MS/MSn質量分析機能は、DC加速CIDイオンフラ グメンテーションと共に質量/電荷選択機能を作動させることによって実現する
ことができる。DC加速フラグメンテーションは、質量/電荷イオンを隣接イオ
ンガイド間において順方向又は逆方向に加速することによって行われる。あるい
は、共振周波数励起CIDフラグメンテーションを1つ以上の四極イオンガイド
内の1つのイオンガイドセグメント内で定められる容積内で用いることによって
、イオンはフラグメント可能となる。質量/電荷選択とDC加速及び共振周波数
励起CIDフラグメンテーションとの組合せは、より高圧の真空領域内に構成さ
れた軸方向整列複数四極イオンガイドアセンブリ内で作動して、広い範囲のMS
/MSn質量分析機能を実現することができる。本発明の1つの態様において、 MS/MSn質量分析シーケンスにおける最終の質量分析ステップは四極質量分 析器を用いて行われる。二重の四極イオンガイドアセンブリを本発明によって三
重の四極質量分析器の一部として構成することが可能となる。あるいは、三重四
極質量分析器MS及びMS/MS機能の全体を連続するイオンビームで取り囲む
ことによって、三重四極イオンガイドアセンブリを本発明に従って構成すること
が可能となる。
【0018】 本発明の別の実施形態において、2つの隣接イオンガイド間の1つ以上の接合
部がより高圧の真空領域内にある複数の四極イオンガイド軸方向整列アセンブリ
が、TOF質量分析器とともに構成される。複数四極アセンブリ内の少なくとも
1つの四極イオンガイドは、質量/電荷選択及び/又はCIDイオンフラグメン
テーションモードで動作するように構成される。本発明の1つの態様において、
TOF質量分析器はいかなるMS/MSn質量分析シーケンスの最終質量分析ス テップをも実行するように構成される。単一ステップのMS/MS質量分析は、
第1に質量/電荷質量分析ステップによって、第2に本発明により構成される複
数四極イオンガイドアセンブリ内の共振周波数励起又はDC加速CIDを伴うイ
オンフラグメンテーションステップによって実現可能となる。その結果生ずるイ
オンの質量/電荷分析は経過時間質量分析器内で行われる。MS/MS質量分析
における質量/電荷選択及びイオンフラグメンテーションのステップは、イオン
トラッピングを伴って又は伴わないで、及び一次イオンビームを停止することな
しに行うことが可能である。n>1であるMS/MSn質量分析は、本発明によ り構成される複数四極イオンガイドアセンブリを用いて、連続的質量/電荷選択
及びイオンフラグメンテーションのステップを実行することによって実現可能と
なる。最終質量/電荷分析ステップがTOF質量分析器を用いて行われる所与の
MS/MSn質量分析シーケンスにおいて、質量/電荷選択及びイオンフラグメ ンテーションを行うための異なる方法を組合わせることが可能である。本発明の
1つの実施形態において、API発生源は、本発明により構成される複数四極T
OFハイブリッド質量分析器にインタフェースされる。
【0019】 本発明のさらに別の実施形態において、1つ以上のセグメントが複数の真空ポ
ンプ段に連続的に延長するセグメント化されたイオンガイドが、TOF質量分析
器とともに構成される。複数真空ポンプ段のセグメント化された多極イオンガイ
ドの少なくとも1つのセグメントが、イオンのトラッピングを伴って又は伴わな
いで、質量/電荷選択及びCIDフラグメンテーションを行うように構成される
。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの複数真空段セグメント化
四極イオンガイドは、TOF質量分析器とともに構成される複数四極イオンガイ
ドアセンブリ内に含まれる。MS/MSn質量分析機能は、経過時間質量分析器 を用いた生成イオン集団の質量/電荷分析に先行して、複数四極イオンガイドア
センブリにおける1つ以上のイオン質量/電荷選択及びCIDフラグメンテーシ
ョンのステップを実行することによって実現可能となる。本発明の1つの実施形
態において、四極アセンブリのサイズは小さくなって、その結果ベンチトップA
PI複数四極TOF質量分析器のコスト及びサイズが減少する。本発明の1つの
態様において、複数四極TOFハイブリッド質量分析器を動作させることによっ
て、イオン質量/電荷選択及びフラグメンテーションを、三重四極MS及びMS
/MS質量分析ルーチンの性能の再現及び改良を可能とするような方法で実行で
きる。あるいは、同じ複数四極TOFハイブリッド質量分析器を動作させること
によって、イオン質量/電荷選択及びフラグメンテーションの1つの又は複数の
イオントラッピングのステップを、3次元イオントラップMS及びMS/MSn 質量分析ルーチンの性能の再現及び改良を可能とするような方法で実行できる。
本発明によって構成される同じ複数四極TOF質量分析器は、先行技術に述べら
れたいかなる質量分光計によっても実行することができないMS及びMS/MS n のルーチンを作動することができる。
【0020】 本発明の別の実施形態において、本発明によって構成され動作する複数四極イ
オンガイドは、フーリエ変換、3次元イオントラップ又は磁気セクター質量分析
を含むハイブリッド質量分析器内に構成される。本発明の1つの態様において、
複数の真空ポンプ段に連続的に延長するセグメント化された複数イオンガイドは
、フーリエ変換、3次元トラップ又は磁気セクター質量分析器とともに構成され
る。
【0021】 高いイオン伝送効率は、本発明により構成されるセグメント化複数真空ポンプ
段複数イオンガイド又は複数四極イオンガイドアセンブリ内で実現される。イオ
ンは、安定した反径方向軌道上にありながらより高圧の真空領域内に配置された
隣接軸方向整列四極イオンガイド間の接合部とともに構成される複数のイオンガ
イドの間を横断する。従って、本発明により構成される複数四極イオンガイドア
センブリ内でトラップされ又はそれを横断する間において、所望の質量/電荷値
イオンの損失が最小になる。本発明の1つの実施形態において、複数四極アセン
ブリの個々の四極アセンブリに電位を印加する個々のRF電圧源は、可変振幅で
あるが同じ周波数及び位相のRF出力を有する。従って、m/z値が複数四極イ
オンガイドアセンブリを横断する安定した軌道を持つイオンが、複数四極イオン
ガイドアセンブリの全長にわたって安定軌道上に選択的に留まる。低い軸方向変
換エネルギーを持つイオンは、質量選択又は質量分析動作におけるより高い分解
能を可能にする複数セグメント化又は非セグメント化四極イオンガイドを通って
効率的に移送可能となる。イオンはまたセグメント化又は非セグメント化四極イ
オンガイドのそれぞれの選択セクション内でトラップされ、必要とあらば伝達さ
れて、ヂューティサイクルを改善し広い範囲の質量分析動作を達成することが可
能となる。トラッピングモードで動作する複数のイオンガイド又はセグメント化
イオンガイドの個々のセグメントの重要な特徴は、イオンがイオンガイド又は個
々のセグメントの対向する端部に入射するあいだ、イオンガイド又はセグメント
の一端から同時に放出可能であるということである。この特徴によって、連続的
なイオンビームを受けるセグメント化イオンガイドは、イオンガイド内にあるイ
オンの部分だけを軸方向整列隣接イオンガイド又はTOF等の他の質量分析器内
に放出することができる。この様にして質量分析ステップのあいだイオンの損失
は無い。また複数のイオンガイドアセンブリ間で又は複数イオンガイドアセンブ
リ内のセグメント間でイオンは前後方向に伝達可能となるので、先行技術による
質量分析器の構成ではできない質量分析動作の配列の実現が可能となる。
【0022】 (発明を実施するための最良の形態) 質量分析装置内に構成された、1つの真空ポンプ段から1つ以上の付加的真空
ポンプ段内に連続的に延長する多極イオンガイドについて、米国特許第5、65
2、427号の中で述べられている。多極イオンガイド内にトラップされるイオ
ンの少なくとも1部の放出と結びついた多極イオンガイド内のイオンのトラッピ
ング、及びそれに引き続く放出イオンの経過時間質量分析器のフライトチューブ
内へのパルス化について、米国特許第5、689、111号の中で述べられてい
る。APITOF質量分析器内に構成されてMS及びMS/MSn質量分析能力 を実現する多極イオンガイドの動作については、米国特許出願第S/N08/6
94,542号の中で述べられている。以下の節に述べられる発明には、多極イ
オンガイドの新しい実施形態、多極イオンガイドアセンブリの新しい構成、及び
イオンガイド及び質量分析器の新しい動作方法を持つその質量分析器へのそれら
の組み込みが含まれる。本発明は質量分析器の性能及び分析能力を向上させ、い
くつかの実施形態においては先行技術による構成と比較した場合、サイズ及びコ
ストが減少される。
【0023】 多極イオンガイドは、真空中でのイオンの移送を含む広い範囲の諸機能のため
に、及びイオントラップ、質量/電荷フィルタ及びフラグメンテーション種の手
段として用いるために利用されてきた。従来型の多極イオンガイドは、中心点か
ら共通半径上に均一に配置された平行な電極、極又はロッドの集合からなる。動
作中、制限波電圧又は交流(AC又はRF)電位及び+/−DC電圧が、イオン
ガイドのロッド又は電極に印加される。印加されたAC及びDC電圧は、質量/
電荷(m/z)値の選択された範囲に対してロッド長にわたって内部容積を通る
安定したイオン軌道を可能にするように設定される。これらの同じAC及びDC
電圧成分を、動作安定ウインドウの外側に落ちるイオン質量/電荷値に対する不
安定なイオン軌道を生ずるように設定することができる。不安定軌道を持つイオ
ンは、イオンガイドの長さにわたって横断する前にイオンガイドの容積から噴出
される。多極イオンガイドは典型的には、4個の極(四極)、6個の極(六極)
、8個の極(八極)等の均一な極の集合とともに構成される。奇数の多極イオン
ガイドもまた記述されているが、商業用の計器としては通常用いられていない。
RF又はACだけの印加電圧で動作する四極、六極及び八極は、質量分光計の計
器内のイオンガイド内で用いられているだけである。m/z選択が必要とされる
場合は、六極又は八極よりも四極がより高い質量/電荷選択分解能を達成する。
質量分析器として動作する四極イオンガイドは、円形のロッドとともに又はより
理想的な双曲線ロッド形状とともに構成されてきた。ロッドの間隔(r0)への 所与の内部ロッドに対して、イオンが通って中央の容積の反径方向外側へ噴出又
は追いやられることなく多極イオンガイド内へ入射する効果的な入射許容領域は
、極の数が増えるにつれて増大する。より大きな数の極で構成されRFだけのモ
ードで動作する多極イオンガイドは、より小さな数の極で構成された多極イオン
ガイドよりも広い範囲のイオン質量/電荷値を安定軌道内で伝達することができ
る。異なる数の極を持つ多極イオンガイドにおける性能の違いのために、イオン
ガイドの適切な選択は主としてその適用によって決まる。三重の四極という用語
は、軸方向に並べられ、MS/MS動作性能を持つ単一真空ポンプ段内の電極に
よって分離された3つの多極イオンガイドの構成を表すものとして従来から使わ
れている。そのような「三重四極」内の衝突セルはしばしばRFだけのモードで
動作する六極又は八極である。
【0024】 本発明で述べられる多極イオンガイドはいかなる数の極によってでも構成する
ことができる。個々のイオンガイドのアセンブリが構成される場合には、最適な
性能のために、四極及び六極又は八極からなる混合体を選択してもよい。多極イ
オンガイドのロッドアセンブリは、動作中z方向又は軸方向への非対称な電界を
発生することができる非平行の又は円錐形のロッドで構成されるものとして説明
されてきた。この軸方向の電界は、通常は高い背景圧力を含む所与の適用のため
の平行なロッドの集合によって達せられるよりも速く、イオンガイドの長さにわ
たってイオンを押すのを助ける。しかしながら軸方向の電界の付与は多極イオン
ガイドアセンブリを通るイオンの移動を助けるので、軸方向電界を生じるように
構成されたロッドの形状は質量/電荷選択分解能を低下させ、組立の複雑さ及び
コストを増大させかねない。説明を明確にするために、以下に述べる本発明は平
行なロッド又は電極アセンブリで構成される。所与の多極イオンガイドアセンブ
リ内の軸方向電界は、RFだけの入射及び出射極セクション又はセグメントを用
いるなんらかの実施形態において構成される。
【0025】 単一セクション又はセグメント化された多極イオンガイドアセンブリは、1つ
以上のセグメントが1つの真空ポンプ段から連続的に1つ以上の隣接真空ポンプ
段へ延長するように構成することが可能である。同じ様な横断面形状を持つ個々
の多極イオンガイドは、中性気体への複数のイオンの衝突が発生するより高圧の
真空ポンプ領域内に配置されたイオンガイド間の1つ以上の接合部を持つ軸方向
に整列したアセンブリとして構成することが可能である。より高い背景真空圧力
領域を効果的に用いて、イオン質量/電荷選択もまた行われる同じ真空ポンプ段
におけるイオンの衝突誘導解離(CID)のような分析機能を実現することが可
能となる。大気圧イオン発生源質量分光計器内の、1つの真空ポンプ段から別の
それへと連続的に延長するセグメント化又は非セグメント化多極イオンガイドは
、広範囲の背景圧力にわたってイオンを効果的に移送することができる。多極イ
オンガイドはイオンを大気圧イオン発生源から、TOF、FTMS、四極、三重
四極、磁気セクター又は3次元イオントラップを非限定的に含む質量分析器へと
運ぶことができる。あるいは、より高い真空圧力領域に配置された多極イオンガ
イドアセンブリの1つ以上の部分で構成されたセグメント化又は非セグメント化
多極イオンガイドのアセンブリは、MS及びMS/MS質量分析能力を持つ質量
分析器として直接動作することができる。
【0026】 多極イオンガイドの重要な特徴は、イオンがイオンガイドアセンブリ又は個々
のセグメントの一端へ入射できる一方で、イオンガイドアセンブリ又はセグメン
トの他端からイオンが同時に放出できることである。この特徴によって、トラッ
ピングモードで動作している連続イオンビームを受ける多極イオンガイドは、イ
オンガイド内にあるイオンの部分だけを、別のイオンガイド、イオンガイドセグ
メント又は放出イオンの質量分析を行う別の質量分析器へと選択的に放出するこ
とができる。この様にして質量分析ステップの間で、連続イオンビームからのイ
オンの損失は無い。本発明の1つの好ましい実施形態は、API発生源、質量/
電荷選択モード及びイオンフラグメンテーションモードで動作する2つの四極質
量分析器を持つ3つの四極イオンガイドのアセンブリ、及び経過時間質量分析器
からなるハイブリッドAPI四極TOF質量分析器の構成である。そのようなハ
イブリッドAPI四極TOF質量分析器内に構成される複数四極イオンガイドア
センブリを有するので、広範囲のMS及びMS/MSn質量分析機能は、高いデ ューティサイクル、質量/電荷分解能及び質量測定精度であり得る。
【0027】 本発明の以下の説明では、3つの主要な構成がそれぞれについての代替的実施
形態を伴って示される。第1の実施形態は、複数四極イオンガイド経過時間ハイ
ブリッド質量分光計装置の構成である。ハイブリッド計器は述べられているよう
にTOF質量分析器を含んでいるが、FTMS、磁気セクター、3次元イオント
ラップ又は四極質量分析器をTOFMSの代りに用いてもよい。第2の実施形態
は、より高圧の真空領域内に置かれて3重の四極質量分析器の先行技術による構
成のMS及びMS/MS質量分析機能を達成するイオンガイド間の1つ以上の接
合部を持つ個々の四極イオンガイドのアセンブリの構成である。述べられている
第3の実施形態は、より高い真空背景圧力領域内に置かれ質量/電荷選択モード
で動作する四極イオンガイドの構成である。第3の実施形態は、低真空圧力単一
四極質量分析器の先行技術による構成のAPIMS機能を実現するように動作す
ることができる。小型のより高圧の四極イオンガイドは、先行技術によるAPI
MS計器と比較してより小さくかつ低コストで構成することができる。
【0028】 本発明の好ましい実施形態を図1に示す。3つの独立した四極イオンガイドの
線形アセンブリ8が、4つの真空ポンプ段ハイブリッドAPI発生源−複数四極
−TOF質量分析器内に構成されている。図1及び2を参照すると、複数四極イ
オンガイドアセンブリ8は、共通の軸5に沿って配置された3つの独立した四極
イオンガイドアセンブリ60、61及び62から構成される。あるいは、四極イ
オンガイドアセンブリ60、61、62の極イオンガイドは、6個、8個又はよ
り多くのロッド又は極で構成することができるけれども、多極イオンガイドも用
いて達成できるイオン質量・電荷選択分解能は極の個数が増大するにつれて低下
する。六極(6個の極)、八極(8個の極)又はさらに多くの極、又は奇数個の
極を持つイオンガイドに比べた場合、四極(4個の極)を持つイオンガイドがよ
り高いイオン質量/電荷分解能選択分解能を実現することができる。従って四極
が質量分析器として通常用いられてきた。四極と比べた場合、より広いm/z安
定性ウインドウ及びより大きな効果的入射許容領域を持つ六極及び八極は、低い
及びより高い圧力の真空領域内でイオンを移送しトラップするために、RFだけ
のモードでしばしば用いられる。提供される好ましい実施形態で示されている多
極イオンガイドは、四極として述べられている。なぜならば、より大きな個数の
極を持つ多極イオンガイドの性能に比較して、この構成はより高いイオン質量/
電荷選択分解能を達成できるからである。しかしながら本発明のいくつかの機能
及び方法に対しては、6個又は8個の極で構成された多極イオンガイドを、述べ
られている実施形態で使われる四極イオンガイドの代りに用いることができる。
【0029】 四極イオンガイドアセンブリ60は、共通のセンターライン5の周りに均等に
配置された4つの平行な電極、極又はロッドで構成される。各極は2つのセクシ
ョンを含む。セクション1の各電極はスキマー26の角度に適合するように輪郭
付けされた先細りの入り口を持つ。電源63はRF、AC及びDC電位をセグメ
ント化された四極60の両セグメントに印加する。四極アセンブリ60、61及
び62は、それぞれ独立した四極アセンブリ間の接合部7及び10がより高圧の
真空段72に位置する共通の軸5にそって構成される。真空段71、72、73
及び74は典型的にはそれぞれ1〜2トール、1〜10ミリトール、1〜8×1
-5トール、及び1〜5×10-7トールの圧力に保たれる。イオンは、真空段7
2内の四極60、61及び62によって定められる容積内を横断する際に中性の
背景気体分子のいくつかと衝突する。先行技術とは異なり、個々の四極アセンブ
リ60、61及び62間の接合部7及び10内に電極は構成されていない。周縁
フィールド効果を回避し四極アセンブリ間のイオン伝送を最大化するために、四
極イオンガイドアセンブリ60、61、62は、整列している極と同じ半径方向
横断面形状を持つように構成される。さらに電源63、64、65内に構成され
る独立したRF発生器は、同じRF周波数及び位相を軸方向隣接四極電極に印加
するために同期化される。以下に述べられるように、個々の四極イオンガイドア
センブリ60及び62は、独立に質量/電荷選択モード及びイオンフラグメンテ
ーションモードで動作して、経過時間質量分析を伴うMS/MSn機能を実現す る。セグメント化されたイオンガイドは、同じRF電圧電源がイオンガイドアセ
ンブリの全てのセグメントに電圧を印加するように構成される。セグメント1及
び2間の接合部6は、隣接軸方向整列極間の容量性カップリングを最大化するよ
うに構成される。RFは典型的にはセグメント化されたイオンガイド内の各四極
セクションに容量性カップリングされる。これによって異なるDCオフセット電
位をセグメント化されたイオンガイドの異なるセクションに印加して、セグメン
ト化された多極イオンガイドを通るイオンの運動に影響を与える。典型的には、
セグメント化された四極の分析セクションが質量/電荷選択モードで動作してい
るとき、四極入り口の端部に位置するセクションはRFだけのモードで動作して
周縁フィールド効果を最小化する。四極アセンブリ60と61、及び61と62
の間のそれぞれの接合部7及び10は本発明により構成されて、独立に動作する
四極アセンブリ間の容量性カップリングを除去又は最小化する。イオン質量/電
