JP4441102B2 - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池等の光起電力素子及びその製造方法に係り、特に電極構造を改良した光起電力素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽光発電が注目され、より大面積で低コストな光起電力素子の必要性が高まっている。一般に、光起電力素子を形成する光起電力層において、光起電力層内の電荷の素子面方向移動に対する抵抗率は高い。そのため大面積の光起電力素子の場合、電荷の素子面方向移動によるジュール損失を低減するために、金属からなる伝導率の高い電極をその表面に形成する。
【0003】
電極が光入射側の場合、金属からなる電極は一般に不透明であるため、入射光を極力遮らないように形成される。反対に電極が反光入射側の場合、電極は全面に形成しても構わないが、コスト削減のために必要最小限の部分に形成される場合もある。
【0004】
例えば図7のように、光入射面や裏面に櫛歯状に形成する電極700が公知である。光入射面の場合、この様に一定間隔に金属線電極が形成された櫛歯電極であれば極力入射光を遮らずに、ジュール損失を抑えて効率的に電荷を集電することが可能である。また裏面の場合、電極形成材料が少なくてすむため、より安価に形成することが可能である。
【0005】
しかし、この様な電極の製法は、導電性樹脂702をスクリーン印刷して焼成し、さらにその上に半田ペースト701を印刷し、リフローする方法である。したがって、電極の厚みを厚くすることが難しく、光起電力素子がより大面積になった場合に十分なジュール損失低減効果が得られなかった。
【0006】
そこで図8のように、電極の厚みを容易に厚くすることが可能な芯線801と電極802を使用した櫛歯電極が考案された。図8は、導電性樹脂被覆803により被覆された金属細線(芯線)801、すなわち被覆線を光起電力素子表面に熱圧着したものである。特開平9−36395号公報にその詳しい内容が開示されている。尚、芯線と電極の接合は、半田などの金属層を介して接合する方法や、導電性樹脂を介するものが知られている。
【0007】
従来の芯線と電極を使用した櫛歯電極には耐応力性を持たせることが容易ではなかった。
【0008】
例えば半田接合の様な金属層のみを介して、芯線と電極とを接合する場合、低抵抗な接合が可能であるが、接合部が弾性をほとんど有しないために芯線に加わる応力が芯線の接合部付け根に集中し、付け根において芯線が破断し易い欠点を有していた。このため、光起電力素子を太陽電池モジュールに組み込んだ際の芯線に残留する応力や、さらにその太陽電池モジュールに加わる風や雪の荷重によって太陽電池モジュールが撓むことから芯線に加わる応力や、光起電力素子の温度が変化することによって加わる応力が原因となって破断が生じ、太陽電池モジュールのエネルギー変換効率が低下し易かった。
【0009】
また、導電性樹脂のみを介して、芯線と電極とを接合する場合も、金属のみを介した接合と同様に耐応力性を持たせることが容易でない。導電性樹脂は、導電性微粒子と樹脂からなる。芯線と電極の間に導電性微粒子による電流経路を形成し、導電性微粒子間を埋める樹脂で電流経路を保持する。そのため、電流経路を増やし低抵抗化しようとすれば、導電性樹脂中の導電性粒子の含有率を増加させる必要がある。したがって保持機能を有する樹脂の含有率が減少し、接合部の弾性が低下することで耐応力性が無くなるため、前述の問題が発生し易かった。
【0010】
次に、被覆線について説明する。
【0011】
被覆線とは、芯線に被覆を形成したものである。被覆線は様々な分野で利用され、光ファイバーの様に芯線が伝達するものが光である場合は光学機器の分野で、芯線が伝達するものが熱である場合は冷凍機、温度計測器等の分野で、そして伝達するものが電磁界の場合は広くエレクトロニクスの分野で利用されている。特に、太陽電池の分野では、導電性樹脂により被覆された芯線、すなわち被覆線が光起電力素子で発生した電力を集めるために、素子の表面に配置されることが一般的である。
【0012】
一般に、被覆線の被覆は芯線が伝達するものを外界に放出しないように遮断する、もしくは適度に調節して放出する目的で形成される。ところが、被覆線のある部位ではこの被覆が無いことが望ましい場合がある。例えば、光ファイバーの被覆の無い部分から漏れ出る光を検出器で受ける場合や、被覆銅線の被覆の無い部分に接点を当てることでONし、離すことでOFFするスイッチなどが挙げられる。
このような被覆線の一部被覆がない構造を形成するには芯線の一部を除いて被覆を形成する方法もあるが、一般には芯線の全面に被覆を形成した後、被覆線の被覆を除去することが容易である。さらに、被覆除去方法としてはレーザ等のエネルギービームを照射することによって除去することが知られている。例えば、特開平7−7825号公報には金線や金めっき線に絶縁被覆樹脂を施した被覆線を空中に張り、エキシマレーザを照射することによって被覆を除去する方法が開示されている。また、特開平9−174263号公報には端子に巻き付けた絶縁被覆線にYAGレーザを照射することによって被覆を除去する方法が開示されている。
【0013】
ところで、被覆線の一部被覆の無い部分に、芯線が伝達するものを芯線と同様に伝達する別の部材を接合した構造も様々な分野で利用されている。特に、エレクトロニクスの分野では、被覆線がリード線として広く利用されており、被覆の一部を除去しその被覆除去部の芯線を他の電極と接合することが一般的である。この例において、芯線から他の電極に伝達されるのは、電気である。
【0014】
例えば特開平7−7825号公報では、被覆が除去された部分はワイヤボンディングによって他のエレクトロニクス部品に接続される。また、特開平9−174263号公報では、被覆除去部にはハンダが供給され端子と被覆線が接合される。
【0015】
上記従来例では以下の点が問題となっていた。
【0016】
従来方法では被覆線の被覆の剥離が十分になされなかった。
【0017】
特開平7−7825号公報においては、空中に張った被覆線にレーザ光を照射しているため、被覆線の位置に自由度が発生しやすい。したがって、レーザ光が照射された場合に被覆線がレーザ光から逃げる作用が働く。このため十分に被覆除去がなされにくかった。
【0018】
特開平9−174263号公報においては、端子に巻き付けた被覆線にレーザ光を照射している。この場合も被覆線がレーザ光のエネルギーを吸収し熱膨張し、巻き付けがゆるむために被覆線の位置に自由度が発生しやすい。したがって同様に、レーザ光が照射された場合に被覆線がレーザ光から逃げる作用が働く。このために被覆除去が十分になされにくかった。
【0019】
また、従来方法では被覆線の被覆剥離部の芯線と導体(電極)を接合することが容易でなく、信頼性の低いものとなっていた。
【0020】
ハンダなどのろう付けによる接合、導電性ぺースト等の接着剤による接合、溶接による接合、超音波によるボンディング等、公知の接合方法のほとんどが接合する二つの物体の面どうしを接触させ、両者の間を適度に近づけて置くことが、接合形成を容易にし、信頼性を高める上で必要である。
【0021】
また、特開平7−7825号公報において、被覆線の被覆除去部を他のエレクトロニクス部品に接触させることは困難であった。単純に被覆線にレーザ光を一方向から照射した場合、レーザ光が照射される面の反対側の面は影になり被覆が残留することが多く、被覆剥離は実質、片面のみしかなされない。したがって、被覆剥離線とエレクトロニクス部品を接触させるには、レーザが照射されて被覆が除去された被覆線の芯線の面を正確にエレクトロニクス部品に押し当てる被覆線ハンドリング機構が必要となる。被覆線は多くの場合、細線であり、捩じれ、折れ曲がり等が発生し易いことが多く、また、被覆除去部の面積も微小であることが多いためその様なハンドリング機構は実現が難しい。
【0022】
そこで、特開平7−7825号公報においては、単純に被覆線にレーザ光を照射することは避け、被覆線の全周にわたって被覆を除去する工夫がなされている。すなわち、凹面鏡を使用してレーザの直接照射される面の反対側の面にもレーザの反射光が照射される様にした機構であるが、この様な機構は加工の際の鏡の汚れ等で加工が不安定になり十分な被覆除去がなされない欠点があった。
【0023】
また、特開平9−174263号公報においては、被覆線を接合するエレクトロニクス部品に巻き付けているため、被覆線の被覆のうち、エレクトロニクス部品に対峙した面の被覆にレーザを照射し除去することが困難である。そのため、被覆線の芯線とエレクトロニクス部品の間に被覆が残留する。つまり接合したい二つの物体の間に被覆が挟まり二つの接触が不可能であった。その結果、ハンダ、導電性ぺースト等の接着剤を芯線とエレクトロニクス部品の間に介在させる接合方法の場合、芯線とエレクトロニクス部品の間に介在する残留被覆を迂回してハンダや導電性ぺーストによって導電経路を形成しなければならず信頼性の低い接合になることが多くなる。また、溶接や超音波ボンディング等の芯線とエレクトロニクス部品を直接接合する方法の場合は両者の間に残留被覆があるために接合の形成が不可能であった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題に鑑み、芯線により構成される被覆線等を使用した電極の信頼性を高めることができ、太陽電池モジュールのエネルギー変換効率を良好に維持することができる光起電力素子及びその製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0025】
また、本発明は、次の課題を解決することを第2の目的とする。
(1)エネルギービームの照射によって被覆線の被覆を除去する際に、被覆線の位置ずれを防ぎ良好な被覆除去を行う手段を得ること。
(2)エネルギービームの照射によって被覆線の被覆を除去し、その被覆除去部に導体(電極)を接合する場合に簡易に、確実に被覆線の芯線と導体(電極)とを突き当てる手段を得ること。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の目的を達成すべく、本発明の光起電力素子は、光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すための芯線と、該芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子において、
前記芯線と前記電極との接合部が、少なくとも第1の接合部と、該第1の接合部に隣接する第2の接合部を有しており、
前記第1の接合部と前記第2の接合部とはいずれも前記電極の前記光起電力素子表面とは反対側に存在し、
前記第2の接合部は、前記第1の接合部の、少なくとも前記光起電力素子表面に前記芯線が配置された側に存在し、
前記第2の接合部は導電性樹脂からなり、
前記第2の接合部の弾性が、前記第1の接合部の弾性よりも大きいことを特徴とする。
【0027】
上記光起電力素子において、前記第1の接合部の抵抗率が、前記第2の接合部の抵抗率よりも小さいことが好ましい。
【0028】
また、前記第1の接合部の組成と、前記第2の接合部の組成が異なることが好ましい。
【0029】
また、前記第1の接合部が金属であることが好ましく、この際、前記金属が、錫、鉛、銀、金、ニッケル、亜鉛、銅、半田からなる一群のうち少なくとも一つから構成されること、前記導電性樹脂が、ウレタンもしくはブチラールを含有すること、カップリング剤を含有することが好ましい。
【0030】
また、前記芯線が、導電性樹脂からなる被覆により覆われており、該芯線と前記光起電力素子の表面とが、該導電性樹脂を介して電気的に接続されており、前記導電性樹脂のうち、前記芯線と前記電極との間にある部分が、前記第2の接合部として機能することが好ましい。
【0031】
さらに、前記芯線が、金属細線であること、前記電極が、バスバー電極であることが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る光起電力素子の製造方法の第1は、光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すための芯線と、該芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子の製造方法において、
前記電極の前記光起電力素子表面とは反対側であって前記芯線と前記電極との間に、弾性の異なる少なくとも第1の接合部と、該第1の接合部の、少なくとも前記光起電力素子表面に前記芯線が配置された側に隣接し、導電性樹脂からなる第2の接合部とを形成することを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る光起電力素子の製造方法の第2は、光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すために用いられる被覆線と、該被覆線の芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子の製造方法において、前記被覆線から被覆の一部を除去する工程と、前記被覆線を、前記光起電力素子の表面に固定する工程と、前記芯線と前記電極とを、被覆を除去した部分と前記被覆とにおいて接合する工程と、を有することを特徴とする。
【0034】
上記光起電力素子の製造方法の第2において、前記被覆線から被覆の一部を除去する工程よりも前に、前記被覆線を前記光起電力素子の表面に固定する工程を行うことが好ましい。
【0035】
また、前記芯線と前記電極との間に形成される接合部のうち、前記被覆の弾性が、前記被覆を除去した部分に形成される接合部の弾性よりも大きいことが好ましい。
【0036】
また、レーザ光の照射により、前記被覆の一部を除去することが好ましく、この際、前記レーザ光の照射方向を、回転ミラーまたは回転プリズムを用いて変化させること、レーザ光が、Qスイッチ変調されたYAGレーザ光であることが好ましい。
【0037】
また、前記被覆を除去した部分に、金属を供給する工程をさらに有することが好ましい。
【0038】
さらに、前記被覆が、導電性樹脂であること、カーボンブラックもしくはグラファイトを含有することが好ましい。
【0039】
また、上記の第2の目的を達成すべく、本発明の被覆線の被覆除去方法は、被覆線の少なくとも一部を支持体上に固定部材を介して固定し、前記被覆線が固定された部分の少なくとも一部にエネルギービームを照射することによって前記被覆線の被覆を除去することを特徴とする。
【0040】
上記被覆線の被覆除去方法において、前記固定部材が少なくとも接着剤からなること、両面粘着テープからなることが好ましい。
【0041】
また、前記固定部材の前記エネルギービームに関するエネルギー吸収率と、前記被覆の前記エネルギービームに関するエネルギー吸収率との比が0.0001乃至0.9999であることが好ましい。
【0042】
さらに、前記支持体が光起電力素子であり、前記被覆線が集電電極であることが好ましい。
【0043】
次に、本発明の被覆線と導体の接合方法は、被覆線の少なくとも一部を支持体上に固定部材を介して固定し、前記被覆線が固定された部分の少なくとも一部にエネルギービームを照射することによって前記被覆線の被覆を除去し、前記被覆が除去された部分と、該被覆を除去した部分に隣接する被覆とに導体を接合することを特徴とする。
【0044】
上記被覆線と導体の接合方法において、前記固定部材が少なくとも接着剤からなること、両面粘着テープからなることが好ましい。
【0045】
また、前記固定部材の前記エネルギービームに関するエネルギー吸収率と、前記被覆の前記エネルギービームに関するエネルギー吸収率との比が0.0001乃至0.9999であることが好ましい。
【0046】
また、前記支持体に前記固定部材を介して前記導体を固定することが好ましい。
【0047】
また、前記支持体に前記固定部材を介して複数の前記被覆線を固定し、さらに前記導体を前記複数の被覆線に接合することが好ましい。
