JP4438922B2 - 蛍光ランプおよびリサイクル蛍光ランプの製造方法 - Google Patents

蛍光ランプおよびリサイクル蛍光ランプの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃蛍光ランプのリサイクル原料を用いて製造するのに好適な蛍光ランプおよびリサイクル蛍光ランプの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃蛍光ランプからガラス原料をリサイクルすることは、たとえば実公昭59−7719号公報や特開2001-286828号公報などに記載されて従来から知られている。これらの従来技術においては、ガラスを回収してリサイクルし、蛍光体をスラッジとして処分している。
【0003】
また、廃蛍光ランプに含まれている蛍光体を回収しようとすると、ガラスバルブを破壊しなければならないので、どうしてもガラス破片が混入してしまう。このため、ガラス破片の分離が面倒で、コストアップになる。これに対して、廃蛍光ランプのガラスバルブを破壊しないで蛍光体のみを吸い込むノズルをバルブの端部から挿入し、蛍光体を回収する技術が特開昭62−116685号公報に記載されている。
【0004】
しかし、廃蛍光ランプから回収する蛍光体には、点灯中に水銀が付着したり、水銀が蛍光体と化合して水銀化合物を形成したりしている。蛍光体に水銀が付着していると、蛍光ランプの製造過程で水銀が不所望に蒸発して環境を悪化するので、予め除去しなければならない。また、蛍光体が水銀と結合して水銀化合物が形成されていると、蛍光体の性能が劣化する。
【0005】
廃蛍光ランプから蛍光体を回収する場合、市販されている蛍光ランプは、使用している蛍光体の種類が3波長発光形蛍光体およびハロリン酸塩蛍光体に大別され、これらは分光放射特性が明らかに異なるため、これらをリサイクルするには蛍光体の種類ごとに廃蛍光ランプを分別して回収しなければならない。また、同種の蛍光体を用いた蛍光ランプであっても、種々の光源色のものがラインアップされていて、たとえば3波長域発光形の蛍光ランプの場合、その光源色によって昼光色(6700K)、昼白色(5000K)、温白色(3500K)および電球色(3000K)があり、それぞれ色温度が異なっている。
【0006】
上記のように種々の問題があるため、廃蛍光ランプから蛍光体を回収してリサイクルすることは、従来から検討されてはいたが、積極的に行われていなかった。しかし、環境維持の必要から種々の物品に対するリサイクルが一層強く求められている。蛍光体のリサイクルは、環境保護および省資源の観点から好ましいことであるとともに、また3波長域発光形蛍光体は、上述したように高価なので、リサイクルすることはとりわけ有意義である。
【0007】
そこで、本発明者らは、先に廃蛍光ランプから蛍光体をリサイクルする方法およびリサイクルされた蛍光体を用いた蛍光ランプを発明し、この発明は特開2001−345047公報に開示されている。この先の発明においては、廃蛍光ランプから蛍光体を回収し、加熱、精製してリサイクル蛍光体を得ることができる。このように処理することにより、蛍光体微粒子に付着したり内部に侵入したりした水銀やその化合物を除去して、蛍光体の性能回復を図ることができるようになった。
【0008】
一方、一般照明用の蛍光ランプには、その点灯方式の違いによりスタータ形、ラピッドスタート形および高周波点灯専用形に区分されているとともに、構造が異なっている。これらの中で、ラピッドスタート形は、その透光性放電容器の内面に透光性導電膜を形成し、透光性導電膜の上に蛍光体層を形成している。なお、透光性導電膜は、酸化スズ(SnO)を主成分とするものが用いられている。また、ラピッドスタート形の蛍光ランプは、主として業務用として施設照明などの分野に多数使用されている。
【0009】
また、高周波点灯専用形の蛍光ランプは、文字どおり高周波点灯専用に設計された蛍光ランプで、高効率、高演色、長寿命およびコンパクトであるといった特徴がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプからガラスをリサイクルする場合、透光性導電膜をガラスから除去するのが困難であることが分った。一方、蛍光ランプに使用されているガラスは、ソーダ石灰ガラスなどの軟質ガラスであり、従来から使用されている軟質ガラスはスズ(Sn)を成分として含む組成にはなっていない。このため、スズを添加することによりガラス溶融炉がスズにより損傷を受ける、スズが軟質ガラスに含有されることによって、スズが金属または酸化スズとして溶融しないでガラス中に粒状に集合して存在する、いわゆる「ぶつ」ができて外観を阻害したり、管引きの際に断管を生じたりして良品ガラス管を得ることができなくなるなどの問題が想定される。
【0011】
本発明者は、種々検討の結果、スズの含有量が微量であれば、ガラス溶融炉および蛍光ランプのいずれにも本質的な問題がないばかりか、また透光性導電膜を形成しやすくなることが分り、本発明をなすに至った。
【0012】
本発明は、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプからのリサイクルガラスを利用するのに好適な蛍光ランプおよびリサイクル蛍光ランプの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプからのリサイクルガラスを利用するのに好適で、しかも、透光性導電膜を形成しやすいラピッドスタート形の蛍光ランプを提供することを他の目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、ラピッドスタート形を含む種々の廃蛍光ランプからのリサイクル材料を利用するのに好適で、しかも、リサイクル蛍光体を含む蛍光体層を採用した場合には、ランプ効率の低下が少ない高周波点灯専用形の蛍光ランプを提供することを他の目的とする。
【0015】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の蛍光ランプは、0.0010.01質量%スズ(Sn)を含有する軟質ガラスからなる透光性放電容器と;透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0016】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0017】