荷選択及びフラグメンテーション動作中における四極アセンブリ60及び62間
のうなり周波数又は有害な干渉は、2つの四極アセンブリ間の容量性カップリン
グを除去することにより防止される。独立したRF及びDC電源64を持つ四極
アセンブリ61は、四極アセンブリ60、62間の容量性カップリングを防止又
は除去する一方で、複数四極アセンブリの軸5に沿うイオン伝達効率を最大化す
る。あるいは四極61は、四極アセンブリ60及び62を隔離するために直流が
印加された、センターライン5を中心とする開口を持つ単一の平坦な電極として
構成することができる。好ましい実施形態は、軸方向に整列した極を持つ四極6
0及び62と同じ反径方向横断面を持つ四極61の構成である。
【0030】 理想的な四極イオンガイドにおいては極の形状は双曲面であるが、製造の容易
化のために通常は円形のロッドが用いられる。円形六度104、105、106
及び107を有する四極イオンガイドの断面が図9に示される。ほとんどの四極
動作モードのために、同じAC及びDC電位が対向する極のセット(104、1
06及び105、107)に印加される。隣接する極は、同じRF周波数及び振
幅を持つが位相は180度異なる。オフセット電位又は通常のDC電位が差引か
れると、隣接する極には同じ振幅ではあるが反対の極性のDC電位が印加される
。一次RF電気成分に加えて、共振周波数のAC電圧が四極ロッドに印加されて
、m/z選択及びイオンフラグメンテーション機能が実現される。通常のDCオ
フセットが全てのロッド104、105、106及び107に同様に印加される
。一次RF、反対極性DC、通常DC及び共振周波数電位がセグメント化された
イオンガイドの極に同時に又は部分的に印加されて、分析機能の範囲を実現する
。イオンガイドがセクションにセグメント化されるとき、極又はロッドのそれぞ
れは、組立てられる際に単一の連続するロッドとして整列する、電気的に隔離さ
れたセクションに分かれる。ロッドアセンブリ内の各セグメントはその隣接する
セグメントから電気的に絶縁される。この絶縁は各ロッドセクション間でおこな
われて、ロッドによって定められる領域内の電界を歪めかねない空間電荷効果を
最小化する。四極アセンブリ60、61及び61、62間の接合部7及び10は
それぞれ、空間電荷効果及びRF電界の歪みを最小化させて、個々の四極イオン
ガイド60、61、62及び複数四極イオンガイドアセンブリ8間のイオン伝送
効率を最大化するように構成される。
【0031】 図1に示す実施形態において、セグメント化された四極アセンブリ60、四極
アセンブリ61及び複数真空段四極アセンブリ62の入り口端部は、動作する背
景圧力が1×10-4トールより高い第2真空ポンプ段72の中に配置される。典
型的には1〜10ミリトールの範囲内で維持される、1×10-4より高い背景圧
力において、複数四極アセンブリの長さを横断するイオンは中性の背景気体と衝
突する。複数四極イオンガイドアセンブリ8の1つ以上の四極アセンブリは、質
量/電荷選択モードで動作可能である。質量/電荷選択動作は、RF及びDC電
位の組合せを印加し、十分な振幅における特定の共振周波数を適用して不要なイ
オンm/z値を拒否し、+/−DC傾斜又はこれらの技法の組合せを伴った又は
伴わないRF周波数又は振幅を傾斜させることによって実現することができる。
真空段72のより高圧の領域にある複数四極アセンブリ8のこれらの部分はまた
、m/z選択モードだけでなく、イオン伝達モード、イオントラッピングモード
、衝突誘導解離フラグメンテーションモード、又はこれらの個々の動作モードの
組合せで動作することが可能である。米国特許第5、652、427号及び第第
4、963、736号に述べられているように、APIMSシステム内でより高
い背景圧力で多極イオンガイドの部分を動作させることによって、イオン伝送効
率を改善することができる。m/z分析又はm/z選択動作モードにおいて、イ
オンが背景気体と衝突することによって、イオンが単一通過又は複数通過イオン
トラッピングモードで複数イオンガイドの長さを横断する際に、選択されたイオ
ンm/z軌道を半径方向及び軸方向へ減速させる。多極イオンガイド内により長
い時間存在するイオンは、より多くのRF周波数に曝される。この様にして、低
背景圧力単一通過非トラッピングモードで動作する従来型の方法による四極質量
分析器を用いて実現されるよりも高いm/z選択分解能が、より短い多極イオン
ガイド長に対して実現可能となる。多極イオンガイドをより高圧の背景気体内に
おいて質量選択モードで動作させることによって、真空ポンプ速度への要求がよ
り低減されたより小型の構成が可能となる。より小さな多極イオンガイドの構成
は駆動電子系のコストを低減し、より高圧での動作は真空システムのコストを低
減する。イオンの中性背景気体との衝突を回避する又は最小化するのに十分低く
保たれた背景圧力において動作する1つ以上の四極質量分析器を含む計器と比較
した場合、1部がより高い背景圧力領域内で構成されるセグメント化された多極
イオンガイドで構成された計器は、APIMSシステムの性能の向上をより低い
コストで達成することができる。
【0032】 図1の電気噴霧プローブ15は、25nl/分以下から1ml/分以上まで変
動するプローブの先端16に溶液の流速を適合させる。あるいは、図1に示す実
施形態は、大気圧化学イオン化(APCI)、誘導カップリングプラズマ(IC
P)、グロー放電(GD)発生源、1つの発生源内の複数プローブ、又は1つの
発生源内での異なるプローブの組合せで構成されるが、これだけに限定されない
。化学イオン化(CI)、電気イオン化(EI)、高速原子衝撃(FAB)、フ
ローFAB、レーザー脱離(LD)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(
MALDI)、熱噴霧(TS)及び粒子ビーム(PB)のようなしかしそれらに
限定されない、真空又は部分的真空中で動作するイオン発生源もまた、図1に示
すハイブリッド質量分析器の構成によって作ることができる。サンプル担持溶液
を、様々な液体送出システムを用いてESプローブ15内へ導入できる。液体送
出システムは、自動インジェクタを持つ又は持たない液体ポンプ、液体クロマト
グラフィ又は細管電気泳動等の分離システム、シリンジポンプ、圧力容器、重力
送り容器、又は溶液リザーバを含むがそれらに限定されない。ES発生源12は
、円筒形電極17、端プレート電極18及び細管入り口電極19に電位を印加す
ることによって動作する。逆流乾燥気体21は、ヒータ20を貫流するように方
向付けされて、端プレートの前金具24の開口22を通ってES発生源チャンバ
12に流入する。図1に示す真空室内へのオリフィス57は、入り口オリフィス
13を持つ誘電性細管23を通るボアである。誘電性細管23を通って真空室内
に押し流されるイオンの電位については、米国特許第4、542、293号の中
で述べられている。イオンは、それぞれ入り口及び出口電極の電位に大体等しい
電位で、誘電性細管に出入りする。誘電性細管23を用いることによって、動作
中に細管の入り口及び出口の端部に異なる電位を印加することが可能となる。こ
れによりAPI発生源が真空領域から効果的にデカップリングされて、双方の領
域の独立したチューニング最適化が物理的及び静電的に可能となる。正のイオン
を生成するためには、負のキロボルト電位が円筒形電極17、付属電極前金具2
4付き端プレート電極18、及び細管入り口電極19に印加される。ESプロー
ブ12は動作中接地電位に留まる。負のイオンを生成するためには、電極17、
18及び19の極性が、接地電位のままであるESプローブ12で反転される。
あるいは、ノズル又は導電(金属)細管が真空室内へのオリフィスとして用いら
れる場合は、キロボルト電位を、円筒形電極17に印加されるより低い電位を持
つESプローブ12、端プレート電極18、及び真空室内へのオリフィスに動作
中印加することが可能である。導電オリフィス又は細管があれば、入り口及び出
口の電位が等しくなるので、API発生源は真空領域の電位からもはやデカップ
リングされることはない。加熱された細管を、逆流乾燥気体を伴って又は伴わな
いで用いられる真空室へのオリフィスとして構成することができる。
【0033】 ES源チャンバ12中のエレメントに適切な電位を印加した状態で、電気噴霧
された充電済み小滴が、ESプローブ16の先端に送出された1つ以上の溶液か
ら生成される。ESプローブ先端16から出る溶液から電気噴霧された充電小滴
は、ESプローブ15並びにESチャンバ12の電極17、18及び19に印加
された相対的な電位によって形成された電場によって逆流乾燥用気体21に向け
て駆動される。噴霧容器対48は、サンプル導入用の第1の層チューブを囲む第
2の層の層のチューブを介して印加して、充電された液体小滴の形成に際しての
電気噴霧プロセスを支援することができる。小滴が蒸発するに連れて、イオンが
形成され、これらのイオンの1部が細管オリフィス57から真空中に押し流され
る。逆流乾燥用気体があるなしにせよ、加熱された細管が真空に至るオリフィス
としてヒーター25で構成されている場合、充電された小滴の蒸発とイオンの生
成は、充電小滴がが第1の真空ポンプ段71に向かって細管オリフィス57の全
長を横断する際に細管中で発生することがある。第1の真空段71に入るイオン
の1部はスキマーオリフィス27から第2の真空段72中に方向付けされる。
【0034】 大気圧イオン発生源12中のサンプル担持用液体から大気圧又はほぼ大気圧で
生成されるイオンは、中性背景気体によって搬送される誘電性細管チューブ23
から真空中に送出される。真空仕切53は、誘電性細管23を持った真空シール
を含んでいる。中性背景気体は、細管出口14から真空中に膨脹するに連れて超
音速噴流を形成し、混入したイオンを膨脹の際に複数回も衝突して押し流す。図
1に略図を示すハイブリッド質量分析器は、4つの真空ポンプ段構成されて、そ
の動作中に、目的とするイオンがAPI源から各真空段中を横断する際に背景中
性気体を除去する。API/MS計器の費用とサイズは、複数の真空ポンプ段で
構成し、各段が必要とするポンプ速度を最小化すれば減少させることができる。
一般的には、3つから4つ、場合によっては5つ以上のポンプ段がAPI/MS
計器中に用いられる。複数真空段(段同士間の)ターボ分子真空ポンプの開発に
よって、3段さらに4段からさえ成る真空システムでも、各段で満足すべき背景
圧力を達成するのに、たった1つの回転式ポンプと1つ又は2つのターボ分子ポ
ンプを必要とするだけである。ACモード又はRFだけモードで操作される複数
イオンガイドは、第2及び/又は第3の真空ポンプ段72及び73の中を効率的
にイオンを移送するためにAPI/MS計器中に構成されていた。図1に略図を
示す4真空ポンプ段式の実施形態では、回転式真空ポンプを用いて、ポンプポー
ト28から第1の真空段71を真空排気し、また、背景圧力は第1の真空段71
中では0.2〜2.5トールに維持される。自由噴流の1部が膨脹し、混入した
イオンがスキマーオリフィス27を通過して第2の真空ポンプ段72中に至る。
スキマー26は真空仕切52の1部を形成し、これによって、第1と第2の真空
ポンプ段71と72を分割している。第2の真空段72中の背景圧力は、第2の
真空段72中で用いられるスキマーオリフィス27のサイズと真空ポンプポート
29を介するポンプ速度とによって一般的には10-4から2x10-1トールの範
囲を取り得る。
【0035】 スキマーオリフィス27から第2の真空段72に入るイオンはセグメント化さ
れた多極イオンガイド8に入り、ここで、多極ロッドアセンブリから発生された
電場によって半径方向にトラップされる。セグメント化された多極イオンガイド
8の入り口領域9における局所的に高い圧力によって、イオンが多極イオンガイ
ド8の入り口端9のところの周縁フィールドを通過する際にそのイオンの軌道が
減衰する。入り口領域9におけるこの局所的に高い圧力領域によって、多極イオ
ンガイド8に入るイオンの捕獲効率が高くなる。動作安定性ウインドウ内にある
イオンのm/z値は、セグメント化された多極イオンガイド8のロッドによって
描かれた内部体積内に半径方向に閉じ込めらたままである。多極イオンガイド8
の第1のセグメントをRFだけモードで操作する場合、適切な相対的バイアス電
圧を第セグメントと第2セグメント間に印加すると、広い範囲のm/z値を効率
的に第2のイオンガイドセグメント中に伝達することができる。同様に、適切な
相対的バイアス電圧を第2、第3及び第4の多極イオンガイドセグメント間に印
加すると、第2の多極イオンガイドセグメントを横断するイオンは第4のセグメ
ント中に移動することができる。イオンは、セグメント化された多極イオンガイ
ド8の第4セグメントの全長を横断しながら、第3の真空ポンプ段73中に移動
する。第4の多極イオンガイドセグメントは中を通過できるが、真空仕切32と
は電気的に絶縁されている。この真空段73は真空ポンプポート30から真空排
気される。イオンはセグメント化された多極イオンガイドアセンブリ8を出口端
10から出て、静電レンズ33、34及び35を通って経過時間質量分析器40
のパルス化領域37中に移動する。レンズ33は、第3と第4の真空ポンプ段7
3と74間の真空仕切36の1部として構成されている。
【0036】 経過時間分析器40は第4の真空段74中に構成されており、この真空段はポ
ンプポート31から真空排気される。第4の真空段74は一般的には10-6から
10-7トールという低圧の真空圧力領域中に保持されている。TOFパルス化領
域37は静電レンズ41及び42と境界を接している。多極イオンガイド8を出
てTOFパルス化領域37中に移動するイオンは、TOF質量分析器中にパルス
化されることができるか又はレンズ54のオリフィス55を通ってパルス化領域
40中を通過し続けることができる。適切な電圧をレンズ54、チャネルトロン
(channeltron)検出器38、変換ダイノード39及びファラデーカ
ップ56に印加することによって、オリフィス55を通過するイオンを変換ダイ
ノード39に衝突するように又はファラデーカップ中に収集されるように方向付
けすることができる。図1に略図を示す質量分析器の実施形態では、TOFパル
ス化領域37に入るイオンは、TOF質量分析されるか、チャネルトロン(ch
anneltron)検出器38によって検出されるか、ファラデーカップ56
で検出されるかのどれかが可能である。レンズ41、42及び43がほぼ同じ電
位に設定されている場合には、イオンはTOFパルス化領域37中に入る。図1
に略図を示すTOF構成では、TOFフライトドリフト領域58は、適切な電圧
がレンズ60に印加されるとキロボルト電位に維持される。TOF動作中、正極
イオンに対しては負の電圧がレンズ60に印加され、負極イオンに対しては正電
圧が印加される。TOFドリフト領域58をキロボルト電位に維持した状態で、
グランド又はほぼグランド電圧値を、イオンがパルス化領域37に入るときにパ
ルス化レンズ41、42及び43に印加することができる。正イオンを、パルス
化レンズ41の電位をある正電圧を上げ、42をその正電圧のほぼ半分の値に上
げ、レンズ43をグランド電位のままに維持することによってTOFドリフト領
域56中にパルス化される。この正イオンはパルス化領域37から外に加速され
てTOFドリフト領域58の入り口49に至る。ドリフト領域58を横断するイ
オンの速度は、イオンが入り口ポイント51のところのイオン反射器50に入る
まで一定のままである。イオン反射器50に入るイオンは初期は減速され、次に
、ポイント45から始めて再加速されて、反射器をポイント44から脱出する。
再度、ドリフト領域58を横断するイオンの速度は、イオンがフライトチューブ
レンズ60グリッドをポイント46からするまで一定のままである。イオンは、
ポイント46から多チャネルプレート検出器47の表面上にまで事後加速され、
ここで検出される。負イオンはパルス化領域37からパルス化されて、電圧の極
性を逆転させることによって同様に検出器47の表面に方向付けされる。検出さ
れている最高のm/z値のイオンの経過時間によって制限されて、イオンは一般
的には最大で毎秒20,000回のパルス化速度でパルス化領域37からパルス
化される。検出された漫然質量スペクトルパルス化されたイオン信号を付加して
、ディスクに保存される毎秒100を越えるスペクトルを生成することができる
。検出器47からの信号は、アナログ/ディジタル(A/D)コンバータ又は時
間/ディジタルコンバータ(TDC)を用いてデータ獲得システムで記録するこ
とができる。経過時間質量分析器40は、パルス化領域37を横断するすべての
m/z値のイオンから成る完全質量スペクトルを検出する能力を有している。イ
オンをドリフト領域58中に直交パルス化する動作で開始されるTOF質量分析
は、結果として生じるイオン集団がパルス化領域37に入る以前に発生するいか
なるトラッピングステップ、非トラッピングステップ、質量選択ステップ又はイ
オンフラグメンテーションステップからもデカップリングされる。図1に略図を
示す実施形態を用いて、完全な質量スペクトルが、最大の分解能と感度で、また
必要とあれば、急速スペクトル獲得速度で発生される。
【0037】 パルス化領域37に送出されたイオン集団が、エネルギの軸ズレ成分を最小に
留めて適切に収束されたとすると、TOF質量分析器40の最適チューニングを
修正することなくパルス化領域37の上流での範囲の分岐機能を達成することが
できる。図1に略図を示すハイブリッド質量分析器の実施形態は、様々なMS及
びMS/MSn実験を様々な複数の技法を用いて実行することを可能とするよう な構成になっている。m/z選択とイオンフラグメンテーションと質量分析は、
図1に略図を示す実施形態を用いて逐次的に又は同時に組み合わせて実行するこ
とができる。少なくとも5つのタイプの衝突誘導されたイオンフラグメンテーシ
ョンを実行できる。それらは次の通りである: 1.細管中の高圧気体によるイオンのスキマー領域に対する加速、 2.トラッピング有る/無しの多極イオンガイドセグメント1、2又は4中で
の単一又は複数のイオン共振周波数による励起フラグメンテーション、 3.トラッピング有る/無しの多極イオンガイド8中での1つのセグメントか
ら別のセグメントへのイオン加速、 4.イオンガイド出口レンズ36と34から多極イオンガイド8中への高エネ
ルギイオン加速、 5.CIDフラグメンテーションが発生するまでイオンガイドセグメントを過
充填する。
【0038】 次の技法を含む少なくとも4つのタイプの単一又は複数のイオン質量/電荷値
選択技法を多極イオンガイド8と一緒に用いることができる: 1.所与のイオンガイドセグメント中でのトラッピング有る/無しの不要なイ
オンm/z値の共振周波数拒否、 2.AC又はDC電位をイオンガイドセグメントのロッドに印加することによ
る、トラッピング有る/無しのイオンm/z選択の達成、 3.RF振幅又は周波数をスキャニングして、トラッピング有る/無しのイオ
ンガイドセグメントからの不要なイオンm/z値の除去、 4.米国特許第5,689,111号に記載のトラップされたイオンのTOF
パルス化領域37中への放出の制御。
【0039】 m/z選択技法とフラグメンテーション技法の組合せを選択して、所与の分析
応用物の性能を最適化できる。技法を組み合わせて最適なMSまたはMS/MS n を達成する例をいくつか以下に説明する。 質量選択は、イオン質量/電荷選択又はCIDフラグメンテーションが実行さ
れている所与のセグメントに入ろうとする一次イオンビームをトラッピングして
入らないように遮断して実行することができる。電気噴霧イオン発生源12は連
続イオンビームを真空中に送出する。イオンをトラップして多極イオンガイド8
中に放出することによって、米国特許第5,689,111号に記載するように
、ES源12からの連続イオンビームを、非常に高いデューティサイクルで、パ
ルス化されたイオンビームに効果的に変換してTOFパルス化領域37中に放出
することができる。セグメント化された多極イオンガイド8は、トラッピングモ
ード又は非トラッピングモードですべてのセグメント又は選択されたセグメント
だけが操作される非トラッピングモード又はトラッピングモードで操作すること
ができる。セグメント化されたイオンガイド操作モードの特定の例を、MS、M