【0048】
さらに、前記支持体が光起電力素子であり、前記被覆線が光起電力素子の集電電極であり、前記導体がバスバー電極であることが好ましい。
【0049】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
以下に本発明の光起電力素子及びその製造方法の好適な実施の形態を説明するが、本発明は本実施の形態に限るものではない。
【0050】
図4は、本発明に係る光起電力素子の構造の一例を示す概略図である。図4は本発明の概念を示すものであり、本発明は図4に限定されない。本発明の光起電力素子は、少なくとも光起電力層401と、芯線402と、電極403と、これら芯線402と電極403との第1の接合部404と、この第1の接合部404に隣接する芯線402と電極403との第2の接合部405とから構成される。
【0051】
(光起電力層401)
本発明は、光起電力層の種類によって特にその効果を失することは無い。アモルファスシリコン、微結晶シリコン、薄膜単結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、あるいはシリコン以外の化合物半導体のどれを選択しても構わない。また、pn接合、pin接合、ショットキー型等の任意の接合構造を有することが可能である。
【0052】
光起電力層が薄膜の場合には、支持基板の上に光起電力層を形成しても構わない。代表的な基板としては、光入射側に基板を設ける場合にはガラス基板、非受光面側に基板を設ける場合には金属基板が挙げられる。
【0053】
また、光起電力層の下部に透過光を反射するバックリフレクターを有していても構わない。バックリフレクターとしては、アルミや銀の様に光の反射率の高い金属層の上に酸化亜鉛の層を堆積させたものが知られている。さらに、上記バックリフレクターや光起電力層の表面に凹凸を形成する処理を施しても良い。
【0054】
しかし、本発明は光起電力素子の形成時、及び太陽電池モジュールの形成時に、光起電力層の上の芯線に加わる応力とその後の残留応力や、さらにモジュールを外部環境に設置した場合の風、雪等により太陽電池モジュールが撓むことによって芯線に加わる応力に対する耐性を向上させることを目的としたものであるため、光起電力層が可撓性を有する程、また大面積である程、その効果は大きい。
【0055】
(芯線402)
本発明は、芯線の種類によって特にその効果を失することは無い。芯線は光起電力層で発生した電力を電極まで導くために用いられる。芯線としては、例えば、金属細線が好適である。芯線の材質としては、銅、アルミニウム、金、白金、銀、鉛、錫、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、チタン、モリブデン、タングステン、およびビスマス等の金属が主成分であることが好ましい。電力の損失を防ぐために、低抵抗の材質が好ましく、銅、金、銀、鉛、および錫の中から選ばれることがより好ましい。また、上記材質のものを多層に組み合わせても構わない。芯線の形状は、その断面が円、楕円、三角形、四角形、その他の多角形であって構わない。ただし、芯線の断面積、形状は、芯線におけるジュール損失および芯線が光起電力層に入射する光を遮ることによる損失の和が最小になるように決定することが望ましい。一般的には、断面積が80〜20000μm2程度のもので、断面の光起電力素子面方向と法線方向との比、アスペクト比が1に近いものが好適に用いられる。
【0056】
本発明の場合、芯線の材料としては、耐応力性が高いものが特に望ましい。その様な金属としては、銅、金、銀、鉛、および錫の様な靭性の高いものが好適である。一方、靭性を高めるために、熱アニールを施すことも有効である。特に銅は靭性が高く、かつ安価で耐腐食性が高いことから最も好適に用いられる。また芯線の断面形状としては、円形のものが最も耐応力性に優れているため好ましい。
【0057】
さらに、芯線としては、後述する第1の接合部の形成方法によって芯線表面に密着向上のための化学処理、耐腐蝕性向上のための防酸化処理、防錆処理、またはめっき処理等を施したものが望ましい。具体的には、銀、金、錫、鉛、ニッケル等の電界もしくは溶融めっき処理や、インジウム、錫、チタン等の金属酸化物の層を電着、スパッタ等の方法で表面に形成する。また、銀等を表面に熱圧着するクラッド処理も良い。
【0058】
また、光起電力層の表面と芯線との接合は導電性樹脂を介して行われることが知られている。導電性樹脂としては、銀、銅等の金属微粒子を樹脂中に分散させたものが一般的である。特に、大型の薄膜光起電力層を使用する場合には、炭素微粒子やインジウム錫酸化物や錫酸化物、チタン酸化物等の金属酸化物微粒子を含むものが好適に用いられる。
【0059】
芯線と光起電力層とを、導電性樹脂を介して接着するのは、光起電力層を大面積にわたって均一に形成することが難しいために、光起電力層の正極と負極とが短絡している欠陥部を有することが多いためである。このため、低抵抗な芯線が直接、かかる短絡欠陥部に接触することのないように、適度な抵抗率を有する導電性樹脂を間に介在させることが素子特性を低下させないために有効であるからである。
【0060】
なお、光起電力層の受光面側の表面には、ITO等からなる透明導電層が設けられることが一般的であり、この場合においては、導電性樹脂を介して芯線と透明導電層とが接着されることとなる。光起電力層上の透明導電層に、芯線を接着する場合にも後述する本発明が適用できることは、いうまでもない。
【0061】
(電極403)
本発明は、電極の種類によって特にその効果を失することは無い。電極は、芯線によって導かれた電力を集めて、光起電力素子の外部に導くために用いられる。電極の材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、鉛、錫、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、チタン、モリブデン、タングステン、およびビスマス等の金属が主成分であればどの様な構成であっても構わない。また、電力の損失を防ぐために低抵抗であることが好ましい。そのため電極の材質としては、銅、金、銀、鉛、および錫の中から選ばれることが好ましい。また、上記材質のものを多層に組み合わせても構わない。電極の形状は、その断面が円、楕円、三角形、四角形、その他の多角形であって構わない。なお、電極の断面の厚み、幅、形状は、電極を流れる電流によるジュール損失を光起電力素子の発電量と比較して十分小さくなる様に選択することがより好適である。もっとも一般的には、厚み10〜500μm程度の金属箔材を幅1〜30mm程度に形成して用いられる。
【0062】
さらに、後述する第1の接合部の形成方法によっては、電極表面に密着性向上のための化学処理、耐腐蝕性向上のための防酸化処理、防錆処理、またはめっき処理等を施したものが望ましい。具体的には、銀、金、錫、鉛、ニッケル等の電界もしくは溶融めっき処理や、インジウム、錫、チタン等の金属酸化物の層を電着、スパッタ等の方法で表面に形成する。また、銀等を表面に熱圧着するクラッド処理も良い。
【0063】
(芯線と電極との接合構造及び接合方法)
図4は、本発明の電極構造の一例を示す模式図である。本発明の芯線と電極との接続構造は、芯線402と電極403とを、少なくとも2種類の接合部404、405により接合することを特徴とする。406は接合部である。
【0064】
図4に示されるように、芯線402と電極403とは、第1の接合部404とこれに隣接する第2の接合部405とにより接合されている。第2の接合部の弾性を、第1の接合部の弾性よりも大きくすることが好ましい。また、第1の接合部の電気抵抗を、第2の接合部の電気抵抗より低くすることが好ましい。第1の接合部と第2の接合部の組成が、互いに異なっていてもよい。
【0065】
このような構成により、第1の接合部に隣接する第2の接合部が、第1の接合部を補強することができる。例えば、外部応力が接合部406に印加されても、相対的に弾性の高い第2の接合部がその応力を吸収することから、相対的に電気抵抗が小さい第1の接合部を保護することができる。すなわち、接合部406の耐性を向上させつつ、高い電気伝導性を確保している。
【0066】
第1の接合部、第2の接合部の材料は、第2の接合部の弾性が第1の接合部の弾性より相対的に高くなるように、適宜選択すればよい。例えば、(1)錫、鉛、銀、金、ニッケル、亜鉛、または銅等を含む金属材料や、(2)樹脂、(3)バインダー樹脂に導電性樹脂を分散させてなる導電性ペースト(導電性樹脂)等である。なお、第1の接合部の材料として、相対的に電気抵抗の低いものを選択すれば、接合部における電力損失を低減させつつ、接合部の強度を向上させることができる。例えば、第1の接合部として銀や半田等の金属材料、第2の接合部として導電性ペーストを用いることが最も好ましい。第1の接合部を芯線と電極との溶接により形成してもよい。
【0067】
これらの接合構造の形成方法としては、金属層が主に錫、鉛等の低融点金属からなる場合は、加熱液化した金属を芯線と電極との間に流す方法が適用できる。また、比較的融点の高い銀、金、ニッケル、亜鉛、銅等の金属層を介した場合の接合構造の形成方法としては、予め芯線と電極のうち、少なくとも一方にめっき法や電着法によって金属層を形成し、さらに芯線と電極の面を合わせ、圧力又は熱の少なくとも一方を加えることによって接合する方法が適用できる。さらに前述の面を合わせた部分に電流を流し発熱させるヒュージングも効果的である。
【0068】
<金属材料>
接合部として用いられる金属材料としては、錫、鉛、銀、金、ニッケル、亜鉛、銅等が好適である。
【0069】
<導電性ペースト>
導電性ペーストとしては、バインダー樹脂に、銀、金、銅等の金属やインジウム錫酸化物、錫酸化物、チタン酸化物等の金属酸化物、炭素等の導電性非金属等の導電性微粒子を分散させペースト状にしたものが挙げられる。この導電性ペーストを芯線と電極の少なくとも一方に塗布し、さらに芯線と電極の面を合わせ、圧力又は熱の少なくとも一方を加えることによって接合させる方法が適用できる。
【0070】
前述の通り芯線と電極との接合部は、可能な限り抵抗を下げ、接合部を流れる電流によるジュール損失を下げることが好ましい。そのため、導電性微粒子が導電性ペーストに占める体積率は、50乃至90%のものが好適に用いられる。
【0071】
また、金属酸化物微粒子よりは導電率の高い炭素微粒子が、炭素微粒子よりは導電率の高い金属微粒子がより好適である。金属微粒子を使用した方が他の微粒子を使用した場合よりも導電性ペーストに占める導電性微粒子の体積率を下げることが可能である。そのため、導電性ペーストに弾性、粘弾性を持たせることが可能になり、より耐応力性が増す効果が加わる。
【0072】
バインダー樹脂は、熱硬化性であっても、熱可塑性であっても良い。例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、およびフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0073】
ところで、導電性微粒子を介した接合は、芯線と導電性微粒子間、導電性微粒子と導電性微粒子間、および導電性微粒子と電極間のすべてが機械的接触によって電気接合を形成しているに過ぎず、その形状の保持はバインダー樹脂によっている。そのため、例えば金属微粒子を使用した場合に、バインダー樹脂が透湿性の高い樹脂であると金属表面が酸化し、接合部全体の抵抗が上昇する。
【0074】
この様なことを防ぐために、導電性微粒子としては、酸化しにくい銀、金が好適に用いられる。またバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等の透湿性の低いもの程好ましい。
【0075】
<樹脂>
また、第2の接合部として樹脂を用いる場合において、その樹脂は熱硬化性であっても、熱可塑性であってもよい。例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、プチラール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、およびフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0076】
さらに、本発明を別の例を用いて説明する。
【0077】
図5は、本発明の効果が発生するメカニズムを示す説明図である。図5(a)のように、芯線502と平行に芯線502を押す又は引っ張る方向に加わった応力は、直接に第1の接合部504に加わることなく、樹脂によって接合されている部分(第2の接合部)505で吸収される。第2の接合部の方が、第1の接合部よりも弾性が大きいからである。これによって、第1の接合部504に繰り返し加わる応力が緩和され、芯線502の疲労が押さえられる。
【0078】
また図5(b)のように、芯線に対して垂直方向に加わる応力に対しては、第2の接合部505で芯線502が樹脂(第2の接合部)の弾性によって緩いカーブで変形することによって、直接に第1の接合部504の根元に応力が集中して芯線502が破断するのを防ぐ効果が現れる。なお、図5(a),(b)において、501は光起電力層、503は電極である。
【0079】
この様な分析により、芯線と電極との接合部のうち、樹脂からなる第2の接合部が第1の接合部を保護していることが分かる。したがって、第2の接合部としては、適度な芯線と電極に対する接着力および弾性もしくは粘弾性を有し、外部応力から第1の接合部を保護する効果が高い樹脂が好ましい。その樹脂特性を得るためには、樹脂にウレタンもしくはブチラールを含有させることが好適である。
【0080】
また芯線もしくは電極との接着力を大きくするために、樹脂にカップリング剤を混ぜてもよい。シラン系、チタネート系のカップリング剤が好適に用いられる。
【0081】
接合部の形成方法としては、樹脂を芯線と電極の少なくとも一方にディスペンサーや筆等の公知の方法で塗布し、芯線と電極とを合わせた状態で加圧もしくは加熱する方法が適用できる。なお、後述する本発明の光起電力素子の製造方法における実施の形態による方法がさらに簡便であり、好適である。
【0082】
(その他)
<第1の接合部の面積と第2の接合部の面積>
第1の接合部の面積と、第2の接合部の面積との比率は、任意に決定することが可能であるが、第1の接合部はその抵抗率が十分低いこと、第2の接合部は隣接する第1の接合部を応力から保護するに十分であることの二つを満たすように設計されることが好ましい。
【0083】
特に芯線と電極との電気的接合のために導電性樹脂を用いた場合、前述のように導電性樹脂中の導電性微粒子は銀、金等の高価なものが好適に使用されるため、コストが高い。そこで、本発明のように、芯線と電極との接合部を、少なくとも2種類の接合部(第1の接合部、第2の接合部)により形成すれば、導電性微粒子の量を電気的接続のために最低限必要な量とすることができるため、安価に安定した接合が得られる。
【0084】
<基板>
光起電力層が薄膜系の場合、光起電力層を基板上に形成することが一般的に行われる。
【0085】
光起電力層の項目で記載した通り、基板としてはガラス、金属、樹脂等の板状のものが使用可能である。特に基板が光入射側の場合透明であることが必要であり、ガラスが好適に使用される。また、薄膜光起電力層がCVDによって形成される場合は基板が高温になるため、ガラス基板、金属基板、ポリイミド基板が好適である。
【0086】
<透明電極層>
一般的に、光起電力層の上には透明電極層が形成される。本発明の効果がこの透明電極層の有無によらないことはいうまでもない。一般的に、透明電極層は、インジウム錫酸化物、錫酸化物を、スパッタ法を用いて層状に形成される。また、金属を非常に薄く堆積させる方法も知られている。
【0087】
<太陽電池モジュール>
光起電力素子を複数直列化し、それらに被覆を形成することによって、モジュール化した太陽電池モジュールが知られている。
【0088】