<透光性放電容器について> 透光性放電容器は、ガラスバルブの両端をたとえば端板などの封止部材を用いて封止するか、または用いないでピンチシールなどによって直接封止することにより形成される。端板を用いて封止する場合、端板の部分は、一般的にはステムによって構成される。ステムを用いる場合、フレアステム、ビードステム、ボタンステムなどの既知のステム構造を採用することができる。しかし、要すれば、上記のようなステムを用いないで、ガラスバルブの端部を加熱、溶融させて、金型を用いて端部を圧潰して気密にする、いわゆるピンチシール構造を採用することもできる。
【0018】
ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の形状であることを許容する。また、ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の複数個を接続管によって1本の放電路が形成されるように連結してなる構造であることを許容する。
【0019】
さらに、ガラスバルブの管径および透光性放電容器の管軸、換言すれば放電路に沿った長さは制限されない。しかし、一般的には透光性放電容器の管径は40mm以下、また管軸に沿った長さは2400mm以下である。比較的管壁負荷の小さい一般照明用の蛍光ランプの場合、管径25〜38mmで、管軸に沿った長さ300〜2400mmである。また、高周波点灯専用形蛍光ランプの場合、管径15〜25.5mm、管軸に沿った長さ500〜2400mmである。さらに、コンパクト形蛍光ランプの場合、管径25mm以下、たとえば12〜22mm、管軸に沿った長さ2400mm以下、たとえば200〜2300mmである。さらにまた、電球形蛍光ランプの場合、管径13mm以下、たとえば8〜12mm、管軸に沿った長さ500mm以下、たとえば400〜500mmである。
【0020】
次に、透光性放電容器のガラスバルブの材質は、0.0010.01質量%Snを含有する軟質ガラスを用いる。軟質ガラスには、鉛ガラス、ソーダ石灰ガラスおよびバリウムシリケートガラスなどがあり、そのいずれでもよいが、環境対応としては、ソーダ石灰ガラスやバリウムシリケートガラスが好適である。しかし、加工性などの点から、ソーダ石灰ガラスと鉛ガラスを併用することができる。たとえば、最もガラスの使用量の多いバルブの部分をソーダ石灰ガラスで形成し、ステムの部分を鉛ガラスで形成することができる。軟質ガラス中のスズの含有率は、極めて小さくてよい。例えば、一般的にはガラス中に0.1質量%以下である。
【0021】
次に、透光性放電容器の形状について説明する。透光性放電容器は、直管形および環形のいずれであってもよい。さらに要すれば、U字状、半円状、U字状部分を2〜4個直列に接続するとともに適当な配置にした形状など種々の形状であることを許容する。
【0022】
<蛍光体層について> 蛍光体層は、透光性導電膜の内面側に形成される。なお、「内面側」とは、透光性導電膜の内面に直接接触して形成してもよいし、アルミナなどの保護膜およびまたは酸化チタンなどの反射膜などを介して間接的に形成してもよいという意味である。
【0023】
また、使用する蛍光体は、照明目的に応じて任意所望に選択することができる。たとえば、一般照明用途に対しては、3波長発光形の蛍光体やハロリン酸塩蛍光体などの白色発光形の蛍光体を用いることができる。さらに、用途によっては紫外線発光形の蛍光体などを蛍光体の全部または一部に用いることもできる。さらにまた、蛍光体は、未使用の蛍光体およびリサイクルの蛍光体のいずれか一方または両者の混合であることを許容する。
【0024】
3波長発光形蛍光体を用いる場合、赤色発光形蛍光体、緑色発光形蛍光体および青色発光形蛍光体のそれぞれの蛍光体粒子を混合して加色混光により白色発光を生じるように構成される。赤色発光形蛍光体としては、たとえばユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(通称「YOX」)などを用いることができる。緑色発光形蛍光体としては、たとえばセリウム、テルビウム付活リン酸ランタンやテルビウム付活セリウム・テルビウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体(通称「CAT」)などを用いることができる。青色発光形蛍光体としては、たとえばユーロピウム付活ストロンチウムリン酸塩蛍光体、ユーロピウム付活ストロンチウム・バリウム・カルシウムリン酸塩蛍光体(通称「アパタイト」)およびユーロピウム付活バリウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体(通称「BAM」)などを用いることができる。
【0025】
また、3波長発光形蛍光体を主体とする蛍光体層を形成する場合、リサイクルの方法について説明する。すなわち、まず、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている廃蛍光ランプから回収したリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する。しかし、リサイクルの3波長域発光形蛍光体をその回収処理業者から直接または間接的に購入して用意する態様でもよいし、3波長域発光形蛍光体を用いた蛍光体層を備えている廃蛍光ランプから回収してリサイクルの3波長域発光形蛍光体を用意する態様でもよい。
【0026】
また、3波長域発光形蛍光体を回収してリサイクルする場合は、蛍光体を回収する工程、回収した蛍光体を脱水銀処理する工程および次いで精製する工程などから第1の工程を構成することができる。蛍光体を回収する工程は、たとえば以下のように行われる。すなわち、廃蛍光ランプを回収し、その透光性放電容器をほぼ中央で切断して、バルブ内面から蛍光体を拭き取るか、エアブロアーまたはエアドロワーを蛍光体膜に当てて機械的に剥離させる。あるいは、透光性放電容器を細かく粉砕して蛍光体を回収してもよい。蛍光体を回収するに際しては、3波長発光形蛍光体を用いている蛍光ランプと、ハロリン酸蛍光体を用いている蛍光ランプとを、予め区分しておくことが望ましい。これらの蛍光体は、特性が明らかに相違しているからである。蛍光体は、リサイクルの回数が増加するとともに劣化の度合が大きくなるので、リサイクル回数ごとに分別回収するか、リサイクルは最初の1回だけにすることができる。