S/MS及びMS/MSn分析機能を達成するための手段として以下に説明する 。最も簡単な例では、セグメント化されたイオンガイド4を非セグメント化イオ
ンガイドとして、同じAC電位とDC電位を各極のすべてのセグメントに印加す
ることによって操作することができる。単一セグメントMS及びMS/MSn TOF操作シーケンスが米国特許出願第08/694,542号に記載されてい
るのでここでは繰り返さない。その代わりに、複数セグメント式のイオンガイド
を用いる技法を説明する。
【0040】 MS TOF機能 イオンフラグメンテーション有る/無しのMS実験を実行することを考える。
ある特定の範囲のイオン質量/電荷が目的である場合、1つ以上の多極イオンガ
イドセグメントをm/z選択モードで操作することができる。TOFパルス化領
域37を入るイオンのm/z電荷範囲を狭隘化すると、トラッピングモードと非
トラッピングモードにおけるデューティサイクルとTOFシステムの性能を向上
させることができる。TOFドリフト領域58中にパルス化されるm/z値の範
囲を狭隘化すると、非トラッピングイオンガイド操作時のTOFパルス速度とデ
ューティサイクルを増加させることができる。広い範囲のイオンm/z値をTO
Fドリフト範囲58中にパルス化すると、パルス速度は最も重いイオンのm/z
の経過時間によって制限される。次のTOFパルスは、前のパルスからのすべて
のイオンが検出器47に衝突する前に発生すると、この前のパルスからのイオン
は次のパルスが獲得される間に到達し、これによって、質量スペクトル中の化学
ノイズが獲得される。TOFドリフト領域58に入るm/zイオンの範囲を制限
することによって、隣接したパルスからの化学ノイズの影響を解消しながらも最
大TOFパルス速度を設定することができる。不要のイオンm/z値がTOFド
リフト領域58中に入ることを防止することによってもまた、目的とするこれら
のイオンm/z値に対する検出器の反応をより効果的なものとすることができる
。イオンが多チャネルプレート検出器のチャネルに衝突すると、そのチャネルは
その電荷空乏からのある回復のための時間を必要とする。この電荷空乏回復時間
は1ミリ秒という長い期間になることがあり、この間に、このチャネルに衝突す
るいかなるイオンも検出されず、または、二次電子の発生量が減少したりする。
例えば、低いm/z値にある強い溶剤ピーク信号からのイオンの到達は特定の分
析実験では目的ではなくて、同じパルス中のより高いm/z値のイオンの到達に
先立つTOFの各パルス中のかなりの数の検出器チャネルを鈍化させる。溶剤ピ
ークm/zイオンが検出器に衝突すると、次に到達するイオンからの完全信号を
減少させることがある。TOFパルス化を実行してフライトチューブドリフト領
域56中にパルス化されるイオン集団を所与の応用にとって分析上の関心事であ
るようなm/z値にだけ制限する以前に、不要なm/z値イオンを多極イオンガ
イドから拒否すると、TOF感度、検出器反応の一貫性及び検出器寿命を改善す
る助けとなる。
【0041】 非トラッピング又はトラッピングの質量/電荷選択は、多極イオンガイドセグ
メント1、2又は4中で実行できる。TOFパルス化領域37に入るイオンのm
/z範囲を300〜500m/zの範囲に制限することが望ましい例を考える。
これは多くの方法で達成可能であるが、その内のいくつかを以下に説明する。 1.多極イオンガイドアセンブリ1を非トラッピングRFだけモードで操作し
て、適切なDC又はAC振幅を印加することによって300m/zという低質量
遮断値でセグメント2を操作し、セグメント3が非トラッピングRFだけモード
で操作され、m/z値のm/z安定性ウインドウを500m/z未満に維持しな
がらも、セグメント4を複数共振周波数を拒否して500m/zという高質量遮
断値でトラッピングモードで操作する。イオンはセグメント4中にトラップされ
、レンズ33又はレンズ33及び34の組合せでイオンをゲーティングすること
によって、又はイオンガイドオフセット電位の値をスイッチングすることによっ
てTOFパルス化領域37中に放出される。このようなイオンのトラッピングと
放出技法は米国特許代5,689,111号に記載されている。セグメント4中
にトラップされたイオンは、適切な相対的オフセット電位をセグメント2と3の
極に印加することによってセグメント2中に戻ることを防止される。このように
して、500を越えるm/z値と300未満のm/z値を有するセグメント化さ
れた多極イオンガイド8中を移動するイオンは、TOFパルス化領域37に入る
以前に拒否される。
【0042】 2.多極イオンガイドセグメント1が非トラッピングRFだけモードで操作し
て、セグメント2中へのイオン伝送を最大化する。RFとDCの振幅値がセグメ
ント2に印加されて、約300〜500のm/z範囲を送出する。セグメント4
がRFだけトラップ/放出モードでで操作されるが、この場合、イオンゲートの
放出とTOFパルス遅延タイミングが、10,000Hzという速度でパルス化
して、TOFドリフト領域58中に300〜500の範囲のm/z値をパルス化
するように設定される。
【0043】 3.多極イオンガイドセグメント1を非トラッピングRFだけモードで操作し
て、セグメント2中に対するイオン伝送を最大化する。有る範囲の共振周波数を
セグメント1のRFに追加し、これによって、約m/z500を越えるイオンと
m/z300未満のイオンを拒否する。10,000Hzという速度でパルス化
して、セグメント4をRFだけトラップ/放出モードで操作する。
【0044】 多極イオンガイドセグメントの操作法を上記とは別様に組み合わせて実行して
、TOFドリフト領域58中への所望のm/z範囲の値を放出することができる
。分析的目的に基づいて、各多極イオンガイドセグメントでm/zの選択又はフ
ラグメンテーションのどちらを選ぶかは、性能、特にイオン伝送効率を最大化す
るように実行すべきである。四極で質量選択を達成するためにRFとDCを印加
すると、実効入射許容アパーチュアを減少させて、目的とするm/z値に対する
イオン伝送効率を劣化させかねない。質量/電荷選択を、不要イオンを共振周波
数拒否して達成可能である場合、四極は、実効セグメント入射許容領域が減少し
ないように実質的にRFだけモードで動作する。不要イオンの共振周波数拒否に
よる質量/電荷選択はまた、判明な複数のイオンm/z値の選択を可能とするが
、この場合、選択されたイオンm/z値同士間のイオンm/z値が拒否される。
狭隘なm/zの選択、例えば上記の200m/zではなくMS/MS実験用の1
m/z単位幅の選択が望まれる場合、最高の伝送効率を生じるm/z選択技法が
選択される。より高い分解能m/z選択を達成するための共振周波数拒否技法又
はトラッピング有りのRF技法とDCm/z選択技法の組合せ技法を一様に又は
組み合わせて、多極イオンガイド8の単一又は複数のセグメントに適用すること
ができる。m/z選択中にイオントラッピングを実行することによって、所与の
セグメント中のイオン集団に、隣接するセグメントに放出される前により多くの
RFサイクルを経験させ、これによって、m/z選択分解能を効果的に増加させ
ることができる。第2の真空段72中の背景衝突中性気体圧力とのイオンの衝突
は、イオンギア度安定性ウインドウに収まるイオンに対してセグメント1から4
中で安定した軌道を維持する支援となる。所与のセグメント中でのイオンをトラ
ッピングによって、セグメントの極に印加された電圧によって設定された安定性
ウインドウから外れるイオンを、イオンの中性気体に対する衝突が存在する場合
でさえも多極イオンガイドから拒否する時間を許容する 多極イオンガイド8の各セグメントに対して様々なRF周波数を設定できると
はいえ、同じRF周波数をセグメント1から4に印加すると、セグメント同士間
の周縁フィールドが最小化され、1つのセグメントから隣のセグメントに対する
イオン伝達の効率が最大化される。同じRF周波数をすべてのセグメントに印加
すると、安定性範囲に収まるイオンm/z値は1つの多極イオンガイドセグメン
トから次の多極イオンガイドセグメントに自由に移動できる。RF振幅は各イオ
ンガイドセグメントに対して別々の値に設定し、これによって、有る範囲の分析
機能を達成してもよい。しかしながら、電子系の費用の削減は、同じRF周波数
と振幅を各イオンガイドセグメントに印加した場合に達成可能である。システム
経費と性能フレキシビリティとのトレードオフは、特定の分析応用物の要件に基
づいて決定することができる。最もフレキシブルな実施形態では、多極イオンガ
イド8の各セグメントは、各セグメントの極に接続された自分自身の独立制御式
のDC源、RF源及び共振周波数源を有している。RF周波数、振幅、オフセッ
トDC振幅、+/−DC振幅並びに共振周波数の振幅及び周波数スペクトルを独
立に制御することによって広い範囲の分析機能を達成することができる。ランダ
ム波形発生器によって独立に設定された振幅成分と周波数成分を用いて、単一の
又は複合したAC波形を所与のセグメントの極に印加し、これによって、ある範
囲の、同時又は逐次的な質量/電荷選択機能及び/又はCIDフラグメンテーシ
ョン分析機能を達成できる。最小限度、各多極イオンガイドセグメントは、所与
のセグメントに対するDCオフセット値を分析シーケンス中に迅速にスイッチン
グできる独立した1つ以上のDCオフセット源を有する。
【0045】 検出器55を持つ変換ダイノード39は、パルス化領域37を横断し、TOF
ドリフト領域58中にはパルス化されていないイオンを検出するように構成され
てきた。セグメント化された多極イオンガイド8のセグメント2又は4は、イオ
ンが検出器55で検出される非トラッピング質量/電荷選択スキャンモードで操
作することができる。代替例としては、イオンは、セグメント4を質量/電荷ス
キャニングしている間にセグメント2中における共振周波数励起によってフラグ
メンテーションすることができる。セグメント4から出るイオンは、TOFパル
ス化領域37を通過し、さらにレンズ54のアパーチュア55を通り、ここで、
検出器38で検出される。代替例として、イオンはファラデーカップ56を用い
て検出できる。検出器38とファラデーカップ56を診断ツールとして又はある
種の分析応用物中で用いることができる。TOFを完全質路油スペクトル検出器
として用いると、多極イオンガイド8のセグメントによるスキャニングモードを
利用する分析技法より高い分析的デューティサイクル、したがって、より高い感
度を生じる。 MS/MSnTOF機能 図1に略図を示す質量分析器の実施形態は4セグメント式の多極イオンガイド
を備えるが、ここで、セグメント1、2及び3並びにセグメント4の入り口は第
2の真空ポンプ段72中に位置している。スキマーオリフィス27のサイズと真
空ポート29を介する真空ポンプ速度を適切に設定することによって、第2の真
空段72中の背景圧力を、真空ポンプ速度がかなりの値で、1x10-4ミリトー
ルと500ミリトールの間に維持することが可能である。以下に述べる動作シー
ケンスの内の多くのシーケンスの場合、背景圧力は、イオンがガイドの全長を横
断すると、イオンと背景気体間で複数の衝突が発生するが、平均自由経路は、実
験的に有用な時間フレーム内で交流及び直流又は共振周波数拒否があるイオンm
/z選択式の多極イオンガイド8からイオンが拒否され得るように十分長い値と
なっている。最適な背景圧力は、極同士間間隔及び個々のセグメント長を含む多
極イオンガイド形状並びに計器に対して要求されるMS/MSn機能の範囲の関 数となる。検討の都合上、第2の真空段72中の背景圧力が1〜10ミリトール
間に維持されるものと考える。1〜10ミリトールという圧力は、3次元四極ト
ラップ中と、三重四極の多極イオンガイド衝突セル中と、で見受けられる一般的
に動作圧力である。3次元イオントラップ中の背景気体は一般的にはヘリウムで
あり、三重四極の衝突セル中に導入される背景気体は一般的にはアルゴンである
。第2の真空段72中の背景気体はES源12からの逆流乾燥用気体21の組成
物となる。これは一般的には窒素である。第2の真空段2中のこの背景気体の組
成はMS動作中の全時点で制御されて完全に一様に維持することができる。細管
オリフィス57を通る絞られた気体の流束がMS動作中は一貫した状態となるよ
うに、ES源12大気圧チャンバ中の圧力はほぼ大気圧に維持され細管ボア57
中の温度はMS動作中は定常状態にある。図1に略図を示す実施形態においては
、スキマーオリフィス27は一般的には、通常の衝撃の無感の上流の超音速自由
噴流ゾーンの内側に位置する。その結果、第2の真空段72中への気体の流束は
、MS動作中の時間にわたって一貫している。第2の真空段72中の背景圧力の
一貫性は主として、真空ポート29を介しての真空ポンプ速度の一貫性によって
決定される。第2の段72を真空排気するためにターボ分子真空ポンプを用いる
ことによって、長期にわたって一貫したポンプ速度が提供される。ターボ分子ポ
ンプRPMを監視する機能によって、ポンプ速度の一貫性を、真空ゲージを読み
取ることとポンプ速度を検証することの双方によって監視することができる。第
2の真空段72中の中性背景気体の組成と圧力が一貫していることによって、一
貫した再現性のある結果が、広い範囲の実験実行シーケンスにわたって得ること
ができる。
【0046】 第2の真空段72中に背景圧力が存在することによって、イオンはCIDプロ
セスによってイオンフラグメンテーション実行に用いるに十分高いが、m/z選
択性能又はイオン伝送効率が犠牲になるほどには高くない。図1に略図を示すT
OF質量分析と組み合わされたセグメント化された多極イオンガイド8は、三重
四極のすべてのMS及びMS/MS機能並びに3次元イオントラップのすべての
MS/MSn機能シーケンスの実行を可能とし、また、三重四極でも3次元四極 イオントラップでも不可能ないくつかのMS及びMS/MSn機能を実行するこ とができる。図1に示す実施形態は、市販の三重四極とイオントラップ質量分光
計から個別に利用可能な広い範囲にわたる質量分析分析的機能を実行できるハイ
ブリッド質量分析器である。図1に略図を示すハイブリッドTOF実施形態で実
行可能な1部のMS/MSn機能の例を以下に説明する。 MS/MSハイブリッドTOF機能 CIDフラグメンテーションを実行するためにRFだけ衝突セルに対するDC
イオン加速を実行する三重四極では4つの主要なMS/MS動作モードが用いら
れる。これらの4つのモードには次のものがある: 1.四極3をスキャニングする一方で、選択されたm/z範囲を四極1に伝送
し、選択イオンをRFだけ衝突セル中にフラグメント化するモード、 2.四極1と3が固定したm/zオフセット値で同時にスキャニングされる、
中性損失スキャニングモード、 3.四極3スキャニングしながら四極1をスキャニングして、選択されたm/
z範囲を通過させるモード、 4.四極1と3の双方を設定して、選択されたフラグメンテーションイベント
を監視するためのスキャニングを実行することなく、様々なm/z値を通過させ
るモード。
【0047】 図1に示すハイブリッドTOFの実施形態は、上記の4つすべてのタイプの三
重四極動作モードに対して高い感度と分解能で完全なスペクトルフラグメントイ
オンデータを生成する。最初に、三重四極の内の第1の四極中で固定したm/z
範囲選択と第3の四極のm/zスキャニングとでMS/MSデータを達成するた
めのセグメント化されたイオンガイドTOF動作シーケンスを以下に説明する。
完全なTOF質量スペクトルはフラグメントイオン上で獲得されるので、同一の
セグメント化されたイオンガイドTOF MS/MS動作シーケンスで、上記の
三重四極動作モード1と4に対応することができる。
【0048】 MS/MS分析には、質量/電荷選択を実行するステップ1と、選択m/zイ
オンをフラグメンテーションするステップ2と、第1の発生フラグメント又は生
成イオンの質量分析を実行するステップ3と、を必要とする。任意のMS/MS
シーケンス中の質量/電荷分析ステップは、TOF質量分析器40で実行される
。質量/電荷選択ステップとイオンフラグメンテーションするステップは、必要
に応じて、スキマー領域に至る細管中で実行される追加のイオンフラグメンテー
ションによって、セグメント化された多極イオンガイド8中で実行される。MS
/MS実験シーケンスを実行することができるが、その結果、三重四極MS/M
S実験で発生したものと類似のフラグメントイオンが発生する。代替例として、
別の実験シーケンスを用いると、その結果、イオントラップMS/MS実験で生
成されたものと類似のフラグメントイオンの集団が得られることがある。最初に
、1つの親イオン種が第1の四極を用いて選択され、選択されたm/z範囲のイ
オンが三重四極衝突セル中でのCIDによってフラグメント化され、第3の四極
をスキャニングして第1の発生フラグメントイオンを検出するような三重四極M
S/MS実験を考える。第3の四極を効果的に交換して、TOF質量分析器40
が図1に示す実施形態でかなり高いデューティサイクルで用いられて、生成され
た第1の発生フラグメントイオンの完全なスペクトルを同時に検出する。初期イ
オン質量/電荷選択ステップとフラグメンテーションステップは、次の技法を用
いて、セグメント化されたイオンガイド8中で実行される。
【0049】 1.セグメント1をRFだけ非トラッピング/非質量選択モード(共振周波数
励起はない)で操作して、広いm/z範囲のイオンを通過させる。セグメント1
はセグメント2に印加されるものと同じRF振幅と周波数を有している。 2.選択されたm/z範囲のイオンに対してほぼマシュー安定性で操作される
セグメント2に対してRF電圧とDC電圧が印加される。マシュー安定性領域外
の質量/電荷値を持つイオンは、セグメント2の全長を横断する際に拒否される
。セグメント1と2に印加されるDCオフセット電位によってイオンはセグメン
ト1からセグメント2中に移動して、イオンの伝送は最大となるがフラグメンテ
ーションはない。
【0050】 3.多極イオンガイド8のセグメント3と4を、セグメント1と2のものと等
しいRF周波数でRFだけモードで操作される。セグメント3と4に印加される
RF振幅は、生成イオンのm/z範囲によってセグメント1と2のそれと整合し
たりしなかったりすることがある。セグメント2、3及び4間に印加されるDC
オフセット電位は、十分なエネルギでイオンをセグメント2からセグメント3を
介してセグメント4中に加速し、これによって、セグメント2で選択されたイオ
ン種のCIDフラグメンテーションを引き起こす。セグメント3中と、セグメン
ト4の入り口端62中と、の背景圧力(この例では1〜10ミリトール)は、初
期には衝突気体として働き、次に、セグメント4を横断する親イオンとフラグメ
ントイオンの集団に対するイオンの機械的エネルギ減衰気体として働く。出口レ
ンズ33に印加される電位は、セグメント4からイオンをトラップして開放する
働きをする。セグメント4から開放されたりゲーティングされたりするトラップ
されたイオンはTOFパルス化領域37中に入り、ここで、TOFドリフト領域
58中にパルス化されて質量/電荷分析される。セグメント4でイオンがトラッ
プされることによって、イオンは、ゲーティングアウトされる前にイオンガイド
セグメント4中を前後に何回も往復する。トラップされたイオンは、セグメント
4の入り口端62に向かって戻る際に、イオンの機械的エネルギが衝突減衰する
入り口端62中の高圧背景気体を通過する。セグメント4中へ高イオンエネルギ
加速してCIDフラグメンテーションする場合でさえも、結果として生じるフラ
グメントイオン機械的エネルギの拡散を減衰させて、熱エネルギ拡散に近いセグ
メント4中に単一エネルギイオン集団を生成するができる。セグメント4を横断
するイオンの平均機械的エネルギは、セグメント4の極に印加されるDCオフセ
ット電位によって決定される。
【0051】 フラグメントイオンの質量選択、DC加速CIDフラグメンテーション及びT
OF質量分析のこのシーケンスは、三重四極質量分析器上で実行されるMS/M
S実験と類似の結果を生じる。図1に示すハイブリッドTOF実施形態は、スキ
ャニングすることなく完全なフラグメントイオンスペクトルを獲得し、また、セ
グメント同士間になんら静電レンズエレメントを持たないセグメント化された多
極イオンガイドで構成される。この実施形態によって、三重四極動作に比較して
高い分解能と質量精度性能を持つより高い感度のMS/MS実験シーケンスがも