本発明は、光起電力素子の耐応力性の向上を目的としたものであるため、より簡易な被覆を施し、応力によって撓みが生じ易いモジュール程、その本発明の効果は顕著である。この様な可撓性に富んだモジュールとしては、金属板の基板の上に裏面樹脂、光起電力素子、および表面樹脂を順次重ね、真空に脱気しながら加熱することで一体化したものが知られている。樹脂としては、耐候性に優れ、安価なEVAが一般的に使用される。
【0089】
以下に本発明の光起電力素子の製造方法における実施の形態を説明する。
【0090】
即ち、本発明の製造方法の第1は、光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すための芯線と、該芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子の製造方法において、前記芯線と前記電極との間に、弾性の異なる少なくとも2種類の接合部を形成するものであり、本発明の製造方法の第2は、光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すために用いられる被覆線と、該被覆線の芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子の製造方法において、前記被覆線から被覆の一部を除去する工程と、前記被覆線を前記光起電力素子の表面に固定する工程と、前記芯線と前記電極とを被覆を除去した部分と前記被覆とにおいて接合する工程と、を有するものである。
【0091】
図6は、本発明の光起電力素子の製造方法によって製造される光起電力素子の一例の芯線602に沿う模式的断面図である。
【0092】
図6において、605は被覆(第2の接合部)であり、光起電力層601、芯線602、電極603、被覆除去部(第1の接合部)604は前述した光起電力素子の実施の形態と同様である。613は被覆線(集電電極)であり、芯線602を被覆611により被覆したものである。
【0093】
図6のように、芯線602全体に塗布した樹脂からなる被覆611のうち、第1の接合部604を形成するところのみ剥離させる方法が非常に簡便である。第1の接合部604を形成するための剥離部分を必要最低限に留め、かつ芯線602を光起電力素子の表面である光起電力層601に接続する機能と、芯線602を電極603に接合する機能とを被覆611に持たせることで、光起電力素子を簡便に作成することが可能である。本例では、被覆611の一部605が、第2の接合部として機能している。なお、光起電力層601の表面全体に透明導電層を形成している場合には、被覆線(集電電極)613は透明導電層に接続されることとなる。
【0094】
上記のように被覆611に、芯線602を光起電力層601(あるいは透明導電層)に機械的にかつ電気的に接続する機能を持たせる場合には、被覆611には導電性樹脂を用いるのが好適である。そのため、炭素や金属酸化物からなる導電性微粒子を分散させた樹脂ペーストが好適に使用される。
【0095】
樹脂のペーストとしては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、およびフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0096】
第2の接合部に弾性をもたせるためにブチラールもしくはウレタンを含有させることも好ましい。
【0097】
また芯線、電極との接着性を高めるために、カップリング剤を添加することも好ましい。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系のカップリング剤が好適に用いられる。
【0098】
被覆611は多層であってもよい。芯線と光起電力層とが直接接すると金属イオンが光起電力層に拡散し素子性能を劣化させる場合がある。そのようなことを防ぐために、金属イオンブロック層として導電性樹脂層を形成することが知られている。この場合、樹脂は熱硬化性のものが用いられ、コート時に加熱して完全硬化させる。このブロック層の外側に接着層として半硬化の導電性樹脂被覆を形成する。そうして完成した樹脂被覆つきの芯線を光起電力層上に配置し、圧力と熱を加えると半硬化の樹脂によって固定される。このような方法を適用することができる。
【0099】
(芯線に被覆を形成する工程)
本発明は、芯線に被覆を形成する工程の種類によってその効果を失することは無い。樹脂被覆の樹脂は前述の通りである。芯線に樹脂被覆を形成する方法としては、ディスペンサーや筆、スプレー、ロールコータ等の方法が公知である。
【0100】
最も簡便な方法としては、図6のように芯線602を光起電力層601の表面に固定する被覆611と、電極602に固定する被覆605との共通化を図って、一括してロールコータで塗る方法が簡便で効果的である。樹脂の共通化によって大量に速く塗布することが可能である。
【0101】
(被覆線から被覆の一部を除去する工程)
本発明は、被覆を除去する工程の種類によってその効果を失することは無い。レーザを使用することによって芯線の表面から極めて選択的に樹脂被覆のみを除去することが容易に可能になる。レーザによる剥離以外では、化学薬品を塗布する方法やサンドペーパやカッター等で削る方法も適用できるが、これらの方法はレーザによる除去ほどの選択性は無く、芯線にダメージを及ぼし、芯線が破断し易くなる。したがって、レーザの方がより好適である。
【0102】
またレーザをスキャンすることによって、極めて微小の領域から大面積まで剥離部分を任意に形成することが、他の方法と比較すると容易に行える。レーザの種類としては、レーザ光のエネルギーが樹脂被覆において熱エネルギーに変換され、樹脂被覆の鎖が切断される効果があればどのようなレーザでも使用可能である。一般には、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザが最も好適に使用される。
【0103】
しかし、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザは装置が大型になり、メンテナンスが複雑であり、さらに高価なことからYAGレーザがもっとも好適である。さらに、YAGレーザ光にQスイッチ変調をかけ、パルス幅を短くすると同時にパルスピーク値を大きくすることが好ましい。このようにすることで熱の影響が芯線に伝わりにくくなるため、より被覆のみを除去する選択性が増す。また場合によっては、適度にデフォーカスすることも有効である。
【0104】
レーザ光のスキャン方法として、回転ミラーもしくは回転プリズムを使用したガルバノメータが非常に高速で好ましく、非常に簡便でもある。また、レーザ光を導く経路が固定光学系であって光ファイバーを使用しなくてすむため、レーザ光のスポット径をより小さくすることが可能であり、パルスピークにおけるエネルギー密度が高くなる。したがって、さらに選択性が増す。
【0105】
また、樹脂被覆にカーボンブラックやグラファイトのようなレーザ光のエネルギー吸収率が高い物質を含有させることで、剥離の選択性を増す効果を有する。
【0106】
さらに、芯線に対して、レーザ出射ユニットとは反対側にレーザの反射体を設置して照射すれば、芯線の外周に沿って全周被覆剥離するために有効である。反射体としては、反射率の高い金属体もしくはガラスに金属膜を蒸着したものが一般的である。
【0107】
<第2の実施形態>
以下に本発明の被覆線の被覆除去方法を詳しく説明する。
【0108】
図14に本発明第2の実施形態の被覆線の被覆除去方法の工程図を示す。図14は本発明の内容を説明するためのものであり、本発明は図14に限定されるものではない。
【0109】
(工程1)
支持体1602上に固定部材1603を固定する(図14(a))。
【0110】
(工程2)
被覆線1601の少なくとも一部を支持体1602上に固定部材1603を介して固定する(図14(b))。
【0111】
(工程3)
被覆線1601の支持体1602上に固定部材1603を介して固定された部分の少なくとも一部にエネルギービーム1604を照射する(図14(c))。これにより被覆線1601の被覆1601bのエネルギービーム1604が照射された部分が被覆線1601の芯線1601a表面より除去される(図14(d),(e))。
【0112】
エネルギービームによる被覆剥離の際に、被覆線がエネルギービームを受ける面はエネルギービームの入射方向に対して正確に垂直な平面であることは希であり、その結果エネルギービームが照射された際にエネルギービームの入射方向に対して垂直方向の運動量が被覆線に発生する。つまり、被覆線がエネルギービームから逃げる作用が働く。このため従来の被覆線を空中に保持し、支持体に固定することなくエネルギービームを照射する方法では被覆剥離が不十分になる傾向があった。
【0113】
また、被覆線がエネルギービームを受けるとエネルギービームのエネルギーを吸収し温度が上昇する。このため被覆線が熱膨張する。このため従来の支持体に被覆線を巻き付けて保持しエネルギービームを照射する方法では被覆線が伸長し緩み固定が不十分となる。その結果前述と同じく被覆線がエネルギービームから逃げ易く被覆剥離が不十分になる傾向があった。
【0114】
本発明の第2の実施形態においては、被覆線1601は固定部材1603により支持体1602に完全に固定されているため、従来のようなエネルギービーム照射による被覆線の位置ずれを防ぐ効果があり、したがって十分な被覆除去が可能となる。
【0115】
次に、本発明の構成要素を詳しく説明する。
【0116】
(被覆線)
被覆線1601は芯線1601aの表面に被覆1601bを形成したものである。図14において、被覆は一層のみであるが多層であってもよい。
【0117】
本発明は芯線の材質に限定されるものではない。ガラスファイバの様にガラスであっても良いし、熱伝導率の高い無機酸化物、半導体、金属であっても良い。芯線が電気導電性を有するものとしては一般にエレクトロニクスの分野においてリード線、電極、ケーブル、ヒューズ、コイル、等に使用される銅、アルミ、金、銀、鉄、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン等の金属単体やそれらの合金、超伝導転移点を有する無機酸化物、導電性を示す有機物等が公知である。さらに芯線表面に前述の材質の中で芯線の材質とは異なる材質からなる芯線めっき層、クラッド層があっても構わない。
【0118】
本発明は芯線の形状に特に限定されるものではない。芯線の断面は真円、楕円、三角形、多角形の何れであっても良い。しかし、一般に形成が容易で広く利用されるものは真円のものである。本発明の効果は芯線の太さに特に限定されるものではない。しかし、従来例と比較して芯線の張力によって位置を固定しにくいもの、熱によって伸長し易いもの程効果が顕著であるため10μm乃至1mmのものに対し効果的である。
【0119】
その他の芯線の特性としては弾性率、熱膨張率、エネルギービームのエネルギー吸収率、反射率が挙げられる。本発明の効果はこれらの芯線の特性によって限定されるものではない。しかし、従来例と比較して芯線の張力によって位置を固定しにくいもの、熱によって伸長し易いもの程効果が顕著であるため弾性率が大きいもの、熱膨張率が大きいものに対し効果的である。また、固定部材の弾性率が小さく堅いものの場合、固定部材の熱膨張率と芯線の熱膨張率が近いほど、被覆線の固定が容易であるため好ましい。
【0120】
芯線はエネルギービームによって損傷を受けないことが好ましい。したがってエネルギービームのエネルギー反射率が高いもしくは透過率が高く、吸収率が低いものほど好適である。
【0121】
本発明の効果は被覆線の固定によって発生するものであり、本発明の効果は被覆の材質によって限定されない。被覆はエネルギービームのエネルギーを吸収することで変性、分解、溶融、もしくは気化して芯線表面から剥がれる特性を有するものであれば樹脂、金属、無機絶縁体等何であっても構わない。ただし、容易に剥離可能であるためには、エネルギービームのエネルギー反射率、透過率が低く、吸収率が高いことが好ましい。そのためエネルギー吸収率の高い材質を使用する、もしくは混ぜることが好適である。一般的な樹脂被覆の例としてはウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、エナメル、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。これらに芯線との接着力を高めるためのカップリング材を添加することや、導電性を持たせるために導電性フィラーを樹脂中に添加することも公知である。エネルギービームの吸収率を高めるためにカーボン粒子等を添加することも公知である。
【0122】
また被覆の構造は異なる種類の材質を複数重ねた多層であっても良い。
【0123】
本発明は被覆の厚みによって限定されない。一般な厚みは0.01μm乃至1mm程度である。
【0124】
なお、太陽電池の技術分野においては、被覆線として、集電電極が挙げられる。
【0125】
(支持体)
支持体1602は被覆線を固定支持するためのものである。支持体上に被覆線を固定部材を介して固定した複合構造物が元の単体被覆線と比較して高い剛性を有するならば本発明は効果的である。その材質、サイズ、構造に左右されない。しかし、剛性の高いものが好適であるため材質は鉄、SUS、黄銅、アルミ等の金属、もしくはセラミックのような硬度の高い無機物が好適である。プラスチックのように弾性のあるものの場合はその厚みを厚くして剛性を高めることが好ましい。サイズは十分剛性を高められる程度の大きさであれば良い。好ましくは被覆線の長手方向に対して垂直方向のサイズが被覆線の太さ以上である。構造は平板、角材、丸棒、被覆線保持以外のその他の機能を持たせた構造であっても良い。被覆線にエネルギービームを照射する際に支持体自体がエネルギービーム照射経路に被らないように照射方向に対し開いた構造が望ましい。被覆除去のエネルギービームは被覆線のみならず支持体に照射される場合も有り得るため、エネルギービームが照射されることによって損傷を受けない程度の強度を有することが好ましい。また、エネルギービームに対する反射率が高いことも同様に好適である。固定部材と支持体界面の固定力が向上するように支持体表面を凹凸を形成する、多孔質化する等の表面改質も効果的である。
【0126】
なお、太陽電池の技術分野においては、支持体として、光起電力素子が挙げられる。
【0127】
(固定部材)
固定部材1603は被覆線と支持体の間にあって両者の相対位置を固定するための部材であり、その機能を有する範囲であれば特に制限はない。固定部材と支持体の界面の固定力はネジ止めやビス止めの様な機械的摩擦力によるものであっても、接着剤、粘着剤の様に分子レベルの化学的接合力によるものであっても良い。同様に固定部材と被覆線の界面の固定力は被覆線を二平面で挟みこんだ際に働く摩擦力によるものであっても、接着剤、粘着剤の様に分子レベルの化学的接合力によるものであっても良い。例えば、粘着テープ等である。
【0128】
固定部材と支持体、固定部材と被覆線の間の固定が機械的摩擦力による場合は固定部材は強固な摩擦力を発生させるために剛性が高いことが必要となる。図15(a)に機械的摩擦力による固定部材の一例を示す。なお、1701aは芯線、1701bは被覆である。図15(a)はバネ1703aによって閉じるクリップを固定部材1703としてネジ1703bによって支持体1702上に固定したものである。ネジ止めで固定部材と支持体の界面に摩擦力を発生させる場合、固定部材の剛性が低いと摩擦力の発生はネジ近辺の界面に限定される。したがって保持能力が劣る。また、固定部材の二平面で被覆線を挟みこんで固定部材と被覆線の界面に摩擦力を発生させる場合も同様に固定部材に剛性が低いと保持能力が劣る。この様な機械的固定の場合、固定部材の材質は上記の理由により剛性の高い金属、エポキシ樹脂等の形成部材などが好ましい。さらに、固定部材の構造としては被覆線のエネルギービーム照射側に被りエネルギービームを遮ることのないことが望まれる。
【0129】