【0027】
次に、リサイクルの3波長発光形蛍光体から水銀を離脱させる。これを行なうには、浮遊沈澱法などにより、水銀およびガラス破片を除去し、さらに脱水してから、加熱処理される。このようにリサイクル用蛍光体を加熱処理することにより、輝度が高いリサイクル蛍光体を得ることができる。
【0028】
また、脱水銀処理する際に、上述した処理に加えるか、または代えて回収した蛍光体を酸処理してその表面層に捕捉されている水銀などを蛍光体の表面層をエッチングすることができる。しかし、一方で酸処理を行った蛍光体は、水銀やガスが付着しやすいという問題がある。これはエッチングによって蛍光体粒子の表面が荒れるためである。そこで、酸処理を行った後に、リサイクルの3波長域発光形蛍光体に表面処理を行なうことにより、水銀やガスの付着を低減することができる。この場合、酸処理は、リサイクル蛍光体粒子の極薄い表面層をエッチングして除去するのが好ましい。たとえば、希硝酸溶液などを用いてリサイクル蛍光体を洗浄し、次いで純水にて洗浄することにより酸処理を行なうことができる。表面処理は、リサイクル蛍光体粒子の表面に水銀やガスが付着しにくいように処理するものであり、たとえばリサイクル蛍光体の蛍光体粒子の表面に金属酸化物の微粒子をほぼ均一に付着させたり、金属酸化物の連続的な薄膜を蛍光体粒子の表面に形成したりすることにより、表面処理を行なうことができる。前者の態様の場合、金属酸化物微粒子の平均粒径は、10〜100nm程度が適当である。なお、3波長域発光形蛍光体の粒径は、蛍光体が5〜8μm程度である。
【0029】
最後に、リサイクル用蛍光体を精製する。これは、凝集して大きくなっているリサイクル用蛍光体を適当な粒子サイズにするためのもので、篩分およびまたはミーリングなどによりこれを行なうことができる。
【0030】
そうして、以上の工程よりリサイクルされた3波長域発光形蛍光体の蛍光体としての品質レベルは、蛍光体の反射率または輝度を測定することにより判定することができる。
【0031】
一方、ハロリン酸蛍光体を主体とする蛍光体層の場合、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする3波長発光形蛍光体を30〜50質量%混合することができる。なお、色度調整用として未使用の赤色発光形蛍光体をリサイクルの3波長発光形の蛍光体に対して5〜15質量%混合することが許容される。ハロリン酸蛍光体を主体とする蛍光体層を形成するには、リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とするとともに、ハロリン酸カルシウム蛍光体の色温度にほぼ等しくなるように色温度が調整された等色温度の3波長域発光形蛍光体を作成する。なお、等色温度の3波長域発光形蛍光体が「リサイクルの3波長域発光形蛍光体を主体とする」とは、等色温度の3波長域発光形蛍光体中にリサイクルの3波長域発光形蛍光体が50質量%以上を占めていることをいう。
【0032】
ハロリン酸カルシウム蛍光体は、製造しようとする蛍光ランプの色温度に一致する色温度を呈するものを選択する。そして、リサイクルの3波長域発光形蛍光体の色温度をハロリン酸カルシウム蛍光体のそれにほぼ等しくなるように調整する手段は特段限定されないが、未使用の赤色域発光形蛍光体、緑色域発光形蛍光体および青色域発光形蛍光体を選択的に混合することができる。
【0033】
次に、蛍光体層を透光性導電膜の内面側に形成するには、既知の湿式および乾式のいずれの方式を採用してもよい。前者の場合、溶剤、結着剤およびバインダーの溶液に蛍光体を懸濁して蛍光体塗布液を調整し、たとえばバルブの内部に蛍光体塗布液を上から流下したり、バルブの下端から蛍光体塗布液を吹き上げたりして、蛍光体塗布液をバルブの内面に塗布して、蛍光体塗布膜を形成することができる。なお、バルブの両端に蛍光体塗布膜を形成しない場合には、バルブの内面の全体に蛍光体塗布膜を形成してから、バルブの両端の不要部分をバフなどによって拭き取ることができる。後者の場合、静電塗装などの粉体塗装法を用いることができる。
【0034】
蛍光体塗布膜を形成したら、次に蛍光体塗布膜を焼成して、蛍光体層を形成する。この蛍光体層焼成工程は、蛍光体塗布膜を形成したバルブを加熱炉中でたとえば600℃程度に加熱することにより、蛍光体塗布膜に含まれているバインダーを分解して除去するとともに、溶剤を蒸発させて蛍光体層を形成する。
【0035】
<一対の電極について> 一対の電極は、透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設される。たとえば、透光性放電容器内の両端側に封装して、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起させる。なお、電極は、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極など既知の電極を用いることができる。
【0036】
フィラメント電極は、タングステンの2重コイルまたは3重コイルに電子放射物質を塗布してなり、その両端を透光性放電容器を気密に貫通する一対の内部導入線の先端部に継線した構造を備えている。
【0037】
セラミックス電極は、たとえば開口部を備えた電気伝導性の容器内にアルカリ土類元素および遷移金属元素の酸化物を主体とし、表面を遷移金属元素の炭化物または窒化物で被覆した果粒状、スポンジ状または塊状の複合セラミックスからなる熱電子放出物質を収納させてなる構造を備えていて、1本の内部導入線の先端に支持されている。
【0038】
<放電媒体について> 放電媒体は、低圧水銀蒸気放電を行わせるには、水銀および希ガスを含むものとする。
【0039】
水銀は、液体水銀を封入するか、または液体水銀にほぼ近い水銀蒸気圧特性を示すアマルガム、たとえばZn−HgやTi−Hg系のアマルガムとして封入される。液体水銀を封入するには、液体水銀を滴下するか、カプセルに入れて封入後適当な手段によってカプセルを破壊して水銀を取り出すことができる。また、アマルガムとして封入するには、ペレット状に成形したり、適当な金属板を基体としてアマルガムを担持させたりすることができる。すなわち、Zn−Hg系アマルガムの場合には、ペレット状に成形して封入するのに適している。また、Ti−Hg系アマルガムの場合には、金属板に担持させるのに適している。後者は、水銀放出合金ともいわれているが、封入後高周波を印加することにより加熱して水銀を放出させる。