たらされる。親イオンのCIDは、イオンをRFだけ衝突セル中にDC加速する
ことによって、ハイブリッドTOF四極中と三重四極中の双方で達成される。セ
グメント1と2中でのイオンの機械的エネルギの衝突減衰のために、親イオンビ
ームのイオンエネルギは、セグメント2のDCオフセット電位によって決定され
る。これで、イオン衝突エネルギは、セグメント2、3及び4に印加される相対
的なDCオフセット電位によって設定される。出口端11からイオンガイドセグ
メント4を脱出するイオンが、TOFパルス化領域37中に移動する際に背景気
体とさらなる衝突を経験しないように、第3の真空段73中の背景圧力は10-5 トール以下の圧力に維持される。この領域中でのイオン分子衝突によって、TO
Fパルス化領域37中に伝達されているイオンビームが散乱して収束ズレして、
TOF性能を劣化させる。セグメント4の極は第2の真空段72の高い背景圧力
から第3の真空段73中に連続的に延長している。セグメント4を横断する安定
軌道のイオンは、非常に高い効率で、高位から低位の背景圧力に、そして、逆方
向では低位から高位の背景圧力に伝達される。安定軌道のイオンは、同士間での
イオン損失がほとんど又は全くなく、上記のMS/MSシーケンス中のセグメン
ト化されたイオンガイド8の4つのセグメント中を伝達される。
【0052】 代替例としては、同じMS/MS機能を、セグメント1で質量/電荷選択する
ことと、選択されたイオンをセグメント1からセグメント2へのCD加速によっ
てフラグメンテーションすることと、フラグメントイオンをセグメント4に送り
、ここでトラップさせてTOFパルス化領域37中にゲーティングさせることと
、によって達成することができる。セグメント4もまた、TOFパルス化領域3
7に行く途中で一回通過するセグメント4をイオンが横断する非トラッピングモ
ードで操作することができる。第2の代替例では、適切なDCオフセット電位を
設定することによって、選択されたm/zイオンがセグメント3を通ってセグメ
ント4中に加速される質量選択モードでセグメント1と2を操作する。第2の技
法を用いて、CIDフラグメンテーションに先立ってセグメント1又は2中で質
量/電荷選択を達成することができる。1つ以上の離散m/z範囲の質量選択は
、共振周波数のスペクトルを適用して、選択されたm/z値のイオンを保持しな
がらもセグメント1及び/又は2から不要のイオンのm/z値を拒否することに
よって達成することができる。RF周波数、DC周波数及び共振周波数を組み合
わせて、イオン噴出をセグメント1と2中で構成して、1つのイオンガイドセグ
メントから別のイオンガイドセグメントへのイオンのDC加速からのCIDイオ
ンフラグメンテーションに先だってm/z範囲選択を達成することができる。
【0053】 セグメント1と2はまた、m/z分離中にイオントラッピングモードで操作す
ることができる。この技法は以下に述べるようにMS/MSn実験シーケンスで 用いることができるが、MS/MSシーケンスでも使用できる。セグメント2で
イオントラッピングを達成するには、セグメント3に印加されるDCオフセット
電位をセグメント2に印加されるDCオフセット電位に対して上昇させる。セグ
メント3のこのDCオフセット電位はパルス化して低電位にして、セグメント2
からのイオンをセグメント3中にゲーティングすることができる。セグメント3
は非トラッピングで操作してもよいしトラッピングモードで操作してもよい。ト
ラッピングモードでは、イオンは、イオンがTOFパルス化領域37中にゲーテ
ィングされる速度とは無関係な速度でセグメント4中にゲーティングすることが
できる。セグメント4中でのイオン常駐時間は、セグメント4中へのイオンのゲ
ーティングの脈動特徴を減衰させるように働くことがある。セグメント2中にお
けるイオンのトラッピングによって、イオンは、2回以上通過するイオンガイド
セグメント4の全長を横断する。複数回通過のセグメント2を横断するイオンは
より多くのRFサイクルを経験し、したがってより高いm/z選択分解能を、セ
グメント2からのイオン噴出を遅延させる傾向があるより高い背景圧力の存在下
においても達成することができる。同様に、イオンのトラッピングとm/z選択
は、セグメント2のDCオフセット電位をセグメント1の極に印加されるオフセ
ット電位を越える値に上げることによって、セグメント1中で達成することがで
きる。セグメント1のこのDCオフセットは、セグメント2に印加されるDCオ
フセット電位を追随し、これによって、イオントラッピングサイクル中にイオン
がセグメント2と4間を移動することを効果的に防止する。
【0054】 セグメント化されたイオンガイドTOF操作は、第1の四極がデータ獲得中に
スキャニングされる中性損失スキャンなどの三重四極MS/MS動作モードをシ
ミュレートするように構成することができる。セグメント化されたイオンガイド
TOF動作シーケンスにおいては、フラグメントイオンの完全なTOFスペクト
ルが獲得されるが、このスペクトルに基づいて、再構成イオンクロマトグラフ(
RIC)を、三重四極のような中性損失タイプのMS/MSデータに整合するよ
うに発生させることができる。この中性損失データのスーパー集合を達成するに
は、図1に示すTOF実施形態であるハイブリッドのセグメント化されたイオン
ガイドを次にように動作するように構成することができる: 1.CIDフラグメンテーション無しで低エネルギでイオンをセグメント2中
に移動することを可能とするDCオフセット電位を印加した状態で非トラッピン
グRFだけモードでセグメント1が操作される。
【0055】 2.RF電位及びDC電位、共振周波数励起電位又は双方の組合せを印加して
非トラッピングイオンm/z選択モードでセグメント2が操作される。三重四極
質量分析器の第1の四極のスキャニングをシミュレートするために、所望のm/
z範囲がカバーされるまで、セグメント2のm/z選択ウインドウを新しい値に
周期的に停止させる。セグメント1中でのこのm/zウインドウのステッピング
は、任意の第1の発生娘イオンスペクトルの親イオン質量範囲が分かるように、
TOFスペクトル獲得と同期を取る。
【0056】 3.セグメント3がトラッピングRFだけモードで操作される。DCオフセッ
ト電位がセグメント2、3及び4に印加され、これによって、セグメント4中で
所望の分量のCIDイオンをフラグメンテーションさせるに十分なエネルギで、
イオンをセグメント2からセグメント4中に加速する。セグメント4からTOF
パルス化領域37中にゲーティングされたイオンはTOFドリフト領域58中に
パルス化され、その質量が分析される。 400〜800の親質量/電荷範囲にわたる中性損失スキャニングを考える。
親m/zウインドウの幅が4m/zであると、セグメント2によって選択された
m/zウインドウは、400〜800というこのm/z範囲をカバーするために
は100ステップでカバーする必要がある。TOF質量分析器を、メモリーに保
存されている各質量スペクトル毎に1,000発のパルスを付加して毎秒10,
000回という速度でパルス化すると、毎秒10個の質量スペクトルが記録され
る。これらのTOFデータ獲得条件下では、シミュレートされた中性損失を完全
にスキャニングするには10秒かかる。TOFスペクトルが毎秒40スペクトル
の速度で獲得された場合、シミュレート済み中性損失を完全にスキャニングする
毎に似必要な獲得合計時間は2.5秒であって、三重四極中性損失スキャンで用
いられる一般的なスキャニング速度に近づく。上記の操作技法データとして獲得
されるTOF完全スペクトルデータには、三重四極中性損失スキャンからの合成
された情報より以上の分析情報又は第1の四極を固定した第3の四極m/z範囲
選択でスキャニングした場合以上の分析情報が含まれている。したがって、いず
れかの三重四極実験を、上記のセグメント化されたイオンガイドTOF操作シー
ケンスでシミュレートすることができる。上記のシーケンスの変動を用いて、同
じ目的を達成することができる。例えば、m/z範囲選択を、トラッピングモー
ド又は非トラッピングモードでセグメント1又はセグメント1と2中で実行する
ことができる。セグメント4はトラッピングモードか非トラッピングモードで実
行可能である。トラッピングモードでは、レンズ33に印加されるトラッピング
電圧は、セグメント1又は2におけるm/z範囲をスイッチングすると、低く保
つことができる。すると、前のm/zウインドウからのトラップ済みイオンによ
ってトラップが明瞭となる。m/z範囲選択の後で些少な遅延時間を追加して、
セグメント4のトラップを、TOFパルス化に先立って充填することができる。
【0057】 上記のシミュレート済み三重四極中性損失スキャン動作モードにおいては、D
Cイオン加速を用いてCID第1発生イオンフラグメンテーションを達成する。
代替例として、共振周波数励起CIDフラグメンテーションを端極イオンガイド
セグメント1から4で又はDCイオン加速と共振周波数励起を組み合わせて用い
ることができる。どのフラグメンテーション技法が好ましいかは、所望の分析情
報によって異なる。共振周波数励起を用いると、内部エネルギを非選択m/z値
に追加することなく、選択されたイオン、特にフラグメント生成イオンをフラグ
メンテーションすることができる。DCイオン加速CIDを使用している場合、
生成されたフラグメントイオンの内部エネルギを含む加速されたすべてのイオン
の内部エネルギが増加する。共振周波数励起には、フラグメンテーションエネル
ギを増そうとすると、共振周波数の振幅が増加するという欠点がある。励起され
ているイオンを包含するには、RF振幅をそれに比例して増加させなければなら
ず、このため、低m/zカットオフが増す。一般的には、MS/MSモードでイ
オントラップを操作している場合、m/zスケールの底部1/3以上を拒否して
、親イオン又は目的とするイオンに対する十分な共振周波数励起フラグメンテー
ションを達成させる。DCイオン加速と共振周波数励起の双方を同時に又は逐次
的に組み合わせて、最適なMS/MS又はMS/MSn性能を達成することがで きる。その結果、図1に略図を示すハイブリッドセグメント化済みイオンガイド
TOF実施形態を、三重四極とイオントラップMS/MSnのすべての機能を達 成し、三重四極やイオントラップでは不可能な追加の実験を実行するように構成
することができる。 連続的一次イオンビームを用いるMS/MSnハイブリッドTOF機能 図1に示すハイブリッドTOFの実施形態を用いれば広い範囲のMS/MSn 機能を実現できる。特定のMS/MSn機能の実現に要する動作シーケンスの説 明を簡潔にするために、用いられる技法を2つのグループに分けることができる
。1つは、イオン発生源から生成される連続的な一次イオンビームのカットオフ
を必要とするグループであり、もう1つは、動作中に一次イオンビームの遮断を
必要としないグループである。連続イオンビームを電気イオン発生源12から受
入れる第1のMS/MSn技法のいくつかを以下に説明する。
【0058】 図1に示す実施形態においてMS/MS2実験の運転を考えてみる。最も簡単 な機能的シーケンスは、DC加速イオンフラグメンテーションがセグメント1及
び2の間で起こる上述のMS/MSの場合の延長である。具体的にはセグメント
化された多極イオンガイドTOFハイブリッドは次のモードで動作する。 1.セグメント1は質量/電荷選択モードで動作する。選択された質量/電荷
イオンはセグメント1及び2間に印加される十分なDCオフセット電位で加速さ
れてセグメント2に入り、m/z選択イオンのCIDフラグメンテーションを引
き起こす。
【0059】 2.セグメント2は、1つ以上の第1の発生生成イオンが選択される質量/電 荷選択モードで動作する。m/z選択イオンはそれから、適切な相対DCオフセ
ット電位をセグメント2、3に印加することにより加速されてセグメント3を通
ってセグメント4に入り、選択された第1の発生フラグメントイオンのCIDフ
ラグメンテーションを引き起こす。
【0060】 3.セグメント4はRFだけのトラッピングモードで動作し、そこからイオン はゲーティングされてTOFパルス化領域37に入る。第2の発生フラグメント
のイオンは引き続いてパルス化されてTOFドリフト領域60に入り、質量/電
荷分析される。 セグメント1及び2のイオン質量/電荷選択動作には、AC及びDC質量フィ
ルタリング、不要なm/zイオンの共振周波数の拒否、又は上記の両者の組合せ
を用いることが可能である。イオンフラグメンテーションは、セグメント2及び
4内のDCイオン加速フラグメンテーションの代りに又はそれとともに共振周波
数励起を用いることによって実現できる。共振周波数励起はセグメント2内のイ
オンm/z選択と同時に起こり得る。適切な相対的DCオフセット電位をセグメ
ント2の極に印加することにより、セグメント2は代替的にトラッピングモード
で動作可能となって、セグメント2内にイオンをトラップし、又はセグメント2
からイオンを放出してセグメント4に入れる。全てのMS/MSn実験において 、スキマーへ至る細管の相対的電位を上昇させ、一次イオンビーム内のイオンの
内部エネルギーを増大させて、セグメント化されたイオンガイド8内のイオンの
フラグメンテーションを促進することができる。
【0061】 あるいは、次のモードでセグメント化された多極イオンガイド8を動作させて
、DCイオン加速と共振周波数励起イオンフラグメンテーションの技法とを組合
わせることによって、MS/MS2を実現することも可能である。 1.セグメント1はRFだけイオン通過モードで動作する。イオンは、フラグ
メンテーションを引き起こさずに低エネルギーで、セグメント1からセグメント
2へ進む。
【0062】 2.セグメント2は質量/電荷選択モードで動作し、イオンは十分なエネルギ
ーで加速されてセグメント1からセグメント3を通ってセグメント4に入り、m
/z選択イオンのCIDフラグメンテーションを引き起こす。 3.セグメント4は、m/z選択モード、及び選択第1発生イオンの共振周波
数励起フラグメンテーションモードで動作する。第2発生フラグメント又は生成
イオンはTOFパルス化領域37内にゲーティングされて、実質的にTOF質量
分析される。
【0063】 米国特許出願第08/694、542号に説明されている技法を用いることに
よって、疑似MS/MSn実験を連続的な入来イオンビームを伴って実現するこ とができる。説明されている方法においては、真のm/z選択はイオンフラグメ
ンテーションに先立って起こることはない。代りに、2つのスペクトルが連続的
に獲得される。第1は、親イオン又はフラグメントイオンの組合せを持つスペク
トルであり、第2は、次の発生フラグメントイオンを持つスペクトルである。獲
得された第1TOF質量スペクトルは第2のスペクトルから差引かれて、スペク
トルにMS/MSnフラグメントを与える。この技法は、多極コンポーネント共 振周波数励起CIDフラグメンテーションを必要とする。この技法を用いること
によって、MS/MS4実験を以下のように実施することができる。質量スペク
トル1は、次のようなセグメント化されたイオンガイドの動作条件で獲得される
【0064】 1.セグメント1は質量/電荷選択モードで動作する。その結果イオン集団は
十分なエネルギーで加速されてセグメント2に入射し、CIDフラグメンテーシ
ョンを引き起こす。 2.2コンポーネント共振周波数励起がセグメント2の極に適用されて、選択
された第2及び第3の発生イオンのCIDフラグメンテーションを誘導する。生
成イオンはセグメント3を通って更なるフラグメンテーション無しにセグメント
4に至る。
【0065】 3.セグメント3はトラッピング又は非トラッピングRFだけモードで動作し
て、イオンはTOFパルス化領域37に入射する。イオンは引き続きパルス化さ
れてTOF質量分析器40のドリフト領域58に入り、質量/電荷分析される。 第2TOF質量スペクトルは、セグメント2に印加される3コンポーネント共
振周波数励起とともに、又はセグメント4の極に印加される単一共振周波数励起
とともに発生する。獲得される第1質量スペクトルは第2質量スペクトルから差
引かれて、その結果第4の発生フラグメント又は生成イオン及びそれらの特定の
親イオンを含む質量スペクトルが得られる。
【0066】 代りに、具体的な分析の適用によって決まる連続的又は非連続的一次イオンビ
ームを用いるMS/MSn質量分析の技法を用いることができる。この方法を用 いると、イオンは1つのセグメントから隣接セグメントへブロック単位で移動す
る。1つのセグメント内にトラップされている全てのイオンは、先行するセグメ
ントからのイオングループが許容される前に次のセグメントに伝達される。各セ
グメントは、単一又は複数m/z選択及び/又は共振周波数励起CIDイオンフ
ラグメンテーションを独立して実行する。あるいはイオンを、セグメント間での
伝達の際にDC加速CIDを用いてフラグメントすることができる。この方法を
用いたMS/MS3質量分析のステップを以下に記す。
【0067】 1.不要イオンの複数共振周波数拒否を用いるm/z選択を伴うRFだけモー
ドで動作する。セグメント1及び2の極に印加される相対的DCオフセット電位
は、イオンを十分な運動エネルギーでセグメント1からセグメント2へ加速して
、DC加速CIDイオンフラグメンテーションを引き起こすように設定される。
一次ビームは常時残っており、イオンは連続的にセグメント1に入射する。
【0068】 2.セグメント2、3に印加される相対的DCオフセット電位は、所定の時間
イオンをセグメント2内にトラップするように設定される。セグメント2はm/
z選択モードで動作し、選択されたm/z値第1発生フラグメントイオンは所定
の時間セグメント2内にトラップされる。 3.セグメント3に印加されるDCオフセット電位は、トラップされたイオン
のセグメント2を実質的に空にするのに十分長い時間にわたって低く切り換えら
れて、イオンをセグメント1からセグメント3を通ってセグメント4に送る。イ
オンは加速されて十分な運動エネルギーでセグメント2から3を通って4に入り
、DC加速CIDイオンフラグメンテーションを引き起こす。イオン伝達時間の
後、セグメント3の極に印加されるDCオフセット電位は高く切り換えられて、
イオンをセグメント2内にトラップして、セグメント4にトラップされたイオン
が逆方向に移動してセグメント2内に再入射するのを防ぐ。
【0069】 4.イオンがセグメント2からセグメント3を通ってセグメント4内に伝達さ
れるあいだ、セグメント4はまずm/z選択モードで動作する。最初はレンズ3
3に印加される電位はイオンをセグメント4内にトラップし保持するように設定
される。セグメント3に印加されるDCオフセット電位が上昇してセグメント2
からのイオンの流れを遮断した後に、セグメント4の極に印加された電位は、セ
グメント4内にトラップされた選択m/z値第2発生フラグメントイオンの共振
周波数CIDフラグメンテーションを伴うRFだけモードでセグメント4が動作
するように、切替えられる。MS/MS3実験を望む場合は、その結果生じるセ グメント4内にトラップされた第3発生生成又はフラグメントイオンは、TOF
パルス化領域37内へゲーティングされたイオンパケット内のレンズ33に印加
される電位を切り換えることによって放出され、そして実質的にTOF質量分析
される。あるいはより高位のMS/MSnステップが必要とされる場合は、TO Fパルス化領域37内へのイオンの放出に先立って、追加的な連続的m/z選択
及びCIDフラグメンテーションのステップを、セグメント4内にトラップされ
たイオンで継続することが可能である。各MS/MSステップにおいて又はMS
/MSnシーケンスの終わりにおいて、生成イオンの1部のTOFスペクトルを 獲得することができる。MS/MSステップがセグメント4内にトラップされた
イオンで行われているあいだ、選択された第1発生生成イオンはセグメント2内
に蓄積し続ける。
【0070】 5.セグメント4にトラップされた第n発生生成イオンがゲーティングされて
TOFパルス化領域37に入り実質的にTOF質量分析されたときは、セグメン
ト3に印加されたDCオフセットは低減され、前記のステップ3及び4が繰り返
される。 非連続的一次イオンビームを用いるMS/MSnハイブリッドTOF機能 非連続的一次イオンビームを用いるMS/MSn動作を実現するために、いく つかのセグメント化イオンガイドTOF機能シーケンスが可能である。米国特許