従来の端子に被覆線を巻き付ける固定方法も固定部材(端子)と被覆線の界面に摩擦力を発生させ固定する方法であるが、本発明との差は摩擦力の発生機構である。従来の被覆線巻き付けは被覆線に残留する張力によって摩擦力が発生する。したがってエネルギービーム照射によって被覆線が伸長すると張力が弱くなり摩擦力が低下し、被覆線の固定が不十分となる。本発明においては摩擦力の発生は固定部材自身の機構によるものであり、被覆線の伸長に左右されない。
【0130】
上記の機械的摩擦力による固定部材は被覆線との接触面積が狭くなることが多く、固定が不十分になる場合がある。その結果、エネルギービーム照射中に被覆ワイヤが固定部材から外れて、被覆剥離が不十分になる場合もある。また、図15(a)の例の様に固定部材の構造が複雑になる傾向がある。
【0131】
以上のことから、固定部材としては図15(b)の様に接着剤もしくは粘着剤1703の分子レベルの化学的接合力によるものがより強固で容易であり好適である。
【0132】
接着剤1703は支持体1702および被覆線1701の表面に対し接着する作用を有するものであれば制限は無い。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、それらの混合物等の合成樹脂系やでんぷん、にかわ、松やに、アスファルト、タール等の天然有機系、さらにはセメント、ケイ酸ソーダ、ハンダ、銀ろう、セラミックス等の無機物等が接着剤として使用可能である。
【0133】
中でも合成樹脂系を使用した場合、その組成、添加剤、塗布条件、場合によっては硬化条件等を支持体表面及び被覆線表面の材質、粗さに合わせて変化させることが可能である。そのため接着力を容易に強化出来る点で合成樹脂系は優れている。さらに合成樹脂系の中でも粘着性を示すものが適度な弾性を示すために好ましい。
【0134】
被覆線にエネルギービームが照射され、エネルギーが被覆線に吸収されると被覆線が伸長し被覆線と固定部材の界面にずれ応力が発生する。この応力を吸収して接着固定を保持するためには固定部材の弾性が高いことが望まれる。粘着剤は一般にこの弾性が高く、特にエラストマーはゴム弾性を示す。また、粘着剤は被覆線を瞬時に支持体に固定可能である点においても好ましい。粘着剤の例としては熱可塑性のアクリル樹脂やエラストマーのシリコーンゴム系等が挙げられる。接着性の固定部材の形状としては、その被覆ワイヤとの接着面はエネルギービーム照射面に重なり被覆除去をさまたげることが無いことが好ましい。さらに固定部材がエネルギービームの入射経路に突出してビームを遮らないことが望ましい。固定部材として粘着剤を使用した場合、適度な弾性があり、被覆線の熱膨張に対する耐性が高まることを前述したが、被覆線と支持体との間の粘着剤の厚みが薄い程この性質は薄れる。従って粘着剤の厚みを適度に保つために図15(c)に示すように、基材1703bの両面に粘着剤1703aを塗布した両面粘着テープを使用することが効果的である。基材があることで基材と支持体間の粘着剤層が薄くなることを防ぐ効果があるため、適度な弾性を保つことが可能となる。また、両面粘着テープは固定部材の配設工程を容易にする効果がある。基材の種類はポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート等の樹脂系フィルムが適度な弾性を示し好適である。
【0135】
被覆除去のエネルギービーム1604は被覆線1601のみならず固定部材1603に照射される場合も有り得るため、固定部材はエネルギービームが照射されることによって損傷を受けない程度の強度を有することが好ましい。また、エネルギービームに対するエネルギー透過率、吸収率が低く、反射率が高いことも同様に好適である。固定部材の損傷を抑え、被覆除去を効率的に行うためには、固定部材のエネルギー吸収率と被覆のエネルギー吸収率との比(固定部材のエネルギー吸収率/被覆のエネルギー吸収率)が0.0001乃至0.9999であることが効果的である。
【0136】
(エネルギービーム)
エネルギービーム1604は少なくとも被覆線の被覆に吸収され得るエネルギーの流れであれば、その種類によって本発明の効果は特に制限されない。エネルギービームは電磁波、電子線、イオンビーム等が挙げられるが、一般には扱いが容易な電磁波が使用される。特に容易にエネルギー密度を高め、スポット的に照射可能なレーザ光が好適である。レーザ光の種類としてはYAGレーザに代表される固体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザに代表されるガスレーザ、その他液体レーザ、半導体レーザが使用可能である。被覆除去の用途としては対象となる被覆に吸収され易い波長のレーザを使用することが好ましい。しかし、レーザの種類によっては被覆によるエネルギー吸収率が高い波長のものであっても、エネルギー密度を十分に高めることが困難であり、したがって十分に被覆除去が出来ない場合もある。YAGレーザは多くの材質に吸収され易い赤外光の波長を有し、かつ発振にQスイッチによって変調を加えることによりエネルギー密度を容易に高めることが可能なレーザであり、本発明の場合特に好ましい。被覆除去工程においては、被覆に瞬時に高いエネルギー密度の光を照射するほど、被覆以外の部分に与える熱影響を抑えることが可能になる。その点において、Qスイッチ変調光は特に有効である。レーザ光はガルバノメータミラーでスキャンしレンズで集光することで容易に被覆線周辺に選択的に照射することが可能である。
【0137】
図16に本発明の被覆線と導体(電極)の接合方法の工程図を示す。図16は本発明の内容を説明するためのものであり、本発明は図に限定されるものではない。
【0138】
(工程1)
支持体1802上に固定部材1803を固定する(図16(a))。
【0139】
(工程2)
被覆線1801の少なくとも一部を支持体1802上に固定部材1803を介して固定する(図16(b))。
【0140】
(工程3)
被覆線1801の支持体1802上に固定部材1803を介して固定された部分の少なくとも一部にエネルギービーム1804を照射する(図16(c))。これにより被覆線1801の被覆1801bのエネルギービーム1804が照射された部分が被覆線1801の芯線1801a表面より除去される(図16(d),(e))。
【0141】
(工程4)
導体(電極)1805を被覆除去部と、被覆除去部に隣接する被覆に接合する。
【0142】
なお、工程1乃至3は前述の被覆線の被覆剥離方法と同様である。
【0143】
工程1乃至3によって被覆線のうち、エネルギービームの入射側の被覆が除去される。被覆線は支持体に固定された状態であるため、支持体をハンドリングすることで被覆剥離部を任意の方向に向けることが可能であり、工程4で導体(電極)を正確に被覆除去部に押し当て接合することが可能となる。被覆線を空中に張った状態で被覆線の片側面の被覆を除去した場合、被覆線の捩じれによって被覆剥離部が移動しやすい。そのため、導体(電極)を正確に被覆剥離部に接続しようとする場合、新たに被覆剥離部を検知して正確に被覆剥離部の裏側をハンドリングして導体(電極)に押し付ける、もしくは被覆線の全周の被覆を除去することが必要であった。これは被覆線が細い場合、非常に困難であった。また、他の従来例の様に被覆線を導体(電極)に先に巻き付けた後にエネルギービームを照射した場合、被覆剥離側とは反対側に導体(電極)が位置することになり、被覆線の芯線と導体(電極)の間に被覆が残留し接合が困難であった。本発明の場合、被覆剥離側を正確に導体(電極)側に向けることが容易であり、この様な困難は発生しない。
【0144】
(被覆線)
本発明の接合方法に用いられる被覆線1801は、前述した被覆線の被覆除去方法における被覆線と同様である。
【0145】
(支持体)
支持体1802は被覆線を固定支持するためのものである。支持体上に固定部材を介して被覆線を固定した複合構造物が元の単体被覆線と比較して高い剛性を有し、被覆線の捩じれを防ぐ効果があるならば本発明は効果的である。その材質、サイズ、構造に左右されない。しかし、本発明は細い被覆線を大きな支持体に固定しハンドリング性を向上させたことによるものであるため、支持体のサイズは被覆線のサイズと比較して大きいことが好ましい。その他の特徴は被覆線の被覆除去方法の支持体と同様である。
【0146】
(固定部材)
固定部材1803は前述した被覆線の被覆除去方法における固定部材と同様である。ただし、本発明では被覆線の被覆剥離部に導体(電極)を接続するので、被覆線を支持体に固定する固定部材で、同時に導体(電極)も支持体に固定することで、導体(電極)を被覆線の剥離部に確実に押し当てた状態で固定することが容易に可能である。
【0147】
(エネルギービーム)
エネルギービーム1804は前述の被覆線の被覆除去方法のエネルギービームと同様である。
【0148】
(導体)
導体1805は被覆線の芯線の伝達するものと同じものを伝達する性質のあるものならば良く、本発明の効果は導体の材質によって制限されない。伝達するものが光である場合はガラス等の透明物質、熱ならば無機酸化物、金属、半導体等が好適に用いられる。特に伝達するものが電磁界ならば銅、アルミ、金、銀、鉄、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン等の金属単体やそれらの合金、超伝導転移点を有する無機酸化物、導電性を示す有機物等が公知である。さらに導体表面に前述の材質の中で導体の材質とは異なる材質からなるめっき層、クラッド層があっても構わない。
【0149】
さらに、本発明の効果は導体の形状によって制限されない。角材、棒材、箔材、線材等のいずれであっても良い。
【0150】
太陽電池の技術分野においては、導体として、バスバー電極等の電極が挙げられる。
【0151】
(接合方法)
被覆線の芯線と導体の接合方法としては、被覆線の芯線と導体を適度に制御して突き合わせることによって接合が容易になり、信頼性の高い接合が形成される方法であれば本発明の効果は明らかである。具体的な例としてはハンダ、銀ろう、樹脂等の接着材を適度に介在させる接合方法。レーザ、抵抗加熱等による溶接、超音波によるボンディング等が挙げられる。接合の際に導体も、被覆線と同様に支持体に固定部材によって固定しておくことでより安定的に接合形成が可能となる。
【0152】
本発明は一つの導体に複数の被覆剥離線を接合する場合に特に有効である。一つの支持体上に固定部材を介してあらかじめ複数本の被覆線を固定しておき、エネルギービームを照射して被覆を一括除去し、そこに導体を接合することで一括して複数の接合を容易に形成可能となる。
【0153】
この様な接合形成方法は光起電力素子の集電電極として使用される被覆線とバスバー電極との接合形成に有効である。図9は、光起電力素子の受光面側に形成する電極構造の形成過程を示す模式図である。集電電極(被覆線)1101は、光起電力素子1102の光入射面上に形成される電極で、一般に入射光を遮らない様に細く形成される。形成方法の一例として芯線の外周に被覆として導電性接着剤を塗布し光入射面に接着する方法が公知である。光入射面と芯線の接着に使用される導電性接着剤は安価な導電率の低い接着剤が好適に使用される。集電電極に集電された電流は光入射面上外のバスバー電極(導体)1105にさらに集電されて素子外に導かれる。そのため集電電極(被覆線)1101とバスバー電極(導体)1105の接合部には集電された電流が集中しその部分でのジュール損失が大きくなる傾向がある。したがって前述の被覆を除去し芯線とバスバー電極とを直に、もしくは高導電率を有する部材を介して確実に接合することが必要になる。一般に集電電極は間隔をおいて複数本、光入射面上に接着される。そのため複数の集電電極を一つのバスバー電極に確実に低抵抗で接合しなければならない。したがって、本発明を光起電力素子の製造に利用した場合、効率的に素子の製造が可能となる。
【0154】
【実施例】
本発明の第1の実施形態例に係る好適な実施例について詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0155】
(実施例1)
本発明の一実施例として、図1に示すような光起電力素子を作製した。図1において、101は光起電力層、101aはボトムpin層、101bはミドルpin層、101cはトップpin層、102は芯線、103は電極、104は第1の接合部、105は第2の接合部、106は透明電極層、107はステンレス鋼製基板、108はAl層、109は酸化亜鉛層、110は両面テープ、111は、内層樹脂被覆111a、外層樹脂被覆111bよりなる被覆、112は陽極取り出し部、113は陰極取り出し部、114は被覆線(集電電極)である。
【0156】
(被覆線(集電電極)の作成)
被覆線114は、エナメル線用のロールコータ装置により、金属細線からなる芯線103の周囲に導電性樹脂の被覆111を塗布することにより作成した。導電性樹脂の被覆111は、金属イオンの移動をブロックするための内層樹脂被覆111aと芯線102を光起電力層101上および電極103上に接着固定するための外層樹脂被覆111bの二層構造にした。
【0157】
芯線102の材料として4〜5mmφの銀被覆銅線を準備し、伸線装置により直径100μmの銀被覆銅細線を作製した。この銀被覆銅細線を連続的に作製し、ボビンに500g巻き取った。
【0158】
次に、金属細線(銀を被覆した銅細線)をボビンから巻き出し、アセトンにより表面の油分を除去した。次に、内層用の導電性樹脂を含ませたフェルトを配置した処理槽に連続的に通した。この内層用導電性樹脂は、カーボンブラックを33質量部、ブチラール樹脂を6.4質量部、クレゾール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素系樹脂を4.2質量部、硬化材としてジオールイソシアネート18質量部、溶剤としてキシレン18質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを12質量部、シクロヘキサノンを3.6質量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7質量部、ペイントシェーカーで混合分散して作製した。
【0159】
塗布後ダイスを用いて不用な導電性樹脂を落とし、乾燥炉を通して完全硬化させた。このとき、線の送り速度とダイスの径を調整して内層樹脂被覆111aの膜厚を5μmとした。
【0160】
次に同様にして、外層用の導電性樹脂を含ませたフェルトを配置した処理槽に通した。この外層用の導電性樹脂は、カーボンブラックを35質量部、ウレタン樹脂を41質量部、フェノキシ樹脂を14質量部、硬化材として水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートを6質量部、溶剤として芳香族系溶剤を4質量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7質量部、ペイントシェーカーで混合分散して作製した。
【0161】
塗布後ダイスを用いて不用な導電性樹脂を取り除き、乾燥炉を通して半硬化させ、リールボビンに巻き取った。このとき、線の送り速度とダイスの径を調整して外層樹脂被覆111bの膜厚を25μmとした。
【0162】
このようにして導電性樹脂を被覆した被覆線114を作成した。この被覆線114、すなわち、導電性樹脂の被覆111を形成した芯線102をサンプリングし、断面及び表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、ピンホールのない均一な導電性樹脂被覆が形成されていた。
【0163】
(光起電力層の作成)
次に、光起電力層101を作製した。幅36cmのロール上に巻いた厚さ150μmのステンレス鋼製基板の上にロール・ツー・ロール法によるスパッタ装置で厚み2000ÅのAl層を形成した。さらに同様に、厚み1μmのZnOからなる下部電極を形成し、その後、マイクロ波プラズマCVD成膜装置に入れ、ボトムn層/i層/p層101a、ミドルn層/i層/p層101b、トップn層/i層/p層101cのアモルファスシリコン層を堆積し、トリプル型の光起電力層101を形成した。