【0040】
次に、希ガスは、蛍光ランプの放電開始を容易にするため、および緩衝ガスとして用いられ、アルゴンAr、クリプトンKr、ネオンNeなどを200〜400Pa程度透光性放電容器内に封入される。また、希ガスは、Ar単体を封入してもよいし、またAr−Kr、Ne−Ar−Kr、Ne−Arなどの混合封入でもよい。
【0041】
<その他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、以下の構成を所望により付加することができる。
【0042】
1.透光性導電膜 透光性導電膜は、ラピッドスタート形蛍光ランプを得る場合に配設することができる。そして、透光性導電膜は、透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって形成される。
【0043】
2.保護膜 保護膜は、透光性放電容器または透光性導電膜の内面に形成されて透光性放電容器の水銀による着色や透光性導電膜による黒化などを抑制する。そして、アルミナなどの金属酸化物の一種または複数種の微粒子を主体として構成することができる。
【0044】
3.反射膜 反射膜は、透光性放電容器の内面と蛍光体層との間に配設されて蛍光体層から発生する可視光を反射して所望の配光特性を得るために用いられる。
【0045】
4.紫外線反射粒子の使用 紫外線反射粒子は、これを蛍光体層に混合してリ、蛍光体層と透光性放電容器との間に紫外線反射膜として介在させたりすることにより、3波長発光形蛍光体の使用量をなるべく節減することができる。紫外線反射粒子としては、たとえば高温焼成により、高純度になっていて、異形形状をるピロリン酸ストロンチウム粒子を主体とするものが好適である。
【0046】
<本発明の作用について> 本発明の蛍光ランプは、一般の蛍光ランプと同様に作動する。すなわち、点灯により放電媒体の放電が一対の電極間に生起し、紫外線が放射される。この紫外線は、蛍光体層に入射し、蛍光体を励起するので、蛍光体から可視光などの長波長の放射たとえば可視光が発生する。可視光は、透光性放電容器を透過して外部に導出されるので、照明に用いることができる。
【0047】
本発明においては、透光性放電容器のガラスバルブ所定含有比率のスズを含有しているが、軟質ガラスに含有されているスズは微量なので、スズがガラス組織中に均一に分布して、透光性放電容器の外観を阻害することがない。
【0048】
また、所定含有率のスズを含有している軟質ガラスは、前述のようにラピッドスタート形の廃蛍光ランプから回収したガラス原料を他のガラス原料と一緒に溶融して製造したリサイクルガラスを用いることで、容易に得ることができる。このようにしてリサイクルの軟質ガラスを製造する際に、含有されているスズが所定含有率の範囲内であるので、ガラス溶融炉を損傷しないか、影響があったとして軽微な程度に止まる。蛍光ランプの以上説明した作動には本質的問題を与えないものである。
【0049】
軟質ガラス中に含まれているスズの含有率が0.1質量%を超えると、ガラス中にスズまたは酸化スズのぶつが生じやすくなるとともに、ガラスが脆くなる。これらのぶつができると、ガラスの管引き中に断管が発生しやすくなるとともに、たとえ断管に至らなくてもガラスの外観を阻害する。また、ガラスが脆くなると、ガラスの機械的強度が低下する。
【0050】
これに対して、スズの含有率が0.1質量%以内であれば、ガラス中にスズなどのぶつが生じにくくなり、したがって蛍光ランプの外観を阻害するようなことがない。
【0051】
また、透光性放電容器のガラス中に含まれるスズが上記の範囲であれば、蛍光ランプとして本質的な問題はない。
【0052】
さらに、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプから回収したリサイクルガラスを利用することができる。しかし、より効果的なスズの含有量の範囲は、0.001〜0.01質量%である。
【0053】
請求項の発明の蛍光ランプは、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、透光性放電容器のガラスバルブの内面の全体にわたって配設された酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜を具備していることを特徴としている。
【0054】
<透光性導電膜について> 透光性導電膜は、上記のように酸化スズを主体とするもので、透光性放電容器の内面の全体にわたって配設されている。なお、「透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設されている」とは、透光性放電容器の有効表面部分の大部分に配設されていることを意味する。したがって、封止やバルブの接合のための部位には配設されていなくてもよい。また、導電膜が「透光性」であるとは、水銀蒸気などの低圧放電により放射された紫外線が照射されることによって蛍光体層から発生する可視光がなるべく損失少なく透過して外部へ導出される程度に透光性であることをいう。したがって、可視光透過率が高い方が望ましく、しかも、好適には透明質であるのがよい。
【0055】
また、透光性導電膜は、ラピッドスタート形蛍光ランプの始動時に始動電圧が電極とこれに対向する部分の透光性導電膜との間にそれらの間に形成される静電容量を介して集中的すなわち高い電界強度の下に印加されるように作用する。これにより、始動が促進されるが、点灯後は透光性導電膜を介さないで電極間で直接アーク放電が生起するように適度の抵抗値を有するように、透光性導電膜の抵抗値が規制される。
【0056】
上記の構成の透光性導電膜としては、たとえばいわゆる「ネサ膜」(化学式SnO2−n)と称される導電性酸化スズ膜が好適である。なお、ネサ膜は、酸素空孔により自由電子が発生し、半導体として振舞う。膜厚は一般的には数100nm、可視光透過率90%以上であって、たとえば添加する不純物の条件を適当に設定するなどによって抵抗値を数10kΩ〜数MΩ/□(正方形平面の対向する一対の端辺縁間の抵抗値)の範囲で制御可能である。
【0057】
さらに、透光性導電膜は、ディップ法、スプレイ法およびCVD法など薄膜形成のための既知の種々の方法を用いて形成することができる。
【0058】