出願第08/694、542号には、多極イオンガイドがTOF質量分析に先立
って連続的m/zイオン選択及び共振周波数励起のステップを伴うトラッピング
モードで動作する、多極イオンガイドTOF質量分析器の構成が説明されている
。より高い背景圧力領域内に構成される多極イオンガイドへ複数のセグメントを
追加することによって、非連続的一次イオンビームを用いる単一セグメント2次
元トラップTOFMS/MSnシーケンスの変形が可能となる。3次元イオント ラップ又はFTMS質量分析器とは異なって、セグメント化されたイオンガイド
TOFハイブリッドの構成は、各イオンm/z選択及びフラグメンテーションの
ステップにおけるより高いエネルギーのDC加速イオンフラグメンテーションを
行う能力を持つMS/MSn機能を実現することができる。あるいは、セグメン ト化されたイオンガイド8は、所与の分析のための性能を最適化するためのMS
/MSn実験のあいだ、共振周波数フラグメンテーション又は組合せ又は双方の CIDフラグメンテーションの技法を行うように構成される。図1に示すセグメ
ント化されたイオンガイドTOFハイブリッドを用いるイオンDC加速イオンフ
ラグメンテーションによって実行されるMS/MSn実験の1つの例が以下に説 明される。
【0071】 1.セグメント1は、フラグメンテーション無しにセグメント2内へ送出され
るイオンを用いるRFだけ非質量選択モードで動作する。 2.セグメント1は、トラッピング又は非トラッピング質量/電荷選択モード
で動作し、その結果生ずるイオン集団は加速されて十分な運動エネルギーでセグ
メント3を通ってセグメント4に送出されて、CIDフラグメンテーションを引
き起こす。
【0072】 3.セグメント3はトラッピング質量/電荷選択モードで動作し、第1発生イ
オンの選択されたm/z範囲は、パルス化領域37内へのイオンのゲーティング
無しに多極イオンセグメント4内に収集される。特定の時間にわたって又は飽和
を防止するためにセグメント4のイオン集団の頻繁なTOFモニタリングを行い
ながら、選択されたm/z第1発生フラグメントイオンを収集した後、スキマー
26に印加される電位に比例して細管出口14への電位を低下させることによっ
て、一次イオンビームはセグメント化されたイオンガイド8のセグメント1に入
射するのを妨げられる。スキマー領域内の細管へ印加される遅延電界のために、
細管23内に存在するイオンはスキマー開口27を通過するのを妨げられる。
【0073】 4.適切な相対的DCオフセット電位をセグメント2、3、4に印加すること
によって、セグメント4内にトラップされたイオンは逆方向に加速されセグメン
ト3をとおってセグメント2に入射し、加速されてセグメント2に入ったイオン
のCIDを引き起こす。セグメント1、2の相対的DCバイアス電位を増大させ
ることによって、逆方向に加速されてセグメント2に入ったイオンはセグメント
1に入射することが防止される。短いMS/MSn質量分析時間が要求される場 合には、イオンがセグメント1に入射するのを防止して、各MS/MSステップ
においてセグメント2内のイオンを放出して空にするのに要する時間を減少させ
る。あるいはセグメント2を延長してセグメント1の容積を大きくする際、イオ
ンはセグメント1に入射することができる。スキマー26及びセグメント1の極
間にDC遅延電界を印加することによって、イオンは入り口端部9を通ってセグ
メント1から逆方向に出射するのを防止される。スキマーの開口27を通って第
2真空段2に入射し続ける自由噴流拡張部からの中性気体分子は、逆向きイオン
の軸方向軌道を減衰させるように作用して、イオンガイドの入り口端部9を通過
する際にトラップされたイオンが失われるのを防止する。セグメント4からイオ
ン集団を受入れる直前にセグメント1及びセグメント2に印加される電位が切り
換えられて、セグメント1及び2はm/z選択モードで動作する。
【0074】 5.第2発生フラグメントイオンの選択m/z範囲がセグメント2に収集され
る。その結果生じた第2発生フラグメントイオンの集団は再加速され十分な運動
エネルギーを伴ってセグメント3を通りセグメント4に入射して、選択第2発生
イオン集団のCIDフラグメンテーションを引き起こす。 6.セグメント4は再びトラップモードで動作する。実験が第3発生イオンで
終了する場合は、その結果生じたセグメント3内のイオン集団はTOF質量分析
される。MS/MS3を超えるn発生イオンが必要な場合は、ステップ4又はス テップ4、5が繰り返されて、MS/MSn発生フラグメント又は生成イオン等 が生成される。トラップされたイオン集団は、そのほんの1部分だけを用いて各
MS/MSステップにおいてサンプリングされ、TOF質量分析される。全イオ
ン集団が多極イオンガイド8から空にされるまで、TOF質量分析は、最終MS
/MSn番目ステップの後に行われる。
【0075】 7.細管出口端部14に印加される電圧は上昇して、一次イオンビーム内のイ
オンが再びスキマー開口27を通って入り口端部9におけるセグメント化された
イオンガイド8に入射することが可能となる。 8.1から7までのシーケンスが繰り返される。TOF質量分析を用いるこの
ような方法によっていかなる数のMS/MSnステップをも構成可能となる。
【0076】 共振周波数励起フラグメンテーション及びDCイオン加速CIDフラグメンテ
ーションの組合せを用いるMS/MSn質量分析の別の例を、連続的一次イオン ビームの動作を用いないで以下に説明する。 1.セグメント1を非m/z選択RFだけモードで動作させて、イオンをCI
Dフラグメンテーション無しにセグメント2に入射させる。
【0077】 2.セグメント2はトラッピング又は非トラッピングを伴う質量選択モードで
動作して、選択m/zイオンをDC加速フラグメンテーション無しにセグメント
3を通ってセグメント4に送出する。 3.セグメント3は、m/z選択親イオンの共振周波数励起フラグメンテーシ
ョンを用いるトラッピングモードで動作する。共振周波数の補足的集合を同時に
印加して、選択m/z値イオンは保持しながら不要な第1発生フラグメントイオ
ンを拒否する。m/z選択第1発生フラグメントイオンの内部エネルギーは、親
イオンのCIDフラグメンテーションのあいだセグメント4内で増加する。第1
発生m/z選択フラグメントイオンは、所定の時間、又は所望のイオン集団密度
に達して短時間TOFイオンサンプリングによって点検されるまで、セグメント
4内に蓄積する。
【0078】 4.セグメント4が所望のイオン密度レベルまで満たされると、細管出口電極
に印加される電位を下げることによって、一次イオンビームはスキマー開口27
を通過するのを防止される。 5.選択第1発生フラグメンテーションイオンは逆方向に加速され十分な運動
エネルギーを伴ってセグメント4からセグメント3を通ってセグメント2に入り
、CIDフラグメンテーションを引き起こす。
【0079】 6.第1発生イオン及び第2発生フラグメントイオンを受けるのに先立って、
セグメント1の極に印加された電位を切り換えて、第2発生フラグメントイオン
の質量選択のために質量選択モードで動作する。 7.MS/MSフラグメンテーションをさらに望む場合は、多極イオンガイド
8内にトラップされた全イオン集団に対して、ステップ2から6が繰り返される
、又はTOF質量分析が行われる。
【0080】 8.TOF質量分析が完了し多極イオンガイド8が空になると、一次イオンビ
ームはスキマー開口27を通って多極イオンガイド8のセグメント1に入射する
ことが再び可能となる。ステップ1から7を繰り返してMS/MSn質量分析が 継続可能となる。 米国特許出願第08/694、542号に説明されているように、イオンを加
速して第3真空ポンプ段73のより低圧領域内の出口端部11から多極イオンガ
イド8内へ戻すことによって、より高いエネルギーのCIDフラグメンテーショ
ンが実現可能となる。レンズ33及び34に印加される電圧を急速に高めること
によって、レンズ33及び34間の間隙内にゲーティングされるイオンの電位が
上昇する。レンズ33に印加される電位はそれから低下してイオンを加速し多極
イオンガイド8内へ戻す。逆方向DC加速イオンは、イオンガイド8の長さを又
は個々のセグメント1から4を横断する際に、多極イオンガイド8内の背景気体
に衝突する。同様に、セグメント3又はセグメント3及び4の組合せを用いて、
イオンをそれぞれの方法で逆方向に加速してセグメント2に入射させ、イオン集
団の内部エネルギーを急速に増大させる。しかしながら背景衝突気体の存在下で
セグメント3からのイオン加速が起こるので、到達可能なイオン終端速度は、イ
オンガイド出口端部11における無衝突領域からの加速イオンによって達せられ
る速度よりも小さくなり得る。MS/MSn実験を行うことができる3次元の又 はFTMSのシステムとは異なり、図1に示すセグメント化されたイオンガイド
TOFハイブリッドは、より広い範囲の衝突エネルギーを送出してイオンフラグ
メンテーションを行うことができる。制御MS/MSn機能のシーケンスはDC 及びAC電圧スイッチ及び電源の直接的なコンピュータ制御によって簡略化され
る。
【0081】 適切な電位に設定された2つのDC電源間を切換えることによって、DCオフ
セット電位の急速な切換えが可能となる。各セグメントの極はスイッチを通じて
AC及びDC電源のセットに接続される。各極に印加される一次RFは、容量性
カップリングを通して個々のRF源から直接接続される。DC電圧成分はRFカ
ップリングキャパシタの後に追加され、共振周波数ACは、RFカップリングキ
ャパシタの後に接続することによって各極に容量性カップリングされ得る。計器
の状態を変化させるのに必要な全てのスイッチの状態を同時に変えることができ
るコンピュータプログラムを通じて、各スイッチの状態を制御できる。RF及び
DC電源の振幅及び周波数は、同じコンピュータ制御プログラムを用いるディジ
タル−アナログ変換器のようなインタフェースを通じて設定することができる。
そのようなコンピュータ制御システムを用いると、スイッチ、制御信号及び遅延
パターンの特定のセットをプログラムすることによって、MS/MSn実験シー ケンスを実現することができる。制御シーケンスはデータ獲得運転の初期化の前
に使用者によって選択でき、状態の変化は受取ったデータに基づいて運転中に起
こるようにプログラムすることができる。例えば親質量スペクトルにおける最大
のピークを選択するために、データ依存ソフトウェア判定を用いることができる
。そして最大振幅親ピークは、選択されかつ実質的にフラグメントされたm/z
である。
【0082】 多極イオンガイド8のセグメント3は、電気的かつ機能的にセグメント2、4
をデカップリングするように働く。イオンはセグメント2内にトラップされ、セ
グメント3に印加されるDCオフセット電位が上昇してイオンをトラップし低下
してイオンをセグメント2からセグメント3へ送出する際に、放出される。多極
イオンガイド204が3つのセグメントから構成されるセグメント化多極イオン
ガイドTOFハイブリッド計器の代りの実施形態を図2に表す。セグメント化さ
れたイオンガイド8のセグメント3を取り除いて、動作シーケンスを単純化し電
子部品のコストを低減した。図2に示される3セグメント多極イオンガイドの実
施形態によって、図1に示す実施形態で表されるほとんどのMS/MSnシーケ ンスが運転可能となる。図2に示すセグメント化されたイオンガイドTOFハイ
ブリッド計器は、電気噴霧イオン発生源212、4つの真空ポンプ段208、2
09、210、211、セグメント化されたイオンガイド204、及びTOF質
量分析器261から構成される。示される実施形態において、TOF質量分析器
214はステアリングレンズセット262で構成されて、イオンの検出器212
への衝突の位置を調整する。セグメント化された多極イオンガイド204は、第
1セグメント201、第2セグメント202、及び第3セグメント203から成
る。セグメント201、202の極は、ジョイント206において結合している
が互いに電気的に絶縁されている。同様にセグメント202、203の極は、ジ
ョイント207において結合しているが互いに電気的に絶縁されている。セグメ
ント203は、第2真空ポンプ段209から210に連続的に延長する。各多極
イオンガイドのセグメント201、202、203はそれぞれ独立に、単一又は
複数m/z範囲選択及び/又は共振周波数励起モードで動作する。
【0083】 第2段209内の背景圧力は約0.1ミリトールに維持されて、安定した軌道
イオンエネルギーの衝突減衰を可能にし、また各多極イオンガイドセグメントに
おいてイオンのCIDフラグメンテーションを可能にする。セグメント201の
入り口端部213における局所的圧力213は自由噴流の拡張のためにより高い
ので、多極イオンガイド204の入り口におけるイオンガイド捕獲効率を増大さ
せるように作用する。セグメント間に適切な相対的DCオフセット電位を設定す
ることにより、イオンは、CIDフラグメンテーションを伴って又は伴わないで
、一方のイオンガイドセグメントから他方へとどちらの方向へも伝達することが
できる。セグメント202及び203の間の短いセグメントが無くなることによ
って、セグメント203はセグメント202とのより密接に関連した動作を必要
とする。例えばセグメント202は、セグメント202、203間の相対的オフ
セット電位を変更すること無しに、イオントラップ及び放出モードで動作するこ
とはできない。したがって変数及び成分を減らすことにより計器の動作がある程
度単純化され、コストが低減される。
【0084】 図3に示すようにセグメント化されたイオンガイド308内のセグメント数を
増やすことによって、システムのフレキシビリティ及びある程度の複雑性を増し
て、追加的な機能を実現できる。セグメント化されたイオンガイド308は、電
気絶縁性接合部310から316によってそれぞれ互いに絶縁された8個のセグ
メント300から307で構成される。第1及び第2のセグメント300及び3
01は、図1でセグメント1及び2について説明された技法を用いて動作するこ
とができる。セグメント302、303、304、305は、セグメント301
及び306の間に構成されており、第2真空段317内に配置された。RFだけ
モードで動作するセグメント302から305に印加されるDCオフセットは、
より持続しかつ高いエネルギーのDC加速を引き起こして、セグメント化された
イオンガイド308に沿う両方向へのイオンフラグメンテーションを実現するよ
うに設定することができる。あるいは、セグメント302から305は、m/z
選択又は共振周波数励起イオンフラグメンテーションモードにおいて単一セグメ
ントとして動作することた可能である。m/z選択モードにおけるセグメント3
02から305の動作を組合わせることによって、連続的な一次イオンビーム2
09を用いるMS/MS3実験を実行して感度を最大化することが可能となる。 真空段2内に構成された多極イオンガイドのセグメントの数を増やすことによっ
て、第2真空段317内のより高い背景圧力下においても、多極イオンガイド3
08を通るイオンの伝達速度を増大させることが可能となる。セグメント300
から306の間に印加される低電圧DCオフセットの勾配は、背景気体とのより
高いエネルギーの衝突を通じてイオンの内部エネルギーを増大させること無しに
、イオンを軸方向に移動させるように作用する。セグメント307が多極イオン
ガイド308の出口端部318に追加されて、イオンをセグメント306内にト
ラップしまた多極イオンガイド308からTOFパルス化領域320内へゲーテ
ィングするための代替的手段として機能する。レンズ321に印加される減速電
位を用いる場合と比べて、セグメント307の極に印加されるDCオフセット電
位によるトラッピングは、出口端部の周縁フィールド効果のために起こり得るい
かなる収束ズレ効果をも軽減する。セグメント307は主にRFだけイオン伝達
モードで動作して、多極イオンガイド308の出口端部318における非対称な
DC周縁フィールド効果を軽減又は取除く。セグメント306は極に印加される
AC及びDCを伴うm/z選択モードで動作してもよい。セグメント307は、
多極イオンガイド308のイオン収束ズレ及び加速領域出口端部318からのセ
グメント306によって作られた周縁フィールド効果を効果的にデカップリング
する。セグメント307はイオンのTOFパルス化領域320内への収束を可能
にして、セグメント306の動作条件とは関係なく最適化される。図3に示す実
施形態は、m/z選択及びイオンフラグメンテーション技法の範囲を含むMS/
MSn実験の実行における高度のフレキシビリティを提供する。
【0085】 3セグメント多極イオンガイド408がハイブリッドAPITOF質量分析器
内に構成されている本発明の実施形態を図4に示す。3セグメント多極イオンガ
イド408は、より高い背景圧力真空段411からより低い背景圧力真空段41
2へ連続的に延長する。セグメント402はRFだけモードで動作してイオンを
TOFパルス化領域415内へ伝達する、又は米国特許出願第08/694,5
42号に説明されているようにTOF質量分析とカップリングする際に全MS/
MSn機能の性能を伴って構成される2次元トラップとして動作する。図4の実 施形態は、米国特許出願第08/694,542号に説明されている実施形態か
らの2つの追加的セグメントを含む。セグメント401及び403は、それぞれ
入り口及び出口端部416、417において多極イオンガイド408に入射する
又はそこから出射するイオンの軌道への効果からセグメント408の動作モード
の効果をデカップリングするように作用する。例えばセグメント401はRだけ
モードで動作して、イオンを入り口領域416からセグメント408内へ効果的
に伝達する。入り口端部416において多極イオンガイド408に入射するイオ
ンの運動エネルギー及び軌道は、背景気体との衝突的相互作用によって減衰する
。セグメント401を横断するイオンは、DC周縁フィールドの収束ズレ効果が
イオン伝達効率にほとんど影響を与えないセンターライン418により接近して
セグメント408に入射する。セグメント403に印加されるDCオフセット電
位を切換えて、イオンをセグメント402内にトラップする、又はセグメント4
02からTOFパルス化領域415内へゲーティングすることができる。パルス
化領域402を横断するイオンはTOFドリフト領域414内へパルス化されて
、質量分析される。線形TOFフライトチューブの形状は、イオン反射器の形状
を含むフライトチューブ形状の代りの実施形態として図4に表されている。
【0086】 RFだけモードで動作するセグメント403は、セグメント402の異なる動
作モード中に起こりかねないセグメント2の出口端部での周縁フィールドの差を
シールドすることによって、多極イオンガイド出口領域417からTOFパルス
化領域内415への一貫したイオン軌道を確立する。セグメント401はまたm
/z選択及び/又はフラグメンテーションモードで動作可能であり、親又は生成
イオンは、セグメント401及び402の間で順方向又は逆方向に伝達可能であ
る。従って、前記の実施形態及び米国特許出願第08/694,542号に説明
されている共振周波数CID機能を補足する、セグメント401、402間のD
Cイオン加速によって、イオンをフラグメントすることが可能となる。セグメン
ト403を横断するイオンは加速されてセグメント402内に戻って、真空段4
11内に延長するセグメント402のその部分におけるCIDイオンフラグメン
テーションを引き起こす。セグメント403から402内への逆方向イオンパル
ス化は、出口領域417内のイオンのエネルギーを先ず上昇させてイオンを加速
しセグメント402に入射させるような同期方法によってセグメント403の極
及びレンズ418に印加されるDC電位を切換えることによって実現することが
できる。イオンをセグメント403から402へ加速するために2つのエレメン
ト間に印加された電圧差に伴って、レンズ418及びセグメント402の極から
セグメント403への何らかのDC電界貫通が起こり得る。図4に示す実施形態
によって、多極イオンガイドセグメントの数の減少による機能的フレキシビリテ
ィの何らかのトレードオフを伴う費用効果の高い構成の完全なMS/MSn機能 が可能になる。
【0087】 セグメント化された多極イオンガイド448が第1真空ポンプ段450内に延