【0164】
次に、反射防止効果を兼ねた機能を有する透明性導電膜106としてITO膜をスパッタ法で光起電力層101上に成膜した(成膜温度450℃、膜厚700Å)。
【0165】
そして、得られた光起電力層付きステンレス鋼製基板を長さ24cmに分割して、36cm×24cmの基板を作製した。基板の外周付近の透明電極層は幅1mmで除去した。除去方法は硫酸液の中に基板を浸し、基板と対向電極間に電界を印加する電界エッチング法を採用した。
【0166】
次に図2に示すように、前述したように得られた被覆線を布線機を用いて空中に布線した。さらに、YAGレーザを照射することによって被覆111を被覆線の長手方向に沿って2mmにわたって片面剥離した。
【0167】
使用したレーザ光はQスイッチ変調したYAGレーザ光であり、回転ミラーを使用したガルバノメータスキャナ(ワーキングディスタンス145mm)を用いて図2に示すスキャンエリア203の部分に上から照射して芯線上の被覆のみを選択的に除去した。以下、被覆を除去した部分を被覆除去部と呼ぶ。
【0168】
レーザの照射条件は、出力10W(サーモパイル型測定子で測定)、パルス周波数は50kHz、パルス幅は数n秒、スキャン速度は2000mm/秒、スポット径は約100μm、デフォーカス15mmとした。
【0169】
被覆除去部をSEMのX線解析装置で分析したところ、芯線の表面が露出し、残留している被覆は無かった。従来の薬品処理やサンドペーパを使用した被覆剥離と比較して、非常に選択的に速く剥離させることが可能であった。
【0170】
次に、光起電力層を形成した基板の両端に、図1のように両面テープ110(基材PET50μm、シリコン糊、長さ24cm、幅7mm)を接着させ、その上に電極103として幅5mm、長さ24cm、厚さ100μmの銅箔を貼り付けた。
【0171】
そして、前述の被覆線114と光起電力素子の表面とを接着した。前述の布線した芯線と基板とを、前述の被覆線の被覆除去部104(幅2mm)が電極(幅5mm)に接触するように配置し、公知の加熱圧着機で加熱、加圧して接着した。これによって、前述の半硬化の外層樹脂被覆111bが完全硬化して接着される。このとき同時に、同様の原理で芯線102と電極103との第2の接合部105も形成される。
【0172】
次に、被覆除去部分104に、6:4半田を供給し、半田ごてで加熱して芯線と電極との間に第1の接合部104を形成した。供給した半田の量は一つの第1の接合部当たり0.1gであった。
【0173】
このような構成により、電力を取り出すために必要な最小限の第1の接合部104とそれを応力から保護する第2の接合部105を非常に簡便に作製することが可能であった。
【0174】
このとき、導電性樹脂層(被覆)111の各種特性を調べたところ、ガラス転移点は110℃、比抵抗は7.2Ω・cmで、空隙率は0.01ml/gであった。
【0175】
さらに陽極取り出し部112、陰極取り出し部113を半田で接続して、36cm×24cm角のトリプルセル構成の光起電力素子を100個作製した。
【0176】
また、後述するように、光起電力素子(サンプル)は複数製作し、それらについて光電変換効率の測定、光起電力素子のメカニカルローディング試験を行った。また、光起電力素子を被覆してモジュール化し、温湿度サイクル試験、太陽電池のメカニカルローディング試験、光電変換効率の測定を行った。
【0177】
作製した光起電力素子の初期特性を以下のように測定した。
【0178】
まず、暗状態での電圧電流特性を測定し、原点付近の傾きからシャント抵抗を求めたところ、平均で200kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。
【0179】
次に、AM1.5グローバルの太陽光スペクトルで、100mW/cm2の光量の擬似太陽光源(SPIRE社製)を用いて、太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、9.0%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。また、歩留まりは98%であった。
【0180】
(光起電力素子のメカニカルローディング試験)
これらの光起電力素子の耐応力性を調べるために、曲率半径2mの撓みを上下に繰り返し加える試験を行った。試験条件は、一回の繰り返しに5秒、繰り返し回数は10000回で行った。試験終了後の光起電力素子を初期と同様の条件下においてシュミレーターで測定したところ、初期変換効率に対して平均で1.0%の劣化に留まり、ほとんど劣化しなかった。第1の接合部104の近傍において、芯線102はほとんど破断していなかった。
【0181】
(温湿度サイクル試験)
さらに、これらの光起電力素子を公知の方法(厚さ0.4mmのガルバリウム鋼板の上に厚さ460μmのEVA、光起電力素子、厚さ460μmのEVAの順に積層し、真空脱気加熱)でラミネートしてモジュール化し、日本工業規格C8917の結晶系太陽電池モジュ―ルの環境試験法及び耐久試験法に定められた温湿度サイクル試験A−2に基づいて信頼性試験を行なった。
【0182】
即ち、試料を温湿度が制御できる恒温恒湿器に投入し、−40℃から+85℃(相対湿度85%)に変化させるサイクル試験を20回繰り返し行なった。次に、試験終了後の光起電力素子を初期と同様にシュミレーターで測定したところ、初期変換効率に対して平均で2.0%の劣化に留まり、ほとんど劣化しなかった。
【0183】
(太陽電池モジュールのメカニカルローディング試験)
最後に、これらの太陽電池モジュールの耐応力性を調べるために、曲率半径2mの撓みを上下に繰り返し加える試験を行った。試験条件は、一回の繰り返しに5秒、繰り返し回数は10000回で行った。試験終了後の光起電力素子を初期と同様にシュミレータで測定したところ、初期変換効率に対して平均で3.0%の劣化に留まり、ほとんど劣化しなかった。
【0184】
本実施例から本発明の電極構造を持った光起電力素子は、良好な特性であり、信頼性も高いことがわかる。
【0185】
(比較例1)
本比較例は以下の点においてのみ、実施例1と異なる。
【0186】
図17(c)に示す様に、本比較例では被覆線の被覆剥離を7mm幅で行った(被覆除去部104の芯線102の長手方向に沿った長さを7mmとした)。これによって芯線と電極とを、半田のみにより接合したことから、第2の接合部が無くなった。即ち、芯線102と電極103とを、1種類の接合部により接合しており、接合部の材料を半田としている。被覆除去は、被覆除去薬品を筆で塗布し、ペーパタオルで拭き取る方法で行った。この方法は、レーザによる剥離よりも非常に手間がかかり、歩留まりを低下させる原因にもなった。
【0187】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
シャント抵抗を求めたところ、平均で200kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、9.0%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。歩留まりは90%であった。
【0188】
これらの光起電力素子の耐応力性を調べるために実施例1と同様のメカニカルローディング試験を行い、試験終了後の光起電力素子を初期と同様にシュミレーターで測定したところ、初期変換効率に対して平均で5.0%の劣化した。実施例1と比較して明らかに大きな劣化を示した。10%の芯線において、半田のみからなる接合部の付け根において芯線が破断しており、これが大きな劣化の原因であると考えられる。
【0189】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行なった。試験終了後の素子特性を測定したところ、初期変換効率に対して平均で9.0%劣化していた。
【0190】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った。試験終了後の素子特性測定したところ、初期変換効率に対して平均で15.0%の劣化が生じていた。試験後の太陽電池モジュールを調べたところ、30%の芯線が破断していた。
【0191】
本比較例と実施例1の比較により、本発明の効果は明らかである。
【0192】
(比較例2)
本比較例は、図18(c)に示す様に、芯線の樹脂被覆を除去しなかった点、および半田による電極との接合を行わなかった点においてのみ、実施例1と異なる。すなわち、芯線102と電極103とを、1種類の接合部により接合し、その接合部の材料を導電性樹脂としている。
【0193】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0194】
シャント抵抗を求めたところ、平均で300Ω・cm2で、シャントは生じていなかった。芯線の樹脂被覆による電極との接合部の抵抗は平均で0.4±0.1Ωであった。
【0195】
太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、8.5%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。歩留まりは97%であった。
【0196】
これらの光起電力素子の耐応力性を調べるために実施例1と同様のメカニカルローディング試験を行った。試験終了後の光起電力素子を初期と同様にシュミレーターで測定したところ、初期変換効率に対して平均で6.0%劣化した。実施例1と比較して明らかに大きな劣化を示した。この原因を調べたところ、芯線と電極との導電性樹脂による接合部のうち13%において、抵抗値が初期の5倍以上に上昇していた。
【0197】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った。試験終了後の素子特性を測定したところ、初期変換効率に対して平均で11.0%の劣化が生じていた。
【0198】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った。試験終了後の素子特性測定したところ、初期変換効率に対して平均で20.0%の劣化が生じていた。試験後の太陽電池モジュールを調べたところ、40%の芯線と電極との導電性樹脂による電気的接合部において、抵抗値が初期の5倍以上に上昇していた。
【0199】
本比較例と実施例1の比較により、本発明の効果は明らかである。
【0200】
(実施例2)
本実施例は、外層樹脂被覆111bにシランカップリング剤を混入させなかったことにおいてのみ、実施例1と異なる。実施例1の外層樹脂被覆111bよりも接着性が低下した。
【0201】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0202】
シャント抵抗を求めたところ、平均で200kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、9.0%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。歩留まりは98%であった。
【0203】
メカニカルローディング試験の結果、初期変換効率に対して平均で1.0%の劣化に留まり、ほとんど劣化しなかった。
【0204】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で5.0%の劣化が生じ、明らかに実施例1よりは劣化した。
【0205】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で6.0%の劣化が生じた。原因を調べると、12%の芯線に破断が生じていた。本実施例と実施例1との比較により樹脂にカップリング剤を添加することの効果は明らかである。
【0206】
(実施例3)
本実施例は、実施例1の外層樹脂被覆111bにウレタンを添加しなかったこと、および内層樹脂被覆111aにブチラールを添加しなかったことにおいてのみ異なる。実施例1の外層樹脂被覆111b、内層樹脂被覆111aよりも弾性が低下した。
【0207】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0208】
シャント抵抗を求めたところ、平均で200kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、9.0%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。また、歩留まりは98%であった。
【0209】
メカニカルローディング試験の結果、初期変換効率に対して平均で3.0%劣化した。明らかに実施例1よりは劣化した。この原因を解析した結果、6.0%の芯線で破断が生じていた。
【0210】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で7.0%劣化し、明らかに実施例1よりは劣化した。
【0211】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で8.0%の劣化が生じた。原因を調べると、16%の芯線において破断が生じていた。本実施例と実施例1との比較により樹脂にウレタンもしくはブチラールを添加することにより、第2の接合部の弾性を増すことの効果は明らかである。
【0212】
(実施例4)
本実施例は、芯線としてアルミ線を使用したことにおいてのみ、実施例1と異なる。
【0213】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0214】
シャント抵抗を求めたところ、平均で340kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、8.7%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。また、歩留まりは98%であった。
【0215】
メカニカルローディング試験の結果、初期変換効率に対して平均で3.0%劣化した。明らかに実施例1よりは劣化した。この原因を解析した結果、6.0%の芯線で破断が生じていた。
【0216】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で7.0%の劣化が生じ、明らかに実施例1よりは劣化した。
【0217】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で8.0%の劣化が生じた。原因を調べると、20%の芯線において破断が生じていた。本実施例と実施例1との比較により、芯線に銅からなる細線を使用することの効果は明らかである。銅の方が、アルミニウムよりも延性が大きいためと思われる。
【0218】
(実施例5)
図3は、実施例5の光起電力素子を示す概略図である。図3において、301は光起電力層、302は芯線、303は電極、304は第1の接合部、305は第2の接合部、310は両面テープ、311は、内層樹脂被覆311a、外層樹脂被覆311bよりなる被覆、312は陽極取り出し部、313は被覆線(集電電極)である。
【0219】
本実施例では、光起電力層301に厚さ1mmの多結晶シリコンを使用した点、透明電極層、バックリフレクター、ステンレス鋼製基板がない点、さらに裏面の電極に光入射側面と同様の芯線電極を使用した点において、実施例1と異なる。
【0220】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0221】
シャント抵抗を求めたところ、平均で500kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、10.5%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。また、歩留まりは99%であった。
【0222】
メカニカルローディング試験の結果、初期変換効率に対して平均で1.0%の劣化に留まった。このメカニカルローディングでは曲率半径を実施例1の5倍とした。