<本発明の作用について> 本発明の蛍光ランプは、一般のラピッドスタート形の蛍光ランプと同様にラピッドスタート形の蛍光ランプとして作動する。すなわち、蛍光ランプ始動時には、安定器により電極が加熱されるとともに、一対の電極間に始動電圧が印加されると、透光性導電膜が近接導体として作用して電極と透光性放電容器の内面に形成された透光性導電膜との間に始動電圧程度の電位差が生じて微小電流が流れ、薄いグロー放電から急速に主放電へ移行して点灯する。放電より放電媒体から放射された紫外線は、蛍光体層に入射して蛍光体粒子を励起して可視光を発生させる。
【0059】
本発明においては、透光性放電容器のガラスバルブを構成する軟質ガラスが所定含有率のスズを含有しているので、透光性導電膜が透光性放電容器のガラス表面に馴染みやすくなり、その結果酸化スズを主体とする透光性放電容器内面への付着強度が向上する。すなわち、軟質ガラスが微量のスズを含有していることにより、透光性導電膜の形成が容易になる。
【0060】
また、軟質ガラスにスズが含有されていることによって、ガラス表面の導電率がスズを含有しない軟質ガラスより低下するので、透光性導電膜によるいわゆるEC黒化が生じにくくなる。
【0061】
請求項の発明の蛍光ランプは、請求項1または2記載の蛍光ランプにおいて、ガラスバルブの軟質ガラスは、スズ(Sn)を含有するカレットを用いて製造されていることを特徴としている。
【0062】
本発明は、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプから回収したリサイクルガラスを得るのに好適な構成を規定している。すなわち、ガラスを製造するには、珪砂、石灰などの生原料に加えて、当該ガラスと同一成分の屑ガラスをカレットとして一定量、調合、混合してガラス溶融炉に投入し、これら原料を加熱、溶融して、ガラスを得るのが一般的である。なお、製造された軟質ガラスは、溶融状態で次に管引き工程、徐冷工程および切断工程を経て透光性放電容器用のガラス管に加工される。
【0063】
そうして、本発明においては、カレットとして酸化スズが付着しているラピッドスタート形の廃蛍光ランプのガラスバルブから得た軟質ガラスを用いるので、スズのガラスへの所定量の添加を容易に行なうことができる。
【0064】
また、上記カレットは、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプから透光性導電膜を除去することなしにガラスをリサイクルすることができるので、リサイクル工程の複雑化およびこれに伴うコストアップを回避できる。
【0065】
請求項の発明の蛍光ランプは、請求項1ないしのいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、軟質ガラスは、酸化清澄により製造されていることを特徴としている。
【0066】
本発明においては、スズSnを含むが、そのスズまたは酸化スズのぶつのない軟質ガラスを製造しやすい清澄手段を規定している。すなわち、ガラスの製造過程において溶融ガラス中に泡が発生するので、これを消すために清澄剤を原料中に添加する。清澄法には、酸化清澄と還元清澄がある。スズを含む軟質ガラスを製造する場合、酸化清澄を採用することによって泡のない優れた軟質ガラスを製造することができることが分った。
【0067】
請求項5の発明のリサイクル蛍光ランプの製造方法は、酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜付の廃蛍光ランプから蛍光体層を分離して透光性放電容器からスズを含有している軟質ガラスのカレットを得る第1の工程と;第1の工程で得たカレットを生原料に混合し、溶融してスズの含有率が0.0010.01質量%リサイクルガラスを製造する第2の工程と;第2の工程で得たリサイクルガラスを用いてガラスバルブを成形し、さらにこのガラスバルブを用いて蛍光ランプを製造する第3の工程と;を具備していることを特徴としている。
【0068】
本発明は、請求項3または4に規定する蛍光ランプを製造する製造方法を規定している。
【0069】
第1の工程は、スズを含有する軟質ガラスのカレットを得る工程である。透光性導電膜付の廃蛍光ランプは、たとえばラピッドスタート形の蛍光ランプであり、上記のカレットを得るには、蛍光体と水銀を予め除去することが好ましい。蛍光体および水銀を除去するには、透光性放電容器を破砕する前にノズルでこれらの物質を吸い出したり、破砕後に選別したり、あるいはこれらを併用したりすることができる。
【0070】
第2の工程は、ガラスを得る工程である。生原料は、製造されるガラスの成分を決定するので、混合に際しては予め正確に秤量して調合するものとし、混合した原料をガラス溶融炉に投入してから、常法にしたがって加熱、溶融してガラスを得る。
【0071】
第3の工程は、第2の工程で得たスズの含有率0.0010.01質量%軟質ガラスを用いてガラスバルブを成形し、さらにこのガラスバルブを用いて蛍光ランプを製造する工程である。すなわち、ガラスを管引きしてガラスバルブに成形し、徐冷後切断して蛍光ランプ用のガラスバルブを得る。ガラスバルブを洗浄してから、蛍光体層をその内面側に形成し、ガラスバルブの両端に一対のフレアステムなどを備えた電極マウントを封着して透光性放電容器を形成する。さらに、フレアステムなどに形成された細管を通じて加熱しながら透光性放電容器の内部を排気し、次に放電媒体を封入して細管を封止する。なお、ラピッドスタート形蛍光ランプの場合には、蛍光体層を形成する前に、透光性導電膜を形成し、要すれば保護膜を透光性導電膜の上に形成する。
【0072】
そうして、0.0010.01質量%スズを含有するリサイクルの軟質ガラスを用いた蛍光ランプが製造される。
【0073】
請求項の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、透光性放電容器は、軟質ガラスからなる外径25.5mm以下のガラスバルブを用いてなり、高周波点灯専用形であることを特徴としている
【0074】