長するように構成されている、3セグメント多極イオンガイドの代りの実施形態
を図4bに示す。電気噴霧イオン発生源452内で生成されるイオンは細管45
3を通って第1真空ポンプ段450内に移動する。出口端部454で細管453
から出るイオンは、第1多極イオンガイドセグメント441に入射し、そこでセ
グメント441上の極に印加されるRF電界によって半径方向に閉じ込められる
。セグメント441の極に印加される電界によって定められる安定ウインドウ内
に落下するm/z値のイオンは、セグメント441を通ってセグメント442内
に伝達される。TOF質量/電荷分析によるMS/MSn機能は、図4に示す3 セグメントイオンガイドに対して説明されのと類似の技法を用いて実現すること
ができる。セグメント化されたイオンガイド448の代替例は真空段450内に
延長するセグメント442を含んでもよい。追加的な多極イオンガイドを、真空
段454内に延長する多極イオンガイド448のその部分に付け加えることがで
きる。この構成によって、分析のためのより低圧の動作に望ましいより高い背景
圧力下での質量/電荷選択及びイオンフラグメンテーション機能が可能となる。
セグメント化された多極イオンガイドの構成への追加的な変更例を図5から7に
示す。
【0088】 図5に示すセグメント化多極イオンガイドの実施形態はTOFパルス化領域5
07内に延長するように構成される。多極イオンガイド508の長さを横断する
イオンは、セグメント501、502、503を通過してセグメント507内に
伝達される。セグメント503、504の極及びレンズ507に印加される相対
的DC電圧は、イオンをセグメント504内にトラップする。セグメント504
内にトラップされたイオンは、RF電圧成分をカットオフしセグメント504の
極に非対称DC電位を印加して2つの極間の間隙を通って半径方向にイオンを加
速することによって、TOFドリフト領域501内へパルス化される。TOF質
量/電荷分析を伴う完全な全MS/MSn機能は図5に示される実施形態によっ て実現される。セグメント501、502、503は個別に又は相補的に動作し
て、TOF質量/電荷分析に先立ってイオンのm/z選択及び/又はCIDフラ
グメンテーションを実現する。パルス化の前にセグメント6内にトラップされた
イオンは、セグメント6の軸に沿ってどちらの方向へも移動できる。セグメント
6は低圧領域内に常駐しているので、背景気体と衝突するイオンはほとんど無い
。従って、TOFドリフト領域510内へのパルス化に先立って、セグメント6
内でイオンの軸方向速度の減衰は起こらない。必要とされる軌道を持ちTOFチ
ューブ内の検出器に衝突するイオンの数を増大させるために、イオンは初期第1
通過の間セグメント506からパルス化されなければならない、又は非常に低い
軸方向運動エネルギーを伴ってセグメント6内に伝達されなければならない。後
者は、パルス化領域充填時間が非常に長いのでTOFパルス速度の減速を来たし
かねないという欠点を持つ。パルス化に先立つRF電界によるセグメント6内の
イオンの半径方向の運動は、TOFドリフト領域510内にパルス化されるイオ
ンの空間的及び内部的エネルギーの拡散に寄与する。パルス化領域として構成さ
れる2次元のトラップとともに動作する場合に考慮されなければならない追加的
な制約は、通常TOF分析器に用いられる複数チャネルのプレート検出器は、典
型的にはおよそ100である限定された瞬間的電荷空乏ダイナミックレンジを持
つことである。多すぎるm/z値のイオンが2ナノ秒時間ウインドウ内で検出器
に到達すれば、検出器の出力は飽和に達し、その結果信号の振幅の歪みをもたら
す。トラップされたイオンをTOFドリフト領域内510にパルス化する前にセ
グメント506内へのイオンの蓄積時間を短縮することによって、検出器の飽和
を回避することが可能となる。構成ステアリングレンズセット511は、TOF
検出器に衝突するパルス化されたイオンの軌道を最適化するのに役立つ。
【0089】 ハイブリッドAPI発生源多極イオンガイドTOFの代りの実施形態を図6に
示す。図6を参照すると、追加的多極イオンガイド610が、セグメント化され
たイオンガイド608とTOFパルス化領域611の間に構成されている。多極
イオンガイド610は、仕切614で囲まれた領域612に気体が添加されたと
きには衝突セルとして動作し、又はm/z選択モードで動作する。セグメント化
イオンガイド608を含むセグメント601、602、603は個別に又は集団
でm/z選択及び/又はCIDイオンフラグメンテーションモードで動作して、
TOF質量/電荷分析を伴うMS/MSn機能を実現することができる。多極イ オンガイド608の各セグメントは単一通過モード又はイオントラッピングモー
ドで動作可能である。さらにイオンはm/z選択されて、多極イオンガイド61
0においてCIDでフラグメントされる。多極イオンガイド608は、セグメン
ト603から出射するイオンが背景気体衝突からの散乱を被らないより低圧の真
空段615内に連続的に延長する。多極イオンガイド610へのイオン伝送効率
は真空段613内の背景圧力による影響を受けない。多極イオンガイド610を
含む第2の及び判明CIDイオンフラグメンテーション領域612の構成によっ
て、第2真空段613内にある気体とは異なる衝突又は反応性背景気体の導入が
可能となる。図6に示す実施形態によって、気体位相イオンの中性的反応、又は
完全なMS/MSn動作モード能力を伴うイオンCIDフラグメンテーション用 の異なる気体の使用を検討することができる。多極イオンガイドは単一通過モー
ド又はトラップモードで動作して、イオンを連続的に放出してTOFパルス化領
域611内にゲーティングする。追加的RF多極イオンガイドを多極イオンガイ
ド610とTOFパルス化領域611間の真空段615内に構成して、CID領
域612と低圧に保たれている4番目の真空段618との間の圧力を低減するこ
とができる。米国特許出願第60/017,619号に説明されているように、
多極イオンガイド608はまたイオンガイド610の極内に延長してイオン伝送
効率を向上させるように構成できる。
【0090】 図6に示す二重多極イオンガイドの実施形態によって、いくつかの特殊化され
た動作モードを可能にするが、前に説明された実施形態に比べて全体の機能的フ
レキシビリティを低下させるかもしれない。 MS/MSn質量分析モードで動作できる多極イオンガイドハイブリッドTO F質量分析器の代りの実施形態を図7に示す。セグメント701、702、70
3で構成されるセグメント化多極イオンガイド708は第2真空段710内に位
置する。真空段711内に位置する第2多極イオンガイド704は気体仕切71
3によって囲まれている。イオンガイド704を衝突セルとして動作させるのが
望ましい場合には、気体仕切713によって領域713内への衝突気体の追加が
可能となり、領域713内の圧力を上昇させる。第3多極イオンガイド714は
真空段711内に位置してイオンを多極イオンガイド704からパルス化領域7
12内に効果的に伝達し、より高圧の背景衝突領域713とより低圧のTOFパ
ルス化領域712との間の十分な真空ポンプ機能を可能にする。多極イオンガイ
ドは、単一通過モード又はTOFパルス化領域内712へのゲーティング機能を
伴うイオントラッピングモードで動作可能である。多極イオンガイド703、7
04を判明真空段に分離することによって、特に多極イオンガイド708のため
の多極イオンガイド形状におけるフレキシビリティを増すことができる。1つ以
上の真空段内に延長する多極イオンガイドは、比較的小さい内径(小さいr0) で構成され、1つの真空段から次の真空段への中性気体のコンダクタンスを最小
化する。気体コンダクタンスの最小化は、所与の背景圧力の目標に対する真空ポ
ンプ機能のコストを低減する。多極イオンガイド708、704、714の極は
真空段710から始まり711で終わるので、どちらの多極イオンガイドの形状
に課された真空ポンプ機能の制約も存在しない。イオンガイド708、704又
は714の内半径(r0)は、図7に示す実施形態における真空ポンプ機能の要
件のために制約されない。
【0091】 前記の実施形態と同様に、真空段7内の背景圧力を十分高く維持して、イオン
が多極イオンガイド708の長さを横断する際に、背景気体とイオンとの衝突が
確実に起こるようにする。共振周波数励起又はセグメント間DCイオン加速の技
法を用いると、真空段710内の背景圧力によって、多極イオンガイド708を
横断するイオンのCIDイオンフラグメンテーションが可能となる。多極イオン
ガイド708内の各セグメントは独立に、又はm/z選択又はCIDイオンフラ
グメンテーションモードの他のセグメントと結合して動作することができる。真
空仕切及び静電レンズ707に印加される電圧は、イオンをセグメント703か
ら多極イオンガイド704に送出するように、又はイオンを多極イオンガイドセ
グメント703内にトラップするように設定することができる。隣接するセグメ
ントに適切な相対DCオフセット電位を設定することによって、多極イオンガイ
ド708内の各セグメントはトラッピング又は非トラッピングモードで動作でき
る。衝突気体が領域713内に存在する場合、同様に多極イオンガイド704が
m/z選択モード又は共振周波数励起CIDフラグメンテーションモードで動作
できる。イオンはまたDC加速されて十分な運動エネルギーを持って多極イオン
ガイド704内に入射して、CIDフラグメンテーションを引き起こす。多極イ
オンガイド708及び704で行われるm/z選択ステップとCIDイオンフラ
グメンテーションの組合せは、TOF質量分析を伴う様々なMS/MSn分析機 能を実現するように構成することができる。図6に示す実施形態においては、真
空段710内の背景気体とは異なる衝突気体又は反応気体を領域713内に導入
することができる。選択されたイオン−分子反応は、m/z選択及び/又はフラ
グメント化生成イオンを多極イオンガイド704に送出する多極イオンガイド7
08を伴って、適切な反応気体を領域713に追加することによって検討するこ
とができる。その結果生じる、多極イオンガイド704を通過する又はそれにト
ラップされるイオンは、実質的にTOF質量分析される。
【0092】 図1から7に示される実施形態は、質量/電荷選択及びイオンフラグメンテー
ションがより高圧の領域で起こる多極イオンガイドTOFハイブリッド質量分析
器の構成のいくつかの例である。本発明は、示される特定の実施形態及び説明さ
れる特定の技法に限定されない。例えばセグメント化されたイオンガイドの代り
に、個々のイオンガイドはより高い背景圧力領域に位置して、MS/MSn分析 におけるm/z及びイオンフラグメンテーションのステップを実行するために用
いることができる。この配置によって異なるRF周波数を潜在的にフレキシビリ
ティを増大させる各分離多極イオンガイドに印加することが可能となるが、シス
テムのコスト及び複雑さがそれに比例して増大する。示される4つの真空ポンプ
段の実施形態は、より高い背景圧力真空領域内の多極イオンガイドにより実行さ
れるm/z選択及び/又はCIDフラグメンテーションを伴う2段、3段又は5
段の真空システムとして構成することができる。多極イオンガイドTOFハイブ
リッド計器によって異なるイオン発生源を構成できる。真空中で動作するイオン
発生源でさえ、より高い背景真空圧力で動作する多極イオンガイドで構成される
。真空中で動作するイオン発生源によって、多極イオンガイドを含む真空領域に
気体を追加して、より高圧のm/z選択及びイオンフラグメンテーションモード
で動作させることができる。本発明はTOF質量分析器の形状の変形例に適用で
きる。例えばTOF質量分析器は、インラインパルス化領域、湾曲電界イオン反
射器、又は離散ダイノード増倍管で構成してもよい。代りの実施形態においては
、より高圧の領域に位置するセグメント化多極イオンガイド又は個々の多極イオ
ンガイドの部分はまた、m/z分析又はm/z選択モード又はこれらの個々の動
作モードの組合せで動作するとともに、イオン伝達、イオントラッピング、及び
全てのフラグメンテーションモードで動作するように構成することが可能である
。当業者にとって、図1から7に説明された実施形態の中で議論されたフラグメ
ンテーション、CID、質量選択、及びMS/MS方法の全てを本発明の代りの
実施形態の中で実行することができる。 イオンガイド高圧MS/MSn四極 API源と経過時間質量分析器の場合に既に述べたように、多極イオンガイド
の重要な特徴は、イオンは、イオンガイド又は個々のセグメントの一方の端に入
ると同時に、そのイオンガイド又はセグメントの他方の端から放出することがで
きるということである。この特徴によって、連続イオンビームを受領するセグメ
ント化されたイオンガイドは、イオンガイド中にあるイオンの1部を選択的に質
量分析器中に放出することができるが、この分析器はこの放出されたイオンに対
して質量分析を実行する。このようにして、イオンは質量分析ステップ同士間で
失われることはない。本発明のこの態様の別の具体的な実施形態は、追加の四極
質量分析器又は多極イオンガイド衝突セルと組み合わされたりされなかったりす
るセグメント化された多極イオンガイドを持ったAPI源の構成である。本発明
によるこの実施形態では、四極のセグメント化されたイオンガイドは自分自身が
、セグメント化されたイオンガイドの全長の1部が10-4トールを越える圧力下
で操作されるMS又はMS/MSn質量分析器として構成されている。必要とあ れば、電子増倍管検出器は、図示の実施形態では低背景圧力領域に構成してそう
さしてもよい。質量分析器又はその1部として構成されたセグメント化された多
極イオンガイドは、性能と分析能力を向上させ、直列に構成された互いに分離し
た多極イオンガイドよりも経費と複雑性を減少させることができる。
【0093】 図10に、5個のセグメント四極セグメント化イオンガイドがAPI MS計
器として構成されている本発明によるある実施形態を示す。多極イオンガイド1
008は、セグメント1001、1002、1003、1004及び1005に
、これらセグメント個々をそれぞれ分離する電気的に絶縁された接合部1018
、1019、1020及び1017を備えたもので構成されている。第2の真空
段1016中の真空仕切1023に至るまで、電気噴霧源1012とセグメント
化多極イオンガイド1008から成る構成は、図1に描く実施形態と類似してい
る。第2の真空段1016は10-4トールを越える値に保たれている背景圧力で
操作される。共通のRF周波数を、場合によっては別のRF振幅と共に、イオン
ガイド1008中の多極イオンガイド中のすべてのセグメントに印加し、これに
よって、セグメント間のイオン伝達効率を最大化する。図10に略図を示す実施
形態では、TOF質量分析器は追加の多極イオンガイドセグメント1005と置
き換えられている。多極イオンガイドセグメント1005は、10-4未満の背景
圧力に保たれている第3の真空段1017中に位置している。セグメント100
5は、四極の質量分析器であるので、スキャニングモードでも選択済みイオン監
視モードでも操作され得る。図10に示す実施形態は、従来型の三重四極構成で
実行されるあらゆる分析機能及び追加のMS/MS分析機能を実行することがで
きる。前の節でリストアップした4つの基本的なMS/MSモードの従来型の三
重四極分析機能を簡便化するために以下に繰り返す。三重四極は次の技法で操作
できる: 1.第3の四極をスキャニングしながら、第1の四極中の選択されたm/z範
囲と、RFだけ衝突セル中のフラグメント化された選択イオンとを伝送する技法
、 2.中性損失をスキャニングする技法であり、この場合、第1と第3の四極は
固定したm/zオフセットで同時にスキャニングされる、 3.第3の四極を設定しながら第1の四極をスキャニングして、選択されたm
/z範囲を送出する技法、 4.第1と第3の四極の双方を、スキャニングすることなく様々なm/z値を
送出するように設定して、選択されたフラグメンテーションイベントを監視する
技法。
【0094】 上記の技法はすべて、次の構成を用いることによって、図10に示す実施形態
によって達成することができる。 1.所望のm/z値範囲を送出するように印加RF振幅が設定された単一通過
式(非トラッピング)RFだけモードでセグメント1001を操作する。 2.単一通過式(非トラッピング)m/z選択モードでセグメント1002を
操作する。上記の機能2と3の場合、セグメント2は、所望のスキャニング速度
と所望のイオンm/z値範囲を越える値とでm/z選択モードで繰り返しスキャ
ニングされる。セグメント1002、1003、1004及び1005に印加さ
れる相対的DCオフセット電位は、十分なエネルギでセグメント1003と10
04からセグメント1005中に質量/電荷選択されたイオンを加速し、これに
よって、セグメント1003と1004中の加速されたイオンをCIDフラグメ
ンテーションさせるよに設定される。セグメント1004の入り口端中の背景圧
力を十分高い値に維持し、これによって、フラグメンテーション後の軸方向のイ
オン軌道を減衰させて、エネルギ拡散の低いイオンビームを達成することができ
る。このようにして、セグメント1005に入るイオンのイオンエネルギは、セ
グメント1004と1005に印加される相対的なDCオフセット電位によって
決まる。
【0095】 3.セグメント1005が質量/電荷選択モードで操作される。イオン質量/
電荷値選択範囲は、上記の三重四極MS/MS技法3と4でのように固定しても
良いし、上記の技法1と2で必要とされるようにスキャニングしてもよい。セグ
メント1002と1005のm/z選択スキャニング傾斜を同期させて、中性損
失のスキャニング、すなわち上記の技法2を達成したり、又は、選択されたフラ
グメンテーションイベントの監視、すなわち上記の技法4を達成したりすること
ができる。
【0096】 4.後出のイオンを変換ダイノード1007中に加速して、結果生じる生成物
を電子増倍管1024で検出することによってセグメント1005からレンズ1
006を通過するイオンを検出する。 図10に示す実施形態は、第1と第3の分析四極を低真空領域中で操作して背
景気体とのイオンの衝突を最小化する従来型の三重四極形状では不可能な追加の
分析機能を実行することが可能である。例えば、非トラッピング連続イオンビー
ムMS/MS2分析を、セグメント1001を質量/電荷選択モードで操作して 、セグメント2中でCIDフラグメンテーションさせるに十分なエネルギで、選
択されたイオンをセグメント1002中に加速することによって達成することが
できる。セグメント1001は、静的モード又はスキャニングm/z選択モード
で操作することができる。代替例として、生成イオンの内部エネルギを増加させ
ないことが望ましい場合には、MS/MS2分析を、共振周波数励起CIDイオ ンフラグメンテーションして実行することができる。これは、次のようにスキャ
ニングモードでも非スキャニングモードでも達成可能である: 1.印加RF振幅を所望のm/z値範囲を送出するように設定した状態でセグ
メント1001を単一通過式(非トラッピング)RFだけモードで操作させる。
【0097】 2.セグメント1002を単一通過式(非トラッピング)m/z選択モードで
操作する。上記の機能2と3の場合、セグメント2は、所望のスキャニング速度
とと所望のイオンm/z値範囲を越える値とでm/z選択モードで繰り返しスキ
ャニングされる。セグメント1002、1003及び1004に印加される相対
的DCオフセット電位を、DC加速CIDフラグメンテーションさせることなく
セグメント1003を介してセグメント1004中に、質量/電荷選択されたイ
オンを加速するように設定する。セグメント1004を共振周波数励起フラグメ
ンテーションモードで操作して、セグメント1002によって選択されたm/z
値イオンをフラグメントする。セグメント1004中で生成された第1発生フラ
グメントイオンは、適切な相対的DCオフセット電位が、イオンを最大のm/z
選択分解能で最適に送出するように設定された状態でセグメント1005中に移
動する。セグメント1004の入り口端中の背景圧力は、フラグメンテーション
後の軸方向イオン軌道を減衰させて低エネルギ拡散のイオンビームを達成するに
十分高い値に保つことができる。このようにして、セグメント1005に入るイ
オンのイオンエネルギは、セグメント1004と1005に印加される相対的D