【0223】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で2.0%の劣化であった。
【0224】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で3.0%で有意な劣化は見られなかった。
【0225】
(比較例3)
本比較例は、被覆線313の被覆311の剥離を比較例2のように7mm幅で行った点においてのみ、実施例5と異なる。これによって、芯線と電極との間に第2の接合部が無くなった。
【0226】
作製した光起電力素子の初期特性を実施例1と同様に測定した。
【0227】
シャント抵抗を求めたところ、平均で500kΩ・cm2で、シャントは生じていなかった。太陽電池特性を測定し、変換効率を求めたところ、10.5%±0.2%で良好であり、ばらつきも少なかった。歩留まりは89%であった。
【0228】
メカニカルローディング試験の結果、初期変換効率に対して平均で5.0%の劣化した。明らかに実施例5と比較して大きく劣化した。このメカニカルローディングでは曲率半径を実施例5と同様に実施例1の5倍とした。原因を調べた結果、10%の芯線に破断が生じていた。
【0229】
さらに、これらの光起電力素子をラミネートしてモジュール化し、信頼性試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で7.0%劣化していた。
【0230】
最後に、再度メカニカルローディング試験を行った結果、初期変換効率に対して平均で9.0%した。原因を調べたところ、18%の芯線に破断が生じていた。
【0231】
本比較例と実施例1と実施例5との比較から、本発明は光起電力層の構成、および基板、透明電極の有無等にかかわらず、効果を奏することは明らかである。なお、後述する実施例6のように、被覆線と電極(バスバー電極)との位置関係が上下逆になっていてもよいことはいうまでもない。
【0232】
本発明の第2の実施形態に係る被覆線の被覆除去方法および被覆線と導体の接合方法について実施例に基づいて詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0233】
(実施例6)
図9に本例の被覆線の被覆除去工程よび被覆線と導体の接合工程を示す。
【0234】
(工程1)
支持体を作製した(図9(a))。
【0235】
本例では支持体1102として光起電力素子を使用した。光起電力素子は以下の様に作製した。幅36cmのロール上に巻いた厚さ150μmのステンレス基板の上にロールツーロール法によるスパッタ装置で厚み2000ÅのAl層(不図示)を形成し、さらに同様に厚み1μmのZnOからなる層(不図示)を形成して下部電極1102aを得た。その後、マイクロ波プラズマCVD成膜装置に入れ、ボトムn層/i層/p層、ミドルn層/i層/p層、トップn層/i層/p層のアモルファスシリコン層を堆積しトリプルの光起電力層1102bを形成した。さらに反射防止効果を兼ねた機能を有する透明性導電膜1102cとしてITO膜をスパッタ法で光起電力層上に成膜した(成膜温度450℃、膜厚700Å)。
【0236】
次に、得られた光起電力層付きステンレス基板を長さ24cmに分割して36cm×24cmの基板を作製した。基板の外周付近の透明電極層は幅1mmで除去した(不図示)。この際、同時に透明電極層には光起電力素子を有効発電エリア1102eと非有効発電エリア1102fに分割する分割溝1102dを形成した。透明電極層の除去方法は硫酸液の中に基板を浸し、基板と対向電極間に電界を印加する電界エッチング法を採用した。
【0237】
(工程2)
支持体1102の上に固定部材1103を固定した(図9(b))。
【0238】
前述の光起電力素子(支持体)の上の前述の非有効発電エリア1102f上に固定部材として両面テープを貼り付けた。両面テープのサイズは幅7mm、長さ240mmである。テープの粘着剤1103bはアクリル粘着剤を使用し厚みは片面につき60μmであった。テープの基材1103aは厚さ25μmのポリイミドと厚さ50μmのポリエチレンテレフタラートを厚さ60μmの粘着剤で貼り合わせたものを使用した。
【0239】
(工程3)
支持体(光起電力素子)上に固定部材(両面テープ)によって被覆線1101を固定した(図9(c))。
【0240】
前述の光起電力素子上に貼り付けた両面テープの上に図の様に被覆線1101を5.6mm間隔で42本(図示したのは5本のみ)貼り付けた。本実施例で使用した被覆線は次の様にして作成した。
【0241】
被覆線の芯線1101aの材料として4〜5mmφの銅線の外周に厚み50μmの銀箔を貼り付けたものを準備した。次にそれを伸線装置により直径100μの細線に整形した。この細線を連続的に作製しボビンに500g巻き取った。整形後の銀の被覆は厚み1μmであった。
【0242】
次にエナメル線用のロールコータ装置により芯線1101aの周りに被覆1101bを形成し被覆線を完成した。被覆1101bとしては導電性樹脂を塗布形成した。導電性樹脂層は完全硬化した内層(不図示)と被覆線を光起電力層上に接着固定するための外層(不図示)の二層構造にした。まず芯線をボビンから巻き出し、アセトンにより表面の油分を除去した。次に連続的にフェルトに内層用の導電性樹脂を含ませた処理槽を通した。この内層用導電性樹脂はカーボンブラックを33重量部、ブチラール樹脂6.4重量部、クレゾール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素系樹脂4.2重量部、硬化材としてジオールイソシアネート18重量部、溶剤としてキシレン18重量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを12重量部、シクロヘキサノンを3.6重量部、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェーカーで混合分散して作製した。塗布後ダイスを用いて不用な導電性樹脂を落とし、乾燥炉を通して完全硬化させた。このとき、線の送り速度とダイスの径を調整して内層導電性樹脂層の膜厚を5μmとした。次に同様にして外層導電性樹脂を含ませたフェルトを配置した処理槽を通した。この外層導電性樹脂はカーボンブラックを35重量部、ウレタン樹脂41重量部、フェノキシ樹脂14重量部、硬化材として水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート6重量部、溶剤として芳香族系溶剤4重量都、さらにカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.7重量部ペイントシェーカーで混合分散して作製した。塗布後ダイスを用いて不用な導電性樹脂を落とし、乾燥炉を通して半硬化させ、リールボビンに巻き取った。このとき、線の送り速度とダイスの径を調整して外層導電性樹脂層の膜厚を25μmとした。
【0243】
(工程4)
被覆線の固定部材(両面テープ)を介して支持体(光起電力素子)上に固定された部分にエネルギービーム1104を照射した(図9(d))。
【0244】
使用したエネルギービーム1104は波長1.06μmのYAGレーザ光である。図9(d)に示した様に被覆線を光起電力素子上に両面粘着テープで固定した部分に、被覆上から照射した。使用したレーザ光は公知のQスイッチによって出力ピーク値の高いパルス光に変調したレーザ光である。回転ミラーを使用したガルバノメータスキャナによってレーザ光の方向を変え、かつfθレンズによって被覆線にフォーカスさせた。レーザの照射条件は出力36W(サーモパイル型測定子で測定)、パルス周波数は50kHz、パルス幅は数n秒、スキャン速度は700mm/秒、スポット径はおよそ100μmであった。
【0245】
このエネルギービーム1104の照射によって、図9(e)の様にレーザ光の照射された部分の被覆線の被覆が除去された。除去部の長さは2mmであった。図9(f)のA断面図は被覆を剥離した部分の被覆線の断面である。A断面図の被覆剥離角βは支持体である光起電力素子の表面の法線方向と、A断面で見た被覆剥離部円弧の二等分線のなす角度である。本例ではこのβを測定したところ−40°乃至40°であった。また、A断面で見た被覆剥離部円弧のなす角(被覆剥離開き角)αは120°±30°であった。被覆除去部をSEMのX線解析装置で分析したところ、芯線表面の銀の特性X線量に対する被覆線の被覆の特性X線量の割合が0.1%未満であり被覆除去が良好に行われていることが確かめられた。
【0246】
(工程5)
被覆線の被覆が除去された部分に導体(バスバー電極電極)1105を接合した(図9(g))。
【0247】
図9(g)に示した様に被覆線の被覆が除去された部分に導体(バスバー電極)1105を接合させた。使用した導体(バスバー電極)は厚さ100μm、長さ240mm、幅6mmの銅箔に厚み1μmの銀めっきを施したものである。接合方法は銀ぺーストによる方法で行った。被覆線の被覆除去部分に銀ペーストを塗布し(図9(h)1106参照)、図9(g)に示した様に上から銅箔(導体)1105をのせた。この際に銅箔(導体)1105自体も固定部材(粘着テープ)を介して基板に固定されるように上から圧力を加えた。その後、素子全体を公知の真空ラミネート炉に入れて約1気圧の圧力を導体(バスバー電極)の上部から加えながら加熱することによって銀ペーストを硬化させ導体(バスバー電極)と被覆線との接合部を形成した。一定温度で一定時間加熱した。この際同時に、光起電力素子の有効発電エリア上の被覆線にも熱と圧力を印加し、被覆線の被覆を熱硬化させることによって被覆線が光起電力素子有効発電エリア上に接着固定した。
【0248】
図9(h)は、図9(g)のB−Bにおける模式的断面図である。芯線1101aと導体(バスバー電極)1105との間に、銀ペーストからなる第1の接合1106と、これに隣接して導電性樹脂からなる第2の接合部1107が形成されている。第2の接合部1107が応力を吸収し、第1の接合部1106を補強することから、芯線1101aの断線を防止することができる。
【0249】
この工程において、42本全ての被覆線の被覆剥離部分が確実に銅箔(導体)の側に向くように、被覆剥離角βが−40°乃至40°に保たれつつ被覆線が固定部材によって支持体に固定されたため非常に容易に、かつ確実に、抵抗の小さい被覆線の芯線とバスバー電極(導体)の接合を形成することが可能であった。また、本例ではバスバー電極(導体)自体が粘着テープ(固定部材)を介して光起電力素子(支持体)に固定されていたため前記接合を形成することがさらに容易であった。これらの理由によって、集電電極(被覆線)とバスバー電極(導体)との接合部におけるジュール損失が低減されたため特性の良い光起電力素子が得られた。得られた光起電力素子の特性は複数の平均変換効率が10%であった。変換効率の測定は光起電力素子の正電極と負電極に公知の出力端子を取りつけspire社のソーラーシュミレータに接続して行った。
【0250】
本例では固定部材として、接着材の一種の粘着剤を基材に両面塗付した両面テープ使用した。固定部材に粘着剤のような接着剤を使用したことにより支持体に被覆線を巻き付けて固定した公知例と比較して、固定部材と被覆線の界面の結合力が大きくなり、また界面の面積が広くなり安定的な固定が容易になされた。また、粘着剤を基材に両面塗付した両面テープを使用したことにより、被覆線と固定部材界面の適度で安定的な接着力が瞬時に得られた。かつ粘着テープは適度な弾性を有するため、被覆線がエネルギービーム照射によって伸長しているにも関わらず、被覆線との接着界面が剥がれないように応力を吸収していた。しかし、被覆除去率に影響が無い程度の被覆線の固定は実現されていた。つまり被覆線にエネルギービームを照射した場合の位置ずれ量は被覆除去率が低下しない程度に微小なものであった。使用した粘着剤はアクリル系のものである。使用した固定部材(粘着テープ)の使用したYAGレーザ光のエネルギーに対するエネルギー吸収率を測定したところ5%であった。エネルギー吸収率は被覆線の被覆除去に用いたレーザ光(被覆除去と同じ出力、パルス幅)をテープに照射し、テープを透過したレーザ光のエネルギーの照射エネルギーからの減少分を吸収エネルギーとして吸収率を算出した。透過エネルギーはサーモパイル測定子によって測定した。同様に被覆線の被覆のエネルギー吸収率を測定したところ、90%であった。したがって、本例における固定部材のエネルギー吸収率の被覆のエネルギー吸収率に対する比は0.0556である。これにより、固定部材はレーザ光によりダメージを受けず被覆線の被覆のみが選択的に除去されるためにエネルギービームの強度を十分高めることが可能であり、被覆の残留率が0.1%未満と非常に小さくすることが可能であった。本例の結果を表1に示す。
【0251】
(比較例4)
本例は実施例6と、支持体(光起電力素子)上に固定部材(粘着テープ)を介して被覆線を固定する工程と被覆線にエネルギービームを照射する工程の順序を逆にした点においてのみ異なる。図10に本例の工程図を示す。以下に実施例6と異なる3工程を説明する。なお、1205は導体(電極)、1201aは芯線、1201bは被覆、1202aは下部電極、1202bは光起電力層、1202cは透明性導電膜、1202dは分割溝、1202eは有効発電エリア、1202fは非有効発電エリア、1203aはテープの基材、1203bは粘着材である。
【0252】
(工程3)
被覆線1201を空中に図10(c)の様に布線した。
【0253】
実施例6と同等の被覆線1201を適当な長さに切断し両端をクリップ1206で固定し、長さ方向に張力をかけて被覆線を空中に布線した。被覆線は42本(図では5本)水平面内に布線した。
【0254】
(工程4)
布線した被覆線に実施例6と同等のエネルギービーム(YAGレーザ光:1204)を照射した(図10(d))。
【0255】
(工程5)
エネルギービーム1204照射によって被覆が剥離された部分が固定部材(粘着テープ)1203上に位置するようにクリップ1206の位置を操作して、被覆線を固定部材によって支持体(光起電力素子1202)上に固定した(図10(e))。
【0256】
図9(f)と同様に、図10(f)のA断面図は被覆を剥離した部分の被覆線の断面である。本例では図の被覆剥離角βを測定したところ−90°乃至90°であった。また被覆剥離開き角αは100°±40°であった。さらに、被覆線の被覆除去都をSEMのX線解析装置で分析したところ、芯線表面の銀の特性X線量に対する被覆線の被覆の特性X線量の割合が0.5%未満であった。得られた光起電力素子の特性は複数の平均変換効率が9.5%であった。
【0257】
本例では実施例6と比較してエネルギービームが照射される際の被覆線の位置固定が不十分である。即ち、被覆線の両端をクリップで挟み空中に保持しているのみであるため、クリップ間の被覆線の位置自由度が大きい。そのためエネルギービームを照射した際に反作用によって被覆線が逃げ、被覆除去が不十分となった。したがって実施例6と比較してαの平均が100°と狭く、そのばらつきも40°と大きくなっている。さらに被覆残留率も0.5%と実施例6の0.1%と比較して高い。このことから本発明の被覆除去方法の効果は明らかである。さらに本比較例では被覆除去後に被覆線を基板上に固定し、さらにその被覆除去部に導体(電極)を接続している。被覆除去後に被覆線を基板に固定することでβが実施例6の±40°と比較して±90°と大きくなっている。このことは即ち、導体(電極)を接続する際に被覆除去部を導体(電極)側に確実に向けられないことを示しており、導体(電極)と芯線の接続が困難であることを意味する。その結果として本比較例では実施例6と比較して導体(電極)と芯線の接続抵抗が大きくなり、光起電力素子のエネルギー変換効率が9.5%と低下している。これらのことから本発明の被覆線と導体(電極)の接続方法の効果は明らかである。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0258】