高周波点灯専用形の蛍光ランプは、専用の電子安定器と組み合わせて使用されるように設計されていて、高効率および高演色性を有するとともに、長寿命で、しかも、コンパクトであるといった特徴を有している。この蛍光ランプには、直管形、管形およびU字形といった幾つかの形態のものが商品化されているが、それらに共通的な構造上の特徴を挙げれば、小径ガラスバルブ使用、高管壁負荷、3波長発光形蛍光体使用である。すなわち、小径ガラスバルブについては、直管形で管径25.5mmおよび16.5mm、環形で16.5mm、U字形で17.5mmのものがそれぞれ商品化されている。また、高管壁負荷については、たとえば直管形がFHF32EXで管径25.5mm、管長1198mmに対して定格ランプ電力が32Wおよび45Wである。これに対して、一般照明用の直管形蛍光ランプがFL40S・EXで管径32.5mm、管長1198mm、定格ランプ電力40Wである。したがって、両者の管壁負荷比は、高周波点灯専用形の定格ランプ電力が32Wの場合には、一般照明用より概ね30%高く、また同じく45Wの場合には、概ね80%以上高くなっている。付言すれば、管径がさらに小さくなるほど管壁負荷が大きくなっている傾向にある。さらに、3波長発光形蛍光体使用については、近時一般照明用の蛍光ランプにおいても採用が増加している。
【0075】
商品化されている直管形で高周波点灯専用形の蛍光ランプの主な商品仕様を表1に示す。
【0076】
【表1】
形 名 管 径 管 長 定格ランフ゜電力 全光束 定格寿命 演色性
(mm) (mm) (W) (lm) (h) Ra
FHF16EX-N 25.5 588.5 20 1690 8500 88
28 2160 8500 88
FHF32EX-N 25.5 1198 32 3200 8500 88
45 4500 12000 88
FHF50EX-N 25.5 1498.5 50 5200 12000 88
65 6400 12000 88
FHF24S 16.5 549 22.5 1950 9000 88

次に、環形で高周波点灯専用形の蛍光ランプの主な商品仕様を表2に示す。
【0077】
【表2】
形 名 管径 環外径 定格ランフ゜電力 全光束 定格寿命 演色性
(mm) (mm) (W) (lm) (h) Ra
FHC20EN 16.5 225 20 1800 9000 88
28 2300 9000 88
FHC27EN 16.5 299 27 2510 9000 88
38 3250 9000 88
FHC27EN 16.5 373 48 3270 9000 88
38 4250 9000 88

なお、本発明を適用し得る蛍光ランプとして、上記の他にも高周波点灯専用二重環形蛍光灯と称される丸形発光管を同心円上に2本ブリッジ技術で繋いだ高周波点灯専用形の蛍光ランプがある。この蛍光ランプは、ガラス管径が20mmである。
【0078】
さらに、U字形で高周波点灯専用形の蛍光ランプの主な商品仕様を表3に示す。
【0079】
【表3】
形 名 管 径 管 長 定格ランフ゜電力 全光束 定格寿命 演色性
(mm) (mm) (W) (lm) (h) Ra
FHP105EN 17.5 1150 105 10500 12000 88

本発明においては、高周波点灯専用形の蛍光ランプの透光性放電容器および蛍光体のいずれか一方または両方が蛍光ランプのリサイクル材料を用いて形成されている。
【0080】
透光性放電容器をリサイクル材料にて形成するために、請求項1ないし4のいずれか一記載の構成を採用する。高周波点灯専用形の蛍光ランプにおいては、透光導電膜を透光性放電容器の内面に配設しないが、このような構成においてSnを含有する軟質ガラスを透光性放電容器に用いても特段の問題はない。
【0081】
蛍光体層は、これをリサイクル材料にて形成することができる。
【0082】
透光性放電容器の内部に封入する放電媒体としては、水銀および希ガスを含んでいるものを用いるのが一般的である。水銀は、低圧水銀蒸気放電を行わせるためのイオン化媒体である。そして、水銀は、ペレット状のアマルガムや純粋水銀の形で封入することができる。希ガスは、蛍光ランプの放電開始を容易にするため、および緩衝ガスとして用いられ、アルゴン、クリプトンなどを数100〜1000Pa程度透光性放電容器内に封入される。
【0083】
そうして、本発明の高周波点灯専用形の蛍光ランプは、蛍光体層にリサイクル蛍光体を用いて構成する場合、低周波点灯用の一般の蛍光ランプに比較して、発光効率が高くなることが分った。高周波点灯専用形の蛍光ランプの管壁負荷が大きいために発光効率が高くなると考えられる。
【0084】
また、高周波点灯専用形は、グリーン購入の基準である発光効率80lm/W以上、かつ、平均演色評価数Ra80以上の条件を満足するが、本発明の蛍光ランプは、これに加えて透光性放電容器および蛍光体層の少なくとも一方にリサイクル材料を用いているので、環境対策上すこぶる有意義である。
【0085】
以上、説明した各請求項記載の蛍光ランプは、照明装置の光源として用いることができる。この場合、蛍光ランプは、照明装置本体に支持され、安定器により付勢される。なお、「照明装置」とは、蛍光ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。照明装置を例示すれば、照明器具、直下式バックライト装置、表示装置および信号灯装置などである。なお、照明器具は、家庭用の照明器具に好適であるが、これに限定されるものではなく、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、屋外用照明器具などにも適応する。また、「照明装置本体」とは、照明装置から蛍光ランプおよび安定器を除いた残余の部分をいう。
【0086】
安定器は、蛍光ランプを所定条件で点灯する手段であり、照明装置本体に配設することができる。しかし、要すれば、照明装置本体から離間して、たとえば天井裏などに配置することもできる。また、安定器は、コイルおよびコアを主体とする磁気漏れトランスやチョークコイル、高周波インバータを主体とする電子化安定器などを用いることができる。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0088】
図1および図2は、本発明の蛍光ランプの第1の実施形態としての直管形のラピッドスタート形蛍光ランプを示し、図1は一部切欠正面図、図2は管端部の拡大断面図である。本実施形態は、請求項1ないし4記載の発明に対応する。蛍光ランプFLは、透光性放電容器1、透光性導電膜2、蛍光体層3、一対の電極4、4、内部導入線5、外部導入線6および口金7を具備している。
【0089】