Cオフセット電位によって決まる。
【0098】 3.セグメント1005を質量/電荷選択モードで操作する。イオン質量/電
荷値選択範囲は、上記の三重四極MS/MS技法3と4の場合のように固定して
もよいし、上記の技法1と2の場合に必要とされるようにスキャニングしてもよ
い。セグメント1002と1005のm/z選択スキャニング傾斜を同期させて
、中性損失スキャン、すなわち上記の技法2又は選択されたフラグメンテーショ
ンイベント、すなわち上記の技法4を達成することができる。
【0099】 4.セグメント1005からレンズ1006を介して通過するイオンを、この
イオンを変換ダイノード1007中に加速し、結果生じる生成物を電子増倍管1
024で検出することによって検出する。 共通RF周波数によって、イオンをセグメント1004から1005に低エネ
ルギで効率的に伝達して、より高い分解能の質量/電荷選択を達成することがで
きる。イオンが多極イオンガイド1008のどのセグメント中で一時的にトラッ
プされても、イオン常駐時間が増し、これによって、より高い分解能のm/z選
択又は共振周波数励起のCIDフラグメンテーションを達成することができる。
そのスキャン速度はイオントラップ速度と放出速度を、例えば、分離したm/z
スキャンステップで整合させて、MS/MSn性能を向上させることができる。 高圧検出器を用いると、セグメント化された多極イオンガイド1008全体を、
1つの高背景圧力真空段中に構成することができる。真空ポンプ段を解消すると
、システムのフレキシビリティの性能をほとんど又は全く劣化させることなく計
器の経費、サイズ及び複雑性が減少する。セグメント化された多極イオンガイド
1008を1つの真空ポンプ段中に構成すると、内径に対するあらゆるサイズ制
限が解消されて、複数の真空ポンプ段同士間の中性気体コンダクタンスが最小化
される。代替例では、多極イオンガイド1008もまた、真空段が2つ又3つあ
るシステム中で第1の真空段1025中に延長するように構成することができる
。高圧真空領域中に質量/電荷選択モードで多極イオンガイドで構成された三重
四極状の質量分析器の追加の代替実施形態を図11から図13に示す。
【0100】 図11は、3セグメント式の多極イオンガイド1108が分離した多極イオン
ガイド1104で構成されている本発明による代替実施形態の略図である。図1
1に示すこの実施形態は、四極1104を、セグメント1101、1102及び
1103から成るセグメント化された多極イオンガイド1108の形状とは異な
った形状の極で構成することが可能な図10に示す実施形態の変更例である。多
極イオンガイド1004は、多極イオンガイド1108に印加されるRF周波数
とは異なったRF周波数で操作することができる。三重四極MS機能とMS/M
S機能の完全な分析は、上記の節で説明した技法を用いて、図11に略図を示す
本発明による実施形態で達成することができる。
【0101】 セグメント化された多極イオンガイド1208が高圧真空圧力段1210中に
構成され、分離した多極イオンガイド1204によって描かれるロッド体積中に
延長する代替実施形態を図12に示す。多極イオンガイドセグメント1203は
出口レンズ1205中に延長しているが、このレンズ1205を通って、イオン
は、例えば低エネルギでも多極イオンガイド1204中に効率的に伝達されるこ
とができる。完全な三重四極MS機能及びMS/MS機能は、上記の節で説明し
たようにスキャニングモード、静的m/z選択モード及びCIDフラグメンテー
ションモードでセグメント1201、1202及び1203並びに四極1204
を操作することによって達成することができる。
【0102】 追加の多極イオンガイド衝突セル1312が3真空段式の四極イオンガイド質
量分析器に付加されている本発明のある代替実施形態を図13に示す。この3セ
グメント式多極イオンガイド1308は、低圧力真空段1315中に延長する高
真空圧力段中に構成されている。質量/電荷選択されたイオン及び/又はフラグ
メントイオンは、多極イオンガイド1308から、気体仕切1313によって囲
まれた衝突領域1312中に構成されている多極イオンガイド1310中に伝達
される。多極イオンガイド1304は、イオンが検出器1305によって検出さ
れる以前に最終的な四極質量分析器として働く。図6に示すAPI TOFハイ
ブリッド実施形態中の追加された多極イオンガイドに類似して、衝突気体すなわ
ち反応性気体を、真空段1314中の背景気体とは異なった領域1312中に導
入することができる。独立した衝突領域1312中に位置する追加の多極イオン
ガイド1310によって、MS/MSn分析における実験のフレキシビリティが 増す。連続ビームMS/MS3実験は、DC加速技法又は共振周波数励起CID フラグメンテーション技法で動作する図13に示す実施形態で達成することがで
きる。 イオンガイド高圧四極 本発明の1つの態様は、非セグメント化又はセグメント化されたイオンガイド
を高圧質量分析器中に組み込んでいる。質量分析器又はその1部として構成され
たセグメント化された多極イオンガイドは、性能と分析能力を向上させることが
できる。
【0103】 圧力が1x10-4トールより高い、実質的には、多極イオンガイドの全長を横
断するイオンが中性背景気体と衝突する値にある第2のポンプ段1401から検
出器1403が位置している第3のポンプ段1402中に連続的に延長している
高圧動作式の非セグメント化された多極イオンガイドすなわち質量分析器140
0を図14に示す。この質量分析器は、4つ、6つ、8つ又はそれ以上の数のロ
ッド又は極で構成できるが、多極イオンガイドで達成可能なm/z選択分解能は
極の数が増すに連れて減少し、その結果、四極は質量分析器として一般に用いら
れている。したがって、この実施形態に示す質量分析器の場合、四極は提示され
たような構成となる。図14に略図を示すこの四極の多極イオンガイドアセンブ
リ1400は、共通のセンターライン1404の周りに等間隔で置かれた4つの
平行な極又はロッドから成る。理想的な四極質量分析器では、極の形状は双曲線
であるが、一般的には、製造しやすくするために、円状のロッドが用いられてい
る。円状ロッド104、105、106及び107を持つ四極の断面形状を図9
に示す。同じAC電位とDC電位が、ほとんどの四極動作モードに対して両側の
ロッド集合(104及び106並びに105及び107)に印加される。隣接す
るロッドは同じAC振幅とDC振幅を有するが、極性が逆である。加えて、共通
のDCオフセットをすべてのロッド104、105、106及び107に印加す
ることができる。
【0104】 本発明のこの実施形態では、非セグメント化四極質量分析器は第2のポンプ段
1401で始まるが、このポンプ段1401では、1x10-4トールを越える圧
力、実質的には、多極イオンガイドの全長を横断するイオンが中性背景気体と衝
突する圧力にある。この多極イオンガイド質量/電荷分析動作又は選択動作は、
RF電位とDC電位の組合せを印加し共振周波数を選択して不要なイオンm/z
値を拒否し、RF周波数又は振幅値又はこれらの方法を組み合わせることによっ
て達成することができる。m/z分析動作モード又はm/z選択動作モードでは
、イオンが背景気体と衝突すると、イオンが多極イオンガイドの全長を1回通過
して横断するに連れて半径方向と軸方向の選択されたイオンm/z軌道がスロー
ダウンする。多極イオンガイド中でより多くの時間を費やすイオンはより多くの
数のRFサイクルを経験する。このようにして、低背景圧力でより従来の操作方
法で四極質量分析器を用いて達成されるより高いm/z選択分解能をより短い多
極イオンガイド長に対して達成することができる。API MSシステムにおい
て高圧背景気体を用いる分析モードで多極イオンガイドを操作することによって
、真空ポンプ速度要件の減少したよりコンパクトなシステムの構成が可能となる
。小型となった多極イオンガイド構成によって駆動電子系の経費が下がり、高圧
動作によって真空システムの経費が減少する。このようなシステムは、中性背景
気体とイオンとの衝突を避ける又は最小化するに十分低く保たれている背景圧力
で操作される四極質量分析器を含む計器と比較して、API MSシステムの性
能を向上させることができる。溶剤が500nl/分未満から2ml/分を越え
る値の流量でAPCI噴霧器1417の先端1406に送出される大気圧化学イ
オン化(APCI)源1405を構成することができる。この実施形態は、これ
らに限られないが、電気噴霧(ES)、誘導カップリングプラズマ(ICP)、
グロー放電(GD)発生源、1つの発生源中の多極類似プローブ又は1つの発生
源中の互いに異なったプロー部の組合せなどの代替の発生源の内のどれによって
も再構成することができる。サンプル担持溶液を、液体送出システムでAPCI
源1405中に導入することができる。液体送出システムは、これらの限られな
いが、自動注入器有る/無しの液体ポンプ、液体クロマトグラフや細管電気泳動
などの分離システム、スプリンジポンプ、圧力容器、重力供給式容器又は溶液リ
ザーバを含むことがある。APCI源1405は、円筒形電極1407、コロナ
針1408、端プレート1409及び細管入り口電極1410に電位を印加する
ことによって操作される。逆流乾燥用気体1411は、ヒーター1412からA
PCI源チャンバ1405に端プレートの前座金1413の開口1414を介し
て流れに対して方向付けされる。図14に示すような真空に至るオリフィスは、
入り口オリフィス1416を持つ誘電性細管チューブ1415である。誘電性細
管チューブ1415から真空中に押し流されているイオンの電位が、米国特許第
4,542,293号に記載されている。正イオンを発生するためには、負のキ
ロボルト電位が、電極前座金1413を付けた端プレート電極1409と細管取
り入れ口電極1410に印加され、正のキロボルト電位が円筒形電極1407と
コロナ針1408に印加される。APCI噴霧器1417とAPCIヒーター1
418は、動作中はグランド電位にとどまる。負イオンを発生させるには、上記
の電極の極性を逆転させる。代替例として、ノズルすなわち導電性(金属製)の
細管を真空に至るオリフィスとして用いる場合、操作中にキロボルト電位をAP
CIコロナ針1408と円筒形電極1407に印加することができる。加熱され
た細管は、逆流乾燥用気体有る/無しで用いられる真空に至るオリフィスとして
構成することができる。
【0105】 ES源とは異なって、APCI源はイオン化に先立ってサンプルと溶剤分子蒸
気とを生成する。APCIイオン化プロセスは、電気噴霧とは異なって、気相分
子イオン/電荷交換反応を必要とする。サンプル溶液は、接続チューブ1420
からAPCIプローブ1417中に導入されて、APCI取り入れプローブ先端
1406から空気噴霧式に噴霧される。この噴霧された液体小滴空洞1421を
横断してAPCI気化器1418中に流入する。図示の実施形態では、空洞14
21は小滴分離器球で構成されている。分離器球1424は、噴霧器の取り入れ
プローブによって生成された噴霧から大きい小滴を除去して、これらが気化器1
418に入らないようにする。分離器球1424は、導入される溶液流量が少量
である場合は取り除いて感度を向上させることができる。液体の小滴は気化器1
418中で蒸発して、コロナ放電針先端1423の周辺及び/又は下流のコロナ
放電領域1422に入る前に蒸気を形成する。追加の補給気体流を独立に又はA
PCI取り入れプローブアセンブリを介して追加Iして、小滴と結果生じる蒸気
をAPCI源アセンブリを介しての移送を支援するようにしてもよい。円筒形レ
ンズ1407、コロナ放電針1408、前座金1413付き端プレート1409
及び細管取り入れ口電極1410に電位を印加することによって、電場が形成さ
れる。この印加された電位、逆流気体流1411及び気化器1418から出る気
体流全体は、コロナ針先端1423の周辺及び/又は下流の領域1422中に安
定したコロナ放電を確立するように設定される。大気圧化学イオン化によってコ
ロナ放電領域1422中で発生したイオンは、電場によって細管オリフィス14
16に向けて逆流浴槽気体1411に対して駆動される。イオンは細管オリフィ
ス1416から真空中に押し流されて、細管1415を通って第1の真空段14
25中に入る。細管が逆流乾燥用気体有る/無しで真空中に至るオリフィスとし
てヒーター1426で構成されている場合は、追加のエネルギを細管中の気体と
イオンに伝達することができる。この追加エネルギはフラグメンテーションのた
めのさらなる乾燥やさらなるエネルギ供給にとっては有る程度の時間にわたって
は有用である。第1の真空段1425に入るイオンの1部はスキマー1427か
ら第2の真空段1401中に方向付けされる。
【0106】 イオンは、大気圧イオン発生源1405中でサンプル担持液体から大気圧又は
ほぼ大気圧で発生される。このイオンは、真空仕切1428を介して通過する中
性背景気体によって搬送される誘電性細管チューブ1415から真空中に送出さ
れる。この中性背景気体は、出口オリフィス1429から真空中に膨脹し、この
膨脹の間に混入イオンを複数回の衝突によって加速しながら超音速噴流を形成す
る。1つ以上の真空ポンプ段を組み込んだ真空システムは、目的とするイオンが
API源オリフィスから質量分析器の入り口を横断する際に背景中性気体を除去
するように構成されていた。複数の真空ポンプ段を構成して、格段に対して必要
とされるポンプ速度を最小化すれば、API/MS計器の経費とサイズを減少さ
せることができる。一般的には、3つから4つの真空ポンプ段が低価格すなわち
ベンチトップ式API/MS計器では用いられている。複数真空段式ターボ分子
真空ポンプの開発によって、3段さらに4段からさえ成る真空システムでも、各
段中に満足すべき背景圧力を達成するのにたった1つの回転式ポンプとたった1
つのターボ分子ポンプしか必要としない。ACモード又はRFだけモードで操作
される多極イオンガイドは、第2の真空段1401及び/又は第3の真空ポンプ
段1402を介してイオンを効率的に移送する目的で、API/MS計器中で広
く用いられてきた。この実施形態では、背景圧力を0.2から2トールに保って
、回転式真空ポンプを用いて、ポンプポート1430から第1の真空段1425
を真空排気する。自由噴流膨脹の1部は、真空仕切1431の1部であるスキマ
ー1427から、背景圧力がスキマーオリフィス1432のサイズ及びポンプポ
ート1433を介する第2の真空段14301中でのポンプ速度によって10-4 から10-1トールの範囲に成り得る第2の真空段1401中に入る。イオンは、
真空仕切1434中を通過している質量分析器イオンガイドを介して第3のポン
プ段1402に送出されるが、この段はポンプポート1435から真空排気され
る。次に、イオンは質量分析器から出て、イオンを検出器1403中に収束させ
る出口レンズ1436を通過する。反射電極プレート1437もまた、イオンを
検出器中に収束する働きをする。この高圧四極システムは3つのポンプ段を有し
ている。質量/電荷分析又は選択の動作は、RF電位とDC電位の組合せを印加
して共振周波数を選択して不要なイオンm/z値を除去し、RF周波数又は振幅
をスキャニングし、又はこれらの方法を組み合わせることによって達成可能であ
る。加えて、従来型のCIDプロセスだけを実行することができる。このCID
プロセスは、細管を通ってくるすべてのイオンをフラグメント化するが、分子が
異なると結合力も異なるため、フラグメンテーション量の異なることがあり得る
【0107】 図14に示す実施形態のさらなる延長例を図15に示すが、同図には、圧力が
1x10-4トールより高い、実質的に、多極イオンガイドの全長を横断するイオ
ンが中性背景気体と衝突するような圧力にある第2のポンプ段から連続的に、検
出器が位置する第3のポンプ段中に延長しているセグメント質量分析器イオンガ
イド1500が示されている。この追加の実施形態のみをここでは概括するが、
図14に関して説明されたすべてはそのまま図15にも当てはまる。質量分析器
アセンブリ1500は、第2の真空段1501から第3の真空段1502に連続
的に延長している。また、前述のように、四極が質量分析器として用いられてお
り、4つの平行した極又はロッドが共通のセンターライン1506の周りに等間
隔で置かれている。イオンガイドをセクションにセグメント化すると、各ロッド
はセクションに分割されるが、これらのセクションは、組み立てられると、1つ
の連蔵したロッドとして整合される。ロッドアセンブリ中の各セグメントは自身
の隣接するセグメントから電気的に絶縁される。絶縁物はロッドセクションによ
って構成されて、ロッドと境界を接する領域無いの電場を歪ませる空間電荷効果
を最小化している。図15に示すように、これらお4つの連続したロッドはセグ
メント1503、1504及び1505に分けられ、また、絶縁接合部1507
と1508で隣接するセグメントから電気的に絶縁される。
【0108】 本実施形態はグロー放電(GD)発生源1409と共に図示されている。この
実施形態は、それに限られないが、電気噴霧(ES)、誘電カップリングプラズ
マ(ICP)、大気圧化学イオン化(APCI)源、1つの発生源中の複数の類
似プローブ又は1つの源中の様々なプローブの組合せなどの代替発生源の内のど
の発生源によっても再構成することができる。気体サンプルは実質的に大気圧以
下でポート1510中に導入することができる。GD発生源チャンバは、ポンプ
ポート1514に取り付けられているポンプによってこの圧力に保たれる。GD
発生源1509は、放電針1511と1512に電位を印加することによって操
作される。図15に示すような真空に至るオリフィスはノズル又はスキマー15
13である。イオンはGD発生源1509中で形成され、スキマー1513を通
って質量分析器に入る。
【0109】 質量選択は実行可能であり、例えば、セグメント1503と1505は、イオ
ン移送用のRFだけセグメントであり得るし、セグメント1504は質量選択モ
ードで動作するように構成されている。多極イオンガイド質量/電荷分析又は選
択の動作は、RF電位とDC電位の組合せを印加して共振周波数を選択して不要
なイオンm/z値を除去し、RF周波数又は振幅をスキャニングし、又はこれら
の方法を組み合わせることによって達成することができる。
【0110】 図16に、圧力が1x10-4トールより高い、実質的に、多極イオンガイドの
全長を横断するイオンが中性背景気体と衝突するような圧力にある第2のポンプ
段1602中に排他的に収納された非セグメント化された質量分析器イオンガイ
ド1600を示す。当業者には、この実施形態が、図14に示す実施形態で請求
されるすべての請求範囲を、ポンプ段1602に排他的に収納される質量分析器
1600と共に請求できることが理解されよう。電気噴霧発生源1608は、こ
のシステム上に構成されているが、このシステムは、これに限られないが、大気
圧化学イオン化(APCI)、誘電カップリングプラズマ(ICP)、グロー放
電(GD)発生源、1つの発生源中の複数の類似プローブ、または1つの源中の
様々なプローブの組合せなどの代替発生源の内のどれによっても再構成すること
ができる。電気噴霧発生源1608の詳細は、イオンの形成と、電気噴霧発生源
1608からスキマー1609の入り口へのイオンの移送と、に関連して、この
ハードウエアに対する変更と共に既に検討したので、ここでは繰り返さない。自
由噴流膨脹の1部は、真空仕切1610の1部を成すスキマー1609を介して
、スキマーオリフィスのサイズと、ポンプポート1612を介する第2の真空段
1602で用いられるポンプ速度とによって背景圧力が10-4から10-1トール
の範囲となり得る第2の真空段1602中に移動する。イオンは質量分析器16
00を通過して第2の段中の質量分析器から出る。この質量分析器から出たイオ
ンは、真空仕切1605の1部を成すレンズ1604を介して収束される。イオ
ンはこのレンズ1604を介して第3のポンプ段1603に送出されて、反射電
極1607によって検出器1606中に収束されるが、この段はポンプポート1
613から真空排気される。この高圧四極システムは3つのポンプ段を有してい
る。質量/電荷分析又は質量選択の動作は、RF電位とDC電位電位の組合せを
印加したり、RF周波数又は振幅の値をスキャニングしたり、又はこれらの方法
を組み合わせることによって達成することができる。