(実施例7)
本例は実施例6と、エネルギービームに炭酸ガスレーザを使用したことにおいてのみ異なる。使用したレーザ光は公知のRF励起のものであり、ガルバノメータスキャナによって方向を変化させた。さらにレーザ光をfθレンズによって被覆線に集光して被覆を除去した。照射条件は平均出力25W、スキャン速度は700mm/秒、スポット径はおよそ100μmであった。被覆線の被覆が本例の照射条件の炭酸ガスレーザ光のエネルギーを吸収する際の吸収率は95%であった。また、固定部材(両面粘着テープ)の同様の吸収率は10%であった。したがって、被覆と固定部材の吸収率比は0.1053であり実施例6と同様に0.0001乃至0.9999に含まれていた。
【0259】
結果、本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆線の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法の効果はレーザ光の種類によらないことが分かる。さらに、本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体(電極)の接合方法の効果はレーザ光の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0260】
(実施例8)
本例は実施例6と、エネルギービームに半導体レーザを使用したことにおいてのみ異なる。使用したレーザ光は中心波長808nmのパルスレーザである。光ファイバによって方向を変化させた。さらにレーザ光をレンズによって被覆線に集光して被覆を除去した。照射条件は平均出力60W、スキャン速度は500mm/秒、スポット径はおよそ500μmであった。被覆線の被覆が本例の照射条件の半導体レーザ光のエネルギーを吸収する際の吸収率は80%であった。また、固定部材(両面粘着テープ)の同様の吸収率は3%であった。したがって、被覆と固定部材の吸収率比は0.0375であり実施例6と同様に0.0001乃至0.9999に含まれていた。
【0261】
結果、本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法はレーザ光の種類によらず効果的であることが分かる。さらに、本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体(電極)の接合方法の効果はレーザ光の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0262】
(実施例9)
本例は実施例6と、エネルギービームにメタルハライドランプ光を使用したことにおいてのみ異なる。使用したランプ光は光ファイバによって方向を変化させた。さらにレーザ光をレンズによって被覆線に集光して被覆を除去した。照射条件は平均出力1.5kW、スキャン速度は300mm/秒、スポット径はおよそ2mmであった。被覆線の被覆が、本例の照射条件においてメタルハライドランプ光のエネルギーを吸収する際の吸収率は85%であった。また、固定部材(両面粘着テープ)の同様の吸収率は7%であった。したがって、被覆と固定部材の吸収率比は0.0824であり実施例6と同様に0.0001乃至0.9999に含まれていた。
【0263】
結果、本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法はエネルギービームの種類によらなず効果的であることが分かる。さらに、本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線との電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体(電極)の接合方法の効果はエネルギービームの種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0264】
(実施例10)
本例は実施例6と、導体(電極)に線材を使用したこと、及び基板のサイズを10cm×10cmに作製した点においてのみ異なる。使用した導体は直径100μm、長さ100mmの銅線に厚み1μmの銀めっきを施したものである。一本の導体に17本の被覆線を接続した。
【0265】
本例においても実施例6と同様に17本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は導体の形状、種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0266】
(実施例11)
本例は実施例6と、両面粘着テープ(固定部材)の粘着剤にシリコン系粘着剤を使用した点においてのみ異なる。本例においても固定部材のYAGレーザ光に対するエネルギー吸収率は5%であり実施例6と同じであった。したがって、被覆と固定部材の吸収率比は0.0556であり実施例6と同様に0.0001乃至0.9999に含まれていた。
【0267】
結果、本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法は粘着剤の種類によらず効果的であることが分かる。さらに、本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は粘着剤の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0268】
(実施例12)
本例は実施例6と、被覆線の被覆に銀ペーストを使用した点においてのみ異なる。本例においては被覆線の被覆がYAGレーザ光を受ける際のエネルギー吸収率は実施例6より低く50%であった。しかし、被覆と固定部材の吸収率比は0.1000であり実施例6と同様に0.0001乃至0.9999に含まれていた。
【0269】
結果、本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆線の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法の効果は被覆線の被覆の種類によらないことが分かる。さらに、本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は被覆線の被覆の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0270】
(実施例13)
本例は実施例6と、被覆線と導体の接合手段が半田接合であることにおいてのみ異なる。半田は共晶半田を使用した。実施例6の銀ペーストの替りに半田ぺーストを被覆線の被覆除去部上に塗布し上から銅箔(導体)を載せた。この際に導体(銅箔)自体も固定部材(粘着テープ)を介して基板に固定されるように上から圧力を加えた。その後、上から導体を加熱して半田を融解させて導体と被覆線の接合を形成した。
【0271】
本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は導体と被覆線の接合手段の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0272】
(実施例14)
本例は実施例6と、被覆線と導体の接合手段がレーザ溶接であることにおいてのみ異なる。実施例6の銀ペーストを塗布せずに上から銅箔(導体)を被覆線の被覆除去部に載せた。この際に導体(銅箔)自体も固定部材(粘着テープ)を介して基板に固定されるように上から圧力を加えた。さらに導体表面に溶接用のレーザ光の反射を防止するために黒インキを塗布した。その後、被覆線の被覆除去部と導体が密着するように上から押さえ治具によって圧力を加えながら導体と被覆線の交点にYAGレーザ光を照射して被覆線と導体を溶融させて接合を形成した。照射したYAGレーザ光はパルス幅5ms、エネルギー5Jであった。光ファイバーによって伝送しレンズによってスポット径100μmに集光した。
【0273】
本例においても実施例6と同様に42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が十分低抵抗で形成された。これによって実施例6と同様に素子の平均変換効率10.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は導体と被覆線の接合手段によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0274】
(実施例15)
本例は支持体にサイズ10cm×10cmの多結晶シリコン基板を使用したことにおいてのみ実施例6と異なる。公知の製法で得られた多結晶シリコンインゴットを公知の方法でスライスし表面凹凸化処理を行った。続いてn型物質を表面に熱拡散させてpn接合とした。さらに裏面にアルミを成膜した後、熱拡散させることで光起電力素子基板を得た。
【0275】
本例においても実施例6と同様に0.1%未満の被覆の残留率が得られ、同様の発明の効果が現れた。本例から本発明の被覆線の被覆除去方法は支持体の種類によらず効果的であることが分かる。さらに、本例においても42本の被覆線全てにおいて被覆剥離開き角120°±30°が得られており、バスバーと被覆線の電気的接続が実施例6同様に十分低抵抗で形成された。これによって素子の平均変換効率15.0%が得られ、実施例6と同等の効果が得られた。本例から本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は支持体の種類によらないことが分かる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0276】
(実施例16)
本例は固定部材にエポキシ接着剤を使用したことにおいてのみ実施例6と異なる。実施例6の両面粘着テープの代りに速乾性のエポキシ接着剤をスクリーン印刷しそれによって被覆線を支持体に固定した。接着剤の厚みは20μmであった。固定部材を支持体上に配設する工程は実施例6の両面テープを貼り付ける方法が簡便であり歩留まりの点で優れていた。
【0277】
本例ではレーザ光を被覆線に照射した際に、被覆線が固定部材を介して支持体上に固定されている部分のうち、レーザ光が照射された部分の被覆線と固定部材界面に若干剥離が生じた。そのため、固定が不十分となり被覆線のずれが発生した。このずれが原因となって被覆の除去率が低下し被覆の残留率が実施例6の0.1%未満と比較して0.2%未満と増加した。また固定が不十分なために、被覆の剥離角が−45°乃至45°とばらつきが若干大きくなった。しかし、これらの結果から被覆線と導体の接合部の抵抗も実施例6と比較して上昇し光起電力素子の変換効率が9.8%と0.2%の減少に留まった。本例から固定部材に両面粘着テープを使用することの効果は明らかである一方、接着剤でもある程度の効果が得られる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0278】
(実施例17)
本例は両面粘着テープの基材に炭素系の塗料が練り込まれておりYAGレーザ光のエネルギー吸収率が90%と高い点においてのみ実施例6と異なる。したがって被覆線の被覆のエネルギー吸収率との比が1.0000である。本例ではレーザ光を被覆線に照射した際に固定部材(両面粘着テープ)にもダメージが発生し、被覆線が固定部材を介して支持体上に固定されている部分のうち、レーザ光が照射された部分の被覆線と固定部材界面に若干剥離が生じた。そのため、固定が不十分となり被覆線のずれが発生した。このずれが原因となって被覆の除去率が低下し被覆の残留率が実施例6の0.1%未満と比較して0.2%未満と増加した。また固定が不十分なために、被覆の剥離角が−45°乃至45°とばらつきが若干大きくなった。しかし、これらの結果から被覆線と導体の接合部の抵抗も実施例6と比較して上昇し光起電力素子の変換効率が9.8%と0.2%の減少に留まった。実施例6乃至16と本例の比較から被覆線の被覆と固定部材のエネルギー吸収率の比を0.0001乃至0.9999にすることの効果は明らかである一方、本例でもある程度の効果が得られる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0279】
(実施例18)
本例は導体(銅箔)を固定部材(粘着テープ)を介して基板上に固定するために圧力を加える工程を省いた点においてのみ実施例6と異なる。本例においては導体と被覆線を接合する際、導体の固定が実施例6と比較して不十分であるために導体と被覆線を十分に密着させながら接合を形成することが出来なかった。しかし、このため被覆線と導体間の抵抗が実施例6と比較して上昇し光起電力素子の変換効率が9.8%と0.2%の減少に留まった。本例から、固定部材を介して導体を支持体に固定することの効果は明らかである一方、本例でもある程度の効果が得られる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0280】
(実施例19)
実施例6とは別の本発明の一例を示す。本例は絶縁被覆線と銅箔の接合方法である。図11に本例の被覆線の剥離方法および被覆線と導体の接合方法の工程を示す。
【0281】
(工程1)
支持体1302を作製し、支持体1302の上に固定部材1303を固定した厚さ5mmのステンレス基板を使用した(図11(a))。
【0282】
具体的には支持体の上に固定部材として両面テープを貼り付けた。両面テープのサイズは幅7mm、長さ10mmである。テープの粘着剤はアクリル粘着剤を使用し厚みは片面につき100μmであった。テープの基材は厚さ100μmのポリエチレンテレフタラートを使用した。
【0283】
(工程2)
支持体(ステンレス基板)1302上に固定部材(両面テープ)1303によって被覆線1301を固定した(図11(b))。
【0284】
具体的には前述の支持体上に貼り付けた両面テープの上に図11(b)の様に被覆線を貼り付けた。本実施例で使用した被覆線は直径0.5mmのエナメル被覆線である。エナメル被覆の厚みは100μmであった。1301aは芯線である。
【0285】
(工程3)
被覆線の固定部材(両面テープ)を介して支持体上に固定された部分にエネルギービーム1304を照射した(図11(c))。
【0286】
使用したエネルギービームは波長1.06μmのYAGレーザ光である。図11(c)に示した様に被覆線を支持体上に両面粘着テープで固定した部分に、上から照射した。被覆使用したレーザ光は公知のQスイッチによって出力ピーク値の高いパルス光に変調したレーザ光である。回転ミラーを使用したガルバノメータスキャナによってレーザ光の方向を変え、かつfθレンズによって被覆線にフォーカスさせた。レーザの照射条件は出力50W(サーモパイル型測定子で測定)、パルス周波数は30kHz、パルス幅は数n秒、スキャン速度は700mm/秒、スポット径はおよそ100μmであった。
【0287】
このエネルギービーム1304の照射によって、図11(d),(e)の様にレーザ光の照射された部分の被覆線の被覆が除去された。除去部の長さは1mmであった。実施例6と同様に被覆剥離角βを支持体の表面の法線方向と、A断面で見た被覆剥離部円弧の二等分線のなす角度とする。本例ではこのβを測定したところ−40°乃至40°であった。また被覆剥離部円弧のなす中心角(被覆剥離開き角)αは120°±30°であった。被覆除去部をSEMのX線解析装置で分析したところ、芯線表面の銅の特性X線量に対する被覆線の被覆の特性X線量の割合が0.1%未満であり被覆除去が良好に行われていることが確かめられた。
【0288】
(工程4)
被覆線1301の被覆1301bが除去された部分に導体1305を接合した(図11(f),(g))。
【0289】
使用した導体は厚さ100μm、長さ20mm、幅6mmの銅箔に厚み1μmの銀めっきを施したものである。接合方法はレーザ溶接による方法で行った。具体的には被覆線の被覆剥離部分に図11(f),(g)に示した様に上から銅箔(導体)1305をのせた。この際に銅箔(導体)自体も固定部材(粘着テープ)を介して基板に固定されるように上から圧力を加えた。その後、銅箔(導体)の上面に黒インキでレーザ光の反射を防ぐ塗膜を形成した。さらに上部からYAGレーザパルス光1307を照射した。照射エネルギーは5J、パルス幅は5ms、集光径およそφ1mmの条件であった。