透光性放電容器1は、ガラスバルブ1a、一対のフレアステム1b、1bからなり、両端の封止部を形成している。ガラスバルブ1aは、0.0010.01質量%スズを含有するソーダ石灰ガラスからなる。このガラスは、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプから回収したガラスをカレットとしてその他の生原料とともに調合し、混合してガラス溶融炉に投入し、加熱溶融して得た微量のスズを含有するソーダ石灰ガラスである。
【0090】
ガラスバルブ1aは、溶融ガラスをダンナーやドロー法によって管引きし、徐冷してから所定寸法にカットして得たものである。一対のフレアステム1bは、排気管1b1およびフレア1b2を備え、一対の内部導入線4および外部導入線5を封着している。排気管1b1は、基端がチップオフされているとともに、先端が透光性放電容器1内に連通している。フレア1b2は、バルブ1aの両端に封止されて気密な透光性放電容器1を形成する。
【0091】
透光性導電膜2は、透明なネサ膜からなり、透光性放電容器1の内面のほぼ全体にわたり配設されている。
【0092】
蛍光体層3は、リサイクルと未使用の3波長発光形蛍光体を質量%で70:30の割合で混合してなり、透光性放電容器1の非発光物質膜2の内面に密着して配設されている。
【0093】
一対の電極4、4は、いずれも2重コイル形のタングステン線フィラメントに電子放射性物質を塗布してなり、後述する一対の内部導入線5、5の先端部に継線されている。
【0094】
内部導入線5および外部導入線6は、透光性放電容器1のフレアステム1bの内部でジュメット線を介して接続し、フレアステム1bに対して気密性を維持している。図2に示す排気管1b1は、透光性放電容器1の排気、封入後に封止される。
【0095】
口金7は、アルミニウム製のキャップ状成形品7aに一対の口金ピン7a、7aを絶縁関係に支持して備えていて、透光性放電容器1の両端にその一対が装着されている。
【0096】
放電媒体は、水銀および希ガスからなり、透光性放電容器1内に封入している。
【実施例1】
蛍光ランプは、FLR40S・EX形で、透光性放電容器1の管径32.5mm、管長1198mm、全長1213.6mm以下である。
【0097】
透光性放電容器1;還元清澄により製造されたスズ含有ソーダ石灰ガラス、成分は、表のとおりである。なお、含有率の単位は質量%である。
【0098】
【表4】
SiO 70
AL 1.7
NaO 16
K2O 1.3
CaO 6.3
BaO 0.4
MgO 3
Fe 0.04

Sb 0.34
SnO 0.005

蛍光体層;膜厚20μm
赤色発光蛍光体;Y:Eu
緑色発光蛍光体;LaPO:Ce,Tb
青色発光蛍光体;BaMgAl1627:Eu,Mn
放電媒体;液体水銀および330Paの圧力で封入されたアルゴンAr
次に、実施例1の蛍光ランプの透光性導電膜の抵抗低下率を、従来のラピッドスタート形蛍光ランプを比較例として、比較した結果を表に示す。
【0099】
【表5】
抵抗低下率 100時間 1000時間
実施例1 0.5% 0.3%
比較例 0.8% 0.5%

から理解できるように、実施例の方が抵抗低下率が小さい。これは、透光性放電容器の内表面の導電率がスズの含有によって低くなっていることが寄与している。このため、EC黒化が発生しにくくなる。なお、抵抗低下率は、透光性導電膜のΩ/□により示す抵抗値の時間経過に伴う低下率をいう。
【0100】
図3および図4は、本発明の蛍光ランプの第2の実施形態としての高周波点灯専用形の蛍光ランプを示し、図3は正面図、図4は要部拡大断面図である。本実施形態は、請求項5の発明に対応する。なお、各図において、図1および図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0101】
透光性放電容器1は、ほぼ環形をなすスズを0.0010.01質量%有するソーダ石灰ガラスからなる軟質ガラスバルブ1aの両端に一対のステム1b、1bを封着し、さらに両端部に環状凹溝1cを形成することによって構成されている。
【0102】
一対のステム1b、1bは、いずれもフレアステムからなるが、それぞれ後述する細管1b1を備えている。図4の右側の細管1b1は、透光性放電容器1の一端に配設され、その先端のチップオフ部が細管内に凹入している。これは透光性放電容器1内を排気し、放電媒体を封入した後にチップオフしているからである。これに対して、図4の左側の細管1b1は、透光性放電容器1の他端に配設され、その先端のチップオフ部が突出している。これは透光性放電容器1内を排気する以前に予め内外に気圧差のない状態でチップオフしているからである。なお、チップオフ部の形状は、相対的な差であるにすぎず、実際は多様な形状をしている。そうして、ステム1b、細管1b1および第1の電極4は、マウントMを構成している。
【0103】
蛍光体層3は、リサイクルの3波長発光形蛍光体を主体としていて、透光性放電容器1の内面に形成された図示しない薄い保護膜を介してその上に形成されている。なお、保護膜はアルミナ微粒子により形成されている。
【0104】
透光性放電容器1の内部には、図4の右側の細管1b1から排気し、水銀および希ガスとしてアルゴンからなる放電媒体を封入している。
【0105】
一対の電極4、4は、いずれもフィラメント電極からなり、その両端がステム1bの一対の内部導入線5、5の先端間に継線されている。
【0106】
口金7は、透光性放電容器1の環の欠如部に装着され、外部導入線6を経由して各電極4A、4Bに接続する口金ピン7aを備えている。
【実施例2】
蛍光ランプは、FHC32E形で、透光性放電容器の管径16.5mm、管外径373mmである。
透光性放電容器:実施例1と同じスズ含有ソーダ石灰ガラス使用。
蛍光体層:リサイクルおよび未使用のそれぞれの3波長発光形蛍光体をそれぞれ50質量%使用。3波長発光形蛍光体の組成は実施例1と同じ。
ランプ効率:約98%(未使用の3波長発光形蛍光体を用いて製造した他は同一仕様の高周波点灯専用形蛍光ランプのランプ効率を100%とした場合)。なお、ラピッドスタート形の蛍光ランプFLR40S/EXにおいて、未使用の3波長発光形蛍光体を用いて製造した蛍光ランプのランプ効率を100%とした場合、リサイクルの3波長発光形蛍光体および未使用の同様の蛍光体をそれぞれ50%混合して製造した他は同一仕様の蛍光ランプでは、ランプ効率は約92%であった。
【0107】