【0111】 図17に、圧力が1x10-4トール、実質的には、圧力が後出の多極イオンガ
イドの全長を横断するイオンが中性背景気体と衝突するような値である第2のポ
ンプ段1702中に排他的に収納されているセグメント化された質量分析北極イ
オンガイド1700を示す。当業者には、この実施形態が、図15に関連して述
べた実施形態で請求されるあらゆる請求の範囲を、第1のポンプ段1702中に
排他的に収納されているセグメント化された質量分析器1700と共に請求する
ことができることを理解されよう。このシステムでは、電気噴霧(ES)、大気
圧化学イオン化(APCI)、誘電カップリングプラズマ(ICP)、グロー放
電(GD)発生源、1つの発生源中の複数の類似プローブ、または1つの発生源
中の様々なプローブの組合せなどの発生源の内のどれでも構成することができる
。この発生源の詳細は、イオンの形成と発生源からスキマー1609の入り口へ
の移送に関連して、このハードウエアに対する変更と共に既に検討したので、こ
こでは繰り返さない。自由噴流膨脹の1部が、真空仕切1710の1部を成すス
キマー1709を介して、スキマーオリフィスのサイズと、ポンプポート171
2を介しての第2の真空段1702中で用いられるポンプ速度と、によって背景
圧力が10-4から10-1の範囲になり得る第2の真空段1702中に入り込む。
イオンはセグメント化された質量分析器1700中を走行して、第2の段171
2中の質量分析器から出る。このイオンは、セグメント1715、1717及び
1719に分解され、絶縁接合部1716と1718で隣接するセグメントから
絶電気的に縁されている4つの連続したロッドを通過する。質量分析器を出たイ
オンは、真空仕切1705の1部を成すレンズ1704を介して収束される。イ
オンは、このレンズ17043を介して第3のポンプ段1703に送出されて、
反射電極1707によって検出器1706中に収束されるが、この段はポンプポ
ート1713から真空排気される。この高圧四極システムは3つのポンプ段を有
している。質量/電荷分析又は質量選択の動作は、RF電位とDC電位の組合せ
を印加したり、RF周波数と振幅の値をスキャニングしたり、又はこれらの方法
を組合せることによって達成することができる。
【0112】 図18に、圧力が1x10-4トールを越え、実質的に、後出の多極イオンガイ
ドの全長を横断するイオンが中性背景気体と衝突するような値にある検出器18
06と共に第2のポンプ段1802中に排他的に収納されている非セグメント化
された質量分析器多極イオンガイド1800を示す。当業者には、この実施形態
が、図16に関連して説明した実施形態で請求されるあらゆる請求の範囲を、第
2のポンプ段1802中に排他的に収納されている質量分析器1800を追加と
してマイクロチャネルプレート(MCP)検出器1806と共に請求できること
が理解されよう。電気噴霧発生源1808はこのシステム上に構成されるが、こ
のシステムは、これに限られないが、大気圧化学イオン化(APCI)、誘電カ
ップリングプラズマ(ICP)、グロー放電(GD)発生源、1つの発生源中の
複数の類似プローブ又は1つの発生源中の様々なプローブの組合せなどの代替発
生源の内のどれによっても再構成することができる。電気噴霧発生源1808の
詳細は、イオンの形成と電気噴霧発生源1808からスキマー1809の入り口
への移送に関連して、このハードウエアに対する他の変更と共に既に説明したの
で、ここでは繰り返さない。自由噴流膨脹の1部は、真空仕切1810の1部を
成すスキマー1809を通過して、背景圧力が、スキマーオリフィスのサイズと
、ポンプポート1812を介しての第2の真空段1802中で用いられるポンプ
速度と、によって10-4から10-1トールの範囲の値を取り得る第2の真空段1
802中に入る。イオンは質量分析器1800中を通過して、第2の段中の質量
分析器から出る。レンズ1804を介して質量分析器から出たイオンは検出器1
806に送出される。レンズ1804を介して質量分析器1800から出たイオ
ンは、この同じポンプ段中で収束されるが、イオンは、ミリトール以下という低
圧力で操作され得るMCP検出器と衝突する。この高圧四極/検出器システムは
たった2つのポンプ段を持つだけであり、これで、API/MS計器の経費とサ
イズをさらに減少させる。この真空システムは、第2の段上にある1つの小型の
単一段のターボ分子ポンプと1つの回転式ポンプで構成して、各段中で所望の背
景圧力を達成し得るが、事実、代替例では、回転式ポンプだけで構成されている
。質量/電荷分析又は質量選択の動作は、RF電位とDC電位の組合せを印加し
たり、RF周波数と振幅の値をスキャニングしたり、これらの方法を組み合わせ
たりして達成することができる。
【0113】 図19に、圧力が1x10-4トールを越える、実質的に、後出の多極イオンガ
イドの全長を横断するイオンが中性背景気体と衝突するような値にある検出器1
906と共にポンプ段1902中に排他的に収納されているセグメント化質量分
析器イオンガイド1900を示す。当業者には、この実施形態が、図17に関連
して説明した実施形態で請求されるすべての請求範囲とさらに、第2のポンプ段
1902中に排他的に収納される質量分析器1900を、マイクロチャネルプレ
ート(MCP)検出器1906と共に請求することが可能である事が理解されよ
う。電気噴霧発生源1908はこのシステム上に構成されているが、このシステ
ムは、これに限られないが、大気圧化学イオン化(APCI)、誘電カップリン
グプラズマ(ICP)、グロー放電(GD)発生源、1つの発生源中の複数の類
似プローブ又は1つの発生源中の様々なプローブの組合せなどの代替発生源の内
のどれで構成することもできる。電気噴霧発生源1908の詳細は、イオンの形
成と、電気噴霧発生源1908からスキマー1909の入り口への移送と関連し
て、このハードウエアに対する他の変更例と共に既に説明したので、ここでは繰
り返さない。自由噴流膨脹の1部は、真空仕切1910の1部を成すスキマー1
909を通過して、背景圧力が、スキマーオリフィスのサイズと、ポンプポート
1912を開始する第2の真空段1902で用いられるポンプ速度とによって1
-4から10-1トールの範囲になり得る第2の真空段1902中に入る。イオン
は質量分析器1900を通過して第2の段中の質量分析器から出る。イオンは、
セグメント1913、1915及び1917に分解され隣接するセグメントから
絶縁接合部1914と1916で電気的に絶縁される4つの連続したロッドを通
過する。質量分析器から出たイオンはレンズ1904を介して収束され、検出器
1906に送出される。イオンはレンズ1904を介して質量分析器1900を
出て、この同じポンプ段中で、ミリトール範囲以下という低い値で操作すること
ができるMCP検出器と衝突する。この高圧四極/検出器システムはたった2つ
のポンプ段しか有せず、これによってAPI/MS計器の経費とサイズをさらに
減少させることができる。この真空システムは、第2の段上の1つの小型単一段
式ターボ分子ポンプと、1つの回転式ポンプと、から構成して、格段中で所望の
背景圧力を達成してもよいが、事実、代替例では、回転式ポンプだけで構成され
ている。質量/電荷分析又は質量選択の動作は、RF電位とDC電位の組合せを
印加したり、RF周波数や振幅の値をスキャニングしたり、これらの方法を組み
合わせたりして達成することができる。 引用した参考文献 ここに参照して組み込まれる以下の参考文献が上記で参照されている。 米国特許文書: 第5,401,962号 1995年3月28日 Robert Ferran 第5,613,294号 1997年3月25日 Robert Ferran 第4,234,791号 1980年11月18日 Christie Enk
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Mass Spectrometer)分析化学、第64巻、61〜68ページ
(1992年) C.F.Ijames、質量分光測定法に関する第44回ASTM会議、795
(1996年) 本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、さらなる修正例や変更例が明
らか又は自明であるので、この説明は制限を意味するものでないことを理解すべ
きである。本発明は、このような修正例と変更例を、添付クレームの範囲に収ま
るようなものも含めてその範囲に収める事を意図するものである。
【図面の簡単な説明】
イオンガイド質量選択TOF
【図1】 共通軸に沿って構成された3つの独立した多極イオンガイドで構成されたイオ
ン反射器を持つ電気噴霧イオン発生源直交パルス化経過時間質量分析器の略図で
ある。
【図2】 図1に示す3つの多極イオンガイドから成るアセンブリと周囲電極に対する電
子式電圧/制御モジュールの構成の略図である。
【図3】 セグメント化された2つの多極イオンガイドで構成された直交パルス化式の電
気噴霧イオン発生源TOF質量分析器の代替実施形態の略図である。
【図4】 (A)2つの多極イオンガイドから構成され、その内の第2のガイドが2つの
真空ポンプ段中に連続的に延長する、直交パルス化式の電気噴霧イオン発生源T
OF質量分析器の略図である。 (B)2つの真空ポンプ段中に連続的に延長する3セグメント式の多極イオン
ガイドで構成された、線形のフライトチューブ形状を持つ電気噴霧イオン発生源
の直交パルス化経過時間質量分析器の略図である。 (C)3つの真空ポンプ段中に連続的に延長する3セグメント式多極イオンガ
イドで構成された電気噴霧イオン発生源の直交パルス化経過時間質量分析器の略
図である。
【図5】 3つの多極イオンガイドアセンブリで構成され、その内の第2のアセンブリが
第2の真空段から第3の真空段中に延長し、第3のアセンブリがTOF質量分析
器の直交パルス化領域中に構成されている、直交パルス化式のAPITOF質量
分析器の略図である。
【図6】 2つの多極イオンガイドアセンブリで構成され、その内の第1のアセンブリが
、第3の真空段中に構成された第2と第3の真空ポンプ段中に延長する3セグメ
ント式イオンガイドとして構成されている、直交パルス化式のAPI源TOF質
量分析器の略図である。
【図7】 第2の真空段中に置かれたセグメント化されたイオンガイドアセンブリ並びに
第3の真空段中に置かれた第2及び第3の多極イオンガイドアセンブリを含む直
交パルス化式のAPI TOF質量分析器の略図である。
【図8】 四極イオンガイドの安定性の略図の1部である。
【図9】 丸形ロッドで構成された四極イオンガイドの断面略図である。
【図10】 3つの四極イオンガイドから構成され、その内の第2の四極イオンガイドが第
2の真空ポンプ段から第3の真空ポンプ段に連続的に延長する、電気噴霧イオン
発生源四極質量分析器の略図である。
【図11】 3つの四極イオンガイドで構成されたAPI源四極質量分析器の略図である。
その内の第3の四極イオンガイドが、第1と第2の四極に印加されるRFと比較
して異なったRF振幅と位相で操作される第3の低真空圧力真空段中に位置して
いる。
【図12】 第3の低圧真空段中に置かれた第2のイオンガイド中に延長する出口端を持つ
高圧の第2の真空ポンプ段中に置かれた3セグメント式多極イオンガイドアセン
ブリで構成されたAPI源四極質量分析器の略図である。
【図13】 第3のセグメントが第2の真空ポンプ段から第3の真空ポンプ段に連続的に延
長し、第2と第3のイオンガイド/検出器が第3の真空段中に置かれた、3セグ
メント式のセグメント化された多極イオンガイドアセンブリで構成されたAPI
源四極質量分析器の略図である。
【図14】 第2の真空ポンプ段から第3の真空ポンプ段中に連続的に延長する単一セグメ
ント式多極イオンガイドで構成された大気圧化学イオン化源四極質量分析器の略
図である。
【図15】 第3のセグメントが第2の真空ポンプ段から第3の真空ポンプ段中に連続的に
延長する3セグメント式多極イオンガイドで構成されるグロー放電イオン化源四
極質量分析器の略図である。
【図16】 第2の真空ポンプ段の高圧領域中に位置する四極と第3の低圧真空ポンプ段中
に位置する検出器で構成されたAPI源四極質量分析器の略図である。
【図17】 第2の真空段の高圧領域中に位置する3セグメント式イオンガイドと第3の低
圧真空段中に位置する検出器で構成されたAPI源四極質量分析器の略図である
【図18】 第2の真空ポンプ段の高圧領域中に位置する四極とこれまた第2の真空ポンプ
段中に位置する検出器で構成されたAPI源四極質量分析器の略図である。
【図19】 第2の真空段の高圧領域中に位置する3セグメント式イオンガイドとこれまた
第2の真空段中に位置する検出器で構成されたAPI源四極質量分析器の略図で
ある。
【図20】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 アンドリエン、 ブラス、 エー, ジュ ニア. アメリカ合衆国、 コネティカット州 06405 ブランフォード、 ビジネス パ ーク ドライブ 29、 アナリティカ オ ヴ ブランフォード インコーポレーテッ ド (72)発明者 ガルシエック、 イロル イー. アメリカ合衆国、 コネティカット州 06405 ブランフォード、 ビジネス パ ーク ドライブ 29、 アナリティカ オ ヴ ブランフォード インコーポレーテッ ド Fターム(参考) 5C038 JJ06 【要約の続き】 ドから隣接するイオンガイドにイオンを軸方向に加速す ることによって、三重四極の機能に類似した、イオンの 衝突誘導解離(CID)によるフラグメンテーションが 可能となる。代替例では、イオンは、3次元四極イオン トラップ中でのイオンのフラグメンテーション動作に類 似した共振周波数励起CIDを用いて1つ以上の多極イ オンガイド中でフラグメント化することができる。

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)実質的に大気圧で動作してサンプル物質からイオンを
    発生させるイオン発生源と; (b)少なくとも2つの真空段であり、前記真空段の各々が、気体をポンプし
    て部分的真空を発生させ、前記真空の第1の真空段が、前記イオン発生源によっ
    て発生された前記イオンが前記イオン発生源から脱出して前記第1の真空段中に
    入るようなものであり、前記真空段が、前記イオンが前記真空段のシーケンス中
    を移動できるように互いに連通している、少なくとも2つの真空段と; (c)前記真空段の内の少なくとも1つの中に位置する質量分析器/検出器と
    ; (d)複数の極を有する多極イオンガイドであり、前記多極イオンガイドが少
    なくとも1つのセグメントを有し、前記多極イオンガイドが、前記多極イオンガ
    イドが前記1つの真空段中で始まり、前記真空段のシーケンス中の少なくとも1
    つの後続真空段中に延長するように複数の真空段中に位置する、多極イオンガイ
    ドと; (e)前記多極イオンガイドの少なくとも1つのセグメントが高圧力で質量選
    択を実行することが可能であり; (f)前記多極イオンガイドの前記極に電圧を印加する手段と; を備える、化学種を分析する装置。
  2. 【請求項2】 前記イオン発生源が電気噴霧イオン発生源である、請求項1
    に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記イオン発生源が、大気圧化学イオン化イオン発生源であ
    る、請求項1に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記イオン発生源が、誘導カップリングプラズマイオン発生
    源である、請求項1に記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記イオン発生源が、グロー放電イオン発生源である、請求
    項1に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記多極イオンガイドが四極である、請求項1に記載の装置
  7. 【請求項7】 前記多極イオンガイドが六極である、請求項1に記載の装置
  8. 【請求項8】 前記多極イオンガイドが八極である、請求項1に記載の装置
  9. 【請求項9】 前記多極イオンガイドが九極以上である、請求項1に記載の
    装置。
  10. 【請求項10】 前記分析器が四極質量分光計である、請求項1に記載の装
    置。
  11. 【請求項11】 前記四極質量分光計が湾曲したロッドを有する、請求項1
    0に記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記分析器が三重の四極質量分光計である、請求項1に記
    載の装置。
  13. 【請求項13】 前記三重四極質量分光計が湾曲したロッドを有する、請求
    項12に記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記分析器が磁気セクター質量分光計である、請求項1に
    記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記分析器がフーリエ変換質量分光計である、請求項1に
    記載の装置。
  16. 【請求項16】 前記分析器がイオントラップ質量分光計である、請求項1
    に記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記分析器がハイブリッド質量分光計である、請求項1に
    記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記分析器が経過時間質量分光計である、請求項1に記載
    の装置。
  19. 【請求項19】 前記経過時間質量分光計が直交パルス化経過時間そつ量分
    光計である、請求項18に記載の装置。
  20. 【請求項20】 前記経過時間質量分光計が線形経過時間質量分光計である
    、請求項18に記載の装置。
  21. 【請求項21】 前記経過時間質量分光計がフィフレクトロン(Refle
    ctron)経過時間質量分光計である、請求項18に記載の装置。
  22. 【請求項22】 前記真空段を3つ備える、請求項1に記載の装置。
  23. 【請求項23】 前記真空段を4つ備える、請求項1に記載の装置。
  24. 【請求項24】 前記真空段を5つ以上備える、請求項1に記載の装置。
  25. 【請求項25】 前記多極イオンガイドセグメントを1つ備える、請求項1
    に記載の装置。
  26. 【請求項26】 前記多極イオンガイドセグメントを2つ備える、請求項1
    に記載の装置。
  27. 【請求項27】 前記多極イオンガイドセグメントを3つ備える、請求項1
    に記載の装置。
  28. 【請求項28】 前記多極イオンガイドセグメントを4つ備える、請求項1
    に記載の装置。
  29. 【請求項29】 前記多極イオンガイドセグメントを5つ備える、請求項1
    に記載の装置。
  30. 【請求項30】 前記多極院外度セグメントを6つ備える、請求項1に記載
    の装置。
  31. 【請求項31】 前記多極イオンガイドセグメントを7つ以上備える、請求
    項1に記載の装置。
  32. 【請求項32】 前記装置が少なくとも3つの真空段を備え;前記多極イオ
    ンガイドが、前記真空段の内の第2の真空段中で始まって、前記段の内の第3の
    真空段中に連続的に延長する;請求項1に記載の装置。
  33. 【請求項33】 前記多極イオンガイドが前記第1の真空段中で始まり、前
    記少なくとも2つの真空段の内の第2の真空段中に連続的に延長する、請求項1
    に記載の装置。
  34. 【請求項34】 前記多極イオンが3つの真空段中を連続的に延長する、請
    求項1に記載の装置。
  35. 【請求項35】 前記多極イオンガイドが前記第1の真空段中で始まる、請
    求項1に記載の装置。
  36. 【請求項36】 前記多極イオンガイドが前記少なくとも2つの真空段の内
    の第2の真空段中で始まる、請求項1に記載の装置。
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