【0290】
この工程において被覆剥離部分が確実に銅箔(導体)の側に向くように、被覆剥離角が−40°乃至40°に保ちつつ被覆線が固定部材によって支持体に固定されていたため非常に容易に、かつ確実に低抵抗で被覆線の芯線と銅箔(導体)の接合を形成することが可能であった。また、本例では導体自体が粘着テープ(固定部材)を介して支持体に固定されていたため前記接合を形成することがさらに容易であった。本例の方法で複数の接合を形成し被覆線と導体の接合工程の歩留まりを調べたところ99.99%の接合で溶接がなされていた。
【0291】
本例では固定部材として両面粘着テープ使用した。固定部材に粘着剤のような接着剤を使用したことにより支持体に被覆線を巻き付けて固定した公知例と比較して、固定部材と被覆線の界面の結合力が大きくなり、また界面の面積が広くなり安定的な固定が容易になされた。また、粘着剤を基材に両面塗付した両面テープを使用したことにより、被覆線と固定部材界面の適度で安定的な接着力が瞬時に得られた。かつ粘着テープは適度な弾性を有するため、被覆線がエネルギービーム照射によって伸長しているにも関わらず、被覆線との接着界面が剥がれないように応力を吸収していた。しかし、被覆除去率に影響が無い程度の被覆線の固定は実現されていた。つまり被覆線にエネルギービームを照射した場合の位置ずれ量は被覆除去率が低下しない程度に微小なものであった。
【0292】
使用した固定部材(粘着テープ)の使用したYAGレーザ光のエネルギーに対するエネルギー吸収率を測定したところ5%であった。同様に被覆線の被覆のエネルギー吸収率を測定したところ、80%であった。したがって、本例における固定部材のエネルギー吸収率の被覆のエネルギー吸収率に対する比は0.0625である。これにより、固定部材はレーザ光によりダメージを受けず被覆線の被覆のみが選択的に除去されるためにエネルギービームの強度を十分高めることが可能であり、被覆の残留率が0.1%未満と非常に小さくすることが可能であった。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0293】
(比較例5)
本例は実施例19と、支持体(ステンレス基板)上に固定部材(粘着テープ)を介して被覆線を固定せずに、被覆線にエネルギービームを照射する点および被覆線と導体を接合する点において異なる。図12に本例の工程図を示す。以下に実施例19と異なる工程を説明する。なお、1402は支持体、1403は固定部材、1401aは芯線、1401bは被覆である。
【0294】
(工程2)
被覆線1401の両端部をクリップ1406で固定し空中に張った(図12(a))。具体的には実施例19の被覆線を適当な長さに切断し両端をクリップ1406で固定し、長さ方向に張力をかけて空中に布線した。
【0295】
(工程3)
布線した被覆線1401に実施例19と同等のエネルギービーム(YAGレーザ光1404)を照射した(図12(b))。
【0296】
このエネルギービーム1404の照射された部分の被覆が被覆線から除去された(図12(c),(d))。本例の被覆剥離角βを測定したところ−80°乃至80°であった。また被覆剥離開き角αは110°±40°であった。さらに、被覆線の被覆除去部をSEMのX線解析装置で分析したところ、芯線表面の銅の特性X線量に対する被覆の特性X線量の割合が0.5%未満であった。
【0297】
本例では実施例19と比較してエネルギービームが照射される際の被覆線の位置固定が不十分である。即ち、被覆線の両端をクリップで挟み空中に保持しているのみであるため、クリップ間の被覆線の位置自由度が大きい。そのためエネルギービームを照射した際に反作用によって被覆線が逃げ、被覆除去が不十分となった。したがって実施例19と比較してαの平均が110°と狭く、そのばらつきも40°と大きくなっている。さらに被覆残留率も0.5%と実施例19の0.1%と比較して高い。このことから本発明の被覆除去方法の効果は明らかである。
【0298】
(工程4)
被覆線1401と導体1405を接合した(図12(e),(f))。具体的にはエネルギービーム照射によって被覆が剥離された部分が支持体上に位置するようにクリップ1406の位置を操作した。さらに図12(e),(f)の様に上部から被覆線の被覆剥離部に導体を押し付け、被覆線と導体の交差部に上部からYAGレーザ光1407を照射することによって両者を接合した。
【0299】
本例では実施例19と異なり、被覆除去後に被覆線を基板上に固定し、さらにその被覆除去部に導体を接続している。被覆除去後に被覆線を基板に固定することでβが実施例19の±40°と比較して±80°と大きくなっている。このことは即ち、導体を接続する際に被覆除去部を導体側に確実に向けられいないことを示しており導体と芯線の接続が困難であることを意味する。その結果として本例では被覆線と導体の接合工程の歩留まりが95.00%と実施例19と比較して5.00%低かった。このことから本発明の被覆線と導体の接合方法の効果は明らかである。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0300】
(実施例20)
本例は実施例19と比較して固定部材が接着剤ではなく機械式固定具であることにおいてのみ異なる。本例の工程図を図13に示す。なお、1507はレーザ光、1501aは芯線、1501bは被覆である。
【0301】
本例では図に示したような支持体(ステンレス基板)1502上に固定されたクリップ1503を被覆線の固定部材として使用した(図13(a))。クリップの圧力は10g/mmであった。
【0302】
本例では実施例19と比較して被覆線1501の支持体1502への固定(図13(b)参照)が困難であった。また、レーザ1504照射中(図13(c)参照)に固定部材から被覆線が外れることがあり、平均の被覆残留率が0.2%で実施例19よりも大きかった。しかし、被覆線1501と導体1505の接合工程(図13(f),(g)参照)の歩留まりも98.99%と実施例19よりも1.00%の低下に留まった。これらのことから固定部材に接着剤を使用することの効果は明らかである一方、本例でもある程度の効果が得られる。本例の構成を表1に、結果を表2に示す。
【0303】
【表1】
Figure 0004441102
【0304】
【表2】
Figure 0004441102
【0305】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、芯線を使用した電極構造の信頼性を高めることができ、光起電力素子に荷重が加わっても、太陽電池モジュールのエネルギー変換効率を良好に維持することができる。
【0306】
また、芯線を電極に使用した光起電力素子を歩留り良く簡易に製造することができ、量産性に優れている。
【0307】
本発明の被覆線の被覆除去方法により従来よりも残留被覆を少なくすることが可能である。かつ本発明の被覆除去方法は従来よりも剥離品質の安定性の高く、簡易である。
【0308】
本発明の被覆線と導体の接合方法により従来と比較して低抵抗接合が容易に確実に形成可能となる。かつ本発明の接合方法は複数の被覆線を導体に一括接合することにおいて容易であり、被覆線と電極の接合部が多数ある物を形成する際の工程簡略化、歩留まり向上の効果がある。特に従来の芯線とバスバー電極を有する太陽電池の製造方法として効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の光起電力素子を示しており、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線矢視図、(c)は(a)のB−B線矢視図である。
【図2】(a)は実施例1における布線状態を示す平面図、(b)はレーザ光の照射状態を示す概念図である。
【図3】実施例5の光起電力素子を示しており、(a)はその平面図、(b)は(a)のC−C線矢視図、(c)は(a)のD−D線矢視図である。
【図4】本発明の光起電力素子の構造を示しており、(a)はその斜視図、(b)は(a)のE−E線矢視図、(c)は(a)のF−F線矢視図である。
【図5】本発明の効果が発生するメカニズムを示しており、(a)は芯線と平行に押す又は引っ張る方向に応力が加わった状態の説明図、(b)は芯線に対して垂直方向に応力加わった状態の説明である。
【図6】本発明の光起電力素子の製造方法によって製造される光起電力素子の例を示しており、(a)はその縦断面の概略図、(b)は(a)のG−G線矢視図である。
【図7】従来の光起電力素子の一例を示す概略図である。
【図8】従来の光起電力素子の他例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施例6における被覆線の被覆除去工程および被覆線と導体(電極)の接合工程を示す図である。
【図10】比較例4における被覆線の被覆除去工程および被覆線と導体(電極)の接合工程を示す図である。
【図11】本発明の実施例19における被覆線の被覆除去工程および被覆線と導体(電極)の接合工程を示す図である。
【図12】比較例5における被覆線の被覆除去工程および被覆線と導体(電極)の接合工程を示す図である。
【図13】本発明の実施例20における被覆線の被覆除去工程および被覆線と導体(電極)の接合工程を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態例を説明する図である。
【図15】本発明の第2の実施形態例を説明する図である。
【図16】本発明の第2の実施形態例を説明する図である。
【図17】比較例1に係る光起電力素子の模式図である。
【図18】比較例2に係る光起電力素子の模式図である。
【符号の説明】
101 光起電力層
101a ボトムpin層
101b ミドルpin層
101c トップpin層
102 芯線(金属細線)
103 電極(導体)
104 第1の接合部(被覆除去部)
105 第2の接合部
106 透明電極層
107 ステンレス鋼製基板
108 Al層
109 酸化亜鉛層
110 両面テープ
111 被覆
111a 内層樹脂被覆
111b 外層樹脂被覆
112 陽極取り出し部
113 陰極取り出し部
114 被覆線(集電電極)
203 レーザスキャンエリア
301 光起電力層
302 芯線(金属細線)
303 電極(導体)
304 第1の接合部(被覆除去部)
305 第2の接合部
310 両面テープ
311 被覆
311a 内層樹脂被覆
311b 外層樹脂被覆
312 陽極取り出し部
313 被覆線(集電電極)
401 光起電力素子
402 芯線(金属細線)
403 電極(導体)
404 第1の接合部(被覆除去部)
405 第2の接合部
406 接合部
501 光起電力層
502 芯線(金属細線)
503 電極(導体)
504 第1の接合部(被覆除去部)
505 第2の接合部
601 光起電力層
602 芯線(金属細線)
603 電極(導体)
604 被覆除去部(第1の接合部)
605 被覆(第2の接合部)
611 被覆
613 被覆線(集電電極)
700 電極
701 半田ペースト
702 導電性樹脂
801 芯線
802 電極
803 導電性樹脂
1101,1201,1301,1401,1501,1601,1701,1801 被覆線
1102,1202,1302,1402,1502,1602,1702,1802 支持体
1103,1203,1303,1403,1503,1603,1703,1803 固定部材
1104,1204,1304,1404,1504,1604,1804 エネルギービーム
1105,1205,1305,1405,1505,1805 導体(電極)
1106 第1の接合部
1107 第2の接合部
1206,1406 クリップ
1307,1407,1507 レーザ光
1101a、1201a、1301a、1401a、1501a、1601a、1701a、1801a 芯線
1101b、1201b、1301b、1401b、1501b、1601b、1701b、1801b 被覆
1102a、1202a 下部電極
1102b、1202b 光起電力層
1102c、1202c 透明性導電膜
1102d、1202d 分割溝
1102e、1202e 有効発電エリア
1102f、1202f 非有効発電エリア
1103a、1203a、1703b テープの基材
1103b、1203b、1703a 粘着剤

Claims (11)

  1. 光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すための芯線と、該芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子において、
    前記芯線と前記電極との接合部が、少なくとも第1の接合部と、該第1の接合部に隣接する第2の接合部を有しており、
    前記第1の接合部と前記第2の接合部とはいずれも前記電極の前記光起電力素子表面とは反対側に存在し、
    前記第2の接合部は、前記第1の接合部の、少なくとも前記光起電力素子表面に前記芯線が配置された側に存在し、
    前記第2の接合部は導電性樹脂からなり、
    前記第2の接合部の弾性が、前記第1の接合部の弾性よりも大きいことを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記第1の接合部の抵抗率が、前記第2の接合部の抵抗率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記第1の接合部の組成と、前記第2の接合部の組成が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力素子。
  4. 前記第1の接合部が金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光起電力素子。
  5. 前記金属が、錫、鉛、銀、金、ニッケル、亜鉛、銅、半田からなる一群のうち少なくとも一つから構成されることを特徴とする請求項4に記載の光起電力素子。
  6. 前記導電性樹脂が、ウレタンもしくはブチラールを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光起電力素子。
  7. 前記導電性樹脂が、カップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光起電力素子。
  8. 前記芯線が、導電性樹脂からなる被覆により覆われており、
    該芯線と前記光起電力素子の表面とが、該導電性樹脂を介して電気的に接続されており、
    前記導電性樹脂のうち、前記芯線と前記電極との間にある部分が、前記第2の接合部として機能することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光起電力素子。
  9. 前記芯線が、金属細線であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光起電力素子。
  10. 前記電極が、バスバー電極であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光起電力素子。
  11. 光起電力素子の表面に配置され、該光起電力素子の電力を取り出すための芯線と、該芯線に電気的に接合される電極とを有する光起電力素子の製造方法において、
    前記電極の前記光起電力素子表面とは反対側であって前記芯線と前記電極との間に、弾性の異なる少なくとも第1の接合部と、該第1の接合部の、少なくとも前記光起電力素子表面に前記芯線が配置された側に隣接し、導電性樹脂からなる第2の接合部とを形成することを特徴とする光起電力素子の製造方法。
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