図5は、本発明の蛍光ランプを用い照明装置の一としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図である。図において、21は照明装置本体、22は蛍光ランプ、23は安定器である。
【0108】
照明装置本体21は、内部に安定器23を内蔵し、ランプソケット21aなどを備えている。
【0109】
蛍光ランプ12は、実施例1に示す構成であり、ランプソケット21aに装着されることにより、照明装置本体21に支持されている。
【0110】
【発明の効果】
請求項1ないし4の各発明によれば、0.0010.01質量%スズを含有する軟質ガラスからなるガラスバルブを用いた透光性放電容器と、透光性放電容器のガラスバルブ内面側の全体にわたって配設された蛍光体層と、一対の電極と、放電媒体とを具備していることにより、蛍光ランプとして本質的に問題がないとともに、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプからのリサイクルガラスを利用するのに好適な蛍光ランプを提供することができる。
【0111】
請求項の発明によれば、加えて透光性放電容器のガラスバルブ内面の全体にわたって配設された酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜を具備していることにより、透光性導電膜の形成が容易で、しかも、透光性導電膜によるEC黒化が生じにくいラピッドスタート形の蛍光ランプを提供することができる。
【0112】
請求項3の発明によれば、加えてガラスバルブの軟質ガラスがスズを含有するカレットを用いて製造されていることにより、0.0010.01質量%スズを含有する軟質ガラスの製造が容易であるとともに、ラピッドスタート形の廃蛍光ランプから透光性導電膜を除去することなしにリサイクルできるので、透光性導電膜を除去することによるリサイクル工程の複雑化およびこれに伴うコストアップを回避できる蛍光ランプを提供することができる。
【0113】
請求項の発明によれば、加えて軟質ガラスが酸化清澄により製造されていることにより、スズのぶつができにくい蛍光ランプを提供することができる。
【0114】
請求項5の発明によれば、酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜付の廃蛍光ランプから蛍光体層を分離して透光性放電容器からスズを含有するカレットを得る第1の工程と、第1の工程で得たカレットを生原料に混合し、溶融してスズの含有率が0.0010.01質量%リサイクルガラスを製造する第2の工程と、第2の工程で得たリサイクルガラスを用いてガラスバルブを成形し、さらにこのガラスバルブを用いて蛍光ランプを製造する第3の工程とを具備していることにより、0.0010.01質量%スズを含有するリサイクルガラスを用いたリサイクル蛍光ランプの製造方法を提供することができる。
【0115】
請求項の発明によれば、透光性放電容器が軟質ガラスからなる外径25.5mm以下のガラスバルブを用いた高周波点灯専用形で、高発光効率で、しかも廃蛍光ランプのリサイクルガラスを用いているために、環境対策上有意義な蛍光ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光ランプの第1の実施形態としての直管形のラピッドスタート形蛍光ランプを示す一部切欠正面図
【図2】同じく管端部の拡大断面図
【図3】本発明の蛍光ランプの第2の実施形態としての高周波点灯専用形の蛍光ランプを示す正面図
【図4】同じく要部拡大断面図
【図5】本発明の蛍光ランプを用い照明装置の一としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図
【符号の説明】
1…透光性放電容器、1a…バルブ、1b…フレアステム、1b1…排気管、1b2…フレア、2…透光性導電膜、3…蛍光体層、4…電極、5…内部導入線、6…外部導入線

Claims (6)

  1. 0.0010.01質量%スズ(Sn)を含有する軟質ガラスからなるガラスバルブを用いた透光性放電容器と;
    透光性放電容器のガラスバルブの内面側の全体にわたって配設された蛍光体層と;
    透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
    透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
    を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 透光性放電容器のガラスバルブの内面の全体にわたって配設された酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜を具備していることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
  3. ガラスバルブの軟質ガラスは、スズ(Sn)を含有するカレットを用いて製造されていることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ。
  4. ガラスバルブの軟質ガラスは、酸化清澄により製造されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の蛍光ランプ。
  5. 酸化スズ(SnO)を主体とする透光性導電膜付の廃蛍光ランプから蛍光体層を分離して透光性放電容器のスズが付着している軟質ガラスからスズを含有するカレットを得る第1の工程と;
    第1の工程で得たカレットを生原料に混合し、溶融してスズの含有率が0.0010.01質量%リサイクルガラスを製造する第2の工程と;
    第2の工程で得たリサイクルガラスを用いてガラスバルブを成形し、さらにこのガラスバルブ用いて蛍光ランプを製造する第3の工程と;
    を具備していることを特徴とするリサイクル蛍光ランプの製造方法。
  6. 透光性放電容器は、軟質ガラスからなる外径25.5mm以下のガラスバルブを用いてなり、高周波点灯専用形であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の蛍光ランプ。
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